JP4034631B2 - セグメント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセグメント間をワンタッチで相互に接合するための継手を備えたセグメントに係わり、特に、シールド工法によりトンネルを構築する際に使用するセグメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
シールド工法では、外殻(シールド)でトンネル前面の土砂を防ぎながら掘削すると同時に外殻を前方に押出し、これと並行して外殻内の後方でセグメントをリング状に組み立て、該リング状セグメントをトンネル軸方向に順次連続的に建て込むことによりトンネル内壁(ライニング)を形成する。外殻を押し出すには、数百トンから数千トンという大きな力がいるが、セグメントがその反力受けとなり、ジャッキで外殻を前方に送り出す。
【0003】
図13は構築中のシールドトンネルの一部破断斜視図であり、1はシールド機、1aは円筒状鋼製の外殻、1bは掘削機のカッタヘッド、2はセグメントリング、2aはセグメント、3はシールドジャッキである。構築中のトンネルの先頭位置にはシールド機1が配置しており、シールド機は筒状に形成された外殼1aを有している。外殼1aの前部には地盤を堀進するためのカッタヘッド1bがあり、外殼1aの後部内周には複数のシールドジャッキ3が装着されている。それぞれのジャッキは選択的にセグメントの最前端に反力を求めることができる形で装着されている。外殼1a内の後部空間4にはセグメント組立て用のエレクタ(図示せず)が、セグメント2aを搬送装置(図示せず)から受け取ってこれを把持し、回転位置決め自在な形で設けられている。シールド外殼1aの後ろ側にはセグメントリング2からなるトンネルが、筒状に構築形成されている。シールドトンネルは、それぞれが弧状に形成されたセグメント2aを周方向に接続してセグメントリング2を形成し、該セグメントリング2をシールド機1の堀進に伴ってトンネル軸方向に既に建て込んであるセグメントリングに継ぎ足すことにより構成される。
【0004】
すなわち、所定幅をなす弧状のセグメント(セグメントピース)2aをリング状に組み立てゝ1つのセグメントリング2を形成するもので、シールド堀進が1リング分進む毎に、既に建て込んだセグメントリングのトンネル進行方向に新たなセグメントリングを継ぎ足していく形で、セグメントの建て込み行う。従って、シールド機の外殻1aは、最新のセグメントリングの前端に反力を求める形で前進し、シールド機1が前進したぶんだけ、その後ろにセグメントリングからなるトンネルが構築されていく。
【0005】
セグメント2aは材質から、コンクリートセグメント、鋼セグメント、鋼コンクリート合成セグメントなどがある。セグメントとしてコンクリートセグメントを使用する場合、隣接するセグメント同士を締結するには、従来、ボルトボックスといわれる箱状の窪み及び接合用のボルト穴をセグメントに設けておき、これらを利用してボルト締結を行うセグメント継手が一般的であった(特開平10-153095号)。
しかし、ボルト締結は作業が面倒となる問題があり、そこで、最近ではセグメント組立ての機械化を図るために、既に建て込まれたセグメントに新たなセグメントを押し当てて、シールド機1のジャッキ3を利用して推進反力により締結出来るワンタッチ式のセグメント間継手による接合方法が知られている(特許3213814号参照)
【0006】
図14は従来のワンタッチ式セグメント継手部の断面拡大図(接合前)である。2a1,2a2は隣接するセグメントリングを構成するセグメントである。この従来のワンタッチ式の継手金物は、接合すべきセグメントの一方のセグメント2a1側に雄金物5を突出固着し、他方のセグメント2a2側に円筒状の雌金物6を、凹部7を形成するようにセグメント2a2のコンクリート8に埋め込む形で取り付け、機械による押し込み力で雄雌の金物5,6を締結させるものである。すなわち、トンネル軸方向に隣接するセグメント2a1,2a2相互の接合すべき面に、雄金物5と雌金物6をそれぞれ埋設し、雌金物6の内径を雄金物5の外径より僅かに小さく形成しておき、シールド機1のジャッキ3の力を利用して雄金物5を雌金物6に押し込んで、既に建て込んだセグメント2a2に新たに建て込むセグメント2a1を接合する。
【0007】
