JP4437383B2 - 不飽和有機酸塩の精製方法並びにそれに用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂及び吸着樹脂の再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和有機酸塩の精製方法並びにそれに用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂及び吸着樹脂の再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する有機酸の塩(以下、不飽和有機酸塩と記載する)は、各種の化学製品の原料や改質に用いることができる水に可溶な重合性を有するモノマーであり、通常では水溶液の形態で供給されている。不飽和有機酸塩の高重合度の重合体を得るためには、例えばアクリル酸では高重合度のポリアクリル酸塩の原料として、アルデヒド類の含有量が数十ppm以下となるように高度に精製されたアクリル酸を不飽和有機酸塩水溶液の原料として用い、更に活性炭処理により精製する必要があった。特に精製度の低い、例えばエステル原料となるアルデヒド類を数百ppmも含有するような粗製のアクリル酸を原料とする場合においては、活性炭処理では不純物除去能力が充分ではなく、アクリル酸塩の水溶液の品質を充分に向上することができないという問題がある。
【0003】
不純物がアクリル酸塩の水溶液中から充分に除去されないと、アクリル酸塩の重合性が低下することに起因して、アクリル酸塩を使用するときに重合速度が低下したり、生成する重合体の分子量が低下したり、残存モノマーが多くなったりすることになる。また、活性炭を用いると、比較的多量の添加を必要とし、活性炭を使い捨てなければならないことから、処理コストが高くなるうえに、廃棄物の処理問題が生じることとなる。従って、不飽和有機酸塩の水溶液から不純物を充分に取り除くことができると共に、処理コストを抑制することができる不飽和有機酸塩の精製方法が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、不純物除去能が優れ、しかも、処理コストを抑制することができる不飽和有機酸塩の精製方法、並びに、不飽和有機酸塩の精製処理に用いられた陰イオン交換樹脂及び吸着樹脂の再生方法を提供することを目的とするものである
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、不飽和有機酸塩の精製方法について種々検討するうち、不飽和有機酸塩の水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂で処理することにより、従来の活性炭処理法に比べて不純物除去能が優れること、特に不飽和有機酸塩の重合性を抑制する作用を有するプロトアネモネン(PAN)や、アセトン等のケトン類や、フルフラール(FF)、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類等を充分に除去することができることを見いだした。また比較的少量で処理することができ、弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂を再生して何度も繰り返し使用することができることから、処理コストを抑制することが可能となるうえに、廃棄物量を削減することが可能となることも見いだした。すなわち弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂で処理することで、精製度の低い粗製酸を原料として使用することが可能となり、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂の特性や不飽和有機酸塩の水溶液のpH、濃度を適切に設定したりすることによりその作用効果が充分に発揮されることも見いだした。更にこのような精製方法に用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂を繰り返し用いるためには、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂をアルカリに接触させ、好ましくは再生効果が高いことから、酸に接触させた後、アルカリに接触させたり、また、吸着樹脂と有機溶媒又は有機溶媒と水との混合物を接触させたりすることで達成することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0006】
すなわち本発明は、不飽和有機酸塩の水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂で処理する工程を含む不飽和有機酸塩の精製方法である。
【0007】
本発明はまた、不飽和有機酸塩の水溶液を精製するために用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を再生する方法であって、上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法は、上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂をアルカリに接触させる工程を含んでなる弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法でもある。
【0008】
