JP2003181303A - イオン交換樹脂及びこれを用いた混合イオン交換樹脂床 - Google Patents

イオン交換樹脂及びこれを用いた混合イオン交換樹脂床

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JP2003181303A JP2001382971A JP2001382971A JP2003181303A JP 2003181303 A JP2003181303 A JP 2003181303A JP 2001382971 A JP2001382971 A JP 2001382971A JP 2001382971 A JP2001382971 A JP 2001382971A JP 2003181303 A JP2003181303 A JP 2003181303A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 混合イオン交換樹脂床を形成したときに、凝
集塊を生じないイオン交換樹脂を提供する。 【解決手段】 母体イオン交換樹脂の表面に、これと反
対電荷を有する平均粒径100〜500nmの荷電樹脂
粒子が結合していることを特徴とするイオン交換樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反対電荷のイオン交
換樹脂と混合して混合イオン交換樹脂床を形成したとき
に凝集を起こさず、かつ負荷−再生を反復しても長時間
にわたり凝集を起こす傾向の小さいイオン交換樹脂に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】イオン交換樹脂の使用法の一つに、アニ
オン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを混合して混合イオ
ン交換樹脂床として用いる方法があり、水中の微量のイ
オン性物質の除去にはなくてはならない方法とされてい
る。例えば純水の製造では、原水をアニオン交換樹脂床
及びカチオン交換樹脂床を通してイオン性物質の殆んど
全てを除去したのち、最後に混合イオン交換樹脂床を通
して残存している微量のイオン性物質を除去することが
行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】混合イオン交換樹脂床
の問題点の一つは、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹
脂とを混合すると凝集塊を形成しやすいことである。凝
集塊が生成すると樹脂床内の液の流れが不均一となり、
イオン性物質の除去効率が低下する。また逆洗しても両
樹脂がきれいに分離しないという問題もある。凝集塊の
生成を抑制する方法として古くから知られているのは、
米国特許第2961417号明細書に記載されている方
法、すなわちアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の
一方を、そのイオン交換樹脂とは反対電荷を有する高分
子電解質の水溶液で処理する方法である。この方法によ
ればイオン交換樹脂の表面に高分子電解質が吸着してそ
の表面電荷を中和するので、反対電荷のイオン交換樹脂
と混合しても凝集は起こらない。この方法は有効な方法
ではあるが、凝集を十分に抑制するには多量の高分子電
解質を吸着させなければならず、樹脂の吸着容量が減少
して混合樹脂床のイオン交換速度が低下するという問題
がある。また使用中に吸着している高分子電解質が水中
に溶出して水質を低下させるという問題もある。更に負
荷−再生を反復すると、高分子電解質が溶出するため
か、再び凝集塊を生成し易くなる。
【0004】この高分子電解質を用いる方法の改良法と
して、米国特許第4,347,328号明細書には、高
分子電解質の代りにイオン交換樹脂とは反対電荷を有す
る粒径100〜800Åの非水溶性樹脂粒子を吸着させ
る方法が記載されている。この方法も有効な方法ではあ
るが、非水溶性樹脂粒子を吸着させたのち、吸着しなか
った樹脂粒子を除去するのに長時間の洗浄を必要とす
る。またこの樹脂粒子は乳化剤を用いる乳化重合法で製
造するため、樹脂粒子には乳化剤が含まれており、これ
が使用中に水中に溶出して水質を低下させるおそれがあ
る。また使用中に樹脂粒子がイオン交換樹脂から剥離し
てくるおそれもある。更に本発明者らの知見によれば、
この方法で得られたイオン交換樹脂を用いて形成した混
合イオン交換樹脂床は、再生に際して逆洗しても、アニ
オン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを完全に分離するの
が困難である。従って本発明は、混合イオン交換樹脂床
を形成した場合に、上記のような問題の生じないイオン
