JP4030700B2 - 漂白活性化剤造粒物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は漂白活性化剤造粒物及び漂白剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より過炭酸ソーダ(以下PCと称する)、過硼酸ソーダ(以下、PBと称する)等の酸素系漂白剤の漂白力を上げるために各種漂白活性化剤が提案されている。その機能は貯蔵時に酸素系漂白剤、あるいは洗剤に配合されている他成分との相互作用により著しく損なわれる。従って、漂白活性化剤は高い貯蔵安定性を有しなければならない。また、冷水中の攪拌力の弱い洗濯条件下、あるいは漬け置き漂白条件下における溶解性が優れていることも必要である。
【0003】
特公平5−440号公報には、漂白活性化剤をエトキシ化非イオン界面活性剤と混合し、開口スクリーンから押し出す造粒法が開示されている。この方法で得られた造粒物は、温水洗濯条件下では水に比較的速く溶解するが、冷水条件では溶解速度が遅く、漂白活性化剤の機能を十分引き出すことができない。
【0004】
ところで、汚れがひどい場合、漂白効果を高める目的で、酸素系漂白剤及び上記漂白活性化剤の存在下、浸漬洗浄が行われている。しかしながら、上記漂白活性化剤の濃度が高い場合、有機過酸生成率が極端に低下し、満足できる漂白効果を得ることが困難であった。
【0005】
以上から、本発明の課題は、溶解性が良好な漂白活性化剤造粒物を提供すること、更に漂白活性化剤の濃度が高い場合においても、漂白効果の高い漂白剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)漂白活性化剤30〜96重量%、(b)下記(1)及び(2)の条件を満たす融点が20℃未満の非イオン界面活性剤(b1)並びに融点が20℃未満の酸化アルキレン付加型非イオン界面活性剤(b2)から選ばれる少なくとも1つの非イオン界面活性剤1〜10重量%を含有する漂白活性化剤造粒物及び該造粒物(I)と無機過酸化物(II)とを含有する漂白剤を提供する。
(1);(b)成分10gを10℃の水500mlに溶解させた水溶液に(a)成分0.1gを添加し、5分間攪拌後の(a)成分の溶解率が50重量%以上である。
(2);(b)成分0.25gを10℃の水500mlに溶解させた水溶液に(a)成分0.1gを添加し、5分間攪拌後の(a)成分の溶解率が20重量%以下である。
【0007】
【発明の実施の形態】
〔漂白活性化剤造粒物〕
(a)成分
(a)成分の漂白活性化剤としては、特に制限されないが、例えばテトラアセチルエチレンジアミン、グルコースペンタアセテート、テトラアセチルグリコールウリル、アルカノイル若しくはアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14)オキシベンゼンカルボン酸又はその塩、アルカノイル又はアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14)オキシベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、アルカノイル若しくはアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14、漂白効果の点から好ましくは10〜14)オキシベンゼンカルボン酸又はその塩及びアルカノイル又はアルケノイル(これらの基の炭素数は8〜14、漂白効果の点から好ましくは10〜14)オキシベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上が好ましい。特に、デカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこのナトリウム塩、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩が好ましい。また、(a)成分は粉末状のものを使用することが好ましく、嵩密度は0.3〜0.7g/ml、特に好ましくは0.35〜0.6g/mlであり、125μm以上の粒子が好ましくは漂白活性化剤中に15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下のものが良好である。
【0008】
本発明の(a)成分は通常の洗濯条件では十分満足できる溶解性を示すが、水中での濃度が0.1重量%を超えるような高い濃度においては、有機過酸の生成率が極端に低下する。本発明では、造粒物中に(b)成分として上記(1)及び(2)の両方の条件を満たす融点20℃未満の非イオン界面活性剤(b1)あるいは融点が20℃未満の酸化アルキレン付加型非イオン界面活性剤(b2)を特定比率で含有させることで、有機過酸の生成率の低下を抑制できる。例えば、アルカノイル若しくはアルケノイルオキシベンゼンカルボン酸又はその塩、アルカノイル又はアルケノイルオキシベンゼンスルホン酸塩の場合、これは、高い濃度では過酸化ジアシロイルの形成が主反応となるためと考えられる。これを避けるためには漂白活性化剤が溶解する初期には漂白活性化剤を十分可溶化し、希釈されるに従って可溶化能が低下する界面活性剤を漂白活性化剤の可溶化剤として用いることが有用である。
