JP4023148B2 - イオン交換樹脂及びこれを用いた混合イオン交換樹脂床 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は反対電荷のイオン交換樹脂と混合して混合イオン交換樹脂床を形成したときに凝集を起こさず、かつ負荷−再生を反復しても長時間にわたり凝集を起こす傾向の小さいイオン交換樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂の使用法の一つに、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを混合して混合イオン交換樹脂床として用いる方法があり、水中の微量のイオン性物質の除去にはなくてはならない方法とされている。例えば純水の製造では、原水をアニオン交換樹脂床及びカチオン交換樹脂床を通してイオン性物質の殆んど全てを除去したのち、最後に混合イオン交換樹脂床を通して残存している微量のイオン性物質を除去することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
混合イオン交換樹脂床の問題点の一つは、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを混合すると凝集塊を形成しやすいことである。凝集塊が生成すると樹脂床内の液の流れが不均一となり、イオン性物質の除去効率が低下する。また逆洗しても両樹脂がきれいに分離しないという問題もある。
凝集塊の生成を抑制する方法として古くから知られているのは、米国特許第2961417号明細書に記載されている方法、すなわちアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の一方を、そのイオン交換樹脂とは反対電荷を有する高分子電解質の水溶液で処理する方法である。この方法によればイオン交換樹脂の表面に高分子電解質が吸着してその表面電荷を中和するので、反対電荷のイオン交換樹脂と混合しても凝集は起こらない。この方法は有効な方法ではあるが、凝集を十分に抑制するには多量の高分子電解質を吸着させなければならず、樹脂の吸着容量が減少して混合樹脂床のイオン交換速度が低下するという問題がある。また使用中に吸着している高分子電解質が水中に溶出して水質を低下させるという問題もある。更に負荷−再生を反復すると、高分子電解質が溶出するためか、再び凝集塊を生成し易くなる。
【0004】
この高分子電解質を用いる方法の改良法として、米国特許第4,347,328号明細書には、高分子電解質の代りにイオン交換樹脂とは反対電荷を有する粒径100〜800Åの非水溶性樹脂粒子を吸着させる方法が記載されている。この方法も有効な方法ではあるが、非水溶性樹脂粒子を吸着させたのち、吸着しなかった樹脂粒子を除去するのに長時間の洗浄を必要とする。またこの樹脂粒子は乳化剤を用いる乳化重合法で製造するため、樹脂粒子には乳化剤が含まれており、これが使用中に水中に溶出して水質を低下させるおそれがある。また使用中に樹脂粒子がイオン交換樹脂から剥離してくるおそれもある。更に本発明者らの知見によれば、この方法で得られたイオン交換樹脂を用いて形成した混合イオン交換樹脂床は、再生に際して逆洗しても、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを完全に分離するのが困難である。
従って本発明は、混合イオン交換樹脂床を形成した場合に、上記のような問題の生じないイオン交換樹脂を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るイオン交換樹脂は、母体イオン交換樹脂の表面に、これとは反対電荷を有する平均粒径100〜500nmの荷電樹脂粒子が結合していることを特徴とするものである。母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子との結合は、好ましくは両者を混合し加熱することによりなされる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において母体イオン交換樹脂としては市場で入手し得る任意のものを用いることができる。すなわち弱酸性ないし強酸性のカチオン交換樹脂、及び弱塩基性ないし強塩基性のアニオン交換樹脂のいずれをも用いることができる。通常はスルホン酸基を有する強酸性カチオン交換樹脂、又は第4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換樹脂を用いる。母体イオン交換樹脂の平均粒径は通常は50〜2000μmである。平均粒径が50μmよりも小さいイオン交換樹脂からなる樹脂床は、通液時の圧損が大きく、好ましくない。また平均粒径が2000μmを超えるイオン交換樹脂は、イオン交換速度が小さく、好ましくない。
