JP4023587B2 - はぎ取り冊子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の用紙が接着剤だけで背の部分を接合されており、その用紙を一枚ずつ剥がして使用するタイプのはぎ取り冊子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一枚ずつページのはぎ取りが可能な冊子として無線とじタイプのはぎ取り冊子が利用されている。このタイプのはぎ取り冊子は、枚葉紙を丁合して所定サイズに断裁した後、針金とじせずに、エマルジョン系の糊を用いて背の部分を綴じ合わせることで作製されている。そして、表紙となる台紙でくるんだ形態にするなどしてメモ帳やノート、さらには日めくりカレンダーなどに利用されるものであり、使用する場合は上から順にページを一枚ずつ背の部分から剥がすようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べたタイプのはぎ取り冊子は、それを構成する枚葉紙の丁合や糊付けによる綴じ合わせを手作業で行っているため、生産効率が悪いという問題点がある。そこで、無線とじ機により作製できれば問題はないが、現状の無線とじ機では、表紙でくるむ工程を経るため、上から一枚ずつ剥がすタイプのはぎ取り冊子は作製できないといった事情がある。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無線とじ機を使用して効率よく作製できるはぎ取り冊子を提供し、併せてその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のはぎ取り冊子は、丁合された複数枚のページが背の部分でホットメルトにより綴じ合わされてなる冊子状の本文とその本文をくるむための表紙との組合せからなり、ポリプロピレンフィルムがラミネートされることでホットメルトに対する擬似接着層を内面に有するとともに、本文の裏側の喉部に対応する一部分にホットメルトに対して接着性のあるテープを貼ることで接着領域が形成されてなる台紙が表紙に使用されており、本文における背の部分に加え裏側の喉部にも塗布されたホットメルトにより、背の部分で表紙が本文に対して擬似接着した状態になっているとともに、裏側の喉部のところで表紙が本文に対して接着した状態となっており、表紙の表側を手で引っ張ることにより背の部分を本文から剥がすようになっていることを特徴としている。
【0006】
そして、本発明のはぎ取り冊子の製造方法は、請求項1に記載のはぎ取り冊子を製造する方法であって、断裁した刷本を丁合し、背の部分にホットメルトを付けて表紙でくるんだ後、仕上げ断裁を行うに際し、前記表紙として、ポリプロピレンフィルムがラミネートされることでホットメルトに対する擬似接着層を内面に有するとともに、本文の裏側の喉部に対応する一部分にホットメルトに対して接着性のあるテープを貼ることで接着領域が形成されてなる台紙を使用し、丁合済み刷本における背の部分にホットメルトを付けるとともに、表紙の接着領域に対応する部分にもホットメルトを付けてから、本文を表紙でくるむようにしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0008】
図1は本発明に係るはぎ取り冊子の一例を示す斜視図であり、同図に示すはぎ取り冊子Sは、図2に示すように、冊子状の本文10とその本文をくるむための表紙20を組み合わせて構成されている。
【0009】
本文10は、丁合された複数枚のページ11が背の部分でホットメルト12により綴じ合わされたものである。一方、表紙20は、板紙の内面にPP(ポリプロピレン)フィルムをラミネートした台紙で、図示の如く本文10の裏側の喉部に対応する一部分にテープ21を貼着して接着領域を形成したものを用いている。そして、そのテープ21のところで、ホットメルトにより本文10が表紙20に取り付けられている。なお、テープ21としては、ホットメルトに対して接着性があればなんでも使用可能であるが、紙製の接着テープ等が好ましい。
【0010】
このはぎ取り冊子Sは、無線とじ機を使用して作製される。その手順は次のようである。まず、本文10を構成する刷本を搬入し、断裁機にかけて所定サイズに断裁する。次いで、刷本をページ順に丁合した後、丁合済み刷本における背の部分にホットメルトを塗布するとともに、裏側の喉部にもホットメルトを塗布した状態とする。そして、引き続いて表紙20のくるみを行った後、仕上げ断裁を行って製本が完了する。
【0011】
このようにして製本したはぎ取り冊子は、背の部分で表紙20が本文10に対して擬似接着した状態になっているとともに、テープ21のところ、すなわち裏側の喉部のところで表紙20が本文10に接着した状態となっている。したがって、一見したところ通常の無線とじ本の形態となっているが、表紙20の表側を手で引っ張ることにより、図1に示すように、背の部分を本文10から剥がすことができる。そして、図1に示すはぎ取り冊子Sは、本文10の各ページ11が背の部分でホットメルト12により綴じ合わされた状態になっており、各ページ11を上から順に剥がすことができる。
【0012】
なお、表紙20を本文10の背の部分から剥がす際に、PPフィルムが薄いと台紙での剥がれを起こして見苦しくなるので、表紙20をPPフィルムとともにホットメルト12の面から綺麗に剥がすため、厚さが例えば40μm程度の厚手のPPフィルムを使用するのが好ましい。
【0013】
