JP4024664B2 - パレット用排水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体駐車設備、特にエレベータ式駐車設備において車両搭載用パレットの上面に溜まる水を排水するパレット用排水装置に関する。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】
一般に、冬期において積雪の多い地方に設置されている立体駐車設備では、車両がその足回りに雪を付着したまま車両搭載用パレットに乗り入れられることがある。ところが、従来の車両搭載用パレットではその両端部が開放されているために車両に付着した雪が融けて車両搭載用パレットに融雪水が溜まり、その融雪水が車両搭載用パレットの両端部からこぼれ落ちて下方の車両などを汚すという問題があった。そこで、従来より車両搭載用パレット上に水を溜めてその水を排水するための種々の排水装置が提案されている。
【0003】
これらの排水装置では、いずれもパレットの下面に上記融雪水などを回収する水受けタンクが設けられている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。そのため、パレット全体の高さが水受けタンクの高さの分だけ高くなっている。これにより、従来の排水装置では、立体駐車設備内に鉛直方向に積層された、パレットを収容するための棚の離間距離が大きくなり、単位容積あたりの立体駐車設備に収容される車両台数が少なくなる。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであり、パレットの高さを大幅に増やすことなくパレット上に溜まる水を排出することができるパレット用排水装置を提供することを目的とする。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−158683号公報 (第4頁、第1−6図)
【特許文献2】
特公平2−23715号公報 (第2−3頁、第1図)
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るパレット用排水装置は、機械式駐車装置に備えられた、断面凹状の車路を有する車両搭載用のパレットに適用されるパレット用排水装置であって、上記駐車装置が、上記パレットを搭載して昇降するエレベータと、入出庫階に設置された、該エレベータから受け渡されたパレットを旋回する旋回装置と、該旋回装置に隣接して設けられた可動デッキとを備えるエレベータ式駐車設備に適用されるパレット用排水装置であり、上記車路の底部上面の長手方向の両端部に立設された、車路上に水を溜めるための堰部と、上記車路の側壁の外方に取り付けられた、車路に連通して車路上に溜まった水を排出する排水手段と、上記車路の側壁の外方に取り付けられた、排水手段を変位させる変位手段と、上記駐車装置の入出庫階に設けられた、上記変位手段を作動させる作動手段とを備えており、上記排水手段が上記車路からの水を受け入れる受入部と受け入れた水を排出する排水ホースとを有し、該排水ホースが上記変位手段によって排水ホースから水が流出しない上部位置と水が排出される下部位置とに変位させられるように構成されており、該受入部が上記車路の側壁に連通して取り付けられており、上記作動手段が上記可動デッキの上部に設けられており、該作動手段が、上記可動デッキが移動して旋回装置により旋回されたパレットの両端部を支持したときに上記変位手段を作動させるように構成されており、該作動手段が変位手段を作動させたときに変位手段が上記排水ホースを上記下部位置に変位させるようになしてある。
【0007】
この構成によれば、排水手段および変位手段が両車路の側壁の外方に取り付けられているので、パレットの高さはほとんど増加しない。従って、本発明に係るパレット用排水装置は、従来のパレットに比べて立体駐車設備内に積層された棚の離間距離を大幅に増加させたり、単位容積あたりの立体駐車設備に収容される車両台数を減少させることはほとんどない。また、上記昇降装置、昇降機能付き旋回装置、および、可動デッキの昇降または移動動作に連動して作動手段が昇降または移動する。この作動手段の昇降または移動動作により変位手段を作動させることができ、これにより排出手段が下部位置に変位され車路内の水が排出される。従って、作動手段を上下方向に変位させる駆動機などが不要となり設備が簡素化される。このように入出庫階で水が排出されるので、排出される水の処分が容易である。
