JP4924862B2 - 燃料電池セパレータ及びその製造方法 - Google Patents
燃料電池セパレータ及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4924862B2 JP4924862B2 JP2005308395A JP2005308395A JP4924862B2 JP 4924862 B2 JP4924862 B2 JP 4924862B2 JP 2005308395 A JP2005308395 A JP 2005308395A JP 2005308395 A JP2005308395 A JP 2005308395A JP 4924862 B2 JP4924862 B2 JP 4924862B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- fuel cell
- sheet
- hydrophilic
- carbon material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Fuel Cell (AREA)
Description
通常、生じた生成水は、陽極側に供給されている酸化ガス中に気化し、酸化ガスとともに燃料電池外に排出される。しかし、生じる生成水の量が多くなると、酸化ガス中に気化させるだけでは生成水を排出しきれなくなってしまう。このように酸化ガス中に気化されずに残った生成水が陽極の周辺で水滴を成すと、ガス流路が閉塞されて陽極周辺での酸化ガスの流れが妨げられて電池性能の低下につながってしまう。
このため、固体高分子型燃料電池の陰極では電池反応によって上記したような生成水が生じることはないが、陰極に供給される燃料ガス中の水蒸気の凝縮が起こりうる。
既述した固体高分子型燃料電池は、電解質層として固体高分子膜を用い、この固体高分子膜を挟持する一対のガス拡散電極と、ガス拡散電極を更に外側から挟持して燃料ガスと酸化ガスとを分離するセパレ−タとを有する単セルを基本単位として、この単セルを複数個積層した構造を備えている。
このような固体高分子型燃料電池では、上記したような親水処理は、ガス拡散電極の他、セパレ−タに対しても行われることが必要である。
このセパレ−タを親水処理する方法としては、従来から種々の方法が提案されている。 すなわちセパレ−タを構成する原材料中に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、デンプンアクリル酸共重合体樹脂、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコ−ル等の親水性物質を添加混合して、セパレ−タ材質自体を親水化する方法(例えば特許文献1参照)が提案されている。
また各種素材からなるセパレ−タ表面を、親水化ガス中で低温プラズマ処理等の処理を行うことにより親水性を賦与する方法(例えば特許文献2参照)、セパレ−タ表面を1000℃前後の炎で処理することにより親水性を賦与する方法(例えば特許文献3参照)等が提案されている。
またリブ構造を有するセパレ−タ表面の被膜にプラズマ処理等を行った場合は、表面の親水化層の厚みがサブミクロン程度と薄く、表面親水性を長期間保持することが難しく、親水性の低下とともに生成水の滞留によって起電力の減少を招来する。
また親水性被膜を形成する方法は、リブ構造を有するセパレータの表面の凸部には容易に親水性物質を塗布できるが、親水性を必要とする凹部のガス流路には塗布できず、親水性を付与することができない可能性がある。また親水性被膜は、一般に吸水により膨潤し体積変化を起こし易く、基材から剥離する可能性が極めて高く、あるいは剥離しなくとも、使用中、被膜が徐々に溶出し、凹部の親水性が失われる恐れがある。
親水性被膜が導電性材料を含まない場合には、セパレ−タ表面に絶縁性被膜を形成することになり、ガス拡散電極との間の導電性確保の為の処理が必要となるという問題がさらに発生する。
さらに、前記特許文献1には、親水性物質を含まない非親水性シートに親水性シートを積層し成形する方法が提案されている。
しかしながら、この方法では、ガス流路の親水性が高くなるものの、熱水環境での強度を維持することができず、燃料電池用セパレータの構造が維持できなくなる恐れがある。
本発明は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と炭素材料とを構成成分とする基体表面の少なくとも一部に、粉末状炭素材料及びカプロラクタム基を有する親水性樹脂を含有する親水性樹脂シートを積層してなる燃料電池セパレータに関する。
基体を構成する炭素材料としては、人造黒鉛、リン片状天然黒鉛、塊状天然黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック又は非晶質炭素を挙げることができる。これらのうち、導電性と価格の点で、人造黒鉛、リン片状天然黒鉛、塊状天然黒鉛、膨張黒鉛が好ましい。これらの炭素材料を一種又は2種以上混合して用いることができる。また炭素材料の粒子径は、平均粒子径が100〜400μmであることが好ましく、平均粒子径が200〜300μmであることがより好ましい。また炭素材料のアスペクト比は1〜5が好ましい。アスペクト比が1〜5で、かつ200〜300μmである炭素材料が特に好ましい。上記の炭素材料からなる繊維、例えば1〜15mmの繊維長の炭素繊維、マット、シート、ペーパーなどを使用することもできる。
