JP4029727B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機は、自動車用自動変速装置の変速ユニットとして、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用自動変速装置として、図4〜6に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に、請求項1に記載した外側ディスクである入力側ディスク2、2を、ボールスプライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車4の中心部に設けた円筒部の両端部に、請求項1に記載した内側ディスクである出力側ディスク5、5を、それぞれスプライン係合させている。従ってこれら両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同期して回転する。
【0003】
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク5、5との間には、それぞれ複数個ずつ(通常2〜3個ずつ)のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6は、それぞれトラニオン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図4、6の上下方向、図5の表裏方向)両端部に、これら各トラニオン7、7毎に互いに同心に設けられた枢軸9、9を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン7、7を傾斜させる動作は、油圧式のアクチュエータ10、10により、これら各トラニオン7、7を上記枢軸9、9の軸方向に変位させる事で行なうが、総てのトラニオン7、7の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期させる。
【0004】
即ち、前記入力軸1と出力歯車4との間の変速比を変えるべく、上記各トラニオン7、7の傾斜角度を変える場合には、上記各アクチュエータ10、10により上記各トラニオン7、7を、それぞれ逆方向に、例えば、図6の右側のパワーローラ6を同図の下側に、同図の左側のパワーローラ6を同図の上側に、それぞれ変位させる。この結果、これら各パワーローラ6、6の周面と上記各入力側ディスク2、2及び各出力側ディスク5、5の内側面との転がり接触部に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン7、7が、支持板11、11に枢支された枢軸9、9を中心として、互いに逆方向に揺動(傾斜)する。この結果、上記各パワーローラ6、6の周面と上記入力側、出力側各ディスク2、5の内側面との当接位置が変化し、上記入力軸1と出力歯車4との間の回転変速比が変化する。
【0005】
上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排状態は、これら各アクチュエータ10、10の数に関係なく1個の変速比制御弁12により行ない、何れか1個のトラニオン7の動きをこの変速比制御弁12にフィードバックする様にしている。この変速比制御弁12は、ステッピングモータ13により軸方向(図6の左右方向、図4の表裏方向)に変位させられるスリーブ14と、このスリーブ14の内径側に軸方向の変位自在に嵌装されたスプール15とを有する。又、上記各トラニオン7、7と上記各アクチュエータ10、10のピストン16、16とを連結するロッド17、17のうち、何れか1個のトラニオン7に付属のロッド17の端部にプリセスカム18を固定しており、このプリセスカム18とリンク腕19とを介して、上記ロッド17の動き、即ち、軸方向の変位量と回転方向との変位量との合成値を上記スプール15に伝達する、フィードバック機構を構成している。又、上記各トラニオン7、7同士の間には同期ケーブル20を掛け渡して、油圧系の故障時にも、これら各トラニオン7、7の傾斜角度を、機械的に同期させられる様にしている。
【0006】
変速状態を切り換える際には、上記ステッピングモータ13により上記スリーブ14を、得ようとする変速比に見合う所定位置にまで変位させて、上記変速比制御弁12の所定方向の流路を開く。この結果、上記各アクチュエータ10、10に圧油が、所定方向に送り込まれて、これら各アクチュエータ10、10が上記各トラニオン7、7を所定方向に変位させる。即ち、上記圧油の送り込みに伴ってこれら各トラニオン7、7が、前記各枢軸9、9の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸9、9を中心に揺動する。そして、上記何れか1個のトラニオン7の動き(軸方向及び揺動変位)が、上記ロッド17の端部に固定したプリセスカム18とリンク腕19とを介して上記スプール15に伝達され、このスプール15を軸方向に変位させる。この結果、上記トラニオン7が所定量変位した状態で、上記変速比制御弁12の流路が閉じられ、上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排が停止される。
【0007】
