JP4035676B2 - ジメチルアミンの製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はジメチルアミンの製造法に関する。ジメチルアミンはジメチルホルアミドに代表される溶剤、ゴム製品、医薬品や界面活性剤等の原料として重要である。
【0002】
【従来の技術】
ジメチルアミンを工業的に製造する方法としてはメタノールとアンモニアから製造する方法が代表的であり、通常、シリカ−アルミナ等の非晶質固体酸触媒を用いて400℃前後の温度で気相反応によって製造されている。良く知られている様に非晶質固体酸触媒を用いた場合には、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンの三種類の熱力学的な平衡組成混合物が得られる。メチルアミン類の需要は殆どジメチルアミンに偏っているので、ジメチルアミン以外のメチルアミン類は循環して不均化するのが通常である。しかし、上記の様にトリメチルアミンの生成が多ければアンモニアやモノメチルアミン、或いはジメチルアミンとの複雑な共沸混合物の形成によって、プロセス循環量の増大や装置類の大型化に繋がり、エネルギー消費が大きく装置費用が嵩む等の欠点がある。この様な欠点を解決する為にジメチルアミンを選択的に得る試みが種々、検討されている。
【0003】
近年、ゼオライト触媒を用いる熱力学的な平衡組成を上回るジメチルアミンの製造方法が提案されている。例えば、ゼオライトA(特開昭56−69846号公報)、FU−1(特開昭54−48708号公報)、ZSM−5(USP4082805号公報)、フェリェライト及びエリオナイト(特開昭56−113747号公報)、ZK−5、Rho、シャバサイト及びエリオナイト(特開昭61−254256号公報)、モルデナイト(特開昭56−46846号公報、特開昭58−49340号公報、特開昭59−210050号公報、特開昭59−227841号公報)等やゼオライトのシリル化(特開平3−262540号公報)、液相シリル化処理(特開平8−193057号公報)、或いはキレート剤による修飾をを施したゼオライト(特開平8−225498号公報)を用いる方法等が挙げられる。しかし、これらの方法でも実用的には不充分であった。
その他、ジメチルアミンを製造する方法としてモノメチルアミンとメタノール、或いはモノメチルアミンの不均化反応による方法が知られているが何れの場合もトリメチルアミンの生成は避けられない。この問題点を改良したジメチルアミンを選択的に得るモノメチルアミンの不均化方法が提案されている。例えば、モルデナイト、フェリエライトやクリノプチロライト等のゼオライト類を用いる方法(特開昭56−46846号公報)である。しかし、この方法ではジメチルアミンの選択率を高くする事は出来るが、実用的な触媒寿命が望める300℃前後の温度ではモノメチルアミンの転化率が低く、ジメチルアミンの収率が低い為、実際のプロセスに適用するには難があるものであった。
メタノールとアンモニアからのジメチルアミンの選択的な製造法は技術的、経済的観点から見て非常に意義が大きく、この課題の解決が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は従来技術の欠点を克服したメタノールとアンモニアからのジメチルアミンの製造法を提供することである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等はジメチルアミンを選択的に製造する工業的に実施可能な方法を開発する為に鋭意検討を重ねた。その結果、メタノールとアンモニアの反応に於いてトリメチルアミンの生成を抑えて選択的にモノメチルアミンとジメチルアミンを与えるシリカ変性モレキュラーシーブ触媒が、驚くべき事に、モノメチルアミンの不均化反応に於いても高い活性と選択性を示し、従来に比べてジメチルアミンがより有利に製造出来ると言う予期せぬ事実を見いだし、本発明に到達した。
【0006】
即ち、本発明はメタノールとアンモニアとを主成分とする原料から触媒の存在下モノメチルアミンとジメチルアミンとを含むメチルアミン類を生成する工程1と、工程2で得られたモノメチルアミンを触媒の存在下不均化してジメチルアミンに転化する工程2とを含み、且つ工程1及び工程2の少なくとも一方に触媒としてシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブを用いる、メタノールとアンモニアからジメチルアミンを製造する方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の工程1及び工程2で使用可能な触媒として、有効細孔径が0.3から0.6nmの範囲にあるモレキュラーシーブを挙げることが出来る。例えばIUPACのゼオライトとその類縁化合物の構造コードで言えば、8員環構造のABW,AEI,AFX,APC,ATN,ATT,ATV,AWW,CHA,DDR,EAB,ERI,GIS,JBW,KFI,LEV,LTA,MER,MON,PAU,PHI,RHO,RTE,RTH,VNI,9員環構造であるCHI,LOV,RSN,VSV,10員環構造のDAC,EPI,FER,LAU,MEL,MFI,MFS,MTT,NES,TON,WEI,12員環構造のAFS,AFY,ATO,CAN,GME,MAZ,MEI,MTW,OFF,RON,VET等が挙げられ、こうした構造に該当する結晶質アルミノシリケートモレキュラーシーブ、及び結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブが好ましい。
