JP4030741B2 - 電気かみそり - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モーターの回転運動を往復運動に変換する振動子を備えた往復動式の電気かみそりに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種ヘッド部がユニット化された電気かみそりは、特開平8−182872号公報に公知である。そこでは、外刃ホルダー、内刃、モーターおよび駆動機構をユニット化し、この駆動ユニットを本体ケースに上下動可能に、しかも左右方向へは傾動可能に支持している。詳しくは、先の駆動ユニットを独立部品からなる3個の支持脚を介して本体ケースに上下動可能に支持し、支持脚の間に配置したばねで駆動ユニットを押し上げ付勢している。支持脚とモーターケースとは球面座を介して連結されており、さらに駆動ユニットと本体ケースとの間には、傾動を許す隙間が設けてあるので、3個の支持脚はそれぞればねに抗して独立して沈み込みスライドできる。つまり、駆動ユニットは前後、左右、あるいは斜めへの傾動を吸収できるようになっている。
【0003】
本発明の実施例に係る電気かみそりにおいては、2個の内刃を互いに逆方向へ往復駆動する。この種の駆動形態を採る電気かみそりは、特開平10−174789号公報に公知である。そこでは、取付ベースに電池、モーター、振動子などの主要部品を組み付けてユニット化し、このユニット体を本体ケース内に収容している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前者の電気かみそりでは、3組の支持脚とばねとで駆動ユニットを支持するので、駆動ユニットを安定した状態で浮動支持できるものの、駆動ユニットを含む浮動支持構造が複雑になり、組立に多くの手間が掛かるのを避けられない。この点、後者の電気かみそりにみられるように、モーターや振動子などの主要部品を取付ベースに組み付けてユニット化すると組立が簡便に行える。しかし、多くの部品を取付ベースに組み付ける形態を採る限り、かみそりヘッドを浮動支持するのが困難になるのを避けられず、例えば、かみそりヘッドを肌に対して常に密着状態で追随させて効果的にひげ切断を行うことができない。
【0005】
本発明の目的は、主要部品をユニット化して本体ケースに対する組み付けが簡単に行えるようにしながら、効果的にひげを切断できる往復動式の電気かみそりを提供することにある。本発明の目的は、かみそりヘッドをむしろ不安定な状態で浮動支持することによって、かみそりヘッドを肌の面変化に追随させて滑らかに傾動でき、しかもかみそりヘッドを含むユニット体の組立が簡単に行える往復動式の電気かみそりを提供することにある。本発明の目的は、駆動機構部からの駆動騒音の漏洩を抑止して、使用時における騒音レベルを抑止できる電気かみそりを提供することにある。本発明の目的は、使用者のひげの状態や好みに応じて、かみそりヘッドの肌に対する接触状態を硬軟に切り換えることができ、深剃りや剛毛に適した硬い剃り味と、肌にストレスを与えることが少ない軟らかい剃り味とに切り換え可能な電気かみそりを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気かみそりは、筒状の本体ケース1と、本体ケース1に装填される作動ユニット2とからなる。作動ユニット2は、本体ケース1に収容される電装品ユニット2Aと、その上部に設けられるかみそりヘッド2Bとで構成する。かみそりヘッド2Bは、内刃18と、外刃25と、内刃18を外刃25に押し付け付勢する内刃ばね47と、振動子24を収容する駆動台21と、駆動台21の上面開口を覆う台蓋22と、駆動台21の下方に突出形成されるモーターホルダー23に固定されて振動子24を駆動するモーター15とを含む。駆動台21、振動子24、台蓋22、モーターホルダー23およびモーター15が、駆動ユニット16としてユニット化する。
【0007】
本体ケース1に対してかみそりヘッド2Bが弾性体で押し上げ付勢されて上下動自在に浮動支持されている。
【0008】
