JP4033656B2 - 塗料用艶消し剤及びそれを用いた塗料組成物 - Google Patents

塗料用艶消し剤及びそれを用いた塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料用艶消し剤及びそれを用いた塗料組成物に関するものである。なお、本発明における塗料組成物は、艶消し、3分艶、半艶、7分艶等、艶有り以外の各艶段階の塗膜を形成可能な塗料組成物を包含する。
【0002】
【従来技術】
被塗装物面に対して、美観や保護を目的として、塗料が用いられるが、特に建築物、構造物、車両、看板、電気製品やOA機器、日用品等の分野においては、その外観の良さから艶消し塗料が採用される場合が多い。このような艶消し塗料には、一般に艶消し剤が用いられており、用いられる艶消し剤は、無機系及び有機系のものに分類される。
【0003】
無機系艶消し剤としては、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられるが、これらは、比較的粒度分布が広く、仕上りにばらつき、ムラが生じやすい。
【0004】
これに対し、有機系艶消し剤は、比較的粒度分布が狭く調整できるため、仕上りにばらつき、ムラが生じ難く、好ましく用いられている。
【0005】
有機系艶消し剤としては、一般に懸濁重合によって得られる樹脂粒子等が挙げられる。このような樹脂粒子を得る方法として、例えば、特開平10−7704号(従来技術1)では、不飽和モノマーと該不飽和モノマーの重合体と相分離可能な化合物とからなる混合物を懸濁重合させ、多孔質樹脂粒子を得る方法が開示されている。しかしながら、このような多孔質樹脂粒子の合成にはトルエン、キシレン等の有機溶剤を用いており、艶消し剤として用いる場合、トルエン、キシレン等の有機溶剤を除去し、分離・乾燥させ、樹脂粒子を粉末化して用いるという、多くの工程を必要とする。
【0006】
また、特開2000−313720号(従来技術2)では、懸濁重合法によって得られた樹脂粒子の水分散体に、親水性有機溶剤を添加し、塗料と混合して艶消し塗料を得る方法が開示されている。このような方法では、有機溶剤の除去、分離・乾燥といった工程を必要としないが、懸濁重合法によって得られた樹脂粒子水分散体に、後から親水性有機溶剤を添加して安定にしなければならず、必ずしも簡便な方法とはいえない。
【0007】
このように、懸濁重合により得られた樹脂粒子の分散体を艶消し剤として用いる場合、従来技術1のような有機溶剤を除去、分離、乾燥したり、また従来技術2のような後から親水性有機溶剤を使用するといった煩雑な工程が必要とされる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、重合により得られる樹脂粒子の分散体を、煩雑な工程を必要とせず、直接塗料に使用することができる塗料用艶消し剤及びそれを用いた塗料組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、特定の蒸発速度と特定の水に対する溶解度を有する有機溶剤を用いた重合によって得られる樹脂粒子の分散体が、直接塗料に使用可能であり、さらに、該有機溶剤が造膜助剤としての機能も有し、塗膜形成の上で非常に有利であることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1. (A)酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合の相対蒸発速度が7以下、水に対する溶解度が6重量%以下である有機溶剤、(B)少なくとも1種以上の架橋性モノマーを含むモノマー、(C)ラジカル重合開始剤及び(D)安定剤を含有する混合液を水に混合し、懸濁重合して得られる樹脂粒子の分散体からなる塗料用艶消し剤。
2.(B)が(b−1)架橋性モノマー及び(b−2)非架橋性モノマーからなり、(b−1):(b−2)が重量比で100:0〜25:75であり、(B):(A)が重量比で95:5〜5:95であることを特徴とする1.に記載の塗料用艶消し剤。
3.(A)の溶解度パラメータが7.5〜15であることを特徴とする1.または2.に記載の塗料用艶消し剤。
4.樹脂粒子の比表面積が2m/g以上である1.から3.のいずれかに記載の塗料用艶消し剤。
5.1.から4.のいずれかに記載の塗料用艶消し剤を用いた塗料組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の塗料用艶消し剤は、(A)酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合の相対蒸発速度が38以下、水に対する溶解度が10重量%以下である有機溶剤(以下「(A)成分」ともいう。)、(B)(以下「(B)成分」ともいう。)少なくとも1種以上の(b−1)架橋性モノマー(以下「(b−1)成分」ともいう。)を含むモノマー、(C)ラジカル重合開始剤(以下「(C)成分」ともいう。)、及び(D)安定剤(以下「(D)成分」ともいう。)とを含有する混合物を重合して得られる樹脂粒子の分散体である。
【0012】
なお、本発明における相対蒸発速度とは、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合の相対値であり、本発明では単に「相対蒸発速度」ともいう。
【0013】
本発明の(A)成分は、重合の際には樹脂粒子の多孔質化に寄与するものであり、塗膜形成時には造膜助剤としても有効に作用する成分である。(A)成分は、相対蒸発速度が38以下、水に対する溶解度が10重量%以下であれば特に限定されないが、好ましくは、相対蒸発速度が0.001以上10以下、水に対する溶解度が0.001重量%以上5重量%以下であることが望ましい。
