JP4240682B2 - 車両用冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房時には圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を凝縮器側をバイパスして減圧し、蒸発器に直接導入することにより、蒸発器をガス冷媒の放熱器として使用するホットガスバイパス機能を持った車両用冷凍サイクル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置では冬期暖房時に温水(エンジン冷却水)を暖房用熱交換器に循環させ、この暖房用熱交換器にて温水を熱源として空調空気を加熱するようにしている。この場合、温水温度が低いときには車室内への吹出空気温度が低下して必要な暖房能力が得られない場合がある。
【0003】
そこで、特開平5−223357号公報においては、ホットガスバイパスにより暖房機能を発揮できる冷凍サイクル装置が提案されている。この従来装置では、図33に示すように圧縮機10の吐出側を凝縮器19等をバイパスして蒸発器28の入口側に直接接続するホットガスバイパス通路18を設けるとともに、このホットガスバイパス通路18に暖房用減圧装置17を設け、さらに、凝縮器19への冷媒通路およびホットガスバイパス通路18を開閉する冷房用電磁弁15と暖房用電磁弁16を設けている。
【0004】
空調ユニット26内には、蒸発器28の下流側に温水式の暖房用ヒータコア29が配置されており、そして、冬期暖房時において、暖房用ヒータコア29に循環する温水温度が所定温度より低いとき(エンジン12の始動暖機時等)には、冷房用電磁弁15を閉じて暖房用電磁弁16を開くことにより、圧縮機10の高温吐出ガス冷媒(ホットガス)をホットガスバイパス通路18に流入させる。
【0005】
そして、このホットガスを暖房用減圧装置17にて減圧した後に蒸発器28に直接導入することにより、蒸発器28でガス冷媒から空調空気に放熱することにより、暖房機能を発揮できるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来装置では、冷凍サイクルにおいて凝縮器19下流側にレシーバ(受液器)33を配置している。このレシーバ33は、冷房時に、凝縮器19を通過した冷媒(ガス冷媒を一部含む飽和冷媒)の気液を分離して、余剰の液冷媒を貯留するものである。
【0007】
つまり、上記従来装置の冷凍サイクルは凝縮器19下流側に冷媒の気液分離作用を果たすレシーバ33を配置する、いわゆるレシーバサイクルを基礎とするものであり、そのため、冷房用減圧装置34には常にレシーバ33から液冷媒が導入される。そこで、レシーバサイクルでは、蒸発器28での冷房熱負荷に応じて冷媒流量を調整するために、一般に、冷房用減圧装置34として、蒸発器16出口での冷媒過熱度に応じて冷媒流量を調整する温度式膨張弁が使用される。
【0008】
そして、冷房用減圧装置34として用いられる温度式膨張弁は、冷媒の過熱度制御のための感温部(蒸発器出口冷媒の温度を感知する機構)を具備しているので、温度式膨張弁の感温部がエンジンルーム内のエンジン熱やエンジンルーム内の熱風の影響を受けると、蒸発器出口冷媒の温度を的確に感知することができない。
【0009】
そのため、レシーバサイクルでは、冷房用減圧装置(温度式膨張弁)34をエンジンルーム内のエンジン熱やエンジンルーム内の熱風の影響を受けない場所に設置する必要があり、通常は、温度式膨張弁を車室内に設置される空調ユニット26の蒸発器28近傍に配置することが多い。
【0010】
一方、圧縮機10、凝縮器19、レシーバ33等のサイクル高圧側機器はエンジンルーム内に搭載されるので、上記従来装置では車両への搭載に際して、ホットガスバイパス通路18の一端をエンジンルーム内の圧縮機10吐出側に結合し、他端は車室内の温度式膨張弁34と蒸発器28との間に結合することになる。
【0011】
すなわち、上述した理由から、上記従来装置ではホットガスバイパス通路18が必然的にエンジンルーム内の圧縮機10吐出側から車室内の蒸発器28入口側に至る長さの長い配管となってしまうので、エンジンルーム内の圧縮機10と車室内の空調ユニット26との間に実質的に高圧配管、低圧配管、ホットガスバイパス通路(配管)18の計3本の配管を必要とする。従って、狭隘なエンジンルーム内での配管取り回しが複雑となり、コストアップを招くとともに、配管スペースの確保に苦慮することになる。
【0012】
また、上記従来装置では、次の理由から、冬期低温時における暖房運転の起動性を悪化させる。すなわち、冬期の冷凍サイクル停止時(サイクル放置時)には、低温外気雰囲気に直接晒されるエンジンルームに比して車室内の方がかなり温度が高いので、サイクル内の冷媒はエンジンルーム内に搭載されている機器(圧縮機10、凝縮器19、レシーバ33、アキュームレータ31等の機器において液化して液冷媒として寝込む。
【0013】
ここで、上記従来装置では冷凍サイクル停止時に冷房用電磁弁15を閉じて、暖房用電磁弁16を開いておくことにより、凝縮器19とレシーバ33への冷媒の寝込みを防止する旨記載されているが、本発明者らが実際に試作、検討してみると、冷房用電磁弁15および逆止弁21の閉弁シール性は完璧なものではなく、実用上ある程度の洩れは不可避である。
【0014】
そのため、冬期の暖房運転時および冬期のサイクル停止時の双方において、冷房用電磁弁15と逆止弁21から洩れ出た冷媒が凝縮器19とレシーバ33内に徐々に溜まり、液冷媒が寝込むことなる。特に、従来装置では、凝縮器19に加えてレシーバ33の容積が存在するので、このことが寝込み冷媒量を増大させ、その結果、冬期のホットガスバイパスサイクル側(凝縮器19とレシーバ33を除いた部分)における冷媒量の不足を引き起こす。
【0015】
このため、従来装置では、特開平5−272817号公報に記載されているように暖房時にホットガスバイパスサイクル側の冷媒量が不足すると、冷媒回収制御のための冷房運転を行って、凝縮器19とレシーバ33への寝込み冷媒を強制的に蒸発器28側へ回収することが必要となる。
【0016】
しかし、冬期の極低温時では、サイクル起動前の冷媒飽和圧が低下することに加えて、蒸発器28の熱負荷が極端に小さいため、冷房用減圧手段である温度式膨張弁34の開度が極端に小さくなる。そのため、冷媒回収制御のために冷房運転を起動すると、圧縮機10の吸入圧が異常に低下して負圧運転となり、場合によっては圧縮機10のシャフトシール部から空気混入等の不具合を引き起こし、冷媒回収用冷房運転を実施できないという事態も生じる。
【0017】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を蒸発器に直接導入することにより、蒸発器をガス冷媒の放熱器として使用するホットガスバイパスの暖房機能を持った車両用冷凍サイクル装置において、サイクル配管の取り回しを簡素化して、車両搭載性を向上することを第1の目的とする。
【0018】
また、本発明は、ホットガスバイパスサイクルを構成しない機器への寝込み冷媒量を低減して、冬期低温時における暖房運転の起動性を良好にすることを第2の目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1ないし11に記載の発明では、圧縮機吸入側に気液分離用のアキュムレータ(31)を備えるとともに、ホットガスバイパスの暖房機能を持った車両用冷凍サイクル装置において、
冷房用減圧装置(20)を固定絞りにより構成して、冷房用減圧装置(20)を凝縮器(19)の出口側に直接接続し、
暖房モード時にホットガスバイパス通路(18)から凝縮器(19)側へ冷媒が逆流するのを防止する逆流防止手段(21)を備えるとともに、この逆流防止手段(21)を冷房用減圧装置(20)の出口側に接続し、
圧縮機(10)、凝縮器(19)、冷房用減圧装置(20)、ホットガスバイパス通路(18)、暖房用減圧装置(17)、弁手段(15、16)および逆流防止手段(21)を、車両エンジン(12)が配置されるエンジンルーム(24)側に配置し、蒸発器(28)を車室内(25)側に配置し、
弁手段(15、16)、暖房用減圧装置(17)および逆流防止手段(21)を、エンジンルーム(24)側に配置される1つの弁装置(14)として一体に構成し、
