JP4027755B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化物表面にシワや亀裂状のくぼみ等を形成することなく硬化し、動きの大きな、または動きの激しい目地に好適に使用される硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性シーリング材は、湿気または酸素により硬化する1液型と、主剤と硬化剤とを混合して使用する2液型とに大別される。
1液型の弾性シーリング材は、使用に際して、計量、混合等の手間を要することなくそのまま目地に打設すればよいが、表面から硬化していくため、深部(内部)まで硬化するのに時間を要する。したがって、動きの大きな目地等に用いると、表面にシワや亀裂を残した状態で硬化する危険性を有するため、一般には、動きの大きな目地に用いることはできない。
2液型の弾性シーリング材は、表層が硬化すると同時に深部(内部)も硬化するため、全体がほぼ均一に硬化するので、表面にシワや亀裂を形成することがなく、動きの大きな目地等に好適に用いられる。しかし、使用に際して、主剤と硬化剤を所定量均一に混合する手間を要する。また、硬化性の更なる向上が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硬化物表面にシワや亀裂状のくぼみ等を形成することなく硬化し、動きの大きな、または動きの激しい目地に好適に用いられる1液型または2液型の硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、2個以上の反応性官能基Aを有するオリゴマーXと、少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を有し、かつ、反応性官能基Aと反応する反応性官能基Bを有するオリゴマーYとの混合物からなる特定の硬化性樹脂組成物が、動きの大きな、または動きの激しい目地においても使用することができる理想的な弾性シーリング材として用いることができることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、
2個以上の反応性官能基Aを有するオリゴマーXと、
少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を有し、かつ、反応性官能基Aと反応しうる反応性官能基Bを有するオリゴマーYと
を混合してなる硬化性樹脂組成物であって、
前記反応性官能基AおよびBが、一方がイソシアネート基であり、他方がオキサゾリジン基であり、
該反応性官能基AとBとが、該加水分解性ケイ素基の反応より優先して反応し、かつ、
該反応性官能基AとBとのモル比が0.5〜1.5であること、および、オリゴマーXとオリゴマーYとのモル比が0.25〜1.5であることの両方を満たす硬化性樹脂組成物を提供する。
【0006】
ここで、反応性官能基AとBが、加水分解性ケイ素基の反応より優先して反応するとは、個々の官能基それぞれの間の化学的反応性のみならず、本発明の硬化性樹脂組成物の使用環境における物理的、化学的な反応条件下で、優先して反応することをいう。例えば、反応促進剤、触媒等の添加によることもできる。
【0007】
前記オリゴマーXが、2個以上の前記反応性官能基Aを分子末端に有し、重量平均分子量が300〜20,000であり、
前記オリゴマーYが、加水分解性ケイ素基として、アルコキシシリル基および/またはオキシムシリル基を有し、かつ、
オリゴマーXの主鎖が下記繰り返し単位群(1)のうち少なくとも1種の繰り返し単位を含むこと、および、オリゴマーYの主鎖が下記繰り返し単位群(2)のうち少なくとも1種の繰り返し単位を含むことのうち少なくとも一方を満たすのが好ましい。
【0008】
繰り返し単位群(1):
−R′−O−R″−
−R′−OCO−R″−
−R′−CO−
−OCONH−R′−NHCOO−
(上記式中、R′およびR″はそれぞれ炭素数1〜20の2価の有機基であり、R′とR″とは同一であっても異なっていてもよい。)
【0009】
繰り返し単位群(2):
−R′−
−R′−O−
−R′−OCO−
−OCONH−R′−NHCOO−
(上記式中、R′は炭素数1〜20の2価の有機基である。)
【0010】
前記オリゴマーXの主鎖が前記繰り返し単位群(1)から選ばれる2種以上の繰り返し単位のブロック共重合体からなること、および、前記オリゴマーYの主鎖が前記繰り返し単位群(2)から選ばれる2種以上の繰り返し単位のブロック共重合体からなることのうち少なくとも一方を満たすのが好ましい態様の一つである。
【0011】
前記反応性官能基AおよびBが、いずれもイソシアネート基であるのが好ましい態様の一つである。
【0012】
前記反応性官能基AおよびBが、一方がイソシアネート基であり、他方がオキサゾリジン基であるのが好ましい態様の一つである。この場合、更に、下記オキサゾリジン開環促進剤(1)および/または(2)を含有するのが好ましい。
【0013】
オキサゾリジン開環促進剤(1):オルトギ酸エステル、および/または、シリルエステル基を有する加水分解性エステル化合物
オキサゾリジン開環促進剤(2):p−トルエンスルホニルイソシアネートと、酸素原子含有有機化合物および/または硫黄原子含有有機化合物との、混合物および/または付加物
【0014】
更に、シラノール縮合触媒を含有するのが好ましい。
【0015】
更に、充填剤、可塑剤、老化防止剤および揺変性付与剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有するのが好ましい。
【0016】
本発明の硬化性樹脂組成物(以下「本発明の組成物」ともいう。)は、2個以上の反応性官能基Aを有するオリゴマーXと、少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を有し、かつ、反応性官能基Aと反応しうる反応性官能基Bを有するオリゴマーYとを混合してなるを混合してなる。
このオリゴマーXと、オリゴマーYとの混合物である本発明の組成物が湿気にさらされると、まず、オリゴマーXの有する反応性官能基Aと、オリゴマーYの有する反応性官能基Bとが反応し、湿気(水分)が混合物の内部に浸入していくにつれて、少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を有するプレポリマーが逐次合成されていく。
ついで、湿気(水分)が内部まで浸透し、混合物のほぼ全体において上記プレポリマーの合成反応が起こった後に、混合物の全体で(表面近くにおいても深部においても)、合成されたプレポリマーの有する加水分解性ケイ素基の湿気(水分)による縮合反応が起こり、弾性体として硬化する。
【0017】
このように、本発明の組成物においては、加水分解性ケイ素基の縮合反応よりも、反応性官能基AとBとの反応が優先して起こるように設計されている。
【0018】
加水分解性ケイ素基を少なくとも1個有する有機重合体等を主成分とする従来の1液型の弾性シーリング材においては、加水分解性ケイ素基の縮合反応という1種のみの反応が、水分が浸透するのにともなって、表面から深部に向かって起こり、硬化する。
これに対して、上述したように、本発明の組成物が湿気にさらされると、まずプレポリマー合成反応、ついで、加水分解性ケイ素基の縮合反応というように、2種の反応が段階的に起こり、硬化する。そして、加水分解性ケイ素基の縮合反応の速度は、加水分解性ケイ素基の反応性に依存し、表面から浸透する水分の量には依存しない。このため、1液型の本発明の組成物では、組成物全体で硬化反応が起こるため、従来のように表面のみ硬化した状態が続くということがなく、動きの大きな目地等に用いても、硬化物の表面にシワやくぼみ等を形成することがなく、硬化性にも優れる。また、2液型の本発明の組成物は、従来の2液型の弾性シーリング材用組成物よりも、硬化性、特に深部硬化速度に優れ、硬化物表面にシワ等ができることがない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、オリゴマーX(以下、単に「X」ともいう。)と、オリゴマーY(以下、単に「Y」ともいう。)とを混合してなる。
【0020】
本発明に用いられるXは、2個以上の反応性官能基Aを有するオリゴマーである。
Xの主鎖は、2価の有機基であれば特に限定されず、O、直鎖のまたは分岐を有するアルキレン基、ウレタン結合等のNを有する基等を1種以上含んでいてもよい。中でも、下記繰り返し単位群(1)のうち少なくとも1種の繰り返し単位を含むのが好ましい。
繰り返し単位群(1):
−R′−O−R″−
−R′−OCO−R″−
−R′−CO−
−OCONH−R′−NHCOO−
【0021】
上記式中、R′およびR″はそれぞれ炭素数1〜20の2価の有機基であり、R′とR″とは同一であっても異なっていてもよい。
R′およびR″としては、炭素数1〜14の直鎖のまたは分岐を有するアルキレン基が好ましいが、ブタジエン、イソプレン等の二重結合を2個以上有するポリエン化合物から2個の水素原子を除いたものであってもよい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基が挙げられる。
【0022】
上記のような繰り返し単位を含むXの主鎖の骨格構造としては、例えば、ポリオキシプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンが挙げられる。
【0023】
Xの有する反応性官能基Aは、湿気に反応して、付加反応、縮合反応、開環反応、開環した化合物との縮合反応等を起こす官能基である。例えば、イソシアネート基、オキサゾリジン基、エポキシ基が挙げられる。中でも、イソシアネート基、オキサゾリジン基が好ましい。これらを用いると、後述のYの有する加水分解性ケイ素基のシラノール縮合反応よりも優先して、Yの有する反応性官能基Bとの反応が起こるようにすることが容易となる。オキサゾリジン基としては、下記式で表されるオキサゾリジン基が好ましい。
【0024】
【化1】
Figure 0004027755
【0025】
上記式中、R1 は、炭素数2または3の2価の炭化水素基を表し、炭素数2の炭化水素基であるのが好ましい。R2 およびR3 は、それぞれ独立に水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基であってもよく、R2 とR3 とが結合して炭素数5〜7の2価の脂肪族炭化水素基を形成していてもよい。中でも、R2 およびR3 がそれぞれ独立に水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜8の直鎖または分岐を有する1価の炭化水素基であり、または、R2 とR3 とが結合して炭素数1〜8の環状の2価の炭化水素基を形成しているのが好ましい。このような炭素数1〜8の炭化水素としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロペンタニル基、シクロヘキサニル基、シクロヘプタニル基が挙げられる。
【0026】
Xの1分子内に2個以上ある反応性官能基Aは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0027】
反応性官能基Aは、Xの1分子中に2個以上、好ましくは2.0〜3.0個存在する。2個未満であると、硬化性が不十分となる場合がある。また、多すぎると、Xと後述のYとから合成されるプレポリマーの構造が密になりすぎ、このプレポリマーから得られる本発明の組成物の硬化物が良好な機械的特性を示さなくなる。
【0028】
反応性官能基Aは、分子末端にあってもよく、内部にあってもよい。2個以上の反応性官能基Aが分子末端にあると、機械的特性に優れるので好ましい。
【0029】
Xの調製は、上述した主鎖を有するオリゴマーに、反応性官能基Aを導入することにより行うことができる。反応性官能基Aを導入する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、イソシアネート基を導入する場合は、分子中にヒドロキシ基、メルカプト基等の官能基を有するオリゴマーに、イソシアネート基を有する化合物を反応させればよい。また、例えば、オキサゾリジン基を導入する場合は、上述のようにして得られるイソシアネート基を有するオリゴマーに、ヒドロキシ基含有オキサゾリジン化合物を付加反応させればよい。
【0030】
Xの重量平均分子量は300〜20,000であるのが好ましく、300〜10,000であるのがより好ましい。上記範囲であると、得られる本発明の組成物の粘度範囲が適当になり、取扱いが容易で、硬化後に良好な弾性を示す。
【0031】
なお、Xは、加水分解性ケイ素基を有しない点で、後述のYとは異なる。
【0032】
本発明において、Xは、上記構造のオリゴマーの1種からなる単一物であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0033】
本発明に用いられるYは、少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を有し、かつ、反応性官能基Aと反応しうる反応性官能基Bを有するオリゴマーである。
Yの主鎖は、2価の有機基であれば特に限定されず、O、直鎖のまたは分岐を有するアルキレン基、ウレタン結合等のNを有する基等を1種以上含んでいてもよい。中でも、下記繰り返し単位群(2)のうち少なくとも1種の繰り返し単位を含むのが好ましい。
繰り返し単位群(2):
−R′−
−R′−O−
−R′−OCO−
−OCONH−R′−NHCOO−
【0034】
上記式中、R′は炭素数1〜20の2価の有機基である。中でも、炭素数1〜14の直鎖のまたは分岐を有するアルキレン基が好ましいが、ブタジエン、イソプレン等の二重結合を2個以上有するポリエン化合物から2個の水素原子を除いたものであってもよい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基が挙げられる。
【0035】
上記のような繰り返し単位を含むYの主鎖の骨格構造としては、例えば、ポリオキシプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンが挙げられる。
【0036】
Yの有する加水分解性ケイ素基は、シラノール縮合反応により架橋可能な官能基であれば特に限定されず、例えば、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基が挙げられる。中でも、アルコキシシリル基、オキシムシリル基が好ましい。具体的には下記式(1)で示されるアルコキシシリル基、下記式(2)で示されるオキシムシリル基が好適に用いられる。
−SiR4 a (OR5)3-a (1)
−SiR4 a (ON=CR6 7)3-a (2)
【0037】
上記式(1)中、R4 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。R5 は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはトリアルキルシリル基を表す。R4 とR5 とは、同一であっても、異なっていてもよい。aは、0〜2の整数を表す。
上記式(2)中、R4 およびaは、上記式(1)におけるのと同様の意味である。R6 およびR7 は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。R6 とR7 とは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0038】
4 、R5 、R6 およびR7 の具体例としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基が、反応活性が高く、好ましい。
【0039】
Yの有する加水分解性ケイ素基が、このような加水分解性ケイ素基であると、原料の入手が容易であるので好ましい。
【0040】
加水分解性ケイ素は、Yの1分子中に1個以上、好ましくは1.1〜5個存在する。上記範囲であると、得られる本発明の組成物の硬化性が良好となり、硬化後に良好な弾性を示す。
【0041】
加水分解性ケイ素は分子末端にあってもよく、内部にあってもよい。分子末端にあると、得られる本発明の組成物が硬化後に、高い強度および伸び、ならびに、良好な弾性を示すので好ましい。
【0042】
Yの有する反応性官能基Bは、上記加水分解性ケイ素基の縮合反応より優先して、上述した反応性官能基Aと、湿気(水分)の存在下、縮合反応または付加反応により結合する官能基であれば、特に限定されない。例えば、イソシアネート基、オキサゾリジン基、ケチミン基、エナミン基が挙げられる。中でも、イソシアネート基、オキサゾリジン基が好ましい。
【0043】
本発明において、反応性官能基AとBとが、「加水分解性ケイ素基の縮合反応より優先して」反応するとは、反応性官能基AとBとの間の反応性と加水分解性ケイ素基の縮合反応の反応性とを官能基の化学的性質のみを考慮して反応性官能基AとBとの間の反応性の方が反応速度が速いことを意味するだけでなく、本発明の組成物の使用環境における物理的および化学的な反応条件下で、例えば、反応促進剤や触媒の存在下で、優先して反応することをも意味する。
【0044】
本発明における反応性官能基AおよびBの好適な組み合わせとしては、▲1▼反応性官能基AおよびBが、いずれもイソシアネート基である組み合わせ、▲2▼反応性官能基Aがイソシアネート基であり、反応性官能基Bがオキサゾリジン基である組み合わせ、▲3▼反応性官能基Aがオキサゾリジン基であり、反応性官能基Bがイソシアネート基である組み合わせが挙げられる。
【0045】
Yの調製は、上述した主鎖を有するオリゴマーに、反応性官能基Bと加水分解性ケイ素基とを導入することにより行うことができる。反応性官能基Bを導入する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、上述したAをオリゴマーに導入する方法で行えばよい。
【0046】
また、加水分解性ケイ素基を導入する方法は、公知の方法を用いることができる。
例えば、分子中に官能基a(例えば、ヒドロキシ基)を有するオリゴマーに、その官能基aと反応しうる官能基b(例えば、イソシアネート基)を2個以上有する有機化合物を反応させ、ついで、得られた反応生成物に反応しないで存在する官能基bに、その官能基bと反応しうる官能基cと加水分解性ケイ素基とを有する化合物(例えば、メルカプトシラン)を反応させる方法が挙げられる。
また、分子中に官能基a(例えば、ヒドロキシ基)を有するオリゴマーに、その官能基aと反応しうる活性基bと不飽和基dとを有する有機化合物を反応させ、ついで、得られた反応生成物の不飽和基dに、加水分解性ケイ素基を有するヒドロシランを反応させる方法が挙げられる。
更に、分子中に官能基a(例えば、ヒドロキシ基)を有するオリゴマーに、その官能基aと反応しうる活性基b(例えば、イソシアネート基)と加水分解性ケイ素基とを有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0047】
Yの重量平均分子量は、特に限定されないが、粘度やXとの相溶性等の点で、1,000〜20,000であるのが好ましく、1,000〜10,000であるのがより好ましい。
【0048】
本発明において、Yは、上記構造のオリゴマーの1種からなる単一物であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0049】
本発明の組成物は、反応性官能基AとBとのモル比が0.5〜1.5、好ましくは0.8〜1.2であること、および、XとYとのモル比が0.25〜1.5、好ましくは0.33〜0.75であることのうち少なくとも一方を満たすように、XとYとを混合して得られる。XとYとをこのように混合すると、湿気(水分)による反応の初期において、2個以上の加水分解性ケイ素基を有するプレポリマーの効率的な合成が可能となり、これにより、得られる本発明の組成物の硬化性が優れたものとなり、かつ、本発明の組成物を1液型とする場合に、貯蔵安定性が良好となる。
【0050】
本発明の組成物は、上述した反応性官能基AおよびBが、一方がイソシアネート基であり、他方がオキサゾリジン基である場合には、上記必須成分のほか、下記オキサゾリジン開環促進剤(1)および/または(2)を含有するのが好ましい。下記オキサゾリジン開環促進剤(1)および/または(2)を含有すると、オキサゾリジン基の湿気(水分)による開環反応が促進され、イソシアネート基との縮合反応が速やかに起こる。
オキサゾリジン開環促進剤(1):オルトギ酸エステル、および/または、シリルエステル基を有する加水分解性エステル化合物
オキサゾリジン開環促進剤(2):p−トルエンスルホニルイソシアネートと、酸素原子含有有機化合物および/またはは硫黄原子含有有機化合物との、混合物および/または付加物
【0051】
オルトギ酸エステルとしては、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチルが挙げられる。
シリルエステル基を有する加水分解性エステル化合物は、シロキサン結合(Si−O−Si)を有する重合エステルと、この構造を有しない単量体エステルとのいずれをも含む。例えば、式(3)および(4)に示す化合物が挙げられる。
【0052】
【化2】
Figure 0004027755
【0053】
10 4-n −Si−(O−CO−R8)n (4)
【0054】
上記式(3)中、R8 は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。加水分解により遊離する酸(R8 COOH)としては、酢酸、プロピオン酸が好ましい。R9 は、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、炭素数1〜3のアルコキシ基であるのが好ましい。R10は、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。mは1以上の整数を表す。
上記式(4)中、R8 は、上記式(3)におけるのと同様の意味である。R10は、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。nは1〜4の整数を表す。
【0055】
シリルエステル基を有する加水分解性エステル化合物が、同一分子内にシリルエステル基を2個以上有する場合は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0056】
オキサゾリジン開環促進剤(1)の各化合物は、加水分解により酸を遊離する化合物である。即ち、オルトギ酸エステルは、加水分解によりギ酸を遊離し、シリルエステル基を有する加水分解性エステル化合物は、加水分解により脂肪酸を遊離する。遊離された酸は、オキサゾリジン基の開環を促進し、これにより、オキサゾリジン基とイソシアネート基との重合が促進される。いずれも、加水分解が起こらなければ酸を遊離しないので、本発明の組成物の貯蔵安定性を損なうことがない。
【0057】
オキサゾリジン開環促進剤(2)に用いられるp−トルエンスルホニルイソシアネートは、ホスゲンを用いたり、ホフマン分解による公知のイソシアネート合成法を用いたりすることによって得ることができるが、住友バイエルウレタン社製のアディティブTi等の市販品を使用することができる。
【0058】
オキサゾリジン開環促進剤(2)に用いられる酸素原子含有有機化合物は、分子中に酸素原子を一つ以上有する有機化合物である。例えば、エポキシ類、エステル類、エーテル類、アセタール類、オルトエステル類、オルトカーボネート類、カーボネート類、アルコール類、カルボン酸類が挙げられる。中でも、エステル類、アセタール類、オルトエステル類が、貯蔵安定性の点で好ましい。
【0059】
具体的には、酢酸メチル、ギ酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル、アクリル酸メチル、ジオクチルフタレート(DOP)、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、ジエチルアセタール、1,3−ジオキソラン、下記式(5)で表されるスピロオルトカーボネート、下記式(6)で表されるビシクロオルトエステル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、ステアリン酸が例示される。
【0060】
【化3】
Figure 0004027755
【0061】
中でも、ギ酸メチル、酢酸メチル、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチルが、貯蔵安定性の点で好ましい。
【0062】
オキサゾリジン開環促進剤(2)に用いられる硫黄原子含有有機化合物は、分子中に硫黄原子を一つ以上有する有機化合物である。例えば、スルフィド類、チオアセタール類、チオケタール類、チオオルトエステル類、チオオルトカーボネート類、チオール類が挙げられる。
具体的には、ジエチルスルフィド、プロピレンスルフィド、チイラン、テトラヒドロチオフェン、プロパンチオール、ベンジルメルカプタンが例示される。中でも、テトラヒドロチオフェン、プロピレンスルフィドが、貯蔵安定性の点で好ましい。
【0063】
オキサゾリジン開環促進剤(2)には、酸素原子含有有機化合物および硫黄原子含有有機化合物の一方の1種以上を用いてもよく、両方の1種以上を併用してもよい。
【0064】
上記p−トルエンスルホニルイソシアネートと、上記酸素原子含有有機化合物および/または硫黄原子含有有機化合物とを混合すると、瞬時に反応し、種々の化合物を生成し、全体として強酸として働く。一般に、酸の添加は貯蔵安定性を損なうが、本発明の組成物において、オキサゾリジン開環促進剤(2)は貯蔵安定性を損なわず、かつ、オキサゾリジン基の開環反応の促進効果が大きい。
【0065】
本発明の組成物における上記オキサゾリジン開環促進剤(1)および/または(2)の含有量は、上記XとYとの合計100質量部に対し、0.01〜10質量部であるのが好ましい。上記範囲であると、Yの有する加水分解性ケイ素基の縮合反応よりも、反応性官能基AとBの反応が十分に優先して起こり、系内でXとYとから優先的にプレポリマーが合成されるとともに、貯蔵安定性を損なわないからである。
【0066】
本発明の組成物は、更に、加水分解性ケイ素基のシラノール縮合反応を促進するシラノール縮合触媒を含有することができる。
シラノール縮合触媒としては、例えば、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズジアルコキサイド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート等のIV価のスズ系化合物;オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ等のII価のスズ系化合物;チタンテトラブトキサイド、チタンジアセチルアセトナート、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、モルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のアミン類およびこれらとカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
特に、有機金属化合物類を単独で用いること、および、有機金属化合物類とアミン類とを併用することが、硬化性の点から好ましい。
【0067】
本発明の組成物における上記シラノール縮合触媒の含有量は、上記XとYとの合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であるのが好ましい。上記範囲であると、得られる本発明の組成物の硬化性が良好となる。
【0068】
本発明の組成物は、更に、充填剤、可塑剤、老化防止剤、揺変性付与剤を含有することができる。
充填剤としては、例えば、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、タルク、カーボン、炭酸カルシウム、ケイソウ土、クレー、酸化チタン、ベントナイト、酸化亜鉛が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの充填剤を用いて、本発明の組成物の硬化物の強度を高めたい場合は、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、タルク、カーボン等の補強性充填剤を、XとYとの合計100質量部に対し、10〜250質量部含有させるのが好ましい。また、これらの充填剤を用いて、低モジュラスで高伸びの硬化物を得たい場合は、炭酸カルシウム、ケイソウ土、クレー、酸化チタン、ベントナイト、酸化亜鉛等の充填剤を、XとYとの合計100質量部に対し、10〜150質量部配合するのが好ましい。
【0069】
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸エステル系、エポキシ系、脂肪酸エステル系、ポリブテン、水添ポリブテン、α−メチルスチレンオリゴマー、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレンが挙げられる。
本発明の組成物に、可塑剤を充填剤とともに用いると、硬化物の伸びを大きくしたり、多量の充填剤を混合したりすることができるため有用である。
【0070】
揺変性付与剤としては、例えば、ディスパロン(楠本化成社製)、アエロジル(日本アエロジル社製)が挙げられる。
本発明の組成物に、揺変性付与剤を含有させると、本発明の組成物を目地に打設する場合、本発明の組成物が垂れることなく塗布厚を保持して硬化することができるので好ましい。
【0071】
本発明の組成物は、その他の添加剤、例えば、老化防止剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、顔料を、本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。
【0072】
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、上記成分を配合し、ミキサー、ロール、ニーダー等を用いて混練するなどの通常の方法を用いることができる。
【0073】
本発明の組成物は、1液型としてもよく、2液型としてもよい。2液型とする場合は、X、Y、充填剤、可塑剤、揺変性付与剤、その他の添加剤とからなる主剤と、シラノール縮合触媒、オキサゾリジン開環促進剤、充填剤、可塑剤、揺変性付与剤、その他の添加剤とからなる硬化剤とに分けて保存し、使用直前に両成分を混合して使用すればよい。
【0074】
本発明の組成物は、上記構成を採ることにより、1液型、2液型のいずれの組成物としても、動きの大きな、または動きの激しい目地においても、硬化後に硬化物表面にシワや亀裂状のくぼみ等を形成することがない。また、2液型の本発明の組成物は、従来の2液型の弾性シーリング材よりも硬化性(特に、深部硬化速度)に優れ、全体の硬化がより速く容易に起こる。更に、本発明の組成物は、主成分であるXおよびYが、高分子化したプレポリマーに比べて粘度が低いので、充填剤、可塑剤、老化防止剤、揺変性付与剤等の添加剤の配合に対する自由度が大きく、2液型とした場合において、主剤と硬化剤とを均一に混合することが容易である。
【0075】
本発明の組成物は、弾性シーリング材として有用であり、電子・電気、土木・建築、自動車等の広範な分野において好適に用いられる。
【0076】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.オリゴマーXの合成
重量平均分子量3000のポリオキシプロピレングリコール(エクセノール3020、旭硝子社製)を、110℃で3時間脱水した後、キシレンジイソシアネート(XDI、タケネート500、武田薬品社製)を、XDI中のNCO基とポリオキシプロピレングリコール中のOH基とがNCO/OH=2.0(当量比)となるような割合で配合し、触媒存在下、窒素気流下、80℃で18時間反応させ、イソシアネート基を有する反応生成物を得た。
得られた反応生成物に、下記式(7)で表されるヒドロキシ基含有オキサゾリジン化合物(N−ヒドロキシエチル−2−(1−メチルブチル)−1,3−オキサゾリジン)を、反応生成物中のNCO基とヒドロキシ基含有オキサゾリジン化合物中のOH基とがNCO/OH=1.0(当量比)となるような割合で配合し、触媒存在下、50℃で1時間反応させ、更に、80℃で8時間反応させて、主鎖がポリオキシプロピレンであり、かつ、オキサゾリジン基を有するオリゴマーX1を得た。
【0077】
【化4】
Figure 0004027755
【0078】
なお、上記式(7)で表されるヒドロキシ基含有オキサゾリジン化合物は、以下の方法により調製した。
1L容の三つ口フラスコにジエタノールアミン100.1g、ベンゼン100mLを入れた。得られた溶液に、2−メチルペンタナール100.2gを滴下した。滴下終了後、三つ口フラスコを湯浴に浸せきさせ、反応混合物を還流条件下で8時間反応させた。更に、反応混合物からベンゼンを留去して、上記式(7)で表されるヒドロキシ基含有オキサゾリジン化合物187gを得た。
【0079】
2.オリゴマーYの合成
(1)重量平均分子量1000のポリエステルジオール(ペスポール900、東亞合成社製)とXDI(タケネート500、武田薬品社製)とを、XDI中のNCO基とポリエステルジオール中のOH基とがNCO/OH=/1(当量比)となるような割合で配合し、触媒存在下、窒素気流下、80℃で5時間反応させて、ポリエステルジオールの両末端にNCO基を導入した。
つぎに、メルカプトシラン(A−189、日本ユニカー社製)を、ポリエステルジオールに導入されたNCO基とメルカプトシランのSH基とがNCO/SH=1/0.5(当量比)となるような割合で配合し、窒素気流下、120℃で48時間反応させて、主鎖がポリエステルであり、加水分解性ケイ素基とNCO基とを有するオリゴマーY1を得た。
(2)メルカプトシランの代わりにフェニルアミノシラン(Y−9669、日本ユニカー社製)を用い、かつ、NCO/NH=1/0.5(当量比)とした以外は、上記(1)と同様の方法により、オリゴマーY2を得た。
【0080】
3.硬化性樹脂組成物の調製
(実施例1)
上述のようにして得られたX1の380gとY1の330gとを混合し、硬化性樹脂組成物1を得た。
(実施例2および3)
第1表に示す割合(質量部)で、硬化性樹脂組成物1に添加剤を添加して、硬化性樹脂組成物とした。
(実施例4)
上述のようにして得られたX1の380gとY2の340gとを混合し、硬化性樹脂組成物2を得た。
(実施例5)
第1表に示す割合(質量部)で、硬化性樹脂組成物2に添加剤を添加して、硬化性樹脂組成物とした。
【0081】
(比較例1)
硬化性樹脂組成物3として、変成シリコーン樹脂(ポリ(メチルジメトキシシリルエチルエーテル)、MSポリマーS203、鐘淵化学工業社製)を用い、これに第1表に示す割合(質量部)で、添加剤を添加して、硬化性樹脂組成物とした。
(比較例2)
重量平均分子量3000のポリオキシプロピレントリオール(エクセノール3030、旭硝子社製)と、重量平均分子量3000のポリオキシプロピレングリコール(エクセノール3020、旭硝子社製)とを質量比が1/3となるように混合した混合ポリオールに、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をMDI中のNCO基と混合ポリオール中のOH基とがNCO/OH=1.5(当量比)となるような割合で配合し、触媒存在下、窒素気流下、80℃で5時間反応させて、ポリエステルジオールの両末端にNCO基を導入し、ウレタンプレポリマーを合成した。このウレタンプレポリマーを硬化性樹脂組成物4として用いた。
【0082】
4.評価
(1)硬化性
各実施例および比較例の硬化性樹脂組成物を、5mm厚の型枠に流し込み、20℃、55%RHの条件下、放置し、2日後、4日後および7日後に、組成物を切断し、目視により硬化性を評価した。
結果を第1表に示す。第1表中、「未硬化」とは、組成物の表面も内部も硬化していないことを表す。「xmm硬化」とは、表面よりxmmまでが硬化しており、更に深部は未硬化であったことを表す。即ち、表面はタックフリーの状態であるが、全体としては完全には硬化しておらず、切断面内に未硬化部分が認められる場合である。「xmm完全硬化」とは、表面よりxmmまで完全に硬化し、内部も完全に硬化していることを表す。
本発明の組成物(実施例1〜5)は、内部まで完全に硬化することが分かる。
【0083】
(2)表面の状態
(1)の試験において、放置7日後に、硬化物の表面にシワ、くぼみ等が形成されていないかを目視で観察した。
本発明の組成物(実施例1〜5)は、いずれも硬化物表面にシワ、くぼみ等が形成されていなかった。これに対して、比較例1および2の組成物は、いずれも硬化物表面にシワ、くぼみ等が形成されていた。
【0084】
【表1】
Figure 0004027755
【0085】
第1表中の添加剤は、以下の通りである。
オキサゾリジン開環促進剤1(オルトギ酸メチル):パーマフローOF、日宝化学社製
オキサゾリジン開環促進剤2(p−トルエンスルホニルイソシアネート):アディティブTi、住友バイエルウレタン社製
シラノール縮合触媒1(オクチル酸スズ):ネオスタンU−28、日東化成社製
シラノール縮合触媒2(4価スズ化合物):No.918、三共有機合成社製なお、オキサゾリジン開環促進剤1および2は、あらかじめ混合してから、他の成分と混合して用いた。
【0086】
【発明の効果】
本発明の組成物は、表面から硬化反応が順次進むのではなく、表面が未硬化である状態の後、組成物全体で硬化が起こるので、動きの大きな、または動きの激しい目地においても、硬化物表面にシワや亀裂状のくぼみ等を形成することなく硬化する。この点で、従来の1液型の弾性シーリング材より優れている。
また、本発明の組成物は、従来の2液型の弾性シーリング材より深部硬化速度に優れる。
したがって、本発明の組成物は、1液型または2液型の弾性シーリング材として有用であり、電子・電気、土木・建築、自動車等の広範な分野に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 2個以上の反応性官能基Aを有するオリゴマーXと、
    少なくとも1個の加水分解性ケイ素基を有し、かつ、反応性官能基Aと反応しうる反応性官能基Bを有するオリゴマーYと
    を混合してなる硬化性樹脂組成物であって、
    前記反応性官能基AおよびBが、一方がイソシアネート基であり、他方がオキサゾリジン基であり、
    該反応性官能基AとBとが、該加水分解性ケイ素基の反応より優先して反応し、かつ、
    該反応性官能基AとBとのモル比が0.5〜1.5であること、および、オリゴマーXとオリゴマーYとのモル比が0.25〜1.5であることの両方を満たす硬化性樹脂組成物。
  2. 前記オキサゾリジン基が下記式で表されるものである請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 0004027755
    (式中、R 1 は炭素数2または3の2価の炭化水素基を表し、R 2 およびR 3 はそれぞれ独立に水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基であり、R 2 とR 3 とが結合して炭素数5〜7の2価の脂肪族炭化水素基を形成してもよい。)
  3. 前記オリゴマーXが、2個以上の前記反応性官能基Aを分子末端に有し、重量平均分子量が300〜20,000であり、
    前記オリゴマーYが、加水分解性ケイ素基として、アルコキシシリル基および/またはオキシムシリル基を有し、かつ、
    オリゴマーXの主鎖が下記繰り返し単位群(1)のうち少なくとも1種の繰り返し単位を含むこと、および、オリゴマーYの主鎖が下記繰り返し単位群(2)のうち少なくとも1種の繰り返し単位を含むことのうち少なくとも一方を満たす請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
    繰り返し単位群(1):
    −R′−O−R″−
    −R′−OCO−R″−
    −R′−CO−
    −OCONH−R′−NHCOO−
    (上記式中、R′およびR″はそれぞれ炭素数1〜20の2価の有機基であり、R′とR″とは同一であっても異なっていてもよい。)
    繰り返し単位群(2):
    −R′−
    −R′−O−
    −R′−OCO−
    −OCONH−R′−NHCOO−
    (上記式中、R′は炭素数1〜20の2価の有機基である。)
  4. 前記オリゴマーXが、イソシアネート基を有するオリゴマーにヒドロキシ基含有オキサゾリジン化合物を付加反応させることによって得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記オリゴマーYが、ヒドロキシ基を有するオリゴマーにイソシアネート基を2個以上有する有機化合物を反応させ、得られた反応生成物にイソシアネート基と反応しうる官能基と加水分解性ケイ素基とを有する化合物を反応させることによって得られるものである請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 更に、下記オキサゾリジン開環促進剤(1)および/または(2)を含有する請求項1〜のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
    オキサゾリジン開環促進剤(1):オルトギ酸エステル、および/または、シリルエステル基を有する加水分解性エステル化合物
    オキサゾリジン開環促進剤(2):p−トルエンスルホニルイソシアネートと、酸素原子含有有機化合物および/または硫黄原子含有有機化合物との、混合物および/または付加物
  7. 更に、シラノール縮合触媒を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
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