JP4033579B2 - 発熱機能を有する板材の電極構造及び電極形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般建物の開口部等に使用される主に発熱層を設けた板ガラスを主材とした発熱機能を有する板材に関するものであり、詳細には、この種の板材において大電流を流すことができる電極構造及びその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建物の開口部においては、例えば、断熱性や防音性の機能面から板材の中間に空気層を配することが一般になされているが、単に断熱性を向上させただけにとどまるものであって、いわゆるコールドドラフト等の防止をするには至らないことから、最近では、ガラス等の板材の表面に電気的な通電により発熱可能な発熱層を設けたガラスが開発されている。
【0003】
ところで、この種の発熱機能を有する板材の場合、通電により発熱させる構造を形成するには、金属材料から成る発熱層に対してリード線との接点になる電極部を形成する必要があり、安定した密着性の良い電極を形成するために、導電性ペーストを塗布し、硬化させ電極としていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この種の導電性ペーストは、一般に、抵抗値が5〜7×10−5(Ω・cm)と高いことから、大きな電流を流すと、発熱層で加熱せずに電極部で異常発熱をおこしてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、透光性の板材の表面に導電性の発熱層を配設させて通電発熱させる発熱機能を有する板材を含む複数の透光性の板材間にスペーサを配置させることによって空気層を形成する複層ガラスの電極構造において、前記導電性の発熱膜上であって前記スペーサよりも外方位置に前記板材の対向する辺に沿うように配設した低抵抗の金属製の粘着材付きテープと、該粘着材付きテープを覆うように配設した銀ペーストからなる導電性ペーストとによって形成される前記発熱層の電極と、前記電極に電気的に接続するリード線と、前記電極を構成する導電性ペーストに対して、リード線が半田により融着固定されているリード線固定部と、からなり、前記発熱層と前記スペーサとの間には電気的に絶縁性を有する一次封着材が配設され、前記スペーサの外方位置に配設されている前記電極と前記リード線固定部を封止のための二次封着剤が配設されていることを特徴とする。
【0006】
上記の粘着剤付テープの抵抗値を導電性ペーストの抵抗値よりも低いものを選択使用することで、導電性の低いテープが剥がれずにペーストに埋め込むことができ、低抵抗で板材との密着性の良い電極を形成することが可能である。また、粘着剤付きテープを覆うようにして導電性ペーストを塗布した後に硬化することによって、粘着剤付きテープが剥がれることなくペーストに埋め込むことが可能である。更に、電極はスペーサより外方に位置するので、スペーサとの絶縁を確実にし、リード線と共に電極を二次封着材によって完全に封止することによって、安定した密着性の良い電極が形成され、大きな電流を流すことが可能である。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の発熱機能を有する板材の電極構造を示す要部拡大図であり、図2は、本発明の実施例の発熱機能を有する板材の断面図であり、図3は、本発明の実施例の発熱機能を有する板材の正面内観図であり、図4は、本発明の実施例の発熱機能を有する板材の正面断面図である。
【0008】
本発明の要旨は、発熱機能を有する板材の電極を形成する際、導電性の低い粘着剤付テープを貼り付け、その上部から粘着剤付テープを覆うように導電性ペーストを塗布することにより大電流を通電させても異常発熱を発生させない電極を形成させるものである。
【0009】
本発明に係わる板材(実施例では複層の板材2a.2b)は、図2に図示の如く、フロートガラス、網入りガラス、有色ガラス、あるいは、これ等のガラスの表面にスクラッチ等を施した装飾ガラス等の透光性の板材であり、この板材2a.2b上に金属製の発熱層9を形成すること発熱機能を付帯させている。
【0010】
前記発熱層9は、金、銀、銅、パラジウム、及びアルミニウム、チタン、ステンレス、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、マグネシウム、ジルコニア、ガリウム等よりなる群より選ばれた一種以上の金属薄膜及び/又はそれ等の炭素、酸素等の金属酸化物薄膜、好ましくは、Pd、Pt、Sn、Zn、In、Cr、Ti、Si、Zr、Nb、Taからなる群のうち少なくとも1つの元素を添加したAg等の薄膜や、これにZnO、ITO、In2O3、Y2O3等の多結晶性下地薄膜を設けた金属酸化物薄膜や、或いは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2.6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンポリフェニレンオキシド、ポリメチルメタタリメート、ポリスチレン等やポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セロファン、セルローストリアセテート等のセルローズ樹脂のフィルム又はシート上に前記の金属薄膜を形成した熱線反射フィルム等から成る。
【0011】
これらの発熱層9は、板材2の選択された表面部分と、板材2とスペーサ7との間から外周部位に至る程度に延設されていて、電極1を介して通電加熱させると発熱するものである。
