JP4034988B2 - 圧力検出装置用パッケージ及び圧力検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力を検出するための圧力検出装置に使用される圧力検出装置用パッケージ及びこれを用いた圧力検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧力を検出するための圧力検出装置として静電容量型の圧力検出装置が知られている。この静電容量型の圧力検出装置は、例えば図5に断面図で示すように、セラミックス材料や樹脂材料から成る配線基板41上に、静電容量型の感圧素子42と、パッケージ48に収容された演算用の半導体素子49とを備えている。感圧素子42は、例えばセラミックス材料等の電気絶縁材料から成り、上面中央部に静電容量形成用の一方の電極43が被着された凹部を有する絶縁基体44と、この絶縁基体44の上面に絶縁基体44との間に密閉空間を形成するようにして可撓な状態で接合され、下面に静電容量形成用の他方の電極45が被着された絶縁板46と、各静電容量形成用の電極43、45をそれぞれ外部に電気的に接続するための外部リード端子47とから構成されており、外部の圧力に応じて絶縁板46が撓むことにより各静電容量形成用の電極43、45間に形成される静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化を演算用の半導体素子49により演算処理することにより外部の圧力を検出することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の圧力検出装置によると、感圧素子42と半導体素子49とを配線基板41上に個別に実装していることから、圧力検出装置が大型化してしまうとともに圧力検出用の電極43、45と半導体素子49との間の配線が長いものとなり、この長い配線間に不要な静電容量が形成されるため感度が低いという問題点を有していた。
【0004】
そこで、本願出願人は、先に特願2001−128213において、一方の主面に半導体素子が搭載される搭載部を有するセラミック基体と、このセラミック基体の表面および内部に配設され、半導体素子の各電極が電気的に接続される複数のメタライズ配線導体と、このセラミック基体の他方の主面との間に密閉空間を形成するようにセラミック枠体を介して可撓な状態でセラミック基体に焼結一体化されたセラミック板と、密閉空間内のセラミック基体表面に被着され、メタライズ配線導体の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第一メタライズ電極と、セラミック板の内側面に第一メタライズ電極と対向するように被着され、メタライズ配線導体の他の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第二メタライズ電極とを具備して成る圧力検出装置用パッケージを提案した。
【0005】
この圧力検出装置用パッケージによると、一方の主面に半導体素子が搭載される搭載部を有するセラミック基体の他方の主面に静電容量形成用の第一メタライズ電極を設けるとともに、この第一メタライズ電極に対向する静電容量形成用の第二メタライズ電極を内側面に有するセラミック板を、セラミック基体の他方の主面との間に密閉空間を形成するようにしてセラミック枠体を介して可撓な状態で接合させたことから、半導体素子を収容するパッケージに感圧素子が一体に形成され、その結果、圧力検出装置を小型とすることができるとともに圧力検出用の電極と半導体素子とを接続する配線を短いものとして、これらの配線間に発生する不要な静電容量を小さなものとすることができる。
【0006】
なお、この特願2001−128213において提案した圧力検出装置用パッケージは、セラミック板の外側主面にセラミック枠体と対応する形状の補助セラミック枠体が積層されており、セラミックグリーンシート積層法を採用して製作されている。具体的には、セラミック基体用の平板状のセラミックグリーンシートと密閉空間を形成するための貫通穴を有するセラミック枠体用のセラミックグリーンシートとセラミック板用の平板状のセラミックグリーンシートと前記貫通穴と同様の貫通穴を有する補助セラミック枠体用のセラミックグリーンシートとを準備するとともにこれらのセラミックグリーンシートにメタライズ配線導体および第一メタライズ電極および第二メタライズ電極用のメタライズペーストを印刷塗布し、しかる後、これらのメタライズペーストが印刷塗布されたセラミックグリーンシートを上下に積層圧着してパッケージ用の生セラミック成形体を形成し、最後にこのパッケージ用の生セラミック成形体を高温で焼成することによって製作されていた。