JP4027617B2 - 車輌用制動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の制動制御装置に係り、更に詳細にはリニア弁によりホイールシリンダ圧力を増減制御することにより制動制御を行う車輌の制動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の制動制御装置の一つとして、例えば本願出願人の一方の出願にかかる特開平4−63755号公報に記載されている如く、差圧制御弁によりホイールシリンダ圧力を増減制御することによりアンチスキッド制御を行うよう構成された制動制御装置が従来より知られている。
【0003】
かかる制動制御装置によれば、差圧制御弁に対する制御電流を制御することによりホイールシリンダ圧力をリニアに増減制御することができるので、増減圧制御弁が開閉弁であり開閉弁が断続的に開閉制御される場合に比して、制動制御時に発生する異音を低減することができ、またキックバックを低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、ホイールシリンダ圧力をリニアに増減制御する制御弁、特にリニア弁は開閉弁に比して温度変化によるソレノイドの抵抗の変化等に起因する特性の変化、例えば制御弁への指令駆動電流に対する開弁特性の変化が大きいため、リニア弁の状況によってはアンチスキッド制御の初回減圧の如き所定の制動制御に於けるホイールシリンダ圧力の増減制御量が不足することがある。またかかる所定の制動制御に於いてホイールシリンダ圧力の増減制御量が不足することを防止するためには、制御弁の特性のずれが補償されなければならない。
【0005】
しかるに上述の従来の制動制御装置に於いては、制御弁の特性ずれに起因する問題及びその対策については考慮されておらず、従って所定の制動制御時に於けるホイールシリンダ圧力の増減制御量の不足を防止してアンチスキッド制御の如き車輌の制動制御性能を向上させるためには、この点に於いて改善の余地がある。
【0006】
本発明は、ホイールシリンダ圧力をリニアに増減制御するよう構成された従来の車輌の制動制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、ホイールシリンダ圧力をリニアに増減する制御弁としてリニア弁が使用される場合に於いて、所定の制動制御時にリニア弁に対する制御量を変更することにより、リニア弁の特性ずれに拘らず所定の制動制御時にホイールシリンダ圧力を確実に増減制御することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、各車輪に対応して設けられたホイールシリンダに対する作動液体の給排を制御することによりホイールシリンダ圧力を増減するリニア弁と、前記リニア弁を制御することによりホイールシリンダ圧力を制御する制御手段とを有する車輌用制動制御装置に於いて、前記制御手段は前記リニア弁に対する目標制御量を演算する目標制御量演算手段と、前記リニア弁の特性ずれに起因する前記目標制御量と実際の制御量との偏差が減少するよう前記目標制御量を補正することにより前記リニア弁の特性ずれの補償を行う補償手段と、前記補償手段による前記特性ずれの補償が完了していない状況にて所定の制動制御を開始するときには、前記リニア弁の特性ずれに拘らず予め設定された量前記目標制御量を増大変更する制御量変更手段とを有することを特徴とする車輌用制動制御装置(請求項1の構成)によって達成される。
【0008】
上記請求項1の構成によれば、補償手段によるリニア弁の特性ずれの補償が完了していない状況にて所定の制動制御を開始するときには、リニア弁の特性ずれに拘らず予め設定された量目標制御量が増大変更されるので、リニア弁の特性ずれの補償が完了していない状況にて所定の制動制御が開始される場合には、目標制御量が確実に増大変更され、これによりリニア弁の特性ずれに起因してホイールシリンダ圧力の増減制御が不十分になることが確実に防止される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記予め設定された量は一定の値であるよう構成される(請求項2の構成)。
【0011】
請求項2の構成によれば、予め設定された量は一定の値であるので、リニア弁の特性ずれの補償が完了していない状況にて所定の制動制御を開始するときには、目標制御量を確実に一定の値増大変更することが可能になる。
【0012】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記所定の制動制御はアンチスキッド制御であり、前記制御量変更手段はアンチスキッド制御に於ける初回減圧の減圧量が大きくなるよう前記目標制御量を増大変更するよう構成される(請求項3の構成)。
【0013】
一般に、アンチスキッド制御による車輪の過大な制動スリップを確実に低減するためには、アンチスキッド制御の初回減圧に於いてホイールシリンダ圧力が確実に低減されることが重要である。
【0014】
上記請求項3の構成によれば、アンチスキッド制御に於ける初回減圧の減圧量が大きくなるよう目標制御量が増大変更されるので、アンチスキッド制御の初回減圧に於いてホイールシリンダ圧力が確実に低減され、これによりアンチスキッド制御が効果的に達成される。
【0019】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は3の構成に於いて、予め設定された量は車輪の制動状況に応じて可変設定されるよう構成される(好ましい態様1)。
【0020】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は3の構成に於いて、予め設定された量は所定の制動制御の実行時間の経過と共に漸減するよう構成される(好ましい態様2)。
【0021】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、制御手段は目標駆動電流に基づきリニア弁を制御し、目標駆動電流を変更することにより目標制御量を変更するよう構成される(好ましい態様3)。
【0024】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、リニア弁の特性ずれの補償はリニア弁に対する目標駆動電流と実駆動電流との偏差に基づいて行われるよう構成される(好ましい態様)。
【0025】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、目標駆動電流と実駆動電流との偏差は実駆動電流に対する目標駆動電流の比であるよう構成される(好ましい態様)。
【0026】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、補償手段は実駆動電流に対する目標駆動電流の比を所定の時間毎に演算し、複数の前記比の平均値を補償係数として演算し、補償係数により目標駆動電流を補正するよう構成される(好ましい態様)。
【0027】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、補償手段は実駆動電流に対する目標駆動電流の比が所定の許容範囲外であるときには当該比を除外して前記平均値を演算することにより、特性ずれの補償に対する当該比の寄与度合を0に低減するよう構成される(好ましい態様)。
【0028】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様乃至7の何れかの構成に於いて、リニア弁は各車輪に対応して設けられ、特性ずれの補償は全てのリニア弁について行われるよう構成される(好ましい態様)。
【0029】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、各車輪のリニア弁は増圧用のリニア弁と減圧用のリニア弁とよりなるよう構成される(好ましい態様)。
【0030】
尚本願に於いて、「初回減圧」又は「初回の減圧」はアンチスキッド制御が開始される時点の最初の減圧に限らず、その後制動制御モードが保持又は増圧に変化する前に実行される一連の減圧を含むものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0032】
第一の実施形態
図1は本発明による車輌用制動制御装置の第一の実施形態の油圧回路及び電子制御装置を示す概略構成図である。尚図1に於いては、簡略化の目的で各弁のソレノイドの図示は省略されている。
【0033】
図1に於て、10は電気的に制御される油圧式のブレーキ装置を示しており、ブレーキ装置10は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14を有している。ブレーキペダル12とマスタシリンダ14との間にはドライストロークシミュレータ16が設けられている。
【0034】
マスタシリンダ14は第一のマスタシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれ前輪用のブレーキ油圧供給導管18及び後輪用のブレーキ油圧制御導管20の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18及び20の他端にはそれぞれ左前輪及び左後輪の制動力を制御するホイールシリンダ22FL及び22RLが接続されている。
【0035】
ブレーキ油圧供給導管18及び20の途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(マスタカット弁)24F及び24Rが設けられ、電磁開閉弁24F及び24Rはそれぞれ第一のマスタシリンダ室14A及び第二のマスタシリンダ室14Bと対応するホイールシリンダとの連通を制御する遮断装置として機能する。またマスタシリンダ14と電磁開閉弁24RLとの間のブレーキ油圧供給導管20には常閉型の電磁開閉弁26を介してウェットストロークシミュレータ28が接続されている。
【0036】
マスタシリンダ14にはリザーバ30が接続されており、リザーバ30には油圧供給導管32の一端が接続されている。油圧供給導管32の途中には電動機34により駆動されるオイルポンプ36が設けられており、オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ38が接続されている。リザーバ30とオイルポンプ36との間の油圧供給導管32には油圧排出導管40の一端が接続されている。
【0037】
オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32は、油圧制御導管42により電磁開閉弁24Fとホイールシリンダ22FLとの間のブレーキ油圧供給導管18に接続され、油圧制御導管44により右前輪用のホイールシリンダ22FRに接続され、油圧制御導管46により電磁開閉弁24Rとホイールシリンダ22RLとの間のブレーキ油圧供給導管20に接続され、油圧制御導管48により右後輪用のホイールシリンダ22RRに接続されている。
【0038】
油圧制御導管42、44、46、48の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁50FL、50FR、50RL、50RRが設けられている。リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRに対しホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRの側の油圧制御導管42、44、46、48はそれぞれ油圧制御導管52、54、56、58により油圧排出導管40に接続されており、油圧制御導管52、54、56、58の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁60FL、60FR、60RL、60RRが設けられている。
【0039】
リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する増圧制御弁として機能し、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する減圧制御弁として機能し、従ってこれらのリニア弁は互いに共働してアキュムレータ38内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御する増減圧制御弁を構成している。
【0040】
前輪の油圧供給導管18及び右前輪の油圧制御導管44はそれぞれ対応するホイールシリンダ22FL、22FRに近接した位置に於いて接続導管62Fにより互いに接続されている。接続導管62Fの途中には常閉型の電磁開閉弁64Fが設けられ、電磁開閉弁64Fはホイールシリンダ22FLと22FRとの連通を制御する連通制御弁として機能する。
【0041】
同様に、後輪の油圧供給導管20及び右後輪の油圧制御導管48はそれぞれ対応するホイールシリンダ22RL、22RRに近接した位置に於いて接続導管62Rにより互いに接続されている。接続導管62Rの途中には常閉型の電磁開閉弁64Rが設けられ、電磁開閉弁64Rはホイールシリンダ22RLと22RRとの連通を制御する連通制御弁として機能する。
【0042】
図1に示されている如く、第一のマスタシリンダ室14Aと電磁開閉弁24Fとの間のブレーキ油圧制御導管18には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する第一の圧力センサ66が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室14Bと電磁開閉弁24Rとの間のブレーキ油圧制御導管20には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する第二の圧力センサ68が設けられている。第一及び第二のマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2はブレーキペダル12に対する運転者の制動操作力に対応する値として検出される。
【0043】
ブレーキペダル12には運転者の制動操作変位量としてその踏み込みストロークStを検出するストロークセンサ70が設けられ、オイルポンプ34の吐出側の油圧供給導管32には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ72が設けられている。
【0044】
それぞれ電磁開閉弁24F及び24Rとホイールシリンダ22FL及び22RLとの間のブレーキ油圧供給導管18及び20には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FL及び22RL内の圧力Pfl、Prlとして検出する圧力センサ74FL及び74RLが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁50FR及び50RRとホイールシリンダ22FR及び22RRとの間の油圧制御導管44及び48には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FR及び22RR内の圧力Pfr、Prrとして検出する圧力センサ74FR及び74RRが設けられている。
【0045】
電磁開閉弁24F及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、リニア弁50FL、50FR、50RL、50RR、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RR、電磁開閉弁64F及び64Rは、後に詳細に説明する如く電子制御装置76により制御される。電子制御装置76はマイクロコンピュータ78と駆動回路80とよりなっている。
【0046】
各電磁開閉弁、各リニア弁及び電動機34には図1には示されていないバッテリより駆動回路80を経て駆動電流が供給され、特に各電磁開閉弁、各リニア弁及び電動機34に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁24F及び24R、電磁開閉弁64F及び64Rは開弁状態に維持され、電磁開閉弁26、リニア弁50FL、50FR、50RL、50RR、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RRは閉弁状態に維持される(非制御モード)。
【0047】
尚マイクロコンピュータ78は図1には詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
【0048】
マイクロコンピュータ78には、圧力センサ66及び68よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ70よりブレーキペダル12の踏み込みストロークStを示す信号、圧力センサ72よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ74FL〜74RRよりそれぞれホイールシリンダ22FL〜22RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力されるようになっている。
【0049】
またマイクロコンピュータ78には、図には示されていない車輪速度センサ82FL〜82RRより左右前輪及び左右後輪の車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号、前後加速度センサ84より車輌の前後加速度Gxを示す信号、電流計86より各リニア弁に対し通電される実際の駆動電流Imが入力されるようになっている。
