JP4027187B2 - ロック可能なピストンシリンダユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロック可能なピストンシリンダユニット、特に任意にロック可能なガスばねであって、シリンダが、ピストンロッドを備えたピストンによって2つの作業室に分割されていて、両作業室が圧力媒体によって満たされており、両作業室の間における流れ接続系内に、切換え可能な弁が配置されており、流れ接続系が切換え可能な弁の弁エレメントの位置に関連して開放する形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ロック可能なガスばねは特に、背もたれを有する椅子において使用され、この場合背もたれは一方ではばね弾性的に支承され、かつ他方ではガスばねのロック機構を介して剛性的に保持されることができる。椅子使用者はしかしながら常に同じ姿勢で椅子に腰掛けているわけではない。レリーズ装置を用いて背もたれポジションは、極めて容易にその瞬間の腰掛けポジション(Sitzposition)に合わせられることができる。このような場合に例えば、椅子使用者が前方に屈んで腰掛けていて、背もたれが使用者の背中と接触していないような場合がある。背もたれにおいてガスばねのためのレリーズ装置が操作されると、背もたれはガスばねによって背中に向かって加速され、そして背中に衝突する。このような運転特性は不快に感じられることがある。既にしばらく前から、ドイツ連邦共和国実用新案第6935911号明細書に基づいて公知のガスばねでは、分割されたレリーズ突き棒が設けられていて、両レリーズ突き棒区分の間にはばねが配置されている。このばねによって、ガスばねの内部におけるロック弁のゆっくりとした開放が達成される。
【0003】
同様な構成はドイツ連邦共和国特許公開第3615688号明細書に記載されている。レリーズ突き棒の行程運動距離によって弁横断面が変化する。これに関連した絞り作用によって、ピストンロッドはゆっくりと進出させられ、次いで徐々に速く進出させられる。両方のガスばね型式によって背もたれの不快な当接はたしかに回避されるが、しかしながらいずれにせよ確実に阻止されるわけではない。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許公開第19528649号明細書に記載されたレリーズ装置は、2つの切換え入力部(Schalteingang)を有している。レリーズ突き棒は一方ではボーデンケーブルを介して制御されることができる。また付加的に座部保持体が同様にレリーズ装置と作用結合されていて、座部保持体の負荷軽減時にガスばねにおけるボーデンケーブルの切換え状態とは無関係に、常にロックされていない運転機能が得られるようになっている。そのために、レリーズ突き棒に直接作用するジャッキもしくは揺動体(Wippe)として構成されたレリーズ装置が働く。この構成において重要なことは、座部プレートが負荷状態の検出のために旋回運動できるように構成されねばならないことである。これによって椅子の構造は制限されることになる。快適な椅子はしばしば座部傾斜調節装置を有している。このような座部傾斜調節装置は、レリーズ装置の機能に関して大きな影響力を有している。
【0005】
【特許文献1】
ドイツ連邦共和国実用新案第6935911号明細書
【特許文献2】
ドイツ連邦共和国特許公開第3615688号明細書
【特許文献3】
ドイツ連邦共和国特許公開第19528649号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式のピストンシリンダユニットを改良して、ピストンシリンダユニットの行程ポジションとは無関係に、如何なる場合でもピストンシリンダユニットの加速された運動を回避することができるピストンシリンダユニット、特にガスばねを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の構成では、流れ接続系内に切換え可能な弁に対して直列に負荷切換え弁が配置されており、該負荷切換え弁が、ピストンシリンダユニットに対する負荷が規定の値を下回っている場合に、流れ接続系全体を、切換え可能な弁の切換え位置とは無関係にロックもしくは遮断するようにした。
【0008】
【発明の効果】