このとき、セラミック板の外側主面にセラミック枠体に対応する形状の補助セラミック枠体を設けたことから、パッケージとなる各セラミックグリーンシートを積層する際にセラミック板用のセラミックグリーンシートにはセラミック枠体用のセラミックグリーンシートと補助セラミック枠体用のセラミックグリーンシートとにより上下から略均等に圧力が印加されるため、セラミック板用のセラミックグリーンシートに積層の圧力による撓みが発生することはなく、それによりセラミック板に反りが生じるのを防止していた。
【0007】
しかしながら、この特願2001−128213において提案した圧力検出装置用パッケージによれば、セラミック枠体と補助セラミック枠体とが実質的に同じ大きさであることから、外部の圧力を受けてセラミック板が撓んだ際に、セラミック板の外側主面におけるたわみの起点とこの外側主面に積層された補助セラミック枠体の内周とが一致することとなるため、撓みによって発生する応力がセラミック板の外側主面と補助セラミック枠体の内周側面との角部に大きく集中して作用することとなる。そして、このような圧力検出装置用パッケージを例えば振動等の機械的衝撃が印加される環境下で使用した場合に、セラミック板に大きな外部圧力が印加された状態で振動等の機械的な衝撃が長期間にわたり印加されると、セラミック板の外側主面と補助セラミック枠体の内周側面との角部からセラミック板にクラックが発生してしまい、その結果、そのようなクラックが発生すると、外部の圧力を長期間にわたり正確に検出することが困難となるという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、セラミック板に大きな反りが発生することがないとともに、振動等の機械的衝撃が印加される環境下で大きな外部圧力を受けながら長期間使用したとしてもセラミック板にクラックが発生しにくく、小型でかつ感度が高く、外部の圧力を長期間にわたり正確に検出することが可能な圧力検出装置用パッケージを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧力検出装置用パッケージは、一方の主面に半導体素子が搭載される搭載部を有するセラミック基体と、該セラミック基体の表面および内部に配設されており、前記半導体素子の各電極が電気的に接続される複数のメタライズ配線導体と、前記セラミック基体の他方の主面に該他方の主面との間に密閉空間を形成するようにセラミック枠体を介して可撓な状態で焼結一体化されたセラミック板と、前記密閉空間内のセラミック基体表面に被着され、前記メタライズ配線導体の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第一メタライズ電極と、前記セラミック板の内側主面に前記第一メタライズ電極と対向するように被着され、前記メタライズ配線導体の他の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第二メタライズ電極とを具備して成る圧力検出装置用パッケージであって、前記セラミック板は、その外側主面に前記セラミック枠体の内径よりも大きな内径を有する補助セラミック枠体が積層されているとともに、前記補助セラミック枠体の内側の側面が、前記セラミック枠体の内側の側面よりも外側に位置し、且つ前記メタライズ配線導体の他の一つの一部が、前記セラミック枠体の内部を高さ方向に延在されて、その端部で前記第二メタライズ電極に接続されていることを特徴とする。
本発明の圧力検出装置は、上述の圧力検出装置用パッケージと、前記セラミック基体の一方の主面に搭載された半導体素子と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の圧力検出装置用パッケージによれば、セラミック板は、その外側主面にセラミック枠体の内径よりも大きな内径を有する補助セラミック枠体が積層されていることから、パッケージとなる各セラミックグリーンシートを積層する際にセラミック板用のセラミックグリーンシートにはセラミック枠体用のセラミックグリーンシートと補助セラミック枠体用のセラミックグリーンシートとにより上下から圧力が印加されるため、セラミック板用のセラミックグリーンシートに撓みが発生することが有効に防止される。