JP4832726B2 - 電気かみそり - Google Patents

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Description

本発明は、ヘッドユニットが本体ケースに対して傾動可能に支持されている電気かみそりに関する。
電気かみそりの分野において、切断刃を含むヘッドユニットを、本体ケースに対して傾動可能に浮動することは、例えば本出願人の出願に係る特許文献1等に公知である。そこでは、モーター台の上下にかみそりヘッドとモーターを組み付けてヘッドユニットを構成し、モーター台とケース本体との間に設けた左右一対のばねで、ヘッドユニットを浮動可能に支持している。特許文献2には、上下および左右方向へ浮動できる電気かみそりが開示されている。そこでは、モーターケースにモーターとかみそりヘッドを組み付けてこれら三者を1個のヘッドユニットとして構成し、ヘッドユニットを本体ケースで浮動可能に支持している。詳しくは、三角形状に配置した3個の支持脚を本体ケースで上下スライド自在に支持し、支持脚の間に配置したばねでモーターケースを押し上げ付勢している。支持脚とモーターケースとは球面座を介して連結されており、3個の球面座でヘッドユニットの前後、左右、あるいは斜めへの傾動を吸収できるようになっている。
特開2000−14943号公報 特開平8−182872号公報
上記特許文献のような電気かみそりにおいては、ヘッドユニットと本体ケースと間に、ヘッドユニットの傾動を許す微小な遊動隙間が設けられている。このため、ヘッドユニットが傾動限界まで傾動操作されたときに、その下端部が本体ケースの上端開口縁に接触するたびに、「カツカツ」と耳障りな騒音を発するところに問題がある。
本発明の目的は、ヘッドユニットが本体ケースに対して傾動可能に支持されている電気かみそりにおいて、ヘッドユニットの下端部が本体ケースの上端開口周縁に直接的に接触することを防ぎ、したがって当該接触に起因する「カツカツ」という騒音の発生を防いで電気かみそりの静粛性の向上を図ることにある。
本発明は、図1ないし図3に示すごとく、ヘッドユニット2が本体ケース1に対して傾動可能に支持されていて、該本体ケース1の上端開口縁とヘッドユニット2との間に、ヘッドユニット2の傾動を許す隙間Sが設けられている電気かみそりにおいて、この隙間Sを封止するように、ヘッドユニット2の下端縁の内面から本体ケース1の上端縁の内面に至る、筒状の弾性カバー101が配置されていることを特徴とする。弾性カバー101の素材としては、ゴム、シリコン、エラストマー樹脂などの各種弾性素材を挙げることができる。弾性カバー101は、ヘッドユニット2の下端に係合装着されて、該弾性カバー101と別体に形成された骨材104を介して、ヘッドユニット2に掛止固定されており、弾性カバー101の筒壁118が、骨材104に設けられた上下に長い面壁114で、内方側から裏打ち状に支持されている。筒壁118の下端部分が、面壁114で支持されないフリー状態となるようにしている。


具体的には、図1、図7および図8に示すごとく、弾性カバー101の筒壁の上部がヘッドユニット2の下端に装着されていて、弾性カバー101の筒壁の下部が本体ケース1内でフリー状態となる形態を採ることが好ましい。
図7および図8に示すごとく、弾性カバー101の筒壁の下部周縁は、本体ケース1の内面に近接若しくは当接するようにすることが好ましい。
図2に示すごとく、本体ケース1の前壁の上端開口周縁には、V字状の凹部100が下凹み状に形成されており、図7および図8に示すごとく、この凹部100を含む本体ケース1の上端開口縁とヘッドユニット2の下端との間の隙間Sを封止するため、弾性カバー101の前方側の筒壁118が上下方向に長く形成されており、下端部分を除く前方側の筒壁118が、骨材104に設けられた上下に長い面壁114で、内方側から裏打ち状に支持された形態を採ることができる。
本発明のように、ヘッドユニット2の下端縁の内面から本体ケース1の上端縁の内面に至る弾性カバー101で隙間Sを封止してあると、ヘッドユニット2が本体ケース1に対して傾動限界まで傾動操作されたときにも、その下端部が本体ケース2の上端開口縁に直接的に接触することがなく、したがって、これらヘッドユニット2の下端部と本体ケース1の上端開口縁との接触に起因する、「カツカツ」といったような耳障りな騒音の発生を確実に防ぐことができる。加えて、図8に示すように、弾性変形したカバー101で隙間Sを封止できるので、毛屑や塵埃の本体ケース1内への侵入を効果的に防いで、動作不良の発生を抑えることができる。
