JP4028945B2 - 4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造方法、中間体化合物、該化合物の製造方法、およびヒドラジン誘導体の製造方法 - Google Patents

4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造方法、中間体化合物、該化合物の製造方法、およびヒドラジン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの新規な製造方法、その中間体化合物である2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、およびその塩、該中間体化合物の製造方法、並びに4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを用いるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造方法に関する。N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンは、抗HIV薬である後述の化合物(A)の製造用中間体として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
本発明におけるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンは、抗HIV薬である下式
【0003】
【化11】
Figure 0004028945
【0004】
で表される化合物(A)の合成中間体として有用であり、例えばWO97/40029号に記載の方法により、当該中間体を経由して化合物(A)へと導くことができる。
【0005】
WO97/40029号にはN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造方法として、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドとtert−ブチルカルバゼート[tBuOC(=O)NHNH2](式中、tBuはtert−ブチルを示す)とを反応させることによる製造方法が記載されており、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドは医薬品の中間体として重要である。
【0006】
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造方法として、例えば特開平3−95157号公報およびWO97/40029号に、4−ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタールから調製されたグリニャール試薬と2−ブロモピリジンとを、触媒として[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)クロライドを用いて反応させる方法が記載されている。しかしながら、上記の製造方法では反応試薬である、4−ブロモベンズアルデヒドジメチルアセタールおよび2−ブロモピリジンは比較的高価であり、さらに触媒である[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)クロライドは極めて高価であり、工業的に入手も困難である。このため、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを安価に製造する方法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを安価に製造し得る方法を提供することである。また、本発明の目的は、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを製造するための中間体を提供することである。さらに、本発明の目的は、該中間体を製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、新規な化合物である、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、およびその塩が、2−(4−トリル)ピリジンの塩と臭素化剤とを反応させることにより得られる製造方法を見出した。さらに2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、またはその塩をヘキサメチレンテトラミンおよび水と反応させることにより、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを安価に製造できる方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は
(1)式(I)
【0010】
【化12】
Figure 0004028945
【0011】
で表される2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、式(II)
【0012】
【化13】
Figure 0004028945
【0013】
で表される2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、およびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1つを、ヘキサメチレンテトラミンおよび水と反応させることを特徴とする、式(III)
【0014】
【化14】
Figure 0004028945
【0015】
で表される4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造方法、
(2)式(I)
【0016】
【化15】
Figure 0004028945
【0017】
で表される2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩および/または式(II)
【0018】
【化16】
Figure 0004028945
【0019】
で表される2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンの塩を、ヘキサメチレンテトラミンおよび水と反応させることを特徴とする、式(III)
【0020】
【化17】
Figure 0004028945
【0021】
で表される4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造方法、
(3)2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、
(4)2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、またはその塩、
(5)式(IV)
【0022】
【化18】
Figure 0004028945
【0023】
(式中、Xはハロゲン原子またはスルホン酸残基を表す)