【0008】
本発明は、車路の底部から側壁に渡って設けられた受入部と対応する第1開口部に車路の背面側から当接した当て板をさらに備えており、該当て板は上記第1開口部に連通する第2開口部を備えており、該第2開口部に連通するように受入部が当て板に取り付けられてもよい。これにより、車路の底部に車路の底部の板厚に相当する分だけ低い部分が形成されるので、車路上の水はこの部分に流れる。その結果、車路上の水はけが良くなる。また、当て板の第2開口部が車路の底部側に拡張されてもよい。この場合、車路の底部に、車路の底部の板厚および当て板の板厚に相当する分だけ低い部分が形成される。これにより、上記同様車路上の水はけが良くなる。また、パレットの高さの増加量は当て板の板厚分だけであるので、パレットの高さが大幅に増加することもない。さらに、当て板は車路に第1開口部を設けたことによるパレットの強度低下を防止することもできる。
【0009】
上記排水手段が車路の長手方向にそれぞれ複数配置されてもよい。これにより、車路の傾きまたはたわみなどにより車路上に水が偏在する場合であっても、車路の長手方向に複数配置された排水手段により車路からの水を容易に排水することができる。その結果、車路上の水はけが良くなる。また、複数の排水手段を設けることにより、排水手段の1つ当たりの容積(寸法)を小さくすることができるので、排水手段の容積を増加する必要がある場合であっても排水手段の設置数を増やすことによりパレットの高さの増加を回避することができる。
【0010】
上記変位手段が、排水ホースに連結された先端部と、パレットに回動自在に取り付けられた中央部とを備え、該変位手段が上記先端部を上記中央部を中心として上下方向に回動することにより排水ホースを上部位置と下部位置との間で変位させるように構成されてもよい。上記変位手段が、排水ホースを上部位置に保持するための付勢手段をさらに備えるように構成されてもよい。
【0011】
この構成では、変位手段の先端部が変位手段の中央部を中心として上下方向に回動されるので、変位手段の先端部に連結された排水ホースも上下方向に変位される。これにより、車路に水を溜めたり、車路内に溜まる水を排水ホースから水を排出することが可能となる。さらに、変位手段を操作しないときには付勢手段により排水ホースが上部位置に保持され排水ホースから水が流出することはないので、車路内に水を溜めることができる。なお、付勢手段としては、例えばバネが用いられる。
【0016】
また、上記作動手段が、駆動装置と、該駆動装置によってその先端部がパレットが入出庫階にきたときに変位手段を作動させるように上下方向に変位する変位棹とを備えるように構成されてもよい。これにより、作動手段は自力で変位手段を変位させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係るパレット用排水装置が適用されるエレベータ式駐車装置(以下、単に駐車装置という)の一部分を示す正面断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るパレット用排水装置が適用されたパレットを示す斜視図である。図3(a)は図2に示したパレットの部分背面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線矢視図であり、図3(c)は図3(a)のB−B線矢視図である。
【0019】
エレベータ式駐車装置1には、その駐車塔10の内部に、車両Mを搭載するパレット2を昇降させるためのエレベータ3がワイヤ(図示せず)によって吊り下げられており、このワイヤを巻き上げ繰り出してエレベータ3を昇降させる駆動装置(図示せず)およびカウンターウエイト(図示せず)が備えられている。エレベータ3の昇降路の両側には多数段の駐車棚(以下、単に棚ともいう)4が鉛直方向に配設されている。
【0020】
また、車両Mを入出庫する地上一階の入出庫階Eの床にはピット6が掘られており、ピット6内の床面上にはエレベータ3からパレット2を受け取り車両Mを入出庫することができる位置まで旋回する旋回装置5が設けられている。この旋回装置5上にパレット2が載置されたときにその上面(車両載置面)が入出庫階Eの床面(車両乗入面)と一致するようになっている。
【0021】
以上の構成では、エレベータ3は両側の棚4の間を呼び出されたパレット2の棚4まで上昇したうえで当該パレット2を受け取り、これを入出庫階Eへ下降する。そして、このパレット2に車両2が積載されたあと再びエレベータ3は元の棚4まで上昇したうえでパレット2を棚4に受け渡し、パレット2が棚4に載置される。