駆動ユニット16と電装品ユニット2Aの内フレーム11との間に、かみそりヘッド2Bを弾性体の付勢力に抗して抜け止め保持するための可動係合片42と固定係合片43とが設けられている。
【0009】
両係合片42・43が分離した状態において、かみそりヘッド2Bが前後および左右を含む全周囲方向へ首振り自在に支持できるようにモーターホルダー23と内フレーム11との間に、モーターホルダー23の傾動を許す隙間E1が設けてある。
【0010】
駆動台21と台蓋22とで区画される駆動室Rの上下が、モーター15の出力軸26の周囲を封止する第1シール30と、振動子24の連結部24aの周囲を封止する第2シール31とで密封してある。
【0011】
駆動ユニット16と本体ケース1の上部開口との間が、成形パッキンからなる防水シール10で封止されており、本体ケース1の下部開口が、これに装着した底蓋3で水密状に封止されている。
【0012】
かみそりヘッド2Bの押し下げ反力が、内刃18を外刃25へ向かって押し付け付勢する内刃ばね47のばね力Pより大きく設定されている。
【0013】
本体ケース1とかみそりヘッド2Bとの間には、かみそりヘッド2Bの下降移動を阻止するロック機構を設ける。ロック機構は、本体ケース1の外面に設けた切換具8と、駆動ユニット16の側に設けられて切換具8に接当係合する接当部52と、切換具8と接当部52とのいずれか一方に設けられる切欠部51とを含む。切換具8は、接当部52に接当係合してかみそりヘッド2Bの下降移動を阻止するロック位置と、かみそりヘッド2Bの下降移動を許すアンロック位置とに切り換え操作できる。
【0014】
防水シール10の上部周縁は、駆動台21とこれの下面に固定されるモーターホルダー23との接合部に挟持固定されており、防水シール10の下部周縁が、本体ケース1と内フレーム11との接合部に挟持固定されている。本体ケース1の開口周壁59と防水シール10との間には、防水シール10の上方外面を覆うスカート部50を駆動台21から張り出し形成する。切換具8と対向するスカート部50には、接当部52と切欠部51とを形成する。
【0015】
【発明の作用効果】
本発明では、本体ケース1に装填される作動ユニット2を、本体ケース1の内部に収容される電装品ユニット2Aと、その上部に設けられるかみそりヘッド2Bとで構成し、さらに、かみそりヘッド2Bの主要部を構成する部材、すなわち振動子24を収容する駆動台21と、駆動台21の上面開口を覆う台蓋22と、駆動台21の下面に装着されて振動子24を駆動するモーター15を1個の駆動ユニット16としてユニット化したので、駆動ユニット16とかみそりヘッド2Bとの組立が、本体ケース1とは分離した状態で簡単に行える。つまり、箱型の駆動台21と箱型の台蓋22間に振動子24をビス33で共締めできるので、従来例(特開平10−174789号公報)にみられるような、取付ベースに、振動子を仮組み後、その取付ベースを本体ケース内にスライドさせてねじ止めする組み付け方法に比べ、途中振動子が外れてしまうようなリスクが少なく、駆動ユニット16の組み付けを簡単に行うことができる。
【0016】
弾性体でかみそりヘッド2Bを押し上げ付勢して浮動支持したうえで、かみそりヘッド2Bと本体ケース1との間に設けた可動係合片42および固定係合片43で、かみそりヘッド2Bを弾性体の付勢力に抗して抜け止め保持すると、3個の支持脚とばね等でかみそりユニットを浮動支持する従来形式に比べて、浮動支持構造が簡素化し、組立の手間を省くことができ、その分だけ電気かみそりの製造コストを削減できる。
【0017】
かみそりヘッド2Bを弾性体で押し上げ付勢し、かみそりヘッド2Bをむしろ不安定な状態で浮動支持するので、かみそりヘッド2Bを肌の面変化に追随して滑らかに傾動できるうえ、無視できる程度にまで摩擦抵抗を軽減できる。従って、かみそりヘッド2Bのひげ切断面を肌に対して常に密着状態で追随させて効果的にひげ切断を行える。
【0018】
モーターホルダー23と内フレーム11との間に、モーターホルダー23の傾動を許す隙間E1を設けてあると、かみそりヘッド2Bを上下はもちろんのこと前後および左右方向へも傾動できるので、かみそりヘッド2Bを肌面変化に追随して滑らかに傾動でき、そのひげ切断面を肌に対して常に密着する状態で追随させて、さらに効果的にひげ切断を行える。