弾性カバー101の筒壁の上部のみがヘッドユニット2の下端に装着されていて、弾性カバー101の筒壁の下部が本体ケース1内でフリー状態となるようにしてあると、弾性カバー101の上部だけでなく下部をも本体ケース1に装着する形態に比べて、本体ケース1に対するヘッドユニット2の組み立て作業をより少ない手間で作業効率良く進めることができる。これは電気かみそりの製造コストの低減化に資する。また、弾性カバー101の上下両端を固定する形態に比べて、弾性カバー101を破れ難くできるため、電気かみそりの耐久性向上を図ることができる。
弾性カバー101の筒壁の下部周縁が、本体ケース1の内面に近接若しくは当接するようにしてあると、隙間Sを完全に封止して、外観体裁の向上を図ることができる。本体ケース1内への毛屑や塵埃の侵入を効果的に防いで、動作不良の発生を抑えることもできる。
弾性カバー101の筒壁が、骨材104に設けられた上下に長い面壁114で、内方側から裏打ち状に支持されていると、弾性カバー101がケース内方へ大きく凹むなどのように、弾性カバー101が歪に変形することをよく防ぐことができる。したがって、この点でも電気かみそりの外観体裁の向上を図ることができる。
本体ケース1の前壁の上端開口周縁に、V字状の凹部100が下凹み状に形成されていると、ヘッドユニット2が前方側へ大きく傾くように、ひげ切断姿勢を大きく変形させることができる。この場合には、前方側の筒壁118が上下方向に長く形成された弾性カバー101を用いれば、凹部100を含む本体ケース1の上端開口縁とヘッドユニット2の下端との間の隙間Sを完全に封止することができる。そのうえで、弾性カバー101の筒壁の上下寸法が大きくなると、弾性カバー101がケース内方へ大きく凹むなどのごとく弾性カバー101が歪に変形しやすい。これに対して本発明のように、弾性カバー101の前方側の筒壁118が骨材104に設けられた上下に長い面壁114で内方側から裏打ち状に支持されていると、かかる不具合をよく防ぐことができる。加えて、骨材104の面壁114が弾性カバー101の前方側の筒壁118の全面を支持する形態を採った場合には、弾性カバー101の可撓性が損なわれて、ヘッドユニット2のスムーズな姿勢変形が妨げられやすいが、本発明のように弾性カバー101の下端部分は骨材104で支持されないフリー状態となるようにしてあると、当該下端部分でもってヘッドユニット2のスムーズな姿勢変形を良好に確保できる。
図1ないし図11は本発明に係るロータリー式の電気かみそりの実施形態を示す。図2ないし図4において電気かみそりは、本体ケース1と、その上部に設けられるヘッドユニット2と、本体ケース1内に収容される電装品ユニット3とを含む。本体ケース1の前面および側面には、モーター起動用のスイッチボタン5やモード切替用のセレクトスイッチ6、さらに各種の表示体が設けられている。図3において、本体ケース1の背面側にはきわぞり刃7と、きわぞり刃7を使用姿勢へ押上げ操作するスライドノブ9とを設けてある。
図4に示すように、電装品ユニット4は、内フレーム11と、その前後面に配置される回路基板12および左右一対の二次電池13と、回路基板12に実装されるスイッチ、および複数個の表示用LEDなどで構成してある。本体ケース1は、上面のみが開口する有底筒状の筒ケースからなり、その内部に電装品ユニット3が装填され、ケース底壁に挿通したビス14を電装品ユニット3の下端のねじボスにねじ込むことにより、電装品ユニット3を本体ケース1と一体化できる。ビス14および底壁に露出する充電用のプラグピン15は、それぞれシールリングで水密状に封止してある。
図1および図5においてヘッドユニット2は、横置き配置したモーター20と、モーター動力を前後一対のメイン刃(切断刃)21に伝える第1伝動系と、モーター動力をメイン刃21の間に配置したセンター刃22に伝動する第2伝動系と、モーター20および両伝動系の構成部品を収容するケース群などで構成されている。
