JP4023772B2 - 珪藻類の生産装置 - Google Patents
珪藻類の生産装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4023772B2 JP4023772B2 JP2001082651A JP2001082651A JP4023772B2 JP 4023772 B2 JP4023772 B2 JP 4023772B2 JP 2001082651 A JP2001082651 A JP 2001082651A JP 2001082651 A JP2001082651 A JP 2001082651A JP 4023772 B2 JP4023772 B2 JP 4023772B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diatoms
- base surface
- diatom
- substrate
- propagated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A40/00—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
- Y02A40/80—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
- Y02A40/81—Aquaculture, e.g. of fish
Landscapes
- Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
- Artificial Fish Reefs (AREA)
- Cultivation Of Seaweed (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、珪藻類の生産装置及び珪藻類の生産方法、詳しくは、ジェット水流等の珪藻類の剥取り手段を利用した珪藻類の生産装置及び珪藻類の生産方法、並びに該珪藻類の生産装置を用いた赤潮発生の防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
淡水にも海水にも見い出される代表的な植物プランクトンである珪藻は、単細胞の特殊な形態の藻類で、単細胞性であるが、細胞はすべて二つの行李状に重なった殻に覆われ、外側の殻は上殻、内側の殻は下殻と呼ばれている。これら珪藻の中でも付着性珪藻は、それぞれの種に特異的な付着器をもち、固体表面に付着することによって自身の生活を維持するとともに増殖し種の分布を広げようとすることが知られており、例えば、塩化ビニール板状に付着・増殖する珪藻の微細な分布と分散の様式について、(1)分裂するとともに活発に滑走をして分布を広げているもの、(2)滑走運動が不活発で密集した集落を形成するもの、(3)付着柄や盤状付着器によって強固に付着しながら増殖し、垂直方向に立体的な群体を形成するもの、の3種のパターンがみられることが報告(養殖研報,7,83〜90,1985)されている。
【0003】
従来、これら付着珪藻の増殖方法として、例えば、特開昭59−59129号公報には、日光のあたる海水中に、その表面に珪藻等を繁殖させることができる多数の穴や凹凸を設けたガラス質基板を漁礁構造体に装着してなる人工漁礁が開示されているが、この人工漁礁では表面積が限られている上に、定期的にガラス質基板をブラシなどで清掃する必要があり、凹凸面のブラシ清掃は多大の作業時間と重労働を要するという問題があった。また、特開平9−172890号公報には、ウニやアワビなどの種苗生産を行う際の初期餌料として使用される付着珪藻の増殖させるために、珪藻の付着手段を備える水槽に海水を流入させながら換水するとともに空気を供給することにより珪藻を増殖する方法であって、ケイ素、リン、2価の鉄を一定量以上含む鉄分などからなるガラス状増殖材および窒素肥料を海水の流入位置近傍に配置し、流入する海水や空気によるエアレーションで生じた水流をこの増殖材および窒素肥料に接触させて増殖成分を海水中に溶出させる方法が記載されている。この方法では増殖した珪藻を餌料とすることができるが、餌料としない場合には、珪藻付着部(合成樹脂製波板)表面上の珪藻の増殖には限界があった。
【0004】