【0019】
駆動室Rの上下が、モーター15の出力軸26の周囲を封止する第1シール30と、振動子24の連結部24aの周囲を封止する第2シール31とで密封された電気かみそりによれば、モーター15の周辺部と、駆動室Rと、内刃18の周辺部との各空間を第1、第2の両シール30・31で封止し区分して、駆動騒音が各空間の間で漏れ出して共鳴するのを防止でき、従って使用状態における電気かみそりの静粛さを向上できる。
【0020】
駆動ユニット16と本体ケース1の上部開口との間を、成形パッキンからなる防水シール10で封止し、本体ケース1の下部開口を、これに装着した底蓋3で水密状に封止すると、本体ケース1の内部に収容した電装品ユニット2Aを水密状に保持できるので、電気かみそりが水洗い可能となり、異物が本体ケース1内に入り込むことによる接触不良などの電気的な故障も確実に防止して、長期使用時の信頼性が向上する。
【0021】
かみそりヘッド2Bの押し下げ反力を、内刃18を押し付け付勢する内刃ばね47のばね力Pよりも大きく設定した電気かみそりによれば、使用状態において、まず内刃18と外刃25とが沈み込み、その沈み込み反力が一定値を越えて初めてかみそりヘッド2Bが沈み込む。このように肌に直接当っている外刃25と内刃18とを最初に沈み込ませると、肌の面変化や、ひげ切断面の傾きに即応して外刃25と内刃18とを追随させて、ひげ切断を効果的に行うことができる。
【0022】
本体ケース1とかみそりヘッド2Bとの間にロック機構を設け、その切換具8を切り換え操作することにより、かみそりヘッド2Bを下降移動不能にロック保持し、あるいはロック状態を解除して下降移動可能なものとすると、かみそりヘッド2Bの肌に対する接触状態が、深そりや剛毛を剃るのに適した硬い状態と、肌にストレスを与えることの少ない軟らかい状態とに切り換えられる。従って、使用者のひげの状態や好みに応じてかみそりヘッド2Bの沈み込みを制御できる。
【0023】
駆動台21とモーターホルダー23との接合部に防水シール10の上部周縁を挟持固定し、さらに本体ケース1と内フレーム11との接合部に防水シール10の下部周縁を挟持固定すると、作動ユニット2を本体ケース1に差し込み装填するだけで、防水シール10の下部周縁を適正に圧縮変形させて本体ケース1の内部を封止できる。防水シール10の上方外面をスカート部50で覆うことにより、本体ケース1とかみそりヘッド2Bとの隙間から防水シール10が見えるのを防止して、電気かみそりの外観上の体裁が向上する。さらに、スカート部50を利用してロック機構の接当部52と切欠部51とを形成するので、かみそりヘッド2Bの構造が複雑になるのを避けながら、ロック機能を確実に発揮させることができる。
【0024】
【実施例】
図面は本発明に係る水洗い可能な往復動式の電気かみそりの実施例を示す。図2ないし図4において電気かみそりは、上面および下面が開口する筒状の本体ケース1と、本体ケース1に対して差し込み装填される作動ユニット2と、下面側のケース開口を塞ぐ底蓋3と、本体ケース1の外側前面に装着されるモーター起動用のスイッチノブ4と、ケース後面の上下に配置されるきわぞり刃ユニット5および切換ノブ6などを備えている。符号7は充電表示用の表示体、8はかみそりヘッド2Bの肌に対する接触状態を硬軟に切り換えるための切換具である。
【0025】
作動ユニット2は、本体ケース1内に封入される下半側の電装品ユニット2Aと、その上部に設けられるかみそりヘッド2Bとに大別される。電装品ユニット2Aは、図5および図6に示すごとくプラスチック成形品からなる内フレーム11に、回路基板12と、2次電池13などを組み付けて構成してある。回路基板12には、先のスイッチノブ4で切り換え操作されるスイッチ14や、LED、および電子部品等が実装してある。作動ユニット2を本体ケース1内に装填し、電装品ユニット2Aと本体ケース1に内嵌した底蓋3とをビスで締結し、底蓋3側の接合部と締結部をOリングやパッキンでシールし、本体ケース1の上部開口面の側を防水シール10で封止することにより、電装品ユニット2A側への水の浸入を阻止し、かみそりヘッド2Bの水洗いを可能としている。後述するように、防水シール10は、かみそりヘッド2Bを押し上げ付勢するゴム製弾性材を兼ねる。その他、充電表示用の表示体7の本体開口部は表示体7の超音波溶着により封止されており、また、スイッチ14を駆動するスイッチノブ4用の本体開口部も図示していないがパッキンで封止されている。
