JP4032754B2 - 光ファイバー被覆用樹脂組成物及びそれを用いた光ファイバー - Google Patents

光ファイバー被覆用樹脂組成物及びそれを用いた光ファイバー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバーのガラス心材と直に接する単層被覆用、あるいは1次被覆用の光ファイバー被覆用樹脂組成物及び該組成物の硬化物で被覆された光ファイバー心線に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバーケーブルは大容量情報の伝送媒体として実用化され、現在、光ファイバーケーブルによる広帯域情報通信網が建設されつつある。光ファイバーには、導波ガラスに紫外線等の放射線硬化型樹脂による1次被覆層および2次被覆層を施した2層被覆構造のものと、単層の被覆層を施した単層被覆構造の形態のものがある。
【0003】
2層被覆構造を有する光ファイバーの1次被覆層は、通常、ヤング率が0.01から1.0kg/mmの柔軟な被覆層であり、2次被覆層は、通常、20から200kg/mmの比較的堅い被覆層である。また、単層被覆構造における被覆層は、ヤング率が0.5から数10kg/mmの被覆層である。1次被覆層は、ちり、ホコリ、あるいは湿気から、導波路であるガラスを保護し、ガラスの破断を防止すること、また、光ファイバーの外部からかかる力により、ガラスが微少変形(マイクロベンド)をおこして光の伝送損失が発生することを防止する役割を持っている。
【0004】
光ファイバー被覆用樹脂組成物には、それを塗工し、該組成物の硬化膜により被覆した光ファイバーが、伝送損失を発生せず、破断強度を長期間維持するための十分な保護作用を有することが求められている。特に、実際の光ファイバーが敷設される環境においても、光の伝送特性やファイバーの破断強度を長期に亘り維持するための耐久性を光ファイバーに対し付与することが要求されており、中でも、高温高湿雰囲気下における耐久性が重要である。以下、このような特性を「湿熱耐久性」と記載する。
【0005】
また、更に、光ファイバーを製造する際には、同一の光ファイバー被覆用樹脂組成物を用いて、同一の製品を複数回、繰り返し製造する場合がある。そのような場合には、各製品ロット間の特性にばらつきが生じないように製造することが必要である。しかしながら、現実には、原料ロット間の不純物含有量のばらつき、塗工条件のばらつき、温度・湿度等の変動により、製造される光ファイバーの特性がかなり変動してしまう。このような製品ロット間の特性変動を起こさないための工夫も光ファイバー被覆用樹脂組成物に対して求められている。特に、このような特性変動は高温高湿下に置かれた場合に顕著であり、同一製品ロット間での「湿熱耐久性」の向上及びばらつきの解消も光ファイバー被覆用樹脂組成物を設計する上で重要な項目である。
【0006】
上記のような光ファイバーの湿熱耐久性を改善するために、従来から種々の技術が検討されてきている。例えば、特開昭59−92947号や特公平6−13665号においては、特定のポリアルコキシシランを含有する光ファイバー被覆用樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これらの技術においても高温高湿雰囲気下で光ファイバーの破断強度を安定的に維持させる技術が不十分である。また、単にポリアルコキシシランを含有するのみでは、上記の同一製品ロット間での特性変動を抑えることができず、したがって、これまでの技術においては、光ファイバーのガラス心材と直に接する単層被覆用、あるいは1次被覆用の光ファイバー被覆用樹脂組成物として、現在要求されている特性を十分に満足するものは得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光ファイバーの伝送損失を発生させず、破断強度を長期間維持しうる単層被覆用あるいは1次被覆用の光ファイバー被覆用樹脂組成物、およびそれを用いた光ファイバーを提供することにある。特に、高温高湿雰囲気下でも初期の特性を保持しうる湿熱耐久性に優れた単層被覆用あるいは1次被覆用の光ファイバー被覆用樹脂組成物、およびそれを用いた光ファイバーを提供することにある。更に、同一製品ロット間における湿熱耐久性のばらつきを発生させない単層被覆用あるいは1次被覆用の光ファイバー被覆用樹脂組成物、およびそれを用いた光ファイバーを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような状況に鑑み上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カップリング剤と一定量の水を含有する光ファイバー被覆用樹脂組成物を用いることにより、前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、ラジカル重合性化合物(A)、カップリング剤(B)及び0.03〜2質量%の水(C)を含有する光ファイバー被覆用樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を以下に詳しく説明する。本発明のラジカル重合性化合物(A)とは、末端にビニル基、アクリル基、メタクリル基等重合性不飽和基を有する化合物であり、比較的高分子量のラジカル重合性オリゴマー(A1)と比較的低分子量のラジカル重合性モノマー(A2)とがある。ラジカル重合性オリゴマー(A1)としては、従来公知のものが使用可能であるが、ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び同一分子内に重合性不飽和基と水酸基とを有する化合物(a3)から合成されるウレタンアクリレート、グリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸等の重合性不飽和基を有するカルボン酸類の反応生成物であるエポキシアクリレート、およびビニルエーテルがあり、本発明においては、これらを用いることが好ましい。
