JP4032010B2 - 避難用スロープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、避難用小扉を備える防火扉に使用される避難用スロープに関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の建築物の内部には、火災発生時に防火扉体で通路を閉鎖して火災空間と非火災空間を区画し、火災範囲の拡大や煙の流出を防ぐ防火扉が設置されている。防火扉は、通常時は通行の邪魔にならないように例えば通路の側壁に設けられた凹部に格納されており、火災発生時には凹部に格納された状態から通路内に自動的に展開されて通路を閉鎖するようになっている。地上に通じる通路に設けられる防火扉については、避難者が直接手で開けて通り抜けることができる避難用小扉を備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、避難者が車椅子の使用者である場合、避難用小扉の開口部の下端と通路の床面に段差があると、車輪が引っ掛かって単独で脱出することは殆ど不可能である。また、高齢者の場合は足を高く上げることができないため、段差が大きいと避難用小扉からの脱出が難しくなる。
【0004】
これらの問題の解決方法として避難用小扉の開口部の下端側に形成される横枠部材(かまち)をなくすることが考えられるが、これは開口部の強度を低下させるため、開口部が歪んで避難用小扉が開放不能となるおそれがある。また、火災による熱気の圧力に押される等して避難用小扉が完全に閉まり切らない場合に、かまちが防火壁の役割を果たして床の延焼を防ぐことが期待できるため、かまちの高さを積極的に大きく設定していることもある。
【0005】
そこで、防火扉の近傍に、開口部の下端部と通路の床面をつなぐスロープ台を保管しておき、火災が発生した場合にはスロープ台を保管場所から取り出して、開口部に設置するという方法が考えられる。しかし、実際にこのような設置作業が確実に行われる保証はなく、その一方で、車椅子の使用者等が自らスロープを設置することは不可能である。また、通路等にスロープ台の保管場所を確保すると、通常時の通行の邪魔になるため好ましいものではない。
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み、特別な保管スペースを設ける必要がなく、防火扉の閉鎖時に確実に設置される避難用スロープを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、避難用小扉を備える防火扉に使用される避難用スロープであって、前記防火扉における前記避難用小扉の開口部の下端に回動支持されており、前記避難用小扉の下部に沿うように畳まれる格納位置と、前記開口部の下端と前記床面をつなぐように展開される使用位置との間で回動可能なスロープ板と、前記防火扉に取り付けられて、前記スロープ板を前記格納位置に保持する保持機構とを備え、前記保持機構は、前記防火扉の閉鎖運動に連動して、前記スロープ板の保持を解除し、前記スロープ板を前記使用位置に回動させることを特徴とする避難用スロープを提供する。
【0008】
請求項1の発明によれば、前記防火扉の閉鎖運動に連動して、前記スロープ板が前記使用位置に回動して避難用スロープを形成するため、防火扉による通路の閉鎖後でも、車椅子の使用者等が単独で脱出可能になるという作用効果を奏する。また、前記スロープ板は、通常時において、前記避難用小扉に沿うように、すなわち前記防火扉に沿うように保持されているので、前記スロープ板の保管スペースを特に設ける必要がないものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記保持機構は、前記スロープ板に係合して前記格納位置に保持する保持部材と、前記床面に接触した状態で前記防火扉に支持される連動部材とを備えてなり、前記連動部材は、前記防火扉の閉鎖運動に伴う前記床面との相対動きを利用して、前記保持部材に、前記スロープ板の保持を解除させる動きを与えることを特徴とする請求項1に記載の避難用スロープを提供する。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の作用効果に加えて、前記連動部材は、前記防火扉の閉鎖運動に伴う前記床面との相対動きを利用して特別な動力源を必要としないため、安価に設置することができ、従来から設けられている防火扉への後付工事も容易に行なうことができるという作用効果を奏する。