【0007】
荷電樹脂粒子としては平均粒径100〜500nmのもの、好ましくは200〜500nmのものを用いる。粒径が大きすぎても小さすぎても、良好な性能のイオン交換樹脂を与えない。なお、荷電樹脂粒子の平均粒径は、光散乱法により求められる体積平均粒径である。体積平均粒径は、粒子径dxの粒子の個数をnx:その体積をVxとすると次式で定義される。
【0008】
【数1】
【0009】
荷電樹脂粒子のイオン性基の含有量は、0.01〜5mmol/g、特に0.1〜1mmol/gが好ましい。イオン性基の含有量が少なすぎると、母体イオン交換樹脂に荷電樹脂粒子を静電引力で吸着させる際の吸着力が弱くなる。荷電樹脂粒子のイオン性基としてはスルホン酸基、カルボン酸基又は第4級アンモニウム基が好ましい。
【0010】
荷電樹脂粒子としては、通常はビニル系モノマーを乳化重合して得たラテックス粒子を用いる。イオン性基を有しないビニル系モノマーだけを重合しても、得られるラテックス粒子に重合開始剤に由来するイオン性基が含まれることもあるが、イオン性基を有するビニル系モノマーとイオン性基を有しないビニル系モノマーとの混合物を乳化重合させて、所望量のイオン性基をラテックス粒子中に確実に含有させるようにするのが好ましい。従ってスルホン酸基を有する荷電樹脂粒子を製造する場合には、ビニル系モノマーにエチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホメチルメタクリレートやその塩などを併用すればよい。カルボン酸基を有する荷電樹脂粒子を製造する場合には、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸やその塩を併用すればよい。また第4級アンモニウム基を有する荷電樹脂粒子を製造する場合には、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドなどを併用すればよい。これらのイオン性基を有するビニル系モノマーと共重合させるイオン性基を有しないビニル系モノマーとしては、スチレン等のスチレン系モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーなどを用いればよい。また所望ならば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジビニル系モノマーを併用して、架橋した荷電樹脂粒子を得ることもできる。
【0011】
重合開始剤としては常用の任意のものを用いることができる。例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化t−ブチル、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などを用いる。なお重合開始剤として過硫酸塩を用いた場合には、スルホン酸基を有するビニル系モノマーを用いなくても、スルホン酸基を有するラテックス粒子が生成する。
【0012】
乳化重合は、例えば反応媒体の水100重量部に対して2〜100重量部のビニル系モノマー、及びビニル系モノマーに対して0.01〜10重量部の重合開始剤を加え、強力に攪拌して乳化状態とし、30〜100℃で1〜100時間行えばよい。反応温度や反応時間は重合開始剤の種類や量により適宜調節する。また所望ならば反応中にビニル系モノマーや重合開始剤を追加することもできる。なお、通常の乳化重合では、安定した乳化状態を形成させるため、重合反応系にビニル系モノマーに対して1〜5重量%程度の界面活性剤を存在させるが、本発明で用いられる荷電樹脂粒子の製造に際しては、界面活性剤の不存在下に重合させるのが好ましい。界面活性剤の存在下に重合させると、生成するラテックス粒子内に界面活性剤が残存する。このようなラテックス粒子を母体イオン交換樹脂と結合させて得られたイオン交換樹脂からは、使用中にこの界面活性剤が水中に溶出して水質を低下させる。本発明では、前述の米国特許第4,347,328号明細書で用いている粒径100〜800Å(=10〜80nm)のラテックス粒子よりも粒径が1桁大きい平均粒径100〜500nmのラテックス粒子を生成させるので、界面活性剤を用いなくても乳化重合を困難なく行うことができる。