これらの炭素材料は、基体中50〜95重量%であることが好ましく、65〜90重量%であることがより好ましい。
基体の表面には、燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷却水が流通する、いわゆるガス流路(溝)部分があり、この部分の親水性が必要とされるため、この部分のみ親水性樹脂シートを積層することが好ましいが、基体表面全面に親水性樹脂シートを積層してもかまわない。「基体表面の少なくとも一部」とはこのことを意味する。ガス流路のみ親水性樹脂シートを積層する場合、後記基体用成形材料のガス流路の該当部分に親水性樹脂シートを積層してから成形すればよい。
粉末状炭素材料及びカプロラクタム基を有する親水性樹脂を含む親水性樹脂シートとしては、例えば粉末状炭素材料が均一に分散している親水性樹脂シート、粉末状炭素材料を表面に有する親水性樹脂シート等が挙げられる。
粉末状炭素材料が均一に分散している親水性樹脂シートとしては、例えば粉末状炭素材料と親水性熱可塑性樹脂繊維とから形成された不織布状シート、粉末状炭素材料と粉末状親水性熱硬化性樹脂との混合物を成形した樹脂シート、等が挙げられる。
粉末状炭素材料を表面に有する親水性樹脂シートとしては、例えば不織布等の親水性熱可塑性樹脂シートに粉末状炭素材料を熱融着により固着した親水性樹脂シート、熱硬化性樹脂溶液の表面に粉末状炭素材料を散布した後加熱して、熱硬化性樹脂を部分硬化させ粉末状炭素材料を固着し親水性樹脂シート等が挙げられる。使用する樹脂の特性に応じて、適宜これらの樹脂シートを用いることができる。
前記親水性樹脂の上に粉末状炭素材料が固着されている親水性樹脂シートは、その表面部分の少なくとも一部に粉末状炭素材料が表出しているものであることが特に好ましい。炭素材料が表出していると、得られるセパレータの表面にも炭素材料が露出しやすくなり、その結果セパレータに要求される導電性が高くなる。
また粉末状炭素材料の粒子径についても、基体を構成する粉末状炭素材料の場合と同様、好ましくは150〜400μm、より好ましくは200〜300μmである。
使用される炭素繊維としては、繊維径1〜10μmの一般的な炭素繊維の他、1μm以下の炭素ナノファイバー、ナノチューブも利用可能であり、適宜選択し使用される。
本発明に使用する親水性樹脂は、親水性能を発揮するアミド結合を含む環を形成しているカプロラクタム基を有する樹脂である。かかる樹脂は、例えばビニルカプロラクタムなどの親水性官能基を有する化合物と、その他のビニル化合物、例えば酢酸ビニル、スチレン、疎水性(メタ)アクリル酸エステル等を重合して得られるものである。
本発明に使用する親水性樹脂シートは、セパレータの親水性が維持される限度で、強度や目的に応じて、前記親水性樹脂に非親水性樹脂を併用することができる。これらの非親水性樹脂は、上記の熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を使用することができる。
親水性樹脂シートの樹脂が熱硬化性樹脂の場合における、代表的な製造方法を2つ以下に例示する。
1つ目としては、粉末状炭素材料がシート中に均一に存在する場合である。成形材料の構成成分である前記原料を、所定の配合で均一になるように混練し混合物を作成する。次に混練後に2本ロール等を用いてシート状に形状を整え、その後そのままの形状を維持するとゲル状態のシート状成形材料を得ることができる。また2本ロールを用いず、ゲル状の塊状成形材料を作製し、これを2本ロール等を用いてシート状に形状を整えることにより、所望のシート状成形材料を得ることができる。
セパレータの平面の大きさ、もしくは電極部分の形状の大きさに相当する容器に、親水性樹脂及びその他熱硬化性樹脂を含有する樹脂溶液を所定量注ぎ込む。炭素繊維シートを基布として用いる場合には、容器底面にこの炭素繊維シートを予め敷いた上に樹脂溶液を注ぎ込む。次いで所定量の炭素粉末を容器底面に対して均一に分布するように樹脂溶液の上に散布する。次にその樹脂溶液が入った容器を一定時間加熱し、樹脂成分を部分架橋又は予備架橋し、プリプレグを成形する。
前記樹脂溶液中には、プリプレグ状態にするとき、又はプレス成形時に完全硬化させるときに、重合開始剤及び重合禁止剤を適宜配合することができる。また、その他可塑剤、低収縮剤、チクソ剤、界面活性剤等を含んでいてもよい。
(i)基体用成形材料を構成する樹脂と親水性樹脂シートの親水性樹脂とが熱硬化性樹脂からなる場合には、熱硬化性樹脂と炭素材料とを含む基体用成形材料を予備硬化し、その少なくとも片面の一部に、粉末状炭素材料を含む親水性樹脂シートを積層し、次いで得られる積層体を成形する方法が挙げられる。具体的には、金型内でプリプレグ状にした樹脂と炭素材料とからなる基体用成形材料の上に粉末状炭素材料を含むプリプレグ状の親水性樹脂シートを積層し、成形するものである。この方法は、基体用成形材料と親水性樹脂シートとの積層位置を安定化させ、両者の密着性を向上させる点で好ましい。