一方、冷房用減圧装置(20)は、逆流防止手段(21)と凝縮器(19)との間にて弁装置(14)と別体で構成されており、
逆流防止手段(21)の出口側およびホットガスバイパス通路(18)の出口側を合流する合流部を弁装置(14)に内蔵し、
弁装置(14)には前記合流部と連通する出口ジョイント部(144)が設けられ、
出口ジョイント部(144)を1本の低圧配管(22)により蒸発器(28)の入口側に接続し、
冷房用減圧装置(20)の出口から前記合流部に至るまでの通路長さよりも、前記合流部から蒸発器(28)の入口側に至るまでの通路長さを長くしたことを特徴としている。
【0020】
ここで、冷房用減圧装置(20)を凝縮器(19)の出口側に直接接続するとは、凝縮器(19)の出口側と冷房用減圧装置(20)との間に従来装置におけるレシーバのような気液分離手段を介在しないという意味である。
【0021】
本発明によると、圧縮機吸入側に気液分離用のアキュムレータ(31)を備え、温度式膨張弁のような感温部を持たない固定絞りにより冷房用減圧装置(20)を構成することで、冷房用減圧装置(20)を、圧縮機(10)、凝縮器(19)、ホットガスバイパス通路(18)、暖房用減圧装置(17)、弁手段(15、16)および逆流防止手段(21)とともにエンジンルーム(24)側に配置している。
【0022】
その結果、エンジンルーム(24)内に配置される弁装置(14)の内部にて逆流防止手段(21)の出口側およびホットガスバイパス通路(18)の出口側を合流させ、この合流部を1本の低圧配管(22)により蒸発器(28)の入口側に接続する配管構成でもって、ホットガスバイパスの暖房機能を発揮できる。
【0023】
従って、車室内(25)側に設置される蒸発器(28)に対しては通常の冷房用冷凍サイクルと同様に2本の配管を取り回しするだけでよく、ホットガスバイパスの暖房機能を持った冷凍サイクル装置の車両への搭載性を著しく改善できる。同時に、冷房用減圧装置(20)をエンジンルーム(24)側に配置することにより、冷房用減圧装置(20)における減圧作用に伴って発生する冷媒流動音が車室内へ到達しにくくなって、騒音対策上、極めて有利である。
【0024】
しかも、ホットガスバイパスサイクルを構成しない大容量の機器が凝縮器(19)のみとなり、気液分離のための大容量を持つレシーバを配置していないから、レシーバの容量分だけ、ホットガスバイパスサイクルを構成しない機器への寝込み冷媒量を低減できる。その結果、ホットガスバイパスサイクルにおける必要冷媒量を確保することが可能となる。
【0025】
それ故、冬期低温時における暖房運転の起動時に、従来装置のように負圧運転を引き起こす冷媒回収用冷房運転を行う必要がなくなって、暖房運転の起動性をも著しく改善できる。
【0029】
また、請求項1に記載の発明では、1つの弁装置(14)内部にホットガスバイパス通路(18)を内蔵することができて、弁装置(14)内にてホットガスバイパス通路(18)と逆流防止手段(21)の出口側を合流させることができる。従って、弁装置(14)にこの合流部形成の役割を兼務さることができるので、外部に配管合流部を設ける必要がなくなり、配管取り回しをより簡潔にすることができる。
【0035】
また、請求項に記載の発明のごとく弁装置(14)を凝縮器(19)に取り付け固定すれば、弁装置(14)と凝縮器(19)の冷媒入口、出口との接続を容易に行うことができる。
【0036】
また、請求項に記載の発明のごとく凝縮器(19)の前面側に入口ジョイント(19a)および出口ジョイント(19b)を配置し、入口ジョイント(19a)に弁装置(14)を直接結合すれば、凝縮器(19)の前面側の余裕空間を利用して弁装置の配置が容易である。
【0037】
また、請求項に記載の発明のごとく逆流防止手段として、冷房用減圧装置(20)の出口部に対向配置された逆止弁(21)を用いて、この逆止弁(21)に冷房用減圧装置(20)から噴出する冷媒噴出流の流動音を低減する流動音低減部材を兼務させれば、冷房用減圧装置(20)からの冷媒流動音を極めて簡潔な構成で効果的に低減できる。
【0038】
また、請求項に記載の発明のごとく逆流防止手段として、暖房用減圧装置(17)および冷房用減圧装置(20)の両方の出口部に対向配置された逆止弁(21)を用いて、この逆止弁(21)に暖房用減圧装置(17)および冷房用減圧装置(20)から噴出する冷媒噴出流の流動音を低減する流動音低減部材を兼務させれば、暖房用減圧装置(17)および冷房用減圧装置(20)の両方からの冷媒流動音を極めて簡潔な構成で効果的に低減できる。
【0039】
また、請求項に記載の発明のごとく冷房用減圧装置(20)をキャピラリチューブと絞り穴部との組み合わせで構成すれば、後述の図20に示すように、固定絞りであっても、減圧装置入口冷媒の状態変化に対応して、広範な冷媒流量調整作用を良好に発揮できる。
【0040】
また、請求項に記載の発明のごとく暖房モード時に冷媒が流れる冷媒通路の急拡大部に、通路断面積を徐々に拡大するテーパ状拡大部(160a、281a)を設ければ、冷媒通路の急拡大に伴う冷媒圧力の急低下を緩和して、冷媒流動音を効果的に低減できる。
【0041】
上記テーパ状拡大部(281a)は、具体的には、請求項記載のごとく蒸発器(28)の入口部に設けられる。
【0042】
これによると、蒸発器(28)の入口部での通路急拡大による冷媒流動音を効果的に低減できる。
【0043】
また、請求項に記載の発明のごとく、蒸発器(28)の入口部に接続ジョイント(280)を設け、この接続ジョイント(280)にテーパ状拡大部(281a)を内蔵してもよい。
【0044】
これによると、接続ジョイント(280)にテーパ状拡大部(281a)を内蔵することができ、構成を簡素化できる。しかも、低圧配管(22)の出口部の径を蒸発器(28)の入口側通路断面積に合うように拡大する必要がなく、接続ジョイント(280)の部位まで低圧配管(22)の径は同一のままでよい。
【0045】
また、上記テーパ状拡大部(281a)は、具体的には、請求項10記載のごとく暖房用減圧装置(17)の出口部に設けられる。
【0046】
これによると、暖房用減圧装置(17)の出口部での通路急拡大による冷媒流動音を効果的に低減できる。
【0047】
また、請求項11に記載の発明のごとく、弁手段(15、16)を三方切替弁(400)で構成すれば、圧縮機(10)の吐出側から凝縮器(19)およびホットガスバイパス通路(18)側への冷媒流れの切替を1つの弁で行うことができ、弁手段の小型化、コスト低減を達成できる。
【0048】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1、図2は本発明の第1実施形態による車両空調用冷凍サイクル装置を示すものであり、圧縮機10は、電磁クラッチ11を介して車両エンジン12により駆動される。圧縮機10の吐出配管13には弁装置14が設けられている。この弁装置14は、図2に示すように冷房用電磁弁(第1弁手段)15と、暖房用電磁弁(第2弁手段)16と、暖房用減圧装置(第2減圧装置)17を1つの部品として一体化したものである。
【0050】
ここで、暖房用電磁弁16と暖房用減圧装置17はホットガスバイパス通路(配管)18に設置されるもので、暖房用減圧装置17は暖房用電磁弁16の出口部に形成した細径の絞り穴(固定絞り)にて構成できる。
【0051】
圧縮機10の吐出配管13には弁装置14の冷房用電磁弁15を介して凝縮器19の入口ジョイント19aが接続されている。ここで、凝縮器19は冷却風の上流側である前面側に入口ジョイント19aと出口ジョイント19bを配置しており、そして、出口ジョイント19bには冷房用減圧装置(第1減圧装置)20が接続されている。この冷房用減圧装置20は固定絞りにて構成されており、固定絞りとして具体的には細径(例えば、φ1.2〜1.3mm程度)の管を所定長さとすることにより圧損を発生するキャピラリチューブを用いている。凝縮器19は電動冷却ファン19cにより送風さる外気冷却風により冷却される。
【0052】
なお、弁装置14は図1に示すように凝縮器19の上部サイドプレート19dに近接配置されているので、弁装置14に適宜の取付ブラケット(図示せず)を設けて、弁装置14を凝縮器19の上部サイドプレート19dに取り付け固定することができる。また、吐出配管13において弁装置14の上流部位には、圧縮機吐出圧(サイクル高圧)検出する圧力センサSが取り付けられている。