【0050】
マイクロコンピュータ78は後述の如く図4に示された制動力制御フローを記憶しており、上述の圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及びストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStに基づき運転者の制動要求量を推定し、推定された制動要求量に基づき車輌の最終目標減速度Gtを演算し、最終目標減速度Gtに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力(図に於いては目標WC圧力という)Pti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、目標ホイールシリンダ圧力Ptiと実際のホイールシリンダ圧力Piとの偏差に基づきリニア弁50FL〜50RR又は60FL〜60RRに対する目標駆動電流Itを演算し、目標駆動電流Itに基づき各リニア弁に駆動電流を通電することにより各車輪のホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力Ptiになるよう制御する。
【0051】
この場合、マイクロコンピュータ78は制動制御モードが増圧モードであるときにはリニア弁50FL、50FR、50RL、50RRの開弁量を目標ホイールシリンダ圧力Ptiに応じて制御し、制動制御モードが減圧モードであるときにはリニア弁60FL、60FR、60RL、60RRの開弁量を目標ホイールシリンダ圧力Ptiに応じて制御し、制動制御モードが保持モードであるときにはリニア弁50FL〜50RR及び60FL〜60RRを閉弁状態に維持する。
【0052】
またマイクロコンピュータ78は後述の如く各車輪速度Vwiに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vbを推定すると共に、各車輪について推定車体速度Vbと車輪速度Vwiとの偏差として制動スリップ量SLi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、制動スリップ量SLi等に基づき各車輪毎にアンチスキッド制御(図に於いてはABS制御という)が必要であるか否かを判定し、アンチスキッド制御が必要であるときには車輌の前後加速度に基づく車輌の減速度Gxb及び制動スリップ量SLiに基づき当該車輪について目標ホイールシリンダ圧力Ptiを演算する。
【0053】
この場合、マイクロコンピュータ78は各車輪について目標ホイールシリンダ圧力Ptiと実際のホイールシリンダ圧力Piとの偏差に基づき対応するリニア弁に対する目標駆動電流Itを演算し、リニア弁を目標駆動電流Itに基づき制御することによって各車輪のホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力Ptiになるよう制御し、これによりアンチスキッド制御を行って制動スリップ量を低減する。
【0054】
特に図示の実施形態に於いては、マイクロコンピュータ78は車輌の減速度Gxb若しくは制動スリップ量SLiが大きいほどホイールシリンダ圧力の目標増減圧勾配ΔPti(i=fl、fr、rl、rr)の大きさが大きくなるよう車輌の減速度Gxb及び制動スリップ量SLiに基づきホイールシリンダ圧力の目標増減圧勾配ΔPtiを演算し、前回の目標ホイールシリンダ圧力をPtfiとし図2に示されたルーチンのサイクルタイムをΔTとして、アンチスキッド制御の開始時には下記の式1に従って、またアンチスキッド制御の開始時以降はアンチスキッド制御の終了条件が成立するまで下記の式2に従って当該車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiを演算する。
Pti=Pi+ΔPtiΔT……(1)
Pti=Ptfi+ΔPtiΔT……(2)
【0055】
またマイクロコンピュータ78は、後に詳細に説明する如く、各リニア弁についてリニア弁に対する目標駆動電流It及び実駆動電流Imに基づきリニア弁の温度変化などに起因するリニア弁の特性ずれを補償するための補償係数Rrを演算し、目標駆動電流Itを補償係数Rrにて補正することにより補正後の目標駆動電流Itaを演算し、リニア弁のソレノイドのデフォルトの抵抗値をRsとし、図には示されていない電源の電圧をEbとし、スイッチング周波数をFsとして下記の式3に従ってデューティオン時間Donを演算し(図参照)、デューティオン時間Donを示す信号を駆動回路80のFETMOSSへ出力することにより、対応するリニア弁を補正後の目標駆動電流Itaに基づき駆動する。
Don={Ita/(Eb/Rs)}/Fs ……(3)
【0056】
またマイクロコンピュータ78は、後に詳細に説明する如く、リニア弁の特性ずれの補償制御が完了していない状況に於いて、アンチスキッド制御の初回の減圧制御が行われるときには、ホイールシリンダ圧力の減圧が不足することがないよう、リニアに対する目標駆動電流Itに所定量αを加算することにより目標駆動電流Itを増大変更し、増大変更後の目標駆動電流Itaに基づきリニア弁を駆動する。
【0057】
更に電子制御装置76はアキュムレータ内の圧力が予め設定された下限値以上であって上限値以下の圧力に維持されるよう、圧力センサ72により検出されたアキュムレータ圧力Paに基づき必要に応じて電動機34を駆動してオイルポンプ36を作動させる。
【0058】
次に図2に示されたフローチャートを参照して図示の第一の実施形態に於ける制動制御ルーチンについて説明する。図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0059】
まずステップ10に於いてはそれぞれ圧力センサ66及び68により検出された第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては例えば踏み込みストロークStに基づき目標減速度Gstが演算され、第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の平均値Pmaに基づき目標減速度Gptが演算され、目標減速度Gst及びGptに基づき車輌の最終目標減速度Gtが演算され、最終目標減速度Gtに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算される。尚図2には示されていないが、制御の開始時には電磁開閉弁26が開弁され、電磁開閉弁24F、24R、64F、64Rが閉弁され、電動機34によるオイルポンプ36の駆動が開始される。
【0060】
ステップ30〜160は例えば左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の順に各車輪について時系列的に実行され、ステップ30に於いては当技術分野に於いて公知の要領にてアンチスキッド制御が必要であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ100へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ40へ進む。
【0061】
ステップ40に於いては推定車体速度Vb及び車輪速度Vwiに基づき車輪の制動スリップ量SLiが演算されると共に、車輪加速度、例えば車輪速度Vwiの時間微分値Vwdiと車輪の制動スリップ量SLiとに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて制動制御モードが増圧モード、保持モード、減圧モードの何れかに決定される。
【0062】
ステップ50に於いては車輌の前後加速度Gxに基づき演算される車輌の減速度Gxbに基づいて図には示されていないマップ群より目標増減圧勾配ΔPti演算用マップが選択されると共に、選択されたマップより制動制御モード及び車輪の制動スリップ量SLiに基づきホイールシリンダ圧力の目標増減圧勾配ΔPtiが演算される。
【0063】
この場合目標増減圧勾配ΔPtは、制動制御モードが増圧モードであるときには、車輌の減速度Gxb若しくは車輪の制動スリップ量SLiが大きいほど正の大きい値に演算され、制動制御モードが減圧モードであるときには、車輌の減速度Gxb若しくは車輪の制動スリップ量SLiが大きいほど負の小さい値に演算され、制動制御モードが保持モードであるときには、0に設定される。
【0064】
ステップ60に於いてはアンチスキッド制御の開始時であるか又は制動制御モードが例えば減圧モードより増圧モードの如く変化したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ70に於いて目標ホイールシリンダ圧力Ptiが上記式1に従って演算され、否定判別が行われたときにはステップ80に於いて目標ホイールシリンダ圧力Ptiが上記式2に従って演算され、ステップ90に於いては上記ステップ110又は120に於いて演算された目標ホイールシリンダ圧力PtiがRAMの如きメモリに記憶される。
【0065】
ステップ100に於いては目標ホイールシリンダ圧力Ptiと実際のホイールシリンダ圧力Piとの偏差に基づき駆動制御が必要なリニア弁50FL〜50RR又は60FL〜60RRに対する目標駆動電流Itが演算される。
【0066】
ステップ130に於いては図3に示されたフローチャートに従って各リニア弁について特性ずれの補償処理が行われることにより、補正後の目標駆動電流Itaが演算され、ステップ160に於いては図4に示されたフローチャートに従ってアンチスキッド制御の初回減圧の減圧量増大処理が行われ、ステップ180に於いては補正後の目標駆動電流Itaに基づき対応するリニア弁に駆動電流が通電されることにより、ホイールシリンダ圧力Piが目標ホイールシリンダ圧力Ptiになるようリニア弁50FL〜50RR又は60FL〜60RRが制御され、しかる後ステップ10へ戻る。
【0067】
次に図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於けるリニア弁の特性ずれ補償制御ルーチンについて説明する。尚この特性ずれ補償制御はリニア弁50FL〜50RR及び60FL〜60RRの全てについて実行される。
【0068】
まずステップ132に於いてはリニア弁50FL〜50RR等にて構成された図1に示された油圧回路や圧力センサ74FL〜74RR等のセンサが正常であるか否かの判別、例えばリニア弁等に断線やショートの如き電気的故障が生じていないか否かの判別や、油圧回路にリークや栓塞の如き異常が生じてはいないか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ150へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ134へ進む。
【0069】
ステップ134に於いては駆動電流Imが正常であるか否かの判別、例えば検出された駆動電流Imが所定の設計公差内にあり電流計86に断線や抵抗変化の如き異常が生じてはいないか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ152へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ236へ進む。
【0070】
ステップ136に於いては3サイクル前の後述のステップ150又は152に於いて演算された補正後の目標駆動電流をIta(n-3)とし、現サイクルの実駆動電流ImをIm(n)として、目標駆動電流Ita(n-3)が0を越えており且つ実駆動電流Im(n)が0を越えているか否かの判別、即ちリニア弁に駆動電流が通電されている状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ152へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ138へ進む。
【0071】
ステップ138に於いては下記の式4に従って現サイクルの実駆動電流Im(n)に対する3サイクル前の目標駆動電流Ita(n-3)の比として駆動電流比Roが演算される。尚ステップ136及び138に於いて3サイクル前の目標駆動電流Ita(n-3)が使用されるのは電流計86により検出される実駆動電流Imのフィルタ処理によ演算遅れを考慮したことによる。
Ro=Ita(n-3)/Im(n) ……(4)
【0072】
ステップ140に於いては周囲温度やリニアソレノイド弁に対する通電時間等に基づき特性ずれ補償制御対象のリニア弁のソレノイドの温度変化が推定され、推定された温度変化に基づき駆動電流比Roの許容範囲が決定されると共に、上記式3に従って演算された駆動電流比Roが許容範囲内にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ152へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ142に於いてステップ140に於ける肯定判別の回数CTが1インクリメントされる。
【0073】
ステップ144に於いては回数CTが所定の回数N(例えば100〜200程度の正の一定の整数)以上であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ152へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ146に於いて最新のN回分の駆動電流比Roの和Rsumが演算され、ステップ148に於いて下記の式5に従って駆動電流に対する補償係数Rrが演算され、RAMの如きメモリーに記憶される。
Rr=Rsum/N ……(5)
【0074】
ステップ150に於いては駆動電流比Roの和Rsumが0にリセットされると共に、回数CTが0にリセットされ、ステップ152に於いては補正後の目標駆動電流Itaが下記の式6に従って現サイクルの目標駆動電流It(n)と補償係数Rrとの積として演算され、しかる後ステップ160へ進む。
Ita(n)=It(n)・Rr ……(6)
【0075】
次に図4に示されたフローチャートを参照して図2のステップ160に於いて実行されるアンチスキッド制御の初回減圧の減圧量増大処理ルーチンについて説明する。
【0076】
まずステップ162に於いては現在の制動制御がアンチスキッド制御の初回減圧時であるか否かの判別、即ち減圧モードにてアンチスキッド制御が開始される状況又はその後の制動制御モードが減圧モードより保持モード又は増圧モードに変化していない状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ180へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ164へ進む。
【0077】
ステップ164に於いてはアンチスキッド制御の減圧に使用されるリニア弁の特性ずれの補償が完了しているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ180へ進み、否定判別が行われたときにはステップ160へ進む。尚このステップに於ける判別は上述のステップ148に於いて補償係数Rrが安定的な値として演算されたか否か、例えば回数CTが3N以上であるか否かの判別により行われてよい。
【0078】
ステップ166に於いてはアンチスキッド制御が開始された時点より予め設定された所定の時間が経過したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ180へ進み、否定判別が行われたときにはステップ168に於いてαを正の定数としてリニア弁に対する目標駆動電流ItaがIta+αに増大変更され、しかる後ステップ180へ進む。
【0079】
かくして図示の第一の実施形態によれば、ステップ20に於いて運転者の制動操作量に応じて各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算され、アンチスキッド制御が必要であるときにはステップ30に於いて肯定判別が行われることにより、ステップ40に於いて制動制御モードが増圧モード、減圧モード、保持モードの何れかに決定される。
【0080】
そしてステップ50に於いて車輌の減速度Gxb、制動制御モード及び車輪の制動スリップ量SLiに基づきホイールシリンダ圧力の目標増減圧勾配ΔPtiが演算され、アンチスキッド制御の開始時である又は制動制御モードが変化したときにはステップ60に於いて肯定判別が行われることによりステップ70に於いて目標ホイールシリンダ圧力Ptiが上記式1に従って演算され、アンチスキッド制御の開始時以降であり制動制御モードも変化していないときにはステップ60に於いて否定判別が行われることにより、ステップ80に於いて目標ホイールシリンダ圧力Ptiが上記式2に従って演算される。
【0081】
また図示の実施形態によれば、リニア弁の駆動制御に先立って図3に示されている如くリニア弁の特性ずれ補償制御が行われ、ステップ132〜136に於いて肯定判別が行われることにより特性ずれ補償制御が可能であるときには、ステップ140〜150に於いて最新のN回の現サイクルの実駆動電流Im(n)に対する3サイクル前の目標駆動電流Ita(n-3)の比の平均値として駆動電流に対する補償係数Rrが演算され、ステップ152に於いて目標駆動電流Itが補償係数Rrにて補正された目標駆動電流Itaが演算され、図2のステップ160に於いて補正後の目標駆動電流Itaに基づき対応するリニア弁が駆動される。
【0082】
従ってリニア弁にそのソレノイドの温度変化等に起因する特性ずれが生じても、その特性ずれを吸収するよう目標駆動電流Itaが補正されるので、リニア弁の特性ずれに拘わらず各車輪のホイールシリンダ圧力Piを正確に目標ホイールシリンダ圧力Ptiに制御することができ、これにより各車輪の制動力を運転者の制動操作量や車輪スリップの低減に必要な所定の制動力に正確に制御することができる。
【0083】
特にステップ160に於いて図4に示されたフローチャートに従ってアンチスキッド制御の初回減圧の減圧量増大処理が行われ、リニア弁の特性ずれの補償制御が完了していない状況に於いてアンチスキッド制御の初回減圧が行われるときには、ステップ162及び164に於いて肯定判別が行われると共に、アンチスキッド制御の開始時より所定の時間が経過するまでステップ166に於いて否定判別が行われることにより、ステップ168に於いて目標駆動電流がα増大変更される。
【0084】
従って図示の第一の実施形態によれば、リニア弁の特性ずれの補償制御が完了していない状況に於いてアンチスキッド制御の初回減圧が行われるときには、目標駆動電流Itaが確実に増大変更されるので、仮にリニア弁に特性ずれが生じているが特性ずれの補償制御が完了していない状況であっても、アンチスキッド制御の初回減圧時にホイールシリンダ圧力を確実に低減することができ、これにより車輪の過大な制動スリップを確実に低減することができる。
【0085】
例えば図はアンチスキッド制御の開始前後に於ける目標ホイールシリンダ圧力Pti、実ホイールシリンダ圧力Pi、リニア弁に対する駆動電流の変化の一例を第一の実施形態の場合及び比較例の場合について示している。
【0086】
に示されている如く、時点t0に於いて運転者によるブレーキペダル12の踏み込みが開始され、時点t1に於いてアンチスキッド制御が開始されたとすると、上述のステップ160の制御が行われない場合には、アンチスキッド制御開始後の減圧用リニア弁に対する駆動電流は図の下段に於いて細い実線にて示されている如く変化し、リニア弁に特性ずれが生じている場合にはホイールシリンダ圧力の減圧が不十分になり、ホイールシリンダ圧力は図の上段に於いて破線にて示されている如く変化し、アンチスキッド制御開始直後にホイールシリンダ圧力が効果的に低減されないことに起因して車輪の制動スリップを効果的に低減することができなくなる場合がある。
【0087】
これに対し図示の第一の実施形態によれば、時点t1より所定の時間が経過する時点t2まで減圧用リニア弁に対する駆動電流がαに相当する量増大されるので、図の最上段に於いて細い実線にて示されている如く、アンチスキッド制御の開始直後よりホイールシリンダ圧力Piを確実に減圧することができ、これにより車輪の過剰な制動スリップを効果的に低減することができる。
【0088】
特に図示の第一の実施形態によれば、駆動電流に対する補償係数Rrはステップ140に於いて現サイクルの実駆動電流Im(n)に対する3サイクル前の目標駆動電流Ita(n-3)の比Roが演算され、ステップ140〜148に於いて最新のN回分の比Roの平均値として演算されるので、例えば駆動電流に対する補償係数Rrがステップ138に於いて演算される比Roに設定される場合に比して、補償係数Rrが不適切な値に演算される虞れを低減し、これによりリニア弁の特性ずれに応じて目標駆動電流を正確に補正することができる。
【0089】
また図示の第一の実施形態によれば、ステップ140に於いて周囲温度やリニアソレノイド弁に対する通電時間等に基づき特性ずれ補償制御対象のリニア弁のソレノイドの温度変化が推定され、推定された温度変化に基づき駆動電流比Roの許容範囲が決定されると共に、ステップ138に於いて演算された駆動電流比Roが許容範囲内にないときには、その駆動電流比Roはステップ146及び148に於ける補償係数Rrの演算には使用されないので、ステップ140の判定が行われない場合に比して、リニア弁の特性ずれに正確に対応する補償係数Rrを演算することができる。
【0090】
更に図示の第一の実施形態によれば、検出される実駆動電流Imのフィルタ処理によ演算遅れを考慮し、ステップ136及び138に於いて3サイクル前の目標駆動電流Ita(n-3)が使用されるので、これらのステップに於いて実駆動電流Imのフィルタ処理により演算遅れが考慮されない場合に比して、リニア弁に駆動電流が通電されている状況であるか否かの判別や駆動電流比Roの演算を正確に行うことができる。
【0103】
尚上述の実施形態によれば、アンチスキッド制御の開始時には目標ホイールシリンダ圧力Ptiが必ず実際のホイールシリンダ圧力Piをベースにして演算され、その後の目標ホイールシリンダ圧力Ptiは前回の目標ホイールシリンダ圧力Ptfiベースにして演算されるので、アンチスキッド制御開始時の目標ホイールシリンダ圧力Ptiを必ず実際のホイールシリンダ圧力Piよりも低く且つ車輪のスリップ状態に応じた適正な値に設定することができ、これによりアンチスキッド制御開始時の減圧を遅れなく適正に実行することができ、またその後の目標ホイールシリンダ圧力Ptiを車輪のスリップ状態に応じた適正な値に設定することができ、これにより実際のホイールシリンダ圧力Piを車輪のスリップ状態に応じて適正に且つ高精度に制御し、アンチスキッド制御を適正に且つ効果的に実行することができる。
【0104】
また上述の実施形態によれば、アンチスキッド制御中に制動制御モードが変化したときにも、目標ホイールシリンダ圧力Ptiが必ず実際のホイールシリンダ圧力Piをベースにして演算されるので、制動制御モードが変化したときにも目標ホイールシリンダ圧力Ptiが前回の目標ホイールシリンダ圧力Ptfiベースにして演算される場合に比して、目標ホイールシリンダ圧力Ptiを車輪のスリップ状態に応じて適正に設定することができ、これによりホイールシリンダ圧力を車輪のスリップ状態に応じて遅れなく適正に制御することができる。
【0105】
以上に於ては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0106】