この際の上記トラニオン7及び上記プリセスカム18のカム面21の変位に基づく上記変速比制御弁12の動きは、次の通りである。先ず、上記変速比制御弁12の流路が開かれる事に伴って上記トラニオン7が軸方向に変位すると、前述した様に、パワーローラ6の周面と入力側ディスク2及び出力側ディスク5の内側面との転がり接触部に発生するサイドスリップにより、上記トラニオン7が上記各枢軸9、9を中心とする揺動変位を開始する。又、上記トラニオン7の軸方向変位に伴って上記カム面21の変位が、上記リンク腕19を介して上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位して、上記変速比制御弁12の切り換え状態を変更する。具体的には、上記アクチュエータ10により上記トラニオン7を中立位置に戻す方向に、上記変速比制御弁12が切り換わる。
【0008】
従って上記トラニオン7は、軸方向に変位した直後から、中立位置に向け、逆方向に変位し始める。但し、上記トラニオン7は、中立位置からの変位が存在する限り、上記各枢軸9、9を中心とする揺動を継続する。この結果、上記プリセスカム18のカム面21の円周方向に関する変位が、上記リンク腕19を介して上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位する。そして、上記トラニオン7の傾斜角度が、得ようとする変速比に見合う所定角度に達した状態で、このトラニオン7が中立位置に復帰すると同時に、上記変速比制御弁12が閉じられて、上記アクチュエータ10への圧油の給排が停止される。この結果上記トラニオン7の傾斜角度が、前記ステッピングモータ13により前記スリーブ14を軸方向に変位させた量に見合う角度になる。
【0009】
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸22により一方(図4、6の左方)の入力側ディスク2を、図示の様なローディングカム式の、或は油圧式の押圧装置23を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
【0010】
この様に上記各入力側ディスク2、2から上記各出力側ディスク5、5に動力を伝達する際に、上記各トラニオン7、7には、それぞれの内側面に支持した上記各パワーローラ6、6の周面と上記各ディスク2、5の内側面との摩擦に伴って、それぞれの両端部に設けた枢軸9、9の軸方向の力が加わる。この力は、所謂2Ftと呼ばれるもので、その大きさは、上記各入力側ディスク2、2から上記各出力側ディスク5、5(或は出力側ディスク5、5から入力側ディスク2、2)に伝達する力(動力)に比例する。そして、この様な力2Ftは、前記各アクチュエータ10、10により支承する。従って、トロイダル型無段変速機の運転時に、これら各アクチュエータ10、10を構成するピストン16、16の両側に存在する1対の油圧室24a、24b同士の圧力差は、上記力2Ftの大きさに比例する。
【0011】
上記入力軸1と出力歯車4との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速を行なう場合には、上記各アクチュエータ10、10により上記各トラニオン7、7を上記各枢軸9、9の軸方向に移動させ、これら各トラニオン7、7を図5に示す位置に揺動させる。そして、上記各パワーローラ6、6の周面をこの図5に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図5と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面を、この図5に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させる。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の変速比(速度比)を得られる。
【0012】
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速装置に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、例えば特許文献1に記載されている様に、従来から提案されている。この特許文献1に記載された無段変速装置は、図7に示す様に、トロイダル型無段変速機25と遊星歯車式変速機26とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速機25は、入力軸1と、1対の入力側ディスク2、2と、出力側ディスク5aと、複数のパワーローラ6、6とを備える。図示の例では、この出力側ディスク5aは、1対の出力側ディスクの外側面同士を突き合わせて一体とした如き構造を有する。
【0013】
又、上記遊星歯車式変速機26は、上記入力軸1及び一方(図7の右方)の入力側ディスク2に結合固定されたキャリア27を備える。このキャリア27の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車素子28a、28bを固設した第一の伝達軸29を、回転自在に支持している。又、上記キャリア27を挟んで上記入力軸1と反対側に、その両端部に太陽歯車30a、30bを固設した第二の伝達軸31を、上記入力軸1と同心に、回転自在に支持している。そして、上記各遊星歯車素子28a、28bと、上記出力側ディスク5aにその基端部(図7の左端部)を結合した中空回転軸32の先端部(図7の右端部)に固設した太陽歯車33又は上記第二の伝達軸31の一端部(図7の左端部)に固設した太陽歯車30aとを、それぞれ噛合させている。又、一方(図7の左方)の遊星歯車素子28aを、別の遊星歯車素子34を介して、上記キャリア27の周囲に回転自在に設けたリング歯車35に噛合させている。
