JP4030230B2 - 難燃性ポリウレタン発泡シートおよび該シートを用いた合成皮革 - Google Patents

難燃性ポリウレタン発泡シートおよび該シートを用いた合成皮革 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性ポリウレタン発泡シート、および当該発泡シートを銀面層の一部として使用した合成皮革に関する。
【0002】
【従来の技術】
家具あるいは車輌の座席等に使用されている難燃性の人工皮革や合成皮革は、一般に、皮革を構成する繊維基材層のみを難燃性としているか、若しくはポリウレタン樹脂中に難燃剤を練り込むか、あるいは樹脂溶液中に難燃剤を溶解し含有させて難燃性が付与されていた。このような難燃性の付与手段にあっては、樹脂中に練り込まれた難燃剤が、経時的変化により合成皮革の表面側に徐々に移行し、皮革の風合いを変化させるばかりでなく、難燃剤によりベタツキが発生し、問題にされることもあった。
【0003】
一方、難燃剤を樹脂材料成分中に化学的に組込み、難燃化する方法があるが、一般的に高分子材料中に難燃剤成分を組込み難燃化することは難しく、特に、燐酸エステル系の難燃剤を用いた場合には、組込まれた難燃剤による加水分解で高分子材料の分子量低下が生じ易く、種々の問題点が内在している。
【0004】
家具、車輌等に使用される耐久性資材の分野では、長期に亘って安定した強度物性と、難燃性を保証できる難燃化システムの開発が求められており、特にポリウレタン発泡シートを銀面層の一部として使用した人工皮革や合成皮革については、安定した難燃性の付与方法が強く求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、人工皮革や合成皮革の銀面層中で最大の樹脂比率を占める発泡層用のポリウレタン樹脂について、効率的、かつ安定な難燃化方法に基づく、難燃性ポリウレタン発泡シートを提供することを課題とする。
【0006】
ところで、難燃性の人工皮革または合成皮革として、難燃剤を含有する多孔質樹脂層(多孔質樹脂シート)を、いわゆる湿式法により製造する場合には、難燃剤が溶媒とともに水中へ溶出するばかりでなく、疎水性が一般的に強くなるため、樹脂の凝固速度に遅れを来たし、好ましい人工皮革としての多孔質構造を形成することはできない。これに対し、いわゆる乾式法により製造された難燃剤を含有する発泡ポリウレタンシートを有する合成皮革は、製造上の問題点も極めて少なく、得られた製品は柔軟性ならびに低温特性に優れ、湿式法による合成皮革に匹敵する風合いを、容易に提供することが可能なものである。
【0007】
本発明者はかかる観点に立脚して、ポリウレタン発泡樹脂シートの難燃化について鋭意研究した結果、ポリウレタン発泡層樹脂の主材料であるグリコール成分中に、同じグリコール系の難燃剤であるジブロモネオペンチルグリコールを化学的に組込むこと、すなわち、樹脂の主鎖骨格中に難燃剤を化学的に組込んだプレポリマーを得ることに成功し、その結果、かかるプレポリマーより得られた難燃性ポリウレタン発泡シートにあっては、難燃剤がその表面に全くブリードアウトしないものであることを確認し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、分子量1500〜2500のポリオキシアルキレングリコールとジブロモネオペンチルグリコールからなる数平均分子量700〜1250を有するグリコール混合物に、過剰量のジイソシアネートを反応させ、末端にイソシアネート基を有し、且つ、そのイソアネート基の含有率が4〜6重量%になるプレポリマーとし、当該プレポリマーを、触媒および整泡剤の存在下、ポリオキシアルキレントリオールおよび大気中の水分と反応させ、硬化させて得た難燃性ポリウレタン発泡シートを提供する。
【0009】
さらに本発明は、上記により提供された難燃性ポリウレタン発泡シートを、銀面層の一部として使用した合成皮革をも提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
すなわち本発明は、発泡ポリウレタンの樹脂成分であるグリコールとして、特定の分子量を有するポリオキシアルキレングリコールと、同じグリコール系の難燃剤であるジブロモネオペンチルグリコールとにより、特定数平均分子量を有する混合グリコールを得、この混合グリコールを過剰量のジイソシアネートを反応させることにより、末端にイソシアネート基を有し、且つ、そのイソアネート基の含有率が4〜6重量%になるプレポリマーとなし、得られたプレポリマーを、乾式法により、触媒および整泡剤の存在下、ポリオキシアルキレントリオールおよび大気中の水分と反応させ、硬化させて得た難燃性ポリウレタン発泡シートを提供するものである。
【0011】
ところでこれまで使用されている難燃剤として、比較的効果の優れているものに、ビスフェノールA、ビスフェノールS等のハロゲン置換体が知られている。しかしながら、近年ハロゲン化芳香族化合物による環境問題が一部で指摘されており、より安全なものの使用が求められている。