【0022】
図2に示すように上記パレット2は鋼板などからなり、車両Mの車輪(図示せず)が載置される両側に平行に配置された断面凹状の車路20、20と、両車路20を連結する天井板21とを備える。この車路20および天井板21についてさらに詳しく説明する。
【0023】
各車路20は長板状の底部20aとこの両側に底部20aに対して略垂直に立上がる板状の側壁20bとをそれぞれ備える。各車路20の長手方向(車両Mが進入する方向であって、図2の矢符X方向)の両端部には、上記底部20aの上面に水を溜めるための堰部22がそれぞれ突設されている。これにより、各車路20の両端から水がこぼれ落ちることを防止している。この堰部22は矩形状をなしており、その幅方向(図2の矢符X方向)の両端部が水平から上記底部20a側に所定の角度曲げられて底部20aの上面に固着されている。また、堰部22の幅方向に垂直な方向の両端部は各側壁20bの内面にそれぞれ固着されている。
【0024】
天井板21は矩形状をなしており、上記車路20の相対向する側壁20bの上縁端に連続するように底部20aの上面に対して略平行に(水平方向に)設けられ、上記両車路20と一体的に成形されている。これにより、天井板21の下方に、天井板21と車路20の相対向する側壁20bとによって囲繞される空間が形成される。なお、ここでは、両車路20と天井板21とが一体的に成形されているが、車路20および天井板21をそれぞれ別体で成形して溶接などで接続しても構わない。
【0025】
上記パレット2の各車路20には、各車路20からの水をそれぞれ排出するための、本発明の一実施形態に係るパレット用排水装置の排水部材23およびこれに対応する変位部材25がそれぞれ取り付けられている。排水部材23は適宜時に車路20からの水を排出するものであり、変位部材25は排水部材23を変位させて排水部材23から水を排出させるものである。図2に示すように両車路20にそれぞれ取り付けられた排水部材23は、上記空間の長手方向(図2の矢符X方向)の略中央部に平面視で斜め方向に相対向するように配置されている。同様に、各排水部材23に対応する変位部材25も上記空間の長手方向(図2の矢符X方向)の略中央部に平面視で斜め方向に相対向するように配置されている。そして、一方の車路20に取り付けた排水部材23およびこれに対応する変位部材25と他方の車路20に取り付けた排水部材23およびこれに対応する変位部材25との間には、これらの排水部材23と変位部材25とを支持するための長板状の支持板24が設けられている。この支持板24の上端部は天井板21の下面に取り付けられ、その長手方向の両端部は相対向する側壁20bに取り付けられている。以上のように排水部材23および変位部材25が上記空間に収容されるので、パレット2の高さ(車路20の底部20aの下面から天井板21の上面までの離間距離)はほとんど増加しない。
【0026】
さらに詳しく排水部材23および変位部材25について図3を用いて説明する。なお、両車路20にそれぞれ取り付けられた排水部材23および変位部材25は同等の構成を有するので、ここでは一方の車路20に取り付けらた排水部材23および変位部材25の構成についてのみ説明し、他方の排水部材23および変位部材25の構成については説明を省略する。
(a)排水部材23
図3(a)および(b)に示すように排水部材23は、車路20の背面側に取り付けられた当て板231と、当て板231に取り付けられ車路20からの水を受け入れる受入部232と、受入部232に取り付けられ車路20からの水を排水するため上下方向に変位可能とした排水ホース233とを備える。
【0027】
当て板231は車路20の底部20aから側壁20bへ至る裏面に沿うように曲げられている。当て板231は、車路20の底部20aから側壁20bに渡って設けられた開口部20cに対応する部分に当接されている。また、当て板231には、当て板231の底部から側壁に渡って設けられた2つの矩形状の開口部231aが車路20の長手方向(図3の矢符X方向)に並設されている。この開口部231aと上記車路20の開口部20cとが対応しており、両開口部20c、231aを通して車路20内に溜まった水を排出可能にしている。なお、開口部20cが第1開口部に該当し、開口部231aが第2開口部に該当する。
【0028】