交換樹脂を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るイオン交換
樹脂は、母体イオン交換樹脂の表面に、これとは反対電
荷を有する平均粒径100〜500nmの荷電樹脂粒子
が結合していることを特徴とするものである。母体イオ
ン交換樹脂と荷電樹脂粒子との結合は、好ましくは両者
を混合し加熱することによりなされる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において母体イオン交換樹
脂としては市場で入手し得る任意のものを用いることが
できる。すなわち弱酸性ないし強酸性のカチオン交換樹
脂、及び弱塩基性ないし強塩基性のアニオン交換樹脂の
いずれをも用いることができる。通常はスルホン酸基を
有する強酸性カチオン交換樹脂、又は第4級アンモニウ
ム基を有する強塩基性アニオン交換樹脂を用いる。母体
イオン交換樹脂の平均粒径は通常は50〜2000μm
である。平均粒径が50μmよりも小さいイオン交換樹
脂からなる樹脂床は、通液時の圧損が大きく、好ましく
ない。また平均粒径が2000μmを超えるイオン交換
樹脂は、イオン交換速度が小さく、好ましくない。
【0007】荷電樹脂粒子としては平均粒径100〜5
00nmのもの、好ましくは200〜500nmのもの
を用いる。粒径が大きすぎても小さすぎても、良好な性
能のイオン交換樹脂を与えない。なお、荷電樹脂粒子の
平均粒径は、光散乱法により求められる体積平均粒径で
ある。体積平均粒径は、粒子径dxの粒子の個数をnx
その体積をVxとすると次式で定義される。
【0008】
【数1】
【0009】荷電樹脂粒子のイオン性基の含有量は、
0.01〜5mmol/g、特に0.1〜1mmol/
gが好ましい。イオン性基の含有量が少なすぎると、母
体イオン交換樹脂に荷電樹脂粒子を静電引力で吸着させ
る際の吸着力が弱くなる。荷電樹脂粒子のイオン性基と
してはスルホン酸基、カルボン酸基又は第4級アンモニ
ウム基が好ましい。
【0010】荷電樹脂粒子としては、通常はビニル系モ
ノマーを乳化重合して得たラテックス粒子を用いる。イ
オン性基を有しないビニル系モノマーだけを重合して
も、得られるラテックス粒子に重合開始剤に由来するイ
オン性基が含まれることもあるが、イオン性基を有する
ビニル系モノマーとイオン性基を有しないビニル系モノ
マーとの混合物を乳化重合させて、所望量のイオン性基
をラテックス粒子中に確実に含有させるようにするのが
好ましい。従ってスルホン酸基を有する荷電樹脂粒子を
製造する場合には、ビニル系モノマーにエチレンスルホ
ン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホメチルメタクリ
レートやその塩などを併用すればよい。カルボン酸基を
有する荷電樹脂粒子を製造する場合には、(メタ)アク
リル酸、ビニル安息香酸やその塩を併用すればよい。ま
た第4級アンモニウム基を有する荷電樹脂粒子を製造す
る場合には、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチ
ルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルア
ンモニウムクロリドなどを併用すればよい。これらのイ
オン性基を有するビニル系モノマーと共重合させるイオ
ン性基を有しないビニル系モノマーとしては、スチレン
等のスチレン系モノマー、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリレート系モノマーなどを用
いればよい。また所望ならば、ジビニルベンゼン、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジビニル
系モノマーを併用して、架橋した荷電樹脂粒子を得るこ
ともできる。
【0011】重合開始剤としては常用の任意のものを用
いることができる。例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸
ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化t−
ブチル、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソ
ブチロニトリル等のアゾ化合物などを用いる。なお重合
開始剤として過硫酸塩を用いた場合には、スルホン酸基
を有するビニル系モノマーを用いなくても、スルホン酸
基を有するラテックス粒子が生成する。
【0012】乳化重合は、例えば反応媒体の水100重
量部に対して2〜100重量部のビニル系モノマー、及
びビニル系モノマーに対して0.01〜10重量部の重
合開始剤を加え、強力に攪拌して乳化状態とし、30〜