【0026】
図8において、かみそりヘッド2Bは、モーター15を含む駆動ユニット16と、駆動ユニット16に対して着脱可能に装着される外刃ホルダー17と、前後一対の内刃18、およびセンター刃19などで構成する。駆動ユニット16は、図9に示すごとく上下面が開口した箱型の駆動台21と、その上面開口を覆う上下面が開口した箱型の台蓋22とを基体にして構成されており、駆動台21と、その下面に固定したモーターホルダー23とでモーター15を固定する。駆動台21の内部には、図11に示すごとく前後一対の振動子24・24が配置してあり、モーター15の出力軸26に固定した上下のカム片で、各振動子24を互いに逆向きに往復駆動する。図4に示すように、ケース後ろ側に位置する振動子24には、センター刃19を駆動するための駆動アーム27と、きわぞり刃を駆動するための駆動爪28とを設けてある。外刃25とセンター刃19とは、それぞれ外刃ホルダー17に組み付けてある。
【0027】
通常の使用状態において、駆動台21と台蓋22とで区画される駆動室Rから駆動騒音が漏洩するのを防止し、さらに毛屑や洗浄時の水が駆動室Rへ浸入するのを防止するために、駆動室Rの上下を2種のシールで封止する。詳しくは、図11に示すごとくモーター15の出力軸26と駆動台21との間を第1シール30で封止し、振動子24の連結部24aと台蓋22との間を第2シール31で封止する。第1・第2の両シール30・31は、それぞれゴム製の成形パッキンからなる。モーターホルダー23は駆動台21の下面に配置されて、下面側からねじ込まれるビス32(図10参照)で駆動台21と一体化するが、そのとき図11に示すように第1シール30の外周縁壁をモーター15の端壁と駆動台21の下面とで挟持固定する。同様に、防水シール10の上部周縁をモーターホルダー23のシール壁23aと駆動台21の下面との間に挟持固定する。台蓋22は、その上面側からねじ込まれるビス33で駆動台21に締結するが、台蓋22の上面を覆う金属板製のカバー34と台蓋32とで第2シール31の周縁を挟持固定する。カバー34と各振動子24とは、ビス33を利用して共締め固定してある。図11において符号35はビス33用のOリングである。このように駆動台21と台蓋22間に振動子24を共締めする本構造によれば、従来例(特開平10−174789号公報)にみられるような、取付ベースに、振動子を仮組み後、その取付ベースを本体ケースにスライドさせてねじ止めする組み付け方法に比べ、途中振動子が外れてしまうようなリスクが少なく、駆動ユニット16の組み付けを簡単に行うことができる。
【0028】
かみそりヘッド2Bを上下、左右、前後、あるいは斜め方向へ傾動可能とするために、先の駆動ユニット16と内フレーム11との間には浮動支持構造を設けてある。詳しくは、図10に示すごとく内フレーム11の上部に周回状のシール枠37と左右一対の受座38とを設け、左右の受座38に載置した一対の圧縮コイル形のばね39でモーターホルダー23を支持し、さらに防水シール10の下側周縁をシール枠37のシール溝40に嵌め込んでいる。このように傾動可能な状態を維持しながら、ばね39の付勢力に抗して、モーターホルダー23を内フレーム11に対して分離不能に組むために、モーターホルダー23のシール壁23aの下部に前後一対の抜け止め用の可動係合片42が突設されている。さらに、内フレーム11の受座38の前後に、可動係合片37の受け止め係合を許す固定係合片43が突設されている。
【0029】