【0008】
具体的には結晶質アルミノシリケートモレキュラーシーブとして、シャバサイト、モルデナイト、エリオナイト、フェリエライト、エピスティルバイト、クリノプチロライト、ポーリンガイト、フィッリップサイト、レビナイト、ゼオライト−A、rho、ZK−5、FU−1、及びZSM−5等が挙げられる。又、結晶質アルミノシリケートは酸強度や活性増加を目的としてイオン交換或いは金属置換等を施しても良く、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ga、Zn、Fe、Co、B、P、Ge等の原子を用いるのが相応しい。
【0009】
本発明に於ける、結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブとは、結晶質燐酸アルミニウム化合物のP、又はAl−P結合の一部を珪素で同形置換したものを指し、通常、SAPOと称される。具体的には、例えば、SAPO−5、11、17、18、31、34、35、37、40、41、42、44、47、或いは56等が挙げられ、更にはこれ等をLi、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Zn、Be、Mg、Ca、B、Ga、或いはGe等で同形置換した化合物が挙げられる。この中、SAPO−11、17、18、26、31、33、34、35、42、43、44、47及び56が特に好ましい。
【0010】
この様な結晶質モレキュラーシーブはアルミ化合物、シリカ源、必要に応じて燐酸水溶液を加え、鋳型剤としてアミンや第四級アンモニウム化合物等を用いて水熱合成する事で比較的容易に所望のものを得る事が出来る。ジメチルアミン触媒として適当な結晶質モレキュラーシーブを得る上で、特に好ましいのは鋳型剤に用いるアミン、或いは有機アンモニウム塩水溶液を20℃以下に冷却し、次いでアルミニウムアルコキシドを添加して加水分解し、均一な水酸化アルミニウムのコロイド又は水溶液を得、シリカ、若しくは珪素源、及び必要に応じて燐酸、又は燐源、Li、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Zn、Be、Mg、Ca、B、Ga、及びGe源を加えた混合物を水熱処理する手順に従う事である。
【0011】
上記、結晶性アルミノシリケート、及び結晶性シリコアルミノホスフェート類は本発明の工程1及び工程2の触媒として用いる事も出来るが、トリメチルアミンの生成を抑えるには不充分な場合が多い。ジメチルアミンを選択的に得るには触媒修飾が好適であり、Si、Ge、B、Ga等の III族及びIV族元素による変性が好ましい。中でもシリカ変性を行う事が特に好ましい。シリカ変性法としては、例えば、Si源をシリカ変性前の触媒に添加しその表面にケイ素原子を堆積、沈殿又は被覆する処理や、四塩化珪素を用いるCVDによる気相シリル化や有機珪素化合物を用いるシラン処理等がある。シラン処理に用いる有機珪素化合物として、例えば、トリエチルシラン、メチルフェニルシラン、フェニルシラン、ジフェニルシランやトリエチルシラン等のアルキル、若しくはアラルキルシラン類、メチルジクロロシラン、エチルメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシランやフェニルメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメトキシシラン、テトラメトキシシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエトキシメチルシランやアリロキシトリメチルシラン等のアルコキシシラン類、ジメチルアミノトリメチルシラン、N、N−ジメチルアミノジメチルシランやトリス(N、N−ジメチルアミノ)メチルシラン等のシリルアミン類、N、O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−トリメチルシリルアセトアミドやビストリメチルシリルウレア等のシリルアミド類が挙げられる。この中、安価なクロロシラン類やアルコキシシラン類が好ましく、特にアルコキシシラン類が好ましい。
【0012】