このリング間継手の雄金物5と雌金物6の係合に際して、双方の位置及び軸心の向きに若干のずれが発生するが、ポリエチレンフォーム9が該ずれを吸収する。このため、セグメントのコンクリートを破壊することなく両者が正しく締結する。また、雄金物5の外面には粉体塗装が施されているので、雌金物6の接合面に対し円滑に嵌合し、両者が緊密に密着する。そして、雄、雌金物の圧着締結による摩擦が生じても金属表面の耐食性は確保される。なお、雌金物6において、キャップ10は雌金物6の中空部7に入り込むコンクリート8′の高さhが既定値となるように調整するための治具であり、除去されず雌金物6に残存するもの、ネジ部11はセグメント製作時に型枠に雌金物6を固定する治具を連結するものである。
【0008】
図15はセグメント製造時に治具20,30を用いて雄金物5及び雌金物6をそれぞれ型枠40に取り付けた状態を示す断面図、図16は雌金物6を型枠40に取り付けた状態を示す一部拡大図である。
図15の取り付け状態においてコンクリートCNCをコンクリート打設空間41に打設すればセグメントを製造することができる。すなわち、上記継手構造を有するセグメントを製造するには、図15に示すように型枠40のトンネル軸方向一方の端面に所定数の雄金物5を、他方に同数の雌金物6を、該雄金物と雌金物の位置及び軸心の向きを一致させた形でセットする。このとき、位置決め/固定用治具20の位置決めボルト21をナット22、キャップ23を介して雄金物5の先端部にねじ込んで型枠40にセットする。また、雌金物6のネジ部11に、位置決め/固定用治具30の位置決めボルト31をナット32、押えプレート33を介してねじ込んで型枠40にセットする。以上により、型枠40に雄金物5、雌金物6をセットした状態で図15に矢印で示すようにコンクリートCNCを型枠40のコンクリート打設空間41に打設すればセグメントを製造することができる。
【特許文献1】
特開平10-153095号
【特許文献2】
特許第3213814号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種のセグメントにおける継手金物には、内部に所定量の充填材(好ましくはコンクリート)を充填、つまり、雌金物6においてはセグメントに埋め込まれた側から所定長さh(図14)分だけ、雄金物5においては内部の全てに隙間なく充填し、継手金物のセグメントコンクリートに対するアンカーリングと強度の確保を図っている。
【0010】
雌金物6の内部に充填材を充填するためには、図14〜図16に示すように特殊な充填治具(キャップ10)を用いて、雌金物6を型枠40に固定し、この部分にセグメント製造時にコンクリートが入り込むようにする。しかし、セグメントのコンクリートは、流動性の低い高品位コンクリートのため、この様な凹んだ部分へのコンクリート8′の密実充填は極めて難しい。
一方、雄金物5の内部にコンクリート8′を充填するのは更に難しい。このため、型枠40内へのコンクリート打設工程とは別個に、図17の(1)に示すように、あらかじめ雄金物5の内部にモルタルMTLを入れておき、該モルタルをボルト5aで詰め込んで、(2)に示すようにそのままボルト5aを残す形でモルタルMTLを硬化させてモルタル入り雄金物を製作し、これを型枠40にセットしてセグメントを製造する。
以上より、雌金物では、特殊な充填治具(キャップ10)を必要とすると共に該キャップ内をコンクリートで確実に密実充填することが難しい問題がある。また、雄金物では、型枠40内へのコンクリート打設工程とは別個に複雑な製造工程をを必要とする問題がある。
【0011】
以上より、特殊な充填治具や製造工程を必要とせず、この種の継手金物内部への密実充填を図りつつ、継手金物をセグメントに取り付けることが出来れば、製造手間が減り、品質維持も容易となる。
したがって、本発明の目的は、充填治具構造を簡素化し、また、複雑な製造工程を必要としないようにして製造工程の簡素化を可能にすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はセグメントの接合すべき端面に突出、固定される雄金物を、他のセグメントの接合すべき端面に埋設された雌金物の開口中空部に押し込んで、セグメント同士を接合するセグメントに関するものである。
第1の発明のセグメントにおいて、雄金物は、▲1▼雌金物の筒状中空部に押し込まれる一端が開口する円筒状中空部材と、▲2▼その開口部を塞ぐ底蓋部を備え、▲3▼セグメント製作時に型枠に雄金物を固定するための治具を連結するネジ部を前記底蓋部に設け、▲4▼前記中空部材の前記底蓋部と反対側に前記治具を挿通自在にすると共に、前記中空部材の内部に充填材を注入するための貫通穴を設け、▲5▼中空部材の一部をセグメント本体に埋設した後に前記貫通孔から充填部材を充填して構成される。