【0013】
重合反応生成液には通常は可溶性重合体や小粒径又は大粒径のラテックス粒子なども含まれているので、遠心分離、懸濁水洗などにより精製して、平均粒径100〜500nmの精製されたラテックス粒子を取得する。なお、ラテックス粒子の粒径はできるだけ均一であるのが好ましく、粒径100〜500nmの範囲にラテックス粒子の80重量%以上、特に90重量%以上が含まれるようにするのが好ましい。
【0014】
なお、別法としてイオン性基を有しないビニル系モノマーだけを乳化重合してラテックス粒子を得、これにイオン交換樹脂の製造の場合と同じ手法によりイオン性基を導入することにより、荷電樹脂粒子を製造することもできる。例えばスチレンと(メタ)アクリレートとの混合物を乳化重合し、得られたラテックス粒子をスルホン化剤でスルホン化することにより、スルホン酸基を含む樹脂粒子を得ることができる。
【0015】
母体イオン交換樹脂の表面に荷電樹脂粒子を結合させるには、両者を混合し、両者間の静電引力により荷電樹脂粒子を母体イオン交換樹脂の表面に結合させればよい。本発明者らの知見によれば、この結合力は荷電樹脂粒子の粒径に依存しており、粒径が小さすぎても大きすぎても結合力は低下し、平均粒径100〜500nm、特に200〜500nmのときに最も大きな結合力が発現する。
通常は母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを水中で混合して両者を結合させる。例えば荷電樹脂粒子を0.1〜1g/Lとなるように水中に分散させ、これに母体イオン交換樹脂を加えて撹拌することにより両者を結合させる。荷電樹脂粒子の水分散液は、母体イオン交換樹脂に対して体積比で0.3〜10倍、特に0.5〜3倍となるように用いるのが好ましい。また撹拌は0〜100℃、好ましくは20〜80℃で、10分間〜50時間、好ましくは30分〜10時間程度行えばよい。
【0016】
荷電樹脂粒子は、母体イオン交換樹脂に対して、生成するイオン交換樹脂の荷電樹脂粒子結合量が飽和結合量の50%以上となるように用いる。荷電樹脂粒子の結合量が50%未満のイオン交換樹脂は、混合イオン交換樹脂床を形成したときに凝集を起こすことがある。荷電樹脂粒子の結合量は、80%以上、特に90%以上であるのが好ましい。荷電樹脂粒子の結合量は100%であってもよいが、凝集を起こさないという目的を達成する範囲内であれば、むしろ飽和結合量未満であるのが好ましいと考えられる。何故ならば、母体イオン交換樹脂の表面が荷電樹脂粒子で完全に被覆されると、イオン交換速度が低下する現象が見られることがあるからである。従って一般に結合量は98%未満に止めるのが好ましい。なお、母体イオン交換樹脂の飽和結合量は、母体イオン交換樹脂とこれに対して約3倍量の結合させようとする荷電樹脂粒子とを、室温下、水中で十分に混合したのち、濾過してイオン交換樹脂を除き、濾液中の荷電樹脂粒子(=結合しなかった荷電樹脂粒子)の量を測定することにより、容易に求めることができる。
【0017】
本発明の好ましい態様の一つでは、母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを水中で混合して結合させたのち、加熱する。これにより両者の結合をより強固なものとすることができる。加熱は荷電樹脂粒子のガラス転移温度以上、好ましくはガラス転移温度+5℃以上に加熱する。加熱により両者の結合がより強固なものとなるのは、両者の界面で融着が起るためと考えられる。なお、加熱は結合している荷電樹脂粒子がその形状を維持するように行うのが好ましく、荷電樹脂粒子が溶融してその形状が維持されないような加熱は好ましくない。何故ならば加熱により荷電樹脂粒子が溶融したイオン交換樹脂は、イオン交換速度が低下するからである。従って一般に加熱は荷電樹脂粒子のガラス転移温度+50℃未満で行うのが好ましい。
【0018】
