JPH08130025A - 燃料電池 - Google Patents

燃料電池

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JPH08130025A
JPH08130025A JP6289245A JP28924594A JPH08130025A JP H08130025 A JPH08130025 A JP H08130025A JP 6289245 A JP6289245 A JP 6289245A JP 28924594 A JP28924594 A JP 28924594A JP H08130025 A JPH08130025 A JP H08130025A
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gas
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electrode
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JP6289245A
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Seiji Mizuno
誠司 水野
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Toyota Motor Corp
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    • H01M8/02Details
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    • H01M8/0204Non-porous and characterised by the material
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料電池の燃料の流路内に生じる水を流路か
ら速やかに排出する。 【構成】 燃料電池は、電解質膜20および電解質膜2
0を挟持する2つのガス拡散電極30をさらに挟持する
集電極40により構成される。集電極40のガス拡散電
極30と接触する面には、平行に配置された複数のリブ
42が形成されており、この面には、導電性を有する接
着剤50により、太さ5μm,長さ100μmのカーボ
ン短繊維52が多数植毛されている。リブ42は、ガス
拡散電極30の表面とで酸化ガスまたは燃料ガスの流路
をなすガス流路44を形成する。この燃料電池を運転す
ると、カソード極側のガス流路44に生じる水は、濡れ
て親水性を呈するカーボン短繊維52に引き寄せられ
て、その毛根部付近に保水皮膜を形成する。そして、保
水皮膜表面およびカーボン短繊維52の表面から酸化ガ
スに気化し、ガス流路44から排出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料電池に関し、詳し
くは、電解質層と、該電解質層を挟持して発電層を形成
する電極と、該発電層を挟持し該電極とで燃料の流路を
形成する流路形成部材と、を備えた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池、例えば、固体高分子型燃料電
池では、電解質膜を挟んで対峙する2つの電極(酸素極
と燃料極)に、水素を含有する燃料ガスと酸素を含有す
る酸化ガスとをそれぞれ供給することにより、次式
(1)および(2)に示す反応が行なわれ、化学エネル
ギが直接電気エネルギに変換される。
【0003】 カソード反応(酸素極):2H++2e-+(1/2)O2→H2O …(1) アノード反応(燃料極):H2→2H++2e- …(2)
【0004】この反応を連続的かつ円滑に行なうために
は、酸素極では、反応により生成する水を速やかに排除
して酸素極に酸化ガスを連続的に供給する必要がある。
通常、酸素極へ酸化ガスを供給する供給流路は、酸素極
側の集電極が有するリブと酸素極の表面とで形成されて
いる。この供給流路は、反応により生成する水の排出流
路をも兼ねている。したがって、酸化ガスの供給流路に
おける生成水の速やかな排出が求められる。
【0005】また、上記反応を連続的かつ円滑に行なう
ためには、燃料極では、燃料極に燃料ガスを連続的に供
給すると共に燃料極で発生した水素イオンを電解質膜中
にスムースに拡散させる必要もある。水素イオンは電解
質膜中の水と結合して水和状態となって電解質膜中を移
動するから、燃料極付近の水が不足しないよう電解質膜
に外部から水を補給しなければならない。こうした燃料
極への水の補給は、燃料ガスを加湿して燃料ガスの水蒸
気圧を高めることにより行なわれるのが通常である。加
湿された燃料ガスが運転開始直後で定常運転状態の温度
に達していない燃料電池に供給された場合や水蒸気が過