【0009】
ここで、溶解率は以下の方法で測定した。
<溶解率の測定法>
1Lガラス製ビーカー(内径105mm、高さ15cmの円柱型)に、条件(1)又は(2)に応じた量の(b)成分を溶解させた水溶液500mlを入れ、10℃の恒温槽中で攪拌した(マグネティックスターラー、直径15mm、長さ52mmの円柱状のスターラーピース、200rpm)。水溶液が10℃に達した段階で嵩密度0.4〜0.5g/L、125μm以上の粒子が10重量%以下の粉末状の(a)成分を所定量添加し、5分間攪拌した。その後、溶液をメンブランフィルター(ADVANTEC社製、Cellulose NitrateA045A047A、0.47μm)によりろ過し、ろ液中の(a)成分を高速液体クロマトグラフィーで定量し、次式で溶解率を求めた。
【0010】
【数1】
【0011】
(b)成分
本発明では、(b)成分として、上記(1)及び(2)の条件を満たす融点20℃未満の非イオン界面活性剤(b1)並びに融点が20℃未満の酸化アルキレン、好ましくは酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加型非イオン界面活性剤(b2)から選ばれる少なくとも1つの非イオン界面活性剤が用いられる。特に、下記一般式(i)で表される非イオン界面活性剤から選ばれることが好ましい。
RO−(PO)m−(EO)n−H (i)
〔式中、Rは炭素数10〜18、好ましくは10〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、m、nはそれぞれ独立に1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜10の数である。POはプロピレンオキシ、EOはエチレンオキシであり、POとEOはブロック状又はランダムに付加していてもよい〕。
【0012】
このような非イオン界面活性剤の中でも特に下記の一般式(i−1)のものが漂白効果の点から好ましい。
RO−(EO)p−(PO)q−(EO)r−H (i−1)
〔式中、R、EO、POは上記と同一の意味であり、pは0〜10、好ましくは1〜7、qは1〜10、好ましくは1〜5、rは0〜10、好ましくは1〜7を示す。但し、pとrは同時に0ではない〕。
【0013】
(b)成分として使用できるものとして、アルコールにEOを付加した非イオン界面活性剤(EO付加ノニオン)〔具体的には、花王(株)製エマルゲン507(C12/C13混合アルコールEO7モル付加物)、花王(株)製エマルゲン109P(C12アルコールEO9.2モル付加物)等〕、アルコールにEO及びPOを付加した非イオン界面活性剤(EO/PO付加ノニオン)〔具体的には、花王(株)製、エマルゲンKS−108(C12アルコールEO5モルPO2モルEO3モル付加物)、エマルゲンLS−106(C12アルコールEO2.5モルPO1.5モルEO3モル付加物)等〕が挙げられ、溶解性向上の観点より、EO/PO付加ノニオンが好ましい。
【0014】
本発明の造粒物中の(a)成分の含有量が30〜96重量%、好ましくは50〜96重量%、より好ましくは60〜90重量%であり、(b)成分の含有量が1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%であると、溶解性に優れた漂白活性化剤造粒物が得られる。また、造粒物中の(a)成分と(b)成分の重量比が、(a)/(b)=15/1〜70/1、好ましくは15/1〜50/1の範囲であると、漂白活性化剤の濃度が高い系で優れた漂白力が得られると共に(a)成分の溶解性が高まる。
【0015】
(c)成分
本発明の造粒物には、(c)成分として固形又は粉末状の酸を配合することができる。(c)成分は、漂白活性化剤の安定化剤として用いられ、例えば、ギ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、リン酸、固体酸性を示すゼオライト等が挙げられ、コハク酸、クエン酸が好ましい。この場合、酸は塩を形成していてもよく、対イオンはアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等である。
【0016】
本発明の造粒物中の(c)成分の含有量は0.01〜20重量%が好ましく、1〜15重量%が更に好ましく、特に1〜10重量%が好ましい。この範囲内であると、漂白活性化剤の安定化剤として優れた能力を発揮できる。
【0017】
(d)成分