また、補助セラミック枠体の内周がセラミック板の撓みの起点よりも外側に位置することとなり、撓みによって発生する応力がセラミック板の外側主面と補助セラミック枠体の内周側面との角部に大きく集中して作用することがなく、振動等の機械的な衝撃が印加される環境下で長期間使用したとしてもセラミック板にクラックが発生することを有効に防止することができる。したがって、セラミック基体とセラミック板との間に所定間隔の密閉空間を有する小型、高感度で外部の圧力を長期間にわたり正確に検出することが可能な圧力検出装置用パッケージを提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面を基に詳細に説明する。図1は、本発明の圧力検出装置用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図であり、図中、1はセラミック基体、2はセラミック枠体、3はセラミック板、4は補助セラミック枠体、5は半導体素子である。
【0012】
セラミック基体1は、下面中央部に半導体素子5を収容するための凹部1aを有する酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラス−セラミックス等のセラミックス材料から成る略四角形状の積層体であり、複数のセラミックグリーンシートを積層するとともにそれを焼成することによって形成されている。
【0013】
セラミック基体1は、その下面中央部に形成された凹部1aの底面中央部が半導体素子5が搭載される搭載部1bとなっており、この搭載部1bに半導体素子5を搭載するとともに凹部1a内に例えばエポキシ樹脂等の樹脂製封止材6を充填することにより半導体素子5が封止される。なお、この例では半導体素子5は樹脂製封止材6を凹部1a内に充填することにより封止されるが、半導体素子5はセラミック基体1の下面に金属やセラミックスから成る蓋体を凹部1aを塞ぐように接合させることにより封止されてもよい。
【0014】
また、搭載部1bには半導体素子5の各電極に接続される複数のメタライズ配線導体7が導出しており、このメタライズ配線導体7と半導体素子5の各電極とを半田バンプ8等の導電性材料から成る導電性接合部材を介して接合することにより半導体素子5の各電極と各メタライズ配線導体7とが電気的に接続されるとともに半導体素子5が搭載部1bに固定される。なお、この例では、半導体素子5の電極とメタライズ配線導体7とは半田バンプ8を介して接続されるが、半導体素子5の電極とメタライズ配線導体7とはボンディングワイヤ等の他の種類の電気的接続手段により接続されてもよい。
【0015】
メタライズ配線導体7は、半導体素子5の各電極を外部電気回路および後述する第一メタライズ電極9、第二メタライズ電極10に電気的に接続するための導電路として機能し、その一部はセラミック基体1の外周下面に導出し、別の一部は第一メタライズ電極9、第二メタライズ電極10に電気的に接続されている。そして、半導体素子5の各電極をこれらのメタライズ配線導体7に導電性接合材を介して電気的に接続するとともに半導体素子5を樹脂製封止材6で封止した後、メタライズ配線導体7の絶縁基体1外周下面に導出した部位を外部電気回路基板の配線導体に半田等の導電性接合材を介して接合することにより、内部に収容する半導体素子5が外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0016】
このようなメタライズ配線導体7は、タングステンやモリブデン、銅、銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤等を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してセラミック基体1用のセラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布し、これを焼成することによってセラミック基体1の内部および表面に所定のパターンに形成される。なお、メタライズ配線導体7の露出表面には、メタライズ配線導体7が酸化腐食するのを防止するとともにメタライズ配線導体7と半田等の導電性接合材との接合を良好なものとするために、通常であれば、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層と厚みが0.1〜3μm程度の金めっき層とが順次被着されている。
【0017】