他方、植物プランクトン等の異常な大増殖に伴い、水が赤っぽく変色する赤潮現象はよく知られている。赤潮の原因となる主な植物プランクトンとしては、珪藻類と鞭毛藻類を挙げることができるが、植物プランクトンの種類によって漁場や海苔養殖場等の養殖漁業に与える影響が異なり、例えば、これまで珪藻類の増殖によって発生する赤潮が漁業に損害を与えた事例は殆どなく、むしろ、植食生物の餌料として歓迎される場合が多い。しかし、シャットネラ、ヘテロカプサなどの鞭毛藻類の増殖によって発生する赤潮は、養殖漁業等を中心とする漁業に大きな損害を与えることが知られている。珪藻類と鞭毛藻類は共に植物プランクトンであるが、双方が同時に高い密度で共存することが見られないことから、両者は競合関係にあるとされ、日光があたって水温が上昇し、両者が共に増殖する条件が整っている場合には、鞭毛藻類よりも珪藻類の方が優勢であることが知られている。例えば、春になって海水の温度が上昇し、冬の間に蓄積された栄養塩を利用してスプリングブルームと呼ばれる珪藻類の大増殖が起こると、鞭毛藻類による赤潮の発生は抑制される。シャットネラ、ヘテロカプサなどの鞭毛藻類は、発生期である夏季を除く年間の大部分の季節をシスト(胞子)として海底で過ごし、この間はいわゆる休眠状態にあるが、海底の水温が20℃に上昇する初夏に発芽し、この発芽期に表層水中に鞭毛藻類の有力な競争者である珪藻類等が存在しないと、鞭毛藻類が異常に増殖して有害な赤潮が発生すると考えられている。
【0005】
このような珪藻類と鞭毛藻類との相互関係を利用して、赤潮の発生を防止しようとする技術も知られている。例えば、特開平10−94341号公報には、有害赤潮の予防方法として、海面または海中に浮体を設置し、ケイ素を含有したガラス質材料であって、ケイ素の溶出速度の大きいガラス質材料からなる珪藻類の増殖材を前記浮体に装着することによって海水に浸し、周囲の海水中にケイ素を溶出させ、前記ケイ素の供給により珪藻類の増殖を促進させて、周囲の海水中の栄養塩濃度を低下させることにより、鞭毛藻類の増殖を抑制する方法が記載されている。また、特開平11−196697号公報には、人工魚礁・増殖礁・養殖施設を利用した太陽光利用ケーブルによって植物プランクトン増大・藻場造成の活性化、炭酸ガス吸収による地球温暖化防止対策・栄養塩利用による赤潮防止対策、水産資源増大に利用するために、指定した方向に曲げられた光ケーブル照射レンズにより太陽光を海底に照射集配し植物プランクトン増大・藻場造成の活性化を促進するシステムが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
珪藻には単独性の種と群体性の種があり、共に浮遊性のものと付着性のものが知られている。浮遊性の珪藻は鞭毛などによって積極的に浮遊しているわけではなく、波浪等により攪拌されない場合は光合成のできない暗い海底へ沈んでしまう。これに対して、付着性の珪藻は、付着基材が海面や湖面付近に配設される場合は、日照時には常時光合成を行うことができ、安定的に増殖することができるが、付着基材表面が増殖した珪藻で覆われると、珪藻の繁殖が停止するという問題があった。本発明の課題は、鞭毛藻類と珪藻類がともに増殖しうる条件下では、鞭毛藻類より珪藻類が優勢に増殖するという知見に基づいて、鞭毛藻類の競争者である珪藻類を海(湖)域に供給することによって、養殖漁業に莫大な損害を与える鞭毛藻類の異常繁殖による赤潮の発生を未然に防止する方法や、珪藻類を所定海(湖)域に長期にわたって簡便かつ多量に供給するための珪藻類の生産装置や、かかる生産装置を用いる珪藻類の生産方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究する過程で、水(例えば、海水、湖水など)中に新しい基面が露出すると、付着性珪藻類が驚くほど急速に増殖することを見い出した。すなわち、いままで水に触れていなかった新たな基体が水中に配置されると、海草や貝類等の他の付着性水生生物より先に、その表面である基面が珪藻類で覆われることを観察した。基面を覆う珪藻類が一定厚さに達すると、珪藻類の増殖速度は飽和し、次いで他の水生生物が繁殖することも観察されたが、この増殖速度が飽和する前の繁殖活性期間に、珪藻類が繁殖した基面から付着性珪藻類をジェット水流で剥ぎ取り、珪藻類が繁殖していない基面を露出させてやれば、その新たに露出した基面を再び高速増殖面として利用し珪藻類が急速に増殖するという知見を得た。かかる知見に基づき、基面での珪藻類の繁殖と剥ぎ取りを繰り返すと、効率よく珪藻類を連続的に生産することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、(1)基面に珪藻類を増殖させることができる基体と、前記基面に繁殖・付着した珪藻類の剥取り手段と、珪藻類が剥ぎ取られた基面に珪藻類が増殖する間、基体を海(湖)水中に保持する保持手段と、採苗手段と、採苗手段から採取されたプランクトンを選別するプランクトン選別手段と、選別された珪藻類を基体の剥ぎ取られた基面上に撒布する撒布手段とを備え、海(湖)上に設置されることを特徴とする珪藻類の生産装置や、(2)珪藻類の剥取り手段が、ジェット水流であることを特徴とする上記(1)記載の珪藻類の生産装置や、(3)基体が、回転しうる円板から構成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の珪藻類の生産装置や、(4)プランクトン選別手段と撒布手段との間に、選別された珪藻類に栄養を与える栄養付与手段を設けることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の珪藻類の生産装置に関する。