本発明は更に、不飽和有機酸塩の水溶液を精製するために用いられた吸着樹脂を再生する方法であって、上記吸着樹脂の再生方法は、上記吸着樹脂を有機溶媒又は有機溶媒と水との混合物に接触させる工程を含んでなる吸着樹脂の再生方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の不飽和有機酸塩の精製方法は、不飽和有機酸塩の水溶液を精製する方法であれば特に限定されることなく適用することができるが、精製度が低い、例えば、エステル原料となるアルデヒド類を数百ppmも含有するような不飽和有機酸塩の水溶液を精製する際にも好適に適用することができ、従来の活性炭処理法と比べて不純物を充分に除去することが可能となるうえに、処理コストが抑制され、廃棄物量を低減することが可能となる。なお不飽和有機酸塩の水溶液は、不飽和有機酸塩を製造する際に得られるものに限られず、水溶液中に不飽和有機酸塩が含まれている限り特に限定されるものではなく、不飽和有機酸塩を含む水溶液を意味するものである。
【0010】
上記不飽和有機酸塩を形成する不飽和有機酸としては、分子内に炭素−炭素不飽和結合を持つものであれば特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸系単量体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも不飽和モノカルボン酸系単量体が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。すなわち本発明は、アクリル酸塩を含む水溶液を精製する場合に好適に適用されることになる。
【0011】
上記不飽和有機酸塩としては、上記有機酸を塩の形態としたもの等の1種又は2種以上が挙げられるが、塩の種類としては特に限定されず、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンの塩;アンモニアの塩(アンモニウム塩)等が挙げられる。これらの中でもナトリウム塩が特に好ましい。従って、アクリル酸のナトリウム塩を含む水溶液を精製する場合に適用することが、本発明の最も好ましい実施形態の1つである。
【0012】
本発明の精製方法は、不飽和有機酸塩の水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂で処理する工程を含むことになる。なお、本発明においては、弱塩基性陰イオン交換樹脂と吸着樹脂とを併用してもよい。
【0013】
本発明における弱塩基性陰イオン交換樹脂としては、弱塩基性陰イオン交換基を有して本発明の作用効果を発揮することができるものであれば特に限定されず、弱塩基性陰イオン交換樹脂の他、弱塩基性陰イオン交換基を有するキレート樹脂等も含まれる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、陰イオン交換樹脂の交換基としては特に限定されず、例えば、1級アミン、2級アミン、3級アミン、ポリアミン等のアミン等が挙げられ、1種であっても2種以上であってもよい。これらの中でも、1級アミン、2級アミン、ポリアミンであることが好ましい。ポリアミンとは、一つの交換基に少なくとも2つ以上のアミノ基をもつものである。ポリアミンを交換基に持つ樹脂としては、例えば、ダイヤイオンWA20、ダイヤイオンWA21J、ダイヤイオンCR20(いずれも商品名、三菱化学社製)、スミカイオンKA890(商品名、住友化学社製)、WGR−2(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。弱塩基性陰イオン交換樹脂の母体樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系、(メタ)アクリル系、エポキシ−アミン系、フェノール系等が挙げられる。
【0014】
本発明における弱塩基性陰イオン交換樹脂を具体的に例示すると、例えば、ダイヤイオンWA20、ダイヤイオンWA21J、ダイヤイオンWA10、ダイヤイオンWA30、ダイヤイオンDCA11、(いずれも商品名、三菱化学社製)、WGR−2、66、D−3(いずれも商品名、ダウ・ケミカル社製)、デュオライトA−7、デュオライトA368、デュオライトA368S、デュオライトA378D、デュオライトA561、デュオライトA568K、デュオライトA375(いずれも商品名、R&H社製)、レバチットVP OC 1065(商品名、バイエル社製)等が挙げられる。
【0015】
更に弱塩基性陰イオン交換基を有するキレート樹脂としては、例えば、ダイヤイオンCR20(商品名、三菱化学社製)、スミカイオンKA890(商品名、住友化学社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明における吸着樹脂としては、本発明の作用効果を発揮することができるものであれば特に限定されず、芳香族系吸着樹脂(スチレンとジビニルベンゼンとの共重合樹脂)、芳香族系修飾型吸着樹脂(芳香族系の母体に臭素等を化学的に結合した樹脂)、メタクリル系吸着樹脂(メタクリル酸、アクリル酸等の重合樹脂)等があり、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明における吸着樹脂を具体的に例示すると、例えば、ダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、セパビーズSP825、セパビーズSP850、セパビーズSP207、ダイヤイオンHP2MG(いずれも商品名、三菱化学社製)、デュオライトS−861、デュオライトS−862、デュオライトS−866、デュオライトS−872、デュオライトS−874、デュオライトS−876(いずれも商品名、R&H社製)等が挙げられる。
【0017】
上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の使用量としては、本発明の作用効果を奏することになる限り特に限定されず、例えば、水溶液中に含まれる不純物量が後述する範囲となるように、用いる弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の種類や、後述する使用形態等により適宜設定すればよい。
【0018】