(ii)基体用成形材料を構成する樹脂が熱可塑性樹脂からなり、親水性樹脂シートの親水性樹脂が熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる場合には、熱可塑性樹脂と炭素材料とを含む基体用成形材料を予め加熱し、その少なくとも片面の一部に、粉末状炭素材料を含む親水性樹脂シートを積層し、次いで得られる積層体を成形する方法が挙げられる。具体的には、樹脂と炭素材料とからなる混合物を成形し基体用のシート状成形材料を作製し、前記成形材料を成形材料中の樹脂のガラス転移点以上で融点以下の温度に加熱し、前記の成形材料を金型に入れ、その上に予め作製した粉末状炭素材料を含む親水性樹脂シートを積層し成形するものである。
すなわち、まず基体用成形材料の構成成分である前記原料を、所定の配合で均一になるように混練し混合物を作成する。
次にこの混合物中の樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、混練後に2本ロール等を用いてシート状に形状を整え、その後そのままの形状を維持するとゲル状態のシート状成形材料を得ることができる。また2本ロールを用いず、ゲル状の塊状成形材料を作製し、これを2本ロール等を用いてシート状に形状を整えることにより、所望のシート状成形材料を得ることができる。又は粉末状炭素材料と繊維とから炭素材料が分散した不織布を作製し、この不織布を複数枚積層することにより、シート状成形材料を得ることができる。
また混合物中の樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、混練後に2本ロール等を用いてシート状に形状を整えると、その後成形材料の温度が低下するに伴い粘度が上昇し、形状が安定化して、所望のシート状成形材料を得ることができる。
2本ロールを用いてシート状に形状を整えることは、炭素材料が破壊されず、平均粒子径が変化しないため、高い導電性を維持した燃料電池用のセパレータを得ることができる点で好ましい方法である。
その他、前記の親水性樹脂シートの親水性樹脂を非親水性樹脂に変えて非親水性樹脂シートを作製し、このシートを複数枚積層したものを使用することもできる。
熱硬化性樹脂を含む基体用成形材料には、樹脂中の溶剤を吸着することができる微粒子状物質を含むことが好ましい。溶剤を吸着することができる微粒子状物質としては、例えばアクリル系重合体、ポリスチレン、熱可塑性ポリエステルからなる微粒子等が挙げられる。これらのうち、溶剤吸着特性の点でアクリル系重合体、ポリスチレンが好ましい。これらの微粒子の平均粒子径は取り扱い性と溶剤吸着能力の点を考慮すると、数百nm〜数十μmが好ましい。
電解質が電極で挟持され、更に外側に、前記セパレータが配設された基本構成単位である単セルのみから構成されるものか、又はこの単セルを複数積層してなるものである。
(調製例1)
窒素および空気導入管を設けた2Lの4つ口フラスコに、エピクロン850[ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190、大日本インキ化学工業(株)製]910g、メタクリル酸398g、ハイドロキノン0.4gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここに2−メチルイミダゾール2.0gを入れ、105℃に昇温して10時間反応させた。このようにしてビニルエステル樹脂を得た。以後このビニルエステル樹脂を熱硬化性樹脂R−1という。
(調製例2)
攪拌容量2Lのニーダーに、SGS250(平均粒子径250μmの炭素粉末、(株)エスイーシー製)1235g、熱硬化性樹脂V−1 315g、硬化剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート3.2g、平均粒子径1μmのポリメタクリル酸メチル微粒子43.2gを仕込み、室温にて攪拌混合した。
(調製例3)
ポリビニルカプロラクタム(Luviskol Plus;BASF製)35g、熱硬化性樹脂V-1を4.68g、重合開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.1g、メチルエチルケトン20g、をそれぞれ計量し、均一になるまで混合し、親水性樹脂シート用の樹脂溶液H−1を調製した。底面が16cm角のガラス製容器に、底面と同じ大きさの炭素繊維シート0.28g(単位重量12g/m2)を敷き、その上から樹脂溶液H−1 22.4gを、炭素繊維シートが均一に濡れるように少しずつ投入した。次にその上からSGS250 7.0gを均一に散布し、付着させた。その後70℃の恒温槽中で30分間加熱した。容器が室温まで冷却した後、容器からシートを引き剥がし、親水性樹脂シートを得た。以後この親水性樹脂シートを親水性樹脂シートS−1という。
ビニルカプロラクタム単量体35gと、その他は調製例3と同様の処方により、恒温槽内で同様の処理を行い、親水性樹脂シートを得た。以後この樹脂シートを親水性樹脂シートS−2という。
この場合、恒温槽内でビニルカプロラクタム及び熱硬化性樹脂V−1を重合反応させたが、反応は完全に進行させずに半硬化のゲル状態になった。
