JP4029357B2 - 燃料電池用セパレ−タ、その製造方法及びそれを用いた燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、表面の親水性に優れた燃料電池用セパレータ、その製造方法および該セパレ−タを用いた燃料電池に関する。
燃料電池とは、燃料と酸化剤との電気化学反応を利用して、電気および熱エネルギ−を取り出す装置をいい、その構造は一般的には、電解質を介してその両側に設けた2つの電極を水素ガスなどの燃料あるいは酸素ガスまたは空気などの酸化剤を供給するための供給路を設けた2つのセパレ−タで挟持された単セルを基本構造とする。高出力を必要とする場合には、単セルを直列に複数積層したスタック構造とし、スタックの両端に設けた集電板で集電する。
燃料電池としては、電解質、燃料、酸化剤などの種類により種々の型があり、中でも電解質として固体高分子電解質膜、燃料として水素ガス、酸化剤として空気を用いる固体高分子型燃料電池や、燃料電池内部で直接メタノ−ルから水素を取り出し燃料とするメタノ−ル直接型燃料電池は、発電時の作動温度が100℃以下の比較的低温で効率的発電が可能である。
これら燃料電池を構成するセパレ−タは、通常、黒鉛等の導電性材料と樹脂との混合物を用いた成形板からなるガス不透過性導電性部材によって形成されており、その表面にはガス拡散電極との間でガス流路を形成するリブ構造が形成されている。このようなセパレータとしては、燃料電池セルへ流入する反応ガスの供給路を上記ガス流路により確保すると共に、燃料電池セルで発電した電気を外部へ伝達するという役割を担っており、上記役割を充分に果たす為に、表面方向および厚み方向における高い導電性を有する材料からなることが要求されるばかりでなく、電極部と接触する表面の抵抗を低減させることが要望されている。
この要望に対し、電極部との接触抵抗を低減させたセパレ−タおよびその製造方法が提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。このセパレ−タは導電性材料と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との混合物を成形した後、セパレ−タ表面を研磨することにより特定の表面粗さのものに機械加工して、表面の接触抵抗を低減するものである。
しかしながら上記のセパレ−タは、電極部との接触抵抗がある程度改善されるが、十分ではなく、また親水性に関しては、表面が粗くなるため、濡れ性の悪い材料を用いると却って親水性を低下させることがある。
前記燃料電池用セパレータを組み込んだ燃料電池は、陰極には水素を含有する燃料ガスの供給を受け、陽極には酸素を含有する酸化ガスの供給を受けるが、各電極で電気化学反応が進行する際、陰極側又は陽極側において生成水が生じる。
通常、生じた生成水は、陽極側に供給されている酸化ガス中に気化し、酸化ガスとともに燃料電池外に排出される。しかし、生じる生成水の量が多くなると、酸化ガス中に気化させるだけでは生成水を排出しきれなくなってしまう。このように酸化ガス中に気化されずに残った生成水が陽極の周辺で水滴になると、ガス流路が閉塞されて陽極周辺での酸化ガスの流れが妨げられて電池性能の低下につながってしまう。
このようなガス流路の閉塞は、陽極ばかりではなく陰極でも起こり得る。燃料電池の陰極では電池反応によって上記したような生成水が生じることはないが、陰極に供給される燃料ガス中の水蒸気の凝縮が起こり得る。通常、電気化学反応が進行する時、陰極側では陰極反応で生じたプロトンは所定の数の水分子と水和した状態で電解質膜中を陽極側へ移動するので、電解質膜の陰極側において水分が不足して導電性が低下してしまうが、これを防ぐために、陽極側に供給する燃料ガスを加湿して、電解質膜に対して水を補う構成となっている。
このように燃料ガス中に加えられた水蒸気は、燃料電池の始動時や、燃料電池の運転温度が低下して飽和蒸気圧が下がった時等に、ガス流路において凝縮してしまうことがあり、この場合には、陽極側においてもガスの流路が閉塞されて燃料ガスの流れが妨げられて、電池性能の低下につながってしまう。
上記したように陰極反応で生じたプロトンは水和した状態で陽極側に移動する為、陽極側では、既述した生成水の他にプロトンの移動とともに持ち込まれる水分子も加わって、更に水が過剰な状態となり、ガス流路が閉塞され易くなる。このような閉塞現象は導電性材料と樹脂からなる燃料電池用セパレータにおいて顕著に見られる現象である。
そこで、従来、導電性材料と樹脂とからなる燃料電池用セパレータの全表面あるいはガス流路の表面に対して親水処理を施し、これによって生成水の排出性の向上が図られてきた。導電性材料と樹脂とからなる燃料電池用セパレータを構成する部材を親水処理することによって、生成水は水滴として留まることなく、所定の流路まで導かれるようになり、生成水によるガスの拡散阻害を防ぐことができる。
既述した固体高分子型燃料電池は、電解質層として固体高分子膜を用い、この固体高分子膜を挟持する一対のガス拡散電極と、ガス拡散電極を更に外側から挟持して燃料ガスと酸化ガスとを分離するセパレ−タとを有する単セルを基本単位として、この単セルを複数個積層した構造を備えている。このような固体高分子型燃料電池では、上記したような親水処理は、セパレ−タに対して行われるが、その他ガス拡散電極に対しても行われる。