相対蒸発速度が38を超えると、水よりも速く蒸発し、造膜助剤として効果的に働かない。
また、水に対する溶解度が10重量%を超えると、多孔質化剤として充分機能しない。
【0014】
また、本発明の(A)成分は、溶解度パラメータが7.5以上15以下、さらには8以上12以下であることが望ましい。溶解度パラメータが規定範囲から外れると、造膜助剤として効果的に働かない。
【0015】
本発明の(A)成分は、上記条件を満たしていれば特に限定されないが、例えば、ベンジルアルコール等のアルキルアルコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール2エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0016】
特に、(A)成分に、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上を用いた場合、多孔質化剤及び造膜助剤として効率良く作用し、好ましい。
【0017】
本発明の(B)成分は、少なくとも1種以上の(b−1)成分を含んでいれば特に限定されないが、(b−1)成分及び(b−2)非架橋性モノマー(以下「(b−2)成分」ともいう。)から構成されていることが好ましい。
【0018】
また、(b−1)成分と(b−2)成分が重量比で100:0〜25:75であることが望ましい。このような範囲であることにより、安定な多孔質粒子が得られる。
【0019】
本発明の(b−1)成分は、1分子中に2つ以上の不飽和結合を有する架橋性モノマーである。架橋性モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート等の多価アクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル基含有架橋性モノマー、エチレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールの不飽和カルボン酸エステル、プロピレングリコールジアリルエーテル等のアルキレングリコールの不飽和アルコールエーテル、ジビニルベンゼン等の多価ビニルベンゼン等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0020】
本発明の(b−2)成分は、非架橋性モノマーであれば特に限定されず用いることができる。非架橋性モノマーしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1−18のアルキルエステル等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチルなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2−18のアルコキシアルキルエステル、アリルアクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2−8のアルケニルエステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1−8のヒドロキシアルキルエステル、アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシエチルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数3−18のアルケニルオキシアルキルエステル、また、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、アリルアルコール、フマール酸、マレイン酸等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0021】
さらに、(b−2)成分のうちアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の酸モノマーが(B)成分に対して、0.1〜10重量%含有されていることが望ましい。このような規定範囲であれば、貯蔵安定性が良好となる。
【0022】
本発明の(C)成分は、ラジカル重合開始剤であれば特に限定されないが、アゾ化合物、過酸化物等が一般に用いられる。
【0023】
アゾ化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス−2−シクロプロピルプロピオニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1'−アゾビス−シクリヘキサン−1−カーボニトリル、ジメチル2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオネート等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0024】
過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルパーオキサイド、メチルシクリヘキサノンパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジt−クミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0025】
(C)成分は、塗料用艶消し剤の全体量に対し、0.01重量%から1.0重量%であることが望ましい。
【0026】