調製例1と同様の4つ口フラスコに、エピクロン850 910g、メタクリル酸398g、ハイドロキノン0.4gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここに2−メチルイミダゾール2.0gを入れ、105℃に昇温して10時間反応させた。このようにしてビニルエステル樹脂を得た。次に、このビニルエステル樹脂をビニルカプロラクタム503g、ジビニルベンゼン(純度80%)201g、トルハイドロキノン0.2gに溶解させ、固形分65重量%のビニルエステル樹脂液を得た。以後この樹脂液をビニルエステル樹脂液V−2という。次いで攪拌容量2Lのニーダーに、SGS250を1235g、熱硬化性樹脂V−2を315g、硬化剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート3.2g、平均粒子径1μmのポリメタクリル酸メチル微粒子43.2gを仕込み、室温にて攪拌混合させた。次に、ステンレス製バットに取り出し、厚さ1mm程度になるように、平坦化した後、揮発防止のため、PET製シートで蓋をした。さらにジビニルベンゼン不透過性の多層フィルム製の袋にバットごと挿入し、封をした。このバットを45℃の貯蔵庫にて24時間静置した後取り出し、室温にて放冷した。以上のような方法で、親水性樹脂シートを得た。以後このシートを親水性樹脂シートS−3という。
SGS−250を使用しない以外は、調製例4と同様にして親水性樹脂シートを得た。このシートの重量は、4.9gであった。同様な操作を繰り返し、複数枚のシートを得た。以後このシートを親水性樹脂シートPS−1という。
SGS-250を77g、調製例1で作成したビニルエステル樹脂R−1を10.3g、ビニルカプロラクタムを10.3g、硬化剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネートを0.5g、平均粒子径1μmのポリメタクリル酸メチル微粒子2.3gを仕込み、室温にて攪拌混合させた。次に、ステンレス製バットに取り出し、厚さ1mm程度になるように、平坦化した後、揮発防止のため、PET製シートで蓋をした。さらにカプロラクタム不透過性の多層フィルム製の袋にバットごと挿入し、封をした。このバットを45℃の貯蔵庫にて24時間静置した後取り出し、室温にて放冷した。以上のような方法で、親水性樹脂シートを得た。以後このシートを親水性樹脂シートS−4という。
《実施例1》
調製例2で得られた熱硬化性樹脂成形材料C−1を、ロールを用いてシート状に賦形した。このシート状の成形材料に必要な重量及び厚みは、目的の成形品規格により微調整した。すなわち、単位重量2700g/m2となるようにシート化を行い、成形品に合わせて、形状を決め、切断し、重量を調整した。成形品のガス流路の形状は、およそ14.5cm角であった。
次いで調製例3で得られた親水性樹脂シートS−1 2枚をガス流路の形状に合わせて切断加工を行った。この時2枚合わせた重量は、12gであった。次に前記の熱硬化性樹脂成形材料シートを14.5cm角に切断し、重量が69gになるように微調整した。このシートを親水性樹脂シートS−1 2枚で挟み、サンドイッチ構造のシートを得た。電極部以外の外周部は、熱硬化性樹脂成形材料シートのみを必要な形状に加工、重量調整した。外周部の総重量は、90gとした。材料は、流路部1枚、周辺部4枚の計5枚に分割して燃料電池用セパレータ形状金型にチャージした。圧縮成形機で、油圧出力160t(ゲージ圧力)、上型140℃、下型150℃、成形時間5分の条件で成形し、23cm角、厚み2.8mm、流路深さ0.8mmの燃料電池セパレータ状成形品を製造した。その後、不要部分を切断等加工した後、燃料電池セパレータを得た。このセパレータの流路部表面に固定されたシートの厚みは、平均0.1mmであった。このセパレータについては、外観の評価、水濡れ性、導電性及び、耐熱水性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
親水性樹脂シートを、実施例2ではシートS−2を用い、実施例3ではシートS−3を用い、実施例4でシートS−4を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、燃料電池セパレータを製造した。
親水性樹脂シートS−1を2枚使用する代わりに、調製例6で得た親水性導電シートPS−1 2枚を切断加工したものを用いる以外、実施例1と同様の操作を行い、セパレータを製造した。この時2枚合わせた重量は、8gであった。さらに流路部の成形材料C−1の重量(14.5cm角)を74gに調整した以外は、同様にして圧縮成形及び加工を行い、実施例1と同形状の燃料電池セパレータを得た。このセパレータの流路部表面に固定されたシートの厚みは、平均0.1mmであった。このセパレータについても、実施例1と同様に外観の評価、水濡れ性、導電性及び、耐熱水性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
親水性樹脂シートS−1の2枚を使用しない以外、実施例1と同様の操作を行い、セパレータを製造した。さらに流路部の成形材料C−1の重量(14.5cm角)を82gに調整した以外は、同様にして圧縮成形及び加工を行い、実施例1と同形状の燃料電池セパレータを得た。このセパレータについても、実施例1と同様に外観の評価、水濡れ性、導電性及び、耐熱水性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