本発明では、不飽和有機酸塩の水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂で処理することになるが、処理方法としては、例えば、(1)弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂中に不飽和有機酸塩の水溶液を通水する方法、(2)不飽和有機酸塩の水溶液中に弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を添加し、攪拌する方法等が挙げられる。また、連続的に処理を行ってもよく、バッチ式で処理を行ってもよい。具体的には、(1)の方法を適用する場合、例えば、カラムに弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を充填し、これに不飽和有機酸塩の水溶液を通液することにより処理を行うことができる。また、(2)の方法を適用する場合、例えば、不飽和有機酸塩の水溶液中に弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を添加し、攪拌して処理を行った後に、フィルターでろ過する操作や重力分離操作(フィルターを用いずに、樹脂と溶液の比重差で分離する方法)等を行うことにより、処理後の水溶液から弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を除去することにより行うことができる。このような(1)及び(2)の方法において、通水時間や攪拌時間等としては特に限定されず、例えば、通水時間としては、SV(空間速度)が0.1〜20hr−1とすることが好ましい。より好ましくは、1〜10hr−1である。攪拌時間としては、5分以上とすることが好ましい。より好ましくは、10〜600分である。なお、SV(空間速度)とは、以下の式により計算される値である。
SV(空間速度)=流体の体積速度(m3/hr)/樹脂層の体積(m3)
【0019】
本発明における処理条件としては特に限定されず、例えば、上記不飽和有機酸塩の水溶液における不飽和有機酸塩の濃度が、10〜60質量%であることが好ましい。10質量%未満であると、濃度が低すぎるために処理効率が下がり、処理コストを充分に低減することができなくなるおそれがあり、60質量%を超えると、濃度が高すぎるために充分に処理することができなくなるおそれがある。より好ましくは、25〜40質量%である。不飽和有機酸塩の濃度とは、不飽和有機酸塩の水溶液100質量%中における不飽和有機酸塩の質量割合である。なお上記不飽和有機酸塩の水溶液は、通常では媒体に水のみを用いることになるが、水に可溶な有機溶剤等が含まれていてもよく、その場合には水が主成分となる媒体を用いることが好ましい。
【0020】
また上記弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いる場合には、上記不飽和有機酸塩の水溶液のpHを7〜14とすることが好ましい。pHが7未満であると、弱塩基性陰イオン交換樹脂が充分に機能することができず、不純物を充分に除去することができなくなるおそれがある。より好ましくは、8〜13.5である。更に好ましくは、9.5〜13.5である。pHを調整する方法としては特に限定されず、溶液のpHに応じて、塩基又は不飽和有機酸の添加量等を適宜調整すればよい。なお、pHは、25℃でのpHである。また、本発明における処理温度としては、樹脂の耐熱温度以下であれば特に限定されない。処理温度が高ければ不純物の除去効率は増加するが、一方処理温度が高ければ樹脂処理中に不飽和有機酸塩が重合する可能性があり、好ましくは10〜60℃、更に好ましくは10〜40℃である。
【0021】
上記不飽和有機酸塩の水溶液は、通常では処理前に不飽和有機酸塩以外に不純物等を含むこととなる。不純物としては、不飽和有機酸塩の製造原料に混入している化合物や、有機酸の製造時に生成する副生成物等があり、例えば、プロトアネモネン(PAN)や、アセトン等のケトン類;フルフラール(FF)、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類等が挙げられる。本発明の精製方法により、不飽和有機酸塩の水溶液中の不純物量を一定値以下となるようにすることが可能であるが、不飽和有機酸塩の水溶液中の不純物量を評価する方法としては、例えば、不飽和有機酸塩の水溶液中に含まれる全(total)アルデヒド、ケトン量を測定することにより行うことができる。例えば、本発明の精製方法を行った後の水溶液中における全アルデヒド、ケトンの含有量としては、40ppm以下となるようにすることが好ましい。不飽和有機酸塩の水溶液中の全アルデヒド、ケトンの含有量が40ppmを超えると、不飽和有機酸塩の重合性が低下し、それに起因して、不飽和有機酸塩を重合するときの重合速度が低下したり、生成する重合体の分子量が低下したり、残存モノマーが多くなったりすることになる。より好ましくは、全アルデヒド、ケトン量が20ppm以下となるようにすることである。アクリル酸塩の水溶液中の不純物量がこのような範囲となるように、処理条件等を適宜設定することが好ましい。
【0022】