本発明の造粒物には、上記(a)〜(b)成分又は(a)〜(c)成分以外に、例えば造粒性を向上させるために(d)成分として水溶性高分子を添加してもよい。ここで水溶性高分子は20℃における水溶解度が60%以上が好ましく、80%以上が更に好ましい。また、分子量は600以上のものが好ましい(但し、(b)成分に該当するものは除く)。更に融点が20℃以上であることが好ましい。水溶性高分子の具体例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等である。ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの分子量は600〜20000が好ましく、1000〜10000が更に好ましい。
【0018】
本発明の造粒物中の(d)成分の含有量は特に限定されないが、好ましくは2〜30重量%、更に好ましくは10〜25重量%であり、造粒性が良く優れた溶解性を持った造粒物が得られる。
【0019】
(その他の成分)
本発明の造粒物には、(a)成分の洗濯浴中での溶解性をさらに改善するために、陰イオン界面活性剤、特にアルキル硫酸塩及びアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる1種以上を0〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%配合するのが望ましい。アルキル硫酸塩としては炭素数10〜18のナトリウム塩が好ましく、特にラウリル硫酸ナトリウム又はミリスチル硫酸ナトリウムが特に好ましい。また、アルキルエーテル硫酸塩としてはアルキル基の炭素数が10〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、またナトリウム塩が良好である。ここでポリオキシエチレン基の重合度(POE)は1〜10、好ましくは1〜5が良好であり、特にポリオキシエチレン(POE=平均2〜5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(POE=平均2〜6)ミリスチルエーテル硫酸ナトリウムが良好である。
【0020】
本発明では更に審美的観点から造粒物に顔料又は染料を配合し着色しても差し支えない。このような着色剤としては、貯蔵安定性の点から、フタロシアニングリーン(例えばC.I.Pigment7、36、37、38等)又はウルトラマリンブルー(例えばC.I.Pigment Bule29等)が好ましく、配合量は造粒物中に0.01〜1重量%、特に0.05〜0.5重量%が好ましい。
【0021】
さらに、ポリビニルピロリドン等の再汚染防止剤、尿素、尿素誘導体、チオ尿素、パラトルエンスルホン酸塩及び水溶性無機塩類等の溶解促進剤を添加してもよい。また、過酸化物あるいは過酸化物付加体の安定剤として公知の硫酸マグネシウム、珪酸マグネシウムのようなマグネシウム塩を用いてもよい。
【0022】
(造粒物の製造方法)
本発明の造粒物の製造方法としては、特に制限されないが、例えば(a)成分及び(b)成分(要すれば(c)成分、更に要すれば(d)成分)を溶融混合し、次いで得られた混合物に押出造粒等の造粒を施す方法等を挙げることができる。。特に(a)成分と(b)成分及び陰イオン界面活性剤の少なくとも一部を先に均一に混合し、その後バインダー物質を添加する方法が好ましい。バインダー物質としては、ポリオキシエチレン及び脂肪酸から選ばれる1種以上が好ましい。ポリオキシエチレンとしては平均分子量2千〜2万、好ましくは4千〜1万、より好ましくは4千〜8千のものが良好である。また、脂肪酸の炭素数は8〜20、好ましくは10〜18、より好ましくは12〜18であり、これらは一部又は全部がナトリウムあるいはカリウム石鹸の状態であってもよい。このようなバインダー物質は造粒物中に0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜20重量%使用する。
【0023】
造粒に用いる造粒機は、押出造粒機が適している。押出造粒機の具体例として、不二パウダル(株)製のペレッターダブル及びツインドームグラン、(株)菊水製の顆粒機等が挙げられる。
【0024】
造粒の際の温度は、微粉の発生を抑制するとともに適度な粒子強度を付与させるためにバインダー物質の融点付近、更にはバインダー物質の融点より20℃高い温度から5℃低い温度の範囲で押し出すことが好ましい。その際、例えば、平均粒径が700μm〜1500μmの造粒物になるようにスクリーンを選択し、又嵩密度が0.5〜0.8g/mLになるように押し出し圧を調整する。
【0025】
また、その他の造粒法としてはブリケット機による錠剤形状にすることも好ましい造粒法として挙げることができる。
【0026】