このような導電性材料と樹脂とからなる燃料電池用セパレータを親水処理する方法としては、以下の方法が挙げられる。
まず古くはガス流路の入り口または出口に気孔率が30〜80%の吸水性を有するポ−ラスなカ−ボン部材を備え付ける方法(例えば特許文献3参照)が提案されている。しかしこの方法で得られるセパレータは、時間の経過により親水性能が低下するという問題があり、また成形時あるいは成形後に吸水性部材を配設する複雑な工程を経なければならず、工程上の問題もあった。
また親水処理の方法として、燃料ガス流路表面と好ましくは酸化ガス流路表面にも種々の親水性樹脂、親水性の有機化合物及び無機化合物等により被膜あるいは塗膜を形成させる方法(例えば特許文献4及び特許文献5参照)が提案されている。しかしこれらの方法で得られるセパレ−タは、表面に絶縁性の膜を形成することになるため、導電性が著しく低下したり、あるいは膜からの溶出物により燃料電池の耐久性が低下する要因になっていた。
更に親水処理の他の方法としては、樹脂バインダ−を含む導電性セパレ−タを構成する原材料中に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、デンプン、アクリル酸共重合体樹脂、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコ−ル等の親水性物質、吸水性樹脂を添加混合して、セパレ−タ材質自体を親水化する方法(例えば特許文献6参照)が提案されているが、これらの親水性あるいは吸水性物質は容易に水を吸収し、その水中に親水性、吸水性物質からの種々の不純物が溶出するため、これらのセパレータを組み込んだ燃料電池の特性を著しく阻害されるという問題があった。
また親水処理方法として、各種素材からなる導電性セパレ−タ表面を、親水化ガス中で低温プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射等の処理を行うことにより親水性を付与する方法(例えば特許文献7参照)が提案されている。しかしこれらの方法による親水化は、時間とともにその効果が減少する性質があり、また真空中で親水化処理しなければならない場合もあり、工程上問題があった。
さらに処理用ガスとして硫黄元素含有化合物等を用いて常圧放電プラズマ処理することにより、表面を親水化処理する方法(例えば特許文献8参照)が提案されている。しかしこの提案では黒鉛製燃料電池セパレータに強い条件でプラズマ処理しており、このため、セパレータ表面の黒鉛が酸化して灰化し、導電性の低下や成型品形状の破損を引き起こし、セパレータとして使用に耐えなくなるという問題がある。
特開2002−270203号公報 特開平11−297338号公報 特開平8−138692号公報 特開2003−217608号公報 特開2003−297385号公報 特開平10−3931号公報 国際公開第99/40642号パンフレット 特開2002−25570号公報
上述するように、リブ構造を有するセパレ−タにおいて、溝部に生成し滞留した水をスム−ズに外部に排出できないことにより、燃料電池の起電力の低下を招いているという問題を解決するための最適の方法は未だ見出されていないのが現状であった。
本発明は、溝部における水の濡れ性を改良した燃料電池用セパレータ及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、セパレータの表面を硫酸含有ガス処理することにより表面に存在する樹脂に特定量のスルホン酸基を付与すれば、安定した親水性を有するセパレータが得られることを発見するに及んで、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、樹脂と導電性材料とを構成成分として含み、硫酸含有ガス処理によりガス流路表面の少なくとも一部にスルホン酸基が付与された燃料電池用セパレータであって、前記セパレータのガス流路表面に存在する樹脂とスルホン酸基とが結合し、かつ前記スルホン酸基中の硫黄原子のガス流路表面での比率がエネルギー分散型X線分光法により測定される値で0.1〜4.0原子数%であることを特徴とする燃料電池用セパレータを提供するものである。また本発明は、燃料電池用セパレータのガス流路表面に存在する樹脂とスルホン酸基とが結合し、スルホン酸基中の硫黄原子のガス流路表面での比率がエネルギー分散型X線分光法による測定値で0.1〜4.0原子数%である燃料電池用セパレータの製造方法であって、樹脂と導電性材料とを含む導電性組成物を成形して得られる燃料電池用セパレータガス流路表面に、硫酸含有ガスを接触させガス流路表面の少なくとも一部にスルホン酸基が付与させることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法を提供するものである。さらに前記燃料電池用セパレータを組み込んでなる燃料電地を提供するものである。
本発明の燃料電池用セパレ−タは、硫酸含有ガス中でセパレータのガス流路表面に存在する樹脂にスルホン酸基を付与することにより水の濡れ性が良くなるので、このセパレータを組み込んだ燃料電池は、燃料ガスの流入による水の滞留がなく、外部への水の排出性に優れるものである。このため本発明の燃料電池は、過剰な水により燃料ガスの供給が妨げられることが無く、起電力が安定し、また溶出等の不純物の影響が少なく、長期間に亘って安定的な発電が可能となる。