【0012】
同じような難燃性の添加物として、テトラブロモビスフェノールA,テトラブロモビスフェノールS、オクタブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、ペンタブロモトルエン等があり、これらは、ポリウレタン樹脂用の難燃剤としては極めて効果的である。しかしながら、これらの難燃剤は何れも常温で個体であり、ポリプロピレングリコール等との混和性に欠けるため、樹脂成分中に練り込み含有させることはできない。したがって、プレポリマー樹脂骨格中へ化学的に組込むか、或いはプレポリマー溶液中に溶解させ含有させなければならないが、これらの難燃剤は溶解性が著しく悪いほか、一部のものには環境汚染物質との類似物であると指摘されていることあり、これらの点を総合すると、本発明の目的に使用することは好ましいものとはいえない。
【0013】
また、ポリウレタン樹脂用の反応性難燃剤として、ジブロモプロピルアルコール、トリブロモネペンチルアルコール等のアルコール系難燃剤が良く知られている。しかしながらこのものはモノアルコールであるために、高分子化反応においては反応停止剤として作用し、樹脂組成物に十分な物性が得られない。
【0014】
そこで本発明者は、ポリウレタン樹脂用の反応性難燃剤の中で、ポリウレタン樹脂の主鎖骨格中に化学的に組込んでも何等物性を低下させず、優れた物性を提供することができる短鎖グリコール系難燃剤として、ジブロモネオペンチルグリコールを選択し、樹脂の主鎖骨格であるポリオキシアルキレングリコール中に同じグリコール系の難燃剤を化学的に組込んだプレポリマーより得られた難燃性ポリウレタン発泡シートは、極めて良好なものであることを見出したのである。したがって本発明は、グリコール成分に化学的に組込まれる難燃剤として、特に同じグリコール系の難燃剤であるジブロモネオペンチルグリコールを選択した点に特徴を有するものである。
【0015】
なお、ジブロモネオペンチルグリコールは、臭素原子を有しないネオペンチルグリコールに比較して、融点が約20℃程度低温側にシフトしている。このことからすると、ジブロモネオペンチルグリコールの使用は、樹脂の凝集力を一見低下するものと判断されがちであるが、実際には特別な原料組成および反応条件を設定することにより、通常の短鎖グリコールと同様に使用することができることが判明した。
【0016】
しかしながら、ジブロモネオペンチルグリコール自身の融点が100℃以上であり、またポリオキシアルキレングリコールとの相溶性も無溶媒下では著しく悪いため、ジイソシアネートとの反応によるプレポリマーの製造にあっては、加熱操作を加えるか、あるいは溶媒を併用することが必要であり、特に溶媒の併用が必要である。
【0017】
グリコール成分とジイソシアネートとの反応によるプレポリマーの製造において、グリコール成分を融点以上に加熱することは、ウレタンプレポリマー合成時の安定性を著しく低下させ、熱による酸化劣化を誘発しやすい。したがって、やむを得ず加熱反応させる場合は、酸化防止剤を併用するのが好ましい。
【0018】
この場合の好ましい酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。またこの場合の酸化防止剤の添加量は、ポリウレタン樹脂100重量部当たり、0.3ないし3.0部程度の範囲が好ましい。なお、ここでポリウレタン樹脂100重量部とは、プレポリマーおよび架橋剤であるポリオキシアルキレントリオールとの合計されたものと定義する。この際、雰囲気中の水分と反応し、二酸化炭素が放出されることによる重量の増減は考慮しないものとする。
【0019】
以上から判断すれば、グリコール成分とジイソシアネートとの反応によるプレポリマーの合成は、溶媒の併用、特に、活性水素を含有しない溶媒との併用が最も好ましい実施態様となる。
【0020】
好ましい溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、リモネン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。得られるプレポリマーの安定性の点から考慮すると、疎水性の高沸点溶媒が好ましく、トルエン、キシレンおよび天然系溶媒であるリモネンが好ましく、なかでもリモネンの使用が環境対策上の観点で最も好ましい。
【0021】
ポリウレタン樹脂成分であるポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールが使用可能であるが、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましく、単独若しくは混合物、さらには共重合体を使用することができる。
【0022】