本発明では、造粒後、必要に応じ、解砕、球形化等により整粒を行ってもよい。解砕に用いる装置として、不二パウダル(株)製のフラッシュミル、Fitzpatrick社(米国)製のフィッツミル等が挙げられ、球形化に用いる装置として、不二パウダル(株)製のマルメライザー等が挙げられる。解砕機に供給する温度は常温付近まで冷却されていることが好ましく、例えば、造粒物を振動冷却機に供給し、所定の温度まで冷却後に解砕すると、解砕物の解砕機内での付着が抑制される。また、解砕、球形化により発生する微粉や十分に解砕、球形化されなかった粗粉をより低減させるために、更に解砕物を分級してもよい。
【0027】
本発明の漂白活性化剤造粒物としては、(a)漂白活性化剤50〜96重量%、及び(b)融点が20℃未満の酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加型非イオン界面活性剤1〜10重量%を含有する漂白活性化剤造粒物が挙げられ、更に、(c)成分として固形又は粉末状の酸を0.1〜10重量%含有する該造粒物が挙げられる。
【0028】
〔漂白剤〕
本発明の漂白剤は、上記(a)成分と(b)成分とを含有する漂白活性化剤造粒物(I)と、無機過酸化物(II)とを含有する。
【0029】
(無機過酸化物)
本発明で使用する無機過酸化物(II)としては、過硼酸塩類、過炭酸塩類を挙げることができ、特に環境安全性の点から過炭酸塩が好ましい。また、ゼオライトを含有する組成物に過炭酸塩を使用する場合は例えばパラフィン、硼酸塩、過硼酸塩、アルコールのエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール、珪酸化合物から選ばれる一種以上で被覆した過炭酸塩が好ましい。
(III)界面活性剤含有粒子
本発明では洗浄性能を付与する目的で、漂白剤に界面活性剤含有粒子を配合することができる。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤等が挙げられる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はそのエステル等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン或いはこれらのコポリマー、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキシド付加物、蔗糖脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の非イオン界面活性剤、アミンオキシド、スルホベタイン、カルボベタイン等の両性界面活性剤、或いは第4級アンモニウム塩類等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、界面活性剤含有粒子(III)中に好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%配合される。
【0030】
本発明の漂白剤は、漂白活性化剤造粒物(I)を1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、無機過酸化物(II)を20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%含有する。また、界面活性剤含有粒子(III)を配合する場合の組成は、漂白活性化剤造粒物(I)0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、無機過酸化物(II)0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、界面活性剤含有粒子(III)0.5〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0031】
さらに本発明では、漂白活性化剤造粒物(I)と無機過酸化物(II)の重量比は、漂白効果の点から(I)/(II)=2/1〜1/20、特に1/1〜1/15が好ましい。
【0032】
本発明では、炭酸ナトリウムを漂白剤中に1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%配合することができる。例えば、ライト灰、デンス灰等を挙げることができるが本発明では平均粒径300±200μm、特に300±100μmのデンス灰が好ましい。
【0033】
本発明では、漂白洗浄効果を高めるためにA型、X型、P型ゼオライト等の結晶性アルミノ珪酸塩を、漂白剤中に0〜40重量%、より好ましくは1〜40重量%配合することができる。特にA型ゼオライトが好ましい。平均1次粒子径は好ましくは0.1〜10μm、特に0.1〜5μmである。
【0034】