【0013】
第2の発明のセグメントにおいて、雄金物は、▲1▼一端が開口する円筒中空状の外装部材と、▲2▼外装部材の円筒中空部に収納される充填部材と、▲3▼該充填部材の基部側に固定されたアンカー部を備え、▲4▼充填部材先端部に突起部を設けると共に、該突起部にセグメント製作時に型枠に雄金物を固定するための治具を連結するネジ部を設け、▲5▼前記外装部材の先端部に前記突起を貫通させる貫通孔を設け、▲6▼充填部材の前記突起部が外装部材の貫通穴に嵌合する形で外装部材の中に充填部材を収納して構成される。
【0014】
第3の発明のセグメントにおいて、雄金物は、▲1▼雌金物の筒状中空部に押し込まれる一端が開口する円筒状中空部材、▲2▼円筒状中空部材の開口部を塞ぐ形で一体に設けられた支持部、▲3▼前記円筒状中空部材の中空部に充填された充填部材、▲4▼支持部に外方に向けて取り付けられた複数の羽根、▲5▼支持部に軸方向に延設されたアンカーを備え、▲6▼前記中空部材の先端部に貫通穴を設け、充填部材の先端に、セグメント製作時に型枠に雄金物を固定するための治具を連結するネジ部を設けて構成される。
【0017】
第1の発明によれば、セグメント製造に際して必要であった特殊な治具を簡素化することが出来る。また、セグメントコンクリートの打設作業時に、雄金物及び雌金物内部に打設コンクリートを導入する必要がなくなり、製造が簡略となり、しかも、確実に金物内に充填材を充填できるため品質保持が容易となる。
第2の発明によれば、金物内部への充填材の注入はセグメントコンクリートに埋設した状態で行わず、別途手段により実施できるため簡単な方法で確実に充填可能となる。
第3の発明によれば、アンカー筋と羽根からなるアンカー部により雄金物、雌金物を強固にセグメントに埋設することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(A)第1実施例
第1実施例は、セグメントコンクリートに埋め込まれる側の端部を底蓋で塞いだ雄金物、雌金物を用いたセグメントである。
図1はワンタッチ式の継手構造を備えた本発明のセグメントの接合方法説明図、図2は本発明の第1実施例のセグメント断面図である。
図1に示すように、各セグメント2a1,2a2のトンネル軸方向及びトンネル周方向における4つの側面(継ぎ手面)311〜314には継手部が形成される。このうち、周方向に隣接するセグメントの継手部には公知のクイックジョイントが設けられるが、本発明と関係がないため図示及び説明を省略する。トンネル軸方向に隣接するセグメント2a1,2a2の継手部にはワンタッチ式の継手が用いられる。すなわち、セグメント2a1,2a2の継ぎ手面311,312に複数(図では3組)のワンタッチ式の継手部が設けられており、一方のセグメント2a1の継手部における雄金物321〜323(32を付す場合がある)を他方のセグメント2a2の継手部における雌金物331〜333(33を付す場合がある)に圧着締結させることにより両者は接合する。
【0019】
セグメント(セグメントピース)2a1,2a2は図2における紙面と交差方向に湾曲する弧状に形成されたコンクリート製のセグメント本体35を有しており、このセグメント本体35のトンネル軸方向における一方の継手面312に雄金物321〜323、他方の継ぎ手面311には雌金物331〜333が形成されている。つまり、1ケのセグメントのトンネル軸方向両端面には図示例においては3箇所の雄部321〜323と3箇所の雌部331〜333が設けられている。
雄金物32は、図2に示すように、金属製のパイプ部材により中空に形成された本体部(中空部材)32aを有し、本体部の一方の端部は丸頭状で所定径の貫通穴32b(図5(B)参照)が形成されている。他方の端部はラッパ状に拡径しており、この拡径端部を塞ぐ形で皿型の底蓋32cが一体に取り付けられている。底蓋の内面側(本体の中空部に位置する側)には、セグメント製作時に型枠に雄金物を固定するための治具を連結するネジ部(ナット)32dが、その軸心を前記貫通穴32bと一致させた形で溶接されている。又、本体部32aの中空部にはセグメント本体に埋設された後に前記貫通孔32bから充填部材32eが充填される。
【0020】
