JP4030078B2 - 折り畳み階段装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、既設の建造物の補修工事や改修工事を行う場合等に、その建造物に近接して設立されて利用される折り畳み階段装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
建造物の補修工事や改修工事を行う場合には、従来から、例えば四本の建枠に昇降用の斜路部分(階段)と、この斜路部分の長手方向の端部に連なる踊り場床とを設けた種々の仮設昇降装置が用いられている。
【0003】
かかる仮設昇降装置は、全体として、四本の建枠内に斜路部分や踊り場床を一体組み付けしたものとして構成されたり、あるいはこれらを分解可能に組み付けたものとして構成され、その組付構造は一般に複雑となる。そして、所定の強度,耐久性,安全性が得られるように補強手段が必要に応じ講じられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の仮設昇降装置のうち、上記のように一体組み付けを行ったものでは、これを工事現場へ運搬したり、工事現場から引き揚げる場合にかさばるために、運搬費用が高くなるほか、大形のものでは車両条件や道路条件によって運搬が行えない場合があるという課題があった。
【0005】
一方、これに対し、上記のように分解可能に組み付けが可能な仮設昇降装置では、工事現場において建造物に接近して組み付ける作業が面倒で、組み付け作業の効率が悪くなるほか、仮設昇降装置を構成する各組付部材,部品の管理を十分に行う必要があり、それらの紛失や欠落が構造物の安全性,信頼性を損なうという課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するものであり、斜路部分である階段や回動踊り場床を建枠内で折り畳み可能とすることで、全体の占有空間を任意に縮小可能にし、これにより運搬および取り扱いを簡易化できるとともに、狭小空間での設立も容易に実現できる、安全性,信頼性の高い折り畳み階段装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する為、請求項1の発明は、前側一対の建枠と、後側一対の建枠からなる 二対の建枠のうち、前側一対の建枠間に架設された複数階の踊り場床と、後側一対の建枠間に上記踊り場床に対し高さ方向に段違いとなるように複数段に亘って架設されて外端部側で互いに独立して回動自在に枢支された二つ割りの回動踊り場床と、これらの回動踊り場床のうち一方の回動踊り場床の端部に上端部が枢支された下りの階段と、回動踊り場床のうち他方の回動踊り場床の内端部に下端部が枢支された上りの階段と、回動踊り場床の下位にある踊り場床に対し下りの階段の下端部を移動自在に支持する第一のガイド部材と、回動踊り場床の上位にある踊り場床に対し上りの階段の上端部を移動自在に支持する第二のガイド部材とを備えた折り畳み階段装置において、前側一対の建枠に第1の支持杆)をそれぞれ設け、後側一対の建枠に上記支持杆に対して斜め方向に対向する二つの第2の支持杆をそれぞれ設け、上記第1の支持杆と上記第2の各支持杆との間に伸縮自在な支持ブレスを回動自在に架設したことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2の発明にかかる折り畳み階段装置は、上り階段および下りの階段の両側部にこれらの上部に倒れるように折り畳み可能な手摺を設けたものである。
【0009】
また、請求項3の発明にかかる折り畳み階段装置は、第1の支持杆に第1の支持ブラケットを設け、第2の支持杆にそれぞれ第2の支持ブラケットを設け、これらの各ブラケットに対して各支持ブレスの両端をピンを介して回動自在に連結させ、更に上記支持ブレスをパイプ杆とこのパイプ杆内に摺動自在に挿入したロッドとで構成すると共にロッドの摺動位置をパイプ杆の外周から螺合したボルトによってロック又はロック解除可能にしていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一例を図に基づいて説明する。
