JP4038566B2 - 紙製ディスク収納ケースの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンパクトディスク等のディスク状記録媒体を収容するための紙製のディスク収納ケースの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンパクトディスク(CD)等を収納するケースは、プラスチックの成型によって作られた薄い箱状の収納部材と、その一端に蝶番を介して回動可能に取り付けられた蓋とを備え、且つ該収納部材には、ディスクを収容する円形の凹部と、その中央に形成されてディスク中央孔に嵌合させるためのロック等を備えてものであった。
しかし、かかる従来のディスク収納ケースは、プラスチック製の成型品であるため、コストがかかるという問題があった。また、印刷を施すことが困難であるので、宣伝、説明等のためには印刷を施した紙をケース内に入れることが必要であり、この点からもコスト高となっていた。更に、廃棄する際の焼却が困難であるので、環境破壊を生じるという問題もあった。
【0003】
そこで、紙を素材とした各種のディスク収納ケースが提供されており、表部と裏部を折り重ね三方を封鎖し一方に開口を有する紙製ディスク収容ケースが提供されている。これら紙製ディスク収容ケースには、その表裏面に通常、ディスクのタイトル、中身の説明、並びに宣伝等の印刷画像が施されており、手軽に持ち運びが出来て便利なので歓迎されている。しかしながら、これらの紙製ディスク収容ケースを製造するには、予め芯材を形成し、印刷画像を有する表表装紙および裏表装紙を貼着した後、開口部を仕上げ切断する、いわゆる一面取り(1個取り)でしか製造することができなかった。
【0004】
即ち、左右にディスク収容ケースを形成した二面取り部材を中央より切断して二個のディスク収容ケースを1回の工程で製造するには、表装紙に形成する左右の印字画像を天地(即ち上下)左右を逆にして印字画像を形成しなければならず、表装紙を貼着する際に往々にしてその貼着位置がずれ、少しでも該位置がずれると表面の印字画像の切断位置がずれ、そのまま中央部で切断すると左右のディスク収容ケースの切断部周辺に相手方の印字画像の端部が食い込んでしまい、非常に見栄えの悪いディスク収容ケースしか製造できない。
したがって、従来、紙製ディスク収容ケースを製造するには、一面取りでしか製造することができず、非常に非効率であり、製造コストが上昇するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、紙を使用することにより、コストダウンを図ると共に、印刷画像を有する表装紙の使用を可能とし、且つ容易に焼却廃棄することが可能である紙製ディスク収容ケースの製造において、二面取り(2個取り)により1回の工程で2個の製品を製造することができ、効率的に安価で容易に製造し得る方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、紙製ディスク収容ケースの製造に際し、二面取り部材を切断して製造する方法に関して鋭意検討を加えた結果、二面取り部材を切断する際に中央に棄て部を残して切断することに想到し、それにより相手方の印字画像が切断部周辺に残ることなく製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
但し、切断部周辺が単色である場合には棄て部を残すことなく切断してもよく、本発明には棄て部を残すことなく切断して二面取りとすることも含まれる。好ましくは棄て部を残して切断することである。
【0007】
即ち本発明は、表部と裏部を折り重ね三方を封鎖し一方に開口を有する紙製ディスク収容ケースを製造するに際し、横方向に延びた折り目線によって表部と裏部と折曲片部とに分け、縦方向に延びた半切断線によって表部及び裏部の左右に底部片部に分け、かつ裏部に切り込みを形成した紙製のブランクを形成する工程、各折り目線および半切断線を谷折りし、表部と裏部を重ね、表部の折曲片部を裏部の切り込みに合致させ、かつ谷折りした左右の底部片部を接合して芯材を形成する工程、芯材の表部に印字画像を形成した表表装紙を包み込むように貼着し、裏面に裏装紙を貼着して二面取り部材を形成する工程、二面取り部材の中心部を切断する工程、からなることを特徴とする紙製ディスク収容ケースの製造方法、である。