100℃で1〜100時間行えばよい。反応温度や反応
時間は重合開始剤の種類や量により適宜調節する。また
所望ならば反応中にビニル系モノマーや重合開始剤を追
加することもできる。なお、通常の乳化重合では、安定
した乳化状態を形成させるため、重合反応系にビニル系
モノマーに対して1〜5重量%程度の界面活性剤を存在
させるが、本発明で用いられる荷電樹脂粒子の製造に際
しては、界面活性剤の不存在下に重合させるのが好まし
い。界面活性剤の存在下に重合させると、生成するラテ
ックス粒子内に界面活性剤が残存する。このようなラテ
ックス粒子を母体イオン交換樹脂と結合させて得られた
イオン交換樹脂からは、使用中にこの界面活性剤が水中
に溶出して水質を低下させる。本発明では、前述の米国
特許第4,347,328号明細書で用いている粒径1
00〜800Å(=10〜80nm)のラテックス粒子
よりも粒径が1桁大きい平均粒径100〜500nmの
ラテックス粒子を生成させるので、界面活性剤を用いな
くても乳化重合を困難なく行うことができる。
【0013】重合反応生成液には通常は可溶性重合体や
小粒径又は大粒径のラテックス粒子なども含まれている
ので、遠心分離、懸濁水洗などにより精製して、平均粒
径100〜500nmの精製されたラテックス粒子を取
得する。なお、ラテックス粒子の粒径はできるだけ均一
であるのが好ましく、粒径100〜500nmの範囲に
ラテックス粒子の80重量%以上、特に90重量%以上
が含まれるようにするのが好ましい。
【0014】なお、別法としてイオン性基を有しないビ
ニル系モノマーだけを乳化重合してラテックス粒子を
得、これにイオン交換樹脂の製造の場合と同じ手法によ
りイオン性基を導入することにより、荷電樹脂粒子を製
造することもできる。例えばスチレンと(メタ)アクリ
レートとの混合物を乳化重合し、得られたラテックス粒
子をスルホン化剤でスルホン化することにより、スルホ
ン酸基を含む樹脂粒子を得ることができる。
【0015】母体イオン交換樹脂の表面に荷電樹脂粒子
を結合させるには、両者を混合し、両者間の静電引力に
より荷電樹脂粒子を母体イオン交換樹脂の表面に結合さ
せればよい。本発明者らの知見によれば、この結合力は
荷電樹脂粒子の粒径に依存しており、粒径が小さすぎて
も大きすぎても結合力は低下し、平均粒径100〜50
0nm、特に200〜500nmのときに最も大きな結
合力が発現する。通常は母体イオン交換樹脂と荷電樹脂
粒子とを水中で混合して両者を結合させる。例えば荷電
樹脂粒子を0.1〜1g/Lとなるように水中に分散さ
せ、これに母体イオン交換樹脂を加えて撹拌することに
より両者を結合させる。荷電樹脂粒子の水分散液は、母
体イオン交換樹脂に対して体積比で0.3〜10倍、特
に0.5〜3倍となるように用いるのが好ましい。また
撹拌は0〜100℃、好ましくは20〜80℃で、10
分間〜50時間、好ましくは30分〜10時間程度行え
ばよい。
【0016】荷電樹脂粒子は、母体イオン交換樹脂に対
して、生成するイオン交換樹脂の荷電樹脂粒子結合量が
飽和結合量の50%以上となるように用いる。荷電樹脂
粒子の結合量が50%未満のイオン交換樹脂は、混合イ
オン交換樹脂床を形成したときに凝集を起こすことがあ
る。荷電樹脂粒子の結合量は、80%以上、特に90%
以上であるのが好ましい。荷電樹脂粒子の結合量は10
0%であってもよいが、凝集を起こさないという目的を
達成する範囲内であれば、むしろ飽和結合量未満である
のが好ましいと考えられる。何故ならば、母体イオン交
換樹脂の表面が荷電樹脂粒子で完全に被覆されると、イ
オン交換速度が低下する現象が見られることがあるから
である。従って一般に結合量は98%未満に止めるのが
好ましい。なお、母体イオン交換樹脂の飽和結合量は、
母体イオン交換樹脂とこれに対して約3倍量の結合させ
ようとする荷電樹脂粒子とを、室温下、水中で十分に混
合したのち、濾過してイオン交換樹脂を除き、濾液中の
荷電樹脂粒子(=結合しなかった荷電樹脂粒子)の量を
測定することにより、容易に求めることができる。
【0017】本発明の好ましい態様の一つでは、母体イ
オン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを水中で混合して結合さ
せたのち、加熱する。これにより両者の結合をより強固
なものとすることができる。加熱は荷電樹脂粒子のガラ
ス転移温度以上、好ましくはガラス転移温度+5℃以上
に加熱する。加熱により両者の結合がより強固なものと
なるのは、両者の界面で融着が起るためと考えられる。
なお、加熱は結合している荷電樹脂粒子がその形状を維
持するように行うのが好ましく、荷電樹脂粒子が溶融し
てその形状が維持されないような加熱は好ましくない。
何故ならば加熱により荷電樹脂粒子が溶融したイオン交