本発明の折り畳み階段装置の基本構造は、図1に示すように、前側一対の建枠(4a)(4b)と、後側一対の建枠(4c)(4d)からなる 二対の建枠のうち、前側一対の建枠間に架設された複数階の踊り場床(5a)(5b)(7a)(7b)(9a)(9b)と、後側一対の建枠間に上記踊り場床に対し高さ方向に段違いとなるように複数段に亘って架設されて外端部側で互いに独立して回動自在に枢支された二つ割りの回動踊り場床(6a)(6b)(8a)(8b)と、これらの回動踊り場床のうち一方の回動踊り場床(6a)(8a)の内端部に上端部が枢支された下りの階段(11)(62)と、回動踊り場床のうち他方の回動踊り場床(6b)(8b)の内端部に下端部が枢支された上りの階段(12)(65)と、回動踊り場床の下位にある踊り場床に対し下りの階段の下端部を移動自在に支持する第一のガイド部材(44)と、回動踊り場床の上位にある踊り場床に対し上りの階段の上端部を移動自在に支持する第二のガイド部材(55)とを備えたものである。
そして、本発明の特徴とする構成は、図12、図13に示すように、前側一対の建枠(4a)(4b)に第1の支持杆(13)をそれぞれ設け、後側一対の建枠(4c)(4d)に上記支持杆(13)に対して斜め方向に対向する二つの第2の支持杆(42)(58)をそれぞれ設け、上記第1の支持杆(13)と上記第2の各支持杆(42)(58)との間に伸縮自在な支持ブレス(87)(87)を回動自在に架設したことである。
この場合、第1の支持杆(13)に第1の支持ブラケット(86)を設け、第2の支持杆(42)(58)にそれぞれ第2の支持ブラケット(85)を設け、これらの各ブラケット(86)(85)に対して各支持ブレス(87)(87)の両端をピン(88)(88)を介して回動自在に連結させ、更に上記支持ブレス(87)をパイプ杆(87a)とこのパイプ杆(87a)内に摺動自在に挿入したロッド(87b)とで構成すると共にロッド(87b)の摺動位置をパイプ杆(87a)の外周から螺合したボルト(89)によってロック又はロック解除可能にしている。
以下更に詳しく説明する。
【0011】
また、この四角枠鋼2上面の四隅部には、点線で示すような支持筒3が溶接などによって一体に突設されている。そして、これらの各支持筒3には、それぞれ筒状の建枠4a,4b,4c,4dの下端が挿し込まれて、これらが上方に向って直立するように支持されている。
【0012】
そして、互いに対向する各一対の建枠4a,4b間および4c,4d間には、例えばE字形のフレームF1,F2が複数段に亘って互い違いに取り付けられており、各フレームF1,F2には一対の踊り場床5a,5b、7a,7b、9a,9bおよび一対の回動踊り場床6a,6b,8a,8bが図示のように配置されている。
【0013】
ここで、踊り場床5a,5b,7a,7b,9a,9bはフレームF1に固定的に取り付けられ、回動踊り場床6a,6b,8a,8bはフレームF2に対して回動可能に枢支されている。この回動構造の詳細は、図2,図3において説明するが、図1では、仮に、各回動踊り場床6a,6b,8a,8bをブラケット10a上の支軸10bに枢支したものとして示してある。
【0014】
また、図上、一方の一対の建枠4a,4b側に支持されて二つ割りされた二段目の回動踊り場床6a,6bのうち、一方の回動踊り場床6aの内端部には、踊り場床5aへの下りの階段11の上端部が枢支されており、さらに他方の回動踊り場床6bの内端部には、踊り場床7bへの上りの階段12の下端部が枢支されている。
【0015】
図2および図3は、かかる下りの階段11および上りの階段12の枢支構造を詳細に示す分解斜視図である。上記の二つ割りとされた回動踊り場床6a,6bはフレームF2の三本の支持杆13間に介装されている。
【0016】
各回動踊り場床6a,6bを構成する矩形枠Wの外端部に突設されたヒンジ片30,32が、フレームF2の支持杆16内側に突設されたブラケット35,36に回動自在に支持されている。矩形枠Wにはステップとしてのラス網が張設されている。