【0008】
また、切断する工程が中心部に棄て部を残して切断することを特徴とする前記の紙製ディスク収容ケースの製造方法であり、さらに、ブランクの裏部の中央部にエア抜き溝を設けることを特徴とする該紙製ディスク収容ケースの製造方法である。
本発明のディスク収容ケースは、CDに限らず、例えば、ラージディスク(ID)、並びにミニディスク(MD)等のディスク状記憶媒体の収容に利用することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付の図を用いて更に具体的に説明する。
本発明の対象となる紙製ディスク収容ケースAは、図1で示されるように表部A1と裏部A2が折り重ねられ、裏部で折曲片部と切り込み合致させ、一方に開口a1を有し三方a2、a3、a4が封鎖され、開口a1の相対端部a3には底部片部が設けられ、表裏面には印字画像が施された表裏表装紙が貼着されたものである。
【0010】
開口は、図示の如く右端に形成しても、左端又は上端のいずれの箇所に形成せいてもよいが、当然のことながら下端に形成すると収納したディスクが落下していまうので不都合であり、ディスクの取り出し易さに点から右端に形成するのが好ましくい。
低部片部は、ディスク収容空間を形成するために設けるものであり、必要によりディスク収容時にディスクを固定するため切り込み7が形成されている。
【0011】
次に、本発明の紙製ディスク収容ケースの製造方法について説明する。
<ブランクの形成工程>
先ず、芯材を形成するためのブランク1を板紙から打ち抜く。本発明におけるブランク1は、図2で示されるように、横に延びる折り目線8、9によって表部2、裏部3、屈曲片部4に分けられ、縦方向に延びた半切断線10によって表部及び裏部の左右に底部片部6に分け、かつ裏部に切り込み5を形成し、必要に応じて底部片部6に切り込み7を設けた紙製のブランクを形成する。
【0012】
ブランク1に使用される板紙は、後述するようにディスク収納ケースとして仕上げて製品とした場合に、ディスクを保護し得るよう適度な剛性を備えたものであれば如何なるものでもよく、好ましくは厚みが0.2〜2.0mm程度、更に好ましくは0.3〜1.5mm程度の板紙が使用される。また、好適な板紙の主な種類としては、例えば、マニラボールや白ボール等の白板紙、コートボール、或いは不織布を積層したボール紙等を挙げることができるが、本発明では後述の如く、ブランクから形成される芯材を表装紙で覆うので、厚み及び剛性があれば上記の紙類以外の紙を使用することが可能である。
【0013】
<芯材の形成工程>
次いで、該ブランク1の半切断線10を谷折りして底部片部6を表裏部に重ね、折り目線8を谷折りして裏部を表部に重ね、底部片部6同志を糊剤などで接合し、折り目線9を谷折りして屈曲片部4を谷折りして切り込み5に嵌合させて図3に示す芯材11を形成する。
【0014】
底部片部6は、ディスク収容空間を形成するためのものであり、収納するディスクと略同等、若しくはそれ以上の厚みを有していることが必要であり、図示のものでは表裏部に設けた2枚で空間を形成しているが、板紙の厚さが厚い場合には表裏部のいずれか一方に設けた一枚の底部片部でもよい。また、底部片部にはディスクを固定するためのディスク円周と合致する切り込み7を設けることが好ましい。また、底部片部の幅は、小さいと空間形成に支障をきたし、大きいとディスク収容部分が小さくなり(必然的にディスク収容ケースが大きくなる)、好ましくは1〜10mmであり、更に好ましくは3〜6mmである。
屈曲片部4は、芯材を形成した場合に端部が折り線で形成されるようにするために設けるものであり、該屈曲片部を切り込み5に嵌合させるとにより、屈曲片部の位置決めと裏部表面を平滑なものとなすことができる。
【0015】
<二面取り部材の形成工程>
更に、図4に示すごとく、芯材11より一回り大きい表表装紙12を芯材の表部に貼着し(図4−イ)、芯材端部を包み込むように余白部分を折り返して貼着し、次いで芯材11より極僅か小さい裏表装紙13を裏部に貼着して(図4−ロ)、二面取り部材14(図4−ハ)とする。得られた該部材の断面図を図5に示す。
表表装紙の折り返し幅は、芯材の端部が隠れ、裏表装紙を貼着した時芯材の裏面が目視できない幅であれば如何なる幅であってもよいが、屈曲片部4と切り込み5との嵌合面を覆う幅であることが好ましい。