また、セラミック基体1の上面中央部には静電容量形成用の第一メタライズ電極9が被着されている。この第一メタライズ電極9は、後述するセラミック板3の第二メタライズ電極10とともに感圧素子用の静電容量を形成するためのものであり、例えば略円形のパターンに形成されている。そして、この第一メタライズ電極9にはメタライズ配線導体7の一つ7aが接続されており、それによりこのメタライズ配線導体7aに半導体素子5の電極を半田バンプ8等の導電性接合材を介して接続すると半導体素子5の電極と第一メタライズ電極9とが電気的に接続されるようになっている。
【0018】
このような第一メタライズ電極9は、タングステンやモリブデン、銅、銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してセラミック基体1用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これを焼成することによってセラミック基体1の上面中央部に所定のパターンに形成される。
【0019】
また、セラミック基体1の上面には第一メタライズ電極9を取り囲むようにして厚みが0.01〜5mm程度のセラミック枠体2が焼結一体化されている。セラミック枠体2は、セラミック基体1と同様のセラミックス材料から成り、セラミック基体1とセラミック板3との間に所定の間隔の密閉空間Sを設けるためのスペーサ部材として機能し、外形がセラミック基体1と同様の略四角形状であり、その中央部にはセラミック基体1とセラミック板3との間に密閉空間Sを形成するための円形の貫通穴2aが形成されている。なお、セラミック枠体2は、その厚みが0.01mm未満では、セラミック板3が圧力を受けて撓んだ際に第一メタライズ電極9と第二メタライズ電極10とが接触してショートしてしまう危険性が大きくなり、他方、5mmを超えると、第一メタライズ電極9と第二メタライズ電極10との間隔が広いものとなりすぎて内蔵する感圧素子の感度が低いものとなってしまう。したがって、セラミック枠体2の厚みは0.01〜5mmの範囲であることが好ましい。このようなセラミック枠体2は、貫通穴を有するセラミック枠体2用のセラミックグリーンシートをセラミック基体1用のセラミックグリーンシートに積層するとともにこれを焼成することによってセラミック基体1の上面に第一メタライズ電極9を取り囲むようにして焼結一体化される。
【0020】
また、セラミック枠体2の上面には略平板状のセラミック板3がセラミック基板1との間に密閉空間Sを形成するようにして可撓な状態で焼結一体化されている。セラミック板3は、セラミック基体1と同様のセラミックス材料から成る厚みが0.01〜5mmの略四角の平板であり、外部の圧力に応じてセラミック基体1側に撓むいわゆる圧力検出用のダイアフラムとして機能する。
【0021】
なお、セラミック板3は、その厚みが0.01mm未満では、その機械的強度が小さいものとなってしまうため、これに大きな外部圧力が印加された場合に破壊されてしまう危険性が大きなものとなり、他方、5mmを超えると、小さな圧力では撓みにくくなり、圧力検出用のダイアフラムとしては不適となってしまう。したがって、セラミック板3の厚みは0.01〜5mmの範囲が好ましい。
【0022】
このようなセラミック板3は、セラミック板3用の平板状のセラミックグリーンシートを後述する補助セラミック枠体4用のセラミックグリーンシートとともにセラミック枠体2用のセラミックグリーンシート上に積層し、これを焼成することによってセラミック枠体2上にセラミック基体1との間に密閉空間Sを形成するようにして可撓な状態で焼結一体化される。
【0023】
また、セラミック板3の下面には静電容量形成用の略円形の第二メタライズ電極10が第一メタライズ電極9と対向するようにして被着されている。この第二メタライズ電極10は、前述の第一メタライズ電極9とともに感圧素子用の静電容量を形成するための電極として機能する。そして、第二メタライズ電極10にはメタライズ配線導体7の他の一つ7bが接続されており、それによりメタライズ配線導体7bに半導体素子5の電極を半田バンプ8等の導電性接合部材を介して接続すると半導体素子5の電極と第二メタライズ電極10とが電気的に接続されるようになっている。
【0024】
このとき、第一メタライズ電極9と第二メタライズ電極10とは、セラミック基体1とセラミック板3との間に形成された密閉空間Sを挟んで対向しており、これらの間には、第一メタライズ電極9や第二メタライズ電極10の面積および第一メタライズ電極9と第二メタライズ電極10との間隔に応じて所定の静電容量が形成される。そして、セラミック板3の上面に外部の圧力が印加されると、その圧力に応じてセラミック板3がセラミック基体1側に撓んで第一メタライズ電極9と第二メタライズ電極10との間隔が変わり、それにより第一メタライズ電極9と第二メタライズ電極10との間の静電容量が変化するので、外部の圧力の変化を静電容量の変化として感知する感圧素子として機能する。そして、この静電容量の変化を凹部1a内に収容した半導体素子5にメタライズ配線導体7a、7bを介して伝達し、これを半導体素子5で演算処理することによって外部の圧力の大きさを知ることができる。