で表される2−(4−トリル)ピリジンの塩を臭素化剤と反応させることを特徴とする、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、またはその塩の製造方法、
(6)Xがハロゲン原子である、上記(5)の製造方法、
(7)臭素化剤が臭素であることを特徴とする、上記(5)の製造方法、
(8)上記(1)または(2)の方法により製造した4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドをヒドラジンと反応させ、式(V)
【0024】
【化19】
Figure 0004028945
【0025】
で表される4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンとし、さらにこれを式[〔tBuOC(=O)〕2O](式中、tBuはtert−ブチルを示す)で表されるジ−tert−ブチルジカーボネートと反応させることを特徴とする、式(VI)
【0026】
【化20】
Figure 0004028945
【0027】
(式中、tBuはtert−ブチルを示す)
で表されるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造方法、および
(9)上記(1)または(2)の方法により製造した4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを式[tBuOC(=O)NHNH2](式中、tBuはtert−ブチルを示す)で表されるtert−ブチルカルバゼートと反応させることを特徴とする、式(VI)
【0028】
【化21】
Figure 0004028945
【0029】
(式中、tBuはtert−ブチルを示す)
で表されるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造方法に関する。
【0030】
新規な化合物である、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、およびその塩の製造において、2−(4−トリル)ピリジンを塩の形態にせずに臭素化を行うと、一旦生成した置換ベンジルブロマイドが分子内にある窒素原子と反応し、目的以外の生成物を得ることになる。そこで、本発明者らは2−(4−トリル)ピリジンを塩の形態とし臭素化を行うことにより、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、またはその塩が、目的以外の生成物を生成することなく得られることを見出した。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に詳細に説明する。
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒド(III)の製造方法
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドは、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、およびその塩のうち少なくとも1つをヘキサメチレンテトラミンおよび水と反応させることにより得ることができる。詳細には、反応溶媒中、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、およびその塩のうち少なくとも1つに、水およびヘキサメチレンテトラミンを加え、加熱攪拌することにより、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを得ることができる。また、必要に応じて、塩基性物質(例えば、酢酸ナトリウムなど)をヘキサメチレンテトラミン1molに対して、0.5〜2.0mol加えてもよい。
【0032】
水は、反応試薬以外にも溶媒としても機能し、反応試薬として、臭素化の出発原料である2−(4−トリル)ピリジンに対して2〜10倍重量、好ましくは4〜6倍重量用い、10倍重量を越える量の水は、反応溶媒として用いることになる。
【0033】
水以外の反応溶媒としては、エタノール、酢酸などが挙げられ、好ましくは酢酸が挙げられる。水および水以外の反応溶媒の単独溶媒、並びにこれらの混合溶媒を反応溶媒として用いることができ、好ましい混合溶媒として酢酸水溶液が挙げられる。反応溶媒の使用量は臭素化の出発原料である2−(4−トリル)ピリジンに対して、2〜10倍重量、好ましくは4〜7倍重量である。
【0034】
ヘキサメチレンテトラミンの使用量は、臭素化の出発原料である2−(4−トリル)ピリジンに対して、等mol〜15倍mol、好ましくは2倍mol〜10倍mol、より好ましくは3倍mol〜10倍molである。
【0035】
反応温度は、常温から用いる溶媒の沸点までの範囲、好ましくは85〜95℃である。
【0036】
反応時間は、1〜8時間、好ましくは1〜3時間である。
【0037】
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの単離は、通常の操作、例えば抽出、蒸留、およびカラムクロマトグラフィーなどにより行うことができる。例えば、反応後の系内にある酸性物質を中和した後、抽出することにより4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドが得られる。また抽出後、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸水素塩、またはピロ亜硫酸ナトリウムを用いて、水または水と低級アルコールもしくは酢酸エチルとの混合溶媒中、結晶性の、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドのアルカリ金属亜硫酸水素塩として得ることもできる。得られた4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドのアルカリ金属亜硫酸水素塩は、酸性またはアルカリ性の水溶液と接触することにより、元の4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドに再生することができ、これを利用して精製することができる。
【0038】
2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジン(I)の塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン(II)、およびその塩の製造方法