【0017】
なお、かかるヒンジ片30,32の回動は、各ヒンジ片30の取付孔29およびブラケット35の取付孔34に、また、各ヒンジ片32の取付孔31およびブラケット37の取付孔36にそれぞれボルト38を通してナット39で止めることにより、可能となる。
【0018】
各回動踊り場床6aを構成する矩形枠Wの内端側上面および回動踊り場床6bを構成する矩形枠Wの内端側下面には、各支持杆13に対しそれぞれ一方および他方への回動を規制する回動規制片a,bが取り付けられている。
【0019】
さらに、回動踊り場床6aの内端側下面および回動踊り場床6bの内端側上面にそれぞれ取付孔14を持った一対のブラケット15および取付孔17を持った一対のブラケット18が取り付けられている。
【0020】
なお、上記の各回動規制片a,bには透孔a1,b1がそれぞれ設けられ、支持枠13に設けられた各透孔13aにその各透孔a1,b1を合わせて、ボルトPを挿入し、このボルトPに抜け止めピンNを嵌合することで、各回動踊り場床6a,6bの各支持杆13に対する水平移動および回動が規制されている。
【0021】
一方、下りの階段11の両側には補強用の長尺の斜杆19が一体に取り付けられており、これらの上端には取付孔20が設けられている。
【0022】
従って、その斜杆19の上端と支持杆13のブラケット15とを互いに接合し各取付孔14,20にボルト21を挿通し、これにナット22をねじ込むことで上記のように、回動踊り場床6aの内端に下りの階段11の上端を、枢支することができる。
【0023】
同様にして、上りの階段12の両側にも長尺の斜杆23が一体に取り付けられており、これらの下端には取付孔24が設けられている。
【0024】
従って、その斜杆23の下端と回動踊り場床6bの矩形枠Wに設けられたブラケット18を接合し、各取付孔17,24にボルト25を挿通し、これにナット26をねじ込むことで、回動踊り場床6bの内端に上りの階段12の下端を、上記のように枢支することができる。
【0025】
また、各斜杆19,23には階段用の手摺27を取り付けるための取付筒28が取り付けられている。これらの手摺27は各斜杆19,23に立設した取付筒28内に下端部が挿入されてねじ固定されている。
【0026】
なお、図では詳しく示していないが、上記の手摺27は上記ねじを緩め、これらの下端部を取付筒28から僅か引き上げて、各階段11,12上へ寝かせるようにすることで、各階段11,12上への折り畳みが可能な取付構造とされている。
【0027】
また、フレームF2の左右端の各支持杆13上面には、図1に示すような手摺40が立設され、また、各建枠4a,4b間の支持杆16上にも手摺41が立設されている。
【0028】
図4および図5は最下段の左右の回動踊り場床5a,5bのうち、回動踊り場床5aの取付構造を示す。これらの回動踊り場床5a,5bは二本の建枠4c,4d間に架設されたE字状のフレームF1に一体に形成され、これらの回動踊り場床5a,5bの両側に位置するフレームF1の支持杆42は、間隙G1を介する二つ割り構造とされている。なお、ここでは、この支持杆42は二本のチャンネル部材を対向配置したものとして構成されている。
【0029】
そして、二本のチャンネル部材の対向側には、ロール走行路c,dが設けられている。43は上記の間隙G1に一部が挿入可能な板金のL字金具で、これの下部にはロール走行路c,d上を回転しながら走行する四個の第一のガイド部材としてのガイドロール44が取り付けられている。
【0030】
また、L字金具43の二対の第一のガイド部材44間には走行止めピン用の透孔45が設けられ、さらに、そのL字金具43の上記間隙G1の上方へ突出する部位には、取付孔46が設けられている。
【0031】
支持杆42は先端部の側面に内外に貫通する透孔42aを有し、この透孔42aとL字金具43に設けられた透孔45とに走行止めピン47を挿し込むことで各ガイドロール44のロール走行路c,dにおける走行を規制可能にしており、この走行止めピン47抜き取ることで、ガイドロール44の回転走行が可能となる。なお、48は支持杆42の先端部上面に設けられた手摺49取付用の取付孔である。
