JP4030748B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク等の記録液を吐出してシートに画像印刷を行う画像形成装置に関し、特に、画像における1つの画素に対して複数の記録液滴を吐出するタイプの画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シート(記録用紙等の記録媒体)に対し、インク滴を吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタが使用されている。
【0003】
このようなプリンタは、通常、図11に示すように、画像を構成する1つの画素11a上にインク滴11bを1滴だけ吐出し、1ドットで1画素を形成するようになっている。しかしながら、近年、同一の画素内に複数のインク滴を吐出することで、画素濃度の調整(階調制御)を行う技術が開発され、各種のプリンタに採用されている。
【0004】
ところで、インクジェットプリンタによってカラー印刷を行う場合には、一般的に、イエロー、マゼンタおよびシアンの各カラーインクを重ね合わせて画像を形成するようになっている。
【0005】
ところが、上記のような階調制御を行うと、カラーインクどうしが互いに混色したり、また、シートに吸収されずに外部(画素の外部)に流出したりといった不具合の生じることがある。
【0006】
このような不具合を解決するための技術として、特開平8−197831号公報に、1画素内に数滴のインクを吐出した場合における、シートに対するインクの吸収時間を短縮する印刷方法が記載されている。
【0007】
この技術では、吸収されにくいインク(ブラックインク)の画素を、複数(4つ)の小さなドット群に分割して形成すること(マルチドロップ方式)で、その吸収効率を向上させるようになっている。これにより、ブラックインクと他のカラーインクとの画素径を均一化でき、インクの流れ込みやにじみを抑制してシャープで鮮明な画像を得ることが可能となっている。
【0008】
また、この公報には、ブラックインクの下地としてカラーインクを用いる技術も開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、画素径を揃える目的のみでドット群の形成状態を設定している。このため、高速での印刷やインク消費量を節約した印刷を行うことは不可能であった。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術では考慮されていない、ドット群の形成状態を調整することによる高速印刷や省インク印刷を行える画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる画像形成装置は、上記の課題を解決するために、記録液滴を連続的に吐出する記録液吐出手段を備え、該記録液吐出手段により形成された記録液の液滴群により記録媒体上に各ドットによる画素を形成することで階調制御を行う画像形成装置において、或る濃度を閾値として、該閾値より低い濃度の画像形成時における前記ドットのドット密度に対して、該閾値以上の濃度の画像形成時におけるドット密度が高くなるように切り換えるドット密度切り換え手段を備え、前記ドット密度切り換え手段は、主走査速度を画像形成時の濃度に係わらず一定に保つことを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、或る閾値より低い濃度の画像形成時にはドット密度を小さく設定し、かつ、濃度に関わらず主走査速度を高速に設定して一定速度に保つことができるため、画像形成時間を短縮することができる。一方、前記閾値より高い濃度の画像形成時にはドット密度を大きく設定し、かつ、濃度に関わらず主走査速度を低速に設定して一定速度に保つことができるため、高い濃度の画像形成に必要な時間を十分取ることができる。
【0013】
よって、従来のように画素のドット密度に対応して主走査速度の切り換えを行なうよりも、画像形成速度を画素のドット密度に応じて最適化することができ、全体として画像形成を高速化できる。また、記録液のにじみの抑制および記録液の乾燥時間の短縮化を図れ、画像の高画質化と記録液の消費量の低減が可能となる。
【0014】
本発明にかかる画像形成装置は、上記の課題を解決するために、さらに、上記記録液の消費量を低減するための記録液低消費モードと印字時間を短縮するための高速印字モードとを切り換える、モード切り換え手段を備えていていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、モード切り換え手段により、前記各モードで使用するための、ドット密度を切り換える閾値を設定することができる。そして、該閾値の違いにより、高速印字モードと記録液低消費モードとを区別することができる。
【0016】
したがって、画像形成時において、印字時間を短縮することよりも記録液の消費量を低減することの方が重要である場合には、記録液低消費モードを選択し、逆に、記録液の消費量を低減することよりも印字時間を短縮することの方が重要である場合には、高速印字モードを選択することができる。
【0017】
本発明にかかる画像形成装置は、上記の課題を解決するために、さらに、上記モード切り換え手段は、高速印字モードでは、隣接して形成されるドットが、互いに外接する場合の濃度を閾値とすることを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、隣接して形成されるドットが、互いに外接する場合の濃度の閾値よりも小さい閾値を設定した場合における、ドット密度が高密度になり印字速度が低下する範囲を狭くすることができる。また、互いに外接する場合の濃度の閾値よりも大きい閾値を設定した場合における、画素からドットの一部がはみ出して、隣接するドットと干渉することによるにじみ等の発生を防ぐことができるため、画像の高画質化を図りながら、印字の高速化も同時に図ることができる。
【0019】
本発明にかかる画像形成装置は、上記の課題を解決するために、さらに、上記モード切り換え手段は、記録液低消費モードでは、高い濃度の画像形成時のドット密度に切り換えた場合における最低の記録液吐出量となる濃度を閾値とすることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、前記閾値よりも小さい閾値を設定した場合における、ドット密度が高密度である時の記録液吐出量よりも、低密度である時の記録液吐出量の方が少なくなるのを防ぐことができ、ドット密度切り換えによる記録液吐出量の途切れを生じさせないようにすることができる。また、前記閾値よりも大きい閾値を設定した場合における、ドット密度が高密度である時の記録液吐出量よりも低密度である時の記録液吐出量の方が多くなるのを防ぐことができるため、ドット密度の切り換えにより記録液吐出量を効果的に低減することができる。