本発明の(D)成分は、重合時の粒子安定剤として寄与するものであれば、特に限定されることはないが、さらに塗料中において分散安定剤としても効果を発揮することが可能な界面活性剤、高分子安定剤等が好適に用いられる。
【0027】
界面活性剤としては、例えば、アニオン性、カチオン性、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩類、ラウリル硫酸エステルナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類、イソオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリルスルホン酸塩類ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0028】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリンラウレート、アンモニウムハイドロオキサイド、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0029】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのソルビタンエステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0030】
高分子安定剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン等が挙げられ、これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
【0031】
(D)成分は、塗料用艶消し剤の全体量に対し、0.001重量%から10重量%であることが望ましい。
【0032】
本発明の塗料用艶消し剤となる樹脂粒子の分散体は、通常の重合法により得ることができるが、上記(A)〜(D)成分を水媒体に混合し、懸濁重合することが好ましい。重合温度、重合時間は用いる(B)成分、(C)成分により適宜設定すればよい。
【0033】
本発明では、(B)成分と(A)成分の重量比が95:5〜5:95であることが望ましく、さらには、80:20〜20:80であることがより望ましい。このような範囲を外れると、十分多孔質な樹脂粒子の分散体を得ることができず、艶消し剤として劣る傾向にある。
【0034】
このようにして得られた樹脂粒子の比表面積は、2m/g以上であることが望ましく、さらに5m/g以上、さらには50m/g以上であることが望ましい。2m/g以下であると、十分な艶消し効果が発揮されない。
【0035】
なお、比表面積は、樹脂粒子の分散体に対して、真空脱気を2時間行い、その後、表面積測定装置で、死容積測定ガスはヘリウム、吸着ガスは窒素にて、測定した値である。
【0036】
また、樹脂粒子の平均粒子径は、1〜50μであることが望ましく、さらには2〜20μであることがより望ましい。1μ以下であれば艶消し効果が十分発揮されず、50μ以上であれば均一な艶消し効果が得られない。なお、平均粒子径は、電子顕微鏡で観察し、測定した値である。
【0037】
本発明の塗料用艶消し剤は、前記に示したものの他に、充填剤、消泡剤、難燃剤、防かび剤等を本発明の効果を阻害しない程度に加えてもよい。また、本発明の樹脂粒子は、ブロッキング防止効果もある。さらに、多孔質な樹脂粒子であることから、吸着剤、触媒及び防かび剤等の担持体としても使用可能である。さらに、断熱、吸音、制振、等への応用も可能である。
【0038】
本発明の塗料用艶消し剤は、塗料用の原料として用い、艶消し剤として効果を発揮することができる。その際、艶消し剤は、樹脂等の各種塗料用原料と直接混合することができる。
【0039】
本発明の艶消し剤を混合する方法としては、通常の塗料の調合工程における他の調合原料と同様に加え、単に攪拌するだけでよい。このような方法でも樹脂粒子が極めて容易に分散するため、粉末状の艶消し剤を用いる場合に必要な、艶消し剤の分散工程は不要である。
【0040】
本発明の塗料組成物に用いる樹脂としては、例えば、水溶性樹脂、水分散性樹脂が挙げられるが、本発明の艶消し剤は、特に水分散性樹脂に対して、好適に使用することができる。
【0041】
このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂等を挙げることができ、これらのうち一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。
【0042】
また、必要に応じ、通常の塗料に配合される、公知の顔料類、体質顔料類、充填材類、消泡剤、分散剤、増粘剤、造膜助剤、乾燥調整剤、防腐剤、防かび剤、等の添加剤類を適宜配合することができる。
【0043】
また、本発明の塗料用艶消し剤は、(A)成分が造膜助剤としての機能を発揮するため、通常の塗料組成物に配合しなければならない造膜助剤の、一部、または全量を加える必要がなくなるというメリットがある。
【0044】
また、本発明の塗料用艶消し剤は、既存の塗料に対しても用いることができ、既存の塗料と均一に混合し使用することができる。その際、艶消し、3分艶、半艶及び7分艶等の微妙な調整が可能である。
【0045】
既存の塗料としては、特に限定されず、公知の塗料を使用することができる。
【0046】
この場合の本発明の塗料用艶消し剤の混合量は、所望の目的に応じ適宜設定することができるが、塗料中に、1重量%から50重量%とすることが望ましい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳しく説明する。
【0048】
(樹脂粒子の分散体の作製)