本発明の精製方法においては、使用した弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂を再生して繰り返し使用することが好ましい。すなわち本発明の不飽和有機酸塩の精製方法は、それに用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生工程を含むことが好ましい。これにより、処理コストをより抑制することが可能となるうえに、処理に用いた弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂の廃棄量を低減することが可能となる。この場合、不飽和有機酸塩を精製するために用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を再生する方法であって、上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法は、上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂をアルカリに接触させる工程を含んでなる弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法や、不飽和有機酸塩の水溶液を精製するために用いられた吸着樹脂を再生する方法であって、上記吸着樹脂の再生方法は、上記吸着樹脂を有機溶媒又は有機溶媒と水との混合物に接触させる工程を含んでなる吸着樹脂の再生方法を上記再生工程に適用することが好ましく、このような弱塩基性陰イオン交換樹脂の再生方法や吸着樹脂の再生方法もまた、本発明の1つである。なおこのような弱塩基性陰イオン交換樹脂の再生方法及び/又は吸着樹脂の再生方法では、上述した不飽和有機酸塩の精製方法に用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を再生するために適用することが好適であるが、不飽和有機酸塩を精製するために用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を再生することになる限り、特に限定されるものではない。また、不飽和有機酸塩の精製方法に弱塩基性陰イオン交換樹脂及び吸着樹脂を用いる場合、上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法により、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び吸着樹脂を再生することができるが、上記吸着樹脂の再生方法により、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び吸着樹脂を再生してもよい。
【0023】
上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法において用いられるアルカリとしては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が好適である。また、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂をアルカリと接触させる方法としては、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂中に水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を通水する方法、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液に加え、攪拌する方法等が挙げられる。また、連続的に処理を行ってもよく、バッチ式で処理を行ってもよい。この際、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂とアルカリとの割合としては、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の種類等により適宜設定すればよく特に限定されるものではない。使用されるアルカリ水溶液の濃度については、アルカリ水溶液を100質量%とすると、1〜20質量%とすることが好ましく、より好ましくは、2〜12質量%である。また、攪拌時間としては特に限定されず、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の種類や用いるアルカリの量等により適宜設定すればよい。
【0024】
上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法におけるアルカリに接触させる工程は、アルカリ単独処理とする形態でもよいが、より好ましい形態としては、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を酸に接触させた後、アルカリに接触させる工程を含んでなる形態である。この場合、まず弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を酸で洗浄(酸と接触させた)後、アルカリで洗浄する(アルカリと接触させる)こととなるが、酸と接触させる方法としては、アルカリ水溶液のかわりに酸を用いること以外は、上述したアルカリと接触させる方法と同様の方法を用いることができる。この際、酸で洗浄した後に水等で洗浄する工程を含むことが好ましい。酸で洗浄後、アルカリで洗浄する前に水等で洗浄する工程を含むことで、中和による余分な発熱を抑制したり、残存する酸を事前に洗浄するのでアルカリでの洗浄がより効率よく経済的に行えるので好ましい形態である。酸と接触させる方法における弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂と酸との割合や、攪拌時間としては特に限定されず、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の種類等により適宜設定すればよい。
【0025】
上記酸の種類としては、鉱酸及び有機酸のいずれでもよく、これらの中でも、塩酸、硫酸、硝酸等が好ましい。
上記酸の濃度としては、酸の水溶液を100質量%とすると、1質量%以上であることが好ましく、また、20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、2質量%以上であり、また、12質量%以下である。
【0026】