【0032】
そして、L字金具43のうち間隙Gの上方に突出する部分には、上記下りの階段11の側面に一体に設けられた斜杆19の下端が当接され、この斜路19の下端に形成された取付孔50とL字金具43の取付孔46にボルト51を通して、これにナット52がねじ込まれることで、下りの階段11の下端が踊り場床5aの内端に枢支される。
【0033】
従って、走行止めピン47を各透孔42a,45から引き抜けば、L字金具43は間隙G1内を後方へ移動可能となり、これによって階段11の下端が同方向へ移動し、後述のような階段11の折り畳みを可能にしている。
【0034】
図6および図7は上記の踊り場床7a,7bと、これらの踊り場床7a,7bへの上りの階段12およびこれらの踊り場床7a,7bへの下りの階段62との取付構造を示す。まず、上りの階段12の両側には、上記のような斜杆23が取り付けられており、これらの斜杆23の上端には取付孔53が設けられている。
【0035】
また、踊り場床7a,7bは二本の建枠4c,4d間に架設されたE字状のフレームF1に一体に形成され、これらの踊り場床7a,7bの両側に位置するフレームF1を構成する支持杆58が、間隙G2を介する二つ割り構造とされている。なお、ここではこの支持杆58は二本のチャンネル部材を対向したものとして構成されている。
【0036】
また、この間隙G2を介して、各踊り場床7a,7bの対向面側には、ロール走行路e,fが設けられている。なお、58aは踊り場床7a,7bの対向部に形成された走行止めピン挿入用の透孔である。
【0037】
そして、上記間隙G2には板金のT字金具54が移動自在に介装されている。このT字金具54には、ロール走行路e,f上に回転する四個の第二のガイド部材としてのガイドロール55が取り付けられて、上下片に各一の取付孔56,57が設けられている。59はT字金具54に設けられて、上記の透孔58aとともに走行止めピン(図示しない)が挿入される透孔である。
【0038】
また、取付孔57が設けられた上記T字金具54の下片と階段12の斜杆23の上端とが接合され、各取付孔53,57にボルト60を通し、さらにこれにナット61をねじ込むことで、その斜杆23の上端がT字金具54に対し枢支される。つまり、階段12の上端が、T字金具54を介して踊り場床7bの内端に移動自在に支持されることとなる。
【0039】
さらに、T字金具54の上片には、回動踊り場床8a,8bへの上りの階段62の両側部に一体に設けられた斜杆63の下端が、ボルト64および図示しないナットにより、枢支固定されている。
【0040】
なお、これらの斜杆23,63には、それぞれ手摺27を取り付けるための取付筒28が一体に取り付けられている。
【0041】
また、図1における回動踊り場床8bと、この回動踊り場床8bへの下りの階段65の斜杆66下端との取り付けは、回動踊り場床6bと上記の上り階段12すなわち、その回動踊り場床6bへの下りの階段12の斜杆23との取り付けと同様にして行われている。
【0042】
さらに、その下りの階段65の斜杆66の上端と、最上位にある二つの踊り場床9a,9bのうち、図上、右方の踊り場床9b(図示しない)との取り付けは上り階段12の斜杆23と踊り場床7bとの取り付けと同様にして行われる。
【0043】
なお、49は踊り場床5a,回動踊り場床6aの支持杆42に立設された手摺で建枠4c,4d間に上記と略同様のE字状のフレームF1および手摺67が設けられている。68は踊り場床5bと地上とを結ぶ階段であり、この階段68の取付部位では手摺67が省かれている。
【0044】
また、上記の四本の建枠4a,4b,4c,4d上にはそれぞれ支持筒69が一体に突設されており、これらの各支持筒69には、上記とは同一構成の折り畳み階段装置の建枠4e,4f,4g,4fの下端が挿し込まれて、上方に向って直立可能とされている。
【0045】