以上の構成により、受入部232の底部の上面は車路20の底部20cの上面より底部20cの板厚分および当て板231の板厚分だけ低くなる。その結果、車路20の底部20aには凹部が形成される。これにより、車路20の底部20aに溜まった水は当該凹部に流れ、これにより車路20の底部20aの水はけがより良くなる。同時に、この当て板231は車路20に開口部20cを設けたことによる車路20の強度低下を防ぐ補強的な役割も果たしている。なお、ここでは車路20の背面側に当て板231を取り付けているが、開口部20cが小さく補強の必要がない場合などでは車路20の背面側に当て板231を介さず直接受入部232を取り付けても構わない。
【0029】
また、当て板231には、各開口部231aに対応する、両端に開口を有する断面矩形状の管体からなる2つの受入部232がそれぞれ接続されている。そして、この受入部232は車路20の側壁20bに対して横方向(パレット2の幅方向)に延びるように配置されている。受入部232の断面を矩形状にしているのは、車路20からの水を受け入れる間口を広くするためである。この受入部232は鋼板などからなり、水が流れる通路を確保するとともに後述する排水ホース233を支持するように構成されている。
【0030】
また、各受入部232の当て板231と反対側の外周部には、塩化ビニールなどの軟質材料からなる両端に開口部を有する管状の排水ホース233がそれぞれ差し込まれている。排水ホース233の差し込まれた部分の外周部には、ホースバンド234などが巻き付けられている。これにより、受入部232と排水ホース233とが連結される。排水ホース233の受入部232と反対側の端部(以下、排水部という)233aは、横方向(パレット2の幅方向)に向かうように配置されている。そして、排水ホース233の長さは排水ホース233を上下方向に変位可能な長さとしてある。具体的には、排水ホース233の取付などを考慮して排水ホース233の長さとして天井板21の幅の半分程度が望ましい。以上の構成により排水ホース233の排水部233aを容易に上下方向に変位させることが可能となる。
【0031】
なお、受入部232および排水ホース233の形状および設置個数は上述したものに限定されるものではなく、実際にはパレット2の形状などに応じて適宜設定される。
(b)変位部材25
図3(a)および(c)に示すように変位部材25は支持板24に取り付けられている。変位部材25は長板状のレバー251を備える。このレバー251は、その中央部が支持板24に連結ピン252によって回動可能に取り付けられている。これにより、レバー251の先端部を連結ピン252の軸心を中心として上下方向(図3(c)の矢符Y方向)に変位させることができる。
【0032】
また、レバー251の先端部にはワイヤなどの締結部材253が取り付けられており、この締結部材253が上記2つの排水ホース233の排水部233aを一体としてこれらの外周に巻き付けられている。これにより、レバー251の先端部と両排水部233aとが連結される。従って、レバー251の先端部を上下方向(図3(c)の矢符Y方向)に変位させることにより両排水部233aを上下方向に変位させることができる。
【0033】
変位部材25は、両排水部233aを天井板21の下面に当接するように付勢するバネなど付勢部材254を備える。付勢部材254の各端部は、レバー251の先端部に設けた連結部255と支持板24から突設する連結部256とにそれぞれ取り付けられている。この連結部256は、レバー251の先端部に作用する付勢部材254の力の方向を天井板21側にするためにレバー251の回動支点たる連結ピン252の取付位置より天井板21側に配置されている。これにより、両排水部233aは天井板21の下面に当接するように付勢される。なお、両排水部233aが天井板21の下面に当接する位置が、両排水部233aから水が流出しない上部位置である。
【0034】
以上の構成では、レバー251の後端部に後述する作動部材30が上向きに作用することにより、レバー251の先端部が付勢部材254の付勢力に抗して連結ピン252の軸心を中心として回動してレバー251の後端部より鉛直下方の位置に変位する。これにより、両排水部233aがレバー251の先端部とともに下方に変位され車路20内の水が外部に排出される。なお、このときの両排水部233aの位置が両排水部233aから水が排出される下部位置である。
【0035】
次に、上記レバー251の後端部に作用する作動部材30について図4に基づいて説明する。図4(a)は本発明の一参考例に係るパレット用排水装置に使用される作動部材の旋回装置上の配置を示す平面配置図であり、図4(b)は図4(a)のC−C線矢視図である。