飽和となった燃料ガスが燃料電池に供給された場合に
は、燃料極側の集電極が有するリブと燃料極の表面とで
形成される燃料ガスの供給流路の形成面に水蒸気が結露
して水滴となって付着し、燃料ガスの供給流路内での燃
料ガスのスムースな流れを妨げる場合を生じる。したが
って、燃料ガスの供給流路の形成面に水蒸気が結露する
場合には、結露した水滴を燃料ガスの供給流路から速や
かに排出することが求められる。
【0006】従来、こうした要望に応える燃料電池とし
ては、集電極と電極とで形成する燃料ガスまたは酸化ガ
スの供給流路の形成面に撥水性を呈するフッ素樹脂の被
膜を形成するものが提案されている(例えば、特開平4
−12462号公報等)。この燃料電池によれば、フッ
素樹脂の被膜が、燃料ガスの供給流路の形成面に付着す
る水滴や酸化ガスの供給流路に排出される生成水を撥じ
いて速やかに排出し、燃料極および酸素極へ燃料ガスお
よび酸化ガスを連続的に供給するとされている。また、
集電極の電極との接触面にはフッ素樹脂の被膜を形成し
ないことにより、その接触面を親水性に富む吸水部と
し、この接触面から燃料ガスの供給流路の形成面に付着
する水滴や酸化ガスの供給流路に排出される生成水を吸
水して燃料ガスおよび酸化ガスの供給流路から速やかに
排出するとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た供給流路の形成面にフッ素樹脂の被膜を形成する燃料
電池では、供給流路内に排出された生成水あるいは形成
面に付着した水滴が撥じかれて複数集まり、大きな水滴
となって燃料ガスまたは酸化ガスの電極への供給を阻害
する場合を生じるという問題があった。特に幅または奥
行きの狭い供給流路では、水の表面張力により供給流路
を塞いでしまい、燃料電池の運転効率を著しく低下させ
る場合もある。
【0008】本発明の燃料電池は、こうした問題を解決
し、燃料の流路内に生じる水を流路から速やかに排出す
ることを目的とし、次の構成を採った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の燃料電池
は、電解質層と、該電解質層を挟持して発電層を形成す
る電極と、該発電層を挟持し該電極とで燃料の流路を形
成する流路形成部材と、を備えた燃料電池であって、前
記流路形成部材は、前記流路を形成する面にカーボンに
より形成された短繊維を複数植立してなることを要旨と
する。
【0010】ここで、前記第1の燃料電池において、前
記短繊維は、少なくとも表面が親水性を呈するよう親水
処理してなる短繊維である構成とすることもできる。
【0011】本発明の第2の燃料電池は、電解質層と、
該電解質層を挟持して発電層を形成する電極と、該発電
層を挟持し該電極とで燃料の流路を形成する流路形成部
材と、を備えた燃料電池であって、前記流路形成部材
は、前記流路を形成する面に、少なくとも表面が親水性
を呈する短繊維を複数植立してなることを要旨とする。
【0012】
【作用】以上のように構成された本発明の燃料電池は、
流路形成部材の燃料の流路を形成する面に複数植立され
たカーボンにより形成された短繊維が、燃料の流路内に
生じる水を引き寄せて燃料の流路を形成する面の表面付
近に保水層を形成すると共に、水と燃料との接触面積を
大きくして水の燃料への気化を促進する。
【0013】表面が親水処理された短繊維を植立した燃
料電池は、親水処理された短繊維が、燃料の流路内に生
じる水により燃料の流路を形成する面の表面付近に形成
される保水層の形成を促進する。
【0014】本発明の第2の燃料電池は、少なくとも表
面が親水性を呈するよう親水処理された短繊維が、燃料
の流路内に生じる水を引き寄せて燃料の流路を形成する
面の表面付近に保水層を形成すると共に、水と燃料との
接触面積を大きくして水の燃料への気化を促進する。
【0015】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明の好適な実施例について説
明する。図1は本発明の好適な一実施例である燃料電池
を構成する単電池10の構成を例示する説明図、図2は
図1中の破線円の部分を拡大して示した拡大説明図であ
る。単電池10は、固体高分子型燃料電池の積層体を構
成する単電池であり、図1に示すように、電解質膜20
と、この電解質膜20を両側から挟んでサンドイッチ構
造を形成する2つのガス拡散電極30と、このサンドイ
ッチ構造を両側から挟持する2つの集電極40とから構
成される。
【0016】電解質膜20は、高分子材料、例えば、フ
ッ素系樹脂により形成された厚さ100μmないし20
0μmのイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝
導性を示す。2つのガス拡散電極30は、表面をポリ四
フッ化エチレンでコーティングした炭素繊維と何等処理