図5に示すように、第1伝動系は、前段減速機構と、同機構とメイン刃21との間に配置される巻掛伝動機構などで構成する。前段減速機構は、太陽歯車25と、遊星歯車26と、遊星フレーム27と、内歯歯車28、および減速ケース29を構成要素とする遊星歯車機構とからなり、減速した動力を遊星フレーム27に固定した減速軸30で出力する。巻掛伝動機構は、減速軸30に固定の原動プーリー32と、従動プーリー33と、両プーリー32・33に巻き掛けたタイミングベルト34とを含む。従動プーリー33は終段軸35に固定してある。終段軸35の反対側の軸端に終段ギヤ36を固定してある。終段ギヤ36で、メイン刃21の内刃21aに固定した内刃ギヤ37が駆動される。
メイン刃21は、前後一対の内刃21aと、外刃ホルダー6に装着の外刃21bとで構成した仕上げ用の切断刃であり、主として短毛を切断する。同様に、センター刃22は、往復駆動される可動内刃22aと、固定支持される固定外刃22bとで構成してあり、長毛やくせ毛を荒剃り切断する。内刃21aはロータリー刃、外刃21bは網刃、可動内刃22aおよび固定外刃22bは断面逆U字状のスリット刃で形成してある。
第2伝動系は、巻掛伝動機構の中途部から分岐されて、回転動力をモーター20の上方へ伝動する。詳しくは、分岐軸40の一端に固定されてタイミングベルト34と噛み合う分岐プーリー41と、分岐軸40の他端に固定したフェースギヤ42と、フェースギヤ42に噛み合う中間ギヤ43と、中間ギヤ43に噛み合うカムギヤ44と、カムギヤ44に一体形成された偏心カム45と、偏心カム45で左右方向に往復駆動される振動子46とで第2伝動系を構成し、振動子46の上面に設けた駆動軸47でセンター刃22の内刃22aを駆動する。振動子46の往復動作は、図7に示す揺動レバー48できわぞり刃7に伝動されて、その可動内刃を駆動する。
きわぞり刃7は、バリカン刃状の固定刃85および可動刃86と、揺動レバー48の動力を受け継ぐ受動片87などを備えており、きわぞり刃7の全体をスライドノブ9で押し上げ操作することにより、受動片87が揺動レバー48の駆動溝49(図7参照)と係合して往復動力を可動刃86に伝える。図6に示すごとく、きわぞり刃7は、常態においては本体ケース1の背面に開設された開口88内にあり、使用時においては、図7に示すように開口88から引き出されて、後ろ方向に伸びる突出姿勢となる。
図8において、符号50はモーター20を収容するモーターケースである。モーターケース50はアルミニウムを素材とするダイキャスト成形品からなり、有底筒状の本体部の下面左右に、後述するフロート台56を締結固定するためのねじボス51が一体に突設してある。
上記構成のヘッドユニット2を前後、左右、上下、斜めの全方位方向へ傾動可能に浮動支持するために、電装品ユニット3の内フレーム11とヘッドユニット2との間には浮動支持構造を設けてある。図6ないし図9において浮動支持構造は、内フレーム11の上部に設けたフロート枠55と、モーターケース50の下部に設けたフロート台56との間に介装されて、ヘッドユニット2を押し上げ付勢する左右一対のばね57と、フロート枠55とフロート台56とを全方位方向へ傾動可能に連結する連結構造とで構成されている。
図8および図9においてフロート枠55は、内フレーム11の電池収容部の上端左右に突設された左右一対の側枠59と、電池収容部の上端前後に突設される前後二組のリブ壁60と、これら両者59・60で支持される横長長円状のシール枠61などで構成してあり、その内底部分にばね57を受け止める一対のばね受ボス62を突設してある。左右の側枠59のそれぞれに、後述する左右の支点ピン70を移行案内するガイド溝64が長円状に形成されている。
図8に示すように、前後一対ずつのリブ壁60によって、後述する前後の支点ピン72を移行案内するガイド溝65を形成してある。前後一対ずつのリブ壁60は、シール枠61の下部内面に突設されているので、前後のガイド溝65の上端は開放されている。図9においてフロート台56は、横長長円状の台本体68を有し、その左右両側に下向きに突出する脚片69を設け、両脚片69の下端外面に左右一対の丸軸からなる支点ピン70を突設し、台本体68の前後中央に下向きに突出する脚片71を設け、両脚片71の下端外面に左右一対の丸軸からなる支点ピン72を突設してなる。台本体68の上端には後述するケースパッキン80を装着するためのシール壁73を形成してあり、その内底にモーターケース50のねじボス51と嵌合する連結穴74が形成されている(図8参照)。連結穴74に臨む台本体68の底面には、フロート台56をモーターケース50に締結するビス75用のボスと、ばね57用のばね受ボス76が突設されている。ばね受ボス76の一方がビス75用のボスを兼ねる。