上記の4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造における原料化合物である2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジン(以下、モノブロモ体ともいう)の塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン(以下、ジブロモ体ともいう)、およびその塩は新規な化合物であり、2−(4−トリル)ピリジンの塩と臭素化剤とを反応させることにより得ることができる。詳細には、例えば2−(4−トリル)ピリジンの塩と溶媒との混合物に、加熱しながら臭素化剤を添加することにより、モノブロモ体の塩とジブロモ体の塩を、また必要によりジブロモ体の塩を適当に処理して遊離塩基の形態のジブロモ体を得ることができる。モノブロモ体の塩とジブロモ体の塩の分離は、再結晶などの精製手段により行うことができる。あるいは、モノブロモ体の塩とジブロモ体の塩の混合物を遊離塩基の形態にした後、カラムクロマトグラフィーなどによる精製を行うことによって、モノブロモ体とジブロモ体とに分離することができる。臭素化剤を多く用いるとモノブロモ体はジブロモ体へと変換され、ジブロモ体の生成物中での割合は多くなる。また、必要に応じて、反応系内に生成する臭化水素酸を、窒素ガスを導入することにより取り除くことができる。2−(4−トリル)ピリジンの塩の形成は、臭素化の前に調製しておいても、臭素化と同じ反応系内で調製してもどちらでもよい。
【0039】
モノブロモ体の塩およびジブロモ体の塩における塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0040】
式(IV)におけるXは、ハロゲン原子またはスルホン酸残基を表し、ハロゲン原子としては、好ましくは塩素および臭素が挙げられ、スルホン酸残基としては、好ましくは硫酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの残基が挙げられ、Xとしてより好ましくは、塩素、ベンゼンスルホン酸残基が挙げられる。
【0041】
2−(4−トリル)ピリジンの塩を形成する方法は、特に限定はなく、例えば臭素化の前に調製する場合、2−(4−トリル)ピリジンの溶液に無機酸または有機酸を種々な形態で添加する方法などが挙げられる。該反応溶媒は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールなどの炭素数1〜3の低級アルコール溶媒、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられ、好ましくはクロロベンゼンが挙げられる。
【0042】
該反応溶媒の使用量は、2−(4−トリル)ピリジンに対して、1〜6倍重量、好ましくは3〜4倍重量である。
【0043】
2−(4−トリル)ピリジンの塩形成における無機酸としては、特に限定はなく、好ましくは塩酸および臭化水素酸が挙げられる。
【0044】
2−(4−トリル)ピリジンの塩形成における有機酸としては、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられ、好ましくはベンゼンスルホン酸が挙げられる。また、これら有機酸の水和物または水溶液を使用してもよい。
【0045】
該無機酸および有機酸の使用量は、2−(4−トリル)ピリジンに対して、0.5〜1.5倍mol、好ましくは1.0〜1.1倍molである。
【0046】
また、2−(4−トリル)ピリジンの塩を臭素化と同じ反応系内で調製する場合、臭素化の際に発生する臭化水素酸により2−(4−トリル)ピリジン臭化水素酸塩を得ることができる。
【0047】
上記の様にして得られた2−(4−トリル)ピリジンの塩の臭素化反応について、以下に説明する。
臭素化反応における臭素化剤として、例えば臭素、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモスクシンイミドが挙げられ、好ましくは臭素が挙げられる。
【0048】
該臭素化剤の使用量は、2−(4−トリル)ピリジンに対して、1.0〜3.0倍mol、好ましくは1.3〜2.3倍mol、より好ましくは1.4〜2.3倍molである。
【0049】
臭素化反応における反応溶媒として、不活性溶媒を用いるのが好ましく、具体的にはクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタンが挙げられ、好ましくはクロロベンゼンが挙げられる。
【0050】
該反応溶媒の使用量は、特に限定はなく、2−(4−トリル)ピリジン1molに対して、0.2〜1.0Lであるのが好ましい。
【0051】
臭素化反応における反応温度は、常温から溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは100〜130℃である。
【0052】
臭素化反応における反応時間は、6〜18時間であり、好ましくは10〜14時間である。
【0053】
反応終了後に生成するモノブロモ体およびジブロモ体は塩の形態をとっており、反応液を中和後、通常の操作、例えば抽出、およびカラムクロマトグラフィーにより単離すると、塩の形態をとっていないモノブロモ体およびジブロモ体が得られる。しかし、モノブロモ体およびジブロモ体を4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの合成に使用する際には、塩の形態のままでも使用することができるため、中和や単離の手間が省かれるという点から、モノブロモ体の塩および/またはジブロモ体の塩を用いるのが好ましい。4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの合成にモノブロモ体の塩および/またはジブロモ体の塩を使用する際には、反応液から溶媒を留去することなくそのまま次の工程に使用することができる。
【0054】
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾン(V)の製造方法
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンは、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドとヒドラジンとを反応させて製造することができる。詳細には、例えばヒドラジンを低級アルコールと混合し、これに4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを攪拌下にそのまま添加して反応させるか、または有機溶媒溶液として攪拌下に滴下して反応させることにより行うことができる。この反応は、均一系または均一に近い系で、ヒドラジンを4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドに対して過剰に用いて行うのが好ましい。
【0055】
ヒドラジンは、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒド1molに対して1〜5倍mol、好ましくは1〜3倍mol用いる。また、本発明においてヒドラジンはヒドラジンヒドラートを用いるのが、経済性および安全性の点から好ましい。
【0056】
この反応で用いる低級アルコールとして、炭素数1〜3のアルコールが挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。該低級アルコールの使用量は特に限定はなく、反応後の液が均一系、または均一に近い系になる量であればよい。例えば、80%ヒドラジンヒドラートに対して、メタノールを1〜10倍重量用いるとよい。
【0057】
