JP4024641B2 - 尻栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣りに用いる釣竿の尻栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の釣竿は、元竿と、元竿の穂先側に振出形式または並継形式で連結された複数の中竿と、中竿の穂先側に連結された穂先竿とを有している。一般に、この元竿にはリールを脱着自在に取り付け可能なリールシートが形成され、竿元側端部には脱着自在に尻栓と呼ばれる栓がネジ式等によって装着されている(例えば、特許文献1参照)。そして、釣人は、このリールシートにリールを装着し、元竿のリールシート付近及び竿元側端部などを把持してキャスティングやリトリーブなどの釣り操作を行う。
【0003】
ところで、キャスティング後のリトリーブ時や釣糸の巻き上げ時において、穂先側の竿のぶれを抑えるために、元竿の竿元側端部を身体の一部(例えば、胸や腹)に当ててリール操作を行うことがある。このようにリール操作を行うことによって、リトリーブ時のリールを巻き上げる速度や釣竿を構える角度等を安定させ、さらに、釣竿の構える角度を変化させ若しくは左右に釣竿を振りながら、釣りを行うのである。そこで、元竿の竿元側端部に別に腹当て等を装着した釣竿も提供されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
もっとも、上述のような一般的な尻栓を装着した従来の釣竿では、釣人は尻栓を腹や胸などに押し当てながら釣り操作を行うことになる。このため、釣人が釣竿の構える角度を変化させ若しくは左右に釣竿を振るなどの動作を行うと、尻栓も一緒に回転等して竿体へのネジ螺合が緩んでしまう場合がある。また、逆にネジ螺合の緩みを伴わない場合には、尻栓が釣人の腹上で滑りにくく釣り操作がし難くなるような場合もある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−060369号公報(図2)。
【0006】
【特許文献2】
特開2000−106789号公報(図2)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、身体に押し当てながら円滑に釣り操作をすることができる尻栓を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1の尻栓は、釣竿を構成する竿体の竿元側端部に脱着自在に装着される栓であって、外周面に竿体への装着部分を有する円筒体であり、竿元側端面に窓部分が形成された本体部と、窓部分からその一部が本体部外に露出するように本体部内に回動自在に収納された球体と、本体部の穂先側端面を閉塞する蓋部と
を備えている。
【0009】
この尻栓の本体部の装着部分を竿体の竿元側端部に装着した上で、釣人はこの尻栓を腹や胸などに当てて釣り操作を行う。この際、窓部分から外部に露出している球体が腹や胸などに当たることになる。釣竿を上下左右に振ったり回転させたりして釣り操作を行うと、この球体が釣竿の動作に伴って回転し、本体部自体は回転等しない。よって、例えば、装着部分をネジ式にしてもこれが緩み尻栓が外れることもなく、装着部分を嵌着式にしてもこれが緩み尻栓が外れることもない。また、釣竿の上下左右乃至回転運動もスムーズである。
【0010】
発明2の尻栓は、発明1の尻栓であって、本体部の竿元側端面は竿元側方向に凸状に球面化されている。
本体部の竿元側端面自体が球面化されており、球体の回転のみに留まらず、球体以外の尻栓の本体部の竿元側端面の滑りによっても、釣竿の上下左右乃至回転運動がスムーズになる。
【0011】
発明3の尻栓は、発明1または2の尻栓であって、蓋部はゴム体であり、球体を竿元側方向に付勢している。
この蓋部が球体を竿元側方向に付勢することで、球体が外部に露出した本体部の竿元側端面を釣人が腹等に押し当てても、球体は本体部外にその一部を常に露出させる。
【0012】
発明4の尻栓は、発明1〜3の何れかの尻栓であて、蓋部には軸方向に貫通する貫通孔が形成されている。
例えば、中通し竿等にあっては、釣糸と共に釣糸に付着した水が竿体内部に侵入する場合も多い。このように竿体内に侵入した水は、竿元側端部に流れて蓋部の貫通孔から球体側へ流出する。そして、球体と窓部分との隙間から外部に排水される。特に、球体が回転しながら窓部分との隙間から排水するので、逆に、外部からの砂石などの内部への侵入は排除される。