【0009】
また本発明は、(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の珪藻類の生産装置を用いた珪藻類の生産方法であって、基面に珪藻類を増殖させることができる基体を海(湖)水中に浸漬し、前記基面に増殖した珪藻類の繁殖活性期間又はその終了後に、基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取り、珪藻類を増殖させることができる基面を新たに露出させ、新たに露出した基面に、選別された珪藻類を付着させることを特徴とする珪藻類の生産方法や、(6)ジェット水流を用いて、基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取ることを特徴とする上記(5)記載の珪藻類の生産方法や、(7)基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取り、新たに露出した基面に珪藻類を増殖させることを繰り返し行うことを特徴とする上記(5)又は(6)記載の珪藻類の生産方法や、(8)上記(1)〜(4)のいずれか記載の珪藻類の生産装置を、赤潮発生の可能性のある水域に設置することを特徴とする赤潮発生の防止方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の珪藻類の生産装置としては、基面に珪藻類を増殖させることができる基体と、前記基面に繁殖・付着した珪藻類の剥取り手段と、珪藻類が剥ぎ取られた基面に珪藻類が増殖する間、基体を水中に保持する手段とを備えたものであれば特に制限されるものではなく、また、本発明の珪藻類の生産方法としては、基面に珪藻類を増殖させることができる基体を水中に浸漬し、前記基面に増殖した珪藻類の繁殖活性期間又はその終了後に、基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取り、珪藻類を増殖させることができる基面を新たに露出させる方法であれば特に制限されるものではないが、上記珪藻類とは付着性珪藻類を意味する。本発明の珪藻類の生産装置は、通常海(湖)上に設置されるが、陸上のタンク中に設置して、人工の海水を用いて珪藻類を増殖させ、放出された珪藻類を必要個所に配送することもできる。
【0011】
本発明の珪藻類の生産装置における上記珪藻類の剥取り手段としては、基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取ることができる手段であればどのような手段でもよく、高圧で噴射する水流により基面に付着した珪藻類を剥ぎ取るジェット水流や、基面に付着した珪藻類を機械的に削り落とすスクレパー等を具体的に例示することができるが、海(湖)水が豊富に存在する環境下で用いられること、基面を損傷させることなく、長期にわたる基面の繰り返し利用が可能なことから、ジェット水流が好ましい。ジェット水流の噴出速度としては、線速度5m/s以上、特に10m/s以上が好ましいが、ジェット水流のノズルの先端から珪藻類を取り剥がす位置までの距離が一定でない場合は、ジェット水流の衝撃圧が等しくなるように噴出速度を変化させることもできる。また、スクレーパーを用いる場合は、その刃縁を基面の上面に摺接するように設けることが好ましい。
【0012】
剥取り手段による基面に繁殖・付着した珪藻類の剥ぎ取りは、基面に増殖した珪藻類の繁殖活性期間又はその終了後に行うことが、珪藻類の生産効率の点で好ましい。すなわち、珪藻類が繁殖して基面を覆い尽くし、珪藻類の増殖速度が低下し始めるたときに珪藻類を剥ぎ取ると、珪藻類を多量に生産することができる。ここで、珪藻類の繁殖活性期間とは、珪藻類が指数的に増殖する期間又は珪藻類の増殖が飽和する前の期間をいう。
【0013】
本発明に用いられる基面(基体表面)に珪藻類を増殖させることができる上記基体は、常時海水中に浸漬して用いられ、その形状としては特に制限されるものではなく、板状(円形、矩形等)、粒状、リング状、ハニカム状等を挙げることができるが、基面に繁殖した珪藻類を剥ぎ取り、新たな露出基面の形成のし易さを考慮すると、表面が平らな板状物が好ましい。また、上記ジェット水流やスクレパー等の剥取り手段を固定した状態で使用し、かつ、連続的に付着した珪藻類を剥ぎ取るために、基体を回転しうる円板として構成することが好ましい。また、基体の材質としては、金属製、プラスチック製、木製、繊維製、セラミックス製、ガラス製、硬質ゴム製など特に制限されないが、ジェット水流やスクレパー等の剥取り手段による付着珪藻類の剥ぎ取り処理に対して物理的強度を備えたものが好ましい。
【0014】