【0014】
一方、上記第二の伝達軸31の他端部(図7の右端部)に固設した太陽歯車30bの周囲に設けた第二のキャリア36に遊星歯車素子37a、37bを、回転自在に支持している。尚、この第二のキャリア36は、上記入力軸1及び第二の伝達軸31と同心に配置された、出力軸38の基端部(図7の左端部)に固設されている。又、上記各遊星歯車素子37a、37bは、互いに噛合すると共に、一方の遊星歯車素子37aが上記太陽歯車30bに、他方の遊星歯車素子37bが、上記第二のキャリア36の周囲に回転自在に設けた第二のリング歯車39に、それぞれ噛合している。又、上記リング歯車35と上記第二のキャリア36とを低速用クラッチ40により係脱自在とすると共に、上記第二のリング歯車39とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ41により係脱自在としている。これら低速用クラッチ40と高速用クラッチ41とが、請求項1に記載した切換手段に相当する。
【0015】
上述の様な、図7に示した無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ40を接続すると共に上記高速用クラッチ41の接続を断った、所謂低速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記リング歯車35を介して上記出力軸38に伝えられる。そして、前記トロイダル型無段変速機25の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、即ち、上記入力軸1と上記出力軸38との間の変速比が変化する。この様な低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。即ち、上記トロイダル型無段変速機25の変速比を調節する事により、上記入力軸1を回転させた状態のまま上記出力軸38の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
【0016】
これに対して、上記低速用クラッチ40の接続を断ち、上記高速用クラッチ41を接続した、所謂高速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記第一、第二の伝達軸29、31を介して上記出力軸38に伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機25の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化する。この場合には、上記トロイダル型無段変速機25の変速比を大きくする程、無段変速装置全体としての変速比が大きくなる。
【0017】
尚、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて成る無段変速装置で、このトロイダル型無段変速機の入力軸と出力軸とを同心に配置したものとしては、上述した特許文献1に記載されたものの他にも、特許文献2〜5に記載されたものが知られている。
【0018】
【特許文献1】
特開2000−220719号公報
【特許文献2】
特開平6−174033号公報
【特許文献3】
特開2002−139124号公報
【特許文献4】
米国特許第5607372号明細書
【特許文献5】
米国特許第6099431号明細書
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
トロイダル型無段変速機25と遊星歯車式変速機26とを組み合わせた無段変速装置の場合、低速用、高速用両クラッチ40、41を断接させる油圧シリンダ内への圧油の給排を切り換える為の電磁弁を含む複数個の電磁弁を、上記トロイダル型無段変速機25及び遊星歯車式変速機26と共に、ケーシング内に設置する必要がある。但し、上述した特許文献1〜5等に記載されて従来から知られている無段変速装置の場合、単に原理的な構造を記載しているのみで、複数個の電磁弁の配置等の具体的構造に就いては記載していない。
【0020】
一方、上記無段変速装置を自動車用の自動変速機として利用する場合、この無段変速装置を収納したケーシングを、フロアパネルの中央部に設けたフロアトンネル部分の様な限られた部分に設置する必要がある。この様な場合に、一般的な機械装置の設計と同様に、上記各電磁弁を上記ケーシングの下部空間内に設置した場合、このケーシングの一部が下方に突出する。この結果、このケーシング部分で、車両の最低地上高が低くなり、当該車両の悪路走破性が悪化する等の問題を生じる。
本発明の無段変速装置は、この様な事情に鑑みて、ケーシング内に複数の電磁弁を効率良く配置して、このケーシングの高さ寸法を抑えられる構造を実現すべく発明したものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の無段変速装置は、前述した従来から知られている無段変速装置と同様に、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを有する。