通常は母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを水中で混合し、撹拌して母体イオン交換樹脂の表面に荷電樹脂粒子を静電引力により吸着させたのち、引続き荷電樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する。所望ならば、母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを混合後直ちに加熱することもできる。この場合には静電引力による吸着と加熱による融着とが並行して進行することになる。なお水中で加熱する場合には、常圧下で加熱し得るように荷電樹脂粒子としてはガラス転移温度が100℃未満のものを用いるのが好ましい。例えば荷電樹脂粒子として好ましいものの一つである、スチレン/ブチルアクリレート/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体や、スチレン/エチルヘキシルアクリレート/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体などは、その組成比を調整することによりガラス転移温度を容易に100℃未満の所望の温度とすることができる。水中で加熱する場合でも加圧容器を用いるならば、荷電樹脂粒子のガラス転移温度は100℃以上であっても差支えない。
【0019】
また別法として、母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを混合し有機溶媒と接触させることにより、上述の加熱と同様の効果を生じさせることもできる。これは母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子との界面で有機溶媒の存在により融着が起ることによるものと考えられる。この有機溶媒処理に際しては、上述の加熱処理を併用することもできる。ただし荷電樹脂粒子が溶融しないように注意しなければならない。この方法によるときは、水中で母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを混合して両者を静電引力により結合させたのちこれに有機溶媒を加えるか又は、両者の結合物を有機溶媒に加えればよい。また母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを有機溶媒又は水を含む有機溶媒中で混合して結合させてもよい。有機溶媒としては通常は水溶性のもの、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、ジオキサン等を用いればよい。例えばガラス転移温度が約50℃のスチレン/ブチルアクリレート/スチレンスルホン酸ナトリウムという組成の荷電樹脂粒子と母体イオン交換樹脂とが結合したものであれば、メタノールに室温で浸漬するだけで、水中で60℃に加熱した場合と同様の効果を奏することができる。
【0020】
本発明に係るイオン交換樹脂を用いて混合イオン交換樹脂床を形成するのは、常法により行えばよい。アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合比率は通常は1:5〜5:1である。組合せる反対電荷のイオン交換樹脂は、本発明に係るイオン交換樹脂であってもよく、また通常のイオン交換樹脂であってもよい。
【0021】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明する。
スルホン酸基を有するラテックス粒子(I)の製造;
冷却管を備えた300mL容四つ口フラスコに、スチレン14g、ブチルアクリレート4g、スチレンスルホン酸ナトリウム1.3g、ベルオキソ二硫酸カリウム0.21g及び脱塩水100gを加えた。フラスコを71℃の湯浴に浸漬し、窒素雰囲気下、280rpmで撹拌しながら8時間重合反応させた。反応液を室温に冷却し、遠心分離(45,000G×30分間)してラテックス粒子を回収した。このラテックス粒子を脱塩水に懸濁させて遠心分離する操作を2回反復したのち、得られたラテックス粒子を脱塩水に懸濁させて0.8g/Lのラテックスとした。このラテックス粒子の体積平均粒子径は330nm、ガラス転移温度は64℃であった。なお、体積平均粒子径は日機装(株)製の粒度分布計MICROTRAC UPAを用いて測定した。またガラス転移点はセイコーインスツルメンツ製のDSC−20を用いて測定した。
【0022】
スルホン酸基を有するラテックス粒子(II)の製造;
冷却管を備えた200mL容四つ口フラスコに、スチレン14g、ブチルアクリレート4g、スチレンスルホン酸ナトリウム1.3g、ベルオキソ二硫酸カリウム0.21g及び脱塩水100gを加えた。フラスコを湯浴に浸漬し、窒素雰囲気下、内温70℃で300rpmで撹拌しながら8時間重合反応を行わせた。反応終了後は上記と同様に後処理して0.8g/Lのラテックスとした。このラテックス粒子の体積平均粒子径は220nmであった。
【0023】
スルホン酸基を有するラテックス粒子(III)の製造;
冷却管を備えた300mL容四つ口フラスコに、スチレン18g、スチレンスルホン酸ナトリウム1.3g、ベルオキソ二硫酸カリウム0.21g及び脱塩水100gを加えた。フラスコを71℃の湯浴に浸漬し、窒素雰囲気下、280rpmで撹拌しながら8時間重合反応させた。反応終了後は前記と同様に後処理して0.8g/Lのラテックスとした。このラテックス粒子の体積平均粒子径は350nmであった。
【0024】
スルホン酸基を有するラテックス粒子(IV)の製造;
冷却管を備えた300mL容四つ口フラスコに、スチレン14g、ブチルアクリレート4g、スチレンスルホン酸ナトリウム0.65g、ベルオキソ二硫酸カリウム0.21g及び脱塩水100gを加えた。フラスコを71℃の湯浴に浸漬し、窒素雰囲気下、280rpmで撹拌しながら8時間重合反応を行わせた。反応終了後は前記と同様に後処理して0.8g/Lのラテックスとした。このラテックス粒子の体積平均粒子径は50nmであった。
【0025】
実施例1
強酸基性アニオン交換樹脂(ダイヤイオンSA12A、ダイヤイオンは三菱化学社の登録商標)をカラムにつめ、これに2N−NaOH水溶液を10BV(BED VOLUME)通液し、引続いて脱塩水を50BV通液してOH型とした。このOH型のアニオン交換樹脂100mLを遠心分離機で脱水したのち300mL容3角フラスコに入れ、ラテックス(I)50mL(ラテックス粒子として0.04g)を加え25℃で2時間、120回/分で振とうして、アニオン交換樹脂にラテックス粒子を吸着させた。吸着前後の液の420nmの吸光度の測定から、ラテックス粒子0.028gが吸着したことを確認した。このラテックス粒子を吸着したアニオン交換樹脂をカラムにつめ、50BAの脱塩水を通液して洗浄し、ラテックス結合アニオン交換樹脂(I)を得た。
【0026】
実施例2
実施例1と全く同様にして得たアニオン交換樹脂(I)50mLに脱塩水100mLを加え、60℃に2時間保持したのち室温に冷却して、ラテックス結合アニオン交換樹脂(II)を得た。
実施例3
実施例1と全く同様にして得たアニオン交換樹脂(I)50mLに脱塩水100mLを加え、80℃に2時間保持したのち室温に冷却して、ラテックス結合アニオン交換樹脂(III)を得た。
【0027】
実施例4
ラテックスとしてラテックス(II)を用いた以外は実施例1と全く同様にして、ラテックス結合アニオン交換樹脂(IV)を得た。
実施例5
ラテックスとしてラテックス(III)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、ラテックス結合アニオン交換樹脂(V)を得た。
【0028】
比較例1
ラテックスとしてラテックス(IV)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、ラテックス結合アニオン交換樹脂(VI)を得た。
比較例2
ラテックス(I)の代りにポリスチレンスルホン酸(東ソー社製、PS−5(H)、平均分子量5万)の水溶液(スルホン酸ユニットの濃度0.2mmol/L)50mLを用いた以外は、実施例1と全く同様にしてポリスチレンスルホン酸が吸着したアニオン交換樹脂(VII)を得た。
【0029】
比較例3
スルホン酸ユニット濃度0.2mmol/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液の代わりにスルホン酸ユニット濃度2mmol/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液50mLを用いた以外は、比較例2と全く同様にしてポリスチレンスルホン酸が吸着したアニオン交換樹脂(VIII)を得た。
【0030】
評価;
上記で得たアニオン交換樹脂(I)〜(VIII)について、初期分離性、サイクル後分離性、振とう後分離性及び脱塩性を評価した。結果を表−1に示す。
初期分離性;H型のダイヤイオンSKIB10mLとアニオン交換樹脂10mLとを混合して内径17mmのガラスカラムに充填する。これに樹脂層の層高が約2倍となるように脱塩水を上向きに流す。約2倍の層高を1分間保持したのち通水を中止し、樹脂を自然沈降させる。カチオン交換樹脂が下層に、アニオン交換樹脂が上層にと2層に分れた樹脂床が形成されるので、全樹脂層高に対するアニオン交換樹脂層の比率を測定し、初期分離性とする。若し、両樹脂が全く凝集を起さなければ初期分離性は50%となる。
【0031】
サイクル後分離性;
アニオン交換樹脂10mLをカラムにつめ、これに2N−HCl水溶液10BV→脱塩水10BV→2N−NaOH水溶液10BV→脱塩水10BVをそれぞれSV30で通液することを1サイクルとして、これを100サイクル反復する。100サイクル後のアニオン交換樹脂を用いて初期分離性と全く同一の試験を行い、全樹脂層高に対するアニオン交換樹脂層の比率を測定し、サイクル後分離性とする。初期分離性とサイクル後分離性との差は、使用中に結合させた荷電樹脂粒子がどの程度溶出するかを示す尺度と考えられる。
【0032】
振とう後分離性;
アニオン交換樹脂10mLと1N−NaOH水溶液20mLを100mL容のガラス瓶に入れて密栓し、200回/分の振とう速度で、25℃で2時間振とうする。次いで樹脂をカラムにつめ、脱塩水50BVを通水して洗浄する。このアニオン交換樹脂を用いて初期分離性と全く同一の試験を行い、全樹脂層高に対するアニオン交換樹脂層の比率を測定し、振とう後分離性とする。初期分離性と振とう後分離性との差は、結合させた荷電樹脂粒子が取扱いや逆洗などの際の物理性的衝撃により剥離する程度を示す尺度と考えられる。
【0033】
脱塩率:
アニオン交換樹脂を目開き590μmの篩で篩分し、網目に詰まった樹脂を取得する。内径17mmのカラムにこの樹脂2.35mLを充填する。このカラムにNa2SO4 22ppmを含む水溶液を385mL/分で通水し、その電導度(μS/cm)を測定する。
【0034】
【数2】
【0035】
【表1】
Claims (9)
- 混合イオン交換樹脂床に用いられるイオン交換樹脂であって、母体イオン交換樹脂の表面に、これと反対電荷を有する平均粒径100〜500nmの荷電樹脂粒子が結合しており、母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子を混合し、荷電樹脂粒子のガラス転移温度以上で加熱する工程を経て製造されたものであることを特徴とするイオン交換樹脂。
- 混合イオン交換樹脂床に用いられるイオン交換樹脂であって、母体イオン交換樹脂の表面に、これと反対電荷を有する平均粒径100〜500nmの荷電樹脂粒子が結合しており、母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子との結合が、両者を水中で混合し、荷電樹脂粒子のガラス転移温度以上で加熱する工程を経てなされたものであることを特徴とするイオン交換樹脂。
- 混合イオン交換樹脂床に用いられるイオン交換樹脂であって、母体イオン交換樹脂の表面に、これと反対電荷を有する平均粒径100〜500nmの荷電樹脂粒子が結合しており、母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子を有機溶媒と接触させ、荷電樹脂粒子のガラス転移温度以上で加熱する工程を経て製造されたものであることを特徴とするイオン交換樹脂。
- 荷電樹脂粒子の結合量が、飽和結合量の50%以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のイオン交換樹脂。
- 母体イオン交換樹脂が平均粒径50〜2000μmのものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のイオン交換樹脂。
- 母体イオン交換樹脂がアニオン交換樹脂であり、荷電樹脂粒子がスルホン酸基を有するものであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のイオン交換樹脂。
- 母体イオン交換樹脂がカチオン交換樹脂であり、荷電樹脂粒子が第4級アンモニウム基を有するものであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のイオン交換樹脂。
- 荷電樹脂粒子が界面活性剤の不存在下に乳化重合により製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のイオン交換樹脂。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載のイオン交換樹脂と、これと反対電荷を有するイオン交換樹脂とから成ることを特徴とする混合イオン交換樹脂床。
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