本発明の珪藻類の生産装置に、採苗手段と、採苗手段から採取されたプランクトンを選別するプランクトン選別手段と、選別された珪藻類を基体の剥ぎ取られた基面上に撒布する撒布手段とを設けることが好ましい。上記採苗手段としては、珪藻類を採取することができるものであればどのようなものでもよく、例えば、上記剥取り手段により剥ぎ取られた珪藻類の一部を採取することができる採苗管や、本発明の生産装置の設置場所近傍の海(湖)水から珪藻類を含む植物プランクトンを採取することができる採苗管を挙げることができる。上記採苗手段から採取されたプランクトンを選別するプランクトン選別手段としては、採取されたプランクトンの中から所望の珪藻類を選別することができる手段であればどのようなものでもよく、所望の珪藻類として、例えば、より大型で増殖速度の速い付着性珪藻類や、所定の海(湖)域における赤潮の原因となることが予想される種類の鞭毛藻類に対してその生育抑制あるいは生育停止作用を有する特定の付着性珪藻類等を挙げることができる。所望の珪藻類の具体的分別基準としては、大きさ、重さ、色等を挙げることができ、その大きさで選別する場合はフィルタを用いることができ、重さで選別する場合は連続式遠心分離器を用いることができ、色で選別する場合は光学的手法を用いることができる。また、上記撒布手段としては、選別された珪藻類を基体の剥ぎ取られた基面上に撒布する手段であればどのようなものでもよく、具体的には送液ポンプと撒水管とからなる撒布手段等を挙げることができるが、前記剥取り手段としてジェット水流を用いる場合は、そのノズルの先端に隣接して撒水管の先端を設けて、これを撒布手段とすることもできる。
【0015】
また、上記プランクトン選別手段と撒布手段との間に、選別された珪藻類に栄養を与える栄養付与手段を設けることが好ましい。かかる栄養付与手段としては、ケイ素、リン、チッソ、鉄等の栄養塩などの珪藻類の栄養源、好ましくは珪藻類の初期成長に適するように配合された栄養源が添加・混合された増殖部を挙げることができる。上記栄養塩が配合された栄養源を添加・混合することに代えて、栄養塩に富んだ深層水を汲み上げて増殖部に導入することもできる。この栄養付与手段により栄養が与えられた選別された珪藻類を、撒布手段により、珪藻類が剥ぎ取られた基面上に撒布することにより、所望の珪藻類を多量に生産することができる。特に、上記採苗手段として前記剥取り手段により剥ぎ取られた珪藻類の一部を採取する場合、所望の珪藻類の割合を著しく高めていくことができる。また、選別された珪藻類に代えて、より大型で増殖速度の速い付着性珪藻類や、所定の海(湖)域における赤潮の原因となることが予想される種類の鞭毛藻類に対してその生育抑制あるいは生育停止作用を有する特定の付着性珪藻類等を上記増殖部に投入・添加し、これを富栄養化した後に撒布することもできる。
【0016】
本発明の珪藻類の生産装置における基体を水中に保持する手段としては、珪藻類が剥ぎ取られた基面に珪藻類が増殖する間、基体を日光のあたる水表面近くの水中に保持することができるものであればどのようなものでもよく、水中に構築された支持機構や、海(湖)上の浮体から綱を使った吊り下げ・懸垂機構、海(湖)上に浮かべたバージ中の支持機構などを保持手段として例示することができ、本発明の珪藻類の生産装置を複数並列して配設する場合は、これら保持手段を連設しておくこともできる。
【0017】
本発明の珪藻類の生産方法は、基面に珪藻類を増殖させることができる基体を水中に浸漬し、前記基面に増殖した珪藻類の繁殖活性期間又はその終了後に、基面に繁殖・付着した珪藻類をジェット水流等により剥ぎ取り、珪藻類を増殖させることができる基面を新たに露出させ、新たに露出した基面に、選別された珪藻類を付着させることを特徴とするものであるが、基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取り、新たに露出した基面に珪藻類を増殖させることを繰り返し行うことも特徴とする。かかる繰り返しを行った場合の珪藻類の基面上での増殖状態を図1に示す。図1において、縦軸は基面の珪藻類の密度を表す珪藻プランクトン数を示し、横軸は時間の経過を示し、横軸における増殖サイクルは、新しく露出した基面に撒苗してから繁殖した珪藻類を剥ぎ取るまでの時間、例えば、回転可能な円板状の基体を用いる場合、基体が1回転する間に珪藻類の増殖が、ほぼ飽和状態に達するようにすると、基体上の特定位置が1回転する時間を示している。増殖サイクルの開始時において、ジェット水流により新しく露出した基面にプランクトンを含む水が撒布されると、付着したプランクトンのうち、露出基面での初期増殖速度が速い珪藻類が優先的に増殖する。増殖サイクルの終了時には、ほぼ飽和状態に繁殖している珪藻類はジェット水流によって再度剥ぎ取られ(基面洗浄)、剥ぎ取られた珪藻類は水中に放散されることになる。
【0018】
本発明の赤潮発生の防止方法としては、前記本発明の珪藻類の生産装置を、赤潮発生の可能性のある海(湖)域に設置する方法であれば、特に制限されるものではなく、本発明の珪藻類の生産装置を赤潮発生の可能性のある海(湖)域に必要数設置すれば、長期にわたり、連続的にかつ多量に珪藻類を生産することができ、表層水中の珪藻類の減少を防止することができるので、鞭毛藻類の異常増殖が抑制され赤潮の発生を未然に防止することができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