【0010】
上記ポリオール(a1)としては、多塩基酸と多価アルコールを重縮合して得られるポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒドロフラン等の環状エーテルの重合体またはこれらの2種以上の共重合体であるポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0011】
またポリイソシアネート(a2)としては、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトレメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。
【0012】
次に、同一分子内に重合性不飽和基と水酸基とを有する化合物(a3)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0013】
また、(a3)として、同一分子内に重合性不飽和基と水酸基とを有するイソシアヌル酸誘導体も有用である。このようなイソシアヌル酸誘導体としては、例えば、イソシアヌル酸にγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、D−グルコノ−1,4−ラクトン、1,10−フェナントレンカルボラクトン、4−ペンテン−5−オリド、12−ドデカノリド等のラクトン類、あるいはエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドやテトラヒドロフラン等の環状エーテルを付加させ、生じた水酸基を1モル以上残す当量比で(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の重合性不飽和基を有するカルボキシル化合物を脱水縮合あるいはエステル交換反応により反応させたものが通常用いられる。
【0014】
ウレタンアクリレート構造のラジカル重合性オリゴマーとしては、数平均分子量が400から20000のポリオールを用いたものが好ましく、中でも数平均分子量が2000から12000のポリオールを用いたウレタンアクリレートが、ヤング率が低く、ガラスとの密着力が高く、更に湿熱耐久性に優れた光ファイバー被覆陽樹始祖生物が得られ、特に好ましい。また、上記のポリイソシアネート(a2)としては、数平均分子量500未満のポリイソシアネートを用いるのが好ましい。そのようなポリイソシアネートを用いると、粘度が低い光ファイバー被覆用樹脂組成物を得ることができる。
【0015】
また、エポキシアクリレートとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等のビスフェノール類およびフェノール樹脂等の芳香環を含むポリオールのグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の反応生成物であることが好ましい。そのようなエポキシアクリレートを用いることにより、光ファイバー被覆用樹脂組成物のガラスに対する密着性を高くすることができる。
【0016】
ラジカル重合性オリゴマー(A1)としては、例えば、上記のラジカル重合性オリゴマーを単独で用いても、あるいは複数のオリゴマーを混合して用いても良い。中でも、プロピレンオキシドの重合体、1,2−ブチレンオキシドの重合体、プロピレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体、1,2−ブチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体から選択されるポリオールのウレタンアクリレートであって、数平均分子量が2000〜20000、好ましくは4000〜15000のものが、粘度が低く、ガラスへの密着性が高く、硬化性が高いので好ましい。
【0017】
次に本発明で用いることができるラジカル重合性モノマー(A2)としては、従来公知のものが使用可能であるが、例えば、水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応で結合した構造の化合物等が挙げられる。そのような化合物の中で、単官能の化合物としては、例えば、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンサクシネート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、3−アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アッシドホスフェート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0018】
また、他の単官能の化合物としてはN−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルバゾール、等のビニル化合物もある。
【0019】
2官能のラジカル重合性モノマー(A2)としては、例えば、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートのジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、2,2′−ジ(ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、2,2′−ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールのジ(メタ)アクリレート、2,2′−ジ(グリシジルオキシフェニル)プロパンの(メタ)アクリル酸付加物等が挙げられる。
【0020】
更に、3官能以上のラジカル重合性モノマー(A2)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、トリメリット酸のトリ(メタ)アクリレートと、トリアリルトリメリット酸、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0021】