本発明では、無機過酸化物の安定性を向上させる目的で金属封鎖剤を漂白剤中に0.0005〜30重量%、より好ましくは0.01〜15重量%配合することができる。金属封鎖剤としては(1)フィチン酸等のリン酸系化合物又はその塩類、(2)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸又はその塩類、(3)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸又はその塩類、(4)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸又はその塩類、(5)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はその塩類、(6)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキメチル酒石酸等の有機酸又はその塩類、(7)アミノポリ(メチレンホスホン酸)若しくはポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)又はそれらの塩類等が挙げられる。
【0035】
これらの中で、上記(2)、(5)及び(6)からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、特に上記(2)及び(5)が好ましい。
【0036】
本発明では漂白効果を向上させる目的でプロテアーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等の酵素を漂白剤に配合することができる。特にプロテアーゼ又はセルラーゼの1種以上を用いることが好ましい。セルラーゼとしては、細菌セルラーゼと真菌セルラーゼを挙げることができ、特に5〜9.5に至適pHを有するものが好ましい。例えば、特開平63−264699号公報4頁右上欄13行目〜5頁右下欄12行目に記載のものを使用することができ、特に好アルカリ性微生物バチルス・エスピー KSM−635(FERM BP−1485)又はその変異株から生産されるアルカリセルラーゼを使用することが好ましい。また、特開平8−53699号公報第覧3行目〜21行目のセルラーゼを使用することもできる。より具体的には、花王社製のKAC500(登録商標)、ノボ・ノルディスク社製のセルザイム(登録商標)等の酵素造粒物を挙げることができる。また、プロテアーゼとしては至適pHが8以上、好ましくは8〜11のアルカリプロテアーゼが好ましい。例えば、アルカラーゼ、サビナーゼ(ノボ・ノルディスク社製、登録商標)、プラフェクト(ジェネンコ社製、登録商標)、KAP4.3G、KAP11.1G(何れも花王社製、登録商標)等が挙げられるが、特にKAP4.3G、KAP11.1Gが優れている。酵素は、洗浄効果の点で漂白剤中に酵素原末として0.005〜3重量%、好ましくは0.01〜2重量%配合される。また、プロテアーゼとセルラーゼを併用する場合はプロテアーゼとセルラーゼの重量比を酵素原末として1/50〜1/1、好ましくは1/30〜1/2することが好ましい。
【0037】
なお、これら任意成分は、造粒物(I)及び/又は界面活性剤含有粒子(III)中に配合してもよいし、別途アフターブレンドとして配合してもよい。なお、界面活性剤含有粒子(III)は、漂白活性化剤を含有するものでもよい。ただし、漂白活性化剤は該粒子中の40重量%未満、更には10重量%以下、特に実質的に含まないことが好ましい。
【0038】
本発明の漂白剤としては、(A)アルカノイル若しくはアルケノイル(これらの基の炭素数8〜14)オキシベンゼンカルボン酸又はその塩及びアルカノイル又はアルケノイル(これらの基の炭素数8〜14)オキシベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上と(B)下記(1)及び(2)の条件を満たす非イオン界面活性剤とを(A)/(B)=15/1〜70/1の重量比で含有する漂白活性化剤造粒物(I)と、無機過酸化物(II)とを含有する漂白剤が挙げられる。
(1);(B)成分10gを10℃の水500mlに溶解させた水溶液に(A)成分0.1gを添加し、5分間攪拌後の(A)成分の溶解率が50重量%以上である。
(2);(B)成分0.25gを10℃の水500mlに溶解させた水溶液に(A)0.1gを添加し、5分間攪拌後の(A)成分の溶解率が20重量%以下である。
【0039】
更に、前記漂白剤において、(B)成分が下記一般式(i)のポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルである漂白剤が挙げられる。
RO−(PO)m−(EO)n−H (i)
〔式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、m、nはそれぞれ独立に1〜20の数である。POはプロピレンオキシ、EOはエチレンオキシであり、POとEOはブロック状又はランダムに付加していてもよい〕