【0011】
請求項3の発明は、前記連動部材は、前記床面上の前記連動部材の接触軌道に形成される凹凸により運動させられて、前記保持部材に、前記スロープ板の保持を解除させる動きを与えることを特徴とする請求項2に記載の避難用スロープを提供する。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の作用効果に加えて、前記連動部材と前記床面上の凹凸は、点対偶であるから、設置作業やそれに伴う調整作業を容易に行なうことができるという作用効果を奏するものである。
【0013】
請求項4の発明は、前記連動部材の前記床面との接触部には、前記床面に対して転がり可能な回転体が形成されており、前記回転体に連結される連結体が、前記回転体の転がりに伴って、前記保持部材に前記スロープ板の保持を解除させる動きを与えることを特徴とする請求項2に記載の避難用スロープを提供する。
【0014】
請求項4の発明によれば、請求項2の発明の作用効果に加えて、前記床面側の工事が少なく済むため、従来から設けられている防火扉への後付工事を一層容易に行なうことができるという作用効果を奏する。
【0015】
請求項5の発明は、前記スロープ板は、前記格納位置において、前記使用位置側へ付勢されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の避難用スロープを提供する。
【0016】
請求項5の発明によれば、請求項1から4のいずれかの発明の作用効果に加えて、前記スロープ板が、前記使用位置側に付勢されているため、前記保持機構による保持の解除に伴い、確実に前記使用位置に展開されるという作用効果を奏する。
【0017】
請求項6の発明は、前記スロープ板は、前記格納位置から前記使用位置までの回動速度を抑えるダンパーを備えていることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の避難用スロープを提供する。
【0018】
請求項6の発明によれば、請求項1から5のいずれかの発明の作用効果に加えて、前記スロープ板が回動速度を抑えるダンパーを備えているため、前記防火扉の傍に人がいても、展開する前記スロープ板が勢いよく当たって怪我をさせることがないという作用効果を奏する。
【0019】
請求項7の発明は、前記スロープ板は、その自由端にすべり材が取り付けられていることを特徴とする避難用スロープを提供する。
【0020】
請求項7の発明によれば、前記スロープ板が、前記防火扉の閉鎖途中に前記床面に接触しても、すべり材により前記床面に突っかかることが防止されるという作用効果を奏する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1及び第2の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
〔本発明の第1の実施形態〕
図1乃至図4は、本発明の第1の実施形態について示したものである。図1は、避難用スロープが使用される防火扉回りの全体構成を示す図であって、(a)は防火扉の閉鎖前(通常時)、(b)は閉鎖途中、(c)は閉鎖完了時の状態を、それぞれ示したものである。図2は、図1(a)に対応する避難用スロープの状態を示す図である。図3は、図1(b)に対応する避難用スロープの状態を示す図である。図4は、図2におけるA−A断面およびB視を表す拡大図である。
【0023】
〔防火扉1〕
防火扉1は、通常時は、図1(a)に示されるように、壁面2に形成された凹部2aを囲む格納枠2b内に格納されており、凹部2a内に設けられた電磁ロック2cによりロック固定されている。防火扉1は、水平方向に回動自在に支持されるとともに、矢印Cで示される閉鎖方向に付勢されており、火災発生時に不図示の火災検知装置から送信される信号に基づいて電磁ロック2cがロック解除されると、図1(b)に示されるように、防火扉1は通路3を閉鎖する方向に展開する。そして、図1(c)に示されるように、防火扉1は、防火扉受3aに嵌まり込んで通路3を閉鎖する。
【0024】