電装品ユニット3を水密状にシールするために、フロート台56とフロート枠55(内フレーム)との間にケースパッキン80を配置してある。図9においてケースパッキン80は、上下面が開口する成形パッキンからなり、その上部にシール壁73に嵌め込まれる上シール部81を有し、上シール部81の周囲に張り出されたスカート壁82の下部開口にシール枠61に嵌め込まれる下シール部83を一体に備えている。装着状態におけるケースパッキン80は、ヘッドユニット2を中立位置へ戻すための弾性体を兼ねていて、ばね57の復帰付勢作用を補助する。
上シール部81をフロート台56のシール壁73に嵌め込んだ状態で、モーターケース50のねじボス51に連結穴74を嵌合し、ビス75をフロート台56の下面側からねじボス51にねじ込むことによって、図7に示すようにフロート台56をモーターケース50と一体化し、これら両者50・56の接合面をシール壁73でシールすることができる。なお、モーター20用の給電リードは、シール壁73で囲まれた空間を介してモーターケース50から導出され、フロート台56の下方空間へ引き出されて、回路基板12側のリード線と結線される。
上記のように、フロート台56およびケースパッキン80が組み付けられたヘッドユニット2は、前後左右の支点ピン70・72をフロート枠55のガイド溝64・65に組み付けることによって、フロート枠55(内フレーム)と連結される。組み付け時には、フロート枠55内に一対のばね57を装填したのち、左右の支点ピン70の一方をガイド溝64に差し込み係合し、図6に示すようにヘッドユニット2を傾動しながら、脚片69を弾性変形させて他方の支点ピン70をガイド溝64に係合する。このとき、前後のガイド溝65の上端を開放してあるので、単に左右の支点ピン70を左右のガイド溝64に係合するだけで、前後の支点ピン72を対応するガイド溝65に係合させることができる。
以上のような浮動構造を有する電気かみそりによれば、ヘッドユニット2が各支点ピン70・72まわりに回動し、あるいは各支点ピン70・72のひとつ以上がガイド溝64・65に沿って沈み込むことにより、図1および図10に示すようにヘッドユニット2を前後、左右、上下、および斜めの全方位方向へ傾動可能に浮動支持して、ひげ切断面を肌面の変化に円滑に追随させることができる。このように、ヘッドユニット2が上下方向にも傾動可能に構成されていると、従来のヘッドユニット2が前後、左右および斜め方向にのみ傾動可能な形態に比べて、ひげ切断面を肌面の変化により円滑に追随させることができるため、電気かみそりに優れた操作性を付与することができる。肌への負荷を著しく軽減できる点でも有利である。
ばね57の弾性力に逆らって押し込み操作されたヘッドユニット2は、基本的にばね57とケースパッキン80で支えられている。しかし、ヘッドユニット2の傾動姿勢がどのように変化しても、各支点ピン70・72とガイド溝64・65とは、図9に示すように常に係合状態を維持し続けるので、ヘッドユニット2が縦中心軸まわりに旋回するのを確実に防止して、ひげ切断面が不必要に傾動し、ふらつくのを確実に解消する。きわぞり刃8を使用するとき、切断反力を受けたヘッドユニット2が、縦中心軸まわりに往復振動することも解消できる。
そのうえで本実施形態に係る浮動構造においては、不使用時におけるヘッドユニット2の前後方向の不用意な微小揺動を防ぐための規制手段を組み込んである。かかる規制手段は、フロート枠55の前後面に装着されて、支点ピン72・72の上端縁を受け止める前後一対の規制体90・90と、これら規制体90に向けて、押し上げ部材91を介して支点ピン72・72を上方へ付勢する、前後一対のばね92とからなる。