【0053】
上記した冷房用減圧装置20の出口側には逆止弁21が接続されている。この逆止弁21は、暖房モード時にホットガスバイパス通路18から凝縮器19側へ冷媒が逆流するのを防止する逆流防止手段である。この逆止弁21の出口部にホットガスバイパス通路18の出口部が結合されている。従って、ホットガスバイパス通路18は図1に示すように、凝縮器19の近傍部位にて弁装置14と逆止弁21の出口部との間を連結する、極めて短い配管で構成できる。
【0054】
そして、ホットガスバイパス通路18の出口部と逆止弁21の出口部とを合流させて1本の入口側低圧配管22に結合し、この1本の低圧配管22をダッシュボード23の穴を貫通して車室内25へ配管する。ここで、ダッシュボード23は車両のエンジンルーム24と車室内25とを仕切るものである。
【0055】
車室内25の前方部の計器盤(図示せず)下方部には空調ユニット26が配置され、この空調ユニット26内において、空調用電動送風機27の空気上流側に蒸発器28が配置され、この蒸発器28の下流側に温水式の暖房用ヒータコア29が配置されている。
【0056】
上記低圧配管22は蒸発器28の冷媒入口部に結合され、この蒸発器28の冷媒出口部には出口側低圧配管30が接続され、この出口側低圧配管30はダッシュボード23を貫通してエンジンルーム24側へ配管され、エンジンルーム24内のアキュームレータ31の入口に接続され、アキュームレータ31の出口は吸入配管32を通して圧縮機10の吸入口に接続される。
【0057】
アキュームレータ31は周知のごとく蒸発器28の出口側低圧配管30から流入する冷媒の気液を分離して液冷媒を貯留するものであって、ガス冷媒を圧縮機10に吸入させるとともに、潤滑オイルを圧縮機10に戻すために、アキュームレータタンク底部付近の液冷媒の一部を圧縮機10に吸入させるものである。
【0058】
なお、前記した空調ユニット26において、蒸発器28は空調用送風機27により送風される空気(車室内空気または外気)を冷房モード(あるいは除湿必要時)時には冷媒蒸発潜熱の吸熱により冷却し、また、冬期暖房モード時には、蒸発器28はホットガスバイパス通路18からの高温冷媒ガス(ホットガス)が流入して空気を加熱するので、放熱器としての役割を果たす。
【0059】
また、暖房用ヒータコア29には、車両エンジン12の温水(冷却水)がエンジン駆動の温水ポンプ(図示せず)により循環することにより、温水を熱源として蒸発器通過後の空気を加熱する。そして、暖房用ヒータコア29の下流側に設けられた吹出口(図示せず)から車室内25へ空調空気を吹き出すようになっている。
【0060】
また、電磁クラッチ11、冷房用電磁弁15、凝縮器用電動冷却ファン19c、空調用電動送風機27等の電気機器の作動は、空調用電子制御装置(図示せず)の出力により制御される。
【0061】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。冷房モードが選択されたときは、空調用電子制御装置(図示せず)により冷房用電磁弁15が開状態とされ、暖房用電磁弁16が閉状態とされ、また、電磁クラッチ11に通電されて電磁クラッチ11が接続状態となり、圧縮機10が車両エンジン12にて駆動される。
【0062】
すると、圧縮機10の吐出ガス冷媒は開状態の冷房用電磁弁15を通過して凝縮器19に流入する。凝縮器19では、冷却ファン19cにより送風される外気にて冷媒が冷却されて凝縮する。そして、凝縮器通過後の凝縮冷媒は固定絞りにて構成された冷房用減圧装置20で減圧されて、低温低圧の気液2相状態となる。
【0063】
次に、この低圧冷媒は逆止弁21を通過して蒸発器28内に流入して送風機27の送風する空調空気から吸熱して蒸発する。蒸発器28で冷却された空調空気は車室内25へ吹き出して車室内25を冷房する。蒸発器28で蒸発したガス冷媒はアキュームレータ31内にてガス冷媒と液冷媒がその密度差により分離され、ガス冷媒が圧縮機10に吸入される。また、同時に、アキュームレータ31の内の下側に溜まった液冷媒(潤滑オイルを含む)が若干量圧縮機10に吸入される。
【0064】
一方、冬期の暖房モード時には、空調用電子制御装置により冷房用電磁弁15が閉状態とされ、暖房用電磁弁16が開状態とされ、ホットガスバイパス通路18が開通する。従って、圧縮機10の高温吐出ガス冷媒(過熱ガス冷媒)が開状態の暖房用電磁弁16を通過した後、この電磁弁16の出口部の絞り穴(固定絞り)にて構成された暖房用減圧装置17で減圧される。
【0065】
この後、減圧後のガス冷媒がホットガスバイパス通路18、低圧配管22を経て、車室内の空調ユニット26の蒸発器28に導入され、ここで送風空気に放熱して、送風空気を加熱する。そして、蒸発器28で放熱したガス冷媒はアキュームレータ31を通過した後に圧縮機10に吸入され、再度圧縮される。
【0066】
そして、暖房モード時において、逆止弁21はホットガスバイパス通路18からのガス冷媒が凝縮器19側へ逆流して、凝縮器19内に冷媒が滞留すること(寝込み現象)を抑制する。
【0067】
以上は、冷凍サイクル装置全体としての作動であるが、次に、本実施形態による車両搭載性および暖房運転起動性の改善効果について説明する。
【0068】
まず、本実施形態によると、冷房用減圧装置20をキャピラリチューブのような、感温部を持たない固定絞りにて構成しているため、温度式膨張弁を用いる場合に比して、車両エンジン12からの高熱とかエンジンルーム24内の熱風を受けて冷媒流量の調整作用が乱されることがない。そのため、冷房用減圧装置20を凝縮器19近傍のエンジンルーム22内に配置できる。
【0069】
その結果、ホットガスバイパス通路18は図1に示すように、凝縮器19の近傍部位にて弁装置14と逆止弁21の出口部との間を連結する、極めて短い配管で構成できる。従って、ダッシュボード23を貫通して車室内25内の蒸発器28に結合される冷媒配管は、低圧側の2本の配管22、30だけでよく、これは通常の空調用冷凍サイクルの配管取り回しと同じであるから、ホットガス暖房機能を発揮する冷凍サイクル装置を車両に容易に搭載できる。
【0070】
また、ホットガスバイパスによる暖房モード時に冷房用電磁弁15と逆止弁21が閉弁しても、これらの弁15、21のシール部での洩れにより、ある程度の冷媒が凝縮器19側へ冷媒が流入し、凝縮器19内へ冷媒が寝込むという現象が発生するが、本実施形態によると、凝縮器19の出口部を直接、固定絞りで構成される冷房用減圧装置20に接続して、従来装置のレシーバを廃止しているため、このレシーバのタンク容積分だけ、ホットガスバイパスサイクル以外の部位における液冷媒寝込み量を減少できる。
【0071】
このため、暖房モード時に、ホットガスバイパスサイクル側での必要冷媒量を確保できるので、冷媒回収制御のための冷房運転を行う必要がない。従って、冷房運転に伴う圧縮機10の負圧運転といった不具合が発生しない。
【0072】
図3〜図5は本発明者らの実験による暖房モード起動時の圧縮機吸入圧の挙動を示すもので、図3は、前述した図21の従来装置(レシーバ33と温度式膨張弁34との組み合わせを持つレシーバサイクル)による圧縮機吸入圧の挙動であり、起動後の所定期間M(図3の例ではM=30秒)において冷房運転による冷媒回収制御を行っている。図3において、回転数(rpm)は圧縮機回転数である。
【0073】
従来装置では、暖房モード起動時に、冷房運転による冷媒回収制御の実施により、前述の理由(外気温度の低下に伴う冷媒飽和圧の低下および温度式膨張弁の開度小)により、圧縮機吸入圧が大きく低下して負圧運転になることを示している。
【0074】
そして、図4は上記の従来装置において、暖房モード起動時の、冷房運転による冷媒回収制御における圧縮機最低吸入圧を外気温と圧縮機回転数をパラメータとして示すもので、圧縮機最低吸入圧=−0.5kg/cm2 Gを作動限界として設定した場合、外気温=−30°Cまで低下すると、サイクルが起動不能となる。
【0075】
これに対し、第1実施形態によると、レシーバ33を具備せず、固定絞りからなる冷房用減圧装置20と圧縮機吸入側のアキュームレータ31との組み合わせを持つアキュームレータサイクルであるため、暖房モード起動時に、冷房運転による冷媒回収制御を行う必要がない。そのため、図5に示すように、外気温=−30°Cまで低下しても、圧縮機最低吸入圧が作動限界の−0.5kg/cm2 Gのレベルまで低下せず、従って、外気温=−30°Cの極低温時でもサイクルが起動可能となる。