図2は本発明の珪藻類の生産装置の平面図であり、図3は図1のA−A部における断面図である。また、図2及び3において、1は基体、2は受台、3は歯車、4はギアボックス、5はモータ、6はポンプ、7はジェット水流のノズル、8は採苗管、9はフィルタ部、10は増殖部、11は撒苗管、12はローラ、13は支持板をそれぞれ示す。
【0020】
図2及び3に示される本発明の珪藻類の生産装置における基体1は、海水中に浸漬されて用いられ、その基面は日光のよくあたる方向に向けて支持されている。基体1は、ドーナッツ状の円形平板であり、厚いガラス板で作製されている。受台2は、基体1が嵌着しうる受台として構成されており、基体1を支持・固定すると共に、ローラ12で支持されて、支持板13に対して基体1共々自由に回転できるようになっている。支持板13に取付けられているモータ5は、一端に取付けられたギアボックス4で減速した後、ギア3を回転させ、ギア3は受台2の歯車とかみ合って、受台2とそれに固定された基体1を図示したBの方向に一定速度で回転させることができる。ポンプ6はモータ5の他端に取付けられており、海水を吸引して、ジェット水流のノズル7から基面に海水を均一に吹き付けるようになっている。なお、ギア回転用のモータとポンプ用のモータとを別置きとすることもできる。また、上記のように構成しているので、支持板13に対する珪藻類の放散部位・方向が固定し、潮流の状態や深さに合わせて、珪藻類の放散を任意の方向・深さに制御することができる。
【0021】
採苗管8は、基体外周縁に隣接して開口した管であって、ジェット水流のノズル7から噴射され、基面の珪藻類を剥ぎ取った海水の一部が導入される位置に配置されている。採苗管8に入った珪藻類を含む海水は、所定のメッシュのフィルタを内臓したフィルタ部9に入り、内臓するフィルタで海水中の珪藻類の中から増殖速度の大きいものを、その大きさを分別基準として選別する。選別された珪藻類は海水と共に増殖部10に入り、増殖部10に入った所望の珪藻類を含む海水は、栄養塩が含まれた海水と混合して、海水中の選別された所望の珪藻類に栄養を与えた後、撒苗管11からジェット水流により新たに露出された基面に撒布される。栄養塩としては、ケイ素、リン、チッソ、鉄等の化合物を、珪藻類の初期成長に適するように配合したものを用い、かかる栄養塩を増殖部10に添加・混合する。このように、撒苗前にプランクトンをフィルタで選別し、かつ富栄養化しているので、基面での珪藻類の増殖が早く、基板の単位面積あたりに多量の珪藻類を短時間で生産することができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によると、基面に付着した珪藻類を自動的に剥ぎ取ることにより、珪藻類の生産を連続的に行うことができるので、本発明の珪藻類の生産装置を必要海域に必要数配置することによって、常に珪藻類が鞭毛藻類を卓越し、珪藻類が優占種となる状態を維持することができ、このため、鞭毛藻類の異常増殖による有害な赤潮の発生を未然に防止することができる。珪藻類は、水中食物連鎖の一次生産者であることから、本発明の装置を海中に設置することによって、珪藻類の増殖が促進されると、これを餌料とする動物プランクトンが増え、さらにこれを補食する魚介類が増えるという、食物連鎖による魚類等の活性の向上をも期待できる。このため、本発明は生産性の高い良好な漁場形成にも資するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】珪藻類の基面上での増殖状態を説明する図である。
【図2】本発明の珪藻類の生産装置の平面図である。
【図3】図2のA−A部における断面図である。
【符号の説明】
1 基体
2 受台
3 歯車
4 ギアボックス
5 モータ
6 ポンプ
7 ジェット水流のノズル
8 採苗管
9 フィルタ部
10 増殖部
11 撒苗管
12 ローラ
13 支持板
Claims (8)
- 基面に珪藻類を増殖させることができる基体と、前記基面に繁殖・付着した珪藻類の剥取り手段と、珪藻類が剥ぎ取られた基面に珪藻類が増殖する間、基体を海(湖)水中に保持する保持手段と、採苗手段と、採苗手段から採取されたプランクトンを選別するプランクトン選別手段と、選別された珪藻類を基体の剥ぎ取られた基面上に撒布する撒布手段とを備え、海(湖)上に設置されることを特徴とする珪藻類の生産装置。
- 珪藻類の剥取り手段が、ジェット水流であることを特徴とする請求項1記載の珪藻類の生産装置。
- 基体が、回転しうる円板から構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の珪藻類の生産装置。