更に界面活性剤含有粒子(III)を含む前記漂白剤が挙げられる。
【0040】
【実施例】
例中の%は特記しない限り重量基準である。
【0041】
実施例1
式(A)で表わされる漂白活性化剤〔ただし、製造工程で未反応物(炭素数12〜14の脂肪酸0.1〜2%含有)等が含有されている。以下漂白活性化剤(A)と略記〕9.88kg、コハク酸(川崎化成工業(株)製:コハク酸(20メッシュパス品)、以下コハク酸と略記)0.39kg、ポリエチレングリコール(花王(株)製:K−PEG6000、以下PEG6000と略記)2.21kg、エマルゲンKS−108(花王(株)製、融点−9℃、以下E−KS−108と略記)0.52kgを混合機(ホソカワミクロン(株)製:ナウターミキサーNX−S型)に仕込み(仕込量13kg/Batch)、ジャケット温度を80℃、自動回転数121r/min、公転回転数5.5r/minで混合、昇温し、粉体の温度が75℃になった時点で混合物を抜き出した。次に、得られた混合物を押出造粒機(不二パウダル(株)製:ペレッターダブルEXD−60型)により孔径900μmのスクリーンを通して押し出して圧密化した。
【0042】
得られた押出物を振動冷却機(不二パウダル(株)製:バイブロ/フロードライヤーVDF16000型)で冷却した後、整粒機(不二パウダル(株)製:フラッシュミルFL200型)にて解砕した。得られた解砕物を分級機(徳寿製作所(株)製:寿円型振動篩)により、分級し、粒子径350〜410μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
【0043】
【化1】
【0044】
実施例2
漂白活性化剤(A)の添加量を10.01kgとし、E−KS−108の代わりにエマルゲン507(花王(株)製、融点15℃、以下E−507と略記)を0.39kg添加する以外は実施例1と同様の操作を行い、粒子径350〜1410μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
【0045】
実施例3
PEG6000の代わりにポリエチレングリコール(日本油脂(株)製:ニッサンポリエチレングリコール#4000、以下PEG4000と略記)を2.21kg、コハク酸の代わりにクエン酸(九州化工(株)製:クエン酸(無水)M)を0.39kg添加する以外は実施例1と同様の操作を行い、粒子径350〜1410μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
【0046】
実施例4
漂白活性化剤(A)の代わりにテトラアセチルエチレンジアミン(以下TAEDと略記)を9.88kg添加する以外は実施例1と同様の操作を行い、粒子径350〜1410μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
【0047】
実施例5
漂白活性化剤(A)の添加量を8.84kg、E−KS−108の添加量を0.26kgとし、その他成分としてラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)製:エマール10パウダー、以下E−10Pと略記)を1.3kg添加する以外は実施例1と同様の操作を行い、粒子径350〜1410μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
【0048】
比較例1
漂白活性化剤(A)の添加量を10.335kg、E−KS−108の添加量を0.065kgとする以外は実施例1と同様の操作を行い、粒子径350〜1410μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
【0049】
比較例2
E−KS−108の代わりにエマルゲン123P(花王(株)製:C12アルコールEO22モル付加物、融点34℃、以下E−123Pと略記)を0.52kg添加する以外は実施例1と同様の操作を行い、粒子径350〜1410μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
【0050】
試験例
実施例1〜5及び比較例1,2で得られた造粒物の溶解性(過酸生成率)を下記の試験方法により評価した。結果を表1に示す。
【0051】
<過酸生成率測定法>
過炭酸ソーダ0.3g及び下記組成のアニオン系洗剤0.3gを75mLの水道水に溶解した液に漂白活性化剤造粒物を、漂白活性化剤が過炭酸ソーダ中の過酸化水素に対して1/16当量となるように溶解し、20℃で3分反応後、0.3%のカタラーゼ溶液2.5mLを添加し1分間攪拌した後、20%硫酸10mL、10%ヨウ化カリウム溶液を添加し、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、下記式により過酸生成率を求める。
・アニオン系洗剤