【0076】
(第2実施形態)
図6、図7は第2実施形態による弁装置14の具体的構造を例示するものであり、第1実施形態では両電磁弁15、16と暖房用減圧装置17とを一体化した弁装置14の概略の外観を図1に示しただけであるので、第2実施形態では、この3部品(15〜17)の一体化構造を具体的に例示するとともに、さらに、逆止弁21をも一体化している。
【0077】
弁装置14は、冷房用電磁弁15および暖房用電磁弁16の両者の通路部を一体構成する弁ハウジング140を有している。この弁ハウジング140には次の4つのジョイント部141〜144が設けられている。第1の入口ジョイント部141は圧縮機10の吐出配管13に接続され、第2の入口ジョイント部142は冷房用減圧装置20の出口側に接続される。
【0078】
また、第1の出口ジョイント部143は凝縮器19の入口側(図1の入口ジョイント19a)に接続され、第2の出口ジョイント部144は低圧配管22を介して蒸発器28の入口側に接続される。
【0079】
冷房用、暖房用の両電磁弁15、16はともにパイロット式の弁構成となっており、最初に、冷房用電磁弁15について説明すると、凝縮器19の入口側に接続される第1の出口ジョイント部143に連通する弁口145を設けるとともに、この弁口145を主弁体146で開閉する。この主弁体146の中心部に設けた制御穴147をプランジャ148の先端のパイロット弁部149で開閉するようになっている。
【0080】
プランジャ148が図7の上方へ移動して、パイロット弁部149が制御穴147を開放すると、主弁体146の背圧室150が制御穴147を介して出口ジョイント部143側の通路に連通して、背圧室150の圧力が低下する。これにより、入口ジョイント部141側の圧力と背圧室150との間に差圧が発生し、この差圧がダイヤフラム151に対して図7の上方への押圧力として作用する。この押圧力により主弁体146が図7の上方へ変位して、弁口145が開放されると、冷房用電磁弁15が開弁状態となる。
【0081】
次に、プランジャ148を図7の上方へ吸引するための電磁機構について説明すると、プランジャ148は磁性体製の可動部材であり、このプランジャ148に対向して固定鉄心部材152が配置され、この両者148、152の間にはコイルバネ153が配置されている。
【0082】
さらに、電磁コイル154と継鉄部材155が配置されており、電磁コイル154への通電により、継鉄部材155、プランジャ148および固定鉄心部材152からなる磁気回路に磁束が流れて、プランジャ148と固定鉄心部材152との間に電磁吸引力が発生して、プランジャ148がバネ153の力に抗して図7の上方へ変位する。これにより、冷房用電磁弁15が上記のごとく開弁状態となる。
【0083】
一方、電磁コイル154への通電を遮断すると、上記電磁吸引力が消滅するので、プランジャ148がバネ153の力により図7の下方へ変位するので、パイロット弁部149が制御穴147を閉塞する。背圧室150は主弁体146に開けた微小な連通穴156を通して入口ジョイント部141側の通路に連通しているので、背圧室150内の圧力は入口ジョイント部141側の圧力と同一となり、上記の圧力差がなくなるので、バネ153の力により主弁体146が図7の下方へ変位して、弁口145を閉塞する。すなわち、冷房用電磁弁15が閉弁状態となる。
【0084】
次に、暖房用電磁弁16の部分について説明すると、弁ハウジング140の内部において、第1入口ジョイント部141側の通路は、連通路157を介して暖房用電磁弁16の入口室158に常時連通している。暖房用電磁弁16の出口通路159は第2出口ジョイント部144に連通する主通路160に直角状に交差して接続されるもので、この出口通路159に設けられた弁口161を主弁体162で開閉するようになっている。
【0085】
ここで、出口通路159は断面円形の形状であり、弁口161の径を充分小径(本例では、φ2.2mm)に設定することにより、弁口161と出口通路159とにより、暖房用の減圧装置(絞り穴部)17を構成している。
【0086】
暖房用電磁弁16のその他の弁構造は、基本的には冷房用電磁弁15と同様であるので、その概要を簡単に述べると、主弁体162の制御穴163をプランジャ164のパイロット弁部165で開閉することにより背圧室166の圧力を制御して、主弁体162により弁口161を開閉する。
【0087】
プランジャ(磁性体製の可動部材)164の図7左右方向への変位は、電磁機構により行う。この電磁機構は、固定鉄心部材170、コイルバネ167、電磁コイル168、および継鉄部材169を有しており、電磁コイル168への通電により電磁吸引力を発生させて、プランジャ164をバネ167の力に抗して図7の左方へ変位させる。これにより、プランジャ164のパイロット弁部165が制御穴163を開放するので、主弁体162が弁口161を開放して、暖房用電磁弁16が開弁状態となる。
【0088】
一方、電磁コイル168への通電を遮断すると、上記電磁吸引力が消滅するので、プランジャ164がバネ167の力により図7の右方へ変位するので、パイロット弁部165が制御穴163を閉塞する。これにより、主弁体162が弁口161を閉塞して、暖房用電磁弁16が閉弁状態となる。
【0089】
さらに、図6に示すように、弁ハウジング140内において、第2の入口ジョイント部142と第2の出口ジョイント部144との間を直線的に連通させる主通路160の途中に逆止弁21を内蔵している。この逆止弁21は主通路160の内壁面にねじ止め等の手段で固定されたリング状の保持板21aを備えており、この保持板21aの中央穴21bを弁体21cで開閉する構成となっている。
【0090】
より具体的に説明すると、弁体21cは樹脂等の材料で円板状に成形され、ゴム製のOリング(弾性シール材)21dを円板状部の小径部の外周面に嵌合保持しており、このOリング21dを保持板21aの中央穴21bの周縁部に圧着することにより、図6に示す閉弁時のシール性を得る。
【0091】
また、弁体21cには、保持板21aの中央穴21b内に摺動自在に挿入される複数本の係止脚部21eが一体成形されている。この係止脚部21eの先端部には係止用の爪部が形成されており、この先端部の係止用爪部は樹脂の弾性変形により中央穴21b内に挿入することができ、弁体21cが図6の閉弁状態から所定量だけ図6の左方へ移動すると、係止脚部21eの係止用爪部が保持板21aに当接して、弁体21cの開弁状態を保持する。
【0092】
上記の構成により、冷媒が第2の入口ジョイント部142から第2の出口ジョイント部144へ向かって主通路160を流れるときは、逆止弁21の弁体21cが保持板21aから開離して中央穴21bを開口し、逆方向へ冷媒が流れようとするときは弁体21cのOリング21dが保持板21aに圧着して中央穴21bを閉塞する。
【0093】
第2実施形態によると、連通路157、入口室158、および出口通路159の部分により、ホットガスバイパス通路18を構成している。従って、弁装置14内部にホットガスバイパス通路18を完全に内蔵できるとともに、出口通路159と主通路160との結合部によりバイパス通路18の合流部も内蔵することになる。
【0094】
従って、既存の冷房用の冷凍サイクルの冷媒配管レイアウトをほとんど変更することなく、複合部品を一体化した弁装置14を追加するだけで、ホットガス暖房機能を持つ冷凍サイクル装置を車両に搭載できるので、車両搭載性を一層改善できる。
【0095】
(第3実施形態)
図8、9は第3実施形態であり、1つの弁装置40に、固定絞りからなる冷房用減圧装置20と逆止弁21とを一体化するものである。
【0096】
弁装置40は金属製の弁ハウジング41を有し、その一端側に凝縮器19の出口に直接結合される入口ジョイント部42を有し、他端側に出口ジョイント部43を有し、この出口ジョイント部43は図8の低圧配管22を介して蒸発器28の入口側に接続される。
【0097】
入口ジョイント部42の下流側には冷房用減圧装置20が形成されている。この冷房用減圧装置20は、本例では弁ハウジング41に直接開けられた細径のノズル状の絞り穴により構成されている。そして、冷房用減圧装置20の出口部に逆止弁21が対向配置されている。本例の逆止弁21は、円板状の弁体21cと、シール用Oリング21dと、閉弁用のコイルバネ21fと、バネ保持部材21gとを備えている。