発泡性の点から、特にポリオキシプロピレングリコールの単体、若しくはポリオキシプロピレングリコールとポリオキシテトラメチレングリコールとの混合物若しくは共重合物においてポリオキシプロピレングリコールの含有率の高いものが好ましい。前記共重合体はブロック共重合体でもあっても、またランダム共重合体であってもよい。
【0023】
これらのポリオキシアルキレングリコールの分子量としては、1500〜2500の範囲が好ましい。分子量が1500以下のポリオキシアルキレングリコールでは破断時伸度が小さくなり、一方、分子量が3000以上のものでは破断強度が小さくなる。
【0024】
ポリオキシアルキレングリコールと、短鎖グリコール系難燃剤であるジブロモネオペンチルグリコールとからなる混合物グリコールにあっては、その数平均分子量が強度物性および難燃性に関係することが判明した。ポリウレタン樹脂の適正な強度範囲を考慮すると、混合グリコールの数平均分子量の範囲としては、700〜1200が好ましく、特に800〜1100が好ましい。
【0025】
一方、上記の混合グリコールと反応させ、プレポリマーを合成する場合に使用されるジイソシアネート化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−/2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボネンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。そのなかでも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが反応性、物性等の点から考慮して、最も好ましい。
【0026】
ポリオキシアルキレングリコールおよびジブロモネオペンチルグリコールとの混合グリコールと、ジイソシアネートとの反応によるプレポリマーの合成は、いわゆるワンショット法で、各反応物を一括して反応容器内へ仕込み、反応を行ってもよいし、或いは、各グリコール成分を個別的にジイソシアネートと反応させ、末端イソシアネート基含有プレポリマーを合成した後、混合してもよい。
【0027】
プレポリマーの合成に使用する有機溶媒の使用量は、全樹脂100重量部当たり、5〜20部程度の範囲が好ましく、溶媒量が多すぎると粘度低下が著しく、雰囲気中の水分を取り込み難くなり、発泡性が低下する。また、溶媒量が少なすぎると、プレポリマーの粘度が必要以上に高くなるばかりかプレポリマーの貯蔵安定性が低下するとともに、発泡倍率の制御が難しくなり、形成されるポリウレタン発泡シートの表面平活性が低下することが判明した。
【0028】
プレポリマーの合成に際しては、溶媒中に含有される水分と、ジイソシアネート化合物との反応量を無視できる水準まで低下せしめるために、予め脱水した溶媒を使用するか、あるいは溶媒の水分量を測定し、その水分量に見合った分の脱水剤、例えばモノイソシアネート化合物を添加してもよい。
【0029】
プレポリマー合成の反応系の温度は、一概に限定できず、室温〜100℃程度が好ましく、室温にて容器内へ所定量を仕込み、その後徐々に昇温していくことが最も好ましい。乾燥空気、乾燥窒素ガス、若しくは乾燥炭酸ガスの雰囲気下に、還流冷却器等を設置した反応設備を用いるのが好ましい。
【0030】
一方、プレポリマーの架橋剤として使用されるポリオキシアルキレントリオールは、グリセリン等の分子内に少なくとも3個の水酸基を有する化合物にプロピレンオキサイドを付加した後、さらにエチレンオキサイドを付加したものが、反応性および物性の点から好ましい。これらの化合物の分子量は、3000〜9000程度が好ましく、さらに好ましくは5000〜8000の範囲内のものである。
【0031】
このポリオキシアルキレントリオールの使用量は、プレポリマーの中のイソシアネート基含有率換算で、その含有率を0.5〜1.0重量%減少させる量を用いるのが好ましい。イソシアネート基含有率を0.5重量%以下に減少させる量の使用では、プレポリマーが発泡するものの、硬化が遅れ、しかも得られた発泡樹脂に十分な物性が付与されない。また一方、1.0重量%を越えるよう減少させる量を使用した場合は、得られた樹脂は強度的にはかなり満足できるものの、優れた発泡状態は得られない。
【0032】
プレポリマーの架橋に際して、架橋剤と共に使用できる触媒としては、ジブチル酸化錫、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、トリエチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等を挙げることができる。かかる触媒の使用量としては、ポリウレタン樹脂100重量部当たり、0.08〜0.35部程度の範囲であることが好ましい。
【0033】