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(炭素数12〜13) 25%
アルキル硫酸ソーダ(炭素数14〜15) 8%
炭酸ソーダ 20%
芒硝 合計を100%にするためのバランス量
【0052】
【数2】
【0053】
【表1】
【0054】
注)
*1:(A)は漂白活性化剤(A)を示す。
【0055】
実施例6〜11及び比較例3〜10
<漂白活性化剤造粒物の調製>
下記、漂白活性化剤A−1と、非イオン界面活性剤B−1及びB−2とを用いて下記の方法で表2に示す組成の漂白活性化剤造粒物を調製した。また、比較の非イオン界面活性剤としてB’−1、B’−2、B’−3を用いて同様に漂白活性化剤造粒物を調製した。なお、これら非イオン界面活性剤の条件(1)及び(2)における溶解率を以下に示す。
A−1;ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(嵩密度0.4g/mL、125μm以上の粒子5.2%)
B−1;C12H25O−(EO)5−(PO)2−(EO)5−H〔条件(1):79%、条件(2):7%、融点−1.5℃〕
B−2;C12H25O−(EO)10−(PO)4−H〔条件(1):81%、条件(2):0.5%、融点5℃〕
B’−1;C12H25O−(EO)7−H〔条件(1):82%、条件(2):32%、融点15℃〕
B’−2;C12〜C14の2級アルコールにEOを7モル付加させたもの〔条件(1):47%、条件(2):18%、融点−5℃〕。
B’−3;C12H25O−(EO)15−H〔条件(1):46%、条件(2):3%、融点32℃〕。
【0056】
*漂白活性化剤造粒物の調製方法
ラウリル硫酸ナトリウム、非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレン(分子量8000)、漂白活性化剤、こはく酸及びウルトラマリンブルーをハイスピードミキサー(深江工業製FS−GC−10型)に仕込み、主軸の回転数200rpm、解砕羽根の回転数1500rpmで混合・昇温し、粉体の温度が70℃にて抜き出した。次いでこの混合物を押し出し造粒機(不二パウダル製ペレッターダブルEXD−100型)を用いて孔径900μmのスクリーンを通して押し出した(造粒機内の粉体の温度は64℃)。これを振動冷却器(不二パウダル製バイブロ/フロードライヤーVDF/6000型)で冷却後に、整粒機(不二パウダル製ナイフカッターFL−200型)にて解砕を行い、これを分級し、平均粒径900μmの漂白活性化剤造粒物を得た。
【0057】
【表2】
【0058】
<無機過酸化物>
▲1▼被覆過炭酸ナトリウム
特開昭59−196399号公報の実施例1に基づきメタホウ酸ナトリウム・4水和物で被覆した過炭酸ナトリウム(5%被覆)を得た(過酸化物II−1)。
▲2▼日本パーオキサイド社製過炭酸ナトリウムを用いた(過酸化物II−2)。
【0059】
<界面活性剤含有粒子の調製>
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ2000g、ラウリル硫酸ナトリウム500g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本触媒製エマルゲン510L)300g、アクリル酸−マレイン酸コポリマー(BASF製ソカランcp−5)300g、牛脂脂肪酸ナトリウム300g、炭酸ソーダ600g、1号シリケート1500g、4A型ゼオライト1500g、バランス量のぼう硝、PEG100gから50%固形分の水スラリーを調製し、これを噴霧乾燥(乾燥温度190℃)して得られた粒子をハイスピードミキサー(深江工業製FS−GC−10型)に入れ、さらにポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数8)500g、4A型ゼオライト1500gを添加し、造粒を行い界面活性剤含有粒子を得た。平均粒径430μm、嵩密度780g/L。
【0060】
<漂白剤の調製>
上記漂白活性化剤造粒物、無機過酸化物、界面活性剤含有粒子及び下記C−1〜D−1の成分を用いて表3、4の漂白剤を調製した。下記に示す過酸生成率及び漂白洗浄性能を評価した。結果を表3、4に示す。
C−1;アルカリセルラーゼ(花王(株)製KAC500)
C−2;アルカリプロテアーゼ(花王(株)製KAP4.3G)
D−1;炭酸ナトリウム(デンス灰、平均粒径280μm)。
【0061】
<過酸生成率の測定>
直径10mm、長さ30mmの円柱形スターラーピースの入った1Lガラス製ビーカー(内径105mm、高さ15cmの円柱型)に25℃のイオン交換水1Lを入れ、100rpmで攪拌した。表3又は表4に示す漂白剤を漂白活性化剤の濃度が0.1重量%になる量を一度に添加し、10分後0.3%カタラーゼ水溶液10ml加え、さらに1分間攪拌し、生成した有機過酸濃度をよう素滴定法により測定した。結果を表3、4に示す。