【0098】
第3実施形態における逆止弁21は、出口ジョイント部43から入口ジョイント部42へ向かう冷媒の逆流を阻止する作用の他に、冷房用減圧装置20の減圧作用により発生する冷媒流動音を抑制する作用を発揮する。
【0099】
すなわち、冷房モード時には、冷房用減圧装置20の絞り穴形状により凝縮器19で凝縮した冷媒が急激に減圧される。その際に、絞り穴から下流に向かって気液2相冷媒の噴出流(ジェットコア)が発生し、この噴出流の外周側には急激な速度勾配をもつ混合域が形成される。この混合域に形成される急激な速度勾配が原因となって、冷媒流動音(騒音)が発生する。
【0100】
しかし、第3実施形態によると、逆止弁21の円板状の弁体21cを冷房用減圧装置20の出口部に、この出口部より大きい外径で対向配置しているので、冷媒噴出流の形成範囲内に弁体21cを位置させることができる。その結果、弁体21cの板面に絞り穴からの冷媒噴出流が衝突して、冷媒噴出流による混合域の形成範囲を狭めることができ、これにより、冷媒流動音を低減できる。つまり、本例によると、逆止弁21の弁体21cに流動音低減部材の役割を兼務させることができる。
【0101】
(第4実施形態)
図10は第4実施形態であり、第3実施形態では弁ハウジング41に形成した絞り穴形状にて冷房用減圧装置20を構成しているので、冷房用減圧装置20が弁ハウジング41と一体になっている(換言すると、固定式になっている)が、第4実施形態では、冷房用減圧装置20を弁ハウジング41に対して移動可能な構成(移動式)にしている。
【0102】
すなわち、第4実施形態では、弁ハウジング41の内部に円筒状の移動部材20aを配置し、この移動部材20aの中心部に形成した細径の絞り穴20bにより冷房用減圧装置20を構成している。そして、移動部材20aの先端側(下流側)に逆止弁21を一体に結合している。
【0103】
この逆止弁21の弁体21cには、移動部材20aの絞り穴20bの下流端と連通する中心凹部21hが形成され、さらにこの中心凹部21hから放射状に径外方向に向かう複数の穴21iが形成され、冷房用減圧装置20の絞り穴20bを通過した冷媒は逆止弁21の中心凹部21hから穴21iを経て破線矢印aのように、弁ハウジング41の内壁面に向かって噴出する。
【0104】
入口ジョイント部42から冷媒が流入する冷房モード時に、冷房用減圧装置20の移動部材20aは、コイルバネ21fのバネ力に抗して図10の左方へ移動する。このとき、移動部材20aの外周面に嵌合保持されたOリング(弾性シール材)20cが弁ハウジング41のストッパー面41aに圧着することにより、移動部材20aの外周側での冷媒洩れを防止する。
【0105】
また、出口ジョイント部43側から冷媒が流入する暖房モード時には、逆止弁21の外周面に嵌合保持されたOリング(弾性シール材)21dが弁ハウジング41のストッパー面41bに圧着することにより閉弁状態となる。
【0106】
(第5実施形態)
図11、図12は第5実施形態であり、1つの弁装置50に、固定絞りからなる冷房用減圧装置20と逆止弁21と暖房用減圧装置17とを一体化するものである。
【0107】
弁装置50は金属製の弁ハウジング51を有し、その一端側に凝縮器19の出口に結合される第1入口ジョイント部52を有し、他端側に暖房用電磁弁16の出口に結合される第2入口ジョイント部53を有している。そして、これらの両入口ジョイント部52、53の中間部位に、T字状に突出する出口ジョイント部54が形成され、この出口ジョイント部54は図11の低圧配管22を介して蒸発器28の入口側に接続される。
【0108】
第1入口ジョイント部52の下流側には冷房用減圧装置20が形成されている。この冷房用減圧装置20は、本例では弁ハウジング51に直接開けられた細径の絞り穴により構成されている。
【0109】
そして、冷房用減圧装置20の出口部に逆止弁21が対向配置されている。本例の逆止弁21は、円板状の弁体21cと、閉弁用のコイルバネ21fと、リング状のバネ保持部材21gとを備えている。このバネ保持部材21gは弁ハウジング51にネジ止め等の手段で固定されおり、このバネ保持部材21gの中心部に開けられた細径の絞り穴により暖房用減圧装置17が構成されている。
【0110】
第5実施形態による逆止弁21では、円板状の弁体21cの中心部に円柱状のピン部21c′が一体形成されており、このピン部21c′の先端が暖房用減圧装置17の絞り穴出口側にこれより大きい外径で対向配置してある。また、弁体21cが冷房用減圧装置20の絞り穴出口側にこれより大きい外径で対向配置してある。これにより、逆止弁21は、暖房用減圧装置17と冷房用減圧装置20の両方からの冷媒噴出流の冷媒流動音を抑制する作用を発揮する。
【0111】
また、第5実施形態によると、逆止弁21を収容している弁収容室21jの部位により、ホットガスバイパス通路18の合流部を構成できるので、出口ジョイント部54に図11に示す1本の低圧配管22を接続するだけでよい。
【0112】
(第6実施形態)
図13〜図15は第6実施形態であり、前述した図6、図7の第2実施形態では、1つの弁装置14に、両電磁弁15、16と暖房用減圧装置17と逆止弁21とを一体化しているが、第6実施形態ではこれらの部品に加えてさらに、冷房用減圧装置20をも1つの弁装置60に一体化している。
【0113】
この弁装置60において、両電磁弁15、16は第2実施形態(図7参照)と同一構造であるから説明は省略する。その他、第2実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0114】
第6実施形態では、第2実施形態における逆止弁21の設置部位(図7参照)に対応する部位、すなわち、図14のA部に、逆止弁21と冷房用減圧装置20の両方を設置している。
【0115】
図15はこのA部の拡大詳細図であり、弁装置60の弁ハウジング140に形成した第1入口ジョイント部142の下流部にリング状部材20dをネジ止め等の手段で固定し、このリング状部材20dの中心部に開けた細径の絞り穴20eにより冷房用減圧装置20を構成している。
【0116】
そして、この冷房用減圧装置20の下流側に冷房用減圧装置20からの冷媒噴出流の冷媒流動音を抑制する作用を兼務する逆止弁21を配置している。逆止弁21の構成は、図9の第3実施形態と略同じでよい。
【0117】
(第7実施形態)
図16〜図18は第7実施形態であり、上記第6実施形態の弁装置60を凝縮器19の入口ジョイント19a(図1参照)に直接取り付けるようにしたものである。
【0118】
このため、第7実施形態では、図17に示すように弁装置60の弁ハウジング140において、第1出口ジョイント部143に隣接する部位に取付ステー部143aを突出形成している。この取付ステー部143aは第1出口ジョイント部143に対して直交方向に突出し、その先端部に取付穴143bを形成している。
【0119】
第7実施形態によると、弁ハウジング140において、第1出口ジョイント部143を凝縮器19の入口ジョイント19aに接続するとともに、取付ステー部143aの取付穴143bにボルト(図示せず)を挿入して、このボルトを入口ジョイント19aのネジ穴(図示せず)にネジ込むことにより、弁装置60を図18に示すごとく凝縮器19の前面部(凝縮器冷却風の上流側)に直接取り付け固定できる。
【0120】
また、第7実施形態では暖房用電磁弁16の部分を凝縮器19の凝縮器19の上部サイドプレート19dに取り付け固定するブラケット61(図18)を備えている。
【0121】
一般に、車両においては、凝縮器19の後面部より前面部の方がスペース的余裕のあることが多いので、第7実施形態による弁装置60の搭載構造は車両への搭載性を一層改善できる。
【0122】
(第8実施形態)
図19は第8実施形態であり、前述の第1実施形態では、圧縮機吐出配管13に圧力センサSを取り付けているが、第8実施形態では図19に示すように弁装置14(図7に対応)の弁ハウジング140において、第1の入口ジョイント部141の下流部に圧力センサSを取り付けている。
【0123】