このように折り畳み階段装置を二段以上に積み上げた場合には、更に高層の既設建物の補修足場として利用可能になる。
【0046】
なお、この場合には上記回動踊り場床8bへの下りの階段65に一体の斜杆66上端が、上記の踊り場床7bの上方に臨む最上部の右側の踊り場床9bの一端に、上記と同様のT字金具やL字金具、およびガイド部材を介して支承される。ここで、フレームF1からなる踊り場床9aのステップ部(ラスネット)は、図8に示すように取り外されている。
【0047】
また、図8に示すように積み上げられた上段の折り畳み階段装置側の踊り場床のうち、最下段にある踊り場床5a,5bは、基本的に下段の折り畳み階段装置の踊り場床5a,5bと同一取付構造を持つが、ここでは踊り場床5bのステップ部が取り外されている。
【0048】
そして、踊り場床9b側の支持杆42を構成する二つ割りのチャンネル部材72a,72b間を移動する、図7に示したものと同様のT字金具54の取付孔57と階段65の斜杆66端の取付孔73とに、ボルト74が通されて、足場床9bの内端部と下りの階段65とが枢支結合されている。
【0049】
また、上段に積層された上記の折り畳み階段装置は下段のそれと基本的に同一構造であるが、図1に示すように最下段のフレームF1においては、踊り場床5bに対応するステップ部(ラスネット)が取り外されている。
【0050】
また、L字金具43の一部には、踊り場床5aへの下りの階段11に設けられた斜杆19下端が、ボルト51およびナット52によって枢支されている。47は支持杆42の一部に挿通されてL字金具43の間隙G1における移動を規制する走行止めピンである。
【0051】
この発明の折り畳み階段装置は以上のように組み立てて構成されており、これを運搬しようとする場合には、複数段に積み上げられた折り畳み階段装置を、上位の建枠4e,4f,4g,4hを支持筒69から外し、さらに、建枠4a,4b,4c,4dを支持筒3から外すようにして、最上段から順にクレーンで地上に吊り降ろす。また、各階段11,12,62,65上の手摺27をこれらの上に寝かせるようにして折り畳む。
【0052】
このようにクレーンで折り畳み階段装置を地上に吊り降す際には、例えば図9に示すように、二本の建枠4a,4bの両端に四本のワイヤ75端を掛け、さらに、これを一本のワイヤ76を介して吊り下げ、折り畳み階段装置の全体を横に寝かせるようにして地上に降ろしていく。
【0053】
次に、このように地上に降ろした状態の折り畳み階段装置の、図1に示すような各階段11,12,62,65の各手摺27を、これらの各階段11,12,62,65上に寝かせるようにして折り畳むように重ねる。
【0054】
また、これに並行して、透孔42a,45から走行止めピン47を抜くとともに、透孔58a,59から図示しない走行止めピン(図示しない)を抜き取る。
【0055】
かかる状態で、クレーンによりワイヤ75,76を介して折り畳み階段装置をゆっくり吊り降ろしていく。この吊り降ろし状態においては、図10に示すように、自身の重みで建枠4a,4bが下降するが、このとき、二枚の回動踊り場床6a,6bはブラケット35,37上のボルトに枢支されて垂下した状態となるとともに、回動踊り場床6a,6bの下端(内端)に、ボルト21,ナット22によって枢支された各階段11,12が、それぞれ「ハ」の字形に吊り下げられる。このとき、各階段11,12の下端は、図10において支持杆42,48上にある。
【0056】
そして、ワイヤ75,76をさらにゆっくり吊り降ろしていくと、各階段11,12の各斜杆19,23の下端(図10において)が、L字金具43およびT字金具54とともに、各間隙G1,G2内を各ガイドローラ44,55により下方へ移動(後退)していく。
【0057】
このとき、各回動踊り場床6a,6bは回動規制片a,bによってそれぞれ一方に回動規制されているため、その後退が止まると、こんどは各階段11,12の重みによって、各斜杆19,23の上端部により、図中、互いに左右方向(反対方向)に押しやられて、図10の実線で示すように、「ハ」の字状に開く。そして、各回動踊り場床6a,6bが最大限開くと、遂には、各階段11,12は前後に互い違いとなるように、略水平に折り畳まれることとなる。