上記、シラン処理剤によるシリカ変性の際、あらかじめ250から750℃の温度において水蒸気加熱処理を施したり、酸やアミン、又はキレート剤等による浸漬処理や適当な調湿処理等を選択して適宜行うとより効果的である。シラン処理剤による処理条件を一概に規定する事は難しいが、例えば、室温から700℃の範囲の温度で、48時間以下の浸漬時間、圧力は0.1以下、或いは30MPa以下の気相、液相、或いは超臨界状態において実施する事が出来る。シラン処理を、より効果的なものとする為に例えば、アルコール類、エステル類炭化水素類等の適当な溶剤を用いて、浸漬処理、加熱振盪や超音波分散等を適宜実施するのが好ましい。シラン処理剤の濃度は、通常、1から30重量パーセントの範囲であれば充分であるが特に制限は無い。シラン処理後、濾別、洗浄、乾燥処理を施した後、好ましくは酸化雰囲気下に、温度400から750℃の範囲、2から24時間の条件で焼成する事で高い触媒活性とジメチルアミンへの選択性が賦与される。
【0013】
この様にして得られるシリカ変性結晶質アルミノシリケート類及びシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェート類のうち、本発明の工程1及び工程2で用いる触媒としてはシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェート類が特に好ましい。従って本発明においては工程1及び工程2の少なくとも一方にシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェート類を用いる。工程1及び工程2の両方にシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェート類を用いる態様が最も好ましい。シリカ変性触媒はそのまま、或いは適宜バインダーを加えて成型処理をする等してジメチルアミンの製造に好適に用いる事が出来る。
【0014】
本発明の実施に用いる装置は主に、工程1の実施に用いる主反応器と工程2の実施に用いる副反応器とからなる。工程1ではメタノールとアンモニアを主成分とする原料から触媒の存在下モノメチルアミンとジメチルアミンとを含むメチルアミン類を生成する。工程1の反応後、モノメチルアミンを含むアンモニア回収、トリメチルアミン回収、脱水、次いでモノメチルアミンとジメチルアミンの回収を行う。回収は通常蒸留により行われる。回収されたアンモニア及びトリメチルアミンは工程1の主反応器に循環される。回収されたモノメチルアミンは工程2の副反応器において不均化反応によりジメチルアミンに転化される。回収されたモノメチルアミンを主反応器に循環し、モノメチルアミンの不均化を行う事も出来るが、回収したモノメチルアミンを効率的にジメチルアミンに転化する為には、不均化反応用の副反応器を設ける事が好ましい。工程1及び工程2で生成されたジメチルアミンは目的物として得られる。工程1及び工程2の反応形態は気相固定床、或いは流動床に於ける流通方式での実施が特に好ましいがこれだけに限るものでは無い。これ等の主、副反応器は必要に応じて単独、或いは複数基を設けて実施しても良い。
【0015】
工程1に於ける原料はメタノールとアンモニアであり、これにジメチルエーテルやメチルアミン類を含む事もある。工程2に於ける原料はモノメチルアミンであり、これにメタノールとジメチルエーテル、或いは他のメチルアミン類を含む事もある。工程1及び工程2の何れの場合も200から400℃の温度範囲で行う事が好ましく、ジメチルアミンの選択率と触媒活性を考慮すると、250から350℃の範囲が特に好ましい。主反応器、及び副反応器に充填する触媒は同一であっても、異なっても特に問題は無い。触媒は、単一、若しくは複数の層に分けて充填使用する事が好ましく、反応熱の除去、或いは触媒層の温度上昇に伴い生じる副反応の抑制や触媒寿命の低下を避ける上で、複数の触媒充填層を設ける事や原料を分割して複数の触媒層に供給する事が特に好ましい。
【0016】
工程1及び工程2における反応圧力は、通常、0.1から10MPaが好ましく、特に0.5から2MPaの範囲が好ましい。工程1及び工程2における原料供給速度(GHSV 1/h)は、大きい程生産性の点で好ましいが、あまり大きくすると原料転化率が低下するので好ましくない。本発明では、GHSVは通常、毎時100から10000である事が好ましい。上記の反応条件によりによって主反応器出口ではトリメチルアミンを殆ど含まず、通常モノメチルアミン含有率20から40重量%、ジメチルアミン含有率は60から80重量%程度の組成のメチルアミンが得られる。従って、モノメチルアミンをジメチルアミンに効果的に転化可能な工程2を組み合わせる事でジメチルアミンの収率を更に改善することが出来る。
【0017】
本発明では不均化に工程1と同じ触媒を用いる事が可能であり、しかもモノメチルアミンの凡そ80%をジメチルアミンに転化可能な為、二段の反応を併せた全収率は最大で約90%に達する。既存の方法、即ち平衡型触媒を用いた場合の1段当たりの収率は約25%であり、ゼオライト触媒を用いた場合でも、高々、60%にしか過ぎない。従って、本発明はこれ等に比べて、非常に有利なジメチルアミンの製造手段を提供する。
本発明に依れば、従来の様にアンモニアやトリメチルアミンを主とするプロセス流体を大量に循環する必要が無くなり、しかも従来の技術に比べ高いジメチルアミン収率が得られる。
【0018】
【実施例】
次に本発明を、実施例、及び比較例をもって更に詳細に説明する。