図19では、弁装置14への圧力センサSの取付を例示しているが、前述した弁装置40、50、60においても同様に圧力センサSを取り付けることができることはもちろんである。
【0124】
なお、圧力センサSの検出信号は、暖房モード時にサイクル高圧が所定値まで上昇しないとき、冷媒量不足であるとして、圧縮機10を停止(暖房モードの停止)させるために用いる。その他に、暖房モード時に車室内への吹出温度制御のために、圧力センサSの検出信号に基づいてサイクル高圧の上下に応じて圧縮機10作動を断続制御したり、あるいは、冷房モードの異常高圧時における圧縮機停止等のために、圧力センサSの検出信号を用いる。
【0125】
(第9実施形態)
前記した第1、第2実施形態では冷房用減圧装置20を細径のキャピラリチューブで構成しており、また、第3〜第8実施形態では、冷房用減圧装置20をいずれも、細径の絞り穴形状の固体絞りにより構成しているが、第9実施形態では、図18の車両搭載例において、凝縮器19の出口ジョイント19bと、弁装置60の第2入口ジョイント部142との間を結合する冷媒配管70を、細径のキャピラリチューブで構成することにより、冷房用減圧装置20を上流側のキャピラリチューブ(細管の長さを所定長さとすることにより所定の圧損を得る固定絞り)70と下流側の絞り穴部(穴開口面積を所定値に絞ることにより所定の圧損を得るオリフィス,ノズル状の固定絞り)との組み合わせで構成する。
【0126】
もちろん、前述した弁装置40、50、60においても同様に冷房用減圧装置20を上流側のキャピラリチューブ70と下流側の絞り穴部との組み合わせで構成することができる。
【0127】
次に、図20は第9実施形態による、キャピラリチューブと絞り穴部との組み合わせからなる冷房用減圧装置20の冷媒流量調整特性を示すもので、横軸は減圧装置入口冷媒の状態を示し、0の目盛より左側は入口冷媒のサブクール(過冷却度)SCをとり、右側は入口冷媒の乾き度Xをとっている。
【0128】
入口冷媒のサブクールSCは図20の範囲Mに示すように、15°C以内に押さえることが望まれている。これは、サブクールSCの増大によりサイクル高圧が上昇して圧縮機動力が増大することを抑制するためである。冷房用減圧装置20をキャピラリチューブのみで構成した場合は破線の特性に示すようにサイクルの負荷変動に対する冷媒流量の増加割合が小さいので、サブクールSCが増大して、圧縮機動力の増大を招くことになるが、第9実施形態によるキャピラリチューブと絞り穴部との組み合わせによると、サイクルの負荷変動に対する冷媒流量の増加割合が大きいので、サブクールSCの増大を抑制して、圧縮機動力の増大を抑制できる利点がある。
【0129】
(第10実施形態)
図21は第10実施形態による車両搭載図であり、図1に対して次の点で相違している。蒸発器28の入口側低圧配管22において、エンジンルーム側配管22aと車室内側配管22bとの間を配管コネクタ220により結合し、また、蒸発器28の出口側低圧配管30において、エンジンルーム側配管30aと車室内側配管30bとの間を配管コネクタ300により結合する状態を示している。
【0130】
また、蒸発器28の側面部に接続ジョイント280を一体に接合し、蒸発器28の入口部と車室内側配管22bとの間および蒸発器28の出口部と車室内側配管30bとの間をそれぞれ接続ジョイント280により結合している。
【0131】
図22は、本発明者が試作検討した比較例における配管コネクタ220の接続構造であり、この比較例では、入口側低圧配管22のエンジンルーム側配管22aを内径:6mmの大きさとし、車室内側配管22bを内径:10.1mmの大きさまで拡大している。この配管径の拡大は、車室内側配管22bの内径を接続ジョイント280の入口側流路(蒸発器28の入口部流路)の径に合致させるために行っている。
【0132】
ところが、エンジンルーム側配管22aの内径と車室内側配管22bの内径が上記のように異なるため、配管コネクタ220に通路断面積の急拡大部が形成され、この内径の急拡大により冷媒圧力が急激に低下して、配管コネクタ220部を通過する冷媒に流動音が発生しやすいという不具合がある。
【0133】
また、入口側低圧配管22として、径の異なる2種類の配管22a、配管22bが必要となり、コストアップの原因となる。
【0134】
第10実施形態は、上記比較例における不具合を解消することを目的として案出されたもので、図23は第10実施形態による蒸発器28の正面図で、アルミニュウム等の金属薄板からなる偏平チューブ28aを図23の左右方向に多数積層するとともに、偏平チューブ28a相互の間にコルゲートフィン28bを接合している。
【0135】
偏平チューブ28の上下両端部には、各偏平チューブ28への冷媒分配または各偏平チューブ28からの冷媒集合を行うタンク部28c、28dを一体成形している。そして、蒸発器28の左右両側の一方の側面部に、アルミニュウム等の金属からなる接続ジョイント280をろう付けにより接合している。
【0136】
図24は接続ジョイント280の断面図で、入口側低圧配管22の車室内側配管22bが接続される入口側流路281と、出口側低圧配管30の車室内側配管30bが接続される出口側流路282とを有しており、この両通路281、282の穴形状は接続ジョイント280の厚さ方向を平行に貫通している。
【0137】
ここで、入口側流路281には、その通路断面積を徐々に拡大するテーパ状拡大部(ディフューザ部)281aが形成してある。具体的には、入口側流路281の内径を、車室内側配管22bに対応する内径(例えば、6mm)から蒸発器28の入口部流路に対応する内径(例えば、10.1mm)まで徐々に拡大している。
【0138】
このテーパ状拡大部281aの形成によって、入口側低圧配管22のエンジンルーム側配管22aと車室内側配管22bの内径を同一径(例えば、6mm)にすることができる。このため、両配管22a、22bの間を結合する配管コネクタ220として、図25(a)(b)に示すように、通路断面積が略一定で、通路断面積(内径)の急拡大部を持たないのものを使用することができる。
【0139】
この結果、蒸発器28の入口側に位置する配管コネクタ220および入口側流路281の部位において、冷媒の急激な圧力低下が発生せず、冷媒の流動音を低減できる。
【0140】
なお、図25(a)の配管コネクタ220は、両配管22a、22bの間にコネクタ本体220aを介在し、このコネクタ本体220aに対して両配管22a、22bの先端部をユニオンナット220b、220cにより締結するようにしたものである。図25(b)の配管コネクタ220は一方の配管、例えば、車室内側配管22bの先端部にコネクタ本体220aを接合し、このコネクタ本体220aに他方のエンジンルーム側配管22aの先端部をユニオンナット220bにより直接締結するようにしたものである。220dはシール用のOリングである。
【0141】
更に、第10実施形態では、図27に示すように、暖房用減圧装置17の出口側冷媒流路にも通路断面積を徐々に拡大するテーパ状拡大部(ディフューザ部)160aを形成している。図26は図7に対応する弁装置14の断面図で、図27は図26のA−A断面図である。
【0142】
暖房用電磁弁16の出口側の主通路160の一端は出口通路159を介して弁口161(図26)に連通している。第2実施形態で既述したように、この弁口161と出口通路159とにより、暖房用減圧装置(絞り穴部)17を構成している。
【0143】
そして、上記の主通路160に、通路断面積を上流から下流に向かって徐々に拡大するテーパ状拡大部160aを形成している。このテーパ状拡大部160aは、暖房用減圧装置17の出口部における通路急拡大を解消して、冷媒圧力の急激な低下を抑制し、これにより、ホットガスバイパス運転時における冷媒流動音を低減するものである。
【0144】
図28は第10実施形態による2つのテーパ状拡大部160a、281aを含むホットガスバイパス運転時の冷媒通路を概略図示するもので、暖房用減圧装置17の出口部に位置するテーパ状拡大部160aのテーパ角をθfで示し、蒸発器28の入口部に位置するテーパ状拡大部281aのテーパ角をθr で示している。
【0145】
図29は、上記両テーパ状拡大部160a,281aのテーパ角θf 、θr と、蒸発器部騒音との関係を示す実験結果であり、図29の横軸は蒸発器入口側テーパ状拡大部281aのテーパ角θr をとっている。
【0146】