本発明の燃料電池用セパレータは、硫酸含有ガス処理により燃料電池用セパレータガス流路表面の少なくとも一部にスルホン酸基を付与して、親水化し、水の濡れ性を高めたものである。
この親水化の程度は、セパレータ流路表面に存在するスルホン酸基中の硫黄原子の含有量に基づくものである。
スルホン酸基中の硫黄原子の量は、ガス流路表面での存在比率がエネルギー分散型X線分析法により測定される値で0.1〜4.0原子数%であり、このうち2.0〜4.0原子数%が好ましい。硫黄原子の量が0.1〜4.0原子数%であれば、親水性に優れ、しかもその効果を長期にわたって維持することができる。一方硫黄原子の量が4.0原子数%を越えて表面に存在する場合、必然的に処理条件が強くならざるを得ず、これにより成型品表面の粗さが増加したり、吸水率が増加したり、強度が低下する等、セパレータとしての物性が著しく低下する。
ガス流路表面の一部とは、主にガス流路表面の溝部をいい、その他の部分を含んでいてもよい。
本発明の硫酸含有ガス処理とは、硫酸含有ガスを基材に接触させることにより、基材表面にスルホン酸基を付与することを意味する。硫酸含有ガスを用いてスルホン酸基を付与する方法としては、公知の方法が用いられる。例えば無水硫酸ガス、発煙硫酸ガスの気体中でセパレータ接触させる方法が挙げられる。これらの中、基材との反応性が高い点で無水硫酸ガスの気体中で接触させる方法が好ましい。
スルホン酸基は、ガス流路表面に存在する樹脂と結合することによりセパレータに付与される。
スルホン酸基と樹脂との結合形態としては、共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合等が挙げられる。これらの中、スルホン酸基が解離したり、脱離しにくい点から共有結合にて結合している状態が好ましい。
本発明の燃料電池用セパレータの製造に用いることのできる無水硫酸含有ガスとしては、ガス状の無水硫酸、及び不活性ガスにより希釈されたガス状の無水硫酸を挙げることができる。
前記無水硫酸含有ガスとしては、前記セパレータ対する無水硫酸の割合を厳密に制御することができるため、不活性ガスにより希釈されたガス状の無水硫酸が好ましい。
スルホン酸基中の硫黄原子のガス流路表面での存在比率は、エネルギー分散型X線分析法により測定される値、具体的にはエネルギー分散型X線分析装置を用いて測定される数値に基づくものである。
このエネルギー分散型X線分析装置は、元素から発生するX線をエネルギー分散型の半導体検出器で分光分析するものである。
具体的な測定法としては、エネルギー分散型X線分析装置を用い、セパレータ表面を100倍の倍率で分析を行うことにより、電子線照射で発生する元素固有の特性X線を検出し、得られたスペクトルのピーク位置と強度とから元素を定性、定量するものである。
エネルギー分散型X線分析装置としては、例えばJSM−5900LV(日本電子株式会社製)が挙げられる。
またセパレータ表面のスルホン酸基は、X線光電子分光分析装置(ESCA)を用いて検出することができる。
前記不活性ガスとしては、無水硫酸及びセパレータ構成する材料の何れとも実質的に反応せず、かつ乾燥した水分の含有量を極力低くしたガスを挙げることができ、具体的には空気、炭酸ガス、ヘリウム、乾燥窒素、及び乾燥アルゴン、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
不活性ガスにより希釈された無水硫酸は、無水硫酸(沸点44.8℃)をガス化させたものを空気、炭酸ガス、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈したものである。不活性ガスにより希釈された無水硫酸中の無水硫酸ガスの濃度は、特に制限はないが、0.1〜80体積%が好ましい。
前記無水硫酸含有ガスとしては、その他にガス状のルイス塩基と無水硫酸との混合物、及びガス状のルイス塩基と無水硫酸と前記不活性ガスとの混合物等を挙げることができる。
前記無水硫酸含有ガスにおける無水硫酸とルイス塩基とのモル比は、通常、材料または目的により自由に選ぶことができる。
燃料電池用セパレータを無水硫酸含有ガスと接触させ、ガス流路表面にスルホン酸基を付与する方法としては、例えば燃料電池用セパレータを無水硫酸含有ガスが流通する耐酸性の密閉容器に収容し、接触させるバッチ法、無水硫酸含有ガスが内部を流通する室内にセパレータを連続的に通過させる連続法等を挙げることができる。
具体的には、セパレータと無水硫酸含有ガスとの接触時間、ガス温度、密閉容器の温度、無水硫酸ガスの流量を定めることにより達成することができる。接触時間は、通常は0.1秒〜120分の範囲であり、好ましくは1〜60分の範囲である。0.1秒〜120分の範囲であれば、均一に処理することができ、それ相応の効果が期待できる。密閉容器の温度は、通常、0℃〜100℃の範囲が好ましく、さらに10℃〜90℃の範囲が好ましく、特に20℃〜80℃の範囲が好ましい。
無水硫酸含有ガスの流量および処理時間は、セパレータ全体を密閉容器に入れ、ガス流量を多く、時間を長くかけてもそれ相応の効果が得られるが、セパレータのガス流路にのみ無水硫酸含有ガスが供給すれば、少量かつ短時間でも所定量のスルホン酸基を表面に結合することができる。セパレータ全体を密閉容器に入れる場合は、通常100%無水硫酸ガスに換算して、0.01〜10000ml/分の流量である。この流量であれば、処理時間が適度で、効率的である。この流量は、密閉容器の大きさに依存し、1分当たり密閉容器1容量に対し、0.5〜5倍量の範囲であることが好ましい。