実施例で得られた燃料電池セパレータを試料として、目視観察を行うことにより、燃料電池セパレータの表裏両面の溝(流路)が均質に形成されているものを「良好」とした。また燃料電池セパレータの表裏両面の溝(流路)に欠陥、白化が認められるものを「不良」とした。
実施例で得られた成形品を試料として、協和界面科学製CA−Z型(イオン交換水を用いた液滴法による接触角の測定機械)を用いて、溝の凸部の接触角を測定した。測定は、8回の平均値を結果とした。測定は、22℃、湿度60%の雰囲気で行った。
実施例で得られた成形品のみを用いた簡易な方法により排水性を評価した。
この時、溝内が親水性で水との濡れ性が優れる場合には、速やかに水が展開する。その時の目安は、10mm以上である。溝部が水との濡れ性に劣る場合には、水は滴下した直後のままの状態を保持する。その時の目安は、5mm以下である。つまり、水滴が速やかに溝内に展開する場合には、溝を詰まらせることなく安定した排水性が期待できる。一方、水滴が速やかに溝内に展開しない場合には、溝を詰まらせ、燃料ガス等の供給及び、水の排出が不安定となり発電特性に悪影響を与える可能性が高くなる。
実施例で得られた成形品の導電性は、電極部(溝、流路部)の接触抵抗を測定することにより評価した。
実際には、成形品の電極部と同じ寸法(14.5cm角)の金メッキ電極を2枚と、同寸法のカーボンペーパー(厚さ0.4mm)を用意し、成形品の電極部を同カーボンペーパー及び電極で挟み、さらに油圧プレスにて1MPaの圧力下、10mAの交流を印加した。この時の電極間の電圧降下ΔV(μV)を測定し、導電性の指標とする。測定3回の平均値を結果とした。電圧降下ΔVが低い値を示す程、導電性に優れ、接触抵抗が低いと判断することができる。同条件で測定することにより相対比較できる。
実施例で得られた成形品の電極部(溝、流路部)のみを25mm×50mmのサイズに切断し試料片を作製した。この試料片をイオン交換水の入ったフッ素樹脂容器に入れ封をし、この容器を95℃の乾燥器に入れ、200時間煮沸を行った。その後、室温まで徐冷し試料片を取り出した。その時の外観を目視にて評価した。その時の評価基準を以下に示す。
成形品の両面の溝とも良好に形状が保持されており、親水性も維持されているとき「良好」とし、成形品の両面の溝の一部が、崩壊している、また表面のシートが剥離したり、膨れたりしているときを「不良」とした。
実施例で得られたセパレータを、80℃に恒温された平らなホットプレートの上に静置し、その電極部(溝、流路部)に先端の平坦な1Φの端子を押し付け、その端子により溝部に面圧10Kgf/cm2の荷重を与えた。そのとき溝部が変形したかどうかにより耐熱変形性を評価した。変形がほとんど見られないものを「良好」とし、そうでなく溝部が変形してしまうものを「不良」とした。
Claims (10)
- 熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と炭素材料とを構成成分とする基体の少なくとも一部に、粉末状炭素材料及びカプロラクタム基を有する親水性樹脂を含有する親水性樹脂シートを積層してなる燃料電池セパレータ。
- 前記カプロラクタム基を有する親水性樹脂が、ビニルカプロラクタムを構成成分とする請求項1記載の燃料電池セパレータ。
- 前記粉末状炭素材料の含有量が、親水性樹脂シート中50〜95重量%である請求項1又は2記載の燃料電池セパレータ。
- 前記粉末状炭素材料の含有量が、基体中50〜95重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池セパレータ。
- 前記粉末状炭素材料の平均粒子径が150〜400μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池セパレータ。
- 前記親水性樹脂シートが、炭素繊維からなるシートを基布として使用してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池セパレータ。
- 前記親水性樹脂シートの厚さが、0.05〜5.0mmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池セパレータ。
- 熱硬化性樹脂と炭素材料とを含む基体用成形材料を予備硬化し、その少なくとも片面の一部に、粉末状炭素材料及びカプロラクタム基を有する親水性樹脂を含有する親水性樹脂シートを積層し、次いで得られる積層体を成形することを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。
- 熱可塑性樹脂と炭素材料とを含む基体用成形材料を予め加熱し、次いでその少なくとも片面の一部に、粉末状炭素材料及びカプロラクタム基を有する親水性樹脂を含有する親水性樹脂シートを積層し、次いで得られる積層体を成形することを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池セパレータを組み込んでなる燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005308395A JP4924862B2 (ja) | 2005-10-24 | 2005-10-24 | 燃料電池セパレータ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005308395A JP4924862B2 (ja) | 2005-10-24 | 2005-10-24 | 燃料電池セパレータ及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007115619A JP2007115619A (ja) | 2007-05-10 |
