JP4028758B2 - 重荷重用ラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイドウォール上領域に所定形状の飾りリブを設けることにより、サイドウォール部のたわみ感を減じた重荷重用ラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、トラック、バス用などの重荷重用ラジアルタイヤでは、一般に、図3に略示するように、正規内圧を充填した状態において、トレッド端Ptからタイヤ最大巾点Pmに至るサイドウォール上領域Yuを、トレッド端Ptからのびる内膨らみの上円弧基準曲線KUと、タイヤ最大巾点を通りかつ前記上円弧基準曲線KUに変曲点Paで交わる外膨らみの下円弧基準曲線KLとからなる基準曲線Kに沿って形成する場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような基準曲線Kのタイヤでは、前記上円弧基準曲線KUによって下円弧基準曲線KLの外膨らみの度合いが誇張されるため、負荷荷重時のサイドウォール部のたわみ量が、実際よりも大きく感じられる。その結果、運転者に対し、タイヤが低内圧状態である或いは過積載状態であるなどの誤った不安感を与える傾向が強くなり、タイヤ性能への信頼性を減じ、運転者に適切な運転操作を発揮させる妨げとなる。又タイヤが過内圧気味で使用される傾向となり、操縦安定性等のタイヤ本来の性能が充分に発揮されないという問題も生じる。
【0004】
そこで本発明は、サイドウォール上領域に、所定形状の飾りリブを設けることを基本として、サイドウォール部のたわみ感を減じて、低内圧、過積載等への不安感をなくすことができ、タイヤ性能への適正な信頼性を確保し、運転者に適切な運転操作を発揮させうるとともに、タイヤが過内圧気味で使用されるのを抑制しうる重荷重用ラジアルタイヤの提供を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、正規リムにリム組しかつ正規内圧を充填した状態でのタイヤ子午断面において、トレッド端からタイヤ最大巾点に至るサイドウォール上領域の基準曲線を、前記トレッド端からのびかつタイヤ外方に中心を有する内膨らみの上円弧基準曲線KUと、タイヤ最大巾点を通りかつ前記上円弧基準曲線KUに変曲点Paで交わる外膨らみの下円弧基準曲線KLとで形成した重荷重用ラジアルタイヤであって、
前記サイドウォール上領域に、前記変曲点Paからタイヤ軸方向外方に突出する上点Pbから半径方向内方の下点Pcまで前記下円弧基準曲線KLと平行にのびる外膨らみ線RA、前記上点Pbと前記上円弧基準曲線KUとを継ぐ上継ぎ線RB、及び前記下点Pcと下円弧基準曲線KLとを継ぐ下継ぎ線RCによって囲まれかつタイヤ周方向にのびる飾りリブを設けるとともに、
前記飾りリブの前記上点Pbと下点Pcとを通る直線の、タイヤ軸方向に対するタイヤ軸方向内側の傾き角度αを60〜80°、
かつ前記上点Pbと下点Pcとの間の半径方向の距離Lbcを、前記タイヤ最大巾点とトレッド端との間の半径方向の距離L0の0.15〜0.40倍としたことを特徴としている。
【0006】
請求項1の発明では、前記上点Pbは、前記変曲点Paを通るタイヤ軸方向線上に位置し、かつ前記下円弧基準曲線KLは、前記タイヤ最大巾点を通るタイヤ軸方向線上に中心を有する円弧曲線からなることを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明では、前記上継ぎ線RBは、前記上円弧基準曲線KUに接しかつタイヤ外方に中心を有する曲率半径rbの内膨らみの円弧曲線からなり、かつ下継ぎ線RCは、前記下円弧基準曲線KLに接しかつタイヤ外方に中心を有するとともに曲率半径rcを前記曲率半径rbよりも小とした内膨らみの円弧曲線からなることを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明では、前記変曲点Paと前記上点Pbとの間のタイヤ軸方向の距離Labは、タイヤ最大巾点とトレッド端との間の半径方向の前記距離L0の0.02〜0.12倍であることを特徴としている。
【0009】
なお本明細書において、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格が定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim" を意味する。また前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の重荷重用ラジアルタイヤが、正規リムにリム組されかつ正規内圧を充填した状態(正規内圧状態という場合がある)でのタイヤ子午断面図であり、図2はその主要部の拡大図である。
【0011】
図1において、重荷重用ラジアルタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の外側に配されるベルト層7とを具える。
【0012】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90度の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の周りを内から外に折り返して係止される折返し部6bを有する。そして該プライ本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5から半径方向外方にのびるビードエーペックスゴム8が配置され、ビード部4からサイドウォール部3にかけて補強している。
【0013】
前記ベルト層7は、3枚以上のベルトプライからなり、本例では、スチールコード等のベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°の角度で配列した半径方向最内の第1のベルトプライ7Aと、タイヤ周方向に対して例えば10〜35°の小角度で配列する第2〜4のベルトプライ7B、7C、7Dとの4枚構造の場合を例示している。なおベルト層7は、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けることにより、ベルト剛性を高め、トレッド部2を、その略全巾に亘りタガ効果を有して補強している。
【0014】
又本実施形態のタイヤ1では、前記正規内圧状態でのタイヤ子午断面において、トレッド端Ptからタイヤ最大巾点Pmに至るサイドウォール上領域3Uの輪郭形状が、前記トレッド端Ptからのびかつタイヤ外方に中心を有する内膨らみの上円弧基準曲線KUと、タイヤ最大巾点Pmを通りかつ前記上円弧基準曲線KUに変曲点Paで交わる外膨らみの下円弧基準曲線KLとからなる基準曲線Kに沿って形成される。
【0015】
なお前記下円弧基準曲線KLは、タイヤ最大巾点Pmを通るタイヤ軸方向線上に中心を有する円弧曲線からなり、その曲率半径r1は、前記タイヤ最大巾点Pmとトレッド端Ptとの間の半径方向の距離L0よりも大であり、本例では、前記曲率半径r1が前記距離L0の1.1〜1.2倍の場合を例示している。又前記上円弧基準曲線KUの曲率半径r2は、前記曲率半径r1よりも大、好ましくは曲率半径r1の1.5倍以上としている。
【0016】
そして、このような基準曲線Kを具えたタイヤにおいて顕著となるサイドウォール部でのたわみ感の悪化を抑えるために、本発明では、前記サイドウォール上領域3Uに、前記基準曲線Kから突出するとともにタイヤ周方向に連続してのびる所定の飾りリブ10を形成してる。
【0017】
該飾りリブ10は、図2に拡大して示すように、前記変曲点Paからタイヤ軸方向外方に突出する上点Pbから半径方向内方の下点Pcまで前記下円弧基準曲線KLと平行にのびる(即ち下円弧基準曲線KLと同心円をなす)外膨らみ線RA、前記上点Pbと前記上円弧基準曲線KUとを継ぐ上継ぎ線RB、及び前記下点Pcと下円弧基準曲線KLとを継ぐ下継ぎ線RCによって囲まれる。このとき、前記上点Pbは、前記変曲点Paを通るタイヤ軸方向線上に位置する。
【0018】
ここで、前記飾りリブ10において重要なことは、
▲1▼ 前記上点Pbと下点Pcとを通る直線の、タイヤ軸方向に対するタイヤ軸方向内側の傾き角度αを、60〜80°の範囲とすること;および
▲2▼ 前記上点Pbと下点Pcとの間の半径方向の距離Lbcを、前記距離L0の0.15〜0.40倍の範囲とすることである。
【0019】
このように構成した飾りリブ10は、
・ 前記変曲点Paを覆うため、下円弧基準曲線KLの外膨らみの度合いが、前記上円弧基準曲線KUによって誇張されるのを抑える;
・ 前記下円弧基準曲線KLの露出する領域が、飾りリブ10からタイヤ最大巾点Pmまでに制限されるため、下円弧基準曲線KUの外膨らみ量を減少して見せる;
・ 前記傾き角度αが60〜80°と大きいため、前記外膨らみ線RAを立てて見せる;
等の作用が有り、これらの相乗効果によって、サイドウォール部3におけるたわみ感を減じることができ、タイヤが低内圧状態ではないか、或いは過積載状態ではないかといった誤った不安感を運転者に与えるのを抑制できる。その結果、運転者をこのような不安感から解放し、適切な運転操作を発揮させるとともに、タイヤが過内圧状態等で使用されるのを防止できる。
【0020】
なお前記傾き角度αが60°未満、及び前記距離Lbcが0.15×L0未満の場合には、たわみ感の低減効果が充分に発揮されなくなり、又前記傾き角度αが80°を越えると、飾りリブ10の形状が歪となって、タイヤの見映えを損ねることとなる。又前記距離Lbcが0.40×L0を越えると、タイヤ重量及び材料コストの不必要な増加を招く。このような観点から、前記傾き角度αは、65〜75°が好ましく、又前記距離Lbcは前記距離L0の0.2〜0.3倍が好ましい。
【0021】
又たわみ感の低減のために、前記変曲点Paと上点Pbとの間のタイヤ軸方向の距離Labを、前記距離L0の0.02〜0.12倍の範囲とするのも好ましく、0.02倍未満では、飾りリブ10が低すぎて、たわみ感の低減効果が不十分となる。逆に0.12倍を越えると、ゴムボリュームが過大となって、タイヤ重量及び材料コストの不必要な増加を招くとともに、蓄熱量が増しタイヤ耐久性にも悪影響を及ぼす。
【0022】
又このような飾りリブ10では、タイヤの負荷荷重時、前記上継ぎ線RBと上円弧基準曲線KUとの交わり部、及び前記下継ぎ線RCと下円弧基準曲線KLとの交わり部に応力が集中し、クラックなどの亀裂損傷が発生しやすい傾向となる。そのために、本例では、前記上継ぎ線RBを、前記上円弧基準曲線KUに接しかつタイヤ外方に中心を有する内膨らみの円弧曲線、及び下継ぎ線RCを、前記下円弧基準曲線KLに接しかつタイヤ外方に中心を有する内膨らみの円弧曲線で形成し、前記亀裂損傷を抑制している。このとき、前記上継ぎ線RBの曲率半径rbを、下継ぎ線RCの曲率半径rcより大とすることが、たわみ感の低減のために好ましい。
【0023】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0024】
【実施例】
図1の構造をなすタイヤサイズ11R22.5の重荷重用ラジアルタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤのサイドウォール部におけるたわみ感をテストしその結果を表1に記載した。
【0025】
(1)たわみ感;
試供タイヤを、リム(7.50×22.5)、内圧(700kPa)の条件下で荷重(24.52kN)を負荷し、その時のタイヤのたわみ感を、10人の審査人による目視によって従来例を5点とする10点法で官能評価し、その平均点を比較した。点数が大なほどたわみ感が少なく良好である。
【0026】
【表1】
Figure 0004028758
【0027】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、サイドウォール上領域に、所定形状の飾りリブを設け手いるため、サイドウォール部のたわみ感を減じて、低内圧、過積載等への不安感をなくすことができ、タイヤ性能への適正な信頼性を確保し、運転者に適切な運転操作を発揮させうるとともに、タイヤが過内圧気味で使用されるのを抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重荷重用ラジアルタイヤを示す断面図である。
【図2】その主要部を拡大して示す断面図である。
【図3】従来タイヤを示す断面図である。
【符号の説明】
3U サイドウォール上領域
10 飾りリブ
K 基準曲線
Pt トレッド端
Pm タイヤ最大巾点

Claims (3)

  1. 正規リムにリム組しかつ正規内圧を充填した状態でのタイヤ子午断面において、トレッド端からタイヤ最大巾点に至るサイドウォール上領域の基準曲線を、前記トレッド端からのびかつタイヤ外方に中心を有する内膨らみの上円弧基準曲線KUと、タイヤ最大巾点を通りかつ前記上円弧基準曲線KUに変曲点Paで交わる外膨らみの下円弧基準曲線KLとで形成した重荷重用ラジアルタイヤであって、
    前記サイドウォール上領域に、前記変曲点Paからタイヤ軸方向外方に突出する上点Pbから半径方向内方の下点Pcまで前記下円弧基準曲線KLと平行にのびる外膨らみ線RA、前記上点Pbと前記上円弧基準曲線KUとを継ぐ上継ぎ線RB、及び前記下点Pcと下円弧基準曲線KLとを継ぐ下継ぎ線RCによって囲まれかつタイヤ周方向にのびる飾りリブを設けるとともに、
    前記飾りリブの前記上点Pbと下点Pcとを通る直線の、タイヤ軸方向に対するタイヤ軸方向内側の傾き角度αを60〜80°、
    かつ前記上点Pbと下点Pcとの間の半径方向の距離Lbcを、前記タイヤ最大巾点とトレッド端との間の半径方向の距離L0の0.15〜0.40倍とし、
    しかも前記上点Pbは、前記変曲点Paを通るタイヤ軸方向線上に位置し、かつ前記下円弧基準曲線KLは、前記タイヤ最大巾点を通るタイヤ軸方向線上に中心を有する円弧曲線からなることを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ。
  2. 前記上継ぎ線RBは、前記上円弧基準曲線KUに接しかつタイヤ外方に中心を有する曲率半径rbの内膨らみの円弧曲線からなり、かつ下継ぎ線RCは、前記下円弧基準曲線KLに接しかつタイヤ外方に中心を有するとともに曲率半径rcを前記曲率半径rbよりも小とした内膨らみの円弧曲線からなることを特徴とする請求項1記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
  3. 前記変曲点Paと前記上点Pbとの間のタイヤ軸方向の距離Labは、タイヤ最大巾点とトレッド端との間の半径方向の前記距離L0の0.02〜0.12倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
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