雌金物33は、金属製のパイプ部材により中空に形成され、一端が拡径された本体部33aと、その拡径端部を塞ぐ形で一体に取り付けられた皿型の底蓋33bを有しており、底蓋33bの内面側には、セグメント製作時に型枠に雌金物を固定するための治具を連結するネジ部(ナット)33cが溶接されている。本体部33aの外周にはポリエチレンフォーム33dが、トンネル軸方向に隣接するセグメントの雄金物との係合に際して、双方の位置及び軸心の向きに若干のずれが発生したときにそのずれを吸収することが出来るように、また、雄金物32が押し込まれた雌金物33が若干径方向に膨らむ形で変形する際に緩衝機能を発揮するように、所定の厚さで周設されている。
【0021】
上記継手構造を有するセグメントを製造するには、図3に示すように型枠50のトンネル軸方向一方の端面に所定数の雄金物32を、他方に同数の雌金物33を、該雄金物と雌金物の位置及び軸心の向きを一致させた形でセットする。このとき、図4、図5(A)に示すように、雄金物32に突起部保護兼用位置決めキャップ63を被せ、これをセグメント型枠50の所定位置に形成した穴部分に嵌めこみ、位置決め用のボルト61をナット62、キャップ63の貫通穴を介して雄金物32の貫通穴に挿通させて、雄金物32のナット32dにねじ混み、型枠50に位置決め固定する。
また、図4、図6(A)に示すように、雌金物33のネジ33cに、位置決め/固定用治具70の位置決めボルト71を、ナット72、押えプレート73を介してネジ込んで型枠50にセットする。以上により、型枠50に雄金物32、雌金物33を正確且つ容易に位置決めセットすることが出来る。
【0022】
型枠50に全雄金物32及び全雌金物33を取り付けた状態で図3に矢印で示すようにコンクリートを型枠50のコンクリート打設空間51に打設し、コンクリートが硬化したら、位置決め用ボルト61とナット32dの結合を解いて治具60を型枠50から取り外す。同様に、位置決め用ボルト71とナット33cの結合を解いて治具70を型枠50から取り外す。
ついで、図5(B)に示すように、ボルト61を外した後の貫通穴32bから雄金物内部にモルタル、樹脂等の充填材32eを注入する。これにより雄金物32の内部を隙間なく充填材料で満たすことが簡単に出来る。また、図6(B)に示すように必要に応じて充填材を所定高さまで注入すれば、セグメント用のコンクリートを雌金物内部に導入する必要はなく、任意の所定長さ分だけ充填材を密に充填することが可能となる。なお、雌金物33内部への充填材注入は、主として雌金物のセグメントコンクリートに対する定着強度を確保するためにあるので、拡径部や底蓋33bの構成により十分なる定着強度が確保されている場合には、充填材注入を省くことも可能である。
【0023】
以上のようにして形成したセグメントをシールドトンネルに建て込む際は、図2に示すように新たに建て込むセグメント2a1の雄金物32を建て込み済みのセグメント2a2の雌金物33に、シールドジャッキの押し込み力を利用して押し込む形で両者を締結していく。この際、雌金物33の内径は雄金物32の外形より僅かに小さく形成しているため、雄金物32の挿入によって、隣接するセグメント間を確実且つ堅固に接合一体化することができる。
【0024】
第1実施例のセグメントによれば、セグメント製造に際して必要であった特殊な治具を簡素化することが出来る。また、セグメントコンクリートの打設作業時に、雄金物及び雌金物内部に打設コンクリートを導入する必要がなく、製造が簡略となり、品質保持が容易となる。
【0025】
(B)第2実施例
第2実施例は、アンカー部を有する雌金物、雄金物を用いたセグメントである。図7は第2実施例のセグメントの断面図であり、雌金物、雄金物の構造が異なる点を除けば図2の第1実施例と構成、製造方法、接合方法は同じである。図8、図9は雌金物、雄金物の製造方法説明図である。
雄金物32は、図7,図9に示すように、裾広がりに形成したアンカー部32f付きの充填部材32gと、充填部材に被せる外装部32hにより構成されている。充填部材32gには突起部32iが設けられており、突起部には雌ねじ部32jが設けられている。なお、充填部材32gは金属、樹脂等から形成する場合は直接ねじ部を穿設することが可能であるが、充填部材をコンクリート等により形成した場合には、雌ネジを有するプラグを突起物に埋設してねじ部としても良い。一方、外装部32hは一端が丸頭状、他端が開口する中空形状をなす所定厚さの金属冠状のものであり、丸頭部分には、充填部材の突起部を挿通させる貫通穴32kが設けられている。また、外装部32hには樹脂注入用の小さい穴32mが貫通形成されている。雄金物として用いるときには、図9の(1)、(2)に示すように、充填部材32gに外装部32hを被せた状態にして、樹脂注入穴32mから接着剤を注入し、充填部材と外装部の一体化を図る。