また、プレポリマーの反応において、反応雰囲気中の水分を吸収し易くするために、ポリウレタンプレポリマー混合液中に水分吸収を促進させるために、吸湿剤を配合しておくことは極めて効果的である。かかる吸湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合体、ジオクチルコハク酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の界面活性剤の類が挙げられる。これらの吸湿剤の添加量は、ポリウレタン樹脂100部当たり、0.5〜2.0部程度である。
【0034】
目的とするポリウレタン樹脂が、均一な発泡状態を達成するために、ポリウレタンフォームの製造技術では、一般的な、シリコーン系の整泡剤の併用がこの場合でも必要である。例えば、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール変性ポリジメチルシロキサン等である。その使用量は、ポリウレタン樹脂100重量部当たり、0.5〜3.0部程度の範囲である。
【0035】
本発明のプレポリマーにあっては、この他に、必要に応じて顔料、防黴剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤、香料、染料、無機系充填剤、抗菌剤等を、本発明の趣旨を損なわない範囲で添加してもよい。
【0036】
本発明のポリウレタン発泡シートの難燃性をさらに向上させるために、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化ポリエチレン、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート等を、ポリウレタン樹脂100重量部当たり、5〜20部程度添加することもできる。
【0037】
上記のようにして得られた、架橋剤、触媒等を添加したプレポリマーは、適宜の混合機にて空気と混合され、コーティング液とされ、例えば離型紙上にコーティングされ、硬化反応によりポリウレタン発泡シートとされる。
【0038】
かくして得られる本発明によるポリウレタン発泡シートは、その厚みが0.2〜1.0mm程度の範囲で、極めて均一なシートとなる。厚みが1.0mmを越す場合には、雰囲気中の水分がコーディングされた混合物の中に均一に取り込まれず、発泡はするものの表面平滑性はかなり劣るものとなる。厚みが0.2mmを下回る場合は、混合吐出の性能にもよるが、一般的には微細な発泡セルを形成することができない。
【0039】
なお、硬化反応の雰囲気中の湿度を一定に保つため、強制的に超音波を利用した加湿器を使用することが好ましい。また、高温水蒸気を直接乾燥、キュアオーブン内に供給しても差し支えない。
【0040】
本発明にあっては、他の難燃剤を併用することで、ポリウレタン発泡樹脂のモジュラス、抗張力、破断伸度、ガラス転移温度、軟化温度等の物理的性質が変化することが多いため、難燃剤の選定には、これらの点を十分に考慮する必要がある。特に、ある特定の難燃剤の添加では可塑化効果が大きくでることもあり、その可塑化効果を考慮して、本発明の最終的な樹脂組成を決定していくことが肝要である。
【0041】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらによって、本発明の技術的範囲は、何等制限されるものではない。
【0042】
実施例1
ポリプロピレングリコール(分子量:1982)およびジブロモネオペンチルグリコールより、数平均分子量900の混合グリコールを得て、この混合グリコールに、生成されるプレポリマーの末端イソシアネート基含有率が5.0重量%となるような量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、および酸化防止剤としてイルガノックス1136(チバスペシャルティケミカルズ社製)を全ポリウレタン樹脂100重量部当たり0.5部加えた。さらに、溶媒としてプレポリマーの固形分を86重量%となる量のキシレンを併用し、85℃で4時間窒素ガス雰囲気下、還流冷却器付きセパラブルフラスコ中でプレポリマーを合成した。
【0043】
次いで、上記の合成により得られたプレポリマーに、末端が一級の水酸基を有するグリセリン/プロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイド付加物であり、分子量が6000を有するポリオキシアルキレントリオールを、計算上で前記イソシアネート基含有率を1.0重量%減少させる量に相当する量を加えた。
【0044】
さらに、ポリウレタン樹脂100重量部に対して0.25重量%に相当する量のジブチル錫ジラウレート、0.05重量%に相当する量のN−エチルモルホリン、さらに1.0重量%に相当する量のポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール変性シリコーン系整泡剤をそれぞれ添加した後、温度25℃、湿度60%の雰囲気下で、4枚羽攪拌機を使用し、1500回転で90秒間攪拌し、コーティング混合液を得た。