【0016】
表表装紙を包み込むように貼着した中間部材は密封されたものとなり、該中間部材に裏表装紙をロール等で貼着する際に、密封部分にエアが残存していると破裂してしまう恐れがあり、好ましくはブランクの裏部中央部分にエア抜き溝17を設ける。該エア抜き溝17は、二面取り部材の中央に設けられているので次の切断工程での棄て部に設けられることとなり製品には影響はない。
該エア抜き溝17は、エアが抜ける幅で長さであればよく、また棄てに残存させる幅でなければならず、その幅は1〜5mmである。
【0017】
<二面取り部材の切断工程>
次いで、該二面取り部材14を切断して仕上げ、紙製ディスク収容ケース2個を得る。切断は、図5に示す如く、中央に一定幅の棄て部14を残して切断する。棄て部の幅は、必要により適宜決定されるが、小さいと一方のディスク収容ケースに他方の印字画像が残り、大きいと棄て部であることから不経済となる。具体的には1〜10mm、好ましくは3〜8mmの範囲である。
切断を一定幅の棄て部14を介して行うことにより、表裏表装紙を貼着する際に印字画像の中央部がずれたとしても、二個取りの一方に他方の印字画像の端が残ることがなく、見栄えの良い紙製ディスク収容ケースが得られる。
但し、切断部周辺が単色である場合には、棄て部を残すことなく中央部で切断してもよいことは前述のとおりである。
【0018】
本発明においては、紙製ディスク収容ケースを2面取りで製造することにより、1回の製造工程で2個の紙製ディスク収容ケースを得ることができるのであるが、左右に同一の紙製ディスク収容ケースを製造するためには、その印字画像は上下左右が全く逆(180°回転)にする必要があり、左右のディスク収容ケースは、図6に示す如く屈曲片部と切り込みとの接合線が上端にあるものと下端にあるものが半々に得られる。
【0019】
【発明の効果】
本発明により、印刷画像を有する表裏表装紙の使用を可能とし、且つ二面取り(2個取り)により1回の工程で2個の製品を製造することができる、効率的で安価で容易に製造し得る紙製ディスク収容ケースの製造方法を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスク収納ケースの一例の斜視図である。
【図2】本発明のディスク収納ケースの一例を作成するブランクの展開図である。
【図3】本発明のブランクの一例を折り畳んだ芯材を示す斜視図であり、(イ)はエア抜き溝のないものであり、(ロ)はエア抜き溝を設けたものである。
【図4】本発明の芯材に表裏表装紙を貼着する工程を示す図であり、(イ)は表表装紙を貼着する図であり、(ロ)は裏表装紙を貼着する図であり、(ハ)は二面取り部材の完成図である。
【図5】本発明の二面取り部材の断面図である。
【図6】本発明の二面取りで得られた紙製ディスク収容ケースの図である。
【符号の説明】
A 紙製ディスク収納ケース
A1 表部
A2 裏部
A3 開口
1 ブランク
2 表部
3 裏部
4 折曲片部
5 裏部に設けた切り込み
6 底部片部
7 底部片部に設けた切り込み
8、9 折れ目線
10 半切断線
11 芯材
12 表表装紙
13 裏表装紙
14 二面取り部材
15 棄て部
16 切断線
17 エア抜き溝
Claims (3)
- 表部と裏部を折り重ね三方を封鎖し一方に開口を有する紙製ディスク収容ケースを製造するに際し、横方向に延びた折り目線によって表部と裏部と折曲片部とに分け、縦方向に延びた半切断線によって表部及び裏部の左右に底部片部に分け、かつ裏部に切り込みを形成した紙製のブランクを形成する工程、各折り目線および半切断線を谷折りし、表部と裏部を重ね、かつ谷折りした左右の底部片部を接合して芯材を形成する工程、芯材の表部に印字画像を形成した表表装紙を包み込むように貼着し、裏面に裏表装紙を貼着して二面取り部材を形成する工程、二面取り部材の中心部を切断する工程、からなることを特徴とする紙製ディスク収容ケースの製造方法。
- 切断する工程が中心部に棄て部を残して切断することを特徴とする請求項1に記載の紙製ディスク収容ケースの製造方法。
- ブランクの裏部の中央部にエア抜き溝を設けることを特徴とする請求項2に記載の紙製ディスク収容ケースの製造方法。
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