上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法は、上記工程以外の工程を含んでもよく、例えば、上記工程を行った後、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を水等で洗浄する工程等を含むことが好ましい。このような工程では、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂を洗浄した水のpHが7になるまで行うことが好ましい。また、上記工程を行う前、すなわち酸やアルカリと接触させる前に弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂を予め水等で不飽和有機酸塩を洗い流しておく工程を含んでもよい。上記、予め水等で不飽和有機酸塩を洗い流すことで不飽和有機酸塩を回収することができるので好ましい実施形態となる。
【0027】
上記吸着樹脂の再生方法において用いられる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール等が好適である。有機溶媒と水との混合物における、有機溶媒と水との混合割合としては特に限定されず、有機溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよい。吸着樹脂を有機溶媒又は有機溶媒と水との混合物と接触させる方法としては、例えば、上述した弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂をアルカリに接触させる方法と同様の方法等が挙げられる。この際、吸着樹脂と有機溶媒との割合としては、吸着樹脂の種類等により適宜設定すればよく特に限定されるものではない。また、攪拌時間としては特に限定されず、吸着樹脂の種類や用いる有機溶媒の量や種類等により適宜設定すればよい。上記吸着樹脂の再生方法はまた、上記弱塩基性陰イオン交換樹脂及び/又は吸着樹脂の再生方法と同様に、上記工程以外の工程を含んでもよい。
【0028】
本発明の不飽和有機酸塩の精製方法により得られる不飽和有機酸塩の水溶液は、不純物量が充分に低減されているために重合性が高く、しかも製造コストが低減されていることから、各種の化学製品の原料や改質に好適に用いることができる高品質なものである。また不飽和有機酸塩の精製に用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂を再生することにより、弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂がその機能を充分に発揮して不飽和有機酸塩を繰り返し精製することができることから、製造コストをより低減し、廃棄物量もより削減することが可能となる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「重量部」を、「%」は、「質量%」を意味するものとする。
【0030】
実施例で用いた粗製アクリル酸ナトリウム水溶液は、以下の方法により作製した。
(粗製アクリル酸ナトリウム水溶液の作製方法)
容量5Lのビーカーにイオン交換水1798部を仕込み、攪拌下、粗製アクリル酸1280部及び48%水酸化ナトリウム水溶液1488部を同時に滴下開始した。粗製アクリル酸は35分間で等速滴下した。また、48%水酸化ナトリウム水溶液は45分間で等速滴下した。尚、滴下途中の液温は35℃以下を保った。48%水酸化ナトリウム水溶液滴下終了後、20分間の熟成を行い、次いで、少量の上記粗製アクリル酸を用いてpHを10.0に調整した。このようにして濃度が37%の粗製アクリル酸ナトリウム水溶液を得た。該粗製アクリル酸ナトリウム水溶液中の全(total)アルデヒド、ケトン量を下記の方法により分析した結果、80ppmであった。
【0031】
(全アルデヒド、ケトン量の分析方法)
20mlメスフラスコに予めエタノールで適当濃度となるように希釈した試料2.0mlと2,4−ジニトロフェニルヒドラジン試薬(飽和エタノール溶液)2.0mlと濃塩酸2滴を加え、水浴で50℃で30分加熱する。次いで室温まで冷却し、水酸化カリウム溶液(水酸化カリウム10gを超純水20mlに溶かし、エタノールを加えて100mlとしたもの)10mlを加え、よく振り混ぜる。25℃にて速やかに分光光度計を用い、波長480nmでの吸光度値を読み取り、予め既知量のフルフラールを用いて作成しておいた検量線より濃度を算出する。
【0032】
また実施例及び比較例においては、以下の重合試験方法を行った。
(重合試験方法)
37%アクリル酸ナトリウム水溶液4378部にグリセリン32.4部を添加した後、希薄な水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを12.8に調整した。次いで、イオン交換水を添加して全量を4490部に調整した。このモノマー液中に窒素をバブリングすることにより溶存酸素を除去すると共に、0.69%過硫酸ナトリウム水溶液5部及び17.2%トリエタノールアミン水溶液5部を添加した。この反応液を直ちに、解枠が可能で且つ内面がテフロン(R)ライニングされた容量5LのSUS製容器(厚さ50mm、温度計付き)に入れ、密閉した。これを予め30℃に調整された水槽に浸漬した。液温がピークとなったとき、その時間を記録すると共に水槽の温度を75℃に高めた。75℃になった時点から同温度に90分保持することにより重合を完結した。その後、反応容器を解枠しゲル状の重合体を取り出し、ハサミで細かく裁断し、190℃で2時間乾燥した。次いで卓上粉砕機で粉砕し粉状の重合体を得た。この粉状重合体の0.2%水溶液を調整した後、該水溶液のB形粘度(30℃)を測定した。また、残留モノマー量(固形/固形%)を食品添加物公定書に記載の方法で測定した。
【0033】
実施例1
容量5Lのビーカーに上記粗製アクリル酸ナトリウム水溶液3000ml及びポリアミン型の弱塩基性陰イオン交換樹脂ダイヤイオンCR20(商品名、三菱化学社製)30mlを入れ8時間攪拌した。このようにしてバッチ式の処理を行った。次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過した。該ろ液中の精製されたアクリル酸ナトリウム水溶液の全アルデヒド、ケトン量を上記の測定方法で求めた。また、該アクリル酸ナトリウム使用液の重合性を上記した重合試験方法で評価した。その結果を表1に示した。