防火扉1には、通路3が閉鎖された後に人が脱出するための開口部1aが貫通形成されており、開口部1aは、避難用小扉4で閉鎖されている。避難用小扉4は、開閉用ノブ4aを操作することにより手動開放が可能であり、開放後は不図示のドアクローザーに付勢されて開口部1aを自動的に閉鎖するようになっている。開口部1aの下方には、かまち1bがあるため、開口部1aの下端と通路3の床面3bとの間には段差が存する。かまち1bによる段差を解消するため、防火扉1には、スロープ板5が備えられている。スロープ板5は、通常時は防火扉1に沿うように折り畳まれており、火災発生時の防火扉1の閉鎖運動に連動して下方回動し、開口部1aの下端と床面3bの間に避難用スロープを形成する。
【0025】
〔スロープ板5〕
スロープ板5は、アルマイト処理されたアルミニウム板で矩形状に形成される平板状部材であり、ヒンジ部材5aにより開口部1aの下端に、上下方向に回動自在に支持される。スロープ板5は、図1(a)又は図2に示されるように避難用小扉4の下部に沿うように畳まれる格納位置Dと、図1(b)又は図3に示されるように開口部1aの下端と床面3bをつなぐように展開される使用位置Eとの間で回動可能とされている。
【0026】
スロープ板5には、その上面に、格納位置Dにおいて避難用小扉4に押圧されて縮められる圧縮バネ5bが取り付けられている。圧縮バネ5bは、格納位置Dにあるスロープ板5を使用位置E側に付勢する付勢部材として作用し、後述の保持機構6によるスロープ板5の保持の解除に伴い、スロープ板5を確実に使用位置Eに展開させるものである。なお、圧縮バネ5bは、スロープ板5がある程度下方回動(矢印F)したところで避難用小扉4から離れてしまうが、スロープ板5は自らの重量により使用位置Eまで回動する。
【0027】
スロープ板5には、ヒンジ部材5aとともにスロープ板5を上下方向に回動自在に支持して、下方回動に対する抵抗として作用するヒンジダンパー5cが取り付けられている。ヒンジダンパー5cは、格納位置Dから使用位置Eまで回動するスロープ板5の回動速度を抑えるために備えられており、スロープ板5が下方回動する時に、傍らにいる人にスロープ板5が勢いよく当たって怪我させることがないようにしている。
【0028】
その他に、回動支持されるスロープ板5には、その自由端に沿って延びるナイロン製のエッジカバー5dが取り付けられている。エッジカバー5dは、図1(b)に示されるように、防火扉1の閉鎖途中にスロープ板5が完全に展開して、スロープ板5の自由端が床面3bと接触したときに、床面3bに対してすべることにより、防火扉1の閉鎖を阻害したり、スロープ板5の破損変形させたりすることを防止するすべり材として作用する。
【0029】
〔保持機構6〕
防火扉1には、スロープ板5の側方部に取り付けられて、スロープ板5を格納位置Dに保持する保持機構6を備えている。保持機構6は、通常時には、スロープ板5を上方に回動させた格納位置Dに保持するが、火災発生時には、防火扉1の閉鎖運動に機械的に連動して上記保持を解除し、スロープ板5を下方に回動させた使用位置Eに展開させるものである。保持機構6は、スロープ板5の側方上部に形成される切欠5eの下側に係合してスロープ板5を格納位置Dに保持する保持部材としての係合ピン61と、下端が床面3bに接触した状態で防火扉1に支持される連動部材62を備えてなる。
【0030】
連動部材62は、防火扉1における開口部1aの側方に固定されて上下に延びる内周面多角形の筒状部材621と、筒状部材621に上下動可能に、かつ回動しないように貫挿支持されるピストンロッド622と、筒状部材621の下方側に突出するピストンロッド622の下端に取り付けられ防火扉1の展開に伴って床面3b上を転がるキャスター623とからなる。なお、係合ピン61は、筒状部材621の上方側に突出するピストンロッド622に対して水平方向に延びるように固定されている。
【0031】
防火扉1の閉鎖前におけるピストンロッド622に対応する位置には、上方に開口する凹部311を有する凹状部材31が埋設配置されて、床面3bの一部をなしている。防火扉1に支持されるピストンロッド622は、下端のキャスター623が凹部311に受け入れられて、床面3bの一般面よりも下方に落ち込んだ状態で支持されている。ピストンロッド622の上端に固定される係合ピン61は、ピストンロッド622が凹部311に落ち込んだ状態で、格納位置Dに回動されたスロープ板5の切欠5eの下側に係合する位置にくるように設定されている。