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを溶解する有機溶媒としては、上記炭素数1〜3の低級アルコール、THFなどのエーテル系溶媒、トルエンなどの芳香族系溶媒、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられ、好ましくは低級アルコールが挙げられる。該有機溶媒としては、操作の煩雑さの点から前工程で抽出に用いた溶媒を用るのが好ましい。該有機溶媒の使用量は、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒド1重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
【0058】
反応温度は、常温から用いる溶媒の沸点の温度範囲であり、好ましくは常温から50℃である。
【0059】
反応は、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの滴下終了と同時、または滴下終了後から3時間程度まで保温をすることにより完結する。反応の終了後、得られた4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンは、例えばそのまま減圧下に濃縮後、または特に低級アルコールを留去後、抽出することにより取り出すことができる。抽出に用いる溶媒として、例えばエーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフランなど)、ハロゲン化芳香族系溶媒(例えば、モノクロロベンゼンなど)が挙げられる。減圧濃縮の際、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンの安定剤として少量のアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムなど)を加えることが好ましい。
【0060】
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジン(VI)の製造方法
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンは、例えば▲1▼4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンをジ−tert−ブチルジカーボネート[〔tBuOC(=O)〕2O](式中、tBuはtert−ブチルを示す)と反応させること(以下、▲1▼の方法ともいう)により、または▲2▼4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドをtert−ブチルカルバゼート[tBuOC(=O)NHNH2](式中、tBuは前記と同義である)と反応させること(以下、▲2▼の方法ともいう)により製造することができる。
【0061】
▲1▼の方法について、以下に詳細に説明する。
▲1▼の方法によるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造は、下記溶媒中、必要に応じて有機塩基または無機塩基の存在下で、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンをジ−tert−ブチルジカーボネートと反応させることにより行うことができる。有機塩基または無機塩基を反応系に添加することにより、反応速度を速めることができる。また、ジ−tert−ブチルジカーボネートは、下記溶媒の溶液として反応系に滴下するのが好ましい。
【0062】
この反応で用いられる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン(THF)、トルエン、モノクロロベンゼン、水、またはこれらの混合溶媒等が挙げられ、THFおよびモノクロロベンゼンが好ましい。
【0063】
該溶媒の使用量は、反応系の攪拌を容易にする量であれば特に限定はなく、例えば4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンに対して1〜50倍重量が好ましい。
【0064】
ジ−tert−ブチルジカーボネートの使用量は、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンに対して1〜3倍molが好ましい。
【0065】
この反応において用いる有機塩基または無機塩基は、触媒量から4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンに対して3倍molの量で用いることができる。該有機塩基としては、例えばトリエチルアミン等の第3級アミンが、該無機塩基としては、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、並びに炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムが挙げられ、通常水溶液の形態で用いられる。
【0066】
反応温度は、常温から溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは常温から60℃である。
【0067】
全反応試薬添加後の反応時間は、30分間から12時間であり、好ましくは1〜3時間である。
【0068】
得られたN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンは、洗浄、再結晶、およびカラムクロマトグラフィーなどの公知の方法により単離、精製することができる。例えば反応液を濃縮後、洗浄することにより精製することができ、また洗浄後、適当な有機溶媒(例えば、トルエンなど)を用いて再結晶をすることにより、さらに精製することができる。
【0069】
▲2▼の方法によるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造は、WO97/40029号に記載の方法、またはこれに準ずる方法によって行うことができる。
▲2▼の方法によるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造は、下記溶媒中、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドをtert−ブチルカルバゼートと反応させることにより行うことができる。詳細には、tert−ブチルカルバゼートの溶液に、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを添加することによりN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンを得ることができる。また、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドは、下記溶媒の溶液として反応系に滴下するのが好ましい。
【0070】
この反応で用いられる溶媒として、例えばメタノール、エタノール、アセトニトリル、THFが挙げられ、好ましくはメタノールが挙げられる。
【0071】