このうちのトロイダル型無段変速機は、回転軸の周囲にこの回転軸と同期した回転を自在に支持した1対の外側ディスクと、この回転軸の中間部周囲でこれら両外側ディスクの間部分にこの回転軸に対する相対回転自在に設けられた内側ディスクと、変速比変更の為のアクチュエータへの油圧制御を行なう為の制御弁を収納したバルブボディーとを備える。
そして、この様なトロイダル型無段変速機と上記遊星歯車式変速機とを、互いに同軸に、且つ、これら遊星歯車式変速機とトロイダル型無段変速機の回転軸及び内側ディスクとの間で動力を伝達する状態で組み合わせている。
更に、上記トロイダル型無段変速機の回転軸に入力軸を、上記遊星歯車式変速機の構成部材に出力軸を、それぞれ繋げると共に、動力の伝達経路を2系統に切り換える切換手段を有する。
【0022】
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記切換手段を含む変速比制御の為の複数個の電磁弁を、上記バルブボディーと上記遊星歯車式変速機との間の空間内に配置している。
又、好ましくは、請求項2に記載した様に、上記バルブボディーが、トロイダル型無段変速機の回転軸及び遊星歯車式変速機の下方に設けられており、上記バルブボディー内に収納した制御弁を切り換える為のステッピングモータが、複数個の電磁弁の直下で上記バルブボディーの下側に配置されている。
【0023】
【作用】
上述の様に構成する本発明の無段変速装置の場合には、ケーシング内に複数の電磁弁を効率良く配置して、このケーシングの高さ寸法を抑えられる構造を実現できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、図1〜2には縦横比等の寸法関係を、実際の寸法関係で示している。本例の無段変速装置は、トロイダル型無段変速機25aと、第一〜第三の遊星歯車式変速機42〜44とを組み合わせて成り、入力軸45と出力軸46とを有する。図示の例では、これら入力軸45と出力軸46との間に伝達軸47を、これら両軸45、46と同心に、且つ、これら両軸45、46に対する相対回転を自在に設けている。そして、上記第一、第二の遊星歯車式変速機42、43を上記入力軸45と上記伝達軸47との間に掛け渡す状態で、上記第三の遊星歯車式変速機44をこの伝達軸47と上記出力軸46との間に掛け渡す状態で、それぞれ設けている。
【0025】
このうちのトロイダル型無段変速機25aは、1対の入力側ディスク2a、2bと、一体型の出力側ディスク5bと、複数のパワーローラ6、6(図5〜7参照、図1の表裏両側に存在する)とを備える。そして、上記1対の入力側ディスク2a、2bは、上記入力軸45を介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスク5bは、上記両入力側ディスク2a、2b同士の間に、これら両入力側ディスク2a、2bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ6、6は、上記出力側ディスク5bの軸方向両側面と上記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面との間に、それぞれ複数個ずつ挟持されている。そして、これら両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから上記出力側ディスク5bに動力を伝達する。
【0026】
更に、本例の場合には、上記出力側ディスク5bの軸方向両端部を、1対のスラストアンギュラ玉軸受48、48により、回転自在に支持している。この為に本例の場合には、上記各パワーローラ6、6をそれぞれの内側面に回転自在に支持したトラニオン7、7(図5〜6参照)の両端部を支持する為の支持板11a、11bを支持する為にケーシング49の内面に固設した、支持ポスト50a、50bの構造を工夫している。即ち、上記入力軸45を挟んで径方向反対側に、互いに同心に設けられた1対の支持ポスト50a、50bを、円環状の保持環51により連結している。上記入力軸45は、この保持環51の内側を挿通している。
【0027】
そして、各キャビティ毎に設けたこれら各保持環51、51と、上記出力側ディスク5bの軸方向両端面、即ち、この出力側ディスク5bの両側面に設けた出力側面52、52よりも内径側部分との間に、上記各スラストアンギュラ玉軸受48、48を設けている。図示の例の場合、これら各スラストアンギュラ玉軸受48、48を構成する1対の軌道輪53a、53bの外側面(互いに反対側の側面)の内径寄り部分に短円筒状の突条部54、54を全周に亙って形成している。そして、これら各突条部54、54を、上記各保持環51、51及び上記出力側ディスク5bの端部に内嵌する事により、上記各スラストアンギュラ玉軸受48、48の径方向に関する位置決めを図っている。又、一方の軌道輪53a、53aの外側面と上記各保持環51、51との間にシム板55、55を挟持して、上記各スラストアンギュラ玉軸受48、48の軸方向に関する位置決めを図っている。又、この状態で、これら各スラストアンギュラ玉軸受48、48に、所望の予圧を付与している。従って上記出力側ディスク5bは、各キャビティ内に1対ずつ設けた上記各支持ポスト50a、50b同士の間に、径方向及び軸方向に関する位置決めを図られた状態で、回転自在に支持されている。
【0028】