これらの中では、単官能のラジカル重合性モノマー(A2)の2種以上を、または単官能と2官能以上のラジカル重合性モノマー(A2)とを組み合わせて使用すると、低温特性、硬化性に優れ、好ましい。中でも単独重合体のTgが20℃以下の単官能のラジカル重合性モノマー(A2)と単独重合体のTgが50℃以上の単官能のラジカル重合性モノマー(A2)を併用すると、光ファイバーの湿熱耐久性に優れ、特に好ましい。
【0022】
単独重合体のTgが20℃以下の単官能のラジカル重合性モノマー(A2)としては、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリルアルコールエトキシアクリレート、エポキシステアリルアクリレート、2−(1−メチル−4−ジメチル)ブチル−5−メチル−7−ジメチルオクチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノールポリアルコキシアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールポリプロピレンオキサイド変性アクリレート、ブトキシポリプロピレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールラクトン変性アクリレート、ラクトン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート等が挙げられる。
【0023】
単独重合体のTgが50℃以上の単官能のラジカル重合性モノマー(A2)としては、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピリジン、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、ビニルカルバゾール、ビニルホルムアミド等がある。
【0024】
また、更に、以下に列挙するラジカル重合性モノマー(A2)は、単独重合体のTgが50℃以上の単官能のラジカル重合性モノマー(A2)と併用することによりガラスとの密着性あるいは硬化性を向上させるものであり、併用することが好ましい。そのようなものとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルオキシエチルアクリレート等のアクリレート類、アクリロイルモルホリン、ダイアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニルアミド類、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、クロルフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ラウリルマレイミド等のマレイミド類を挙げることができる。
【0025】
上記のラジカル重合性オリゴマー(A1)は、全組成物に対し20〜90質量%用いるのが好ましく、中でも、30〜80質量%用いるのがより好ましい。この範囲にすることにより、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物の粘度を低く抑えながら、高速硬化性を良好にすることができ、また、硬化膜を強靱にすることができる。
【0026】
また、上記のラジカル重合性モノマー(A2)は、本発明の光ファイバー用樹脂組成物の粘度を下げるために有効であり、全組成物5〜70質量%を含有させることが好ましい。中でも、10〜60質量%含有するものがより好ましい。この範囲にすることにより、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物の粘度を低く抑えながら、高速硬化性を良好にすることができ、また、硬化膜を強靱にすることができる。
【0027】
本発明で用いるカップリング剤(B)とは、ガラス表面のSi−OH基と反応しうる基を含有する化合物である。そのような化合物としては、例えば、シラン系のカップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、チタネート系のカップリング剤、あるいはジルコニウム系のカップリング剤等がある。本発明においては、それらの中で、いずれの化合物も使用することができるが、アルコキシシリル基を1つ以上含む化合物を用いることが好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリス(βメトキシエトキシ)シリル基等がある。特に、トリメトキシシリル基、あるいはトリエトキシシリル基を含むカップリング剤を使用すると、それを含有する光ファイバー被覆用樹脂組成物の放置安定性が良好となり、また、光ファイバーの初期破断強度を長期間保持することができる。本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物に特に適したカップリング剤(B)としては、アルコキシシリル基とアルコキシシリル基以外の反応性基を持つシランカップリング剤(B−1)とアルコキシシリル基以外の反応性基を有さないシランカップリング剤(B−2)がある。
【0028】
シランカップリング剤(B−1)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
・ビニル基含有シラン:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等。
・エポキシ基含有シラン:例えば、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等。
・メタクリロキシ基又はアクリロキシ基含有シラン:例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等。