【0026】
この雄金物32を用いれば、図10に示すように、第1実施例と同様に治具60を用いて簡単に型枠50に位置決め固定することができる。すなわち、雄金物32に突起部保護兼用位置決めキャップ63を被せ、これをセグメント型枠50の所定位置に形成した穴部分に嵌めこみ、位置決め用のボルト61をワッシャー62、キャップ63の貫通穴を介して雄金物32の貫通穴に挿通させて、雄金物32の雌ねじ部32jにねじ混むことにより、雄金物32を型枠50に位置決め固定することができる。また、雄金物32はアンカー機能を有しているため、型枠50にセットした状態で型枠内のコンクリート打設空間にコンクリートを打設するだけで強固に埋設でき、精度の高いセグメントを製造することが可能となる。また、第2実施例の雄金物は、第1実施例のようにセグメント製造時に雄金物内部に充填材を導入乃至注入する作業が不要となる。
【0027】
雌金物33は、図8の(1)、(2)に示すように、裾広がりに形成したアンカー部33fにねじ部33gを形成し、これをパイプ状部材33hと摩擦圧接により一体化する。そして、パイプ状部材とアンカー部を一体化後、パイプ状部材33hの周面にポリエチレンフォーム33iを周設する。
この雌金物33は、位置決めボルト接続用のねじ部33gが設けられているため、第1実施例と同様に治具70を用いて図11に示すように型枠50に位置決めセットできる。また、雌金物33はアンカー機能を有しているため、型枠50にセットした状態で型枠内の打設空間にコンクリートを打設するだけで強固に埋設でき、雌金物内部に充填材を導入乃至注入する必要なく、精度の高いセグメントを製造することが可能となる。
第2実施例によれば、第1実施例の効果に加えて、金物内部への充填材の注入はセグメントコンクリートに埋設した状態で行わず、別途手段により実施できるため簡単な方法で確実に充填可能となる。
【0028】
(C)第3実施例
第3実施例はアンカー部を備えた雄金物、雌金物を用いたセグメントであり、特に、実施例では埋め込み深さを確保するためのアンカー筋と、埋め込み径を確保するための羽根の両方を備えている。
図12は第3実施例のセグメントの断面図であり、雌金物、雄金物の構造が異なる点を除けば、構成、製造方法、接合方法は図2の第1実施例と同じである。
第3実施例の雄金物32は、内部にモルタルMLTが充填された本体部32pと、本体部に一体に設けられた支持部32qと、支持部に本体部から軸方向に延設された形で設けられた異形鉄筋等からなるアンカー筋32r、支持部に径方向に放射状に突出するように設けられた何本かの鋼棒からなる羽根32sにより構成されている。なお、雄金物32の突出端部にはねじ部32tが設けられ、ここに位置決め用ボルトを取り付けることにより、雄金物32を型枠へ位置決め固定する。従って、この雄金物32はセグメントに対する十分な定着強度と、あらかじめ内部に充填されたモルタルMLTによりセグメント接合時に雄金物が座屈しないだけの十分な強度が確保されており、雄金物内部に充填材を導入乃至注入する作業は不要である。
【0029】
雌金物33は、パイプ状部材33pと支持部33qを摩擦圧接により一体化された構成になっており、支持部33qには、雄金物と同様のアンカー筋33r及び羽根33sからなるアンカー部が設けられている。従って、この雌金物33はアンカー部によってセグメントコンクリートに対する十分な定着強度が確保されるため、雌金物内部に充填材を導入乃至注入する作業は必要なく、精度の高いセグメントを製造することが可能となる。
第3実施例によれば、金物内部への充填材の注入は不要であり、又、アンカー筋と羽根からなるアンカー部により雄金物、雌金物を強固にセグメントに埋設することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上本発明によれば、セグメント製造に際して必要であった特殊な治具を簡素化することが出来る。
また、本発明によれば、セグメントコンクリートの打設作業時に、雄金物及び雌金物内部に打設コンクリートを導入する必要がなくなり、製造が簡略となり、しかも、確実に金物内に充填材を充填できるため品質保持が容易となる。