- プランクトン選別手段と撒布手段との間に、選別された珪藻類に栄養を与える栄養付与手段を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の珪藻類の生産装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の珪藻類の生産装置を用いた珪藻類の生産方法であって、基面に珪藻類を増殖させることができる基体を海(湖)水中に浸漬し、前記基面に増殖した珪藻類の繁殖活性期間又はその終了後に、基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取り、珪藻類を増殖させることができる基面を新たに露出させ、新たに露出した基面に、選別された珪藻類を付着させることを特徴とする珪藻類の生産方法。
- ジェット水流を用いて、基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取ることを特徴とする請求項5記載の珪藻類の生産方法。
- 基面に繁殖・付着した珪藻類を剥ぎ取り、新たに露出した基面に珪藻類を増殖させることを繰り返し行うことを特徴とする請求項5又は6記載の珪藻類の生産方法。
- 請求項1〜4のいずれか記載の珪藻類の生産装置を、赤潮発生の可能性のある水域に設置することを特徴とする赤潮発生の防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001082651A JP4023772B2 (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 珪藻類の生産装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001082651A JP4023772B2 (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 珪藻類の生産装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002272310A JP2002272310A (ja) | 2002-09-24 |
JP4023772B2 true JP4023772B2 (ja) | 2007-12-19 |
Family
ID=18938570
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001082651A Expired - Fee Related JP4023772B2 (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 珪藻類の生産装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4023772B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20210259174A1 (en) * | 2018-06-27 | 2021-08-26 | Yokogawa Electric Corporation | Living marine resource production method and living marine resource production device |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4945742B2 (ja) * | 2004-08-06 | 2012-06-06 | 国立大学法人広島大学 | 底質改善材およびそれを用いる底質改善方法 |
CN105557581A (zh) * | 2015-12-24 | 2016-05-11 | 上海艳紫化工科技有限公司 | 水产绿色养殖方法 |
CN105557582A (zh) * | 2015-12-24 | 2016-05-11 | 常州王者青城生态观光有限公司 | 水产绿色养殖方法 |
JP6795737B2 (ja) * | 2016-09-08 | 2020-12-02 | スミリーフ株式会社 | 漁礁の清掃方法及び漁礁清掃装置 |
KR102478983B1 (ko) * | 2021-10-27 | 2022-12-19 | 김석주 | 바다숲 조성시스템 및 이를 이용한 바다숲 조성방법 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5545189B2 (ja) * | 1974-06-14 | 1980-11-17 | ||
JPH04183385A (ja) * | 1990-11-16 | 1992-06-30 | Hitachi Zosen Corp | 付着珪藻の生産方法 |
JPH0623389A (ja) * | 1992-03-03 | 1994-02-01 | Ebara Infilco Co Ltd | 付着性光合成微生物反応装置 |