以下の実施例、及び比較例に於けるジメチルアミンへの反応は原料タンク、原料供給ポンプ、不活性ガス導入用マスフローコントローラー、反応管(内径13φ、長さ300mm、SUS316L)、試料採取タンク、背圧弁、及びメチルアミン類の分離精製装置等を備えた加圧循環流通反応装置を用いて行った。又、必要に応じメタノールとアンモニアの反応を行う主反応器と並列に配置した副反応器を使用した。生成物は反応が定常状態に達して2から4時間後に試料を約1時間かけて採取しキャピラリーカラムとしてPora PLOT Aminesを用いてFID検知方式のガスクロマトグラフで分析し、メチルアミン類の組成分布を求めた。更に、必要に応じてプロセス流体の物質収支を求めた。
【0019】
触媒調製例1
シリカ変性SAPO−34:
35%−水酸化テトラエチルアンモニウム( 151.47g)と純水(84.2g)の混合物を0℃に冷却し、アルミニウムイソプロポキシド(81.7g)を3分かけて添加し、15分間高速攪拌を行った。次に、シリカゾル( 12g)を加え、5分間均一になる高速攪拌した。更に、85%燐酸( 46.1g)を加えて、同様に5分間攪拌し、引き続き擂潰処理を1時間行った。得られた混合物をオートクレーブ中、200℃で4時間加熱した。生成物を遠心分離、水洗操作を4回繰り返した後、110℃で一晩乾燥した。更に空気中、600℃で4時間焼成し白色の結晶粉末( 40g)を得た。この粉末はXRD分析の結果、SAPO−34の回折パターンと一致した。又、結晶化度は高く、粒子が均一であり良く揃ったものであった。
この結晶を水分含有量10重量%に調整した。次いで、13%テトラエトキシシラン(TEOS)の乾燥トルエン溶液中に16時間浸漬した。浸漬後、結晶を濾別し、120℃で4時間減圧乾燥した。その後、更に空気中、600℃で3時間焼成を行いシリカ変性SAPO−34(触媒1)、37.9gを得た。
【0020】
触媒調製例2
シリカ変性CoSAPO−34:
金属源として、酢酸コバルト( 2.5g)を添加した以外は、触媒調製例1と同様にしてコバルトを含むSAPO−34を得、更にシラン処理を施してシリカ変性された触媒2を得た。
【0021】
触媒調製例3
シリカ変性TiSAPO−34:
触媒調製例2に於いてTi源としてTiイソプロポキシドを用いた以外は同様にしてTiSAPO−34を得、更にシラン処理を施してシリカ変性された触媒3を得た。
【0022】
触媒調製例4
SAPO−34にシリカゲルを珪素として5wt%添加した後、乾燥し、更に50℃で焼成した後、打錠成形して触媒4を得た。
【0023】
触媒調製例5
モルデナイト(東ソー、HSZ-630HOA、Si/Al2=16)を、7重量%のTEOS乾燥エタノール溶液に浸漬し、60℃で4時間超音波分散処理を施した。次に、遠心離と洗浄を4回行った後、120℃で2時間減圧乾燥し、更に空気中、600℃で3時間焼成し、シリカ変性モルデナイト(触媒5)を得た。
【0024】
触媒調製例6
公知の文献(特開昭59−227841号等)に記載の方法に準じて水蒸気処理したNaモルデナイト触媒を調製した(触媒6)。
【0025】
実施例1
(主反応:メタノールとアンモニアの反応)
触媒1を反応管に7.5g(容積 13.5ml)充填し、原料(メタノール:アンモニア=1:1)混合物を毎時20g、空間速度(GHSV: 1/h)1500で供給し、圧力2MPa温度320℃で反応を行った。反応成績はメタノール転化率が99.4%、モノ、ジ、及びトリメチルアミンの選択率は其々、35、63、2重量%であった。
(不均化:モノメチルアミンの不均化反応)
触媒1を2.8g(容積5ml)用いて、モノメチルアミンを原料として、空間速度(GHSV: 1/h)500で供給し、圧力2MPa、温度320℃で反応を行った。反応成績はメタノール転化率が80%、ジ、及びトリメチルアミンの選択率は、其々、99、1重量%であった。
【0026】
実施例2
実施例1に於いて、触媒2を用いた以外は同様にして反応を行った。反応成績は表1に記載した。
【0027】
実施例3
実施例1に於いて、触媒3を用いた以外は同様に反応を行った。反応成績は表1に記載した。
【0028】
実施例4
実施例1に於いて、触媒4を用いた以外は同様に反応を行った。反応成績は表1に記載した。
【0029】
実施例5
主反応器に触媒1を20ml、副反応器にも同様に触媒1を4ml充填して、何れの反応器においても、圧力2MPa、温度320℃に於いて反応を行った。反応工程の概略を図1に示す。主反応器にはメタノールとアンモニア、及び蒸留系より循環されたメチルアミン類を含むアンモニアを空間速度(GHSV: 1/h)1580で供給した。蒸留系で分離回収したモノメチルアミンをSV470で、副反応器へ供給した。プロセス流体の物質収支を表2に纏めて記載した。この時のジメチルアミンの生成量は毎時9.1gであった。
【0030】
比較例1
触媒調製例1に準じて、シリカ変性を施さないSAPO−34を調製し、これを触媒に用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。反応成績は表1に記載した。
【0031】