また前記スルホン酸基の付与においては、燃料電池用セパレータ前処理してから無水硫酸含有ガスに接触させることが好ましい。前処理することにより、前処理しない場合と比べてより短い時間でスルホン酸基を付与することができる。
前処理方法としては、例えば乾燥が挙げられる。これは系内に水分が少しでも存在すると、無水硫酸含有ガス中の無水硫酸が濃硫酸に変化する可能性があるからである。
乾燥の方法としては、シリカゲル等の乾燥剤を入れたデシケータ中に静置する方法、50℃等室温以上に温度をかけた乾燥機中に静置する方法、真空乾燥機を使用して水分を除去する方法等が挙げられる。
また前処理方法としては、乾燥のほか、加熱処理、火炎処理、コロナ処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等を挙げることができる。
更に、本発明では、セパレータにスルホン酸基を付与した後、直ちに後処理をし、該セパレータの表面に残存する硫酸を除去することが好ましい。前記後処理方法としては、例えば、水洗、重曹水溶液及び石灰水等のアルカリ溶液による処理等を挙げることができる。アルカリ溶液で洗浄した後、さらに10℃以上のイオン交換水で洗浄することが好ましい。
本発明のセパレータは、そのガス流路表面にスルホン酸基を付与することにより、ガス流路表面のぬれ性が改善されたものとなる。
濡れ性は、燃料電池用セパレータとして使用される場合、水との接触角に基づき評価することができる。その接触角の値は、80度以下、好ましくは70度以下であることが好ましい。このように水との接触角が80度以下の場合、燃料電池用セパレータとして稼働中に生成する生成水がセパレ−タ溝流路で留まることなく排水されるので、安定した電圧を維持することができる。
また、スルホン酸基を付与した後の燃料電池用セパレータは、付与化前の溶出性をそのまま維持していることが必要である。このように溶出性が低下しなければ、長期安定性に優れ、かつ排水性の優れた燃料電池用セパレータを得ることができる。
この場合の溶出性としては、95℃のイオン交換水中での60時間放置を2回繰り返した後に、そのイオン交換水の電気伝導度を測定した場合、スルホン酸基の付与前の値の2倍以下であることが好ましい。
本発明で使用される燃料電池用セパレ−タは、樹脂と導電性材料とを含む導電性組成物を成形したものである。
導電性材料としては、金属粉、金属繊維、酸化錫等の金属あるいは導電性無機酸化物、人造黒鉛、りん片状天然黒鉛、塊状天然黒鉛、膨張黒鉛、カ−ボンナノチュ−ブ、PAN系あるいはピッチ系の黒鉛繊維、PAN系あるいはピッチ系の炭素繊維、球晶(メソフェ−ス)ピッチから得られた黒鉛粉、カ−ボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック又は非晶質炭素等が挙げられる。これらの1種類、或いは2種類以上の混合物を用いることができる。これらのうち、セパレータの導電性が良好になる点で黒鉛が好ましい。また平均粒径としては、100〜400μmであることが好ましく、アスペクト比が1〜5で且つ平均粒径が200〜300μmであることが特に好ましい。又導電性材料として、上記の繊維状導電材料から得られるミルド繊維、チョップド繊維、不織布、マット、シ−ト、ペ−パ−、フィルムなどを使用することができる。
導電性材料の使用量は、導電性組成物中50〜90重量%が好ましく、これらのうち、60〜85重量%が特に好ましい。
本発明で使用される樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の何れでもよく、あるいはこれらの樹脂から選ばれる2種以上を混合して用いても差し支えない。
熱硬化性樹脂としては、例えばポリカルボジイミド、フェノ−ル樹脂、フルフリルアルコ−ル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ジアリルフタレ−ト樹脂などを挙げることができる。これらの熱硬化性樹脂のうち、耐酸性の点でフェノール樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。これらの熱硬化性樹脂は、粉末状や液状のものをそのまま用いたり、また水、アルコ−ル、ケトンなどの溶媒やスチレンなどの反応性希釈剤に溶解して用いる。
又、熱可塑性樹脂としては、ポリアリ−レンスルフィド、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリエステル、ポリエステルなどを挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、耐熱性の点でポリアリーレンスルフィドが好ましく、硫黄原子含有基が付着しやすい点でポリオレフィンが好ましい。
かかる熱可塑性樹脂の形状としては、粉末、粒状物、フィルム、織布、不織布、マット、シ−トなどが挙げられるが、取り扱いの簡便さから特に不織布、フィルムが好ましい。
樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合には、導電性組成物中、増粘剤、低収縮化剤、ラジカル重合開始剤、重合禁止剤、内部離型剤、相溶化剤、その他の充填剤、着色剤などを含むことができる。