上記のように、かみそりヘッド2Bをシール枠37の上方から内フレーム11の上装填部内に組み付けることにより、電装品ユニット2Aとかみそりヘッド2Bとを一体化した作動ユニット2を得る。この作動ユニット2を、本体ケース1に対して組み付けることにより、電気かみそりの組立の大半が終了する。従って、全体として組立に要する手間を省くことができる。また、本体ケース1に組み込む前に駆動ユニット16や作動ユニット2の動作を確認することができるので、組立ミスや動作不良などを早い段階で発見して、組立作業の信頼性を向上できるうえ、組立後の完成品検査を簡略化できる点でも有利である。この作動ユニット2を本体ケース1に組み込んだ状態において、図11に示すようにシール枠37に填め込んだ防水シール10の下側周縁の外面が、本体ケース1の開口内面に設けた内シール壁44と接当して、かみそりヘッド2Bと本体ケース1との間を封止する。この封止状態においては、本体ケース1の内部は密閉されて、空気の出入りは制限される。2次電池の充電時に発生する水素ガスを放出するために、本体ケース1の前面下部には図4に示すごとくガス放出口45が開口しており、その外面がガスの通過は許すが水の通過は阻止できる膜体46で塞がれている。かみそりヘッド2Bがばね39に抗して上下するとき、膜体46を介して空気が出入りするが、その通過量は僅かであるので、かみそりヘッド2Bの押し下げ反力は大きい。具体的には、内刃18を外刃25に押し付け付勢する内刃ばね47(図8参照)のばね力に比べて、かみそりヘッド2Bの押し下げ反力(ばね39と防水シール10によるばね力)を大きく設定している。なお、上記した膜体46によるエアダンパー効果により、さらにかみそりヘッド2Bの押し下げ反力は大きくなっている。その関係は、内刃ばね47が縮む過程で内刃ばね47のばね力は上昇するが、その上昇途中のある時点で、内刃ばね47のばね力がヘッド2Bの押下げ反力に勝るときが来るように設定している。従って、ひげそり時に、外刃25に押し下げ力が加わった場合、まず内刃18と外刃25とが沈み、ある時点になればかみそりヘッド2Bが沈むことになる。その後は、この繰り返しの動作となる。つまり、ひげそり時に、外刃25に押し下げ力が加わった場合、かみそりヘッド2Bの沈み量に比べ内刃18と外刃25の沈み量の方が大きくなるよう動作する。従って、肌の面変化や、ひげ切断面の傾きに即応して外刃25と内刃18とを追随させて、ひげ切断を効果的に行うことができる。内刃18と外刃25が沈み込み限界点まで下がるあるいは若干の上下のあそびをもって固定されたセンター刃19や外刃ホルダー17の上端に肌面が当接すると、外刃25に加わる押し下げ力はダイレクトにばね39と防水シール10に加わり、ヘッド2Bはその力で沈み込み限界点まで押し下げられる。以上は、前側の内刃ばね47とばね39・防水シール10の関係について述べたものであるが、後側の内刃ばね47とばね39・防水シール10の関係についても同じであり、さらに、前後の内刃18・外刃25を同時に肌面に当接した場合も同じ関係となっている。
【0030】
使用者のひげの状態や好みに応じて、かみそりヘッドの肌に対する接触状態を硬軟に切り換えるために、かみそりヘッド2Bの下降移動を阻止できるロック機構が、かみそりヘッド2Bと本体ケース1との間に設けてある。図12においてロック機構は、本体ケース1の前面上部に左右スライド自在に設けた切換具8と、駆動台21の下部に周回状に張り出したスカート部50の前面に形成した切欠部51と、切欠部51に隣接する接当部52とで構成する。
【0031】
図12に示すように、切換具8は、小判型のノブ53と、その内面に突設した4個の脚片54と、係合ピン55とを備えており、4個の脚片54を本体ケース1に設けたスライド溝56の上下縁に係合することにより、スライド溝56に沿って左右スライドできる。スライド溝56の内部には、係合ピン55の上下周面に接当する節動腕57が一体に設けてある。図12(a)に示すように、切換具8をアンロック位置へスライド操作した状態では、係合ピン55が切欠部51の真下に位置しているので、かみそりヘッド2Bは下降移動できる。この状態から図12(b)に示すように切換具8をロック位置へスライド操作すると、係合ピン55が接当部52の真下へ移動して、スカート部50の下面を受け止めるので、かみそりヘッド2Bは下降移動できない。
【0032】