されていない炭素繊維とを1対1の割合とした糸で織成
したカーボンクロスにより形成されている。ガス拡散電
極30は、ポリ四フッ化エチレンが撥水性を呈するか
ら、その表面が水で覆われてガスの透過を阻害すること
はない。このカーボンクロスの電解質膜20側の表面お
よび隙間には、白金または白金と他の金属からなる合金
等を担持したカーボン粉が練り込まれて触媒層32が形
成されている(図2参照)。この電解質膜20と2つの
ガス拡散電極30は、2つのガス拡散電極30が電解質
膜20を挟んでサンドイッチ構造とした状態で、100
℃ないし160℃好ましくは110℃ないし130℃の
温度で、1MPa{10.2kgf/cm2}ないし20MP
a{102kgf/cm2}好ましくは5MPa{51kgf/c
m2}ないし10MPa{102kgf/cm2}の圧力を作用
させて接合するホットプレス法により接合されている。
【0017】集電極40は、カーボンを圧縮して緻密化
しガス不透過とした緻密質カーボンにより形成されてい
る。集電極40のガス拡散電極30と接触する図1中左
右の面(積層面)には、それぞれ平行に配置された複数
のリブ42が、互いに直交する配置として形成されてい
る。このリブ42が形成された積層面には、導電性の接
着剤50、例えば、エポキシ系の接着剤やポリ四フッ化
エチレン等のフッ素系の樹脂にカーボンの粉体を混合し
たカーボンペースト等により、太さ5μm,長さ100
μmのカーボン短繊維52が多数植毛されている。この
カーボン短繊維52が植毛されたリブ42は、ガス拡散
電極30の表面とで酸素を含有する酸化ガスまたは水素
を含有する燃料ガスの流路をなすガス流路44を形成す
る。なお、電解質膜20および2つのガス拡散電極30
を挟んで対峙する2つの集電極40は、向かい合うそれ
ぞれのリブ42が互いに直交するよう配置されている。
【0018】実施例では、集電極40を図3に例示する
工程図に基づいて形成した。以下この工程図に基づき集
電極40の形成の様子について説明する。まず、リブ4
2が形成された集電極40の基材の積層面に接着剤50
を塗布する(ステップS100)。続いて、集電極40
をアース接続またはマイナスに帯電させると共にカーボ
ン短繊維52をプラスに帯電させる(ステップS11
0)。そして、アース接続またはマイナスに帯電させた
集電極40の接着剤50を塗布した積層面に、プラスに
帯電させたカーボン短繊維52を散布する(ステップS
120)。すると、カーボン短繊維52は、靜電誘導に
より集電極40の積層面の接着剤50に立つように植え
付けられる。続いて、集電極40に塗布した接着剤50
を温度150℃で30分間乾燥して硬化させて(ステッ
プS130)、集電極40を完成する。
【0019】こうして構成された単電池10を積層して
なる燃料電池は、電解質膜20および2つのガス拡散電
極30を挟んで対峙する一対のガス流路44に酸化ガス
および燃料ガスを流せば、前述の反応式(1)および
(2)に示した電気化学反応を行ない、化学エネルギを
直接電気エネルギに変換する。
【0020】次に単電池10を積層してなる燃料電池が
運転されているときのガス流路44内の様子について説
明する。まず、カソード極側のガス流路44内の様子に
ついて説明する。カソード極側のガス流路44には、燃
料電池が運転されると、電解質膜20のカソード極側の
ガス拡散電極30の表面で発生する水(式(1)参照)
がガス拡散電極30を構成する何等処理されていない炭
素繊維によりガス流路44側の表面に導かれる。カーボ
ン短繊維52は、完全に乾いているときは若干の撥水性
を呈するが、一旦濡れるとそれ以後は親水性を呈する。
今、燃料電池の定常運転状態を考えれば、カーボン短繊
維52は、発電により生じる水により濡れた状態となっ
て親水性を呈する。
【0021】親水性を呈するカーボン短繊維52は、ガ
ス流路44内に生じた生成水に接触すると、この生成水
を引き寄せて、図4の説明図に示すように、カーボン短
繊維52の毛根部付近に接着剤50の表面を覆うような
保水皮膜60を形成する。その後、ガス流路44に生じ
る生成水は、カーボン短繊維52と接触することにより
引き寄せられて保水皮膜60に次々と取り込まれる。し
たがって、生成水が集まって大きな水滴になって酸化ガ
スのガス流路44内の流れを阻害することがない。保水
皮膜60に取り込まれた水は、その重力によりガス流路
44から排出される他、保水皮膜60表面およびカーボ
ン短繊維52表面からガス流路44を流れる酸化ガスに
気化してガス流路44から排出される。酸化ガスへの気
化は、保水皮膜60およびカーボン短繊維52の表面全
体から行なわれるから、カーボン短繊維52を植毛しな
い集電極に比して酸化ガスとの接触面積が大きくなり酸
化ガスへの気化によって排出される生成水の量は飛躍的
に増加する。
【0022】燃料電池が運転停止されると、ガス流路4
4には不活性ガス等が導入されて密閉されるのが通常で