又、図示の無段変速装置の場合、前記入力軸45の基端部(図1の左端部)を図示しないエンジンのクランクシャフトに、ダンパ継手56を介して結合し、このクランクシャフトにより上記入力軸45を回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面及び上記出力側ディスク5bの両側面と上記各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置23aとして、油圧式のものを使用している。又、上記入力軸45の基端部周囲にはギヤポンプ57を設けて、上記押圧装置23a及び変速の為にトラニオン7、7を変位させる為の油圧式のアクチュエータ10、10(図6参照)、並びに後述する低速用クラッチ40a及び高速用クラッチ41aを断接させる為の油圧シリンダに圧油を供給自在としている。
【0029】
又、上記出力側ディスク5bに中空回転軸58の基端部(図1の左端部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸58を、エンジンから遠い側(図1の右側)の入力側ディスク2bの内側に挿通して、上記出力側ディスク5bの回転力の取り出し、或はこの出力側ディスク5bへの動力の伝達を自在としている。更に、上記中空回転軸58の先端部(図1の右端部)で上記入力側ディスク2bの外側面から突出した部分に、前記第一の遊星歯車式変速機42を構成する為の、第一の太陽歯車59を固設している。
【0030】
一方、上記入力軸45の先端部(図1の右端部)で上記中空回転軸58から突出した部分と上記入力側ディスク2bとの間に、第一のキャリア61を掛け渡す様に設けて、この入力側ディスク2bと上記入力軸45とが、互いに同期して回転する様にしている。そして、上記第一のキャリア61の軸方向両側面の円周方向等間隔位置(一般的には3〜4個所位置)に、それぞれがダブルピニオン型である前記第一、第二の遊星歯車式変速機42、43を構成する為の遊星歯車62〜64を、回転自在に支持している。更に、上記第一のキャリア61の片半部(図1の右半部)周囲に第一のリング歯車65を、回転自在に支持している。
【0031】
上記各遊星歯車62〜64のうち、前記トロイダル型無段変速機25a寄り(図1の左寄り)で上記第一のキャリア61の径方向に関して内側に設けた遊星歯車62は、上記第一の太陽歯車59に噛合している。又、上記トロイダル型無段変速機25aから遠い側(図1の右側)で上記第一のキャリア61の径方向に関して内側に設けた遊星歯車63は、前記伝達軸47の基端部(図1の左端部)に固設した第二の太陽歯車66に噛合している。又、上記第一のキャリア61の径方向に関して外側に設けた、残りの遊星歯車64は、上記内側に設けた遊星歯車62、63よりも軸方向寸法を大きくして、これら両歯車62、63に噛合させている。更に、上記残りの遊星歯車64と上記第一のリング歯車65とを噛合させている。尚、径方向外寄りの遊星歯車を、第一、第二の遊星歯車ユニット同士の間で互いに独立させる代りに、幅広のリング歯車をこれら両遊星歯車に噛合させる構造も、採用可能である。
【0032】
一方、前記第三の遊星歯車式変速機44を構成する為の第二のキャリア67を、前記出力軸46の基端部(図1の左端部)に結合固定している。そして、この第二のキャリア67と上記第一のリング歯車65とを、前記低速用クラッチ40aを介して結合している。又、上記伝達軸47の先端寄り(図1の右端寄り)部分に第三の太陽歯車68を、スプライン係合等により固設している。又、この第三の太陽歯車68の周囲に、第二のリング歯車69を配置し、この第二のリング歯車69と前記ケーシング49等の固定の部分との間に、前記高速用クラッチ41aを設けている。更に、この第二のリング歯車69と上記第三の太陽歯車68との間に配置した複数組の遊星歯車70、71を、上記第二のキャリア67に回転自在に支持している。これら各遊星歯車70、71は、互いに噛合すると共に、上記第二のキャリア67の径方向に関して内側に設けた遊星歯車70を上記第三の太陽歯車68に、同じく外側に設けた遊星歯車71を上記第二のリング歯車69に、それぞれ噛合させている。
【0033】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の場合、入力軸45から1対の入力側ディスク2a、2b、各パワーローラ6、6を介して一体型の出力側ディスク5bに伝わった動力は、前記中空回転軸58を通じて取り出される。そして、前記低速用クラッチ40aを接続し、前記高速用クラッチ41aの接続を断った状態では、前記トロイダル型無段変速機25aの変速比を変える事により、上記入力軸45の回転速度を一定にしたまま、前記出力軸46の回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。即ち、この状態では、上記入力軸45と共に正方向に回転する第一のキャリア61と、上記中空回転軸58と共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車59との差動成分が、前記第一のリング歯車65から、前記低速用クラッチ40a、前記第二のキャリア67を介して、上記出力軸46に伝達される。この状態では、上記トロイダル型無段変速機25aの変速比を所定値にする事で上記出力軸46を停止させられる他、このトロイダル型無段変速機25aの変速比を上記所定値から増速側に変化させる事により上記出力軸46を、車両を後退させる方向に回転させられる。これに対して、上記トロイダル型無段変速機25aの変速比を上記所定値から減速側に変化させる事により上記出力軸46を、車両を前進させる方向に回転させられる。