表1に示す原料を用い、表2、3に示す組成比で、均一に混合した。この混合物を、70℃に昇温し、1200rpmの回転数で攪拌しながら、6時間懸濁重合を行った。その後、室温近くまで冷却し、樹脂粒子の分散体を作製した。
【0049】
【表1】
Figure 0004033656
【0050】
【表2】
Figure 0004033656
【0051】
【表3】
Figure 0004033656
【0052】
(樹脂粒子の分散体の評価)
1.重合安定性
重合後、樹脂粒子の分散体の状態を目視にて確認した。結果を、表2、3に示す。なお評価は以下に示す。
○:異常なし
×:凝集物発生
【0053】
2.平均粒子径
樹脂粒子の分散体を分離、洗浄、乾燥した後、樹脂粒子を電子顕微鏡にて観察し、樹脂粒子の平均粒子径を測定した。測定結果を、表2、3に示す。
【0054】
3.比表面積
樹脂粒子の分散体を分離、洗浄、乾燥した後、真空脱気を2時間行い、その後、柴田科学機器工業株式会社製の表面積測定装置P−700型にて、死容積測定ガスはヘリウム、吸着ガスは窒素にて、樹脂粒子の比表面積を測定した。なお比表面積の測定は、それぞれ3回行いその平均値を採用した。この測定結果を表2、3に示す。
【0055】
4.貯蔵安定性試験
樹脂粒子の分散体を50℃の恒温器内に1ヶ月放置した後に、ゆっくりとかきまぜた際の状態を目視にて確認した。結果を、表2、3に示す。なお評価は以下に示す。
○:異常なし
△:粘度がわずかに上昇
×:異常あり(塊発生、ゲル化等)とした。
【0056】
(合成例1)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。また樹脂粒子の比表面積は非常に高い結果となった。
【0057】
(合成例2)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。また樹脂粒子の比表面積は非常に高い結果となった。
【0058】
(合成例3)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。また樹脂粒子の比表面積は高い結果となった。
【0059】
(合成例4)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。また樹脂粒子の比表面積は高い結果となった。
【0060】
(合成例5)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。また樹脂粒子の比表面積は高い結果となった。
【0061】
(合成例6)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。また樹脂粒子の比表面積は非常に高い結果となった。
【0062】
(合成例7)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。しかし樹脂粒子の比表面積が小さい結果となった。
【0063】
(合成例8)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。また樹脂粒子の比表面積は非常に高い結果となった。
【0064】
(合成例9)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であったが、1ヶ月後わずかに粘度が上昇した。樹脂粒子の比表面積は非常高い結果となった。
【0065】
(合成例10)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。しかし樹脂粒子の比表面積が小さい結果となった。
【0066】
(合成例11)
樹脂粒子の分散体の作製を試みたが、樹脂粒子の凝集が見られた。
【0067】
(合成例12)
樹脂粒子の分散体において、重合安定性に異常は見られず良好であり、貯蔵安定性にも異常はみられなかった。しかし樹脂粒子の比表面積が小さい結果となった。
【0068】
5.最低造膜温度
表1に示す樹脂1、100重量部に、樹脂粒子の分散体、50重量部を直接添加して、艶消し塗料を作製した。この塗料の最低造膜温度を測定した。測定結果を表2、3に示す。
【0069】
(配合例1)
合成例1の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表2に示すように、本発明規定の有機溶剤を用いているため、最低造膜温度は5℃以下となり、造膜性に大変優れていた。
【0070】
(配合例2)
合成例2の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表2に示すように、本発明規定の有機溶剤を用いているため、最低造膜温度は5℃以下となり、造膜性に優れていた。
【0071】
(配合例3)
合成例3の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表2に示すように、本発明規定の有機溶剤を用いているため、最低造膜温度は5℃以下となり、造膜性に大変優れていた。
【0072】
(配合例4)
合成例4の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表2に示すように、本発明規定の有機溶剤を用いているため、最低造膜温度は5℃以下となり、造膜性に大変優れていた。
【0073】
(配合例5)
合成例5の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表2に示すように、本発明規定の有機溶剤を用いているため、最低造膜温度は5℃以下となり、造膜性に大変優れていた。
【0074】
(配合例6)