た、無線とじ機で使用するホットメルトの温度は通常は190℃程度であるが、各ページのはぎ取りを容易にするため、若干低い温度(例えば、150〜160℃程度)で使用することが好ましい。
【0014】
また、本実施形態のはぎ取り冊子を製造するに際し、本文10における1枚目のページ11の上に、外側面がホットメルトに対して接着性を有しないか或いは擬似接着性を有する捨て紙を丁合しておくことが好ましい。この捨て紙として、例えば表紙に用いる台紙と同じく外面にPPフィルムをラミネートした紙が挙げられる。このような捨て紙を使用した場合、製本後に表紙20の背の部分を本文10から剥がした後でこの捨て紙を剥がすことにより、本文10の背の部分から表側の喉部に回り込んだホットメルトが捨て紙とともに除去されるので、綺麗に仕上げることができる。
【0015】
また、本文における最後のページの下に、各ページより厚めの用紙を丁合しておくようにしてもよい。このような用紙を使用した場合、その用紙を介して本文10と表紙20をしっかりと取り付けることができる。
【0016】
実施形態のはぎ取り冊子の用途としては、メモ帳やノート、日めくりカレンダーを始めとして、それらに類似する各種冊子が挙げられる。
【0017】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明によるはぎ取り冊子は、上記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0018】
例えば、上記の例では、PPフィルムをラミネートした台紙を表紙に使用したが、ホットメルトに対して擬似接着性を有するものであれば、他のフィルムをラミネートした台紙を使用してもよいし、或いは、擬似接着性を有するインキをコーティングした台紙を使用しても構わない。そして、フィルムをラミネートする場合、本文を取り付ける部分にテープを貼って接着領域を形成する必要があるが、インキをコーティングする場合は、パターン状に抜くことで接着領域を形成することができる。
【0019】
また、上記のはぎ取り冊子では、本文の裏側の喉部に対応する部分で表紙を取り付けたが、これに限定されるものではない。裏側の少なくとも一部分であれば任意の部位で構わないし、裏側全面でも構わない。ただ、従来の無線とじ機におけるホットメルトの塗布装置をそのまま利用するのであれば、喉部に対応した部分で取り付けるのが好ましい。
【0020】
【発明の効果】
本発明のはぎ取り冊子は、丁合された複数枚のページが背の部分でホットメルトにより綴じ合わされてなる冊子状の本文とその本文をくるむための表紙との組合せからなり、ポリプロピレンフィルムがラミネートされることでホットメルトに対する擬似接着層を内面に有するとともに、本文の裏側の喉部に対応する一部分にポリプロピレンフィルムがラミネートされることで接着領域が形成されてなる台紙が表紙に使用されており、本文における背の部分に加え裏側の喉部にも塗布されたホットメルトにより、背の部分で表紙が本文に対して擬似接着した状態になっているとともに、裏側の喉部のところで表紙が本文に対して接着した状態となっており、表紙の表側を手で引っ張ることにより背の部分を本文から剥がすようになっていることを特徴としているので、本文を表紙でくるんだ状態で製本しても、その後で表紙の表側を引っ張って背の部分を本文から剥がした状態にできることから、無線とじ機による製造が可能となり、効率よく作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るはぎ取り冊子の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すはぎ取り冊子を構成する本文と表紙とを離間した状態で示す斜視図である。
【符号の説明】
S はぎ取り冊子
10 本文
11 ページ
12 ホットメルト
20 表紙
21 テープ

Claims (2)

  1. 丁合された複数枚のページが背の部分でホットメルトにより綴じ合わされてなる冊子状の本文とその本文をくるむための表紙との組合せからなり、ポリプロピレンフィルムがラミネートされることでホットメルトに対する擬似接着層を内面に有するとともに、本文の裏側の喉部に対応する一部分にホットメルトに対して接着性のあるテープを貼ることで接着領域が形成されてなる台紙が表紙に使用されており、本文における背の部分に加え裏側の喉部にも塗布されたホットメルトにより、背の部分で表紙が本文に対して擬似接着した状態になっているとともに、裏側の喉部のところで表紙が本文に対して接着した状態となっており、表紙の表側を手で引っ張ることにより背の部分を本文から剥がすようになっていることを特徴とするはぎ取り冊子。
  2. 請求項に記載のはぎ取り冊子を製造する方法であって、断裁した刷本を丁合し、背の部分にホットメルトを付けて表紙でくるんだ後、仕上げ断裁を行うに際し、前記表紙として、ポリプロピレンフィルムがラミネートされることでホットメルトに対する擬似接着層を内面に有するとともに、本文の裏側の喉部に対応する一部分にホットメルトに対して接着性のあるテープを貼ることで接着領域が形成されてなる台紙を使用し、丁合済み刷本における背の部分にホットメルトを付けるとともに、表紙の接着領域に対応する部分にもホットメルトを付けてから、本文を表紙でくるむようにしたことを特徴とするはぎ取り冊子の製造方法。
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