該溶媒は、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドに対して、2〜10倍重量用いるのが好ましい。
【0072】
tert−ブチルカルバゼートの使用量は、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドに対して、1.0〜3.0倍molであり、好ましくは1.2倍molである。
【0073】
反応温度は、室温から70℃であり、好ましくは50℃以下である。
【0074】
全反応試薬添加後の反応時間は、30分〜20時間であり、好ましくは2時間以下である。
【0075】
得られたN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンは、洗浄、再結晶、およびカラムクロマトグラフィーなどの公知の方法により単離、精製することができる。
【0076】
本発明の出発原料である2−(4−トリル)ピリジンの製造方法は、Tetrahedron,54,1289−1298(1998)などに記載されており、例えば電気化学的に得られるトリルジンクハライドを、ニッケル触媒を用いて2−ハロピリジンと反応させることにより、2−(4−トリル)ピリジンを得ることができる。
【0077】
本発明の方法により得られたN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンは、前述の抗HIV薬である化合物(A)の合成中間体として有用であり、例えばWO97/40029号記載の方法により抗HIV薬(A)に誘導することができる。
【0078】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0079】
【実施例】
実施例1
2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジン塩酸塩の製造
100ml容の4つ口フラスコ内に2−(4−トリル)ピリジン塩酸塩5.0g(24.3mmol)、およびクロロベンゼン(15ml)を入れ、110〜120℃に加熱しながら臭素8.5g(53.2mmol)を12時間で滴下した。前記の温度範囲で、1時間加熱攪拌後、反応液を高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)で分析した結果、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンが収率64.5%で生成していることが確認できた。反応液を冷却し、結晶を析出させて濾取し、少量の冷メタノールで洗浄した。1H−NMR分析から2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジン塩酸塩であることを確認した2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジン塩酸塩
1H−NMR(DMSO−d6,ppm)δ:4.83(s,2H),7.73(d,J=8.0Hz,2H),7.94−8.02(m,2H),8.05(d,J=8.0Hz,2H),8.38−8.45(m,1H),8.54−8.58(m,1H),8.91(d,J=5.2Hz,1H)
【0080】
実施例2
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造
実施例1で得られた2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジン塩酸塩の含まれた反応容器に、ヘキサメチレンテトラミン25.5g(181.9mmol)を酢酸(25ml)と脱イオン水(25ml)との混合溶媒に溶解させた混合液を室温で加えた。その後、80〜90℃の温度範囲で1時間加熱攪拌した。この後、反応液をHPLCで分析した結果、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドが収率79.9%で生成していることが確認できた。4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドは、反応系内の酢酸を10M水酸化ナトリウム水溶液(35ml)を用いて中和後、トルエン(40ml)で抽出し溶媒を減圧下で留去したのち、次の反応に用いた。
【0081】
実施例3
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンの製造
100ml容の4つ口フラスコ内に80%ヒドラジンヒドラート1.5g(24.0mmol)およびメタノール(5ml)を入れ攪拌しながら、実施例2で得られた4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒド2.19g(12.0mmol)のメタノール(5ml)溶液を、25℃で1時間かけて滴下した。さらに25℃で1時間攪拌した後、反応液をHPLCで分析した結果、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンが収率85.1%で生成していることが確認できた。反応終了後、反応液に1.0M水酸化ナトリウム水溶液(30ml)を加え、ロータリーエバポレーターを用いてメタノールを留去した。析出した粗結晶を一部取り出し乾燥して1H−NMRを測定した結果、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンであることを確認した。残渣にTHF(60ml)を加え、生成物を抽出し実施例4に用いた。
粗結晶融点:65.7〜67.8℃
IR(KBr)cm-1:3700〜3000,1636,1590,1468,1432,1394,1150,1114,924,840,778,742,726
1H−NMR(CDCl3,ppm)δ:5.60(s,2H),7.22(m,1H),7.65(d,2H),7.74(m,2H),7.78(s,1H),8.00(d,2H),8.69(d,1H)
【0082】
実施例4
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造
100ml容の4つ口フラスコ内に実施例3で得られた4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾン2.2g(12.0mmol)、THF(50ml)、および0.5M水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を入れ、攪拌しながらジ−tert−ブチルジカーボネート5.2g(23.8mmol)のTHF(5ml)溶液を、30℃で20分間で滴下した。その後、反応液を55〜60℃に加熱し、3時間激しく攪拌した。この後、反応液をHPLCで分析した結果、N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンが収率93.2%で生成していることが確認できた。減圧濃縮後の結晶残留物を少量の冷メタノールにより洗浄し、トルエンを用いて再結晶させ、N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンを収量2.1gで得た。得られたN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの各種スペクトルデータを以下に示す。