【0058】
一方、上記の折り畳み階段装置を、既設建物の修復等に利用する場合には、上記のような、折り畳み状態の折り畳み階段装置をトラックに載せて運搬し、作業現場にて、クレーンを用いて、上記とは逆の手順で図1に示すように立上げる。
【0059】
このとき、各階段11,12,62,65の手摺27を起立させて固定し、走行止めピン47を透孔42a,45に挿し込み、図示しない走行止めピンを透孔58a,59に挿し込むことで、折り畳み階段装置は作業足場として、あるいは作業階への昇降用として利用することができる。
【0060】
図11は、図1に示すように二段に積み上げられた上段の折り畳み階段装置の四本の建枠4e,4f,4g,4h上端に、片持タイプの支持梁77を固定し、滑車78を介して、支持梁77先端を吊持するワイヤ79を地上方向へけん引保持するようにしたものを示す。
【0061】
従って、この支持梁77の先端には重量物であるワイヤ巻上げ機81の取り付けが可能となり、このワイヤ巻上げ機81により吊持される巻上げ,巻戻し自在のワイヤ82,83に渡り橋80を吊持させ、所定高さで、その折り畳み階段装置と他の構造物84との間に掛け渡すことで、その渡り橋80を構造物84の高所位置へ昇降させて、高所作業用の作業通路や作業足場として利用可能になる。
【0062】
なお、上記実施の形態では、二本の建枠4a,4bの両端に四本のワイヤ75端を掛け、さらにこれを一本のワイヤ76を介して、クレーンで吊り下げ、地上に降ろし自重にて折り畳む際には、支持杆42に設けられた透孔42aおよびL字金具43に設けられた透孔45に挿し込まれているピン47を抜き取り、さらに支持杆58に設けられた透孔58aおよびT字金具54に設けられた透孔59に挿し込まれているピン(図示しない)を抜き取ることが必要である。
【0063】
ところで、上記クレーンによりワイヤ76で建枠4a,4bを吊り下げている作業途中において、そのクレーン付近でまたは建枠4c,4d上に乗るなどして、作業員が上記ピン47等を抜き取る作業を行うことは極めて危険となる場合がある。
【0064】
そこで、このような危険を回避し、かつ階段装置の折り畳みをスムースに行えるようにするため、図12に示すように、建枠4aに設けられた支持杆13およびこれに対し斜め方向に対向する建枠4cに設けられた支持杆42,58に、支持ブラケット85,86がそれぞれ設けられて、これらの各ブラケット85,86に対し、伸縮自在の支持ブレス87の両端が、ピン88にてそれぞれ回動自在に図示のように順次連結されている。
【0065】
このうち、支持ブレス87はパイプ杆87a内にロッド87bを摺動自在に設けて、そのロッド87bの摺動位置を、パイプ杆87aの外周から螺合したボルト89によってロックおよびロック解除可能にしている。なお、パイプ杆87a内に突出するように取り付けたピン90に沿って、ロッド87bに設けられた直線状の長孔や長溝をガイドさせることで、パイプ杆87a内でのロッド87bの摺動を円滑にすることが可能になる。
【0066】
従って、かかる支持ブレス87は、折り畳み階段装置を図1に示すように立ち上げた状態においては、図12に示すように、最も伸長した状態で、ボルト89によりパイプ杆87aに対するロッド87bのロックが行われる。このため、各支持杆13と支持杆42,58とを各支持ブレス87が突っ張るように、図12中水平方向に支持し、これらの相対距離が固定的に安定に維持される。
【0067】
従って、これらの相対距離が安定に維持されることで、図4および図5に示す支持杆42およびL字金具43に設けられた各透孔42a,45からピン47が抜かれていても、また、図6および図7に示す支持杆58およびT字金具54に設けられた透孔58a,59からピン(図示しない)が抜かれていても、各ガイドロール44,55がロール走行路c,d,e,f上に自由に走行することができず、従って、斜杆19,63端などが各支持杆42,58に沿って自由に移動することはない。