【0034】
更に、上記低速用クラッチ40aの接続を断ち、上記高速用クラッチ41aを接続した状態では、上記出力軸46を、車両を前進させる方向に回転させる。即ち、この状態では、上記入力軸45と共に正方向に回転する第一のキャリア61と、上記中空回転軸58と共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車59との差動成分に応じて回転する、前記第一の遊星歯車式変速機42の遊星歯車62の回転が、別の遊星歯車64を介して、前記第二の遊星歯車式変速機43の遊星歯車63に伝わり、前記第二の太陽歯車66を介して、前記伝達軸47を回転させる。そして、この伝達軸47の先端部に設けた第三の太陽歯車68と、この太陽歯車68と共に前記第三の遊星歯車式変速機44を構成する第二のリング歯車69及び遊星歯車70、71との噛合に基づき、前記第二のキャリア67及びこの第二のキャリア67に結合した上記出力軸46を、前進方向に回転させる。この状態では、上記トロイダル型無段変速機25aの変速比を増速側に変化させる程、上記出力軸46の回転速度を速くできる。
【0035】
上述の様にして、無段変速装置の入力軸45と出力軸46との間の速度比を調節する為には、上記低速用、高速用両クラッチ40a、41aの断接と、上記トロイダル型無段変速機25aの速度比変更とを制御する必要がある。このうちのトロイダル型無段変速機25aの速度比変更を制御する為に、前記入力側、出力側各ディスク2a、2b、5bの下方に、アクチュエータボディー60を設置している。このアクチュエータボディー60内には前記各アクチュエータ10、10を収納し、これら各アクチュエータ10、10により前記トラニオン7、7を、それぞれの両端部に設けた枢軸9、9(図6参照)の軸方向に変位駆動自在としている。この様なアクチュエータ10、10を収納した上記アクチュエータボディー60は、前記ケーシング49内に支持固定している。
【0036】
又、上記アクチュエータボディー60の下方には、上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排を制御する為の変速比制御弁12(図4、6参照)を含む、各種油圧制御弁を収納した、バルブボディー72を設置している。このバルブボディー72は、上記トロイダル型無段変速機25aから前記第一、第二の遊星歯車式変速機42、43、更には前記低速用クラッチ40aに掛けての部分の下方に配置された状態で上記ケーシング49に対し、上記アクチュエータボディー60とは独立して、支持固定している。上記変速比制御弁12を切り換える為のステッピングモータ13aは、上記バルブボディー72の下面の後端寄り部分に設けた凹部73内に配置した状態で、このバルブボディー72に対し支持固定している。本例の場合、上記ステッピングモータ13aと上記変速比制御弁12とは、互いに平行に配置している。従って、このステッピングモータ13aの出力ロッドの先端と上記変速比制御弁12を構成するスプール15(図6参照)の端部とを、揺動腕92(図3)を介して連結している。上記変速比制御弁12を切り換える際には、上記出力ロッドにより上記揺動腕92の一端を押し引きしてこの揺動腕92を揺動させ、この揺動腕92により上記スプール15を押し引きして、このスプール15を軸方向に変位させる。
【0037】
本例の場合、上記アクチュエータボディー60を上記バルブボディー72とは独立して上記ケーシング49に支持固定している為、上記変速比制御弁12を含み、上記バルブボディー72内に収納した油圧切換弁の動作を安定させられる。即ち、上記アクチュエータボディー60は、内部の高圧の油圧が加わる事、出力側ディスク5b及び支持板11a、11bを支持する為の支持ポスト50b、50bを結合固定している事等により、無段変速装置の運転時に、僅かとは言え弾性変形する。これに対して上記各油圧切換弁は、油圧を保持しつつスプールやスリーブを軸方向変位させるべく、精密に造られている。従って、上記アクチュエータボディー60の弾性変形が上記バルブボディー72に伝わる事は、上記各油圧切換弁の動作を安定させる面から好ましくない。これに対して図示の例では、上記アクチュエータボディー60を上記バルブボディー72とは独立して上記ケーシング49に支持固定している為、上記アクチュエータボディー60の弾性変形が上記バルブボディー72に伝わる事がなく、上記各油圧切換弁の動作の安定性を確保できる。
【0038】
更に本例の場合には、前記低速用、高速用両クラッチ40a、41aの断接を行なわせる為のものを含めて3個の電磁弁74〜76を、上記バルブボディー72の上面と、上記第一、第二の遊星歯車式変速機42、43及び上記低速用クラッチ40aに掛けての部分との間に設置している。本例の場合、上記3個の電磁弁74〜76を組み合わせて、図2に示す様な電磁弁ユニット77とし、この電磁弁ユニット77のフレーム78を、上記バルブボディー72の上面にねじ止め固定している。このフレーム78上に固定した上記各電磁弁74〜76への配線はまとめて行ない、上記電磁弁ユニット77を構成する。尚、上記各電磁弁74〜76は、上記フレーム78に組み付けてこの電磁弁ユニット77とした状態で、それぞれの動作確認試験を行なう。そして、総ての電磁弁74〜76が正常に作動する電磁弁ユニット77のみを、上記バルブボディー72の上面に組み付ける。従って、上記各電磁弁74〜76を別個に組み付けてから動作確認試験を行なった場合の様に、上記バルブボディー72の上面に組み付けた後に不具合を見つけて分解、再組立をする様な面倒を防止できる。又、上記各電磁弁74〜76への配線を集中して行なえるので、組立性を良好にできる。しかも図示の例では、前記ステッピングモータ13aを、上記電磁弁ユニット77の直下位置に設けているので、このステッピングモータ13aの配線に就いても、上記各電磁弁74〜76への配線と合わせ集中して行う事で、配線の効率化を図れる。