JP3115848B2 (ja) * | 1996-07-30 | 2000-12-11 | 株式会社テトラ | 有害赤潮の予防方法 |
-
2001
- 2001-03-22 JP JP2001082651A patent/JP4023772B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20210259174A1 (en) * | 2018-06-27 | 2021-08-26 | Yokogawa Electric Corporation | Living marine resource production method and living marine resource production device |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002272310A (ja) | 2002-09-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101549217B1 (ko) | 다변형 바이오플락 아쿠아포닉스 식물재배시스템 | |
AU5157698A (en) | Animal feedstocks comprising harvested algal turf | |
CN103444506B (zh) | 一种海黍子苗种人工繁育的方法 | |
AU5100098A (en) | Method of raising fish by use of algal turf | |
JP6150996B2 (ja) | 陸上養殖システム | |
CN103798170B (zh) | 一种浅海海底生态养鲍方法 | |
CN102084837A (zh) | 一种海参育苗方法 | |
JP2013240296A (ja) | 魚介類及び海藻類の複合養殖装置と、その複合養殖方法 | |
JP4023772B2 (ja) | 珪藻類の生産装置 | |
JP2021515536A (ja) | 人工ナマコリーフを利用したマナマコの海底養殖方法 | |
JP4711807B2 (ja) | 海藻種苗の生産方法 | |
JP4358833B2 (ja) | 植栽基盤 | |
CN101843225B (zh) | 细角螺的人工养殖方法 | |
JP2008193917A (ja) | テングサ海藻礁 | |
JP2008125440A (ja) | サンゴ養殖方法 | |
JP2009112249A (ja) | スジアオノリの直播種苗養殖方法及びスジアオノリの海水循環式養殖装置 | |
JP2004033174A (ja) | こんぶ科植物の養殖方法 | |
KR101809351B1 (ko) | 갯벌을 이용한 가리맛조개 인공종묘 중간 육성방법 | |
WO2006095442A1 (ja) | 無投餌底生生物養殖方法 | |
CN103098731A (zh) | 岩虫-海参池塘混合养殖方法 | |
JP3794623B2 (ja) | 珪藻類の生産方法及び装置 | |
CN103098732B (zh) | 岩虫-江蓠-海参池塘混合养殖方法 | |
JP2008092946A (ja) | 潜砂性二枚貝の養殖装置 | |
JP2005160316A (ja) | サンゴの海上養殖方法及びその装置 | |
CN115443901B (zh) | 一种卵叶喜盐草的繁育方法及海草床的修复方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20031031 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20040129 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040430 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060818 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060822 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061018 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070416 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070516 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071001 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071001 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |