JP4476515B2 - 釣糸係止具 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿の穂先側先端に設けられ釣糸を係止する釣糸係止具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の釣竿は、竿体と竿体の穂先側先端に設けられた、例えば「ヘビ口」と呼ばれる毛糸状の釣糸係止具を有するものがある。この釣竿では、釣人は「ヘビ口」の先端に釣糸を係止して魚釣りを行う。釣糸の先端の仕掛けに魚がかかって釣糸が左右に振れまた回転すると、「ヘビ口」が釣糸と共に回転して、竿体に釣糸が絡みつくのを抑えている。
【０００３】
しかし、このような「ヘビ口」と呼ばれる釣糸係止具では、魚が暴れて左右に釣糸が激しく振れた場合等において、釣糸が釣糸係止具に絡まってしまう場合もあった。そこで、先端に抜止部を有する金属製柱状部分を有する回転体を備えた釣糸係止具が考案され、これが提供されている。
【０００４】
この釣糸係止具は回転体の柱状部分に釣糸を係止して用いられる。魚が仕掛けにかかって釣糸が回転すると、釣糸が金属製柱状部分上で滑って回転し、または回転体自体が釣糸と共に回転し、釣糸が釣糸係止具に絡みつくのが抑えることになる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の金属製回転体を有する釣糸係止具は、釣糸の金属製回転体への絡みつきを防止する点では優れているが、魚が釣糸先端の仕掛けにかかり、強いテンションが釣糸に一気にかかった際に、釣糸が釣糸係止具との連結部分若しくは他の部分から切れてしまう恐れがある。
【０００６】
即ち、旧来の「ヘビ口」のような釣糸係止具では、仕掛けに魚がかかって釣糸の長手方向に一気にテンションがかかっても、「ヘビ口」自体が有する微妙な弾性によってテンションのかかり具合が緩和され、釣糸の切断が幾分緩和されるのに対し、金属製の釣糸係止具ではこのような釣糸へのテンションを十分に緩和し難い。このため、釣りを行っている際に、釣糸が切断されてしまうという恐れがある。
【０００７】
本発明の課題は、回転に優れて釣糸の絡みつきがなく、さらに釣糸の破損をも防止可能な釣糸係止具を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
発明１の釣糸係止具は、釣糸を係止するために穂先竿の穂先側先端に配置された釣糸係止具であって、穂先竿の穂先側先端に装着され穂先側端面に貫通孔を有する筒状の本体部と、本体部内に配置された円盤部分及び前記円盤部分に連結され貫通孔から穂先側に突出した柱状部分とを有する回転体と、本体部内の回転体の竿元側に配置された球体と、回転体を本体部内で竿元側方向に付勢する付勢部材と、回転体の柱状部分の穂先側先端に設けられた円盤状の抜止部とを備えている。
【０００９】
この釣糸係止具では、回転体の柱状部分上に釣糸を結び付けて係止して釣りを行う。釣糸の先端の仕掛けに魚がかかって釣糸が左右に振れまた回転すると、釣糸が柱状部分上で滑って回転し、若しくは釣糸とともに回転体も回転して、釣糸が柱状部に絡みつくのを防止している。また、釣糸の先端の仕掛けに魚がかかって、釣糸の長手方向に一気に強いテンションがかかった場合、付勢手段によって竿元側に付勢されている回転体は釣糸と共に本体部内において穂先側に移動可能である。この回転体の穂先側への移動が幾何のクッションとなって、釣糸の切断を防止する。
【００１０】
発明２の釣糸係止具は、発明１の係止具であって、本体部内の回転体の竿元側に配置される球体をさらに備えている。
この釣糸係止具では、本体部内の球体が回転体の回転をより円滑にしている。また、釣糸から穂先側方向へのテンションが回転体にかかっていない場合には、付勢手段が竿元側に回転体を付勢し、回転体と球体とを十分に密着させるので、回転体と球体とが本体部内で衝突して不快な音を発生することもない。
【００１１】
発明３の釣糸係止具は、発明１又は２の係止具であって、付勢部材はコイルバネであり、このコイルバネは回転体の柱状部分が貫通した状態で本体部内に配置されている。
【００１２】
この釣糸係止具では、コイルバネが回転体を竿元側に付勢している。
【００１３】
【発明の実施の形態】
［第１実施形態］
以下、本発明の第１実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【００１４】
本発明の第１実施形態を採用した釣竿は、図１に示すように、複数の竿体１と竿体１の竿元側端部に設けられたグリップ２と、竿体１の穂先側先端に固定された釣糸係止具１０とを有している。
【００１５】
竿体１はそれぞれ炭素繊維，ガラス繊維等の強化樹脂に合成樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻回して焼成し成形して得たものであり、先端が細いテーパ状の筒状部材である。複数の竿体１はそれぞれ振出形式または並継形式に連結されている。また、グリップ２は、竿体１の竿尻にはめ込まれ、接着剤等で接着された蓋付き円筒型部材であり、例えば、ウレタンゴム等のゴム系弾性体，コルク材等の木材等を加工して製造したものである。
【００１６】
釣糸係止具１０は、図２に示すように、もっとも穂先側に位置する竿体１（穂先竿）の穂先側先端に固定されたパイプ状の本体部１１と、本体部１１内の竿体側に回転自在に配置された球状部材１２と、本体部１１内の穂先側に球状部材１２に隣接して配置されている円盤部分及びその穂先側に突出して設けられ釣糸Ｌが係止される柱状部分からなる回転体１３と、回転体１３の柱状部分の穂先側先端に取り外し可能に設けられた円盤状の抜止部１４とを有している。また、回転体１３の柱状部分にはコイルバネ１５が装着されている。
【００１７】
本体部１１は、竿元側が開口し穂先側端面に貫通孔が形成された、チタン，スチール，ステンレスまたはこれらの合金からなる金属製若しくは硬質合成樹脂製の筒状部材である。そして、開口している竿元側から竿体１の穂先側先端が挿入されており、接着剤等で接着され固定されている。本体部１１の内径はおよそ１〜２ｍｍ程度であり、竿体１が挿入された残部分たる本体部１１の内部空間（球状部材１２及び回転体１３が収納される部分）は、およそ軸方向長さとして３〜８ｍｍ程度である。
【００１８】
球状部材１２は、本体部１１の内径よりやや小径の球状のものであり、チタン，ステンレス等の金属製または合成樹脂製部材である。回転体１３も球状部材１２と同様のチタン，ステンレス等の金属製または合成樹脂製部材である。そして、本体部１１の内径にほぼ合致した円盤状部分とこれと連結される柱状部分とからなる。柱状の部分が本体部１１の貫通孔より穂先側に突出した状態で本体部１１内に配置され、この回転体１３は球状部材１２と互いに当接しながら、それぞれ本体部１１内において周方向に回転自在となっている。且つ、回転体１３は、球状部材１２の穂先側の本体部１１内部空間において軸方向に移動可能となっている。
【００１９】
また、本体部１１の孔１１ａから穂先側に向かって突出している柱状部分の穂先側端部にはねじ山が形成され、雄ねじ部分となっている。そして、抜止部１４は径方向中心にねじ穴が形成された円盤状の部材であり、回転体１３の柱状部分の穂先側端部に螺合して固定されている。
【００２０】
一方、コイルバネ１５は本体部１１内において、回転体１３の柱状部分が螺旋の中を貫通した状態で回転体１３の柱状部分に装着されており、本体部１１の穂先側端面と回転体１３の円盤状部分とに挟まれるように位置している。
【００２１】
この釣糸係止具１０は釣竿１に以下のようにして取り付けられて製造される。
まず、抜止部１４が取り付けられていない回転体１３にコイルバネ１５を装着し、柱状部分が孔から突出するようにして、回転体１３を本体部１１内に配置する。そして、本体部１１内の回転体１３の竿元側に球状部材１２を収納する。この際、球状部材１２及び回転体１３が本体部１１内に良好に回転できるように、本体部１１の内周面には必要に応じてグリース等の潤滑剤が塗布される。なお、球状部材１２及び回転体１３にも潤滑油を塗布してもよい。次に、本体部１１の開口側から竿体１の穂先側先端を挿入する。竿体１の穂先側先端外周には接着剤が塗布されており、この接着剤によって竿体１の穂先側先端に本体部１１が固定される。その後、回転体１３の柱状部分の穂先側端部に抜止部１４を取り付ける。
【００２２】
このように構成された釣糸係止具１０は、図２に示すように、回転体１３の柱状部分上に釣糸Ｌを結び付けて係止して用いられる。ここで、コイルバネ１５は、通常、回転体１３の円盤部分を本体部１１に対して相対的に竿元側に付勢して回転体１３と球状部材１２とを密着させており、回転体１３と球状部材１２との不要な接触音は発生しない。
【００２３】
釣糸Ｌの先端の仕掛けに魚がかかって釣糸Ｌが左右に振れまた回転すると、釣糸Ｌが柱状部分上で滑って回転し、若しくは釣糸Ｌとともに回転体１３も回転して、釣糸Ｌが柱状部乃至回転体１３に絡みつくのを防止する。この際、回転体１３の回転は、その竿元側に隣接する球状部材１２の回転によってさらに円滑化される。
【００２４】
また、釣糸Ｌの先端の仕掛けに魚がかかって、釣糸Ｌの長手方向に一気に強いテンションがかかって釣糸Ｌが穂先側に引かれた場合、回転体１３は釣糸Ｌと共に本体部１１内において穂先側に移動する。この回転体１３の穂先側への移動が幾何のクッションとなって、一気に釣糸Ｌに過大なテンションのを抑え、釣糸Ｌの切断を防止している。
【００２５】
［他の実施形態］
（ａ）図３に示すような、釣糸係止具２０を構成することも可能である。
この釣糸係止具２０は、第１実施形態と異なり、球状部材２２が２つ配備される。また、回転体２３の柱状部分の穂先側先端は他の部分に比べてやや小径であり、二股に縦割りされている。そして、この穂先側先端がハトメ部２３ａとなっている。このハトメ部２３ａに円盤状の抜止部２４がハトメの要領で過締めて固定されている。
（ｂ）また、上述の実施形態においては本体部内に球状部材を配置したものを例示しているが、図４に示すように、特に球状部材を配置することなく、釣糸係止具３０を構成することも可能である。
【００２６】
【発明の効果】
本発明に係る釣糸係止具によれば、糸絡みを抑えると共に使用時に釣糸が切断してしまうのも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図２】図１の釣糸係止具１０の拡大断面図。
【図３】本発明の他の実施形態を採用した釣糸係止具２０の拡大断面図。
【図４】本発明の他の実施形態を採用した釣糸係止具３０の拡大断面図。
【符号の説明】
１ 竿体
１０，２０，３０ 釣糸係止具
１１，２１ 本体部
１２，２２ 球状部材
１３，２３ 回転体
１５，２５ コイルバネ
Ｌ 釣糸

Claims (3)

1. 釣糸を係止するために穂先竿の穂先側先端に配置される釣糸係止具であって、
   穂先竿の穂先側先端に装着され穂先側端面に貫通孔を有する筒状の本体部と、
   前記本体部内に配置された円盤部分及び前記円盤部分に連結され前記貫通孔から穂先側に突出した柱状部分を有する回転体と、
   前記回転体を前記本体部内で竿元側方向に付勢する付勢部材と、
   前記回転体の柱状部分の穂先側先端に設けられた円盤状の抜止部と
   を備えた釣糸係止具。
2. 前記本体部内の前記回転体の竿元側に配置される球体をさらに備える、請求項１に記載の釣糸係止具。
3. 前記付勢部材はコイルバネであり、前記コイルバネは前記回転体の柱状部分が貫通した状態で前記本体部内に配置されている、請求項１または２に記載の釣糸係止具。

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