JP4030378B2 - 橋梁のジョイント切断撤去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、老朽化等により修繕が必要となった橋梁のジョイントを切断撤去するジョイント撤去方法とその方法に使用する斜め切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
交通荷重により損傷したり、年月の経過により老朽化した橋梁のジョイントを補修するため、既存のジョイントを解体撤去する必要がある。従来、ジョイント周囲の床版コンクリートをブレーカー等で破砕撤去していたが、破砕片が落下しないように防護工事が必要であり、効率が悪く、また、騒音や振動が発生するという問題があった。
【0003】
更に、ジョイント付近の床版をカッターで鉛直に切断しても、ジョイントはアンカーで床版に強固に固定されており、床版を切断しただけでは撤去できず、ブレーカーを使用せざるを得ず、騒音・振動の発生を避けられなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ジョイントの撤去作業がスムースにおこなわれるようにすると共に、騒音や振動を極力発生しないようにし、切断後の床版の補修をおこないやすいようにするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
橋梁及び高架橋のジョイントを撤去する場合において、ジョイントを挟んで両側の床版を床版面に対して斜めに切断して複数の切断溝を形成し、この斜めの切断溝を利用して床版を除去してジョイントを撤去する橋梁のジョイント切断撤去方法である。
複数の斜めの切断溝を形成したので、小さな力でジョイント床版の縁を切ることができ、騒音及び振動の発生を大幅に抑制することができる。
また、切断片は人力でも運搬可能な大きさとなるので、破砕部材の処分が容易である。
【0006】
【実施例】
図1に示すように、特殊なコンクリートカッターを使用せずに床版10に斜め切断溝4を形成するため、床版上に上面を斜めに形成した木材等の補助部材3を設置してコンクリートカッター1の片側車輪を持ち上げてカッターブレード11が床版10に対して斜めになるようにする。コンクリートカッター1が傾斜状態となって不安定となるので、転倒防止のためリブを有するレール31を床版10上及び補助部材3上に固定する。必要に応じて床版上にも断面三角形の補助部材を設置する。
【0007】
補助部材3の高さは、コンクリートカッター1のカッターブレード11の斜め切断角度を規定するものであり、切断角度に応じて決定する。カッターブレード11の鉛直線に対する角度は、図1に示すように15〜25度とするのが好ましい。あまり傾斜を大きくすると装置が転倒する恐れがあり、切断効率が下がる。図2に示すように、装置の両側面にカッターブレード11を装着できるようにしてあり、装着場所を変更することによって効率よく切断作業をおこなえるようにしてある。
カッターブレード11は、駆動源によって回転駆動され、ハンドル操作によって、または、昇降用の油圧モータによって上下動し、一定の力で切断面に押圧される。12は折り畳み式のガイドで、先端に設けた針を床版10に描いた切断線に合わせてコンクリートカッター1を前進させ、切断線が曲がらないようにするものである。
なお、傾斜切断溝を形成するための特殊なコンクリートカッターを使用して切断溝を形成してもよい。
【0008】
橋梁の幅員方向の両側には地覆や高欄が存在し、一方、カッターブレード11は円形のため端まで切断することができないので、図3に示すように、両端から1m程度離れた箇所の橋軸方向にジョイント2をまたいで切断線42を形成し、ジョイント2を撤去しやすくする。
また、ジョイント2がウエブ21及びリブ22を有するタイプの場合は、リブ22の両側を橋軸方向に床版10を切断し、床版10の除去が円滑におこなわれるようにする。
【0009】
図4に示すように、ジョイント2は、ウエブ21及びリブ22を有するタイプの場合、床版面から斜めに切断溝を形成しただけでは床版底部まで延長しているウエブ21が切断されず、ジョイント2の撤去ができないので、まず、ジョイント底部側からウエブ21を×印の位置23で溶断しておく。
【0010】
床版10上に切断線を予めけがいておき、補助部材3上にコンクリートカッター1の片側車輪を載せて斜めにセットし、切断線に沿って床版10の斜め切断を開始する。カッターブレード11を回転駆動して所定の深さまで切断し、走行用車輪を駆動して床版10を切断し、同時にジョイント2のアンカー鉄筋24も切断する。
【0011】
次に形成した切断溝40から5センチ程度横にずらし、斜め切断を逆方向におこなう。二往復させて片側4本の斜め切断溝を床版10に形成する。切断溝の幅は、切断片を除去するためのクサビが挿入できるように5〜8mm程度になるようにカッターブレード11を選択する。
また、ジョイント撤去後の新たなジョイントを設置する際の設置空間を確保するため、斜め切断線の外側に鉛直の切断溝41を1〜2本形成する。
【0012】
切断溝40、41の形成が完了したら、ジョイント2を挟む最内側の斜め切断溝にクサビを打ち込んで、切断部分の縁を切り、引き上げて撤去する。続けて次の斜め切断溝にクサビを打ち込んで板状部分を床版から縁を切り、撤去する。床版に複数の切断溝が床版10に対して斜めに形成してあるため、切断溝に挿入したクサビの打ち込みによって容易に低騒音、低振動で撤去することができる。
最外側に形成した垂直の切断溝41にクサビを打ち込んで撤去し、ジョイントが設置されていた部分に断面四角形の新たなジョイントを設置するための空間を形成する。
【0013】
床版コンクリートを撤去して形成された空間に突出する立ち上がり筋などを溶断するなどの下地処理をおこない、高圧エアーで空間内部を清掃し、新たなアンカー筋及びジョイントを設置し、コンクリートを打設して補修を終了する。
本発明方法は、図示のジョイントに限らず、ゴムタイプのジョイントに対しても適用可能である。
【0014】
【発明の効果】
ジョイントを挟んで床版を斜めに複数箇所切断して切断溝を形成し、この溝を利用して床版を撤去するようにしたので、ブレーカーを使用することなくジョイントの撤去が可能となり、周辺に騒音や振動を撒き散らすことなく作業がおこなえると共に残存床版本体構造に損傷を与えず撤去作業をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】切断装置の設置状態正面図。
【図2】切断装置の設置状態平面図。
【図3】切断線の配置平面図。
【図4】切断撤去工程図(1)。
【図5】切断撤去工程図(2)。
【符号の説明】
1 コンクリートカッター(切断装置)
10 床版
11 カッターブレード
12 ガイド
2 ジョイント
21 ウエブ
22 リブ
3 補助部材
40 斜め切断溝

Claims (3)

  1. ジョイントの両側の床版を、床版面に対して斜めに切断して複数の斜め切断溝を形成し、更に、橋軸方向にジョイントをまたいで切断し、斜め切断溝に破砕具を挿入してジョイント及び床版を撤去する橋梁のジョイント切断撤去方法。
  2. 請求項1において、斜め切断溝にクサビを打ち込んで床版を破砕する橋梁のジョイント切断撤去方法。
  3. 請求項1〜2のいずれかにおいて、斜め切断溝の外側に垂直な切断溝を形成する橋梁のジョイント切断撤去方法。
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