・アミノ基含有シラン:例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾロ−1−イル−プロピルトリエトキシシラン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、等。
・メルカプト基含有シラン:例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等。
・イソシアネート基含有シラン:例えば、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン等。
【0029】
シランカップリング剤(B−2)としては、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケート、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等がある。又、イソシアネート基を持つオリゴマー又はポリマーに、アミノ基含有シランを反応させた化合物、水酸基を持つオリゴマー又はポリマーに、イソシアネート基含有シランを反応させた化合物、エポキシ基を持つオリゴマー又はポリマーに、アミノ基含有シランを反応させた化合物、カルボン酸基を持つオリゴマー又はポリマーに、アミノ基含有シラン又はエポキシ基含有シランを反応させた化合物、ラジカル重合性モノマーとメタクリロキシ基又はアクリロキシ基含有シランのラジカル共重合体等がある。
【0030】
本発明で用いるカップリング剤(B)としては、メルカプト基含有シランあるいはエポキシ基含有シランを用いると、温水雰囲気下の光ファイバーの強度維持(温水耐久性)と被覆層の除去性(被覆除去性)が共に良好となり、好ましい。エポキシ基含有シランは、温水耐久性を上げるのに効果があるが、特に、メルカプト基含有シランは、両方の特性を共に満足させるために有効である。メルカプト基含有シランは単独で用いても良いが、エポキシ基含有シランと併用することが、より好ましい。また、メルカプト基含有シラン、とエポキシ基含有シランは、それぞれ、2種以上の同系のシランを併用しても良い。
【0031】
カップリング剤(B)は、全組成物100質量%に対し、0.01〜2質量%、好ましくは0.04〜1質量%使用することが好ましい。0.01質量部より少ないと、温水雰囲気下、ジェリー浸漬下において、光ファイバーの強度が低下しやすい(温水耐久性、耐ジェリー性が劣る)。2質量%より多く添加すると、光ファイバーを接続する際、被覆層の除去が困難となり易く(被覆除去性が悪い)、また硬化性が低下する等の障害が生じやすくなる。
【0032】
本発明で使用する水(C)は精製されたもの、精製されていないものいずれでも良いが、多量に不純物を含むものは、光ファイバーの強度を低下させるので好ましくない。水(C)の含有割合は、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物全体に対し0.03〜2質量%、好ましくは0.08〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。この範囲にすることにより高温高湿雰囲気下でも十分な強度を安定して保持することができる。また、特に上記の範囲内であっても、カップリング剤(B)の使用量に応じて、カップリング剤(B)中に存在する水と反応しうる官能基の当量以上の水を含有させることが好ましい。水が0.03質量%未満では、高温高湿雰囲気下で十分な光ファイバー強度を安定して保持することができず、2質量%を超えると、光ファイバーの破断強度が低下する。水(C)は、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物を配合する際に添加するのが最も好ましいが、水分含有率の高い原料を用いたり、塗布工程中等において高湿度雰囲気に暴露することにより上記範囲の含有量となるように調製して、光ファイバーに塗布しても構わない。
【0033】
さらに本発明には必要に応じて塩基性物質(D)を添加しても構わない。塩基性物質(D)としては、従来公知のものが使用可能であるが、例えば、以下のものを用いることができる。
・ラジカル重合性を持たないアミン類:例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等のアルキル1級アミン、ジオレイルアミン等のアルキル2級アミン、ジメチルラウリルアミン等のアルキル3級アミン、オレイルプロピレンジアミン等のアルキルジアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン等のモルフォリン類等。
・ラジカル重合性基を持ったアミン類:例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等。
・光増感剤として有用な芳香族アミン類:例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアEPA)、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル(日本化薬社製カヤキュアDMBI)、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等。
・光安定化剤として有用なヒンダードアミン類、即ち、2,2,6,6テトラメチルピペリジル基、又は1−アルキル−2,2,6,6テトラメチルピペリジル基を持つ化合物:例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セパケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシルエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔16−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1.3.5−トリアジン−2,4−ジイル〕、〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(ミックスド1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド〔1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカシ〕ジエチル〕ジエチル1−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等。