これらの添加剤の使用量は、熱硬化性樹脂の種類、成形体の使用目的により自由に選ぶことができる。
かかる増粘剤として、イソシアネート系化合物、粉末アクリル樹脂、金属酸化物等が用いられる。
低収縮化剤としては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、スチレン−水添共役ジエンブロック共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸n−ブチルエステル等のスチレンを含まない(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリフェニレンエ−テル、ポリビニルカルバゾ−ル等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂のうち、耐水性の点でポリスチレン、ポリフェニレンエ−テルが好ましい。
またラジカル重合開始剤としては、例えば熱重合開始剤、紫外線重合開始剤、電子線重合開始剤等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量は、樹脂成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。熱重合開始剤としては、例えばジアシルパ−オキサイド、パ−オキシエステル、ハイドロパ−オキサイド、ケトンパ−オキサイド、アルキルパ−エステル、パ−カ−ボネ−ト等の有機過酸化物が挙げられる。これらは、成形条件に応じて好ましいものが適宜選択される。紫外線重合開始剤としては、例えばアシルホスフィンオキサイド、ベンゾインエ−テル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、チオキサントン等の光増感物質が挙げられる。これらは、成形条件に応じて好ましいものを適宜選択して使用することができる。また電子線重合開始剤としては、ハロゲン化アルキルベンゼン、ジサルファイド等が挙げられる。
重合禁止剤としては、従来公知の重合禁止剤を用いることができる。具体的には、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコ−ル、t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、フェノチアジン、ナフテン酸銅、塩化銅等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、一種のみを用いても良く、また二種以上を適時混合して用いても良い。
内部離型剤としては、例えば、カルナバロウなどのパラフィン系化合物、ステアリン酸、モンタン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩、あるいは脂肪酸エステル化合物、アルキルリン酸エステル、変性シリコンオイル、変性フッ素系化合物などが挙げられる。これらは、成形条件、各種用途に応じて好ましいものを適宜選択し、使用することができる。
前記の相溶化剤は、前記のポリスチレン等の低収縮化剤を添加することによる経時的な分離を防止し、低収縮化剤を微分散させる効果を有するものである。相溶化剤としては、ビニル基含有ポリスチレン、ビニル基含有スチレン系共重合体、ビニル基含有アクリルエステル系共重合体等のビニル基含有化合物を挙げることができる。
その他の充填材としては、硬化を促進するため、前記ラジカル重合開始剤と併用してラジカル重合促進剤、すなわち硬化促進剤を用いることができる。かかる硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルトやオクテン酸コバルト等の金属塩類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)パラトルイジン、ジメチルアセトアセタミド等の3級アミン類等が挙げられる。これらは、必要により適宜選択して使用することができる。
また充填材として、靭性、耐衝撃性等を改良するため、ゴム系樹脂を添加することが好ましい。ゴム系樹脂としては、アクリロニトリルブタンジエン系樹脂、架橋性ゴム微粒子などが挙げられる。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、さらに必要に応じて熱安定剤、希釈剤、反応性希釈剤、導電性充填剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、耐電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の各種添加剤を加えることができる。
これらの添加剤の使用量は樹脂の種類、成形体の使用目的により自由に選ぶことができる。
また樹脂として熱可塑性樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂に耐衝撃性改良剤として熱可塑性弾性体を加えることができる。かかる熱可塑性弾性体としては、分子内に有機官能基を持つオレフィン系樹脂、有機官能基を有するアクリルゴム、有機官能基を有するスチレン系弾性体および有機官能基を有するニトリル系弾性体等が挙げられる。
本発明に用いられる導電性組成物から燃料電池用セパレータ得るには、例えば以下に説明する製造方法によって製造することができる。