比較例2
シリカ変性を施さないCoSAPO−34を調製し、これを触媒に用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。反応成績は表1に記載した。
【0032】
比較例3
シリカ変性を施さないTiSAPO−34を調製し、これを触媒に用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。反応成績は表1に記載した。
【0033】
比較例4
触媒5を用い、温度320℃、圧力2MPa、空間速度(GHSV: 1/h)900で主反応を実施した。同様に触媒4を用いて空間速度(GHSV: 1/h)500で不均化反応を行った。反応成績は表1に記載した。
【0034】
比較例5
主反応器に触媒6を20ml、副反応器にはシリカ−アルミナ触媒(日東化学株式会社製 NH−H3N)を4ml充填して、何れの反応器においても、圧力2MPa、温度320℃に於いて反応を行った。反応工程の概略を図1に示す。主反応器にはメタノールとアンモニア、及び蒸留系より循環されたメチルアミン類を含むアンモニアとを空間速度(GHSV: 1/h)1550で供給した。蒸留系で分離回収したモノメチルアミンとトリメチルアミンを、SV800で副反応器へ供給した。プロセス流体の物質収支を表2に纏めて記載した。この時のジメチルアミンの生成量は毎時6.0gであった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
表1に例示した様に、本発明に依れば従来の製造法に比べて有利にジメチルアミンを製造可能である事が分かる。更に、表2に記載の実施例1と比較例5を対比すれば、従来のプロセスに比べてジメチルアミンの生産量の増加、及び同一生産量で比較した場合のプロセス循環量の低減に著しい効果がある事が明白である。
【0037】
【発明の効果】
ジメチルアミンの大きな生産性の向上が可能であり、触媒の選択性や活性が高い為、未反応原料の回収操作が不要であり、蒸留負荷が大きく軽減される等の利点が生じる。その結果、製造工程の簡略化、機器数の低減、機器類の小型化や生産性の向上等が可能である。従って、本発明は工業的に優れ、価格競争力の高いジメチルアミン製造法であり、その意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5及び比較例5で用いた反応工程の概略
【符号の説明】
1; 流路(主反応器への原料供給)
2; 流路
3; 流路(副反応器への原料供給)
4; 流路
5; 流路(トリメチルアミン)
6; 流路(ジメチルアミン)
Claims (7)
- メタノールとアンモニアとからジメチルアミンを製造する方法において、該方法がメタノールとアンモニアを主成分とする原料から触媒の存在下モノメチルアミンとジメチルアミンとを含むメチルアミン類を生成する工程1と、工程1で得られたモノメチルアミンを触媒の存在下不均化してジメチルアミンに転化する工程2とを含み、且つ工程1及び工程2の少なくとも一方に触媒としてシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブを用いることを特徴とするジメチルアミンの製造法。
- 工程1及び工程2のいずれにおいても触媒としてシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブを用いる請求項1記載の製造法。
- 触媒であるシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブの有効細孔径が0.3から0.6nmの範囲にある請求項1記載の製造法。
- 触媒であるシリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブがSAPO−11、17、18、26、31、33、34、35、42、43、44、47及び56の中から選択された少なくとも一種類を主な構成成分とするものである請求項2記載の製造法。
- シリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブがH型、或いはH型の一部がLi、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Zn、Be、Mg、Ca、B、Ga、及びGeの中から選択された原子によって置換されたものである請求項1記載の方法。
- シリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブが、シリカ変性する前の該表面にケイ素原子を堆積、沈殿又は被覆してシリカ変性されたものである請求項1記載の方法。
- シリカ変性結晶質シリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブがアルコキシシラン、或いはハロゲン化シランより選ばれる少なくとも1種類を用いてシリカ変性されたものである請求項1記載の方法。
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