【0036】
図4(a)および(b)に示すように作動部材30は旋回装置5の上部に突設されている。この作動部材30は、エレベータ3が入出庫階Eまで下降してパレット2がエレベータ3から旋回装置5の上部に受け渡されたときにレバー251の後端部を上方に押動するように配設されている。この作動部材30は先細の板状体30aからなり、その基端部は旋回装置5の上部に固着されている。また、板状体30aの先端部には、レバー251の後端部に容易に当接させるための円筒状の部品30bが取り付けられている。
【0037】
これにより、エレベータ3が下降してパレット2が旋回装置5の上部に載置されたときに円筒状の部品30bが付勢部材254の付勢力に抗してレバー251の後端部を上方に押し上げる。その結果、レバー251が連結ピン252の軸心を中心として回動されレバー251の先端部とともに排水部233aが下部位置まで下降し車路20内の水が排出される。なお、この水は入出庫階Eの排水溝(図示せず)に排出される。
【0038】
上述した参考例の変形例として、上述したパレット用排水装置を天井板21の長手方向の両端部の下方の空間に配置することもできる(図5(a)参照)。もちろん、併せて、上述したように天井板21の長手方向の中央部の下方の空間にパレット用排水装置を配置しても構わない。これにより、車路20の長手方向の両端部が撓んだ場合であっても、車路20の両端部の底部20aに溜まった水を残さず排出することができる。なお、この変形例と上述した参考例との相違点は作動部材の構成にあるので、ここでは作動部材の構成について説明する。また、上述した参考例と同等の部品には同一符号を付し詳細説明を省略する。
【0039】
図5(a)はパレット用排水装置がパレットの天井板の長手方向の両端部の下方の空間に設けられている場合における作動部材の配置を示す側面図であり、図5(b)はその作動部材の構成を示す図である。
【0040】
作動部材30は、パレット用排水装置に対応する位置にそれぞれ配設されている。具体的には、作動部材30は、エレベータ3および旋回装置5を挟むように配置され、ピット6内の床面に立設された載置台40上に設置されている。なお、載置台40の高さは作動部材30の作動範囲に応じて適宜設定される。
【0041】
図5(b)に示すように作動部材30は、レバー251の後端部を上方に押動する第1アーム31を備える。第1アーム31は長板状をなしており、その中央部はこれを上下方向に移動させる移動装置32上に設置されている。この移動装置32は載置台40上に設置されており、モータ32aと、このモータ32aにより駆動される長板状の第2アーム32bとを備える。この第2アーム32bは、モータ32aの駆動によってその先端部が水平方向から鉛直上方(図5(b)の矢符R方向)にその基端部を中心として回動するようになっている。また、この第2アーム32bの先端部は第1アーム31の中央部に当接している。従って、モータ32aによって第2アーム32bの先端部が上下方向に移動させられると、これによって第1アーム31の中央部も上下方向に移動せしめられる。
【0042】
また、第1アーム31の一端部は、移動装置32によって第1アーム31の中央部が上方に押し上げられたときにレバー251の後端部を上方に押動するようになっている。また、第1アーム31の他端部は載置台40上に固定されておらず、レバー251を上方に押動させる力に対抗するように設定された重量の錘33が懸架されている。そのため、後述するパレット2が傾きまたは撓みを生じて第1アーム31の一端部に過大な力が作用するような特別の場合を除き、この錘33はその自重により載置台40上に位置するようになっている。
【0043】
以上の構成では、第2アーム32bの先端部が鉛直上方に回動されることにより第1アーム31の中央部が上方に押し上げられる。しかし、第1アーム31の他端部には錘33が懸架されているので、第1アーム31の他端部は変位しない。その結果、第1アーム31の他端部を支点として第1アーム31の一端部が上昇する。これにより、レバー251の後端部は上方に押動される。その結果、レバー251の先端部および排水ホースの排水部(図示せず)が下部位置まで下降し車路20内に溜まっている水は外部に排出される。
【0044】
