JP4037453B2 - 電気化学的方法および電極 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的方法とその電極に関する。本発明は、非常に多岐にわたる使用に適用することができる。とくにこれは、強化されたコンクリートの処理において有効である。かかるコンクリートは、固められた(set)コンクリート本体内でフレームワーク(frame work)を強化する鋼棒を含んでいる。他の使用については後述する。
【背景技術】
【0002】
こうしたフレームワークを直流電源に接続して金属を耐腐食状態に維持するだけの電圧を印加し、腐食を避ける、あるいは腐食に対処することが知られている。こうしたシステムは、陰極防食と呼ばれている。
【0003】
一般にこの技術は、金属メッシュのような分散型陽極システム、あるいは塗料および特製のガナイト吹き付け(gunited)材および噴霧材といった導電性被覆材を使用している。しかしながら、この方法では処理が不可能であるために「離散的(discrete)」または「ポイント(point)」陽極が提案されるような分野がいくつか存在する。市場にはすでに、2タイプの基本的なポイント陽極が出まわっている。最も一般的なものは、白金チタン棒であり、もう1種は一般に、適当な金属酸化物ベース材料または同材料の混合物を触媒として生成された成形チタンメッシュまたはチタン金属チューブまたはプレートである。
【0004】
しかしながら、白金チタン棒は単独で使用することができない。これは、要求される電流定格(周辺の鋼棒の密度によって制御される)では、陽極表面における電流密度が非常に高くなり、酸が、拡散する(そして最終的に陰極である鉄筋上に発生するアルカリによって中和される)より大幅に速い速度で発生するためである。したがって、コンクリートは陽極の周辺で酸によって腐食され、破壊されてしまう。全米腐食技術者協会(The US National Association of Corrosion Engineers)には、こうした現象を防止するため、電流密度はコンクリート部分1平方メートル当たり100mAを超えてはならない、という指針がある。一般に鋼棒は極めて大きな穴(典型的には直径12mm)の中に入れられ、空隙は炭素ベースの導電性ペーストで充填されて表面積の拡大、ひいてはコンクリート表面における電流密度の低減が図られている。しかしながら、経費面の理由から、いまだNACE指針を遥かに上回って作業される傾向がある。
【0005】
0.3mA.cm長(約800mA/m2)を超える電流密度では、炭素質の埋め戻し材が陽極酸化によって消費され、CO2が発生する。その結果、炭素とコンクリートの間の接触が失われ、電流保護を駆動する電圧が上昇してしばしば整流装置の定格を越えてしまう。しかしながらおそらくは、さらに他のメカニズムも働いている。高い電流の流れは、一般に、陽極表面にガス、典型的には酸素および炭素質ペーストの酸化による塩素または二酸化炭素の痕跡を発生させるが、これはなかなか逃げにくく、ブローホールとなってコンクリート表面との接触を大幅に低減させる。(超高電流密度(15A.m2周辺)では、陽極はパワーアップ時間内に「ガスブロック」することが分かっている。)
【0006】
一般に、特別製の導電性炭素グラウトに配慮する必要から、鋼棒は、表面近くの陽極に限定されている。鋼材は、建造物の深部に埋め込まれ、局部的な近くの陽極でこれを補強している場合が多い。
【0007】
ヨーロッパ特許出願公開第0186334号公報には、陽極が水中で硬化する(hydrautically)有孔性のTiOx(xは1.67ないし1.95である)からプリフォーム(preform)さらた部分である、陰極防食システムが記載され、かつクレームされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、強化されたコンクリートの処理およびその他の電気化学的適用において使用する、より簡便で効果的なポイント電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様において、金属強化コンクリートの電気的処理に用いるための電気化学電極であって、有孔性材料から形成され、外側表面および内側表面を有する、一般的に管状の本体と、
使用時に該内側表面および電流の供給部と電気的に接触する供給導体
とからなる電極が提供される。
【0010】
前記導体の結線が壁の内側表面と接続されているので、陽極腐食が回避される。前記外部表面は耐食性になる。
【0011】
壁は、任意の適当な三次元形状にすることが可能であるが、典型的には円筒形または球形である。導線の接続が壁の内面との間で行われるため、陽極の腐食が防止される。外面は、耐食性にする。