この蒸発器入口側テーパ角θr を15°以内(θr <15°)の範囲に設定し、かつ、暖房用減圧装置出口側のテーパ角θf を12°以内(θf <12°)に設定すると、蒸発器部騒音を略46dB以内に低減できることを確認できた。これは、テーパ状拡大部160a,281aによって冷媒圧力の急低下を抑えて冷媒流速の音速化を防止できるためである。特に、暖房用減圧装置出口側のテーパ角θf =3°であるときは、出口側のバイパス接続通路165のテーパ角θr を15°まで増大しても、蒸発器部騒音を45dB一定に抑えることができ、騒音低減のために有利である。
【0147】
なお、図29おいて、θf 、θr =180°はテーパ形状のないこと、換言すると、通路断面形状が直角状に急拡大する形状であることを意味しており、この場合は、暖房用減圧装置17直後の部位および蒸発器28の入口側部位のうち、いずれか一方に、通路急拡大部が形成されることになるので、蒸発器部騒音はかなり上昇してしまう。
【0148】
(第11実施形態)
上述した第1〜第10実施形態では、いずれも、圧縮機吐出ガスを凝縮器19側通路とホットガスバイパス通路18側とに切り替える切替用弁手段として、機能的に独立した2つの電磁弁15、16を使用しているが、第11実施形態では、この2つの電磁弁15、16の冷媒流れ切替機能(凝縮器19およびホットガスバイパス通路18側への冷媒流れの切替機能)を、図30、31に示す1つの三方切替弁400にて達成することにより、弁手段の小型化およびコスト低減をより一層図るものである。
【0149】
第11実施形態による車両搭載状態は、例えば、図21(第10実施形態)と同じでよいので、その説明を省略する。図32は、機能的に独立した2つの電磁弁15、16による弁作動と図30、31に示す三方切替弁400による弁作動とを比較して示すもので、三方切替弁400によると、凝縮器19側およびホットガスバイパス通路18側を両方とも開、あるいは両方とも閉にすることができないことが分かる。
【0150】
しかし、本発明者らの実験検討によると、ホットガスバイパスによる暖房モードを設定する冷凍サイクル装置において、上記のごとく両方とも閉にする必要性は本来なく、また、両方とも開にする冷媒量調整モードは、アキュームレータ18の容積が小さい場合(例えば、300cc以下の場合)に限って必要となるのであって、アキュームレータ31の容積が大きい場合は図30、31に示す三方切替弁400により対応可能である。
【0151】
その理由は、アキュームレータ容積が小さい場合はアキュームレータ31内が液冷媒で充満して液冷媒がアキュームレータ31より溢れ出ることがあり、この状態ではアキュームレータ31の気液分離機能がなくなる。そのため、凝縮器19側およびホットガスバイパス通路18側を両方とも開にして、凝縮器19側へ余剰冷媒の一部を放出させる必要が生じる。
【0152】
しかし、アキュームレータ容積が十分大きい場合はアキュームレータ31より液冷媒が溢れ出るという現象が発生しないので、凝縮器19側へ余剰冷媒を放出させるための冷媒量調整モード(すなわち、凝縮器19側およびホットガスバイパス通路18側を両方とも開)を実行する必要がない。従って、図30、31に示す三方切替弁400により対応可能となるのである。
【0153】
次に、上記三方切替弁400を備えた弁装置14の具体的構成および作動を図30、31に基づいて説明する。弁装置14の弁ハウジング140に、圧縮機10からの吐出ガス冷媒が流入する入口ジョイント部141と、凝縮器19の入口側に接続される出口ジョイント部143が弁ハウジング140に一直線上に対向配置されている。また、この両ジョイント部141、143を結ぶ軸線と直交方向に、ホットガスバイパス通路18の入口側に接続される出口ジョイント部144が配置されている。
【0154】
弁ハウジング140内には、第1、第2の主弁体414、415およびパイロット弁体416が図30の上下方向に変位可能に配置されている。第1の主弁体414は、入口ジョイント部141と凝縮器側出口ジョイント部143とを接続する弁口417を開閉する。また、第2の主弁体415は、入口ジョイント部141とバイパス側出口ジョイント部144とを接続する絞り穴418を開閉する。この絞り穴418はホットガスバイパス通路18の入口部を絞る暖房用減圧装置17を構成する。
【0155】
そして、第1の主弁体414と第2の主弁体415は、複数本の連結棒(連結手段)428により一体に連結され、一体に変位するようになっている。なお、図30では連結棒428を1本のみ図示している。
【0156】
第1の主弁体414に対して、弁口417と反対側の部位に背圧室419が形成され、この背圧室419内に第1の主弁体414閉弁用のバネ420が配置されている。背圧室419は、制御穴421と接続通路422を介して第1の主弁体414の下流側(すなわち、凝縮器側出口ジョイント部143の通路)に連通している。また、背圧室419内は、図示しない微小連通路を介して第1の主弁体414の上流側(すなわち、入口ジョイント部141の通路)に常時連通している。
【0157】
パイロット弁体416は上記制御穴421を開閉するものであって、プランジャ423(図26等のプランジャ148、164に相当)を持つ電磁機構により駆動される。パイロット弁体416の軸部の上端部はプランジャ423の下端部に一体に連結されている。
【0158】
プランジャ423を図30の上方へ吸引するための電磁機構は図26等と同じであり、磁性体製のプランジャ423に対向して固定鉄心部材424が配置され、この両者423、424の間にはコイルバネ425が配置されている。さらに、電磁コイル426と継鉄部材427が電磁機構に具備されている。
【0159】
電磁コイル426に通電していないときは、プランジャ423がバネ425の力により図30の下方へ変位するので、パイロット弁体416が制御穴421を開口する。すると、第1主弁体414の背圧室419が制御穴421と接続通路422を介して出口ジョイント部143側の通路に連通して、背圧室419の圧力が低下する。
【0160】
これにより、入口ジョイント部141側の圧力と背圧室419との間に差圧が発生し、この差圧が第1主弁体414に対して図30の上方への押圧力として作用する。この押圧力により第1、第2主弁体414、415が図30の上方へ変位して、第1主弁体414により弁口417が開放され、これと同時に、第2主弁体415により絞り穴418が閉塞される。すなわち、電磁コイル426の非通電時は、入口ジョイント部141が凝縮器側出口ジョイント部143と連通し、冷房モードが設定される。
【0161】
一方、電磁コイル426に通電すると、継鉄部材427、プランジャ423および固定鉄心部材424からなる磁気回路に磁束が流れて、プランジャ423と固定鉄心部材424との間に吸引力が発生して、プランジャ423がバネ425のバネ力に抗して図30の上方へ変位し、パイロット弁体416も上方へ変位する。
【0162】
これにより、制御穴421がパイロット弁体416により閉塞されるので、第1主弁体414の背圧室419と凝縮器側出口ジョイント部143との連通が遮断される。ここで、背圧室419内は図示しない微小連通路を介して入口ジョイント部141の通路に常時連通しているので、背圧室419内の圧力が入口ジョイント部141の圧力まで上昇する。
【0163】
この結果、第1主弁体414の上下両側に作用する圧力が同じになるので、第1主弁体414はバネ420のバネ力により弁口417の弁座面に圧接し、弁口417を閉塞する。これと同時に、第2主弁体415は絞り穴418の弁座面から開離し、絞り穴418を開口する。
【0164】
すなわち、電磁コイル426の通電時は、入口ジョイント部141がバイパス側出口ジョイント部144と連通し、暖房モードが設定される。
【0165】
なお、第10、第11実施形態では、弁装置14に冷房用減圧装置20および逆止弁21を一体化しない場合について説明したが、図13〜図15に示す第6実施形態の弁装置60のように第10、第11実施形態の弁装置14に冷房用減圧装置20および逆止弁21を一体化してもよい。
【0166】
(他の実施形態)
なお、上記の各実施形態では、いずれも、冷房用減圧装置20の下流側に逆止弁21を配置しているが、冷房用減圧装置20の上流側と凝縮器19の出口ジョイント19bとの間に逆止弁21を配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両搭載状態の概略斜視図である。