負荷切換え弁によって、明細書の導入部に記載されているような例において、椅子使用者が少なくとも小さな負荷を背もたれに加えているか否かが、「感知」される。負荷が加えられている場合に、切換え可能な弁が操作されると、背もたれがコントロールされずに当接するといったことを回避することができる。
【0009】
「感知」のために負荷切換え弁は、作業室に通じる制御圧接続部を有している。基準値としては、例えばばねによってもたらされる対抗圧が働く。
【0010】
択一的に、流れ接続系内に配置された負荷切換え弁は両作業室それぞれのために、制御圧接続部を有することができ、そしてこの場合両制御圧接続部における制御圧は互いに逆方向に向けられている。このような構成の利点としては次のことが挙げられる。すなわちこのように構成されていると、ガスばね構造形式のピストンシリンダユニットにおいて、ガス充填物の温度特性を本発明による機能に関連して補償することができる。
【0011】
また、負荷切換え弁と切換え可能な弁とが1つの構成ユニットにまとめられていると、大きな利点を得ることができる。ピストンシリンダユニットに関連して、内在する解決策、つまり単純な構造とデザインに関する完全な自由度とが使用目的にとって重要である内在する解決策が得られる。
【0012】
本発明の別の構成では、切換え可能な弁の流れ通路が、流れ接続系の区分として負荷切換え弁の制御圧接続部において開口している。
【0013】
択一的に、負荷切換え弁を逆止弁の構造形式で構成することも可能である。このように構成されていると、負荷切換え弁の機能的な構造を特に簡単にすることができる。
【0014】
切換え可能な弁が弁エレメントを有しており、該弁エレメントがその両制御圧側においてそれぞれ作業室の運転圧によって負荷されるようになっていると、空間を節約しかつコストがリーズナブルな構造を得ることができる。
【0015】
本発明の別の構成によれば、弁エレメントがシール部材によって形成されている。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1には椅子1が示されており、この椅子1の座部保持体3には背もたれ5が、軸受7を中心にして旋回運動可能に支承されている。機能的に見て背もたれ5と座部保持体3との間には、ガスばねの構造形式のピストンシリンダユニット9が配置されている。ガスばね9は、レリーズ装置11(図面にはそのうちの操作レバー13だけが示されている)を介してロック位置又は解放位置に切り換えられることができる。
【0018】
図2には、ガスばね9が原理図で示されている。シリンダ13の内部には、ピストン17を備えたピストンロッド15が軸方向可動に配置されている。ピストンロッドガイド19がシリンダを閉鎖しているので、シリンダはピストンロッド側の作業室21とピストンロッドから離れている作業室23とに分割され、両作業室21,23は圧力媒体、通常はガスによって満たされている。もちろん液体を充填することも可能であり、この場合充填物には圧力が予負荷される。
【0019】
ピストンは切換え可能な弁25(図3及び図4参照)を有しており、この弁25は図示されていない流れ接続系27を遮断又は開放し、切換え可能な弁25はレリーズ突き棒29を介してレリーズ装置11との関連において制御されることができる。流れ接続系の遮断された状態においてピストンロッドは、ガスばねの内部における力によって固定される。ピストンロッド側の作業室21の環状室面積と積算される、作業室21における瞬間的な圧力p1と、全ピストン面積と積算される、ピストンロッドから離れている作業室23における瞬間的な圧力p2とは、逆方向に向けられた同じ大きさの力である。その結果、ピストンロッド側の作業室における圧力は、小さな圧力負荷面積に基づいて、圧力p2よりも大きくなくてはならない。切換え可能な弁25が貫流位置にもたらされると、圧力バランスが生じ、この場合両作業室21,23の間においては流れ接続系の内部における絞り作用に基づいて僅かな圧力差しか生じ得ない。
【0020】
両作業室の間における圧力差は、上に述べたように、圧力負荷面積の面積比によって規定される。ガスばねが負荷されると、つまりピストンロッドから離れている作業室23が進入方向に作用するピストンロッドによって強く圧縮されると、圧力比は、圧力負荷面積とは相違して変化する。両作業室の間における圧力差を規定するピストンロッドの横断面積に応じて、ピストンロッドから離れている作業室がピストンロッド側の作業室に比べて大きな圧力を有するというような場合が、負荷に関連して生じる。