【0012】
壁は、電極が管状となるように、即ち両端が開放されていてガス移動通路またはチャネルを限定するような好適な形状である。
【0013】
壁は多孔性であり、ガスが通路に進入できる。多孔性は、後に充填されるグラウトまたは埋め戻し材によってガスの通路が大幅に妨害されないように選択される。
【0014】
好適には、壁は多孔性のチタン亜酸化物で形成する。好適には、チタン亜酸化物の化学式はTiOxである。ここで、xは1.55ないし1.95である。後述の通り、他の多孔性物質の使用も可能であり、また電極アッセンブリを他の電気化学的処理のために使用することもできる。
【0015】
好適には、導線は電極内の穴を通って、たとえば一般に円筒形状であるもののエンドキャップを通って伸長する。最も好適には、放出ガスを電極表面から外に移動させるために、円筒形の各端部を越えてシースが伸長する。強化されたコンクリートなどの電気化学処理のための方法であって、
補強部を露出すること、
多孔性材料から形成され、外側表面および内側表面を有する管状の壁を備えた電極を該補強部の選択された部分に隣接して設けること、
該壁の内側表面と電流の供給部とを接続し、前記処理のあいだに放出されるガスを該円筒に通すこと
からなる方法。
【0016】
好適には、壁の内面は電流供給に接続された供給用導線に接続されている。本方法は、好適には、導管を電極および電極の各端部を越えて伸長するシースを通して通過させることを含む。
【0017】
前記壁の内側表面は、電流の供給部に接続された供給導体に接続されることが好ましい。前記方法は、電極と、該電極のそれぞれの端部を超えて延びるシースとに導体を通すことを含むのが好ましい。
【0018】
好適には、コンクリート内にドリルで空ける穴の寸法は電極の寸法に等しい(導電性ペースト本体を包含して表面積を増加させる必要がないため)。
【0019】
本発明による電極の優位点は、これが任意の管状陽極との間に効果的かつ単純な接続方法を提供していることにある。管状であることにより、管内部のファラデー電界は重要でなくなり、したがって管内には金属の陽極腐食を促す力が存在しない。したがって、管内の金属は、化学的腐食性に関してのみ考慮して選択することができる。
【0020】
本発明による電極設計の詳細は極めて簡単にすることが可能であり、現場で製造することができる。ある実施例では、必要なものはスポット溶接機と挿入工具だけである。これは、陰極防食のための陽極の場合、穴および補強棒の実際の配置と比較したのちは、電極を現場に配置しておけることを意味している。
【0021】
特別な導電性グラウトの必要がなく、また陽極反応によって発生するガスを陽極表面から簡単に除去することができるため、電極を穴の深い部分に配置し、従来のポンピング可能なグラウトによって埋め戻しを行うことができる。グラウトは、とくに高含有量のアルカリまたはその他のコンクリート反応物質を有している場合は、交換の必要がない。
【0022】
接続系もまた、複数の電極をフィーダ線等の供給導線に取り付けることが可能であり、穴の異なる深部への配電が可能になることを意味している。これには、鋼棒の水素ぜい化を誘発する陰極電流密度の上昇し過ぎを防ぐという優位点がある。その他、電極の環状配電系統および水平ストリングをスラブおよび下端チャンネルへ入れ込む、およびこれに類似する方法、等のオプションがある。こうしたストリングおよび環状配電系統はまた、地下配管または地下貯蔵用導管等の品目を保護する際に有効である。こうした電極アッセンブリは、現場での改善等の他の電気化学的技術、また一般的な電気化学的技術において有効である可能性がある。
【0023】
しかしながら、最も明白な優位点は、適切なシースを供給することによって陽極ガスをフィード線に沿って安全に誘導し逃がすことが可能であり、とくに電流密度が高い場合など、この理由で電気的接触の損失の可能性が減少することにある。
【0024】
本装置は、チタン亜酸化物に適用できるだけでなく、その要素をあらゆる管状/球状の、おそらくは多孔性構造(たとえば、電気的触媒を組み込んだチタン金属泡)に適用することができる。円筒部は、電気密度を適切に調整するため様々な寸法で製作することができる。本発明は、電流密度の調整の容易さ、炭素質の埋め戻しが消費されないこと、ガス生成物の除去能力、アルカリ性グラウトを導入する能力(後者の3項目は、高電流密度が許容される可能性を示している)、および陽極位置の柔軟さ、といった点でとくに有用である。
【0025】
その他、本発明には以下のような優位点がある。
1.チューブ内側における内部接続が接続器の陽極腐食を排除している。
2.組み立てが簡単で設計が柔軟である。
3.ガス除去用の装置を供給している。