まず、導電性組成物を構成する材料として熱硬化性樹脂を用いる場合、該樹脂と導電性材料とからなる未硬化状態のプリフォ−ムを形成し、次いでセパレ−タ成形金型に該プリフォ−ムを入れ、加熱圧縮して成形することにより製造することができる。この際の加熱温度は、使用する熱硬化性樹脂により相違するが、通常100〜200℃であり、又加圧は通常5〜60MPaの条件が適切である。
また樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、公知の方法を用いることによりセパレータ製造することができる。公知の方法としては、1)材料を溶融混練りする工程を含む方法、2)溶融混練りする工程を含まない方法が挙げられる。
1)材料を溶融混練りする工程を含む方法としては、具体的には熱可塑性樹脂と導電性材料とを予め押出機等で溶融混練りし、ペレット状、不定型な粒子状、粉体、シ−ト状、フィルム状に押し出し、かかる押し出し物を乾燥した後、射出成形機、射出圧縮機等で成形する方法、前記の乾燥したシ−トまたはフィルムをプレス成形機等を用いてスタンパブル成形法により成形する方法等が挙げられる。
また2)溶融混練りする工程を含まない方法としては、別の方法で作成したシ−ト状成形材料を成形する方法、黒鉛粉末又は黒鉛粒状体に熱可塑性樹脂粉末を混合したものを成形する方法等が挙げられる。
前記2)のシート状成形材料の製造方法としては、例えばa)不織布等の樹脂シ−トに接着剤を介さず粒子状導電性材料(以下導電材粒子という)を付着させる方法、b)不織布等の樹脂シ−トに接着剤を介して導電材粒子を接着する方法等が挙げられる。これらのうち、成形材料中の導電材粒子の含有量を高くすることができる点でa)の方法が好ましい。a)の方法は、具体的には下記の工程(a1)及び工程(a2)を順次実施することにより行われる。
工程(a1)は、樹脂シ−トの表面に導電材粒子を均一に散布する工程である。
導電材粒子を樹脂シ−ト表面の全面を覆うように散布し、導電材粒子と樹脂シ−トとの接触面積がなるべく大きくなるように散布することが好ましい。
導電材粒子の散布方法としては、特に限定はないが、例えばイ)多数のノズルを有する散布装置で必要な量の導電材粒子を均等に樹脂シ−ト上に散布する方法、ロ)多めの導電材粒子を樹脂シ−ト表面の一端に載せ、スキ−ジ板で樹脂シ−トの全面に均一に広げる方法等が挙げられる。より均一で凹凸のない導電材粒子層が得られる点でロ)の方法が好ましい。この場合、導電材粒子の量は付着することが予定されている量の2倍以上の量であることが好ましい。
工程(a2)は、前記樹脂シ−トに導電材粒子の一部を付着させる工程である。
樹脂シ−トに導電材粒子を付着させる方法としては、(a2−1)樹脂シ−ト表面に導電材粒子を散布した後、加圧ロ−ルやプレスを用いて導電材粒子を樹脂シ−トに押しつけ、導電材粒子を樹脂シ−トに貫入させる方法、(a2−2)樹脂シ−トが不織布等繊維から構成される場合には、導電材粒子を樹脂シ−トに押しつけて、導電材粒子と繊維の絡まりを起こさせる方法、(a2−3)樹脂シ−トが加熱により軟化もしくは溶融する場合には、樹脂シ−ト及び/又は導電材粒子に熱を加えて樹脂シ−トの全部又は一部を溶融させた後、導電材粒子を樹脂シ−トに熱融着する方法が挙げられる。又これらの(a2−1)、(a2−2)及び(a2−3)の方法を組み合わせても良い。
前記方法(a2−3)における熱融着の方法としては、例えばカレンダ−ロ−ル、熱風ヒ−タ−、遠赤外線ヒ−タ−、水蒸気による加熱などの方法があるが、導電材粒子の飛散防止の点から、カレンダ−ロ−ル又は遠赤外線ヒ−タ−による加熱が好ましい。熱可塑性樹脂が非晶性の場合はガラス転移温度以上に、結晶性でも結晶化していない場合はガラス転移温度以上でかつ結晶化が始まらない温度に、結晶化している結晶性熱可塑性樹脂の場合は融点より10℃以上低い温度に調整することにより熱融着させることが好ましい。
前記2)溶融混練りする工程を含まない方法のうち、黒鉛粉末又は黒鉛粒状体に熱可塑性樹脂粉末を混合したものを成形する際、黒鉛と樹脂とが分離しやすいので、この分離を防ぐため、加熱により黒鉛へ樹脂を熱融着させたり、樹脂を接着剤として黒鉛を固着したり、スラリー化した樹脂と黒鉛とを混合させたりすることによって均一に分散させることが好ましい。
本発明に使用する燃料電池用セパレータ、導電性組成物中の熱可塑性樹脂が非晶性樹脂の場合はガラス転移温度より高い温度、結晶性樹脂の場合は融点より高い温度に設定した成形金型に入れ、加圧し、加圧の状態で冷却して圧縮成形することにより得ることができる。この際の冷却速度は任意に選ぶことができる。また圧力は通常5〜100MPaの条件が適切である。また熱可塑性樹脂シートまたは予めブロック化した粉末原料を用い、前記したスタンパブル成形することにより得ることができる。
本発明に使用する燃料電池用セパレ−タ、通常片面に燃料ガス、例えば水素ガスの流路の溝が形成され、他の面に冷却水の流路の溝が形成されたものと、他の片面に酸化剤ガス、例えば空気の流路の溝が形成され、他の面に冷却水の流路の溝が形成されたものとが一対となって使用される。又、片面のみにガス流路の溝を形成し、他の片面を平板状としたセパレ−タを一対で用いてもよい。
而して、本発明の燃料電池用セパレ−タを電解質膜・電極接合体(MEA)の両側に直接接合するか、ガス拡散膜(GDL)を介して接合した単一セルを複数個組み合わせることによって燃料電池スタックに使用されるが、かかる燃料電池としては、固体高分子型燃料電池などが挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。以下において、部および%は特に説明のない限り、すべて重量基準である。
本発明の燃料電池用セパレータおよび燃料電池について、電気抵抗、濡れ性、溶出特性および排水性に関する測定方法および評価基準を述べる。
〔試料の作成〕
後記実施例で使用する熱硬化性樹脂を含む導電性組成物を所定量取り出し、平面板金型に充填し、圧縮成形機で、圧力140kgf/cm(ゲ−ジ圧力)、上型150℃、下型145℃、成形時間5分の条件で成形し、幅130mm、長さ200mm、厚み3mmの平板状成形品を製造した。この平板状成形品を下記に示す所定の大きさに切り出し、電気抵抗、濡れ性評価、溶出性の評価を行った。
また財団法人日本自動車研究所(JARI)から提案されている実験用燃料電池用セパレータ(幅80mm×長さ80mm)と同寸法で、厚み5.0mmの燃料電池用セパレータを成形した。このセパレ−タを用い、燃料電池単セルスタックを組み立てた。
<燃料電池用セパレータ>
〔電気抵抗の測定法〕
前記平板状成形品を切削加工により、長さ50mm×幅50mm×厚み3mmの大きさに切り出したものを試験片として、厚み方向の電気抵抗を測定することにより評価した。
実際には、試験片と同じ寸法の銅板に金メッキ電極を2枚の間に試験片を挟み、さらに油圧プレスにて1MPaの圧力下、10mAの交流を印加した。この時の電極間の電圧降下ΔV(μV)から厚み方向の電気抵抗を測定した。測定3回の平均値を結果とした。
〔濡れ性評価〕
電気抵抗測定用の試験片と同形状の試験片を用い成形品表面の接触角を、イオン交換水を用いた液滴法にて測定した。用いた機械は、協和界面科学製CA−Z型である。測定8回の平均値を結果とする。測定雰囲気は、22℃、湿度60%である。一般に濡れ性が良好であるほど、接触角は小さい値を示す。
〔溶出特性〕
成形品を25mm×70mmのサイズに切断し試料片を作製した。この試料片4本を400gのイオン交換水の入ったフッ素樹脂製容器に入れ封をし、この容器を95℃の乾燥器に入れ、60時間煮沸を行う。その後、室温まで徐冷し試料片を取り出した。その後、イオン交換水を新しい液に交換し、再度同条件で煮沸を行った。溶出性の評価は2回目の試料片(以後これを試料片1という)を取り出した残りのイオン交換水の電気伝導度を(堀場製作所製 ES−51)を用いて測定することにより、溶出性の評価とする。一般に電解質性の溶出物が少ないほど電気伝導度は小さい値を示す。
〔硫黄含有量の測定〕
前記試料片1を、その表面をエネルギー分散型X線分析装置(JED−2200、日本電子製)を用いて、100倍の倍率で元素分析を行い、硫黄原子の原子数%を測定した。
〔スルホン酸基の同定〕
前記試料片1の表面を高性能X線光電子分光分析装置(AXIS−HS、Kratos社製)を用いて、Mg−kα線、15kV、10mAの条件下でスルホン酸基の同定を行った。S2pナロースキャン光電子スペクトルの分析から、169eVにスルホン酸基由来の結合エネルギーピークを確認した。
<燃料電池>
〔排水性評価〕
前記で得られた燃料電池を電流密度0.2A/cm、セパレ−タ温度80℃、加湿用水温度70℃、利用率30〜80%まで10%毎に利用率を変化させ、各利用率で10分間発電試験を行い、電圧が大きく振れ(ΔV=最大値−最小値≧0.01)始める利用率の値を測定した。生成水の排水性が良いほど電圧の振れが発生する利用率が高く、安定な発電特性を維持していると言える。
実施例1及び2
以下に示す原料および組成の配合物を均一に混合し、スチレンモノマ−不透過性の多層フィルムに密閉した後、室温で24時間放置し導電性組成物を作成した。
1)ビニルエステル樹脂
(ビスフェノ−ルA型、数平均分子量=633(GPC測定値)) 18.8%
2)ターシャリブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(硬化剤) 0.2%
3)粉末アクリル樹脂 3.0%
4)黒鉛粉末(平均粒子径が300μm) 78%
この導電性組成物を前記に示した条件で成形し、評価用の成形板を得た。この成形板を以下に示す条件にてスルホン酸基を付与(以下スルホン化処理という)した。
はじめに、前記成形板を100℃/3hrs乾燥してから、この成形板を窒素ガスにて10倍に希釈された無水硫酸が流量5000ml/分で流通する耐酸性の5L密閉容器に収容した。前記容器に収容された成形板を60℃の温度で5、10分間放置し、該成形板にスルホン化処理した。次いで、重曹水溶液で洗浄し、更にイオン交換水にて水洗し、乾燥してスルホン化処理された成形板を得た。
この成形板を所定の大きさに切削加工し、硫黄原子含有量、電気抵抗、濡れ特性、溶出性を評価した。結果を表−1に示す。また前記高性能X線光電子分光分析装置を用いて得られたスペクトルから169eVにスルホン酸基由来の結合エネルギーピークが確認された。
比較例1
実施例1において、スルホン化処理をしない代わりに、表面を平均粗さRa=1.1μmになるようにブラスト処理した成形板を用いて、実施例と同様に各物性を評価した。結果を表−1に示す。
比較例2