【0032】
そのため、防火扉1の閉鎖前において、スロープ板5は格納位置Dに保持されるが、火災が発生して防火扉1が閉鎖される矢印C方向に回動すると、キャスター623が、図4(a)に矢印Gで示されるように、凹部311に形成された斜面311aに沿って床面3bの一般面にまで乗り上げることとなる。その結果、ピストンロッド622は、矢印Hで示されるように、上方に持ち上げられて、その上端に固定される係合ピン61が切欠5eに対応する位置に移動し、スロープ板5の保持が解除されることとなる。
【0033】
防火扉1の凹部2aに面する側には、スロープ板5と略同形状のスロープ板7が、開口部1aの下端に対してヒンジ部材7aで上下方向に回動自在となるように支持されており、スロープ板5と同様に、開口部1aと床面3bの段差をつないで避難用スロープを形成する。ただし、スロープ板7には、上方に折り畳まれた状態で保持するための保持機構は設けられていない。スロープ板7は、避難用小扉4に沿うように折り畳まれた状態で、防火扉1が格納枠2b内に格納されることにより、凹部2aに支持され、凹部2aと防火扉1で挟まれる隙間に格納されるようになっており、特に保持機構を設ける必要がないためである。
【0034】
〔第1の実施形態の作動〕
第1の実施形態に係る避難用スロープの作動を説明する。まず、図1(a)及び図2に示されるように、防火扉1を開放させる場合には、作業者がスロープ板5,7を上方に回動して避難用小扉4に沿うように保持しつつ、防火扉1を格納枠2b内に格納して、電磁ロック2cで通路3内に回動しないようにロック固定する。このとき、スロープ板5は、図2及び図4に示されるように、凹部311により下方に落ち込んだピストンロッド622の上端の係合ピン61が係合することにより格納位置Dに保持される。また、スロープ板7は、凹部2aに支持されて凹部2aと防火扉1で挟まれる隙間に格納されることとなる。
【0035】
さて、火災が発生して電磁ロック2cによるロック固定が解除されると、図1(b)及び図4(a)に示されるように、防火扉1が矢印Cの方向への閉鎖運動を開始して、保持機構6も防火扉1とともに矢印Cの方向に移動する。このとき、ピストンロッド622は、図4(a)の矢印Gで示されるように、下端に取り付けられたキャスター623が床面3bの凹部311に形成される斜面311aに沿って転がり、床面3bの一般面に乗り上げる。
【0036】
これにより、ピストンロッド622の上端に固定される係合ピン61が矢印Hで示されるように上方移動して、図3に示されるように切欠5eに入り込み、スロープ板5の保持が解除される。係合ピン61による保持を失ったスロープ板5は、図3に矢印Fで示されるように、圧縮バネ5bの付勢力及び自重によって使用位置Eに至るまで下方回動して、図1(c)に示されるように、開口部1aと床面3bをつなぐ避難用スロープを形成する。なお、凹部2aと防火扉1の隙間に格納されていたスロープ板7も凹部2aの支持を失って下方に回動して、スロープ板5と同様に避難用スロープを形成する。
【0037】
〔第1の実施形態の特徴点〕
上述のように、上記第1の実施形態によれば、スロープ板5が、防火扉1の閉鎖運動に機械的に連動して、スロープ板7とともに、開口部1aと床面3bをつなぐ使用位置に回動して、避難用スロープを確実に形成する。これにより、防火扉1の閉鎖後でも、車椅子の使用者等が開口部1aから外部へ単独で容易に脱出することができるものである。しかも、保持機構6は機械的に連動するので、防火扉1に電気信号等を送信するための配線を設けたりする必要がなく、設置工事を容易に行なうことができるものである。
【0038】
また、スロープ板5は防火扉1に沿うように保持されているので、保管スペースを特に設ける必要がなく、さらに、スロープ板5は平板状部材であるから、人が通路3を通過する際に大きな出っ張りとなって、通行の邪魔になる心配がない。
【0039】
さらに、保持ピン61に保持解除の動きを与える連動部材62は、防火扉1の閉鎖運動に伴う床面3bとの相対動きを利用するので、保持解除のための動力源を特に設ける必要がなく、この点においても、設置工事を容易に行なうことができるものである。
【0040】