JP4924862B2 true JP4924862B2 (ja) | 2012-04-25 |
Family
ID=38097604
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005308395A Expired - Fee Related JP4924862B2 (ja) | 2005-10-24 | 2005-10-24 | 燃料電池セパレータ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4924862B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009129601A (ja) * | 2007-11-21 | 2009-06-11 | Nippon Pillar Packing Co Ltd | 燃料電池セパレータ及びその製造方法 |
US20090191444A1 (en) | 2007-11-28 | 2009-07-30 | Seikoh Giken Co., Ltd | Fuel cell bipolar plate and method for producing the same |
JP4691189B1 (ja) | 2009-11-25 | 2011-06-01 | 株式会社東芝 | 直接メタノール型燃料電池 |
DE102021113591A1 (de) | 2021-03-11 | 2022-09-15 | Schunk Kohlenstofftechnik Gmbh | Verfahren zum ausbilden einer hydrophilen oberfläche auf einem graphithaltigen werkstoff und verfahren zum fertigen einer bipolarplatte sowie bipolarplatte und brennstoffzelle bzw. flussbatterie mit derselben |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08130025A (ja) * | 1994-10-28 | 1996-05-21 | Toyota Motor Corp | 燃料電池 |
JPH103931A (ja) * | 1996-06-14 | 1998-01-06 | Toyota Motor Corp | 燃料電池用セパレータの製造方法およびセパレータ |
JP2000223131A (ja) * | 1999-02-01 | 2000-08-11 | Toyota Motor Corp | 燃料電池およびこれに用いるセパレータ並びにこれらの製造方法 |
JP3595207B2 (ja) * | 1999-09-01 | 2004-12-02 | ニチアス株式会社 | 燃料電池用セパレーター及びその製造方法 |
JP2001093539A (ja) * | 1999-09-28 | 2001-04-06 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 固体高分子電解質型燃料電池 |
JP3810243B2 (ja) * | 2000-02-22 | 2006-08-16 | 三菱レイヨン株式会社 | ガスハイドレートの生成制御剤およびそれを用いたガスハイドレートの生成制御方法 |
JP2004311031A (ja) * | 2003-02-21 | 2004-11-04 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 固体高分子型燃料電池用セパレータ |
JP2005108590A (ja) * | 2003-09-30 | 2005-04-21 | Nichias Corp | 燃料電池用セパレータの製造方法 |
JP2005104043A (ja) * | 2003-09-30 | 2005-04-21 | Dainippon Printing Co Ltd | 熱転写シート |
JP5013670B2 (ja) * | 2003-12-24 | 2012-08-29 | 昭和電工株式会社 | 燃料電池用セパレータ及びその製造方法 |
-
2005
- 2005-10-24 JP JP2005308395A patent/JP4924862B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007115619A (ja) | 2007-05-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5107050B2 (ja) | 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法 | |