例えば上述の第一の実施形態に於いては、ステップ168に於いて目標駆動電流Itaが増大変更される値αは一定であるが、この値αは図の下段に於いてパターン2として示されている如く、減圧時間の経過と共に漸次低減されるよう修正されてもよい。
【0108】
また上述の第一の実施形態に於いては、目標駆動電流Itaの増大変更量αは一定であるが、この増大変更量αは減圧開始時のホイールシリンダ圧力Pi又は車輌の減速度Gxbに応じて可変設定されてもよい。
【0110】
また上述の第一の実施形態に於いては、ステップ140に於いて周囲温度やリニアソレノイド弁に対する通電時間等に基づき特性ずれ補償制御対象のリニア弁のソレノイドの温度変化が推定され、推定された温度変化に基づき駆動電流比Roの許容範囲が決定されるようになっているが、この判別の許容範囲は一定の範囲に設定されてもよい。
【0111】
また上述の第一の実施形態に於いては、ステップ148に於いて駆動電流に対する補償係数Rrは最新のN回分の比Roの平均値として演算されるようになっているが、補償係数Rrは最新のN回分の比Roの平均値について移動平均処理の如き平滑化処理が施されることにより演算されてもよい。
【0112】
また上述の実施形態に於いては、所定の制動制御はアンチスキッド制御であるが、本発明に於ける所定の制動制御はリニア弁の特性ずれに起因してホイールシリンダ圧力の増減制動量が不足することを防止する必要がある任意の制動制御であってよい。
【0113】
また上述の実施形態に於いては、各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiは運転者の制動操作量又はアンチスキッド制御の目標ホイールシリンダ圧力として演算されるようになっているが、目標ホイールシリンダ圧力Ptiは当技術分野に於いて公知の任意の要領にて演算されてよい。
【0114】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、補償手段によるリニア弁に特性ずれの補償が完了していない状況にて所定の制動制御が開始される場合には、リニア弁の特性ずれに拘らず予め設定された量目標制御量が確実に増大変更されるので、リニア弁の特性ずれの補償が完了していない状況にて所定の制動制御が開始される場合にも、リニア弁の特性ずれに起因してホイールシリンダ圧力の増減制御が不十分になることを確実に防止することができる。
【0116】
また本発明の請求項2の構成によれば、リニア弁の特性ずれの補償が完了していない状況にて所定の制動制御が開始される際に、目標制御量を確実に一定の値増大変更することができ、また請求項3の構成によれば、アンチスキッド制御の初回減圧に於いてホイールシリンダ圧力を確実に低減することができるので、アンチスキッド制御を効果的に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による車輌用制動制御装置の第一の実施形態の油圧回路及び電子制御装置を示す概略構成図である。
【図2】 第一の実施形態に於ける制動制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】 図2のステップ130に於いて実行されるリニア弁の特性ずれ補償制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】 図2のステップ160に於いて実行されるアンチスキッド制御の初回減圧の減圧量増大処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図】 アンチスキッド制御の開始前後に於ける目標ホイールシリンダ圧力Pti、実ホイールシリンダ圧力Pi、リニア弁に対する駆動電流の変化の一例を第一の実施形態の場合及び比較例の場合について示す説明図である。
【図】 駆動回路へ出力される信号のスイッチング周期Fsとデューティオン時間Donとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
10…ブレーキ装置
12…ブレーキペダル
14…マスタシリンダ
22FL〜22RR…ホイールシリンダ
24F、24R、26…電磁開閉弁
50FL〜50RR…リニア弁
60FL〜60RR…リニア弁
64F、64R…電磁開閉弁
66、68…圧力センサ
70…ストロークセンサ
72、74FL〜74RR…圧力センサ
76…電子制御装置
82FL〜82RR…車輪速度センサ
84…前後加速度センサ
86…電流計

Claims (3)

  1. 各車輪に対応して設けられたホイールシリンダに対する作動液体の給排を制御することによりホイールシリンダ圧力を増減するリニア弁と、前記リニア弁を制御することによりホイールシリンダ圧力を制御する制御手段とを有する車輌用制動制御装置に於いて、前記制御手段は前記リニア弁に対する目標制御量を演算する目標制御量演算手段と、前記リニア弁の特性ずれに起因する前記目標制御量と実際の制御量との偏差が減少するよう前記目標制御量を補正することにより前記リニア弁の特性ずれの補償を行う補償手段と、前記補償手段による前記特性ずれの補償が完了していない状況にて所定の制動制御を開始するときには、前記リニア弁の特性ずれに拘らず予め設定された量前記目標制御量を増大変更する制御量変更手段とを有することを特徴とする車輌用制動制御装置。
  2. 前記予め設定された量は一定の値であることを特徴とする請求項1に記載の車輌用制動制御装置。
  3. 前記所定の制動制御はアンチスキッド制御であり、前記制御量変更手段はアンチスキッド制御に於ける初回減圧の減圧量が大きくなるよう前記目標制御量を増大変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌用制動制御装置。
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