そのうえ、連動部材62(ピストンロッド622)は、床面3b上の連動部材62の接触軌道に形成される凹凸(凹部311)により上下運動させられるが、連動部材62と床面3bの凹凸は点対偶の関係にあるから、連動部材62の設置作業や、それに伴う係合ピン61の作動タイミング等の調整作業を容易に行なうことができるものである。
【0041】
〔上記第1の実施形態の変形例〕
上記第1の実施形態では、係合ピン61が上方に移動することによりスロープ板5との係合が解除されるようになっていたが、切欠5eの位置を下方にずらして形成しておけば、係合ピン61が下方に移動することによりスロープ板5との係合を解除することもできる。なお、防火扉1の回動により係合ピン61を下方移動させるには、連動部材62を下方に落ち込ませる凹部311を、床面3b上における連動部材62の接触軌道の途中位置に配置すれば良い。また、防火扉1が完全に閉鎖される位置に、連動部材62を落とし込む凹部を設けておけば、防火扉1の閉鎖した後にスロープ板5が展開されて、スロープ板5にエッジカバー5dのような突っかかり防止を施す必要がないものである。
【0042】
〔本発明の第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。
【0043】
図5乃至図8は発明を実施する形態の一例であって、図中、図1乃至図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成は図1乃至図3に示す第1の実施形態のものと同様である。図5は、上記第1の実施形態の図4に相当する図で、(a)は防火扉1の横断面方向から、(b)は防火扉1の正面方向から見たものである。図6は、保持機構8が分解された状態を示す図である。図7は、保持機構の下端に設けられる偏心キャスターの動きを説明する図であり、図8は、保持機構の上端に設けられる係合ピンの動きを説明する図である。
【0044】
〔保持機構8〕
第2の実施形態では、図5に示されるように、第1の実施形態における保持機構6に代えて、保持機構8が、スロープ板5の側方部に取り付けられており、スロープ板を格納位置Dに保持している。保持機構8は、通常時には、スロープ板5を上方に回動させた格納位置Dに保持するが、火災発生時には、防火扉1の閉鎖運動に機械的に連動して上記保持を解除し、スロープ板5を下方に回動させた使用位置E(図1(b))に展開させるものである。保持機構8は、スロープ板5の側方に係合してスロープ板5を格納位置Dに保持する保持部材としての係合ピン81と、下端が床面3bに接触した状態で防火扉1に支持される連動部材82を備えてなる。なお、本実施形態において、スロープ板5に、切欠き5eは設けられていない。
【0045】
連動部材82は、図5及び図6に示されるように、防火扉1における開口部1aの側方に固定されて上下に延びる内周面円形の筒状部材821と、筒状部材821に上下動可能に貫挿支持される丸棒状のピストンロッド822と、筒状部材821の下方側に突出するピストンロッド822の下端に取り付けられる偏心キャスター823と、ピストンロッド822の上方側に突設される支持ピン822aに支持穴824aで回動支持される係合ピン支持部材824とからなる。なお、係合ピン81は、係合ピン支持部材824に対して水平方向に延びるように固定されており、水平方向に回動可能とされている。
【0046】
偏心キャスター823は、その外周面にすべり止めとなるゴム材823aが巻き付けられており、回転軸823bがその中心から偏心した位置に設けられている。偏心キャスター823は、防火扉1が閉鎖する前は、図5及び図7(a)に示されるように、ピストンロッド822が最も低くなる回転位置とされている。しかし、火災が発生して防火扉1が閉鎖される矢印Cの方向に回動すると、偏心キャスター823は床面3b上を転がり、図7(b)に示されるように、ピストンロッド822が最も高く持ち上げる回転位置まで回転する。なお、偏心キャスター823は、図7(b)に示される回転位置まで回転した後は、防火扉1に当接して更なる回転はできないが、その姿勢のままでゴム材823aの摩擦抵抗に抗して床面3b上をすべるように、防火扉1とともに、防火扉1の閉鎖位置まで移動する。
【0047】