JP4979243B2 (ja) | ポリマー電解質膜とその製造方法および燃料電池 | |
JP5195286B2 (ja) | 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法 | |
EP1947722B1 (en) | Process for production of fuel cell separators and fuel cells comprising such separators | |
JP2010146965A (ja) | 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体、固体高分子形燃料電池用触媒層形成用塗工液、および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法 | |
JP4924862B2 (ja) | 燃料電池セパレータ及びその製造方法 | |
JP4029357B2 (ja) | 燃料電池用セパレ−タ、その製造方法及びそれを用いた燃料電池 | |
JP4645790B2 (ja) | 燃料電池セパレータおよび固体高分子型燃料電池 | |
US20060263659A1 (en) | Polymer electrolyte membrane and fuel cell using the polymer electrolyte membrane | |
US20030138686A1 (en) | Fuel cell separator production method, fuel cell separators, and polymer electrolyte fuel cells | |
US7960065B2 (en) | Separator for fuel cell, method for producing the same, and fuel cell | |
JP2003297385A (ja) | 燃料電池セパレータの製造方法、燃料電池セパレータ、および固体高分子型燃料電池 | |
JP2006286560A (ja) | 固体高分子形燃料電池用膜・電極接合体の製造方法 | |
JP2001093543A (ja) | プロトン伝導体及びこれを用いた燃料電池 | |
JP2006179400A (ja) | 親水性導電層を有する燃料電池セパレータ及びその製造方法 | |
JP2010170837A (ja) | 電解質材料組成物、膜−電極接合剤、接合層付き電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池 | |
KR20160033857A (ko) | 연료전지용 분리판 및 그의 제조방법 | |
KR20230164005A (ko) | 열가소성 수지, 열경화성 수지, 분산액상 조성물, 고체고분자형 연료 전지용 적층체, 그 고체 고분자형 연료 전지용 적층체의 제조 방법 | |
JP2002158014A (ja) | 固体高分子型燃料電池用触媒層・膜接合体の製造方法 | |
EP2084716B1 (en) | Polymer electrolyte membrane and method for producing polymer electrolyte membrane | |
JP6663647B2 (ja) | 固体高分子形燃料電池用電解質膜、固体高分子形燃料電池、および固体高分子形燃料電池用電解質膜の製造方法 | |
JP2012004048A (ja) | 電解質膜並びにその製造方法、電極触媒層並びにその製造方法、膜電極接合体、及び、固体高分子電解質型燃料電池 | |
US10290877B2 (en) | Membrane electrode assembly | |
US10297850B2 (en) | Membrane electrode assembly | |
JP2007335264A (ja) | 高分子電解質膜、及びその製造方法、並びにその利用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081014 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111020 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111101 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111214 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120112 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120125 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150217 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |