JP4027244B2 - 衛星放送受信用コンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに直交する2種類の直線偏波信号を受信する衛星放送受信用コンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、導波管の管内に電波の進行方向に沿って第1および第2のプローブを順次配設し、互いに直交する2種類の直線偏波信号のうち、第1の直線偏波を第1の短絡端末で反射して第1のプローブに検出させ、第2の直線偏波を第2の短絡端末で反射して第2のプローブに検出させるようにした衛星放送受信用コンバータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7はかかる既知の衛星放送受信用コンバータの断面図、図8は図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0004】
これらの図に示すように、この従来例に係る衛星放送受信用コンバータは、アルミダイカスト等の良導電性の金属材料からなる導波管10を具備し、この導波管10の一端側にはホーン部10aが一体形成されている。衛星から送信された電波は、このホーン部10aから導波管10内に進入した後、互いに直交する第1の直線偏波および第2の直線偏波として導波管10の後部閉塞端10bに向かって進行する。導波管10の内部にはインピーダンス整合部10cが形成されており、このインピーダンス整合部10cは後部閉塞端10bに向かって次第に開口面積が小さくなるように階段状に形成されている。
【0005】
また、導波管10の内部に第1のプローブ11と第1の短絡端末12および第2のプローブ13が挿入されており、これらは電波の進行方向に沿って順次配置されている。第1のプローブ11はピン部材からなり、その後端は導波管10の外部で図示せぬコンバータ回路の入力部に接続されている。第1の短絡端末12は長方形の金属板からなり、この第1の短絡端末12は導波管10内を進行する第1の直線偏波(例えば水平偏波)を反射して第1のプローブ11に検出させるもので、第1のプローブ11から電波の進行方向に約1/4波長離れた位置に設定されている。第2のプローブ13もピン部材からなり、その後端は導波管10の外部で前記コンバータ回路の入力部に接続されている。第2のプローブ13はインピーダンス整合部10cの後方に挿入されており、この第2のプローブ13に対向する後部閉塞端10bの内底面は第2の短絡端末14となっている。この第2の短絡端末14は導波管10内を進行する第2の直線偏波(例えば垂直偏波)を反射して第2のプローブ13に検出させるもので、第2のプローブ13から電波の進行方向に約1/4波長離れた位置に設定されている。
【0006】
このように構成された衛星放送受信用コンバータでは、衛星から送信された電波がホーン部10aから進入して互いに直交する第1の直線偏波および第2の直線偏波として導波管10内を進行すると、第1の直線偏波は第1の短絡端末12で反射されて第1のプローブ11に検出され、第2の直線偏波は第2の短絡端末14で反射されて第2のプローブ13に検出される。その際、第1の短絡端末12を通過した第1の直線偏波はインピーダンス整合部10cで反射され、第2の直線偏波はインピーダンス整合部10cを通過して第2のプローブ13とのマッチングがとられるため、第1および第2の直線偏波(直交2偏波信号)間のアイソレーションが確保されるようになっている。なお、これら第1および第2のプローブ11,13で検出された直交2偏波信号は、前記コンバータ回路でIF周波数信号に周波数変換された後、図示せぬ出力端子を介して出力される。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−36605号公報(第2頁、図6−7)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来の衛星放送受信用コンバータにおいて、第1の短絡端末12として幅狭で反射面積の小さいものを用いると、第1の短絡端末12によって第1の直線偏波を効率良く反射することができず、第1のプローブ11に給電される第1の直線偏波が減少してしまうため、一般的には、比較的幅広の第1の短絡端末12を用いて第1のプローブ11の給電効率が劣化しないようにしている。しかしながら、第1の短絡端末12が幅広になるほど、第1の短絡端末12によって反射される第2の直線偏波が増加するため、第2のプローブ13に給電される第2の直線偏波が減少し、第2のプローブ13の給電効率が劣化してしまう。
【0009】