【図2】第1実施形態による冷凍サイクル説明図である。
【図3】従来装置の冷媒回収制御の実施に伴う起動時圧力挙動のグラフである。
【図4】従来装置の圧縮機最低吸入圧力のグラフである。
【図5】本発明装置の圧縮機最低吸入圧力のグラフである。
【図6】第2実施形態における弁装置の断面図で、図7のA−A断面を示す。
【図7】第2実施形態における弁装置の断面図である。
【図8】第3実施形態による冷凍サイクル説明図である。
【図9】第3実施形態における弁装置の断面図である。
【図10】第4実施形態における弁装置の断面図である。
【図11】第5実施形態による冷凍サイクル説明図である。
【図12】第5実施形態における弁装置の断面図である。
【図13】第6実施形態による冷凍サイクル説明図である。
【図14】第6実施形態における弁装置の断面図である。
【図15】図14のA部拡大断面図である。
【図16】第7実施形態における弁装置の正面図である。
【図17】第7実施形態における弁装置の側面図である。
【図18】第7実施形態による車両搭載状態の概略斜視図である。
【図19】第8実施形態における弁装置の断面図である。
【図20】第9実施形態による冷房用減圧装置の作動特性の説明図である。
【図21】第10実施形態による車両搭載状態の概略斜視図である。
【図22】第10実施形態の比較例による配管コネクタ部の半断面図である。
【図23】第10実施形態における蒸発器の正面図である。
【図24】第10実施形態における蒸発器の接続ジョイントの断面図である。
【図25】第10実施形態における配管コネクタ部の半断面図である。
【図26】第10実施形態における弁装置の断面図である。
【図27】第10実施形態における弁装置の断面図で、図26のA−A断面を示す。
【図28】第10実施形態におけるホットガスバイパス側の通路構成の概要図である。
【図29】第10実施形態による騒音低減効果を示すグラフである。
【図30】第11実施形態における弁装置の断面図である。
【図31】第11実施形態における弁装置の上面図である。
【図32】第11実施形態における三方切替弁とその他の実施形態における2つの電磁弁との作動比較図である。
【図33】従来装置の冷凍サイクル説明図である。
【符号の説明】
10…圧縮機、15…冷房用電磁弁(弁手段)、
16…暖房用電磁弁(弁手段)、17…暖房用減圧装置、
18…ホットガスバイパス通路、19…凝縮器、20…冷房用減圧装置、
21…逆止弁、22…低圧配管、28…蒸発器、31…アキュームレータ。

Claims (11)

  1. 車両エンジン(12)により駆動される圧縮機(10)と、
    この圧縮機(10)の吐出ガス冷媒を凝縮する凝縮器(19)と、
    この凝縮器(19)で凝縮した冷媒を減圧する冷房用減圧装置(20)と、
    この冷房用減圧装置(20)により減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(28)と、
    この蒸発器(28)の出口側と前記圧縮機(10)の吸入側との間に配置され、冷媒の気液を分離して、液冷媒を貯留するとともにガス冷媒を前記圧縮機(10)に吸入させるアキュームレータ(31)と、
    前記圧縮機(10)の吐出ガス冷媒を直接、前記蒸発器(28)の入口側に導入するホットガスバイパス通路(18)と、
    このホットガスバイパス通路(18)に設けられ、前記圧縮機(10)の吐出ガス冷媒を減圧する暖房用減圧装置(17)と、
    前記圧縮機(10)の吐出ガス冷媒を冷房モード時には前記凝縮器(19)側へ流入させ、暖房モード時には前記ホットガスバイパス通路(18)側へ流入させるよう、冷媒流れを切り替える弁手段(15、16)と、
    前記暖房モード時に、前記ホットガスバイパス通路(18)から前記凝縮器(19)側へ冷媒が逆流するのを防止する逆流防止手段(21)とを備え、
    さらに、前記冷房用減圧装置(20)を固定絞りにより構成して、前記冷房用減圧装置(20)を前記凝縮器(19)の出口側に直接接続し、
    前記逆流防止手段(21)を前記冷房用減圧装置(20)の出口側に接続し、
    前記圧縮機(10)、前記凝縮器(19)、前記冷房用減圧装置(20)、前記ホットガスバイパス通路(18)、前記暖房用減圧装置(17)、前記弁手段(15、16)および前記逆流防止手段(21)を、前記車両エンジン(12)が配置されるエンジンルーム(24)側に配置し、前記蒸発器(28)を車室内(25)側に配置し、
    前記弁手段(15、16)、前記暖房用減圧装置(17)および前記逆流防止手段(21)を、前記エンジンルーム(24)側に配置される1つの弁装置(14)として一体に構成し、
    一方、前記冷房用減圧装置(20)は、前記逆流防止手段(21)と前記凝縮器(19)との間にて前記弁装置(14)と別体で構成されており、
    前記逆流防止手段(21)の出口側および前記ホットガスバイパス通路(18)の出口側を合流する合流部を前記弁装置(14)に内蔵し、
    前記弁装置(14)には前記合流部と連通する出口ジョイント部(144)が設けられ、
    前記出口ジョイント部(144)を1本の低圧配管(22)により前記蒸発器(28)の入口側に接続し、
    前記冷房用減圧装置(20)の出口から前記合流部に至るまでの通路長さよりも、前記合流部から前記蒸発器(28)の入口側に至るまでの通路長さを長くしたことを特徴とする車両用冷凍サイクル装置。
  2. 前記弁装置(14)を前記凝縮器(19)に取り付け固定したことを特徴とする請求項に記載の車両用冷凍サイクル装置。
  3. 前記凝縮器(19)は前面側に入口ジョイント(19a)および出口ジョイント(19b)を有し、前記入口ジョイント(19a)に前記弁装置(14)を直接結合したことを特徴とする請求項に記載の車両用冷凍サイクル装置。
  4. 前記逆流防止手段は、前記冷房用減圧装置(20)の出口部に対向配置された逆止弁(21)であり、
    この逆止弁(21)に前記冷房用減圧装置(20)から噴出する冷媒噴出流の流動音を低減する流動音低減部材を兼務させることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
  5. 前記逆流防止手段は、前記暖房用減圧装置(17)および前記冷房用減圧装置(20)の両方の出口部に対向配置された逆止弁(21)であり、
    この逆止弁(21)に前記暖房用減圧装置(17)および前記冷房用減圧装置(20)から噴出する冷媒噴出流の流動音を低減する流動音低減部材を兼務させることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
  6. 前記冷房用減圧装置(20)をキャピラリチューブと絞り穴部との組み合わせで構成したことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
  7. 前記暖房モード時に冷媒が流れる冷媒通路の急拡大部に、通路断面積を徐々に拡大するテーパ状拡大部(160a、281a)を設けたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
  8. 前記テーパ状拡大部(281a)は、前記蒸発器(28)の入口部に設けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用冷凍サイクル装置。
  9. 前記蒸発器(28)の入口部に接続ジョイント(280)を設け、この接続ジョイント(280)に前記テーパ状拡大部(281a)が内蔵されていることを特徴とする請求項に記載の車両用冷凍サイクル装置。
  10. 前記テーパ状拡大部(160a)は、前記暖房用減圧装置(17)の出口部に設けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用冷凍サイクル装置。
  11. 前記弁手段(15、16)を三方切替弁(400)で構成したことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
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