【0045】
次いで、このコーティング混合液を、離型紙上に0.3mmの厚さで塗布し、110℃の強制加湿オーブン内にて2分間反応させた。この結果、密度0.38g/cm3の均質な発泡シートが得られた。このものは、水平式燃焼試験(FMVSS−302)で、燃焼時間9秒、燃焼距離23mmであった。
【0046】
実施例2
実施例1で配合した溶液系に、さらに難燃剤としてトリス(モノクロロプロピル)ホスフェートを、溶液100重量部に対して10部添加し、実施例1と同様な条件で攪拌してコーティング混合液を得た。このものを離型紙上に表皮層として塗布し、110℃の強制加湿オーブンに通した後、乾燥させて0.25mmの発泡シートを形成した。このシートを、2液型ポリウレタン系接着剤により、難燃性ポリエステル繊維製基布と張り合わせ、合成皮革となした。
【0047】
得られた合成皮革を、車両用難燃性評価規格にて試験した結果、十分に満足したものであった。なお、発泡シートのみの水平式燃焼試験結果は、燃焼時間0秒であり、燃焼距離0mmであった。
【0048】
比較例1
ポリプロピレングリコール(分子量1982)およびネオペンチルグリコール(実施例1で使用した難燃剤において、臭素を水素に置換したもの)を混合し、数平均分子量800を有する混合グリコールを得た。この混合グリコール100重量部に対してテトラブロモビスフェノールSを1部添加して、以下実施例1と同様にしてプレポリマーを合成した。得られたプレポリマー溶液は白濁しており、完全にテトラブロモビスフェノールSが溶解していないことを示した。なお、このプレポリマー溶液を実施例1と同様に処理してコーティング混合液を作成し、発泡シートを得た。その難燃性を測定した結果は、燃焼時間0秒、燃焼距離0mmと極めて良好なものであった。
【0049】
比較例2
比較例1において使用したテトラブロモビスフェノールSに代えて、ヘキサブロモシクロドデカンを使用し、同様にプレポリマーを合成した。得られたプレポリマー溶液は、比較例1と同様にヘキサブロモシクロドデカンが完全に溶解されず、不均一な溶液であった。なお、このプレポリマー溶液についても実施例1と同様に処理し、発泡シートを製造した。得られた発泡シートは、良好な難燃性を有していた。
【0050】
比較例3
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルジエチルフホスホナイトとポリプロピレングリコール(分子量:1982)により数平均分子量1250を有する混合グリコールを得た。次いで、トルエンを溶媒として、この混合グリコールを4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートにより、イソシアネート基含有率4.7重量%のプレポリマーの合成を試みたが、凝固物と多量の沈殿物が発生し、目的とするプレポリマーを製造することはできなかった。
【0051】
【発明の効果】
以上記載のように、本発明はポリウレタン発泡樹脂シートの難燃化について、ポリウレタン発泡層樹脂の主材料であるグリコール成分中に、同じグリコール系の難燃剤であるジブロモネオペンチルグリコールを化学的に組込んだプレポリマーを製造し、かかるプレポリマーより、効率的かつ簡便に難燃性ポリウレタン発泡シートを得ることができる。
【0052】
得られた発泡シートは、難燃剤がその表面に全くブリードアウトしないものであり、湿式法により得られた合成皮革や人工皮革に匹敵する風合いを有するものであり、したがって、人工皮革や合成皮革の銀面層中で最大の樹脂比率を占める発泡層用のポリウレタン樹脂について、効率的、かつ安定な難燃化方法に基づく、難燃性ポリウレタン発泡シートを提供することができる。

Claims (4)

  1. 分子量1500〜2500のポリオキシアルキレングリコールとジブロモネオペンチルグリコールからなる数平均分子量700〜1250を有するグリコール混合物に、過剰量のジイソシアネートを反応させ、末端にイソシアネート基を有し、且つ、そのイソアネート基の含有率が4〜6重量%になるプレポリマーとし、当該プレポリマーを、触媒および整泡剤の存在下、ポリオキシアルキレントリオールおよび大気中の水分と反応させ、硬化させて得た難燃性ポリウレタン発泡シート。
  2. プレポリマーに対するポリオキシアルキレントリオールの使用量が、当該末端イソシアネート基を0.5〜1.0重量%減少させるのに必要な量である請求項1記載の難燃性ポリウレタン発泡シート。
  3. 混合グリコールとジイソシアネートとの反応によるプレポリマーの製造を、リモネンを溶媒として行う請求項1記載の難燃性ポリウレタン発泡シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリウレタン発泡シートを、銀面層の一部として用いたことを特徴とする合成皮革。
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