このような理由から、前述した従来の衛星放送受信用コンバータでは、導波管10の内部に形成したインピーダンス整合部10cによって第2のプローブ13の給電効率の劣化を防止しているが、階段状のインピーダンス整合部10cを導波管10の内部に形成する必要があるため、導波管10が管軸方向に長くなって小型化しにくいという問題があり、また、導波管10の全体形状が複雑になって製造コストを上昇させるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、第1および第2のプローブの給電効率を劣化させることなく小型化および低コスト化が図れる衛星放送受信用コンバータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の衛星放送受信用コンバータでは、管内に進入した電波が互いに直交する第1の直線偏波および第2の直線偏波として進行する導波管と、この導波管の管内に突出するように電波の進行方向に沿って順次配設された第1および第2のプローブと、前記第1の直線偏波を反射して前記第1のプローブに検出させる第1の短絡端末と、前記第2の直線偏波を反射して前記第2のプローブに検出させる第2の短絡端末とを備え、前記第1の短絡端末を前記第1のプローブと同一方向に突出させると共に、該第1の短絡端末の端部側を中央部に比べて幅広に形状にした。
【0012】
このように構成された衛星放送受信用コンバータにおいては、第1の短絡端末の端部側を中央部に比べて幅広に形成したので、第1の直線偏波について見ると電界の強い中央部分の反射面積が増加し、第1の直線偏波に直交する第2の直線偏波について見ると電界の強い中央部分の反射量が減少する。したがって、導波管の内部に複雑形状のインピーダンス整合部を設けなくても第1および第2のプローブの給電効率はいずれも劣化せず、それ故、導波管を単純形状にして低コスト化が図れると共に、導波管を管軸方向に短くして小型化が図れる。
【0013】
上記の構成において、第1の短絡端末は幅狭部の少なくとも一端側に幅広部を有していれば良いが、第1の直線偏波の反射量を増加させるためには、第1の短絡端末が幅狭部の両端に幅広部を有していることが好ましい。この場合、第1の短絡端末を第1のプローブの突出方向に平行な直線に関して対称形状にすると、導波管に対して第1の短絡端末を両端いずれの方向からも組み込めるため、組立作業性を向上することができる。
【0014】
また、上記の構成において、第1の短絡端末を絶縁基板の片面にパターン形成すると共に、第2のプローブをこの絶縁基板の他面にパターン形成すると、部品点数を削減することができる。その際、第1の短絡端末を一側面に凹状の切欠きを有する帯状パターンに形成し、この切欠きを絶縁基板の他面にパターン形成された第2のプローブの先端側に向けることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータの断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【0016】
図1,2に示すように、本実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータは、アルミダイカスト等の良導電性の金属材料からなる導波管1と、ピン部材からなる第1のプローブ2および第2のプローブ3と、良導電性の金属板からなる第1の短絡端末4とを備えている。
【0017】
導波管1の一端側にはホーン部1aが一体形成されており、衛星から送信された電波は、このホーン部1aから導波管1内に進入した後、互いに直交する第1の直線偏波および第2の直線偏波として導波管1の後部閉塞端1bに向かって進行する。なお、導波管1の内壁にリッジ等の90度移相部を設けたり、あるいは、導波管1の前部開口端に90度移相部を有する誘電体フィーダを取り付ければ、衛星から送信された円偏波を直線偏波に変換して導波管1の内部に導くことができる。
【0018】
第1のプローブ2と第2のプローブ3の先端部分は導波管1の内部に突出しており、これら両プローブ2,3の後端側は導波管1の外部で図示せぬコンバータ回路の入力部にそれぞれ接続されている。第1および第2のプローブ2,3は導波管1の内部で互いに直交しており、第1の短絡端末4は第1のプローブ2の突出方向と平行になるように導波管1の内部に挿入・固定されている。第1の短絡端末4は第1のプローブ2の突出方向に平行な直線に関して対称形状であり、中央部分の幅狭部4aと、幅狭部4aの両端側に連続する一対の幅広部4bとが形成されている。この第1の短絡端末4は導波管1内を進行する第1の直線偏波(例えば水平偏波)を反射して第1のプローブ2に検出させるもので、第1のプローブ2から電波の進行方向に約1/4波長離れた位置に設定されている。また、第2のプローブ3には導波管1の後部閉塞端1bに対向しており、この後部閉塞端1bの内底面は第2の短絡端末5となっている。この第2の短絡端末5は導波管1内を進行する第2の直線偏波(例えば垂直偏波)を反射して第2のプローブ3に検出させるもので、第2のプローブ3から電波の進行方向に約1/4波長離れた位置に設定されている。図2から明らかなように、電波の進行方向に沿って第1および第2のプローブ2,3と第1の短絡端末4を見ると、第1のプローブ2は第1の短絡端末4の一方の幅広部4bと幅狭部4aの一部にオーバーラップしており、第2のプローブ3は第1の短絡端末4の幅狭部4aの中央部分と直交している。
【0019】
このように構成された衛星放送受信用コンバータでは、衛星から送信された電波がホーン部1aから進入して互いに直交する第1の直線偏波および第2の直線偏波として導波管1内を進行すると、第1の直線偏波は第1の短絡端末4で反射されて第1のプローブ2に検出され、第2の直線偏波は第2の短絡端末5で反射されて第2のプローブ3に検出される。この場合、第1の短絡端末4は両端側の幅広部4bによって全体の面積が増加しており、第1の直線偏波について見ると電界の強い中央部分の反射面積が増加することになるため、第1の直線偏波は第1の短絡端末4によって効率よく反射され、第1のプローブ2の給電効率の劣化は防止される。一方、第2のプローブ3に検出される第2の直線偏波について見ると、第1の短絡端末4の面積を増加させる両端側の幅広部4bは導波管1内で電界の弱い端部側に位置し、導波管1内で電界の強い中央部分の反射量が第1の短絡端末4の幅狭部4aによって減少するため、第1の短絡端末4の面積増加に伴う反射の悪影響はほとんど生じない。したがって、導波管1の内部に複雑形状のインピーダンス整合部を設けなくても、第1および第2のプローブ2,3の給電効率はいずれも劣化せず、第1および第2の直線偏波(直交2偏波信号)間のアイソレーションを確保することができる。なお、これら第1および第2のプローブ2,3で検出された直交2偏波信号は、前記コンバータ回路でIF周波数信号に周波数変換された後、図示せぬ出力端子を介して出力される。
【0020】
上記第1実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータにおいては、第1の直線偏波を第1のプローブ2に検出させる第1の短絡端末4として、幅狭部4aの両端に幅広部4bを有する形状のものを用いたので、第1の直線偏波について見ると電界の強い中央部分の反射面積が増加し、第1の直線偏波に直交する第2の直線偏波について見ると電界の強い中央部分の反射量が減少することになる。したがって、導波管1の内部に複雑形状のインピーダンス整合部を設けなくても第1および第2のプローブ2,3の給電効率はいずれも劣化せず、それ故、導波管1を単純形状にして低コスト化が図れると共に、導波管1を管軸方向に短くして小型化が図れる。また、第1の短絡端末4が第1のプローブ2の突出方向に平行な直線に関して対称形状となっているので、導波管1に対して第1の短絡端末1を両端いずれの方向からも組み込むことができ、組立作業性を向上することができる。
【0021】
図3は本発明の第2実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータの断面図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図であり、図1,2に対応する部分には同一符号を付してある。
【0022】
本実施形態例が前述した第1実施形態例と相違する点は、コンバータ回路等が形成された絶縁基板6を導波管1の後部開口端と金属キャップ7とで挟持し、この絶縁基板6の表裏両面に第1の短絡端末4と第2のプローブ8を形成すると共に、金属キャップ7の内底面を第2の短絡端末9としたことにあり、それ以外の構成は基本的に同一である。第1の短絡端末4と第2のプローブ8は絶縁基板6の表裏両面に設けられた銅箔等をパターニングしたものであり、絶縁基板6と金属キャップ7の内底面との距離は約1/4波長に設定されている。第1の短絡端末4は一側面中央に凹状の切欠き4cを有する帯状パターンであり、この切欠き4cの形成領域が幅狭部4aで、その両端側に位置する領域が幅広部4bとなっている。また、第2のプローブ8は細長い帯状パターンであり、その先端部は絶縁基板6の反対面に形成された第1の短絡端末4の切欠き4cの近傍位置まで延びている。
【0023】
このように構成された第2実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータにおいても、前述した第1実施形態例と同様に、第1の直線偏波を第1のプローブ2に検出させる第1の短絡端末4として、幅狭部4a(切欠き4c)の両端に幅広部4bを有する形状のものを用いたので、導波管1の内部に複雑形状のインピーダンス整合部を設けなくても第1および第2のプローブ2,8の給電効率はいずれも劣化せず、それ故、導波管1を単純形状にして低コスト化が図れると共に、導波管1を管軸方向に短くして小型化が図れる。また、第1の短絡端末4と第2のプローブ8を絶縁基板6の表裏両面にパターン形成したので、部品点数を削減できて組立作業性も向上する。
【0024】
なお、第1の短絡端末4の形状は上記各実施形態例に限定されず、図5に示すように、中央部分の幅狭部4aと両端側の幅広部4bが曲線で連続する鼓形形状のものや、図6に示すように、長方形の幅狭部4aの一端側のみに幅広部4bを有する形状のものを採用することも可能であり、要は、第1の短絡端末の少なくとも一方の端部側が中央部に比べて幅広に形状されていれば良い。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0026】
導波管の管内に進入した電波が互いに直交する第1の直線偏波および第2の直線偏波として進行し、これら直交2偏波信号を第1および第2のプローブでそれぞれ検出する衛星放送受信用コンバータにおいて、第1の直線偏波を第1のプローブに検出させる第1の短絡端末として、端部側を中央部に比べて幅広にした形状のものを用いたので、第1の直線偏波について見ると電界の強い中央部分の反射面積が増加し、第2の直線偏波について見ると電界の強い中央部分の反射量が減少する。したがって、導波管の内部に複雑形状のインピーダンス整合部を設けなくても第1および第2のプローブの給電効率はいずれも劣化せず、それ故、導波管を単純形状にして低コスト化が図れると共に、導波管を管軸方向に短くして小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータの断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態例に係る衛星放送受信用コンバータの断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】第1の短絡端末の変形例を示す要部断面図である。
【図6】第1の短絡端末の変形例を示す要部断面図である。
【図7】従来例に係る衛星放送受信用コンバータの断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 導波管
1a ホーン部
1b 後部閉塞端
2 第1のプローブ
3,8 第2のプローブ
4 第1の短絡端末
4a 幅狭部
4b 幅広部
5,9 第2の短絡端末
6 絶縁基板
7 金属キャップ
Claims (5)
- 管内に進入した電波が互いに直交する第1の直線偏波および第2の直線偏波として進行する導波管と、この導波管の管内に突出するように電波の進行方向に沿って順次配設された第1および第2のプローブと、前記第1の直線偏波を反射して前記第1のプローブに検出させる第1の短絡端末と、前記第2の直線偏波を反射して前記第2のプローブに検出させる第2の短絡端末とを備え、前記第1の短絡端末を前記第1のプローブと同一方向に突出させると共に、該第1の短絡端末の端部側を中央部に比べて幅広に形状にしたことを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
- 請求項1の記載において、前記第1の短絡端末が幅狭部の両端に幅広部を有することを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
- 請求項2の記載において、前記第1の短絡端末が前記第1のプローブの突出方向に平行な直線に関して対称形状であることを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
- 請求項1の記載において、前記第1の短絡端末を絶縁基板の片面にパターン形成すると共に、前記第2のプローブを前記絶縁基板の他面にパターン形成したことを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
- 請求項4の記載において、前記第1の短絡端末が一側面に凹状の切欠きを有する帯状パターンからなり、この切欠きを前記第2のプローブの先端側に向けたことを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
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