【0013】
発明5の釣竿は、竿体と、発明1〜4の何れかの尻栓とを備える。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態を採用した尻栓10を装着した釣竿を図1に示す。この釣竿は、元竿1と、その穂先側に順次振出形式で連結される元上竿2,第1中竿3、第2中竿4及び穂先竿5から構成されている。これらの元竿1〜穂先竿5は、それぞれ炭素繊維やガラス繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻回して焼成して得られた先細り筒状部材である。そして、各竿体はそれぞれ穂先側に振り出した状態で順次連結固定可能なように、穂先側端部外周面乃至竿元側端部内周面に嵌合部分が形成されている。
【0015】
元竿1には、リール7を脱着自在に装着可能なリールシート6が周面に配置されており、さらに、竿元側端部には後述の元竿10が脱着自在に装着されている。元上竿2の穂先側の周面にはリール7からの釣糸Lを竿体内部に導入するための釣糸導入口9が形成されている。穂先竿5の穂先側端部にはトップガイド8が脱着自在に装着されている。そして、リール7からの釣糸Lは釣糸導入口9から元上竿2内に導入され、順次穂先側の竿体へとその内部を挿通し、トップガイド8から外部に導出されている。
【0016】
次に、元竿1の竿元側端部に装着されている尻栓10について、図2及び図3に示しながら説明する。
尻栓10は、略円筒型の本体部11と、本体部11内に収納される球体12と、本体部11の穂先側を閉塞する蓋部13とから構成されている。
本体部11は、元竿1の竿元側端部内周面に形成されるねじ溝に螺着するねじ溝が外周面に形成されているねじ部分と、ねじ部分の竿元側に連続してねじ部分より大径且つ元竿1の外径に沿うようにフランジ状に張り出した頭部分とからなる。金属若しくは硬質合成樹脂等から形成される。本体部11はその内部が軸方向に貫通しているが、竿元側端面(頭部分側の端面)は竿元側方向に凸状の半球面化されている。そして、竿元側端面の径方向中央付近が窓部分11aとなっている。この窓部分11aは本体部11の穂先側端面の開口より小径の窓であり、球体12の直径より小さく設定される。また、本体部11の穂先側の内周面にも別途ねじ溝が形成されている。
【0017】
球体12は、金属若しくは硬質合成樹脂等から構成される球部材である。上述の本体部11内に収納され、その一部が上述の窓部分11aから本体部11の竿元側に向かって外部に露出する。
蓋部13は、本体部11の穂先側の開口を塞ぐ蓋栓である。ウレタンゴム等の弾性ゴムから構成される。この蓋部13は、本体部11の穂先側内周面のねじ溝に螺合するねじ溝を外周面に有しているねじ部分13aと、ねじ部分13aの竿元側にねじ部分13aより小径に竿元側に向かって突出する当て部13bと、ねじ部分13aの穂先側において大径且つ本体部11の外径に沿うようにフランジ状に張り出した頭部13cとからなる。当て部13bの竿元側端面は穂先側に凹入する球面となっており、上述の球体12に当接する。また、この蓋部13には頭部10cから当て部13bまで軸方向に貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔は任意数設定可能である。
【0018】
このような尻栓10の本体部11のねじ部分を元竿1の竿元側端部に螺着した上で、釣人はこの尻栓10を腹や胸などに当てて釣り操作を行う。この際には、本体部11の窓部分11aから竿元側に向かって外部に露出している球体12が腹や胸などに当たる。釣竿を上下左右に振ったり回転させたりして釣り操作を行うと、この球体12が釣竿の動作に伴って回転し、本体部11自体は回転等しない。本体部11が不要な回転をしないので、本体部11の元竿1に対するねじ螺合が不要に緩むことなく尻栓10は外れにくい。また、球体12の上下左右方向の運動若しくは回転運動により、釣竿の上下左右乃至回転運動もスムーズになる。
【0019】