融点:169.2〜171.5℃
IR(KBr)cm-1:3308,1712,1612,1586,1528,1510,1468,1434,1394,1360,1310,1246,1158,780
1H−NMR(CDCl3,ppm)δ:1.55(s,9H),7.24(m,1H),7.75(m,2H),7.78(d,2H),7.87(s,1H),8.00(d,2H),8.16(s,1H),8.70(m,1H)
【0083】
実施例5
N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造
100ml容の4つ口フラスコ内にtert−ブチルカルバゼート1.87g(14.1mmol)とメタノール(5ml)を入れ、攪拌しながら実施例2で得られた4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒド2.16g(11.8mmol)のメタノール溶液(5ml)を25℃、20分間で滴下した。さらに、50℃で2時間攪拌後、反応液をHPLCで分析した結果、N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンが定量的に生成していることが確認できた。減圧濃縮後の結晶残留物を少量の冷メタノールにより洗浄し、N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンを収量2.3gで得た。得られたN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの各種スペクトルデータは、実施例4と同様であった。
【0084】
実施例6
2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンの製造
100ml容の4つ口フラスコ内に2−(4−トリル)ピリジン5.0g(29.6mmol)、クロロベンゼン(18ml)を加え、110〜120℃に加熱しながら臭素9.4g(59.1mmol)を12時間で滴下した。前記の温度範囲で、1時間加熱攪拌後、反応液をHPLCで分析した結果、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンが収率60.7%で生成していることが確認できた。得られた反応液を冷却し、析出した2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩を濾別した。濾液に5%水酸化ナトリウム水溶液を加え中和し、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。クロロベンゼンを減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル−ヘキサン)に付すことにより2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンを収量1.2gで得た。1H−NMR分析から、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンであることを確認した。
2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン
1H−NMR(CDCl3,ppm)δ:6.70(s,1H),7.23−7.29(m,1H),7.66−7.68(d,2H),7.68−7.78(m,2H),7.98−8.01(d,2H),8.69−8.71(m,1H)
【0085】
実施例7
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造
実施例6で得られた2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン100mg(0.306mmol)を30mlの4つ口フラスコに入れ、クロロベンゼン(0.1ml)に溶解した。室温で、ヘキサメチレンテトラミン192mg(1.37mmol)を酢酸(0.2ml)と脱イオン水(0.2ml)との混合溶媒に溶解させ加えた。その後、80℃で1時間加熱攪拌した。この後、反応液をHPLCで分析した結果、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドが生成していることを確認した。溶媒を除いた液体クロマトグラフィの面積百分率は60.0%であった。
【0086】
実施例8
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造
50mlのフラスコ中に、実施例6の方法により得られた、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩と2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンの塩とを含む反応液(8.9mmol分)を入れ、これをクロロベンゼン(5ml)で懸濁させた。室温で、ヘキサメチレンテトラミン6.4g(45.8mmol)を酢酸(6ml)と脱イオン水(6ml)との混合溶媒に溶解させ加えた。その後、80℃で1時間加熱攪拌した。この後、反応液をHPLCで分析した結果、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドが生成していることを確認した。溶媒を除いた液体クロマトグラフィの面積百分率は70.0%であった。
【0087】
実施例9
2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンベンゼンスルホン酸塩、および2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンベンゼンスルホン酸塩の製造
水分離器を取りつけた300ml容の4つ口フラスコ内に2−(4−トリル)ピリジン20.0g(0.118mol)、クロロベンゼン(100ml)、およびベンゼンスルホン酸1水和物20.82g(0.118mol)を仕込み、加熱した。90℃付近から水が水分離器に留出してきた。このまま水を留出しながら、塔頂の温度が131℃に達するまで加熱を続けた。次に、この反応マスに、臭素26.4g(0.165mol)を120〜130℃で8時間かけて滴下した。その後、前記の温度範囲で4時間加熱攪拌後、反応液をHPLCで分析した結果、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンが収率68.89%、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンが収率19.49%で生成していることが確認できた。この反応マスはこのまま次の反応に用いた。また、1H−NMR分析から、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンベンゼンスルホン酸塩、および2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンベンゼンスルホン酸塩の生成を確認した。