【0039】
図3は、上記各電磁弁74〜76を含む、無段変速装置の油圧制御回路を示している。ケーシングの下端部に設けたオイルパン79等の油溜に貯溜された潤滑油(トラクションオイル)は、高圧ポンプ80と低圧ポンプ81とに吸引され、それぞれ加圧された状態で吐出される。このうちの高圧ポンプ80から吐出された潤滑油は、リリーフ弁式の加圧用圧力調整弁82により圧力調整された状態で、変速比制御弁12を介して、変速比調節の為にトラニオン7を枢軸9、9(図6参照)の軸方向に変位させる、アクチュエータ10の油圧室24a、24bに送り込まれる。又、上記加圧用圧力調整弁82により圧力調整された潤滑油は、入力側ディスク2a、2bを出力側ディスク5b(図1参照)に向け押圧する為の油圧式の押圧装置23aの油圧室にも送り込む。
【0040】
これに対して、上記低圧ポンプ81から吐出された潤滑油は、リリーフ弁式の低圧側圧力調整弁83により、比較的低い所定圧に調整された状態で、無段変速装置内で潤滑油を必要とする部分に供給して、これら各部分を潤滑する。上記低圧ポンプ81から吐出されて上記低圧側圧力調整弁83により圧力調整された潤滑油を上記各部分に送り込む流路の途中には、上記加圧用圧力調整弁82のリリーフ回路部分(吐出ポート)に通じさせている。又、この加圧用圧力調整弁82のパイロット回路には、上記アクチュエータ10に設けた1対の油圧室24a、24b内の油圧の差を、差圧信号として導入している。これら両油圧室24a、24b同士の間の油圧の差は、入力側ディスク2a、2bから上記各出力側ディスク5b(或は出力側ディスク5bから入力側ディスク2a、2b)に伝達する力2Ftに比例する。従って、上記加圧用圧力調整弁82のパイロット回路に導入される油圧は、トロイダル型無段変速機を通過する動力の大きさに比例する。
【0041】
又、図示の例では、上記加圧用圧力調整弁82に、温度やアクセル開度等、上記トロイダル型無段変速機の使用状態に対応する補正信号を入力して、このトロイダル型無段変速機の運転状況に応じて、前記押圧装置23aの油圧室に送り込む油圧に補正を加える様にしている。即ち、前記3個の電磁弁のうちの1個の電磁弁74の開閉制御により、上記加圧用圧力調整弁82の別のパイロット室内の油圧を調整して、この加圧用圧力調整弁82の開弁圧を調整自在としている。そして、加圧用圧力調整弁82から上記アクチュエータ10及び上記押圧装置23aに導入する油圧を、上記トロイダル型無段変速機を通過する動力の大きさに比例して大きくする事に加え、このトロイダル型無段変速機の運転状況に応じて補正する様にしている。尚、上記電磁弁74の開閉制御による上記加圧用圧力調整弁82のパイロット室内の油圧の調整は、この加圧用圧力調整弁82の開弁圧を低くする方向に働く。従って、電気系統の故障時には、この開弁圧が高めとなり、上記押圧装置23aが発生する押圧力が、必要とする値以上になる。従って、上記故障時にも、前記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面及び上記出力側ディスク5bの両側面と上記各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)に十分な面圧を付与して、この転がり接触部で過大な滑りが発生する事を防止できる。
【0042】
更に、図3に示した油圧回路では、前記変速比制御弁12を、前記ステッピングモータ13aによる他、差圧シリンダ84によっても調節自在として、トロイダル型無段変速機を通過するトルクを目標値に調節すべく、このトロイダル型無段変速機の変速比を微調節自在としている。又、上記差圧シリンダ84への圧油の給排は、前記3個の電磁弁74〜76のうちの電磁弁75により制御される、第一、第二の差圧制御弁85、86により、前後進切換弁87を介して行なう様にしている。又、前記低速用、高速用両クラッチ40a、41aへの圧油の給排を、上記3個の電磁弁74〜76のうちの電磁弁76と、高速用、低速用両切換弁88、89と、シフト用切換弁90とにより行なう様にしている。更に、運転席に設けたシフトレバーにより操作される手動切換弁91により、各部の連通状態を切り換えられる様にしている。尚、上記変速比制御弁12を初めとする、油圧式の弁82、83、85〜91は、前記バルブボディー72(図1参照)内に組み込んでいる。
【0043】
前述の様に構成し、上述の様な油圧回路を組み込んだ本例の無段変速装置の場合には、ケーシング49内に3個の電磁弁74〜76を効率良く配置して、このケーシング49の高さ寸法を抑えられる構造を実現できる。即ち、第一、第二の遊星歯車式変速機42、43の下方で上記バルブボディー72の上方に位置し、前記アクチュエータボディー60の後方に存在する空間部分に上記各電磁弁74〜76を配置している。従って、上記各電磁弁74〜76を設置する事で、上記バルブボディー72よりも下方に突出する部分が生じる事を防止できる。