親水性樹脂被膜用樹脂として以下に示す組成で配合し、実施例1において、スルホン化処理をしない代わりに、表面を平均粗さRa=1.1μmになるようにブラスト処理した成形板を用いた成形板にハンドコ−タ−を用いて約12μmになるように塗布した。
1)デコナ−ルEXB614B(親水性エポキシ樹脂、ナガセケムテック製) 90%
2)アミノエチルエタノ−ルアミン(硬化剤) 10%
塗布した成形板を60℃/10分、ついで180℃/60分加熱し、硬化被膜を作成した。硬化被膜の厚みは約10μmであった。
この親水性樹脂で被膜形成した成形品を実施例1と同様に各物性を評価した。結果を表−1に示す。
比較例3
黒鉛板(東洋炭素製IG−11)を前記大きさに切削加工し、実施例1と同様にスルホン化処理した。このスルホン化処理黒鉛板を実施例1と同様に各物性を評価した。結果を表−1に示す。また前記高性能X線光電子分光分析装置を用いて得られたスペクトルから169eVにスルホン酸基由来の結合エネルギーピークは確認されなかった。
Figure 0004029357
実施例3及び比較例4
大きさが150mm×150mmのPPS繊維不織布(目付は15g/m、厚さは60μm、空隙の平均大きさは38μm、空隙率は85%、融点は285℃)の上に、人造黒鉛粒子(無定形、平均粒子径は88μm)5gを散布し、続いて不織布の両端に高さが0.8mmのスペ−サ−を置き、スペ−サ−の片側からもう一方の側に沿ってスキ−ジ板を移動し、人造黒鉛粒子が不織布全面に載るように広げた。
次に、予め285℃に加熱したカレンダ−ロ−ルを前記不織布の黒鉛側に押し付けながら、片側からもう一方の側に移動した。次いで自然冷却した後、エア−ブロ−(5kgf/cm)によって不織布繊維と融着していない黒鉛を除去することにより、見かけ上の厚さが0.15mm、目付が75g/m、空隙率が約73%であるシ−ト状成形材料を得た。
このシ−トをスタンパブル成形法によって成形した。即ち該シ−ト状成形材料を70枚積み重ねたものを遠赤外線ヒ−タ−で340℃に加熱し、PPS繊維を溶融させ、直ちにプレス成形機に装着された150℃に加熱した金型に供給し、40MPaで加圧することにより賦型し冷却固化させ、実施例1と同様の成形板を成形した。
このセパレ−タを実施例2と同様にスルホン化処理を行った。このセパレータについて前記高性能X線光電子分光分析装置を用いて得られたスペクトルから169eVにスルホン酸基由来の結合エネルギーピークが確認された。
また比較例3としてスルホン化処理をしていない成形板を平均粗さRa=1.1μmになるようにブラスト処理し、評価用試料を作成した。
これらのセパレ−タを用い、実施例1と同様に電気抵抗、濡れ性、溶出性の試験を行った。結果を表−2に示す。
Figure 0004029357

実施例4及び比較例5
前記「試料の作成」で得られたセパレ−タを実施例2と同条件でスルホン化処理を行った。このセパレ−タを用い、排水性評価を行った。
比較例5として、スルホン化未処理で表面を平均粗さRa=1.1μmになるようにブラスト処理したセパレ−タを用い、実施例3と同様に燃料電池としての発電特性を評価した。
その結果、電圧の振れは実施例4では、利用率70%から始まるのに対して、比較例5では利用率50%から始まった。また実施例4では、前記高性能X線光電子分光分析装置を用いて得られたスペクトルから169eVにスルホン酸基由来の結合エネルギーピークが確認された。
本発明のセパレ−タを用いた燃料電池は生成水の排水性が良いため、比較例より高い利用率で、安定した発電特性を示した。

Claims (6)

  1. 樹脂と導電性材料とを構成成分として含み、硫酸含有ガス処理によりガス流路表面の少なくとも一部にスルホン酸基が付与された燃料電池用セパレータであって、前記セパレータのガス流路表面に存在する樹脂とスルホン酸基とが結合し、かつ前記スルホン酸基中の硫黄原子のガス流路表面での比率がエネルギー分散型X線分光法により測定される値で0.1〜4.0原子数%であることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 前記硫酸含有ガスが、無水硫酸ガスである請求項1記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 燃料電池用セパレータのガス流路表面に存在する樹脂とスルホン酸基とが結合し、スルホン酸基中の硫黄原子のガス流路表面での比率がエネルギー分散型X線分光法により測定される値で0.1〜4.0原子数%である燃料電池用セパレータの製造方法であって、樹脂と導電性材料とを含む導電性組成物を成形して得られる燃料電池用セパレータガス流路表面に、硫酸含有ガスを接触させガス流路表面の少なくとも一部にスルホン酸基を付与させることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  4. 前記硫酸含有ガスが、無水硫酸ガスである請求項3記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  5. 前記燃料電池用セパレータ前処理した後に、硫酸含有ガスを接触させる請求項3記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の燃料電池用セパレ−タを組み込んでなる燃料電
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