【0021】
図3には、図2に示されたガスばね9の原理が回路図で示されている。図3では、作業室21,23は略示されており、2ポート2位置方向切換え弁として形成された切換え可能な弁25は、制御導管31を介して、ピストンロッドから離れている作業室23における圧力を起点として、閉鎖方向に予負荷される。切換え可能な弁25は、レリーズ突き棒29を用いて任意に操作可能である。
【0022】
両作業室の間における流れ接続系内には、2ポート2位置方向切換え弁として形成された負荷切換え弁(Lastschaltventil)33が配置されており、この負荷切換え弁33は制御圧接続部35を介して貫流位置に移動可能である。負荷切換え弁は任意の制御力によって閉鎖位置にもたらされることができる。電磁式の解決策の他に、ばねの制御力を使用することも可能である。しかしながらまた、負荷切換え弁が、ピストンロッド側の作業室21と接続されている第2の制御圧接続部37を有しているような構成も、可能である。
【0023】
上に述べたような構成によって両弁25;33は以下に記載のように作動する。ガスばねの無負荷状態において、ピストンロッド側の作業室21における圧力p1は、ピストンロッドから離れている作業室23における圧力p2よりも大きい。その結果、2つの制御圧接続部35;37を備えた負荷切換え弁33は遮断位置に留まっている。切換え可能な弁がレリーズ装置の使用者によって貫流位置にもたらされると、負荷切換え弁33までの流れ通路39における圧力媒体だけしか、作業圧を形成することができない。両作業室は引き続き切り離されている。
【0024】
背もたれにおけるガスばねの使用例に対しては次のような効果が得られる。すなわちこの場合、例えば前屈みになって座っていることによって、背中が背もたれを負荷していないような椅子使用者は、背もたれ調節を行わず、その結果背中に背もたれが不快に当接するといったことも生じ得ない。
【0025】
これに対して背もたれが負荷されると、ピストンロッドから離れている作業室23における圧力レベルが上昇して、ピストンロッド側の作業室21における圧力レベルを上回り、その結果負荷切換え弁33は貫流位置にもたらされる。切換え可能な弁25が操作されると、作業室21;23の間における流れ接続系27全体が開放され、ピストンロッド15は進出することができ、又は使用例に関して言えば、背もたれは椅子使用者の背中に向かって移動することができる。椅子使用者が不快な当接を回避するために、十分な力で背もたれにもたれかかっているか否かは、負荷切換え弁を介して「検知」することができる。戻しばねとの関連においてピストンロッドから離れている作業室からの片側における制御圧接続部によっても、同じ効果を得ることができるが、しかしながらこの場合には、極めて大きな温度変化時にガス充填物の温度特性に基づいて、最小負荷を規定する場合にある程度の不正確さが生じてしまう。
【0026】
図4によって、図3に示された回路図が実現される。図4に示された実施例では、保持円板51に配属されたシール部材55は、弁スリーブ57と保持円板51との間において緊張させられていて、内径部及び外径部においてシール作用を発揮する。シール部材の前側及び後側が作業圧によって負荷されるか否かは、問題にならない。
【0027】
切換え可能な弁25と負荷切換え弁33との間における流れ通路39は、リング室60に開口している。負荷切換え弁は半径方向において弾性的なリング61として構成されており、この弾性リング61は、ケーシング41の開口65に係合するシールピン63を用いて、ピストンロッド側の作業室21における圧力p1によって負荷される。開口と関連する端面は、負荷切換え弁33のための制御圧接続部37である。弾性リング61の、リング室60に向けられている内側に位置する周面67は、第1の制御圧接続部とは逆向きに作用する第2の制御圧接続部35を形成している。弁リング69には複数の弁開口71が成形されており、これらの弁開口71は、リング室60における圧力状態及びシールピン63の端面における圧力状態に関連して、弾性リング61の環状の弁ウェブ73によって開放され、この場合弾性リングは半径方向の拡開運動を実施することができ、かつ弁ウェブ73は弁開口71を開放する。