換樹脂は、イオン交換速度が低下するからである。従っ
て一般に加熱は荷電樹脂粒子のガラス転移温度+50℃
未満で行うのが好ましい。
【0018】通常は母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子
とを水中で混合し、撹拌して母体イオン交換樹脂の表面
に荷電樹脂粒子を静電引力により吸着させたのち、引続
き荷電樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する。所望
ならば、母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを混合後
直ちに加熱することもできる。この場合には静電引力に
よる吸着と加熱による融着とが並行して進行することに
なる。なお水中で加熱する場合には、常圧下で加熱し得
るように荷電樹脂粒子としてはガラス転移温度が100
℃未満のものを用いるのが好ましい。例えば荷電樹脂粒
子として好ましいものの一つである、スチレン/ブチル
アクリレート/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体
や、スチレン/エチルヘキシルアクリレート/スチレン
スルホン酸ナトリウム共重合体などは、その組成比を調
整することによりガラス転移温度を容易に100℃未満
の所望の温度とすることができる。水中で加熱する場合
でも加圧容器を用いるならば、荷電樹脂粒子のガラス転
移温度は100℃以上であっても差支えない。
【0019】また別法として、母体イオン交換樹脂と荷
電樹脂粒子とを混合し有機溶媒と接触させることによ
り、上述の加熱と同様の効果を生じさせることもでき
る。これは母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子との界面
で有機溶媒の存在により融着が起ることによるものと考
えられる。この有機溶媒処理に際しては、上述の加熱処
理を併用することもできる。ただし荷電樹脂粒子が溶融
しないように注意しなければならない。この方法による
ときは、水中で母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを
混合して両者を静電引力により結合させたのちこれに有
機溶媒を加えるか又は、両者の結合物を有機溶媒に加え
ればよい。また母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子とを
有機溶媒又は水を含む有機溶媒中で混合して結合させて
もよい。有機溶媒としては通常は水溶性のもの、例えば
メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール
類、アセトニトリル、ジオキサン等を用いればよい。例
えばガラス転移温度が約50℃のスチレン/ブチルアク
リレート/スチレンスルホン酸ナトリウムという組成の
荷電樹脂粒子と母体イオン交換樹脂とが結合したもので
あれば、メタノールに室温で浸漬するだけで、水中で6
0℃に加熱した場合と同様の効果を奏することができ
る。
【0020】本発明に係るイオン交換樹脂を用いて混合
イオン交換樹脂床を形成するのは、常法により行えばよ
い。アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混合比率
は通常は1:5〜5:1である。組合せる反対電荷のイ
オン交換樹脂は、本発明に係るイオン交換樹脂であって
もよく、また通常のイオン交換樹脂であってもよい。
【0021】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明する。 スルホン酸基を有するラテックス粒子(I)の製造;冷
却管を備えた300mL容四つ口フラスコに、スチレン
14g、ブチルアクリレート4g、スチレンスルホン酸
ナトリウム1.3g、ベルオキソ二硫酸カリウム0.2
1g及び脱塩水100gを加えた。フラスコを71℃の
湯浴に浸漬し、窒素雰囲気下、280rpmで撹拌しな
がら8時間重合反応させた。反応液を室温に冷却し、遠
心分離(45,000G×30分間)してラテックス粒
子を回収した。このラテックス粒子を脱塩水に懸濁させ
て遠心分離する操作を2回反復したのち、得られたラテ
ックス粒子を脱塩水に懸濁させて0.8g/Lのラテッ
クスとした。このラテックス粒子の体積平均粒子径は3
30nm、ガラス転移温度は64℃であった。なお、体
積平均粒子径は日機装(株)製の粒度分布計MICRO
TRAC UPAを用いて測定した。またガラス転移点
はセイコーインスツルメンツ製のDSC−20を用いて
測定した。
【0022】スルホン酸基を有するラテックス粒子(I
I)の製造;冷却管を備えた200mL容四つ口フラス
コに、スチレン14g、ブチルアクリレート4g、スチ