【0025】
このように、本発明の圧力検出装置用パッケージによれば、一方の主面に半導体素子5が搭載されるセラミック基体1の他方の主面に静電容量形成用の第一メタライズ電極9を設けるとともに、この第一メタライズ電極9に対向する静電容量形成用の第二メタライズ電極10を内側面に有するセラミック板3をセラミック基体1の他方の主面との間に密閉空間Sを形成するように可撓な状態でセラミック基体1と焼結一体化することにより接合させたことから、半導体素子5を収容する容器と感圧素子とが一体となり、その結果、圧力検出装置を小型化することができる。また、静電容量形成用の第一メタライズ電極9および第二メタライズ電極10を、セラミック基体1に設けたメタライズ配線導体7a、7bを介して半導体素子5に接続することから、第一メタライズ電極9および第二メタライズ電極10を短い距離で半導体素子5に接続することができ、その結果、これらのメタライズ配線導体7a、7b間に発生する不要な静電容量を小さなものとして感度の高い圧力検出装置を提供することができる。
【0026】
なお、第二メタライズ電極10は、タングステンやモリブデン、銅、銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してセラミック板3用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これをセラミック板3用のセラミックグリーンシートとともに焼成することによってセラミック板3の下面に第一メタライズ電極9と対向する所定のパターンに形成される。
【0027】
さらに、本発明においては、セラミック板3の上面にセラミック枠体2の内径よりも大きな内径を有する補助セラミック枠体4が焼結一体化されている。補助セラミック枠体4は、セラミック板3と同様のセラミックス材料から成り、セラミック枠体2用のセラミックグリーンシートの貫通穴よりも大きな貫通穴を有する補助セラミック枠体4用のセラミックグリーンシートをセラミック板3用のセラミックグリーンシートとともにセラミック枠体2用のセラミックグリーンシート上に重ねて積層し、これを焼成することによってセラミック板3の上面に焼結一体化される。このとき、セラミック板3用のセラミックグリーンシートにはセラミック枠体2用のセラミックグリーンシートと補助セラミック枠体4用のセラミックグリーンシートとにより上下から積層の圧力が印加されるため、撓みが発生することはない。これによりセラミック板3に大きな反りが発生することがなくなる。したがって、本発明の圧力検出装置用パッケージによれば、セラミック板3に大きな反りが発生することがなく、セラミック基体1とセラミック板3との間に所定間隔の密閉空間Sを有する小型で高感度の圧力検出装置用パッケージを提供することができる。
【0028】
また、補助セラミック枠体4は、その内径がセラミック枠体2の内径よりも大きいことから、外部の圧力を受けてセラミック板3が撓んだ際に、補助セラミック枠体4の内周がセラミック板3の上面における撓みの起点よりも外側に位置することとなり、撓みによって発生する応力がセラミック板3の外側主面と補助セラミック枠体4の内周側面との角部に大きく集中して作用することがなく、振動等の機械的な衝撃が印加される環境下で長期間使用したとしてもセラミック板3にクラックが発生することを有効に防止することができる。
【0029】
なお、補助セラミック枠体4は、その内径がセラミック枠体2の内径よりも0.1mm未満大きい場合、外部の圧力を受けてセラミック板3が撓んだ際に、セラミック板3の上面における撓みの起点と補助セラミック枠体4の内周とが近接しすぎてしまい、そのため撓みによって発生する応力がセラミック板3の上面と補助セラミック枠体4の内周側面との間の角部に大きく集中して作用し、そのような圧力検出装置用パッケージを例えば振動等の機械的衝撃が印加される環境下で使用した場合に、セラミック板3に大きな外部圧力が印加された状態で振動等の機械的な衝撃が長期間にわたり印加されると、セラミック板3の上面と補助セラミック枠体4の内周側面との角部からセラミック板3にクラックが発生してしまう危険性が大きくなり、他方、0.5mmを超えて大きい場合、セラミック枠体2用のセラミックグリーンシート上にセラミック板3用のセラミックグリーンシートと補助セラミック枠体4用のセラミックグリーンシートとを重ねて積層する際に積層の圧力がセラミック板3用のセラミックグリーンシートの外周部に上下から不均等に印加されてセラミック板3に大きな反りが発生してしまう危険性が大きくなる。したがって、補助セラミック枠体4の内径は、セラミック枠体2の内径よりも0.1〜0.5mm大きいことが好ましい。