・あるいは、例えば、分子量が400〜4000のものとして、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製チヌビン144(分子量685.0)、チヌビン292(分子量508.8)、チヌビン123(分子量737.2)、チヌビン440(分子量435.6)、チヌビン622LD(分子量3100〜4000)、チヌビン765(分子量509)、CHIMASSORB 119L(分子量2286)、CHIMASSORB 2020FDL(分子量2600〜3400)、CHIMASSORB 944LD(分子量2000〜3100)、三共株式会社社製サノールLS−770(分子量480.7)、サノールLS−2626(分子量722.1)、サノールLS−744(分子量261.4)、サノールLS−944(分子量>2000)、旭電化工業(株)社製アデカスタブLA−52(分子量847.2)、アデカスタブLA−57(分子量791.1)、アデカスタブLA−62(分子量約900)、アデカスタブLA−67(分子量約900)、アデカスタブLA−63(分子量約2000)、アデカスタブLA−68(分子量約1900)、アデカスタブLA−77(分子量481)等。
・ラジカル重合性基をもつヒンダードアミン類としては、アデカスタブLA−87(分子量225.3)、アデカスタブLA−82(分子量239.4)等。
・ラジカル重合性基を持たず、分子量が400未満のヒンダードアミンとして、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアルコール(分子量157)、1−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアルコール(分子量171)等。
・重合禁止剤として有用な芳香族アミン類:例えば、N,N−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等 がある。
【0034】
上記の塩基性物質(D)は、全組成物中0.005〜1質量%、好ましくは0.01〜0.5、さらに好ましくは0.05〜0.3質量%の範囲で使用するのが、温水下、高温高湿下での光ファイバーの強度低下を防止するうえで効果がある。特に、本発明の組成物のpHが7未満、さらに好ましくは5未満であると最も効果が高い。この組成物のpHは、イソプロピルアルコール/イオン交換水:20ml/5mlの混合溶剤に組成物1gを溶解し、pHメータで測定したものである。
【0035】
本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物を紫外線により硬化させる場合には、必要に応じて、上記の成分以外に光重合開始剤(E)を更に加えることができる。光重合開始剤(E)としては、従来公知のものが使用可能であるが、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2、6ージメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられる。
【0036】
これらの中では、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、1,7−ビス(アクリジニル)ヘプタン、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンの群から選ばれる1種または2種類以上の混合系とすると、硬化性が高くなり、特に好ましい。
【0037】
上記の光重合開始剤(E)の使用割合は、全組成物0.1〜10質量%であることが好ましく、特に、高速硬化性が大きくなることから、0.5〜6質量%であることがより好ましい。
【0038】
更に、本発明の光ファイバー被覆用樹脂組成物には、上記の成分以外に、ヒドロキノン、メトキノン等の重合禁止剤、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤、紫外線吸収剤、亜燐酸エステル系の脱色剤、シリコーンオイル等の消泡剤、離型剤、レベリング剤料等を添加しても構わない。
【0039】
本発明の光ファイバー用樹脂組成物においては、加工性及び光ファイバーの伝送特性を良好にするため、組成物及び硬化膜の物性値が以下の範囲になるように適宜調製するのが好ましい。
【0040】
・組成物の粘度:1000〜10000cps(25℃、B型粘度計)であることが好ましい。1000cps以下、10000cps以上では高速での光ファイバー製造時に外径の変動や硬化膜の破断が生じて高速硬化性が悪い。
・硬化膜のヤング率:硬化物のヤング率は0.01〜1.0kg/mmが好ましい。0.01kg/mm未満であると、巻き取時に光ファイバーの被覆が破損し、1.0kg/mmを越えると伝送特性が悪くなる。
【0041】
その他の硬化膜の特性としては、以下の範囲にあることが伝送特性、素線のハンドリング性が良いので好ましい。
・ガラス転移点:−40〜30℃、好ましくは−20℃〜10℃。
・−40℃のヤング率:0.1〜4kgf/mm2、好ましくは1から10kgf/mm2
・引張破断強度:0.05kgf/mm2以上、好ましくは0.2kgf/mm2以上。
・引張破断伸び:100%以上、好ましくは150%〜600%の範囲がよい。
【0042】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に説明するが、もとより本発明はこれにより何等限定されるものではない。なお、例中の部はすべて質量基準である。