筒状部材821の上端部には、上方が開放されたスリット状の切欠き821aが形成される。切欠き821aには、図5及び図8(a)に示されるように、ピストンロッド822が最も低くなる位置で、係合ピン支持部材824に固定される係合ピン81が係合させられる。係合ピン81は、切欠き821aに係合して水平方向の回動が阻止されており、スロープ板5を格納位置Dに保持している。防火扉1の閉鎖に伴って、上述のようにピストンロッド822が上方移動して、図8(b)において一点鎖線で示されるように、係合ピン81を切欠き821aから外す。そして、係合ピン81は、図8(b)において実線で示されるように、スロープ板5の重みで水平方向に回動させられ、スロープ板5は、係合ピン81による保持が解除されることになる。すなわち、ピストンロッド822が、偏心キャスター823の転がりに伴って、係合ピン81に、スロープ板5の保持を解除する動きが与えることになる。
【0048】
〔第2の実施形態の作動〕
第2の実施形態に係る避難用スロープの作動を説明する。まず、図1(a)に示されるように、防火扉1を開放させる場合には、図5に示されるように、スロープ板5に係合ピン81が係合させて格納位置Dに保持する。火災が発生して電磁ロック2cによる防火扉1のロック固定が解除されると、図1(b)に示されるように、防火扉1が矢印Cの方向への閉鎖運動を開始して、保持機構8も矢印Cの方向に移動する。このとき、偏心キャスター823は、図5(a)及び図7(a)において矢印Jで示されるように回転する。
【0049】
これにより、係合ピン支持部材824に固定される係合ピン81が、図8(a)に矢印Hで示されるように上方移動して、スロープ板5の保持が解除される。係合ピン81による保持を失ったスロープ板5は、圧縮バネ5bの付勢力及び自重によって使用位置Eに至るまで下方回動して、図1(c)に示されるように、開口部1aと床面3bをつなぐ避難用スロープを形成する。
【0050】
〔第2の実施形態の特徴点〕
上記第2の実施形態によれば、スロープ板5が、防火扉1の閉鎖運動に機械的に連動して、避難用スロープを形成する。これにより、防火扉1の閉鎖後に、車椅子の使用者等が開口部1aから単独で容易に脱出することができる。しかも、保持機構8は機械的に連動するので、防火扉1に電気信号等を送信する配線を設ける必要がなく、設置工事を容易に行なうことができる。特に、偏心キャスター823の使用により、第1の実施形態のように床面3bに連動部材を上下させるための凹部を設ける必要がなく、床面3b側の工事が少なく済む。そのため、従来から設置されているスロープを備えていない防火扉へ本発明に係る避難用スロープを後付することがより一層容易となる。
【0051】
また、スロープ板5は、平板状部材で防火扉1に沿うように保持され、保管スペースを特に設ける必要がなく、通路3において大きな出っ張りとならない。保持ピン81による保持を解除する連動部材82は、床面3bとの相対動きを利用するため、動力源を特に設ける必要がない。なお、係合ピン81は、第1の実施形態のように上下移動して保持を解除するのではなく、回動して保持を解除するので、スロープ板5には、保持ピンを逃がすための切欠きを設ける必要がないものである。
【0052】
〔第1及び第2の実施形態の変形例〕
上記第1及び第2の実施形態では、スロープ板5をアルミニウムで形成したが、これに限らず、鉄等の金属や樹脂その他の材料により形成するようにしても良い。また、スロープ板5を使用位置E側に付勢して下方回動するためのきっかけを与える圧縮バネ5bを、スロープ板5に取り付けたが、防火扉1や避難用小扉4に取り付けるようにしても良いし、スロープ板5と防火扉1等の双方に取り付けるようにしても良い。また、圧縮バネに変えて板バネを使用したり、ヒンジ軸回りに巻きバネを取り付けたりする等、他の付勢部材を採用するようにしても良い。さらに、スロープ板5自体の重みのみで下方回動するようにスロープ板5の重心位置を設定して、付勢部材を廃止するようにしても良い。
【0053】
上記第1及び第2の実施形態では、スロープ板5の下方回動の速度が早くなり過ぎないようにするために、運動抵抗を与えるヒンジダンパー5cを採用したが、これに限らず、他の種類のダンパーやダンパー以外の抵抗付与部材を使用しても良い。
【0054】
その他、本発明の避難用スロープは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えうることは勿論である。