レンスルホン酸ナトリウム1.3g、ベルオキソ二硫酸
カリウム0.21g及び脱塩水100gを加えた。フラ
スコを湯浴に浸漬し、窒素雰囲気下、内温70℃で30
0rpmで撹拌しながら8時間重合反応を行わせた。反
応終了後は上記と同様に後処理して0.8g/Lのラテ
ックスとした。このラテックス粒子の体積平均粒子径は
220nmであった。
【0023】スルホン酸基を有するラテックス粒子(II
I)の製造;冷却管を備えた300mL容四つ口フラス
コに、スチレン18g、スチレンスルホン酸ナトリウム
1.3g、ベルオキソ二硫酸カリウム0.21g及び脱
塩水100gを加えた。フラスコを71℃の湯浴に浸漬
し、窒素雰囲気下、280rpmで撹拌しながら8時間
重合反応させた。反応終了後は前記と同様に後処理して
0.8g/Lのラテックスとした。このラテックス粒子
の体積平均粒子径は350nmであった。
【0024】スルホン酸基を有するラテックス粒子(I
V)の製造;冷却管を備えた300mL容四つ口フラス
コに、スチレン14g、ブチルアクリレート4g、スチ
レンスルホン酸ナトリウム0.65g、ベルオキソ二硫
酸カリウム0.21g及び脱塩水100gを加えた。フ
ラスコを71℃の湯浴に浸漬し、窒素雰囲気下、280
rpmで撹拌しながら8時間重合反応を行わせた。反応
終了後は前記と同様に後処理して0.8g/Lのラテッ
クスとした。このラテックス粒子の体積平均粒子径は5
0nmであった。
【0025】実施例1 強酸基性アニオン交換樹脂(ダイヤイオンSA12A、
ダイヤイオンは三菱化学社の登録商標)をカラムにつ
め、これに2N−NaOH水溶液を10BV(BED
VOLUME)通液し、引続いて脱塩水を50BV通液
してOH型とした。このOH型のアニオン交換樹脂10
0mLを遠心分離機で脱水したのち300mL容3角フ
ラスコに入れ、ラテックス(I)50mL(ラテックス
粒子として0.04g)を加え25℃で2時間、120
回/分で振とうして、アニオン交換樹脂にラテックス粒
子を吸着させた。吸着前後の液の420nmの吸光度の
測定から、ラテックス粒子0.028gが吸着したこと
を確認した。このラテックス粒子を吸着したアニオン交
換樹脂をカラムにつめ、50BAの脱塩水を通液して洗
浄し、ラテックス結合アニオン交換樹脂(I)を得た。
【0026】実施例2 実施例1と全く同様にして得たアニオン交換樹脂(I)
50mLに脱塩水100mLを加え、60℃に2時間保
持したのち室温に冷却して、ラテックス結合アニオン交
換樹脂(II)を得た。 実施例3 実施例1と全く同様にして得たアニオン交換樹脂(I)
50mLに脱塩水100mLを加え、80℃に2時間保
持したのち室温に冷却して、ラテックス結合アニオン交
換樹脂(III)を得た。
【0027】実施例4 ラテックスとしてラテックス(II)を用いた以外は実施
例1と全く同様にして、ラテックス結合アニオン交換樹
脂(IV)を得た。 実施例5 ラテックスとしてラテックス(III)を用いた以外は、
実施例1と全く同様にして、ラテックス結合アニオン交
換樹脂(V)を得た。
【0028】比較例1 ラテックスとしてラテックス(IV)を用いた以外は、実
施例1と全く同様にして、ラテックス結合アニオン交換
樹脂(VI)を得た。 比較例2 ラテックス(I)の代りにポリスチレンスルホン酸(東
ソー社製、PS−5(H)、平均分子量5万)の水溶液
(スルホン酸ユニットの濃度0.2mmol/L)50
mLを用いた以外は、実施例1と全く同様にしてポリス
チレンスルホン酸が吸着したアニオン交換樹脂(VII)を
得た。
【0029】比較例3 スルホン酸ユニット濃度0.2mmol/Lのポリスチ
レンスルホン酸水溶液の代わりにスルホン酸ユニット濃
度2mmol/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液50
mLを用いた以外は、比較例2と全く同様にしてポリス
チレンスルホン酸が吸着したアニオン交換樹脂(VIII)
を得た。
【0030】評価;上記で得たアニオン交換樹脂(I)
〜(VIII)について、初期分離性、サイクル後分離性、
振とう後分離性及び脱塩性を評価した。結果を表−1に
示す。 初期分離性;H型のダイヤイオンSKIB10mLとア
ニオン交換樹脂10mLとを混合して内径17mmのガ
ラスカラムに充填する。これに樹脂層の層高が約2倍と
なるように脱塩水を上向きに流す。約2倍の層高を1分
間保持したのち通水を中止し、樹脂を自然沈降させる。
カチオン交換樹脂が下層に、アニオン交換樹脂が上層に
と2層に分れた樹脂床が形成されるので、全樹脂層高に
対するアニオン交換樹脂層の比率を測定し、初期分離性
とする。若し、両樹脂が全く凝集を起さなければ初期分
離性は50%となる。
【0031】サイクル後分離性;アニオン交換樹脂10