合成例6の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表2に示すように、本発明規定の有機溶剤を用いているため、最低造膜温度は5℃以下となり、造膜性に大変優れていた。
【0075】
(配合例7)
合成例7の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表3に示すように、有機溶剤が含まれていないため、造膜性に劣る結果となった。
【0076】
(配合例8)
合成例8の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、有機溶剤にトルエンを用いているため、塗膜形成時に強い溶剤臭がした。また、表3に示すように、相対蒸発速度が本発明規定よりも速いため、有機溶剤が素早く蒸発してしまい、造膜性に劣る結果となった。
【0077】
(配合例9)
合成例9の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、有機溶剤にヘキサンを用いているため、塗膜形成時に強い溶剤臭がした。また、表3に示すように、相対蒸発速度が本発明規定よりも速いため、有機溶剤が素早く蒸発してしまい、造膜性に劣る結果となった。
【0078】
(配合例10)
合成例10の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表3に示すように、相対蒸発速度が本発明規定よりも速いため、有機溶剤が蒸発してしまい、造膜性に劣る結果となった。
【0079】
(配合例11)
合成例12の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表3に示すように、有機溶剤が含まれていないため、造膜性に劣る結果となった。
【0080】
(艶消し塗料の作製)
表1に示す塗料1、100重量部に、樹脂粒子の分散体をそれぞれ30重量部を直接添加し、艶消し塗料を作製した。
【0081】
(艶消し塗料の評価)
6.光沢度
150×70×3mmのガラス板を基材とし、JIS
K5400(1990) 7.6鏡面光沢度に準じて、60度の角度での光沢値を測定した。この測定結果を表4に示す。
【0082】
7.隠ぺい率
JIS K 5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8隠ぺい率試験に従い、測定を行った。この測定結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
Figure 0004033656
【0084】
(配合例12)
合成例1の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表4に示すように、光沢度、隠ぺい率ともに優れた結果が得られた。
【0085】
(配合例13)
合成例2の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表4に示すように、光沢度、隠ぺい率ともに優れた結果が得られた。
【0086】
(配合例14)
合成例6の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表4に示すように、光沢度、隠ぺい率ともに優れた結果が得られた。
【0087】
(配合例15)
合成例7の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表4に示すように、配合例12から14に比べ艶消し効果が劣っていた。また、隠ぺい率が低下した。
【0088】
(配合例16)
合成例10の樹脂粒子の分散体を用い測定した結果、表4に示すように、配合例12から14に比べ艶消し効果が劣っていた、また、隠ぺい率が低下した。
【0089】
【発明の効果】
本発明の艶消し剤は、特定の蒸発速度と特定の水に対する溶解度を有する有機溶剤、少なくとも1種以上架橋性モノマーを含むモノマー、ラジカル重合開始剤及び安定剤を含有する混合液を懸濁重合して得られる樹脂粒子の分散体からなるものである。この艶消し剤は、有機溶剤を除去、分離、乾燥したり、また後から親水性有機溶剤を添加するなど、煩雑な工程を必要とせず、直接塗料に使用することができる。さらに、該有機溶剤が造膜助剤としての機能も有し、塗膜形成の上で非常に有利である。

Claims (5)

  1. (A)酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合の相対蒸発速度が7以下、水に対する溶解度が6重量%以下である有機溶剤、(B)少なくとも1種以上の架橋性モノマーを含むモノマー、(C)ラジカル重合開始剤及び(D)安定剤を含有する混合液を水に混合し、懸濁重合して得られる樹脂粒子の分散体からなる塗料用艶消し剤。
  2. (B)が(b−1)架橋性モノマー及び(b−2)非架橋性モノマーからなり、(b−1):(b−2)が重量比で100:0〜25:75であり、(B):(A)が重量比で95:5〜5:95であることを特徴とする請求項1に記載の塗料用艶消し剤。
  3. (A)の溶解度パラメータが7.5〜15であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗料用艶消し剤。
  4. 樹脂粒子の比表面積が2m/g以上である請求項1から3のいずれかに記載の塗料用艶消し剤。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の塗料用艶消し剤を用いた塗料組成物。
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