また、本発明によれば、金物内部への充填材の注入はセグメントコンクリートに埋設した状態で行わず、別途手段により実施できるため簡単な方法で確実に充填可能となる。
また、本発明によれば、アンカー筋と羽根からなるアンカー部により雄金物、雌金物を強固にセグメントに埋設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワンタッチ式の継手構造を備えた本発明のセグメントの接合方法説明図である。
【図2】本発明の第1実施例のセグメント断面図である。
【図3】セグメントの製造方法の第1の説明図である。
【図4】セグメントの製造方法の第2の説明図である。
【図5】雄金物を型枠にセットしたときの断面図である。
【図6】雌金物を型枠にセットしたときの断面図である。
【図7】第2実施例のセグメントの断面図である。
【図8】第2実施例の雌金物の製造方法説明図である。
【図9】第2実施例の雄金物の製造方法説明図である。
【図10】第2実施例の雄金物を型枠にセットしたときの断面図である。
【図11】 2実施例の雌金物を型枠にセットしたときの断面図である。
【図12】第3実施例のセグメントの断面図である。
【図13】構築中のシールドトンネルの一部破断斜視図である。
【図14】従来のワンタッチ式セグメント継手部の断面拡大図(接合前)である。
【図15】セグメント製造時に治具を用いて雄金物及び雌金物をそれぞれ型枠に取り付けた状態を示す断面図である。
【図16】雌金物を型枠に取り付けた状態を示す一部拡大図である。
【図17】雄金物内部への充填作業手順説明図である。
【符号の説明】
2a1,2a2 セグメント
32 雄金物
32a 本体部
32b 貫通穴
32c 底蓋
32d ネジ部(ナット)
32e 充填部材
33 雌金物
33a 本体部
33b 底蓋
33c ネジ部(ナット)
33d ポリエチレンフォーム
35 セグメント本体

Claims (3)

  1. セグメントの接合すべき端面に突出、固定される雄金物を、他のセグメントの接合すべき端面に埋設された雌金物の開口中空部に押し込んで、セグメント同士を接合するセグメントにおいて、
    前記雄金物は、
    前記雌金物の筒状中空部に押し込まれる一端が開口する円筒状中空部材と、
    その開口部を塞ぐ底蓋部を備え、
    セグメント製作時に型枠に雄金物を固定するための治具を連結するネジ部を前記底蓋部に設け、
    前記中空部材の前記底蓋部と反対側に前記治具を挿通自在にすると共に、前記中空部材の内部に充填材を注入するための貫通穴を設け、
    中空部材の一部をセグメント本体に埋設した後に前記貫通孔から充填部材を充填してなるセグメント。
  2. セグメントの接合すべき端面に突出、固定される雄金物を、他のセグメントの接合すべき端面に埋設された雌金物の開口中空部に押し込んで、セグメント同士を接合するセグメントにおいて、
    前記雄金物は、
    一端が開口する円筒中空状の外装部材と、
    外装部材の円筒中空部に収納される充填部材と、
    該充填部材の基部側に固定されたアンカー部を備え、
    充填部材先端部に突起部を設けると共に、該突起部にセグメント製作時に型枠に雄金物を固定するための治具を連結するネジ部を設け、
    前記外装部材の先端部に前記突起を貫通させる貫通孔を設け、
    充填部材の前記突起部が外装部材の貫通穴に嵌合する形で外装部材の中に充填部材を収納してなるセグメント。
  3. セグメントの接合すべき端面に突出、固定される雄金物を、他のセグメントの接合すべき端面に埋設された雌金物の開口中空部に押し込んで、セグメント同士を接合するセグメントにおいて、
    前記雄金物は、
    前記雌金物の筒状中空部に押し込まれる一端が開口する円筒状中空部材、
    円筒状中空部材の開口部を塞ぐ形で一体に設けられた支持部、
    前記円筒状中空部材の中空部に充填された充填部材、
    支持部に外方に向けて取り付けられた複数の羽根、
    支持部に軸方向に延設されたアンカー、
    を備え、前記中空部材の先端部に貫通穴を設け、充填部材の先端に、セグメント製作時に型枠に雄金物を固定するための治具を連結するネジ部を設けてなるセグメント。
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