【0012】
本発明は、上記の如く構成された、発熱機能を有する板材において、図1に図示の如く、電極1を発熱層9上の金属製の粘着剤付テープ1aと、該粘着剤付テープ1aの抵抗値よりも低い導電性ペースト1bとで構成させたものである。
【0013】
図1乃至図4に従って説明すると、先ず、Low−Eガラス等の板材2aの発熱層9の端部の所定の長さに亘って1〜3×10−6(Ω・cm)の銅箔テープまたはニッケルテープから成る粘着剤付テープ1aを貼り付ける。
【0014】
そして、前記粘着剤付テープ1aの上からこれを覆うようにして5〜7×10−5(Ω・cm)の銀ペーストから成る導電性ペースト1bを塗布し、硬化させることで電極1を形成する。尚、電極1とリード線3との接続は、電極1を構成する導電性ペースト1bに対して半田4により融着固定させる。
【0015】
上記の如く形成された電極1を有する板材は、図2に図示の如く、複層ガラスとして構成される。この実施例では、二枚の板材2a.2bの一方の板材2aに発熱層9が形成されていて、外周縁には乾燥剤8を内封したアルミ製のスペーサ7が配設されている。
【0016】
前記スペーサ7は、板材2a上の発熱層9との当接部位にやや平坦な面部を有すると共に外周縁側はテーパー状とした外観形状を有している。この形状は、板材2a.2b間に形成される空気層内の防湿性を確保するために適しており、スペーサ7の平坦な面部には一次封着材としての絶縁ブチル6aが、テーパー状とした外周縁側には二次封着材5bが設けられて封止されている。
【0017】
尚、実施例では、スペーサ7の板材2bとの当接面には発熱層9を介していないために、普通ブチル6bが形成されている。また、スペーサ7は、アルミニウム等の導電性を有する素材から成ることから、一般的な樹脂接着剤では、封入ムラにより発熱層9とスペーサ7との間で短絡現象を生じてしまう。従って、一次封着材中に予め絶縁物を混合し、発熱層9とスペーサ7とが電気的に完全に絶縁できる構造とすることが好ましい。
【0018】
そして、上記の構造を利して電極1を外周縁側の二次封着材5b中の板材2a.2bの端部に形成させるものである。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施されるので、粘着剤付テープを貼り付けた後に、導電性ペーストを塗布することにより導電性の低い金属テープが剥がれずにペーストに埋め込むことができ、且つ低抵抗でガラスとの密着性の良い電極を形成でき、大電流に耐えうる電極部が形成可能となる。そして、上記の如く構成した板材は、例えば、空気層や樹脂層の中間層を介して貼り合わされることにより、優れた断熱効果を有する。この様に構成されることで、発熱層は通電により安定して加熱され、板材の面部を加温して室内の雰囲気を円滑に暖めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発熱機能を有する板材の電極構造の要部拡大図である。
【図2】本発明の実施例の発熱機能を有する板材の断面図である。
【図3】本発明の実施例の発熱機能を有する板材の正面内観図である。
【図4】本発明の実施例の発熱機能を有する板材の正面断面図である。
【符号の説明】
1 電極
1a 粘着剤付きテープ(銅箔テープ)
1b 導電性ペースト(銀ペースト)
2a 板材
2b 板材
3 リード線
4 半田
5a 1次封着材
5b 2次封着材
6a 絶縁ブチル
6b 普通ブチル
7 スペーサー
8 乾燥剤
9 発熱層(金属膜)

Claims (2)

  1. 透光性の板材の表面に導電性の発熱層を配設させて通電発熱させる発熱機能を有する板材を含む複数の透光性の板材間にスペーサを配置させることによって空気層を形成する複層ガラスの電極構造において、
    前記導電性の発熱膜上であって前記スペーサよりも外方位置に前記板材の対向する辺に沿うように配設した低抵抗の金属製の粘着材付きテープと、該粘着材付きテープを覆うように配設した銀ペーストからなる導電性ペーストとによって形成される前記発熱層の電極と、
    前記電極に電気的に接続するリード線と、
    前記電極を構成する導電性ペーストに対して、リード線が半田により融着固定されているリード線固定部と、からなり、
    前記発熱層と前記スペーサとの間には電気的に絶縁性を有する一次封着材が配設され、
    前記スペーサの外方位置に配設されている前記電極と前記リード線固定部を封止のための二次封着剤が配設されていることを特徴とする発熱機能を有する板材の電極構造。
  2. 透光性の板材の表面に導電部材を配設させて通電加熱させる発熱機能を有する板材を含む複数の透光性の板材間にスペーサを配置させることによって空気層を形成する複層ガラスの電極形成方法において、
    前記導電性の発熱膜上であって前記スペーサよりも外方位置に前記板材の対向する辺に沿うように低抵抗の金属製の粘着材付きテープを貼付し、該粘着材付きテープを覆うように銀ペーストからなる導電性ペーストを塗布した後に硬化することによって発熱層の電極を形成し、
    前記電極にリード線を電気的に接続し、
    前記電極を構成する導電性ペーストに対して、リード線を半田により融着固定することによってリード線固定部を形成し、
    前記発熱層と前記スペーサとの間には電気的に絶縁性を有する一次封着材を配設し、
    前記スペーサの外方位置に配設されている前記電極と前記リード線固定部を封止するように二次封着剤を配設することを特徴とする発熱機能を有する板材の電極形成方法。
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