すなわち、図1、図8、図9および図10に示すように、リブ壁60・60の間には、支点ピン72・72の上端縁に係合して、フロート台56の上方への移動限界を規制する前後一対の規制体90・90が、フロート枠55の前後外側から嵌め込み固定されている。図9に示すように、規制体90は、リブ壁60・60の間からフロート枠55の内方に突出し、支点ピン72・72の上端縁を受け止める規制片94と、規制片94の左右両端から後方向に片持ち状に伸びて、リブ壁60を挟持状に係合捕捉する姿勢保持用の左右一対の係合腕95とを含む。規制片94の支点ピンと対向する係合面96は、前下がりの傾斜状に形成されている。ばね92は、ねじりコイル形の押しばねであり、押し上げ部材91を介して支点ピン72・72を上方へ押し上げ付勢する。押し上げ部材91は、支点ピン72・72の下端縁を受け止める前後に長い四角柱状のベース部97と、ベース部97の上面の前後中央部から突出形成されて、脚片69・69の間に嵌め込み装着される装着部98とからなる。ベース部97の下面の前後二箇所には、ばね92の上端を受け入れる微小穴99が凹み形成されている(図7参照)。
以上のような規制手段を浮動支持構造内に組み込んであると、ばね92の押し上げ付勢力により、フロート台56の支点ピン72を規制体90の係合面95に確りと押し付けることができる。したがって、不使用時に電気かみそりの全体を前後方向に揺らしたときにも、ヘッドユニット2が前後方向に不用意にカクカクと揺動することを解消できる。これは、商品イメージの向上と、購買者に対する訴求効果の向上とに資する。
図1および図2において符号Sは、本体ケース1の上端開口周縁とヘッドユニット2との間に設けられたヘッドユニット2の傾動を許す隙間を示しており、本実施形態においては、当該隙間Sを封止するように、ヘッドユニットの下端縁の内面から本体ケースの上端縁の内面に至るように、弾性材製のカバー101を配置してある点が着目される。
すなわち、図1および図11に示すように、ヘッドユニット2の下端部には、下ケース103および、弾性カバー101の保形用の骨材104が装着されており、当該骨材104の上端縁に弾性カバー101が掛止装着されている。下ケース103の下端縁には、モール105が装着されている。本体ケース1の前壁の上端開口周縁には、前方向へのヘッドユニット2の傾動幅を大きくとることを目的として、V字状の凹部100が下凹み状に形成してある。
下ケース103は、前方側の枠壁106のみがV字状に下方に大きく張り出し形成された四角枠状のプラスチック成形品であり、前後の枠壁の内面には、左右方向に長い微小リブ107が内向きに突設されている。ヘッドユニット2の前後の下端四箇所には、下ケース103を係合装着するための係合爪108が下向きに突設されており、該係合爪108を微小リブ107に差し込み係合することにより、下ケース103はヘッドユニット2に装着固定されている。下ケース103の前方側の枠壁106には、化粧パネル109を嵌め込むための開口106aが開設されている。
モール105は、その上端面が下ケース103の枠壁の下端面と合致する四角枠状のプラスチック成形品であり、その左右の四箇所に上向きに突設された係合爪111が、下ケース103の左右の枠壁の内面の四箇所に形成された係合溝112に係合することにより、該下ケース103に対して不離一体的に装着固定される。かかるモール105は、外観性の向上を図ることを目的として配置される。
骨材104は、下ケース103の枠寸法よりも一周り小さな枠寸法を有する四角枠状の本体部113と、該本体部113の前面から下方に向けて大きく張り出し形成されたV字状の面壁114とを備えるプラスチック成形品であり、本体部113の左右から内方向に突設された係合壁115が、ヘッドユニット2の左右の下端四箇所に下向きに突設された係合爪116に係合捕捉されることにより、ヘッドユニット2に一体的に装着固定されている。
弾性カバー101は、上下面が開口する四角筒状のゴム成形品であり、その前方側の筒壁118のみがV字状に下方に大きく張り出している。筒壁の上部には、その略全周にわたって骨材113の枠壁に掛止固定するための掛止片119が設けられている。掛止片119は、筒壁の上端から内向きの水平方向に伸びる上壁と、上壁の内側端から下向きに伸びる側壁とで構成されて、下向きに開口を有する断面コ字形をなしており、骨材104の枠壁で上壁の内面が受け止められるように掛止片119を上方から嵌め込むことによって、弾性カバー101と骨材104と一体化することができる。このように骨材104と弾性カバー101とを一体化したうえで、骨材104をヘッドユニット2に装着させるとともに、下ケース103をヘッドユニット2に装着することで、これら下ケース103、弾性カバー101および骨材104をヘッドユニット2に一体化することができる。かかる組み付け状態において、骨材104は下ケース103よりも内方側に位置しており、下ケース103の前方側の枠壁106と骨材104の面壁114とで、内外方向から弾性カバー101の前方側の筒壁118を挟んでいる。図に示すように、弾性カバー101の前方側の筒壁118の下方向への突出寸法は、下ケース103の前方側の枠壁106および骨材104の面壁114のそれよりも大きく設定されており、したがって、筒壁118の下端周縁は可撓変形可能なフリー状態にある。
ヘッドユニット2を本体ケース1に組み付ける際、すなわち、上述のごとく前後左右の支点ピン70・72をフロート枠55のガイド溝64・65に組み付けて、本体ケース1側のフロート枠55と連結する際には、フリー状態にある弾性カバー101の下端周縁が本体ケース1内にくるように位置合わせしながら組み付け作業を行う。これにて、ヘッドユニット2の下端縁の内面から本体ケース1の上端縁の内面に至るように配置された弾性カバー101により、隙間Sを完全に封止することができる。弾性カバー101の筒壁118の下部周縁は、本体ケース1の内面に当接あるいは近接した状態にある。
以上のように弾性カバー100で隙間Sを封止してあると、ヘッドユニット2が本体ケース1に対して傾動限界まで傾動操作されたときにも、その下端部が本体ケース2の上端開口縁に直接的に接触することがない。したがって、両者1・2の接触に起因する「カツカツ」というような耳障りな騒音の発生を抑えて、静粛性の向上を図ることができる。また、ヘッドユニット2のモーター20の振動が本体ケース2に直接的に伝播することがなく、したがって、本体ケース1を握る手に不快感を与えることもない。弾性変形したカバー101で隙間Sを封止することができるので、毛屑や塵埃の本体ケース1内への侵入を効果的に防ぐことができる。
弾性カバー101の筒壁の上部のみがヘッドユニット2の下端に装着されていて、弾性カバー101の筒壁の下部が本体ケース1内でフリー状態となるようにしてあると、弾性カバー101の上部だけでなく下部も本体ケース1に装着する形態に比べて、本体ケース1に対するヘッドユニット2の組み立て作業をより少ない手間で作業効率良く進めることができる。また、弾性カバー101の上下両端を装着する形態に比べて、弾性カバー101が破れ難くできるので、電気かみそりの耐久性向上を図ることができる。
弾性カバー101の筒壁の下部周縁が、本体ケース1の内面に近接若しくは当接するようにしてあると、隙間Sを完全に封止して、外観体裁の向上を図ることができる。本体ケース1内への毛屑や塵埃の侵入を効果的に防ぐこともできる。具体的には、これら弾性カバー101と本体ケース1の内面との対向間隔寸法は、0.5mm以下であることが好ましく、当該数値範囲とすることにより、上記のような作用効果を得ることができる。
とくに、弾性カバー101の筒壁の下部全周が本体ケース1の内面に、該カバー101の弾性力でもって当接していると、すなわち弾性カバー101が本体ケース1の内面に押し付けられるようになっていると、隙間Sからの毛屑や塵埃の侵入を完全に防ぐことができる。尤も、毛屑等が隙間Sから侵入した場合でも、弾性カバー101が返しになっているため隙間Sから毛屑等が逆流することはない。しかも本実施形態に係る電気かみそりでは、隙間Sから侵入した毛屑等は、水洗い時にきわぞり刃7用の開口88から排出されるため、使用者に不快感を与える不具合は一切ない。
弾性カバー101の前方側の筒壁118が、骨材104に設けられた上下に長い面壁114で、内方側から裏打ち状に支持されていると、当該筒壁118がケース内方へ大きく凹むなどのように、弾性カバー101が歪に変形することをよく防ぐことができる。したがって、この点でも電気かみそりの外観体裁の向上を図ることができる。
本体ケース1の前壁の上端開口周縁に、V字状の凹部100が下凹み状に形成されていると、ヘッドユニット2が前方側へ大きく傾くように、ひげ切断姿勢を大きく変形させることができる。弾性カバー101の前方側の筒壁118の上下寸法を大きくとると、弾性カバー101がケース内方へ大きく凹むなどのごとく弾性カバー101が歪に変形しやすいが、これが骨材104に設けられた上下に長い面壁114で内方側から裏打ち状に支持されていると、歪に変形し難い。加えて、骨材104の面壁114が弾性カバー101の前方側の筒壁118の全面を支持する形態を採った場合には、弾性カバー101の可撓性が損なわれて、ヘッドユニット2のスムーズな姿勢変形が妨げられることとなるが、本発明のように弾性カバー101の下端部分は骨材104で支持されないフリー状態となるようにしてあると、当該下端部分でもってヘッドユニット2のスムーズな姿勢変形を良好に確保できる。
上記実施形態においては、本体ケース1の前壁の上端開口周縁に、V字状の凹部100を下凹み状に形成するとともに、下ケース103の前方側の枠壁106をV字状に下方に大きく張り出し形成していたが、本発明はこれに限られず、下ケース103の前方側の枠壁106の下端縁は、左右に伸びる直線状であってもよい。
本発明が適用される電気かみそりは、上記実施形態に示したようなヘッドユニット2内にモーター20が組み付けられた形態に限られず、モーター20が本体ケース1内に組み付けられ、撓み可能なフレキシブルな回転軸によって、ヘッドユニット2にモーター回転力を伝達し、これで可動刃を駆動する形態の電気かみそりにも好適に適用できる。本発明は、上記実施形態に示したごとく、ヘッドユニット2が浮動支持構造で、左右、上下、斜めの全方位方向へ傾動可能に浮動支持された形態に限られず、少なくとも前後、左右、および斜めの方向にヘッドユニット2が傾動できる形態にも好適に適用できる。上記実施形態には、メイン刃がロータリー式の電気かみそりを挙げたが、本発明はこれに限られず、レシプロ式、回転式の電気かみそりなどにも好適に適用できる。
本発明に係る電気かみそりの要部の縦断正面図 電気かみそりの正面図 電気かみそりの側面図 電気かみそりの分解図 動力伝動構造全体を示す縦断正面図 ヘッドユニットと本体ケースとの連結部分を示す縦断側面図 要部の縦段側面図 浮動支持構造の分解図 浮動支持構造の分解斜視図 浮動支持構造の要所を示す横断平面図 電気かみそりの分解斜視図
符号の説明
1 本体ケース
2 ヘッドユニット
100 本体ケースの上端開口周縁に設けられたV字状の凹部
101 弾性カバー
104 骨材
114 骨材の面壁
118 弾性カバーの前方側の筒壁
S 隙間

Claims (3)

  1. ヘッドユニット(2)が、本体ケース(1)に対して傾動可能に支持されていて、該本体ケース(1)の上端開口縁とヘッドユニット(2)との間に、ヘッドユニット(2)の傾動を許す隙間(S)が設けられており、
    この隙間(S)を封止するように、ヘッドユニット(2)の下端縁の内面から本体ケース(1)の上端縁の内面に至る、筒状の弾性カバー(101)が配置されており、
    弾性カバー(101)は、ヘッドユニット(2)の下端に係合装着されて、該弾性カバー(101)と別体に形成された骨材(104)を介して、ヘッドユニット(2)に掛止固定されており、
    本体ケース(1)の前壁の上端開口周縁には、V字状の凹部(100)が下凹み状に形成されており、
    この凹部(100)を含む本体ケース(1)の上端開口縁とヘッドユニット(2)の下端との間の隙間(S)を封止するため、弾性カバー(101)の前方側の筒壁(118)が上下方向に長く形成されており、
    下端部分を除く前方側の筒壁(118)が、骨材(104)に設けられた上下に長い面壁(114)で、内方側から裏打ち状に支持されており、
    筒壁(118)の下端部分が、面壁(114)で支持されないフリー状態となるようにしていることを特徴とする電気かみそり。
  2. 弾性カバー(101)の筒壁の上部がヘッドユニット(2)の下端に装着されていて、弾性カバー(101)の筒壁の下部が本体ケース(1)内でフリー状態となっている請求項1記載の電気かみそり。
  3. 弾性カバー(101)の筒壁の下部周縁が、本体ケース(1)の内面に近接若しくは当接している請求項1又は2記載の電気かみそり。
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