【0055】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1から7に記載の発明に係る避難用スロープによれば、防火扉の閉鎖運動に連動してスロープが形成されるため、避難用小扉の段差を解消するための避難用スロープが確実に設置されることとなり、車椅子の使用者等が単独で避難用小扉から脱出することが容易となる。また、通常時に防火扉が開放されているときには、避難用スロープを形成するスロープ板が防火扉に沿うように保持され、スロープの保管スペースを特別に設けておく必要がないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る避難用スロープが使用される防火扉の全体構成を示す図。
【図2】 図1(a)に対応する避難用スロープの状態を示す図。
【図3】 図1(b)に対応する避難用スロープの状態を示す図。
【図4】 図2におけるA−A断面およびB視を表す拡大図。
【図5】 本発明の第2の実施形態に係る避難用スロープを示す図であって、第1の実施形態の図4に相当する図。
【図6】 第2の実施形態における保持機構が分解された状態を示す図。
【図7】 偏心キャスターの動きを説明する図。
【図8】 第2の実施形態における係合ピンの動きを説明する図。
【符号の説明】
1 防火扉
1a 開口部
3 通路
3b 床面
4 避難用小扉
5 スロープ板
5b 圧縮バネ(付勢部材)
5c ヒンジダンパー(ダンパー)
5d エッジカバー(すべり材)
6 保持機構
61 係合ピン(保持部材)
62 連動部材
621 筒状部材
622 ピストンロッド
623 キャスター
81 係合ピン(保持部材)
82 連動部材
822 ピストンロッド(連結体)
823 偏心キャスター(回転体)
D 格納位置
E 使用位置

Claims (7)

  1. 避難用小扉を備える防火扉に使用される避難用スロープであって、
    前記防火扉における前記避難用小扉の開口部の下端に回動支持されており、前記避難用小扉の下部に沿うように畳まれる格納位置と、前記開口部の下端と前記床面をつなぐように展開される使用位置との間で回動可能なスロープ板と、
    前記防火扉に取り付けられて、前記スロープ板を前記格納位置に保持する保持機構とを備え、
    前記保持機構は、前記防火扉の閉鎖運動に連動して、前記スロープ板の保持を解除し、前記スロープ板を前記使用位置に回動させることを特徴とする避難用スロープ。
  2. 前記保持機構は、前記スロープ板に係合して前記格納位置に保持する保持部材と、前記床面に接触した状態で前記防火扉に支持される連動部材とを備えてなり、
    前記連動部材は、前記防火扉の閉鎖運動に伴う前記床面との相対動きを利用して、前記保持部材に、前記スロープ板の保持を解除させる動きを与えることを特徴とする請求項1に記載の避難用スロープ。
  3. 前記連動部材は、前記床面上の前記連動部材の接触軌道に形成される凹凸により運動させられて、前記保持部材に、前記スロープ板の保持を解除させる動きを与えることを特徴とする請求項2に記載の避難用スロープ。
  4. 前記連動部材の前記床面との接触部には、前記床面に対して転がり可能な回転体が形成されており、
    前記回転体に連結される連結体が、前記回転体の転がりに伴って、前記保持部材に前記スロープ板の保持を解除させる動きを与えることを特徴とする請求項2に記載の避難用スロープ。
  5. 前記スロープ板は、前記格納位置において、前記使用位置側へ付勢されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の避難用スロープ。
  6. 前記スロープ板は、前記格納位置から前記使用位置までの回動速度を抑えるダンパーを備えていることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の避難用スロープ。
  7. 前記スロープ板は、その自由端が前記使用位置において前記床面に接触するものであって、前記自由端には、すべり材が取り付けられていることを特徴とする避難用スロープ。
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