あるので、燃料電池の運転停止中にカーボン短繊維52
が完全に乾燥することはまずない。また、カーボン短繊
維52が完全に乾燥しても、燃料電池の運転が継続され
ることにより、そのうち濡れて親水性を呈するから、上
述のように保水皮膜60を形成して生成水をガス流路4
4から排出する。
【0023】一方、アノード極側のガス流路44には、
飽和蒸気圧近くまで加湿された燃料ガスが流されるか
ら、単電池10の運転状況によっては、過飽和となりガ
ス流路44の形成面に水蒸気が結露する場合がある。こ
うした結露により生じる水は、カソード極側と同様に親
水性を呈するカーボン短繊維52に引き寄せられて保水
皮膜60を形成する。過剰の水がガス流路44内に生じ
た場合には、保水皮膜60内に取り込まれた水は、その
重力によりガス流路44から排出される。また、燃料ガ
スの水蒸気圧が飽和水蒸気圧にまで至っていないときに
は、保水皮膜60に取り込まれた水が保水皮膜60の表
面およびカーボン短繊維52の表面から燃料ガスに気化
し、燃料ガスの水蒸気圧を飽和水蒸気圧として、電解質
膜20のアノード極側で不足する水の補給を促進する。
【0024】また、実施例の集電極40では、リブ42
のガス拡散電極30と接触する端面46にもカーボン短
繊維52が植毛されている。このため、この端面46と
接触するガス拡散電極30の接触部34と端面46との
間に、カーボン短繊維52による微小な隙間を有する層
が形成され、この層の隙間を介してガス流路44の酸化
ガスまたは燃料ガスが接触部34の内部に拡散する。ま
た、端面46に植毛されたカーボン短繊維52がガス拡
散電極30を形成するカーボン繊維に絡みつくため、集
電極40とガス拡散電極30との接触抵抗が小さくな
る。さらに、ガス流路44を形成するリブ42の側面等
に植毛したカーボン短繊維52は、ガス流路44内の酸
化ガスまたは燃料ガスの流れを乱し、酸化ガスまたは燃
料ガスのガス拡散電極30への拡散性を向上させる。
【0025】図5は、本実施例の単電池10とカーボン
短繊維52が植毛されていない単電池(以下「従来例の
単電池」という。)における電流密度とセル電圧との関
係を例示したグラフである。グラフ中、曲線Aは単電池
10の電流密度とセル電圧との関係を示し、曲線Cは従
来例の単電池の電流密度とセル電圧との関係を示す。な
お、曲線Bは、図6に示す単電池110の電流密度とセ
ル電圧との関係である。単電池110は、図1中の破線
円に相当する部分を拡大した図6に示すように、実施例
の単電池10の変形例で、集電極140のリブ142の
端面146にカーボン短繊維52が植毛されていない点
を除いて単電池10と同一の構成を備える。
【0026】図5のグラフに示すように、カーボン短繊
維52を植毛した単電池10は、植毛されていない従来
例の単電池に比して、その性能の著しい向上が認めら
る。リブ142の端面146にカーボン短繊維52が植
毛されていない単電池110であっても、従来例の単電
池に比して十分な性能の向上が認めらる。
【0027】以上説明した燃料電池によれば、集電極4
0のガス流路44を形成する面にカーボン短繊維52を
植毛したことにより、ガス流路44に生じる水をガス流
路44から確実に排出することができ、生成水による酸
化ガスまたは燃料ガスのガス拡散電極30への拡散の阻
害を防止することができる。したがって、効率の良い燃
料電池とすることができる。
【0028】また、リブ42の端面46にカーボン短繊
維52を植毛したことにより、接触部34と端面46と
の接触部に微小な隙間を有する層を形成するので、この
層の隙間から酸化ガスまたは燃料ガスを接触部34の内
部に拡散させることができる。このように接触部34の
内部にまで酸化ガスまたは燃料ガスを拡散させるので、
電気化学反応に寄与するガス拡散電極30の利用率を高
くして、単電池10ひいては燃料電池の性能を向上させ
ることができる。さらに、リブ42の端面46のカーボ
ン短繊維52がガス拡散電極30を形成するカーボン繊
維に絡みつくので、接触抵抗を小さくすることができ、
内部抵抗の小さな燃料電池とすることができる。加え
て、ガス流路44を形成するリブ42の側面等に植毛し
たカーボン短繊維52がガス流路44の酸化ガスまたは
燃料ガスの流れを乱し、ガス拡散電極30への拡散性を
向上させることができる。
【0029】なお、実施例では、太さ5μm,長さ10
0μmのカーボン短繊維52を植毛したが、この太さお
よび長さに限定されるものでなく、太さは0.1μmな
いし100μm好ましくは1μmないし10μm,長さ
は10μmないし1mm好ましくは50μmないし30
0μmでよい。この太さおよび長さは、ガス流路44の
幅および奥行きの大きさなどにより定まるものである。
【0030】また、実施例では、カーボン繊維をそのま
ま用いてカーボン短繊維52としたが、カーボン繊維の
表面を親水処理したものを用いる構成も好適である。親