(光ファイバーの製造)表1の組成の1次被覆材、及びポリテトラメチレングリコールのウレタンアクリレートを主成分とする紫外線硬化型樹脂組成物を2次被覆材として外径250μmの光ファイバーを線引きして、各実施例、参考例及び比較例の組成物を1次被覆材とする2層被覆構造の光ファイバーを製造した。なお、光ファイバーの製造においては、実施例、参考例及び比較例の組成物各々につき間欠的に5回の線引きを行い、合計5ロットの光ファイバーを製造した。
(初期破断強度の測定)各実施例、参考例及び比較例の組成物を1次被覆材として製造した各々5ロットの光ファイバーから、1ロットあたり25本のサンプルを切り出した。
測定用サンプルの長さは50cmとし、市販の引張試験器(島津製作所製オートグラフ)を用いて引張速度25mm/分、測定雰囲気:23℃、50%RHの条件下で各サンプルの初期破断強度の測定を行った。次に、各ロットから切り出した25本のサンプルの測定値を集計し、ロット毎の初期破断強度の平均値(ロット毎、25本の平均値)を求め、それを各ロットの初期破断強度とした。そして、その中で、初期破断強度の値が最小のロットと最大のロットの値を表1中に示した。また、その最小値と最大値の平均値も表1中に示した。
(湿熱耐久性の評価)初期破断強度の測定と同様に、各実施例、参考例及び比較例の組成物を1次被覆材として製造した各々5ロットの光ファイバーを85℃、85%RHの雰囲気中に30日間放置した。その後、1ロットあたり25本の湿熱耐久性評価用のサンプルを切り出し、引張速度25mm/分、測定雰囲気:23℃、50%RHの条件下で破断強度を測定した。各ロットから切り出した25本のサンプルの測定値を基に、ロット毎の破断強度の平均値(25本の平均値)を求め、それを各ロットの湿熱耐久試験後の破断強度とした。そして、その中から、最小(あるいは最大)の破断強度を示したロットの値を高温高湿下放置後の破断強度の最小値(あるいは最大値)として、また、上記の初期破断強度の平均値を用いて、下記の式により破断強度の残存比率(最小値、最大値)を計算した。結果を表1中に示した。
破断強度残存比率最小値(最大値)%=(高温高湿下放置後の破断強度の最小値(あるいは最大値)/初期破断強度の平均値)×100
【0043】
【表1】
Figure 0004032754
上記表中の配合組成の数字は配合部数を表す。
【0044】
表1中の化合物
ラジカル重合性オリゴマー(A1)
▲1▼数平均分子量4000のポリプロピレングリコールにトルイレンジイソシアネート、βーヒドロキシアクリレートを公知の方法で等量で反応して得られたウレタンジアクリレート
▲2▼数平均分子量10000のポリプロピレングリコールにトルイレンジイソシアネート、βーヒドロキシアクリレートを公知の方法で等量で反応して得られたウレタンジアクリレート
・ラジカル重合性モノマー(A2)
▲1▼:N−ビニルカプロラクタム
▲2▼:ノニルフェニルオキシエチルアクリレート
・カップリング剤(B)
▲1▼:γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン
▲2▼:γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
・塩基性物質(D)
▲1▼:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート
▲2▼:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
・光重合開始剤(E)
▲1▼:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
・酸化防止剤
▲1▼:ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、アルキルエステル
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、光ファイバーの伝送損失を発生させず、破断強度を長期間維持しうる単層被覆用あるいは1次被覆用の光ファイバー被覆用樹脂組成物、およびそれを用いた光ファイバーを提供することができる。特に、高温高湿雰囲気下でも初期の特性を保持しうる湿熱耐久性に優れた単層被覆用あるいは1次被覆用の光ファイバー被覆用樹脂組成物、およびそれを用いた光ファイバーを提供することができる。更に、同一製品ロット間における湿熱耐久性のばらつきを発生させない単層被覆用あるいは1次被覆用の光ファイバー被覆用樹脂組成物、およびそれを用いた光ファイバーを提供することができる。

Claims (5)

  1. ウレタンアクリレート構造のラジカル重合性化合物、シランカップリング剤(B−1)、水(C)及び塩基性物質(D)を含有する光ファイバー被覆用樹脂組成物であって、前記シランカップリング剤(B−1)の含有量が光ファイバー被覆用樹脂組成物中の0.01〜2.0質量%であり、前記水(C)の含有量が光ファイバー被覆用樹脂組成物中の0.03〜2質量%であり、前記塩基性物質(D)の含有量が光ファイバー被覆用樹脂組成物中の0.005〜1質量%である光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  2. イソプロピルアルコール20mlとイオン交換水5mlの混合溶媒に、1g溶解した際のpHが7未満である請求項1記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  3. 前記塩基性物質(D)が、ヒンダードアミン類である請求項1または2記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  4. 前記水(C)の含有量が、前記シランカップリング剤(B−1)中に存在する、水と反応しうる官能基の等量以上である請求項1、2または3記載の光ファイバー被覆用樹脂組成物。
  5. 請求項1、2、3または4記載の組成物を一次被覆材とする光ファイバー。
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