【0021】
本発明にかかる画像形成装置は、上記の課題を解決するために、さらに、上記ドット密度切り換え手段は、前記閾値より高い濃度の画像形成時のドット密度が、或る閾値より低い濃度の画像形成時のドット密度の或る倍数で一定となることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、ドット密度を切り換える前後で、ドット密度の設定値をそれぞれ固定値として扱うことができるため、前記ドット密度切り換え手段によるドット密度切り換えの制御を容易にすることができる。
【0023】
本発明にかかる画像形成装置は、上記の課題を解決するために、さらに、上記記録液吐出手段は、前記記録液吐出手段が備える記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の供給量が、前記記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の消費量より多くなるように制御することを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の供給量を、記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の消費量より常に多くできるため、記録液の供給不足によるノズルからの空気の吸い込みによる、記録液の吐出不良を防ぐことができる。よって、前記記録液低消費モードまたは高速印字モードの何れにおいても、記録液の供給不足のない、安定した印字を行なうことが可能となる。
【0025】
本発明にかかる画像形成装置は、上記の課題を解決するために、さらに、上記ドット密度切り換え手段は、画像の濃度に応じて記録液吐出手段から吐出される記録液の記録液滴群周波数を切り換えることにより、前記閾値より低い濃度の画像形成時と前記閾値以上の濃度の画像形成時とにおける前記主走査速度を同じ速度とすることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、例えば、或る閾値より低い濃度の画像形成時にはドット密度を小さく設定して濃度に関わらず主走査速度を高速に設定する。一方、前記閾値より高い濃度の画像形成時には、ドット密度を低い濃度の画像形成時の或る倍数として設定し、かつ、記録液滴群周波数(1個の記録液吐出ノズルからの液滴群の毎秒あたりの吐出回数)を、低濃度の画像形成時における記録液滴群周波数の前記或る倍数に設定することにより、高濃度の画像形成時においても、低濃度の画像形成時の主走査速度と同じ速度に保つことができる。それにより、高濃度の画像形成時においても主走査速度を落とさずに画像形成をすることができるため、画像形成速度を高速化することができる。
【0027】
本発明にかかる画像形成装置は、上記の課題を解決するために、さらに、上記記録液吐出ノズルのピッチは、前記画素を構成するドットのピッチ以下であることを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、低濃度の画像形成時におけるドット密度が低い場合でもできるだけ記録液吐出ノズルのピッチを粗くして設けておくことにより、低濃度の画像形成時のようにドット密度が低い場合においても、記録液吐出ノズルを間引いて使用する必要がなく、前記記録液吐出量を有効に利用できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の画像形成装置にかかる実施の一形態について、図1〜図11および表1〜表5に基づいて以下に説明する。
図2・図3に示すように、インクジェットプリンタ10は、印字ヘッド1と、印字タンク2と、インクキャリッジ3と、シャフト4と、タイミングベルト5と、タイミングベルトローラ6と、タイミングベルト駆動装置7と、給紙トレイ8と、シート9と、ピックアップローラ11と、押圧部材12と、給紙ローラ13と、プラテン14と、排紙ローラ15と、排紙トレイ16とを備えている。
【0030】
印字ヘッド1は、図示しないインク吐出ノズルを備えており、インクを吐出する部位である。印字タンク2は、印字ヘッド1へ供給するためのインクの貯められている部位である。インクキャリッジ3は、印字ヘッド1と印字タンク2とを有しており、主走査方向に移動できるようにシャフト4に取り付けられている。
【0031】
また、タイミングベルト5は、シャフト4に対して並行して設置されており、タイミングベルトローラ6によって回転支持されている。そして、タイミングベルト5は、タイミングベルト駆動装置7により駆動され、キャリッジ3をシャフト方向(矢印で示す)に往復移動することができる。
【0032】
また、給紙トレイ8から搬送されるシート9は、ピックアップローラ11と押圧部材12とで挟まれるようにピックアップされ、給紙ローラ13によって、インクキャリッジ3と、その印字ヘッド1の印字台であるプラテン14との間へ搬送される。
【0033】
このとき、印字ヘッド1のインク吐出部は、インクキャリッジ3のリフィル能力に応じた周期で、印字タンク2からインクの供給を受ける。
【0034】
そして、図示しない外部装置から受信した印字データに応じて、印字ヘッド1は、その先端に設けられたインク吐出ノズルからシート9に対してインクを吐出しながら、シャフト方向に主走査を行う。さらに、1主走査毎にシート9が所定のピッチで、シート9の搬送方向(矢印で示す)に副走査をすることによりシート9に画像が形成される。その後、シート9は、排紙ローラ15によって排紙トレイ16まで搬送される。
【0035】
なお、インクジェットプリンタ10における、印字ヘッド1からインクを吐出する工程については以下において詳細に説明する。
【0036】
次に、インクジェットプリンタ10の制御機構について説明する。
【0037】
図5に示すように、インクジェットプリンタ10の制御機構は、画像処理部21と、駆動系制御部22と、インターフェイス部23と、メモリ24と、ヘッド駆動回路25と、キャリッジ駆動回路26と、用紙搬送駆動回路27と、印字ヘッド1と、キャリッジモータ28と、用紙搬送モータ29とを備えている。
【0038】
インクジェットプリンタ10は、外部からの印字コマンドおよび印字データ210を、インターフェイス部23を介して受信し、所定の画像形成動作を行う。制御部20は、画像処理部21と、駆動系制御部22と、インターフェイス部23と、メモリ24とから構成されており、画像形成を行うために、ヘッド駆動回路25、キャリッジ駆動回路26および用紙搬送駆動回路27に対して所定の信号を出力するようになっている。
【0039】
画像処理部(ドット密度切り換え手段,モード切り換え手段)21は、印字コマンドおよび印字データ210を処理することができ、その処理データは、画像処理部21によりメモリ24に格納されたり、メモリ24から引き出されたりする。また画像処理部21は、外部からの印字コマンドおよび印字データ210を受けて、画像形成時におけるドット密度を切り換えたり、さらに、インク消費量を低減するためのインク低消費モードと、印字時間を短縮するための高速印字モードとを切り換えることができる。
【0040】
メモリ24は、図示しないRAMおよびROMからなり、RAMは、主に印字コマンドおよび印字データ210を一時的に格納し、ROMは、インクジェットプリンタ10の制御プログラムまたは各種テーブル類を予め格納することができる。
【0041】
駆動系制御部22は、駆動系であるキャリッジ駆動回路26と用紙搬送駆動回路27を制御するための部位である。ヘッド駆動回路25は印字ヘッド1を駆動する回路である。キャリッジモータ28はタイミングベルト5を駆動するための部位である。キャリッジ駆動回路26はキャリッジモータ28を駆動するための回路である。用紙搬送モータ29は、ピックアップローラ11,給紙ローラ13および排紙ローラ15を動作させるための部位である。用紙搬送駆動回路27は用紙搬送モータ29を駆動するための回路である。
【0042】
ここで、インクジェットプリンタ10における、印字ヘッド1からインクを吐出する工程について説明する。
【0043】
インクジェットプリンタ10では、画像処理部21が、画素面積率を変えることにより、画像の階調を調整するようになっている。また、階調を調整する過程で、ドット密度を切り換えることで、インク消費量の低減、および、にじみによる画質低下防止を図るように設定されている。
【0044】
図1は、1画素に対してインク滴を吐出することによって形成されたドットを、階調別に示した平面図である。また、図1の画素100〜106に示すd1〜d7は、1画素内の同じ位置にインク滴を何滴吐出したかを示しており、例えば、d3であれば、インク滴を1画素内の同じ位置に3滴吐出したことを示す。
【0045】
さらに、図1の画素107〜114に示すd1×3,d1×2+d2,d1×2+d3,・・・は、1画素内の異なる位置にインク滴を何滴吐出したかを示しており、例えば、d1×2+d2は、1画素内に、同じ位置にインク滴を1滴吐出したドットが2箇所、同じ位置にインク滴を2滴吐出したドットが1箇所あることを示している。
【0046】
ところで、画素面積率は、1画素内におけるドットの占める面積割合であり、画素面積率=ドット面積÷画素面積×100(%)で表される値である。また、1画素の中にドットが1つ存在する図1の画素100〜106について、画素100の画素面積率は20%であり、画素106の画素面積率の75%まで段階的に大きくなっている。
【0047】
また、1画素の中にドットが3つ以上存在する画素107〜114について、画素107の画素面積率は61%であり、画素114の画素面積率の100%まで段階的に大きくなっており、その画素面積率の違いにより画像の階調表示を行なえる。
【0048】
また、図1の画素100〜106のグループは、ドット密度が300dpiであり、一方、画素107〜114のグループはドット密度が600dpiである。そして、ドット密度を300dpiから600dpiに切り換えることにより、画素100〜106のグループから、画素107〜114のグループに切り換えることができる。
【0049】
例えば、画素100〜106のグループの画素100から画素面積率を徐々に上げていき(階調を上げていき)、画素103の時点で、ドット密度を600dpiに切り変えて、その画素103の画素面積率に近い値の、画素107〜114のグループ内の画素に切り換えることにより段階的に階調を上げていくことができる。
【0050】
なお、ドット密度(dpi:dot per inch)と画素面積率とは異なるものであり、同じドット密度であっても画素面積率は違う。例えば、図1の画素107と、画素114とは同じ600dpiであるが、画素面積率は、画素107が61%であり、画素114は100%である。
【0051】
また、画像処理部21は、1主走査の終了後、副走査を開始するときに、印字データに基づいてドット密度の切り換えを行う。すなわち、画像処理部21は、主走査単位でドット密度の切り替えを行うようになっている。
【0052】
これは、高画質画像を形成するための措置である(主走査中にドット密度を切り換えると、速度変化による画質の劣化を招来する可能性がある)。
【0053】
ここで、上記の階調制御方法について具体的に説明する。
【0054】
インクジェットプリンタ10ではその印刷モードを、インク消費量の低減を重視したモードであるインク低消費モードと、画素形成速度を重視した高速印字モードとのいずれかに設定できるようになっている。また、モードの変更は、ドット密度を切り換えるべき画素面積率の値(ドット密度の切り換え点)を設定することにより行われる。
【0055】
まず、インク低消費モードについて説明する。
【0056】
表1に、インクジェットプリンタ10を、インク低消費モードに設定した場合の、画素面積率と、その面積率を実現するための特性値とを示す。
【0057】
【表1】
【0058】
インクジェットプリンタ10をインク低消費モードに設定した場合には、インク消費量を最も少なくできるように、ドット密度の切り換え点を決定するようになっている。
【0059】
なお、表1に記載されているNoは、階調No.を示している。また、インク量(pL/画素)は、1画素あたりのインク滴の体積をpL(ピコリットル)で示したものである。画素構成は、図1の画素100〜114のいずれかの画素におけるドット構成を示している。
【0060】
また、インク滴群周波数(pps:pulse per second)(記録液滴群周波数)は、1個のインク吐出ノズルからのインク滴群の毎秒あたりの吐出回数を示している。また、インク消費量(nL/s/ノズル)は、1個のインク吐出ノズルの毎秒あたりの全インク吐出量を示している(nLはナノ・リットル)。また、キャリッジ速度(mm/s)は、図2および図3のキャリッジ3がシャフト4上を往復移動するときの速度であり、主走査速度を示すものである。
【0061】
表1に示すように、画素面積率を高めるに連れて階調は上がってゆく。そして、このインク低消費モードでは、画素面積率が51%を越えて61%となった時点で、ドット密度を300dpiから600dpiに切り換えるようになっている。これにより、インク消費量を最小限に抑えられる。
【0062】
なお、このモードにおいて、ドット密度の切り換え点を、画素面積率50%よりも小さい時点、例えば、画素面積率42%に設定すると、51%の画素面積率での印刷を行えない。これは、ドット密度を600dpiとした場合(図1の画素107〜114に示すようなドット密度の場合)、画素面積率51%を実現することが不可能であるためである。
【0063】
また、ドット密度の切り換え点を、画素面積率50%よりも大きい時点、例えば画素面積率が75%に設定すると、切り換え点における、300dpiでのインク吐出量(21pL;表2参照)の方が、600dpiに切り換えた後の点(画素面積率81%)におけるインク吐出量(12pL)よりも多くなる。このため、密度の切り換えにより、インク吐出量を効果的に低減できないことになる。
【0064】
よって、印字モードを、インク低消費モードに設定した場合には、ドット密度を高密度に切り換えた場合の最低のインク吐出量となるドット密度50%付近に切り換え点を設定することにより、最も効果的にインク消費量を低減できる。つまり、インク低消費モードにおいては、図1の画素103から画素107に切り換えることにより、最も効果的にインク消費量を低減できる。
【0065】
図6は、インク低消費モードにおける、インク吐出量(インク量)と画素面積率との関係を示すグラフである。このグラフに示されている白抜きのマークは、300dpiでのインク量を、また、塗り潰しのマークは、600dpiでのインク量を示している。
【0066】
この図に示すように、インク消費量低減モードにおいては、画素面積率100%における最大のインク消費量は36pLとなっている。一方、1画素内の1箇所にインクを吐出して階調制御した場合には、以下の表2に示すように、66pL吐出することになる。このため、インクジェットプリンタ10では大幅にインク消費量が低減されていることが分かる。
【0067】
【表2】
【0068】
次に、高速印字モードについて説明する。
【0069】
表3に、インクジェットプリンタ10を、高速印字モードに設定した場合の、画素面積率と、その面積率を実現するための特性値とを示す。
【0070】
【表3】
【0071】
インクジェットプリンタ10を高速印字モードに設定した場合には、画素形成速度が最も速くなるように、ドット密度の低密度から高密度への切り換え点を決定している。
【0072】
具体的には、1画素の中心位置にインク滴を吐出していき、ドット面積が1画素の78%となった時点、つまり、画素面積率=ドット面積÷画素面積×100(%)=π/4×100(%)=78%となる場合の隣接するドット同士が互いに接する状態(画素の正方形に、ドットの円が内接する状態)になった時点で、ドット密度を高密度に切り換えている。
【0073】
すなわち、高速印字モードにおいては、図1の画素106から画素110に切り換えることにより、最も印字時間の短縮を図ることができる。
【0074】
ドット密度の切り換え点を画素面積率78%した理由は、画素面積率78%よりも小さい時点で切り換えを行うと、印字速度が低く、かつドット密度が高密度になる階調範囲(画素面積率の範囲)が広くなり、印字の高速化を図れなくなるためである。
【0075】
図7は、高速印字モードにおける、インク吐出量(インク量)と画素面積率との関係を示すグラフである。このグラフに示されている白抜きのマークは、300dpiでのインク量を、また、塗り潰しのマークは、600dpiでのインク量を示している。
【0076】
このグラフに示すように、高速印字モードにおいては、画素面積率78%付近である画素面積率75%までは、300dpiモードでキャリッジ速度508mm/secの高速印字を行い、画素面積率81%以上では600dpiモードでキャリッジ速度204mm/secの低速印字を行っている。
【0077】
これにより、インク濃度を確保しながら、画素面積率50%から78%まで印字速度を、画素面積率81%以上における600dpiモード時のキャリッジ速度204mm/secの2倍の速度に設定できる。従って、印字時間の短縮を図れる。
【0078】
以上のように、本実施の形態にかかるインクジェットプリンタ10によれば、ドット密度の切り換え点(低密度から高密度への切り換え点)を適切に設定することにより、インク低消費モードと高速印字モードとを使い分けることができる。
【0079】
図8は、上記の工程のフローチャートである。
【0080】
インクジェットプリンタ10では、印字指令を受けると印字動作が開始され、最初にステップS801で主走査毎に前記画素面積率が算出される。
【0081】
次に、ステップS802において、前記画素面積率が、所定の閾値α以下になった場合にはステップS803の300dpi(低密度)モードが採用され、上記閾値α以上になった場合にはステップS804の600dpi(高密度)モードが採用される。
【0082】
そして、ステップS805においてインクジェットプリンタ10が受信した全印字データを印字し終わるまで上記主走査が繰り返され、画像形成が行われる。
【0083】
なお、上記閾値αとは、上述したインク消費量低減モードあるいは高速印字モードで固有の値(ドット密度の切り換え点)であり、例えば、インク消費量低減モードでは50%であり、高速印字モードでは78%である。
【0084】
ここで、インクジェットプリンタ10における主走査速度について説明する。インクジェットプリンタ10では、ドット密度を低密度から高密度へ切り換えるとき以外では、画素面積率によらず、主走査速度を一定に保つことが好ましい。なお、この場合には、画素面積率の増加に応じて、印字ヘッド1から噴出するインクの量(単位時間あたりの噴出量)を増加させることが好ましい。これにより、常にドット密度に応じて主走査速度を変化させる必要がなくなる。
【0085】
また、本実施の形態では、表1・2に示したように、ドット密度を切り換えたとき、主走査速度を切り換えるようになっている。しかしながら、これにかぎらず、ドット密度によらず、主走査速度を一定に保つようにしてもよい。
【0086】
表4・表5は、主走査速度を一定に保つ場合における、画素面積率とその面積率を実現するための特性値とを示す表である。
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
このように設定すれば、高密度時の主走査速度を、低密度時の主走査速度の1/2に減速させることが不要となる。従って、画像形成効率を向上することができる。
【0090】
また、印字ヘッドを走査しながらの吐出においては、吐出位置から紙面上にインク滴が到達する着弾位置は走査方向に流れる。従って、往復印字においてはドットのずれを防止するためにドット位置補正が広く用いられているが、補正量は前記キャリッジ速度に大きく影響され、ライン印字途中でキャリッジ速度に応じた補正量を修正する処理は困難を伴うが、主走査速度(キャリッジ速度)を同一にできることにより、固定された補正量とすることが可能となる。
【0091】
また、主走査速度は、印字タンク2から印字ヘッド1へインクを供給するインク供給能力の上限値を超えないように設定されることが好ましい。
【0092】
インクジェットプリンタ10の印字ヘッド1は、インクの供給不足によりノズルからエアーを吸い込んでしまい、吐出不良となることなく正常に吐出することができるインク供給能力を有している。
【0093】
例えば、ノズルピッチ300dpi、インク滴の体積3pLである印字ヘッド1を有するインクジェットプリンタ10を用いて、表4および表5に示す吐出制御を行なった時、以下の3つの場合を比較し、最もインク消費量が多い場合を上回るインク供給能力に設定することにより、キャリッジ速度を変えることなく、ドット密度が低密度および高密度のそれぞれの場合において安定な吐出動作が得られる。
【0094】
なお、表4・5において、1パスとはキャリッジ往路もしくは復路の1走査で画素を形成、2パスとは往復の計2走査で画素を形成する意味である。
【0095】
ここで、上記の3つの場合とは以下のとおりである。
まず1つ目の場合は、インク量消費低減モードであり、300dpiモードでの階調No.4の4滴を用いてインク滴群を構成し、インク滴群周波数6kpps、キャリッジ速度508mm/secにおいて、印字ノズル1つあたりのインク消費量=3pL×4滴×6kppsである。つまり、印字ノズル1つあたりのインク消費量は72nL/secである(〔pL〕×〔k〕=〔nL〕)。
【0096】
次に、2つ目の場合は、高速印字モードであり、300dpiモードでの階調No.7の7滴を用いてインク滴群を構成し、前記インク滴群周波数6kpps、キャリッジ速度508mm/secにおいて、印字ノズル1つあたりのインク消費量=3pL×7滴×6kppsである。つまり、印字ノズル1つあたりのインク消費量は126nL/secである。
【0097】
最後に、3つ目の場合は、往復印字で600dpiモードとし、階調No.12の画素面積率100%、インク滴群周波数12kpps、キャリッジ速度508mm/secにおいて、印字ノズル1つ当たりのインク消費量=3pL×3滴×12kppsである。つまり、印字ノズル1つ当たりのインク消費量は108nL/secである。
【0098】
したがって、上記3つの場合で、印字ノズル1つあたりのインク消費量が最も多いものは、2つ目の場合の126nL/secであり、その2つ目の場合を上回るインク供給能力(前記印字ノズル1つあたりのインク消費量)を、126+β(nL/sec)に設定することにより、上述のようにキャリッジ速度を変えることなく、低密度および高密度のそれぞれの場合において、安定な吐出動作が得られる(βはマージン)。
【0099】
ここで、インク供給能力を、インク吐出周波数(ドット周波数)の上限値で示したものをインクリフィル周波数、印字タンク2に蓄えられているインクがインク滴に滴化される周波数を滴化周波数、インク滴群周波数とインク滴群の最大滴数を掛け合わせたものをインク吐出周波数とする。
【0100】
1滴の体積が3pLのインク滴を連続吐出したときのインクリフィル周波数が70kppsであるとき、インク滴群周波数6kppsにおけるインク滴群の最大滴数を7とすることにより、インク吐出周波数=7×6kpps=42kppsとなり、(インクリフィル周波数70kpps)>(インク吐出周波数42kpps)となる。そして滴化周波数をインクリフィル周波数より大きな値に設定しておけば、例えば、滴化周波数を125kppsとしておけば、即ち、(滴化周波数125kpps)>(インクリフィル周波数70kpps)>(インク吐出周波数42kpps)となり、インク供給不足を生じることなく、高速でかつ安定した印刷が可能となる。
【0101】
また、インクジェットプリンタ10における印字ヘッド1の先端に形成されたインク吐出ノズルのピッチが、画素を構成するドットのドットピッチにおいて最大のドットピッチ以上であることがより好ましい。例えば、図4のインク吐出部41におけるインク吐出ノズル42のピッチ43は、図1の画素100〜114を構成するドットのドットピッチが最大である300dpiに(以上に)設定されている。つまり、できる限りインク吐出ノズルのピッチを粗く設定することで、低濃度画像形成時のようにドット密度が低い場合に、一部使用しない(インクを吐出させない)インク吐出ノズル部が生じるような、つまり、前記インク吐出ノズルを間引いて使用することにより画像形成を行なう必要がなく、前記インク吐出量を有効に利用することができる。
【0102】
また、インクジェットプリンタ10では、インク滴が吐出されて記録媒体に浸透して形成された、浸透後ドット直径をd(μm)、インク滴群のインク量(インク滴の体積)をV(pL)とすると、図9の曲線901に示される、y=26.2×Ln(x)+6.2の関係式904を満たすような、浸透後ドット直径dとインク滴群のインク量Vとの関係となることがより好ましい。なお、曲線902および曲線903は、それぞれ、インク量Vとインク滴径との関係、インク量Vとインク滴の浸透深さとの関係を示している。
【0103】
よって、上記関係式904を満たすことにより、ドットの厚み方向の拡散が、ドットの横方向(図2・3のシート9等の記録媒体の面方向)への拡散に対して同等か、あるいは、その拡散が更に大きくなり、ドットの横方向への拡散による、にじみに起因した画質劣化を防止することができる。
【0104】
すなわち、図10に示すように、前記記録媒体へ吐出されたインク滴121(ここでは4滴)は、重ねられてインク滴122よりも大きなインク滴123となり、そのインク滴123は、前記記録媒体に124のように付着し、前記記録媒体に浸透するとともに、インク滴径が124のように拡散していく。そこで、前記関係式を満たすようにインク滴群のインク吐出量を規定し、インクの浸透量と、ドットの横方向、つまり、記録媒体上におけるインクの拡散とのバランスを考慮することにより、確実にインクのにじみによる画質低下を防止することができる。
【0105】
なお、記録媒体上のインク滴の直径D(インク滴123の直径)は、前記インク体積Vを用いて、D=(2V/(π/6))1 /3と表され、また、インク滴124の直径(有効径)dhは、記録媒体の厚さをt、記録媒体の空隙率をk、インク浸透深さをhとした時、(V/k)=(π/4)×(D+h)2 ×hの式を満たすhを収束計算により求め、dh=D+hの式から算出する。ただし、前記dhを算出する式は、算出値が実測値と合うようにするため、dh=D+2hとせずに、dh=D+hとしている。
【0106】
また、本実施の形態では、インクジェットプリンタ10による印刷処理の際、ドット密度を低密度から高密度へ切り換えるとき以外では、主走査速度を一定に保つとしている。しかしながら、これに限らず、主走査速度を、画像面積率の増加に応じて減少させるようにしてもよい。これにより、印字ヘッド1から噴出するインクの量を一定としたまま印刷を行える。この構成においても、ドット密度を切り換える閾値を適切に設定することで、インク消費量の抑制、あるいは、印刷の高速化を図ることは可能である。
【0107】
すなわち、本発明を、シートに対して記録液のドットからなる画素を形成してゆくことで画像を印刷する印刷装置において、各画素におけるドット密度を決定するドット密度切換部を備え、このドット密度切換部が、所定の閾値以下の面積率を有する画素を形成する場合には、そのドット密度を第1密度とする一方、該閾値より高い面積率を有する画素を形成する際には、そのドット密度を、第1密度よりも高い第2密度とするように設定されている印刷装置と表現することもできる。
【0108】
この印刷装置では、1つの画像を、多数の画素の集合体として形成するようになっている。また、1つの画素は、単独のドット(記録液のドット)、あるいは、所定の密度(ドット密度)で配置された複数のドットの組み合わせによって構成される。
【0109】
ここで、記録液のドットとは、シートに形成する記録液の微小な色点(染み:通常は円形)であり、単数の記録液滴、あるいは複数の記録液滴の重ね合わせから構成される。
また、ドット密度とは、ドット(色点)の配置密度(形成密度)のことであり、1つの画素内における色点の数(ドット数)に応じた値である。
【0110】
また、画像を構成する各画素は、画素面積率という固有の値を有している。ここで、画素面積率とは、各画素内におけるドットの占める面積に応じた値である。すなわち、画素面積率の大きい画素ほど画像が濃い。
【0111】
また、この画素面積率は、記録液滴を重ね合わせてドットを大きくするか、あるいはドット密度を上げて1つの画素内に形成するドット数を増加させることで、高めることが可能である。
【0112】
ところで、一般に、同様の画素面積率を実現する場合、画素内のドット数(ドット密度)を増加させると、ドット密度を小さくする場合に比して、記録液の消費量を低減できる。また、ドット密度を減少させると、印刷を高速で行える。
【0113】
この点を考慮し、上記の印刷装置は、各画素におけるドット密度を決定するドット密度切換部を備えている。そして、このドット密度切換部が、所定の閾値より高い画素面積率を有する画素(高面積画素)を形成する場合には、そのドット密度を、閾値より低い画素面積率を有する画素(低面積画素)の形成時よりも高くするように設定されている。
【0114】
これにより、この印刷装置を用いれば、ユーザーは、閾値を適切に設定することで、2通りの形態での印刷(インク消費量を抑えた印刷、あるいは、高速印刷)を、容易に選択・実行できる。
【0115】
また、本実施の形態では、画素面積率が閾値より小さい場合におけるドット密度(低ドット密度)を300dpiとする一方、閾値以上の場合におけるドット密度(高ドット密度)を600dpiとするとしている。すなわち、画素面積率の値に応じて、ドット密度を2倍(あるいは1/2)とするように切り換えるとしている。しかしながら、インクジェットプリンタ10でのドット密度は、300dpiや600dpiに限らず、他の値に設定してもよい。すなわち、高ドット密度が低ドット密度の何倍となってもよい。
例えば、高ドット密度および低ドット密度を、それぞれ180dpi、450dpiと設定し、高ドット密度を低ドット密度の2.5倍とするようにしてもよい。
【0116】
また、本発明は、複数のインク滴を吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタ等の画像形成装置に関するものであり、特に、画像濃度に応じてインク滴のドット密度を切り替えることで階調制御を行うことができる画像形成装置に関するといえる。
【0117】
また、特開平8−197831号公報の技術(カラージェットインク記録方法)では、マルチドロップ方式を採用し、混色時の流れ込み、にじみ等のない画像形成を行うことができるものの、階調制御方法、特に階調制御時の高速印刷性とインク消費量を両立させる技術の確立までには至っていないといえる。
【0118】
また、本発明の目的を、印字速度を維持しつつ、高濃度の確保、にじみの防止、用紙のインク吸収時間の短縮を図ることができるインクジェットプリンタ等の画像形成装置を提供することである、と表現することもできる。
【0119】
また、本発明を、以下の第1〜第6の画像形成装置として表現することもできる。すなわち、第1の画像形成装置は、複数のインク滴を連続的に吐出するインク吐出手段を備え、該インク吐出手段により形成されたインク滴群により記録媒体上に各ドットを形成することで階調制御を行う画像形成装置において、上記ドットにより形成される画素において、低濃度画像形成時のドット密度に対して、所定の濃度以上の画像形成を行う際には、ドット密度を大きくするドット密度切り替え手段を備え、低濃度画像形成時から高濃度画像形成時への切り替えには主走査速度が固定されている構成である。
【0120】
これにより、例えば、高濃度画像形成時におけるドット密度が、低濃度画像形成時におけるドット密度の2倍である場合でも、高濃度画像形成時における主走査速度を、低濃度画像形成時における主走査速度の固定した速度にすることによりライン途中での切り替えを行うことで単にドット周波数を同一にする主走査速度を設定するよりも、画像形成速度を高速化できる。また、画素濃度に応じて、インク吐出手段から吐出されるインクのドット密度を切り替えることにより、低濃度時にインクのリフィル追従可能な範囲でドット周波数を大きくして画像形成時間を短縮できると共に、高濃度画像形成時にはドット密度を高めることにより、ドット密度の切り替えを行わずにインク吐出量の調整だけで階調制御する場合や、単に1画素を4つのドットに分割して画像形成を行う従来の画像形成装置による画像形成の場合と比較して、インクのにじみの抑制、インクの吸収時間の短縮等による高画質化とインク消費量の低減が可能になる。
【0121】
また、第2の画像形成装置は、第1の画像形成装置において、上記ドット密度切り替えは印字しているラインの途中で切り替え、手段は画素面積率が78%を境界線としてドット密度を切り替える構成である。
【0122】
これにより、画素面積率がドット面積÷画素面積=π/4=78%になった地点(時点)、すなわち、隣接して形成されたドットが連結した場合を切り替えの条件とすることにより、ドット密度を低密度から高密度へと切り替えるまでの幅を広くとることができるため、画像形成を高速化できる。またキャリッジを一定速度で動かし、ライン途中でドット密度を切り替えることによって、画像形成速度を向上させることができる。なお、ドット密度切り替え手段の切り替え地点を画素面積率78%の地点としたのは、できるだけ高速で画像形成を行う上で、画素面積率78%よりも小さい切り替え地点を設けた場合には、ドット密度が高密度になる範囲が広くなり、高速化を図れなくなるためであり、画素面積率78%よりも大きい切り替え地点を設けた場合には、画素面積からドット面積の一部がはみ出すため、隣接するインクとのにじみ等の問題が発生するためである。
【0123】
また、第3の画像形成装置は、第1あるいは第2の画像形成装置において、上記ドット密度における高濃度画像形成時のドット密度は、低濃度画像形成時のドット密度の2倍となる構成である。これにより、低密度印字時と高密度印字時の制御が簡単になる。また、画素面積率50%を高密度化への切り替え条件とすることで、インクの消費量および吸収時間を効果的に削減できる(インク消費量低減モード)。
【0124】
すなわち、画素面積率50%よりも小さい地点を切り替え地点として設定した場合には、切り替え地点におけるドット密度が高密度のインク吐出量よりも低密度のインク吐出量の方が少なくなる。このため、インク吐出量を効果的に低減できない。一方、画素面積率50%より大きい地点を切り替え地点として設定した場合には、反対に、切り替え地点におけるドット密度が高密度のインク吐出量よりも低密度のインク吐出量の方が多くなるため、インク吐出量を効果的に低減できる。よって、インクの消費量低減モードを設定する場合には、切り替え地点を50%に設定することで、最も効果的にインク消費量を低減できる。このように、ドット密度切り替え手段の切り替えを上記の何れかの条件に設定することで、高速画像形成モードとインク消費量低減モードとを使い分けられる。
【0125】
また、第4の画像形成装置は、第1〜第3の画像形成装置において、上記ドットを構成するために1ノズルから吐出するインク滴は、複数のインク滴によりドットが構成されている構成である。これにより、画素の濃度を調整する階調制御を複数のインク滴を記録媒体の画素内の同じ場所に吐出することで、より細かい画素の階調表現が可能となる。
【0126】
また、第5の画像形成装置は、第1〜第4の画像形成装置において、記録媒体上に形成されるインク滴群の関係において、低密度ドットを構成する最大インク滴数>高密度ドットを構成する最大インク滴数である構成である。
インクの供給不足によりノズルからエアーを吸い込んでしまい吐出不良となることなく正常に吐出できる上限の周波数を示すインクリフィル周波数、例えばノズルピッチ300DPIのヘッドで3pLのインク滴を連続吐出したときのリフィル周波数が70Kppsであり、滴化周波数125Kpps、インク滴群の繰り返し周波数6Kppsにおけるインク滴群の最大滴数を7とすることにより、平均吐出周波数=7×6Kpps=42Kppsとなる。すなわち、(滴化周波数125Kpps)>(リフィル周波数70Kpps)>(インク滴群周波数6kpps)とすることにより、インク供給不足を起こすことなく高速で且つ安定した印刷が可能となる。
【0127】
また、第6の画像形成装置は、第1〜第5の画像形成装置において、上記インク吐出手段に設けられたインク吐出ノズルのピッチは、画素密度ピッチに等しいもしくは低くなるように形成されている構成である。これにより、できるだけインク吐出ノズルのピッチを粗く設定することで、低濃度画像形成時のようにドット密度が低い場合でも、インク吐出ノズルを間引いて画像形成する必要はなく、インク吐出ノズルを有効に利用できる。
【0128】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明においては、或る濃度を閾値として、ドット密度を切り換えるドット密度切り換え手段を備え、そのドット密度切り換え手段は、主走査速度を画像形成時の濃度に係わらず一定に保つようにしたので、従来のように画素のドット密度に対応して主走査速度の切り換えを行なうよりも、画像形成速度を画素のドット密度に応じて最適化することができ、全体として高速化することができるようになる。また、記録液のにじみの抑制および記録液の乾燥時間の短縮化を図ることができ、画像の高画質化と記録液の消費量の低減とを図ることができる。
【0129】
また、本発明においては、記録液の消費量を低減するための記録液低消費モードと印字時間を短縮するための高速印字モードとを切り換える、モード切り換え手段を備えているため、画像形成時において、印字時間を短縮することよりも記録液の消費量を低減することの方が重要である場合には、記録液低消費モードを選択し、逆に、記録液の消費量を低減することよりも印字時間を短縮することの方が重要である場合には、高速印字モードを選択することができる。また、前記モード切り換え手段は、高速印字モードでは、隣接して形成されるドットが、互いに外接する場合の濃度を閾値とするため、ドット密度が高密度になり印字速度が低下する範囲を狭くすることができ、また、画素からドットの一部がはみ出して、隣接するドットと干渉することによるにじみ等の発生を防ぐことができるため、画像の高画質化を図りながら、印字の高速化も同時に図ることができる。
【0130】
また、前記モード切り換え手段は、記録液低消費モードでは、高い濃度の画像形成時のドット密度に切り換えた場合における最低の記録液吐出量となる濃度を閾値とすることにより、ドット密度が高密度である時の記録液吐出量よりも、低密度である時の記録液吐出量の方が少なくなるのを防ぐことができ、また、ドット密度が高密度である時の記録液吐出量よりも低密度である時の記録液吐出量の方が多くなるのを防ぐことができるため、ドット密度を切り換えることにより、記録液吐出量を効果的に低減することができる。
【0131】
また、本発明におけるドット密度切り換え手段は、或る閾値より高い濃度の画像形成時のドット密度が、或る閾値より低い濃度の画像形成時のドット密度の或る倍数で一定となるようにすることができるため、ドット密度切り換え手段によるドット密度切り換えの制御を容易にすることができ、そのドット密度切り換え手段の簡素化を図ることができる。
【0132】
また、本発明における記録液吐出手段は、前記記録液吐出手段が備える記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の供給量が、前記記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の消費量より多くなるように制御することができるため、記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の供給量を、記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の消費量より常に多くでき、前記記録液低消費モードまたは高速印字モードの何れにおいても、記録液の供給不足のない、安定した印字を行なうことが可能となる。
【0133】
また、本発明におけるドット密度切り換え手段は、画像の濃度に応じて記録液吐出手段から吐出される記録液の記録液滴群周波数を切り換えることにより、高濃度の画像形成時においても低濃度の画像形成時の主走査速度と同じ速度に保つことができ、また、高濃度の画像形成時においても主走査速度を落とさずに画像形成をすることができるため、画像形成速度を高速化することができる。
【0134】
さらに、本発明における記録液吐出ノズルのピッチは、前記画素を構成するドットのピッチ以下とすることができるので、低濃度の画像形成時のようにドット密度が低い場合においても、記録液吐出ノズルを間引いて使用する必要がなく、前記記録液吐出量を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1画素に対してインク吐出して形成されたドットを階調別に示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像形成装置としてのインクジェットプリンタの主要部を示す斜視図である。
【図3】図2のインクジェットプリンタの断面図である。
【図4】図2および図3のインクジェットプリンタのインク吐出ノズル部を示す平面図である。
【図5】図2および図3のインクジェットプリンタの制御機構のブロック図である。
【図6】図2および図3のインクジェットプリンタのインク低消費モードにおける、インク量、キャリッジ速度および画素面積率の関係を示したグラフである。
【図7】図2および図3のインクジェットプリンタの高速印字モードにおける、インク量、キャリッジ速度および画素面積率の関係を示したグラフである。
【図8】図2および図3のインクジェットプリンタの、印字ヘッドからインクを吐出する工程のフローチャートである。
【図9】浸透後ドット直径とインク体積との関係を示すグラフである。
【図10】記録媒体上のインク滴の拡散を示した平面図である。
【図11】従来における、画素とドットとの関係を示した平面図である。
【符号の説明】
1 印字ヘッド
9 シート
10 インクジェットプリンタ
20 制御部
21 画像処理部(ドット密度切り換え手段,モード切り換え手段)
22 駆動系制御部
41 インク吐出部
42 インク吐出ノズル
Claims (7)
- 記録液滴を連続的に吐出する記録液吐出手段を備え、該記録液吐出手段により形成された記録液の液滴群により記録媒体上に各ドットによる画素を形成することで階調表示を行う画像形成装置において、
或る濃度を閾値として、前記ドットのドット密度を、前記閾値よりも低い濃度の画像形成時には第1のドット密度とし、上記閾値以上の濃度の画像形成時には第1のドット密度よりも高い第2のドット密度に切り換え、このドット密度の切り換えにおいては同じ面積を表すマトリクスを構成する一つのセル自体の大きさを変化させるドット密度切り換え手段と、
印字モードを記録液低消費モード、または高速印字モードに切り換えるモード切り換え手段とを備え、
上記ドット密度切り換え手段は、上記閾値として第1の閾値と第2の閾値とを有し、第1の閾値は、その閾値でドット密度を切り換えた場合に第2の閾値でドット密度を切り換えた場合よりも上記記録液の消費量を低減できるものであり、第2の閾値は、その閾値でドット密度を切り換えた場合に第1の閾値でドット密度を切り換えた場合よりも印字時間を短縮でき、かつ第1の閾値とは異なるものであり、印字モードが記録液低消費モードに切り換えられた場合に上記閾値を第1の閾値に設定する一方、印字モードが高速印字モードに切り換えられた場合に上記閾値を第2の閾値に設定することを特徴とする画像形成装置。 - 上記ドット密度切り換え手段は、高速印字モードでは、隣接して形成されるドットが、互いに外接する場合の濃度を第2の閾値とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 上記ドット密度切り換え手段は、記録液低消費モードでは、ドット密度を第2のドット密度に切り換えた場合における最低の記録液吐出量となる濃度を第1の閾値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 第2のドット密度は第1のドット密度の或る倍数で一定となることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 上記記録液吐出手段は、前記記録液吐出手段が備える記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の供給量が、前記記録液吐出ノズル1個あたりの記録液の消費量より多くなるように制御することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 上記ドット密度切り換え手段は、画像の濃度に応じて記録液吐出手段から吐出される記録液の記録液滴群周波数を切り換えることにより、前記閾値より低い濃度の画像形成時と前記閾値以上の濃度の画像形成時とにおける主走査速度を同じ速度とすることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 上記記録液吐出ノズルのピッチは、前記画素を構成するドットのピッチ以下であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。
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