さらに、上述の釣竿のような釣糸が竿体内部を挿通するいわゆる中通し竿では、リール7に巻き上げられトップガイド8から各竿体内に戻ってくる釣糸Lと共に水が各竿体内に侵入する。釣竿を振り上げる等した際に、竿体内に侵入した水は竿元側端部まで流れ、尻栓10の蓋部13の貫通孔から球体12側へ流れ込む。そして、球体12の回転と共に窓部分11aとの隙間から外部に水が排水される。この際、外部から逆に砂や石などは入り込み難い。
【0020】
なお、この尻栓10では、蓋部13を本体部11に対してねじ式に装着しており、その螺合程度を調整することで、蓋部13の当て部13bの球体12への付勢程度を調整できる。その螺合程度を調整して、好みの球体12の回転調子を演出することもできる。
[第2実施形態]
上記実施形態の変形例である第2実施形態について、図面を参照し説明する。
【0021】
図4に示すように、第2実施形態を採用する尻栓20も、上記第1実施形態と同様に、元竿1の竿元側端部に脱着自在に装着されている。この尻栓20も、略円筒型の本体部21と、本体部21内に収納される球体22と、本体部21の穂先側を閉塞する蓋部23とから構成される。
本体部21は、元竿1の竿元側端部内周面に形成されるねじ溝に螺着するねじ溝が外周面に形成されているねじ部分と、ねじ部分の竿元側に連続してねじ部分より大径且つ元竿1の外径に沿うようにフランジ状に張り出した頭部分とからなる。竿元側端面の窓部分の構造も上記第1実施形態と同様であるが、本体部21の穂先側の内周面には別途ねじ溝は形成されない。
【0022】
球体22も、第1実施形態と同様である。本体部21内に窓部分から一部が露出するように収納されている。
蓋部23は、本体部11の穂先側の開口を塞ぐ蓋栓である。ウレタンゴム等の弾性ゴムから構成される。この蓋部23は、本体部21の穂先側内周面に外周面が嵌着する嵌着部分23aと、嵌着部分23aの穂先側において大径且つ本体部21の外径に沿うようにフランジ状に張り出した頭部23bとからなる。嵌着部分23aの竿元側端面は穂先側に凹入する球面となっており、上述の球体22に当接している。
【0023】
このような尻栓20にあっても、球体22が釣人の腹若しくは胸などに当接しつつ回動する。そして、不当に尻栓20の元竿1へのねじ螺合の緩みを抑えている。
[他の実施形態]
より大きな球体を本体部内に収納するために、図5に示すような尻栓30を用いることもできる。この尻栓30は、本体部31の竿元側に脱着自在に装着され径方向中央付近に窓部分が形成された底蓋34をさらに備えている。底蓋34を外した状態で本体部31の内部に竿元側から球体32を収納する。ゴム製の蓋部33は穂先側から球体32を付勢する。球体32は底蓋34の窓部分から竿元側にその一部を露出させている。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係る尻栓は、釣人が腹・胸などに押し当てながら釣り操作を行っても緩みにくく、また、釣竿の運動も阻害せず、釣り操作を円滑に為し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図2】本発明の第1実施形態を採用した尻栓10の断面図。
【図3】本発明の第1実施形態を採用した尻栓10の参考図。
【図4】本発明の第2実施形態を採用した尻栓20の断面図。
【図5】本発明の他の実施形態を採用した尻栓30を示した図。
【符号の説明】
1 元竿
10,20,30 尻栓
11,21,31 本体部
12,22,32 球体
13,23,33 蓋部
34 底蓋
Claims (5)
- 釣竿を構成する竿体の竿元側端部に脱着自在に装着される栓であって、
外周面に前記竿体への装着部分を有する円筒体であり、竿元側端面に窓部分が形成された本体部と、
前記窓部分からその一部が前記本体部外に露出するように前記本体部内に回動自在に収納された球体と、
前記本体部の穂先側端面を閉塞する蓋部と
を備えた、釣竿の尻栓。 - 前記本体部の竿元側端面は竿元側方向に凸状に球面化されている、請求項1に記載の釣竿の尻栓。
- 前記蓋部はゴム体であり、前記球体を竿元側方向に付勢している、請求項1または2に記載の釣竿の尻栓。
- 前記蓋部には軸方向に貫通する貫通孔が形成されている、請求項1〜3の何れかに記載の釣竿の尻栓。
- 竿体と、前記竿体の竿元側端部に脱着自在に装着された請求項1〜4の何れかに記載の尻栓とを備える釣竿。
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