【0068】
一方、折り畳み階段装置を折り畳む場合には、これをクレーンを用いて、チェーン75,76により図13に示すように横にして吊り下げて、静かに地上に降ろし、その折り畳み階段装置の直ぐ横で、支持ブレス87のボルト89を緩めればよい。
【0069】
これにより、チェーン75,76をさらに静かに降ろしていく過程で、パイプ杆87a内にロッド87bが進入しながら支持ブレス87が収縮し、さらに建枠4a,4bの重みで、遂には支持杆13端が建枠4c,4dに当たる位置に至り、折り畳みが終了する。
【0070】
このとき、各ガイドロール44,45はロール走行路c,d,e,f上を自由に走行するため、各斜杆19,63端が各支持杆42,58に沿って軽快に移動し、各斜杆19,63の折り畳みも同時に行われる。
【0071】
なお、この折り畳み状態からの階段装置の立ち上げは上記同様にして行われ、立ち上げ後に支持ブレス87のボルト89が堅く締め付けられることで、起立構造が安定に保持される。
【0072】
【発明の効果】
、請求項1の発明によれば、前側一対の建枠(4a)(4b)と、後側一対の建枠(4c)(4d)からなる 二対の建枠のうち、前側一対の建枠間に架設された複数階の踊り場床(5a)(5b)(7a)(7b)(9a)(9b)と、後側一対の建枠間に上記踊り場床に対し高さ方向に段違いとなるように複数段に亘って架設されて外端部側で互いに独立して回動自在に枢支された二つ割りの回動踊り場床(6a)(6b)(8a)(8b)と、これらの回動踊り場床のうち一方の回動踊り場床(6a)(8a)の内端部に上端部が枢支された下りの階段(11)(62)と、回動踊り場床のうち他方の回動踊り場床(6b)(8b)の内端部に下端部が枢支された上りの階段(12)(65)と、回動踊り場床の下位にある踊り場床に対し下りの階段の下端部を移動自在に支持する第一のガイド部材(44)と、回動踊り場床の上位にある踊り場床に対し上りの階段の上端部を移動自在に支持する第二のガイド部材(55)とを備えているから、斜路部分である階段や回動踊り場床を建枠内で折り畳み自在とすることができ、従って折り畳み階段装置全体の占有空間を任意に縮小可能にし、これにより運搬および取り扱いを簡易化できるとともに、作業現場での狭小空間における設立も容易に実現できるという効果が得られる。
更に、第1の支持杆(13)に第1の支持ブラケット(86)を設け、第2の支持杆(42)(58)にそれぞれ第2の支持ブラケット(85)を設け、これらの各ブラケット(86)(85)に対して各支持ブレス(87)(87)の両端をピン(88)(88)を介して回動自在に連結させ、更に上記支持ブレス(87)をパイプ杆(87a)とこのパイプ杆(87a)内に摺動自在に挿入したロッド(87b)とで構成すると共にロッド(87b)の摺動位置をパイプ杆(87a)の外周から螺合したボルト(89)によってロック又はロック解除可能にしているから、従来のように折畳み作業時に必要とされる面倒で危険なピン抜き作業をなくすることができ、これにより折り畳み作業の能率化,安全性を確保できるという効果が得られる。
【0073】
また、請求項2の発明によれば、上り階段および下りの階段の両側部にこれらの上部に倒れるように折り畳み可能な手摺を設けるように構成したので、階段や回動踊り場床などとともに、収縮するようにつぶされた建枠内に手摺をコンパクトに収納できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態による折り畳み階段装置を示す斜視図である。
【図2】図1における階段と回動踊り場床との取付構造を分解して示す要部の斜視図である。
【図3】図1における回動踊り場床を分解して示す要部の斜視図である。
【図4】図1における他の階段と踊り場床との取付構造を分解して示す要部の斜視図である。
【図5】図4に示すL字金具の取付構造を分解して示す斜視図である。
【図6】図1におけるさらに他の階段と踊り場床との取付構造を分解して示す要部の斜視図である。