【0028】
負荷切換え弁の使用は、図示及び記載の実施例に制限されるものではない。さらに負荷切換え弁の配置形式もまたピストンとの関係に制限されるものではない。
【0029】
図示の実施例では開放力は、作業室の間における面積比と、制御圧接続部45における面積比とによって決定される。例えばシール部材55と保持円板51との間にばねエレメントが挿入されるか又は、弾性リング61がばねによって半径方向において予負荷されることによって、作業室及び負荷切換え弁又はそのいずれか一方にばねを使用することによって、負荷切換え弁の開放力を面積比とは無関係に決定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるピストンシリンダユニットのための取付け状態の1例を示す図である。
【図2】 ピストンシリンダユニットの原理図である。
【図3】 ピストンシリンダユニットを示す回路図である。
【図4】 図3に示した回路図を実現する実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 椅子、 3 座部保持体、 5 背もたれ、 7 軸受、 9 ピストンシリンダユニットもしくはガスばね、 11 レリーズ装置、 13 シリンダ、 15 ピストンロッド、 17 ピストン、 19 ピストンロッドガイド、 21,23 作業室、 25 弁、 27 流れ接続系、 29 レリーズ突き棒、 31 制御導管、 33 負荷切換え弁、 35,37 制御圧接続部、 39 流れ通路、 41 ケーシング、 43 弁突き棒、 51 保持円板、 53,55シール部材、 57 弁スリーブ、 60 リング室、 61 弾性リング、 63 シールピン、 65 開口、 67 周面、 69 弁リング、 71 弁開口、 73 弁ウェブ
Claims (8)
- ロック可能なピストンシリンダユニットであって、シリンダが、ピストンロッドを備えたピストンによって2つの作業室に分割されていて、両作業室が圧力媒体によって満たされており、両作業室の間における流れ接続系内に、切換え可能な弁が配置されており、流れ接続系が切換え可能な弁の弁エレメントの位置に関連して開放する形式のものにおいて、流れ接続系(27)内に切換え可能な弁(25)に対して直列に負荷切換え弁(33)が配置されており、該負荷切換え弁(33)が、ピストンシリンダユニット(9)に対する負荷が規定の値を下回っている場合に、流れ接続系(27)全体を、切換え可能な弁(25)の切換え位置とは無関係にロックもしくは遮断することを特徴とする、ロック可能なピストンシリンダユニット。
- 流れ接続系(27)内に配置された負荷切換え弁(33)が、作業室(21;23)に通じる制御圧接続部(35;37)を有している、請求項1記載のピストンシリンダユニット。
- 負荷切換え弁(33)が両作業室(21;23)のそれぞれのために制御圧接続部(35;37)を有しており、該制御圧接続部における制御圧が互いに逆方向に向けられている、請求項2記載のピストンシリンダユニット。
- 負荷切換え弁(33)と切換え可能な弁(25)とが1つの構成ユニットにまとめられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のピストンシリンダユニット。
- 切換え可能な弁(25)の流れ通路(39)が、流れ接続系(27)の区分として負荷切換え弁(33)の制御圧接続部(35)において開口している、請求項1から4までのいずれか1項記載のピストンシリンダユニット。
- 負荷切換え弁(33)が逆止弁の構造形式で構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のピストンシリンダユニット。
- 切換え可能な弁(25)が弁エレメント(55)を有しており、該弁エレメント(55)がその両制御圧側においてそれぞれ作業室(21;23)の運転圧によって負荷される、請求項4記載のピストンシリンダユニット。
- 弁エレメントがシール部材(55)によって形成される、請求項7記載のピストンシリンダユニット。
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