【0030】
さらに、補助セラミック枠体4は、その厚みが0.1mm未満では、補助セラミック枠体4用のセラミックグリーンシートをセラミック板3用のセラミックグリーンシートとともにセラミック枠体2用のセラミックグリーンシート上に重ねて積層する際にセラミック板3用のセラミックグリーンシートに撓みが発生することを有効に防止することが困難となる傾向にあり、他方、0.5mmを超えるとパッケージが不要に厚いものとなってしまう。したがって、補助セラミック枠体4の厚みは0.1〜0.5mmの範囲が好ましい。
【0031】
かくして、上述の圧力検出装置用パッケージによれば、搭載部1bに半導体素子5を搭載するとともに半導体素子5の各電極とメタライズ配線導体7とを電気的に接続し、しかる後、半導体素子5を封止することによって小型でかつ感度が高く、外部の圧力を正確に検出することが可能な圧力検出装置となる。
【0032】
次に上述の圧力検出装置用パッケージを製造する製造方法について複数個を同時に製作する場合を例に説明する。
【0033】
まず、図2に断面図で示すように、セラミック基体1用のセラミックグリーンシート21a、21b、21cと、セラミック枠体2用のセラミックグリーンシート22と、セラミック板3用のセラミックグリーンシート23と、補助セラミック枠体4用のセラミックグリーンシート24とを準備する。これらのセラミックグリーンシート21a、21b、21c、22、23、24にはパッケージとなる領域が複数配列されており、図中ではその一部を示している。
【0034】
セラミック基体1用のセラミックグリーンシート21aは凹部1aを形成するための貫通穴Aおよびメタライズ配線導体7を下面に導出させるための貫通孔Bを有しており、セラミックグリーンシート21b、21cは、それぞれにメタライズ配線導体7の導出路となる貫通孔C、Dを有しており略平板状である。また、セラミック枠体2用のセラミックグリーンシート22は、セラミック基体1とセラミック板3との間に密閉空間Sを形成するための貫通穴Eおよびメタライズ配線導体7の導出路となる貫通穴Fを有しており、セラミック板用のセラミックグリーンシート23は略平板状である。さらに、補助セラミック枠体4用のセラミックグリーンシート24は、貫通孔Eより大きい貫通穴Gを有している。
【0035】
このようなセラミックグリーンシート21a、21b、21c、22、23、24は、例えばセラミック基体1、セラミック枠体2、セラミック板3、補助セラミック枠体4が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤を添加混合して泥漿状となすとともにこれを従来周知のドクタブレード法を採用してシート状に成形した後、適当な打ち抜き加工や切断加工を施すことによって形成される。
【0036】
次に、図3に断面図で示すように、セラミックグリーンシート21a、21b、21c、22、23にメタライズ配線導体7用のメタライズペースト27および第一メタライズ電極9用のメタライズペースト29ならびに第二メタライズ電極10用のメタライズペースト30をそれぞれ所定のパターンに印刷塗布する。
【0037】
次に、図4(a)に断面図で示すように、セラミックグリーンシート21a、21b、21c、22、23、24を上下に重ねて熱圧着して積層した後、図4(b)に断面図で示すように、これを切断してパッケージ用の生セラミック成形体32を得る。なお、セラミックグリーンシート21a、21b、21c、22、23、24を上下に重ねて熱圧着する場合、これらのセラミックグリーンシート21a、21b、21c、22、23、24の全てを同時に重ねて熱圧着しても良いし、例えば予めセラミックグリーンシート21aと21bと21cと22とを積層しておくとともにセラミックグリーンシート23と24とを積層しておき、次にこれら予め積層されたセラミックグリーンシート21a、21b、21c、22と23、24とを熱圧着して積層してもよい。このとき、セラミック板3用のセラミックグリーンシート23は、セラミック枠体2用のセラミックグリーンシート22と補助セラミック枠体4用のセラミックグリーンシート24とで挟まれた状態で積層されることから、その外周部にセラミックグリーンシート22および24により上下から同時に積層の圧力が印加され、そのため積層の圧力によってその中央部に撓みが発生することはない。
【0038】
そして最後に、パッケージ用の生セラミック成形体32を高温で焼成することによって図1に示す本発明の圧力検出装置用パッケージが完成する。
【0039】
なお、本発明は、上述の実施の形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であることはいうまでもない。
【0040】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の圧力検出装置用パッケージによれば、セラミック板は、その外側主面にセラミック枠体の内径よりも大きな内径を有する補助セラミック枠体が積層されていることから、パッケージとなる各セラミックグリーンシートを積層する際にセラミック板用のセラミックグリーンシートにはセラミック枠体用のセラミックグリーンシートと補助セラミック枠体用のセラミックグリーンシートとにより上下から圧力が印加されるため、セラミック板用のセラミックグリーンシートに撓みが発生することが有効に防止される。また、補助セラミック枠体の内周がセラミック板の撓みの起点よりも外側に位置することとなり、撓みによって発生する応力がセラミック板の外側主面と補助セラミック枠体の内周側面との角部に大きく集中して作用することがなく、振動等の機械的な衝撃が印加される環境下で長期間使用したとしてもセラミック板にクラックが発生することを有効に防止することができる。したがって、セラミック基体とセラミック板との間に所定間隔の密閉空間を有する小型、高感度で外部の圧力を長期間にわたり正確に検出することが可能な圧力検出装置用パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧力検出装置用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す圧力検出装置用パッケージの製造方法を説明するための部分分解断面図である。
【図3】図1に示す圧力検出装置用パッケージの製造方法を説明するための部分分解断面図である。
【図4】(a)、(b)は図1に示す圧力検出装置用パッケージの製造方法を説明するための断面図である。
【図5】従来の圧力検出装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・セラミック基体
2・・・・・・・・セラミック枠体
3・・・・・・・・セラミック板
4・・・・・・・・補助セラミック枠体
5・・・・・・・・半導体素子
7・・・・・・・・メタライズ配線導体
9・・・・・・・・第一メタライズ電極
10・・・・・・・第二メタライズ電極
11・・・・・・・補助セラミック層
S・・・・・・・・密閉空間
Claims (2)
- 一方の主面に半導体素子が搭載される搭載部を有するセラミック基体と、該セラミック基体の表面および内部に配設されており、前記半導体素子の各電極が電気的に接続される複数のメタライズ配線導体と、前記セラミック基体の他方の主面に該他方の主面との間に密閉空間を形成するようにセラミック枠体を介して可撓な状態で焼結一体化されたセラミック板と、前記密閉空間内のセラミック基体表面に被着され、前記メタライズ配線導体の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第一メタライズ電極と、前記セラミック板の内側主面に前記第一メタライズ電極と対向するように被着され、前記メタライズ配線導体の他の一つに電気的に接続された静電容量形成用の第二メタライズ電極とを具備して成る圧力検出装置用パッケージであって、前記セラミック板は、その外側主面に前記セラミック枠体の内径よりも大きな内径を有する補助セラミック枠体が積層されているとともに、前記補助セラミック枠体の内側の側面が、前記セラミック枠体の内側の側面よりも外側に位置し、且つ前記メタライズ配線導体の他の一つの一部が、前記セラミック枠体の内部を高さ方向に延在されて、その端部で前記第二メタライズ電極に接続されていることを特徴とする圧力検出装置用パッケージ。
- 請求項1に記載の圧力検出装置用パッケージと、前記セラミック基体の一方の主面に搭載された半導体素子と、を備えることを特徴とする圧力検出装置。
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