【図7】図6に示すT字金具の取付構造を分解して示す斜視図である。
【図8】二段積みした折り畳み階段装置の階段および足場床の取付構造を示す要部の分解斜視図である。
【図9】この発明の折り畳み階段装置を吊り下げた状態を示す斜視図である。
【図10】この発明の折り畳み階段装置を折り畳む状況を示す斜視図である。
【図11】この発明の折り畳み階段装置に渡り橋を吊持する状況を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の他の形態による支持ブレスの取付構造を示す要部の正面図である。
【図13】図12における支持ブレスを持った折り畳み階段装置を吊り下げた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h 建枠
5a,5b,7a,7b,9a,9b 踊り場床
6a,6b,8a,8b 回動踊り場床
11,12,62,65 階段
13,16,42,58 支持杆
27 手摺
44 ガイドロール(第一のガイド部材)
55 ガイドロール(第二のガイド部材)
87 支持ブレス
Claims (3)
- 前側一対の建枠(4a)(4b)と、後側一対の建枠(4c)(4d)からなる 二対の建枠のうち、前側一対の建枠間に架設された複数階の踊り場床(5a)(5b)(7a)(7b)(9a)(9b)と、後側一対の建枠間に上記踊り場床に対し高さ方向に段違いとなるように複数段に亘って架設されて外端部側で互いに独立して回動自在に枢支された二つ割りの回動踊り場床(6a)(6b)(8a)(8b)と、これらの回動踊り場床のうち一方の回動踊り場床(6a)(8a)の内端部に上端部が枢支された下りの階段(11)(62)と、回動踊り場床のうち他方の回動踊り場床(6b)(8b)の内端部に下端部が枢支された上りの階段(12)(65)と、回動踊り場床の下位にある踊り場床に対し下りの階段の下端部を移動自在に支持する第一のガイド部材(44)と、回動踊り場床の上位にある踊り場床に対し上りの階段の上端部を移動自在に支持する第二のガイド部材(55)とを備えた折り畳み階段装置において、前側一対の建枠(4a)(4b)に第1の支持杆(13)をそれぞれ設け、後側一対の建枠(4c)(4d)に上記支持杆(13)に対して斜め方向に対向する二つの第2の支持杆(42)(58)をそれぞれ設け、上記第1の支持杆(13)と上記第2の各支持杆(42)(58)との間に伸縮自在な支持ブレス(87)(87)を回動自在に架設したことを特徴とする折り畳み階段装置。
- 上りの階段および下りの階段の両側部にはこれらの上部に倒れるように折り畳み可能な手摺(27)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み階段装置。
- 第1の支持杆(13)に第1の支持ブラケット(86)を設け、第2の支持杆(42)(58)にそれぞれ第2の支持ブラケット(85)を設け、これらの各ブラケット(86)(85)に対して各支持ブレス(87)(87)の両端をピン(88)(88)を介して回動自在に連結させ、更に上記支持ブレス(87)(87)をパイプ杆(87a)とこのパイプ杆(87a)内に摺動自在に挿入したロッド(87b)とで構成すると共にロッド(87b)の摺動位置をパイプ杆(87a)の外周から螺合したボルト(89)によってロック又はロック解除可能にしていることを特徴とする請求項1又2に記載の折り畳み階段装置。
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JPH11182022A JPH11182022A (ja) | 1999-07-06 |
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- 1998-04-28 JP JP13442398A patent/JP4030078B2/ja not_active Expired - Lifetime
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