【0044】
又、上記各電磁弁74〜76は、無段変速装置の運転時に繰り返し通電される事で温度上昇する為、長期間に亙って安定した動作を行なわせる為には、適度に冷却する必要がある。本例の場合には、上記各電磁弁74〜76を前記第一、第二の両遊星歯車式変速機42、43の下方に配置している。又、無段変速装置の運転時にこれら第一、第二の両遊星歯車式変速機42、43には、潤滑油が絶えず注がれる。そして、この潤滑油は遠心力により周囲に振り飛ばされ、その一部は上記各電磁弁74〜76に注がれる。従って、特に冷却用の液体を流通させる為の通路や専用の冷却装置を設けなくても、上記各電磁弁74〜76を効率良く冷却できる。従って、これら各電磁弁74〜76を長期間に亙って安定して動作させられる小型な構造を、低コストで実現できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、自動車用の自動変速機として適切な無段変速装置を、低コストで実現する事に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す縦断側面図。
【図2】電磁弁ユニットを取り出して示す平面図。
【図3】無段変速装置に組み込む油圧回路の1例を示す回路図。
【図4】従来から知られているトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。
【図5】図4のA−A断面図。
【図6】同B−B断面図。
【図7】従来から知られている、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて成る無段変速装置の1例を示す略断面図。
【符号の説明】
1 入力軸
2、2a、2b 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 出力歯車
5、5a、5b 出力側ディスク
6 パワーローラ
7 トラニオン
8 支持軸
9 枢軸
10 アクチュエータ
11、11a、11b 支持板
12 変速比制御弁
13、13a ステッピングモータ
14 スリーブ
15 スプール
16 ピストン
17 ロッド
18 プリセスカム
19 リンク腕
20 同期ケーブル
21 カム面
22 駆動軸
23、23a 押圧装置
24a、24b 油圧室
25 トロイダル型無段変速機
26 遊星歯車式変速機
27 キャリア
28a、28b 遊星歯車素子
29 第一の伝達軸
30a、30b 太陽歯車
31 第二の伝達軸
32 中空回転軸
33 太陽歯車
34 遊星歯車素子
35 リング歯車
36 第二のキャリア
37a、37b 遊星歯車素子
38 出力軸
39 第二のリング歯車
40、40a 低速用クラッチ
41、41a 高速用クラッチ
42 第一の遊星歯車式変速機
43 第二の遊星歯車式変速機
44 第三の遊星歯車式変速機
45 入力軸
46 出力軸
47 伝達軸
48 スラストアンギュラ玉軸受
49 ケーシング
50a、50b 支持ポスト
51 保持環
52 出力側面
53a、53b 軌道輪
54 突条部
55 シム板
56 ダンパ継手
57 ギヤポンプ
58 中空回転軸
59 第一の太陽歯車
60 アクチュエータボディー
61 第一のキャリア
62 遊星歯車
63 遊星歯車
64 遊星歯車
65 第一のリング歯車
66 第二の太陽歯車
67 第二のキャリア
68 第三の太陽歯車
69 第二のリング歯車
70 遊星歯車
71 遊星歯車
72 バルブボディー
73 凹部
74 電磁弁
75 電磁弁
76 電磁弁
77 電磁弁ユニット
78 フレーム
79 オイルパン
80 高圧ポンプ
81 低圧ポンプ
82 加圧用圧力調整弁
83 低圧側圧力調整弁
84 差圧シリンダ
85 第一の差圧制御弁
86 第二の差圧制御弁
87 前後進切換弁
88 高速用切換弁
89 低速用切換弁
90 シフト用切換弁
91 手動切換弁
92 揺動腕

Claims (2)

  1. 回転軸の周囲にこの回転軸と同期した回転を自在に支持した1対の外側ディスク、及びこの回転軸の中間部周囲でこれら両外側ディスクの間部分にこの回転軸に対する相対回転自在に設けられた内側ディスク、及び変速比変更の為のアクチュエータへの油圧制御を行なう為の制御弁を収納したバルブボディーを備えたトロイダル型無段変速機と、遊星歯車式変速機とを、互いに同軸に、且つ、この遊星歯車式変速機と上記トロイダル型無段変速機の回転軸及び内側ディスクとの間で動力を伝達する状態で組み合わせ、このうちのトロイダル型無段変速機の回転軸に入力軸を、上記遊星歯車式変速機の構成部材に出力軸を、それぞれ繋げると共に、動力の伝達経路を2系統に切り換える切換手段を有する無段変速装置に於いて、この切換手段を含む変速比制御の為の複数個の電磁弁を、上記バルブボディーと上記遊星歯車式変速機との間の空間内に配置した事を特徴とする無段変速装置。
  2. バルブボディーが、トロイダル型無段変速機の回転軸及び遊星歯車式変速機の下方に設けられており、上記バルブボディー内に収納した制御弁を切り換える為のステッピングモータが、複数個の電磁弁の直下で上記バルブボディーの下側に配置されている、請求項1に記載された無段変速装置。
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