4.接点が単純であり、1つのストリングに複数の陽極を可能にしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明をより良く理解するため、添付の図面を参照しながら例示によって本発明を記述していく。
【0027】
陽極は、多孔性材料で形成された壁を有する円筒部1を装備している。多孔性材料は、典型的には一般化学式がTiOxであるチタン亜酸化物、ただし、xは1.55ないし1.95、である。(こうした物質は、当方の特許、たとえばヨーロッパ特許出願公開第0047595公報およびヨーロッパ特許出願公開第0478152等の任意の工程によって製造することができる。但し、多孔性の誘導に配慮する。)
【0028】
円筒部は、通し穴3を包含するエンドキャップ2を備えている。円筒部1はまた、穴5を有するシリコンゴム製またはその類似物で製造された接続器4を装備している。接続器4は、一般にチタン金属製であるストリップ6を装備しており、これを円筒部1の内面に押しつけている。このストリップは一般に、円筒部を通って伸張し電源(図示されていない)に接続しているフィーダー線7にスポット溶接で接続されている。フィーダー線は、円筒部の外側で典型的にはプラスチック製のシース8内に収納されている。こうした円筒部の1つを他の円筒部と接続すれば、陽極の梯子を形成して(図4参照)各陽極を異なる補強域と連携させることができる。
【0029】
エンドプラグと接続器の配置は、図3の実施例が示すように変更が可能である。梯子アッセンブリでは、最終の単一陽極用として、エンドキャップを通し穴のないキャップに交換することができる。
【0030】
使用に際しては、図4が示すように、保護すべき補強Rに到達するまでコンクリートC、図示されていない、にドリルで穴Hを開ける。この穴の直径は、電極の円筒部より僅かに大きいだけである。穴の深さは、コンクリート構造における補強棒の寸法によって決定する。電極は、エンドキャップを所定位置に取り付け、その後穴に挿入して組み立てる。ついで陽極を直流電源に接続し、穴にグラウトGを充填する。化学反応によってガスが放出されると、ガスは円筒部内に逃げ込み、プラスチック製シース8を通って上昇し、大気中に出ることができる。このように、ガスはコンクリートに接触せず、したがって電極の送電力に影響をおよぼさない。図が示す通りに、陽極の垂直ストリングを形成する。
【0031】
本発明は、例示した実施例に限定されない。たとえば、エンドキャップは省略が可能であり、またフィーダ線を円筒部あるいは他の三次元形状の電極の内面に接続する方法も変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の1陽極に沿った縦断面図である。
【図2】陽極の一端からの見た図である。
【図3】本発明による他の陽極に沿った縦断面図である。
【図4】本発明に一致する方法によって処理されたコンクリート本体の断面図である。

Claims (7)

  1. 金属強化コンクリートの電気化学的処理に用いるための電極であって、多孔性材料からなり、外側表面および内側表面を有する、管状本体(1)と、
    使用時に該外側表面を電気化学的に活性にするための該内側表面および電流の供給部と電気的に接触する供給導体(7)
    とからなり、
    前記管状本体(1)が前記外側表面で発生したガスを前記電極から通す開放端を有してなる電極。
  2. 電気化学的処理のあいだに放出されるガスを運搬するために、前記管状本体(1)の端部を超えて延びるシース(8)を含んでなる請求項1記載の電極。
  3. 前記管状本体(1)が式TiOxで表される多孔性のチタン亜酸化物から形成され、該xが1.55ないし1.95である請求項1または2記載の電極。
  4. 前記供給導体(7)が前記電極を貫通して延びる請求項1、2または3記載の電極。
  5. 金属強化コンクリートの電気化学処理のための方法であって、
    コンクリートにドリルで穴を開けることにより補強部(R)を露出すること、
    多孔性材料から形成され、外側表面および内側表面を有する管状本体(1)を備えた電極を前記補強部(R)の選択された部分に隣接させ、前記穴の中に完全に位置づけ、
    管状本体(1)の内側表面と電流の供給部とを接続し、前記電気化学的処理のあいだに放出されるガスを該管状本体(1)に通すこと
    からなる方法。
  6. チューブ状のシース(8)を前記管状本体(1)の端部に接続することにより、放出されたガスが該シース(8)を通過して大気に到達することを可能にすることを含む請求項5記載の方法。
  7. 複数の電極を電気的に直列に配置することを含む請求項6記載の方法。
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