水処理の手法としては、架橋ポリアクリル酸塩等の高吸
水性樹脂やメタクリル樹脂等でカーボン繊維の表面をコ
ーティングする手法がある。このようにカーボン短繊維
52の表面を親水処理すれば、カーボン短繊維52が完
全に乾いた状態で運転を開始しても、カーボン短繊維5
2が撥水性を呈することがなく早期に保水皮膜60を形
成することができる。
【0031】実施例では、カーボン短繊維52を集電極
40のガス流路44を形成する面に植毛したが、少なく
とも表面が親水性を呈する短繊維であれば、その材質は
カーボンに限られるものではない。例えば、導電性金属
により形成され表面が親水処理された短繊維でもよい。
また、図6に示した単電池110のように端面146に
カーボン短繊維52を植毛しない構成とすれば、カーボ
ン短繊維52に代えて導電性を有しない材料(例えば、
樹脂等)により形成され表面が親水処理された短繊維で
あってもかまわない。
【0032】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、例えば、リン酸型燃料電池に適用する構成など、本
発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる態様
で実施し得ることは勿論である。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明の第1の燃料
電池によれば、流路形成部材の燃料の流路を形成する面
に複数植立されたカーボンにより形成された短繊維が燃
料の流路内に生じる水を引き寄せて燃料の流路を形成す
る面の表面付近に保水層を形成すると共に、燃料と生成
水との接触面積を大きくして水の燃料への気化を促進す
るので、燃料の流路内に生じる水を燃料の流路から排出
することができる。したがって、燃料の流路内に生じる
水により燃料の電極への拡散が阻害されることがなく、
燃料電池の運転効率を高く維持することができる。
【0034】カーボンにより形成された短繊維の表面を
親水処理した燃料電池によれば、表面が親水処理された
短繊維が保水層の形成を促進するので、燃料の流路内に
生じる水を燃料の流路から速やかに排出することができ
る。
【0035】本発明の第2の燃料電池によれば、流路形
成部材の燃料の流路を形成する面に複数植立された親水
性を呈する短繊維が燃料の流路内に生じる水を引き寄せ
て燃料の流路を形成する面の表面付近に保水層を形成す
ると共に、燃料と生成水との接触面積を大きくして水の
燃料への気化を促進するので、燃料の流路内に生じる水
を燃料の流路から排出することができる。したがって、
燃料の流路内に生じる水により燃料の電極への拡散が阻
害されることがなく、燃料電池の運転効率を高く維持す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である燃料電池を構成
する単電池10の構成を例示する説明図である。
【図2】図1中の破線円の部分を拡大して示した拡大説
明図である。
【図3】集電極40の形成の様子を例示する工程図であ
る。
【図4】カーボン短繊維52の毛根部付近に形成される
保水皮膜60の様子を例示する説明図である。
【図5】単電池10と従来例の単電池における電流密度
とセル電圧との関係を例示したグラフである。
【図6】実施例の単電池10の変形例である単電池11
0の一部を拡大して示した拡大説明図である。
【符号の説明】
10…単電池 20…電解質膜 30…ガス拡散電極 32…触媒層 34…接触部 40…集電極 42…リブ 44…ガス流路 46…端面 50…接着剤 52…カーボン短繊維 60…保水皮膜 110…単電池 140…集電極 142…リブ 146…端面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質層と、該電解質層を挟持して発電
    層を形成する電極と、該発電層を挟持し該電極とで燃料
    の流路を形成する流路形成部材と、を備えた燃料電池で
    あって、 前記流路形成部材は、前記流路を形成する面にカーボン
    により形成された短繊維を複数植立してなる燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記短繊維は、少なくとも表面が親水性
    を呈するよう親水処理してなる短繊維である請求項2記
    載の燃料電池。
  3. 【請求項3】 電解質層と、該電解質層を挟持して発電
    層を形成する電極と、該発電層を挟持し該電極とで燃料
    の流路を形成する流路形成部材と、を備えた燃料電池で
    あって、 前記流路形成部材は、前記流路を形成する面に、少なく
    とも表面が親水性を呈する短繊維を複数植立してなる燃
    料電池。
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