上記のスカート部50は、本体ケース1の上部開口を介して防水シール10が見えるのを遮って、電気かみそりの外観状態を向上することにも役立っている。また、かみそりヘッド2Bが沈み込むとき、防水シール10の周壁は外膨らみ状に膨張しようとするが、先の切欠部51に臨むシール周壁は、切り欠き空間内へ入り込むようにして弾性変形できるので、かみそりヘッド2Bは円滑に沈み込み移動できる。上記したように防水シール10は、浮動支持用のばね39と協同して、かみそりヘッド2Bを押し上げ付勢することにも役立っている。因みに、ばね39の張力特性は直線的に変化するが、防水シール10の場合には、その撓み量が増えるほど変形応力が急増し、変形応力は2次曲線状に変化する。従って左右一対のばね39と防水シール10とでかみそりヘッド2Bを押し上げ付勢すると、かみそりヘッド2Bの沈み込みストロークが増えるほど、押し下げ反力を大きくでき、ばね39が過剰に変形するのを防止して、長期にわたってばね特性を適正状態に維持する。また、かみそりヘッド2Bの沈み込みストロークが増えるほど、押し下げ反力が大きくなるので、かみそりヘッド2Bの肌に対する密着度が高まる。防水シール10は、モーターホルダー23の全周を囲繞封止する形態であり、かみそりヘッド2Bが前後、左右に傾倒した際、元の中央位置に戻そうとする働きもある。
【0033】
かみそりヘッド2Bが傾動するとき、図13に示すように駆動台21の周囲に張り出し形成されたスカート部50とモーターホルダー23とが同行傾動する。この傾動を許すために、図3に示すようにモーターホルダー23と内フレーム11との間に隙間E1を設け、さらにスカート部50と、本体ケース1の内シール壁44の開口外面を囲む開口周壁59との間に、隙間E2が設けられている。
【0034】
電気かみそりの使用時には、肌やひげの状態に応じて切換具8をロック位置とアンロック位置とのいずれかに切り換えて、かみそりヘッド2Bの押し下げ反力を硬軟いずれかに設定する。例えば、普通にひげそりを行う場合には、ノブ53をアンロック位置に位置させる。このとき係合ピン55は、切欠部51の真下に位置するので、かみそりヘッド2Bは小さな力で沈み込み移動でき、肌に密着しやすくなる。また、剛毛を剃る場合や深ぞりを行う場合には、ノブ53をロック位置にスライド操作して、係合ピン55で接当部52を受け止め、かみそりヘッド2Bの沈み込みを規制し、以て深ぞりできるようにする。
【0035】
因みに、かみそりヘッド2Bをばね39の付勢力に抗して押し下げ操作した状態においては、可動係合片42と固定係合片43とが分離するので、かみそりヘッド2Bは2個のばね39と防水シール10のみで支えられた状態、つまり極めて不安定な状態で支えられていることになる。従って、かみそりヘッド2Bは、外力に従って上下、前後、左右方向、あるいは斜めに傾動するしかなく、その結果、ひげ切断面を肌に対して滑らかに追随させることができることになる。
【0036】
上記の実施例では、モーター15を駆動台21とモーターホルダー23とで挟持固定したが、例えばモーター15を駆動台21に直接ビスで締結固定してもよい。切換具8は左右または上下にスライド切り換えする形態である必要はなく、揺動切り換えする形態や、押し込み操作して切り換える形態、あるいは回転ダイヤル状に構成することができる。係合ピン55をスカート部50側に設け、切欠部51と接当部52とをノブ53側に設けてもよい。センター刃19は省略することができ、内刃18は少なくとも1個あればよい。また実施例のように、かみそりヘッド2Bを本体ケース1に対して浮動支持する構成に限らず、かみそりヘッド2Bを本体ケース1に固定する構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】かみそりヘッドまわりを分解した状態での縦断正面図
【図2】全体の正面図
【図3】全体の縦断正面図
【図4】全体の縦断側面図
【図5】本体ケースと作動ユニットとを示す側面図
【図6】全体の構成部材を分離した状態での正面図
【図7】かみそりヘッドを分解した状態での側面図
【図8】駆動ユニットまわりの分解斜視図
【図9】駆動台と台蓋とを分解した状態での斜視図
【図10】モーターホルダーと内ケースとの関係を示す分解斜視図
【図11】駆動ユニットまわりの要部の縦断正面図
【図12】切換具をケース内面側から見た背面図
【図13】かみそりヘッドの傾動状態を示す一部切り欠き縦断正面図
【符号の説明】
1 本体ケース
2 作動ユニット
2A 電装品ユニット
2B かみそりユニット
3 底蓋
8 切換具
10 防水シール
11 内フレーム
15 モーター
16 駆動ユニット
18 内刃
21 駆動台
22 台蓋
23 モーターホルダー
24 振動子
24a 振動子の連結部
25 外刃
26 出力軸
30 第1シール
31 第2シール
39 ばね
42 可動係合片
43 固定係合片
47 内刃ばね
50 スカート部
51 切欠部
52 接当部
59 本体ケースの開口周壁
R 駆動室
E1 隙間

Claims (6)

  1. 筒状の本体ケース1と、本体ケース1に装填される作動ユニット2とからなり、
    作動ユニット2は、本体ケース1に収容される電装品ユニット2Aと、その上部に設けられるかみそりヘッド2Bとで構成されており、
    かみそりヘッド2Bは、内刃18と、外刃25と、内刃18を外刃25に押し付け付勢する内刃ばね47と、振動子24を収容する駆動台21と、駆動台21の上面開口を覆う台蓋22と、駆動台21の下方に突出形成されるモーターホルダー23に固定されて振動子24を駆動するモーター15とを含み、
    駆動台21、振動子24、台蓋22、モーターホルダー23およびモーター15が、駆動ユニット16としてユニット化してあり、
    本体ケース1に対してかみそりヘッド2Bが弾性体で押し上げ付勢されて上下動自在に浮動支持されており、
    駆動ユニット16と電装品ユニット2Aの内フレーム11との間に、かみそりヘッド2Bを弾性体の付勢力に抗して抜け止め保持するための可動係合片42と固定係合片43とが設けられており、
    両係合片42・43が分離した状態において、かみそりヘッド2Bが前後および左右を含む全周囲方向へ首振り自在に支持できるようにモーターホルダー23と内フレーム11との間に、モーターホルダー23の傾動を許す隙間E1が設けてある電気かみそり。
  2. 駆動台21と台蓋22とで区画される駆動室Rの上下が、モーター15の出力軸26の周囲を封止する第1シール30と、振動子24の連結部24aの周囲を封止する第2シール31とで密封してある請求項1記載の電気かみそり。
  3. 駆動ユニット16と本体ケース1の上部開口との間が、成形パッキンからなる防水シール10で封止されており、
    本体ケース1の下部開口が、これに装着した底蓋3で水密状に封止されている請求項1または2記載の電気かみそり。
  4. かみそりヘッド2Bの押し下げ反力が、内刃18を外刃25へ向かって押し付け付勢する内刃ばね47のばね力Pより大きく設定されている請求項1、2または3記載の電気かみそり。
  5. 本体ケース1とかみそりヘッド2Bとの間に、かみそりヘッド2Bの下降移動を阻止するロック機構が設けられており、
    ロック機構が、本体ケース1の外面に設けた切換具8と、駆動ユニット16の側に設けられて切換具8に接当係合する接当部52と、切換具8と接当部52とのいずれか一方に設けられる切欠部51とを含み、
    切換具8が、接当部52に接当係合してかみそりヘッド2Bの下降移動を阻止するロック位置と、かみそりヘッド2Bの下降移動を許すアンロック位置とに切り換え操作できる請求項1から4のいずれかに記載の電気かみそり。
  6. 防水シール10の上部周縁が、駆動台21とこれの下面に固定されるモーターホルダー23との接合部に挟持固定されており、
    防水シール10の下部周縁が、本体ケース1と内フレーム11との接合部に挟持固定されており、
    本体ケース1の開口周壁59と防水シール10との間に、防水シール10の上方外面を覆うスカート部50が駆動台21から張り出し形成されており、
    切換具8と対向するスカート部50に、接当部52と切欠部51とが形成されている請求項5記載の電気かみそり。
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