mLをカラムにつめ、これに2N−HCl水溶液10B
V→脱塩水10BV→2N−NaOH水溶液10BV→
脱塩水10BVをそれぞれSV30で通液することを1
サイクルとして、これを100サイクル反復する。10
0サイクル後のアニオン交換樹脂を用いて初期分離性と
全く同一の試験を行い、全樹脂層高に対するアニオン交
換樹脂層の比率を測定し、サイクル後分離性とする。初
期分離性とサイクル後分離性との差は、使用中に結合さ
せた荷電樹脂粒子がどの程度溶出するかを示す尺度と考
えられる。
【0032】振とう後分離性;アニオン交換樹脂10m
Lと1N−NaOH水溶液20mLを100mL容のガ
ラス瓶に入れて密栓し、200回/分の振とう速度で、
25℃で2時間振とうする。次いで樹脂をカラムにつ
め、脱塩水50BVを通水して洗浄する。このアニオン
交換樹脂を用いて初期分離性と全く同一の試験を行い、
全樹脂層高に対するアニオン交換樹脂層の比率を測定
し、振とう後分離性とする。初期分離性と振とう後分離
性との差は、結合させた荷電樹脂粒子が取扱いや逆洗な
どの際の物理性的衝撃により剥離する程度を示す尺度と
考えられる。
【0033】脱塩率:アニオン交換樹脂を目開き590
μmの篩で篩分し、網目に詰まった樹脂を取得する。内
径17mmのカラムにこの樹脂2.35mLを充填す
る。このカラムにNa2SO4 22ppmを含む水溶液
を385mL/分で通水し、その電導度(μS/cm)
を測定する。
【0034】
【数2】
【0035】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 勝彦 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母体イオン交換樹脂の表面に、これと反
    対電荷を有する平均粒径100〜500nmの荷電樹脂
    粒子が結合していることを特徴とするイオン交換樹脂。
  2. 【請求項2】 荷電樹脂粒子の結合量が、飽和結合量の
    50%以上であることを特徴とする請求項1記載のイオ
    ン交換樹脂。
  3. 【請求項3】 母体イオン交換樹脂が平均粒径50〜2
    000μmのものであることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のイオン交換樹脂。
  4. 【請求項4】 母体イオン交換樹脂がアニオン交換樹脂
    であり、荷電樹脂粒子がスルホン酸基を有するものであ
    ることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載
    のイオン交換樹脂。
  5. 【請求項5】 母体イオン交換樹脂がカチオン交換樹脂
    であり、荷電樹脂粒子が第4級アンモニウム基を有する
    ものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1
    項に記載のイオン交換樹脂。
  6. 【請求項6】 母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子との
    結合が、両者を混合し加熱する工程を経てなされたもの
    であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に
    記載のイオン交換樹脂。
  7. 【請求項7】 母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子との
    結合が、両者を水中で混合し、荷電樹脂粒子のガラス転
    移温度以上で加熱する工程を経てなされたものであるこ
    とを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    のイオン交換樹脂。
  8. 【請求項8】 母体イオン交換樹脂と荷電樹脂粒子との
    結合が、両者を有機溶媒と接触させる工程を経てなされ
    たものであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか
    1項に記載のイオン交換樹脂。
  9. 【請求項9】 荷電樹脂粒子が界面活性剤の不存在下に
    乳化重合により製造されたものであることを特徴とする
    請求項1乃至8の何れか1項に記載のイオン交換樹脂。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9の何れか1項に記載の
    イオン交換樹脂と、これと反対電荷を有するイオン交換
    樹脂とから成ることを特徴とする混合イオン交換樹脂
    床。
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