また、パレット2が傾きまたはたわみを生じ、パレット2の下面から第1アーム31の一端部に過大な力が作用した場合には、第1アーム31の一端部は下方(図5(b)の矢符Y1方向)にパレット2の傾きまたはたわみに対応した量Zだけ下降する。その結果、第1アーム31と第2アーム32bとの当接する部分を支点として第1アーム31の他端部が回動され、第1アーム31の他端部に懸架される錘33は上方(図5(b)の矢符Y2方向)に持ち上げられる。これにより、作動部材30がパレット2から過大な力を受けることを回避することができる。
【0045】
次に、本発明の実施形態に係るパレット用排水装置について図6〜図8に基づいて説明する。このパレット用排水装置は、図1に示した駐車塔10が車両Mの入庫方向に連設された縦列式立体駐車設備にも適用可能である。その詳細は後述する。なお、上述した参考例と同等の部品には同一符号を付し詳細説明を省略する。
【0046】
図6は、縦列式立体駐車設備におけるエレベータ、旋回装置、および、パレットを昇降する昇降デッキの配置を示す平面図であり、(a)は車両が昇降デッキ上を通過する場合を、(b)は昇降デッキ上にパレットが載置された場合を示している。図7は図6(b)のD−D線矢視図である。図8は、図6(b)のE−E線矢視図であり、昇降デッキに載置される作動部材の側面図である。
【0047】
図6(a)および(b)に示すように縦列式立体駐車設備の入出庫階Eには、車両Mを入出庫する部屋が2つ連設されている。図示するように、入口側の部屋にはピット6が設けられており、このピット6内の床面にパレット2を旋回する旋回装置5が立設されている。
【0048】
また、エレベータ3はパレット2を載置するためのデッキ3aを備える。このデッキ3aの中央部には、旋回装置5が遊挿される開口部3bが設けられている。そして、エレベータ3が入出庫階Eに下降してきたときに旋回装置5が上記開口部3bに遊挿されるようにしてデッキ3aが下降する。このとき、パレット2がエレベータ3から旋回装置5に受け渡されるようになっている。
【0049】
このエレベータ3の両側に上下方向に昇降可能な昇降デッキ50が設けられている。この昇降デッキ50は、奥側の部屋に車両Mを入庫するときに入口側の部屋にデッキ3aおよび旋回装置5とともに奥側の部屋への車両通行路を形成するためのものである。なお、この昇降デッキ50が可動デッキに該当する。
【0050】
この昇降デッキ50は、ピット6内の床面にそれぞれ立設されており、上下方向に3段階に昇降デッキ50上のパレット2を載置する載置面(以下、単に載置面という)51の位置を変更することができるように構成されている。すなわち、図6(b)に示すようにパレット2が旋回装置5によって略90°(図6(b)の矢符R1方向)旋回される場合には、昇降デッキ50の載置面51はパレット2に干渉しない第1設定位置に位置する。パレット2に車両Mを搭載する場合には、昇降デッキ50の載置面51はパレット2の下面を支持してその傾きまたはたわみを矯正する第2設定位置に位置する。奥側の部屋に車両Mを入庫する場合には、昇降デッキ50の載置面51はデッキ3aおよび旋回装置5とともに車両通行路を形成するために入口側の部屋の床面(車両Mの乗り入れ面)と略同一レベルの第3設定位置に位置する。
【0051】
また、各昇降デッキ50の中央部には、後述するパレット用排水装置のレバー251を作動させる作動部材60がそれぞれ立設されている。この設置位置は、作動部材60が、昇降デッキ50上を通過する車両Mに干渉することなく、かつ昇降デッキ50が上昇してパレット2の下面を支持したときにパレット2の両車路20間に位置してレバー251の後端部に作用するように設定されている。
【0052】
図7に示すように本変形例に係るパレット用排水装置では、レバー251を支持する支持板24が、その長手方向がパレット2の幅方向になるように天井板21の下面に立設されている。
【0053】
この支持板24の両側面には、2つの長板状のレバー251がその中央部を支点として回動可能にそれぞれ取り付けられている。両レバー251の回動中心は水平方向に互いに所定の距離を離隔して設けられている。両レバー251の後端部は、1つの作動部材60により上下方向に変位させることができるように側面視で互いに交差するように配置されている。ただし、両レバー251の間には支持板24が介在するので、両レバー251の回動動作は干渉しない。また、レバー251の先端部は互いに離反する方向に、すなわち相対向する側壁20bにそれぞれ向かって配置されている。そして、両レバー251の先端部には、相対向する側壁20bにそれぞれ取り付けられた排水部材23の排水ホース233の排水部233aがそれぞれ連結されている。また、レバー251には付勢手段(図示せず)が取り付けられており、この付勢手段により両排水部233aが天井板21の下面に当接するように付勢されている。