2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンベンゼンスルホン酸塩
1H−NMR(CDCl3,ppm)δ:4.575(s,2H),7.03−7.05(m,1H),7.35−7.42(m,3H),7.63(d,J=8Hz,2H),7.80−7.87(m,2H),7.88−8.05(m,1H),7.99(d,J=8Hz,2H),8.21−8.24(m,1H),8.50−8.56(m,1H)
2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンベンゼンスルホン酸塩
1H−NMR(CDCl3,ppm)δ:6.886(s,1H),7.03−7.05(m,1H),7.35−7.42(m,3H),7.63(d,J=8Hz,2H),7.8−8.07(m,1H),7.88−8.07(m,1H),7.99(d,J=8Hz,2H),8.21−8.24(m,1H),8.49−8.6(m,1H)
【0088】
実施例10
4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの製造
実施例9で得られた2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンベンゼンスルホン酸塩および2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンベンゼンスルホン酸塩を含有する反応容器に、室温で、ヘキサメチレンテトラミン33.08g(0.236mol)、酢酸ナトリウム19.36g(0.236mol)と脱イオン水80mlとの混合溶液を加えた。その後、90〜95℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液に20%水酸化ナトリウム水溶液50gを添加して中和し、クロロベンゼン層をHPLCで分析した結果、4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドが収率81.8%で生成していることが確認できた。
【0089】
【発明の効果】
本発明により、N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの合成中間体である4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを、新規な化合物である、2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、またはその塩を経由して安価に製造することができる。これにより、N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンから、例えばWO97/40029号記載の方法により、化合物(A)に誘導でき、結果として安価に、且つ容易に抗HIV薬を提供することができる。

Claims (2)

  1. 式(I)
    Figure 0004028945
    で表される2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩、式(II)
    Figure 0004028945
    で表される2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジン、およびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1つを、ヘキサメチレンテトラミンおよび水と反応させて、式(III)
    Figure 0004028945
    で表される4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを製造する工程、
    4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドをヒドラジンと反応させ、式(V)
    Figure 0004028945
    で表される4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンを製造する工程、
    および4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンを式[〔tBuOC(=O)〕2O](式中、tBuはtert−ブチルを示す)で表されるジ−tert−ブチルジカーボネートと反応させ、式(VI)
    Figure 0004028945
    (式中、tBuはtert−ブチルを示す)
    で表されるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンを製造する工程、
    を包含することを特徴とする、N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造方法。
  2. 式(I)
    Figure 0004028945
    で表される2−(4−ブロモメチルフェニル)ピリジンの塩および/または式(II)
    Figure 0004028945
    で表される2−(4−ジブロモメチルフェニル)ピリジンの塩を、ヘキサメチレンテトラミンおよび水と反応させて、式(III)
    Figure 0004028945
    で表される4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを製造する工程、
    4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドをヒドラジンと反応させて、式(V)
    Figure 0004028945
    で表される4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンを製造する工程、
    および4−(ピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドヒドラゾンを式[〔tBuOC(=O)〕 2 O](式中、tBuはtert−ブチルを示す)で表されるジ−tert−ブチルジカーボネートと反応させて、式(VI)
    Figure 0004028945
    (式中、tBuはtert−ブチルを示す)
    で表されるN−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル )フェニルメチリデン]ヒドラジンを製造する工程、
    を包含することを特徴とする、N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−[4−(ピリジン−2−イル)フェニルメチリデン]ヒドラジンの製造方法。
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