【0062】
<漂白性能の測定>
表3又は表4の漂白剤を漂白活性化剤の濃度が0.1重量%になるように20℃/500mlの水道水に溶解させ、下記の通り調製したカレー汚染布(親油性汚れ)5枚ずつを30分間浸漬させた。その後水道水ですすぎ、乾燥させて、次式により漂白率を算出した。
【0063】
【数3】
【0064】
反射率は日本電色工業製NDR−10DPで460nmフィルターを使用して測定した。
*カレー汚染布の調製
ハウス食品製レトルトカレー(カレーマルシェ)の固形分をメッシュで除去した後、得られた液を煮沸するまで加熱した。この液に木綿金布#2003を浸し、約15分間煮沸した。そのまま火からおろし約2時間程度放置し室温まで放置した後、布を取りだし、余分に付着しているカレー液をへらで除去し、自然乾燥させた。その後プレスし、10×10cmの試験片として実験に供した。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【発明の効果】
本発明により、溶解性が良好な漂白活性化剤造粒物が得られる。また、本発明によれば、漂白活性化剤が高濃度の浸漬洗浄においても高い漂白効果を有する漂白剤を提供することができる。
Claims (6)
- (a)漂白活性化剤30〜96重量%、(b)下記(1)及び(2)の条件を満たす融点が20℃未満の非イオン界面活性剤(b1)並びに融点が20℃未満の酸化アルキレン付加型非イオン界面活性剤(b2)から選ばれる少なくとも1つの非イオン界面活性剤であって、下記一般式(i)のポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルから選ばれる非イオン界面活性剤1〜10重量%を含有する漂白活性化剤造粒物。
(1);(b)成分10gを10℃の水500mlに溶解させた水溶液に(a)成分0.1gを添加し、5分間攪拌後の(a)成分の溶解率が50重量%以上である。
(2);(b)成分0.25gを10℃の水500mlに溶解させた水溶液に(a)成分0.1gを添加し、5分間攪拌後の(a)成分の溶解率が20重量%以下である。
RO−(PO) m −(EO) n −H (i)
〔式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、m、nはそれぞれ独立に1〜20の数である。POはプロピレンオキシ、EOはエチレンオキシであり、POとEOはブロック状又はランダムに付加していてもよい。〕 - (a)成分が、アルカノイル若しくはアルケノイル(これらの基の炭素数8〜14)オキシベンゼンカルボン酸又はその塩及びアルカノイル又はアルケノイル(これらの基の炭素数8〜14)オキシベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上である請求項1記載の漂白活性化剤造粒物。
- (a)漂白活性化剤30〜96重量%、(b)下記(1)及び(2)の条件を満たす融点が20℃未満の非イオン界面活性剤(b1)並びに融点が20℃未満の酸化アルキレン付加型非イオン界面活性剤(b2)から選ばれる少なくとも1つの非イオン界面活性剤であって、下記一般式(i)のポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルから選ばれる非イオン界面活性剤1〜10重量%を含有する漂白活性化剤造粒物(I)と、無機過酸化物(II)とを含有する漂白剤。
(1);(b)成分10gを10℃の水500mlに溶解させた水溶液に(a)成分0.1gを添加し、5分間攪拌後の(a)成分の溶解率が50重量%以上である。
(2);(b)成分0.25gを10℃の水500mlに溶解させた水溶液に(a)成分0.1gを添加し、5分間攪拌後の(a)成分の溶解率が20重量%以下である。
RO−(PO) m −(EO) n −H (i)
〔式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、m、nはそれぞれ独立に1〜20の数である。POはプロピレンオキシ、EOはエチレンオキシであり、POとEOはブロック状又はランダムに付加していてもよい。〕 - 造粒物(I)が(a)成分と(b)成分とを、(a)/(b)=15/1〜70/1の重量比で含有する請求項3記載の漂白剤。
- (a)成分が、アルカノイル若しくはアルケノイル(これらの基の炭素数8〜14)オキシベンゼンカルボン酸又はその塩及びアルカノイル又はアルケノイル(これらの基の炭素数8〜14)オキシベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種以上である請求項3又は4記載の漂白剤。
- 更に界面活性剤含有粒子(III)を含む請求項3〜5の何れか1項記載の漂白剤。
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