【0054】
この構成では、昇降デッキ50上に配設された作動部材60が、昇降デッキ50の昇降動作によって両レバー251の後端部を上方に変位させる。これにより、両レバー251の先端部が付勢部材の付勢力に抗して下方に変位される。その結果、両排水部233aが下部位置まで下降して車路20内の水が排出される。逆に、昇降デッキ50が下降した場合には、両排水部233aが付勢部材の付勢力により天井板21の下面に当接される。これにより、両排水部233aが上部位置になり車路20内に水を溜めることが可能になる。
【0055】
さらに、作動部材60について詳しく説明する。図8に示すように作動部材60は、レバー251を押動する略L字状の第3アーム61を備える。なお、この第3アーム61が変位棹に該当する。第3アーム61のL字の長辺部分の端部は、昇降デッキ50の載置面51に立設された連結部52に回動自在に取り付けられている。第3アーム61のL字の長辺部分の途中の下部には、昇降デッキ50の載置面51が上記第3設定位置に上昇したときに第3アーム61が載置面51から突出する量を所定量に制限するために引っ張るワイヤ63aの一端が懸架されている。なお、所定量は載置面51から車両M本体の下面までの距離に応じて適宜設定される。
【0056】
このワイヤ63aの他端には、第3アーム61の載置面51からの突出量を制限するための、先端を拡径した棒状体63bがその先端を下方に向けて固着されている。この棒状体63aの拡径されていない部分は昇降デッキ50の下方の枠体55に設けられた貫通孔56に遊挿されている。なお、棒状体63bの拡径された先端の外径は、棒状体63bの先端がこの貫通孔56を通過しないように貫通孔56の内径より大きく設定されている。また、枠体55は、載置面51の昇降に連動することなく所定の場所に固定されている。すなわち、貫通孔56の位置は固定されている。この位置は、昇降デッキ51の載置面51が第2設定位置から第3設定位置に上昇する途中で棒状体63bの先端が貫通孔56に引っ掛かるように設定されている。
【0057】
また、第3アーム61のL字の短辺部分の端部には、下方に変位した第3アーム61を元の位置に戻すために上方に付勢するための付勢部材62の一端が取り付けられている。この付勢部材62はバネなどからなる。そして、付勢部材62の他端は、昇降デッキ50の上部の枠体53の下部から水平方向に延設された支持部54に取り付けられている。そして、付勢手段62はこの支持部54を基点として上方に伸縮するようになっている。この枠体53および支持部54はいずれも昇降デッキ50の昇降する部分に取り付けられている。従って、昇降デッキ50の昇降動作によって付勢手段62が伸縮されることはない。
【0058】
以上の構成では、図8(a)に示すようにパレット2が旋回するときには、昇降デッキ50の載置面51は車両Mの乗り入れ面より下方の第1設定位置にある。その後、昇降デッキ50が第2設定位置まで上昇してその載置面51にパレット2が当接すると、第3アーム61のL字の角部がレバー251の後端部に当接してレバー251の後端部を上方に押動する。そして、レバー251の先端部が下方に変位される。これにより、レバー251の先端部に連結される排水部233aも連動して下方に下部位置まで変位され、車路20内に溜まった水は排水部233aから排出される。さらに、昇降デッキ50を第1設定位置(図8(a)に示す状態の位置)まで下降するとレバー251の付勢部材により排水部233aはもとの上部位置まで上昇する。さらに、昇降デッキ50が第3設定位置まで上昇すると、棒状体63bの先端が貫通孔56に引っ掛かり棒状体63bがワイヤ63aを介して第3アーム61を下方に引っ張る。これにより、付勢部材62が圧縮され第3アーム61の載置面51からの突出量が所定量に抑えられる。そして、この状態から昇降デッキ50を下降すると付勢部材62により第3アーム61の載置面51からの突出量はもとに戻る。
【0060】
【発明の効果】
本発明では、パレットの高さを大幅に増やすことなくパレット上に溜まる水を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るパレット用排水装置が適用されるエレベータ式駐車装置の一部分を示す正面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るパレット用排水装置が適用されたパレットを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るパレット用排水装置の構成を示す図であり、(a)は図2に示したパレットの部分背面図であり、(b)は(a)のA−A線矢視図であり、(c)は(a)のB−B線矢視図である。
【図4】本発明の参考例に係るパレット用排水装置に使用される作動部材の構成を示す図であり、(a)は作動部材の旋回装置上の配置を示す平面配置図であり、(b)は(a)のC−C線矢視図である。
【図5】本発明の参考例の変形例に係るパレット用排水装置に使用される作動部材の構成を示す図であり、(a)はパレット用排水装置がパレットの天井板の長手方向の前後部の下方の空間に設けられている場合における作動部材の配置を示す側面図であり、(b)はその作動部材の構成を示す図である。
【図6】縦列式立体駐車設備におけるエレベータ、旋回装置、および、パレットを昇降する昇降デッキの配置を示す平面図であり、(a)は車両が昇降デッキ上を通過する場合を、(b)は昇降デッキ上にパレットが載置された場合を示している。
【図7】図6(b)のD−D線矢視図である。
【図8】図6(b)のE−E線矢視図であり、昇降デッキに載置される作動部材の側面図である。

Claims (6)

  1. 機械式駐車装置に備えられた、断面凹状の車路を有する車両搭載用のパレットに適用されるパレット用排水装置であって、
    上記駐車装置が、上記パレットを搭載して昇降するエレベータと、入出庫階に設置された、該エレベータから受け渡されたパレットを旋回する旋回装置と、該旋回装置に隣接して設けられた可動デッキとを備えるエレベータ式駐車設備に適用されるパレット用排水装置であり、
    上記車路の底部上面の長手方向の両端部に立設された、車路上に水を溜めるための堰部と、
    上記車路の側壁の外方に取り付けられた、車路に連通して車路上に溜まった水を排出する排水手段と、
    上記車路の側壁の外方に取り付けられた、排水手段を変位させる変位手段と、
    上記駐車装置の入出庫階に設けられた、上記変位手段を作動させる作動手段とを備えており、
    上記排水手段が上記車路からの水を受け入れる受入部と受け入れた水を排出する排水ホースとを有し、該排水ホースが上記変位手段によって排水ホースから水が流出しない上部位置と水が排出される下部位置とに変位させられるように構成されており、
    該受入部が上記車路の側壁に連通して取り付けられており、
    上記作動手段が上記可動デッキの上部に設けられており、
    該作動手段が、上記可動デッキが移動して旋回装置により旋回されたパレットの両端部を支持したときに上記変位手段を作動させるように構成されており、
    作動手段が変位手段を作動させたときに変位手段が上記排水ホースを上記下部位置に変位させるようになしてある、パレット用排水装置。
  2. 上記車路の底部から側壁に渡って設けられた上記受入部と対応する第1開口部に車路の背面側から当接した当て板をさらに備えており、
    該当て板は上記第1開口部に連通する第2開口部を備えており、
    該第2開口部に連通するように上記受入部が上記当て板に取り付けられている、請求項1記載のパレット用排水装置。
  3. 上記排水手段が上記車路の長手方向に複数配置されてなる、請求項1または2に記載のパレット用排水装置。
  4. 上記変位手段が、
    上記排水ホースに連結された先端部と、
    上記パレットに回動自在に取り付けられた中央部とを備え、
    該変位手段が、上記先端部を上記中央部を中心として上下方向に回動することにより上記排水ホースを上部位置と下部位置との間で変位させるように構成されてなる、請求項1記載のパレット用排水装置。
  5. 上記変位手段が、上記排水ホースを上記上部位置に保持するための付勢手段をさらに備えている、請求項4に記載のパレット用排水装置。
  6. 上記作動手段が、
    駆動装置と、
    該駆動装置によってその先端部が、上記パレットが入出庫階にきたときに上記変位手段を作動させるように上下方向に変位する変位棹とを備える、請求項1に記載のパレット用排水装置。
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