【0034】
実施例2〜9
表1に示した弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いた他は、実施例1と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウムの重合性及び全アルデヒド、ケトン量を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1について、以下に説明する。CR−20とは、三菱化学社製のダイヤイオンCR20(商品名)であり、WA−20とは、三菱化学社製のダイヤイオンWA20(商品名)であり、WA21Jとは、三菱化学社製のダイヤイオンWA21J(商品名)であり、KA−890とは、住友化学社製のスミカイオンKA890(商品名)であり、VP OC 1065とは、バイエル社製のレバチットVP OC 1065(商品名)であり、A−7とは、R&H社製のデュオライトA−7(商品名)であり、DCA11とは、三菱化学社製のダイヤイオンDCA11(商品名)であり、A−561とは、R&H社製のデュオライトA561(商品名)であり、A−568とは、R&H社製のデュオライトA568(商品名)である。
なお表中において、totalアルデヒド、ケトン濃度(ppm)とは、精製したアクリル酸ナトリウム水溶液(ろ液)中の全(total)アルデヒド濃度(ppm)と全(total)ケトン濃度(ppm)をFF(フルフラール)換算で示した値である。
【0037】
実施例10
実施例1において、処理後に残った樹脂(使用後の樹脂)を新たに粗製アクリル酸ナトリウム水溶液3000mlに入れ、8時間攪拌しバッチ処理を行い、次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過し、処理されたアクリル酸ナトリウム水溶液を分離した。
【0038】
上記操作を繰り返し行い、処理されたアクリル酸ナトリウム水溶液中の全アルデヒド、ケトン量が40ppm以上となった時点で樹脂を取り出し、該樹脂30mlを1N水酸化ナトリウム水溶液300mlに加え、1時間攪拌した。次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過し樹脂を取りだし、水で洗浄し、洗浄液のpHが7となるまで洗浄を行い、再生処理を行った。この再生処理された陰イオン交換樹脂30mlを上記37%粗製アクリル酸ナトリウム水溶液3000mlに加え、8時間攪拌した。次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過した。該ろ液中の精製されたアクリル酸ナトリウムの重合性を上記した重合試験方法で評価した。また、ろ液中の全アルデヒド、ケトン量を上記の分析方法により分析した。その結果を表2に示した。
【0039】
実施例11〜12
表2に示した弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いた他は、実施例10と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウムの重合性及び全アルデヒド、ケトン量を実施例10と同様にして測定した。その結果を表2に示した。
【0040】
【表2】
【0041】
表2について、以下に説明する。CR−20とは、三菱化学社製のダイヤイオンCR20(商品名)であり、VP OC 1065とは、バイエル社製のレバチットVP OC 1065(商品名)であり、A−7とは、R&H社製のデュオライトA−7(商品名)である。
【0042】
参考例13〜16
表3に示した吸着樹脂を用いた他は、実施例1と同様にして、処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウムの重合性及び全アルデヒド、ケトン量を実施例1と同様にして測定した。その結果を表3に示した。
【0043】
【表3】
【0044】
表3について、以下に説明する。SP850とは、三菱化学社製のセパビーズSP850(商品名)であり、SP207とは、三菱化学社製のセパビーズSP207(商品名)であり、S874とは、R&H社製のデュオライトS−874(商品名)であり、S876とは、R&H社製のデュオライトS−876(商品名)である。
【0045】
実施例17
水酸化ナトリウムを粗製アクリル酸ナトリウム水溶液に加え、粗製アクリル酸ナトリウム水溶液のpHを13.8に調整した他は、実施例1と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウム水溶液中の全アルデヒド、ケトン量を上記した測定方法で求めた。また、該アクリル酸ナトリウム水溶液の重合性を上記した重合試験方法で評価した。その結果を表4に示した。
【0046】
参考例18
粗製アクリル酸を粗製アクリル酸ナトリウム水溶液に加え、粗製アクリル酸ナトリウム水溶液のpHを7.2に調整した他は、実施例1と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウム水溶液中の全アルデヒド、ケトン量を上記した測定方法で求めた。また、該アクリル酸ナトリウム水溶液の重合性を上記した重合試験方法で評価した。その結果を表4に示した。
【0047】
参考例19
水酸化ナトリウムを粗製アクリル酸ナトリウム水溶液に加え、粗製アクリル酸ナトリウム水溶液のpHを13.8に調整した他は、参考例14と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウム水溶液中の全アルデヒド、ケトン量を上記した測定方法で求めた。また、該アクリル酸ナトリウム水溶液の重合性を上記した重合試験方法で評価した。その結果を表4に示した。
【0048】
参考例20
粗製アクリル酸を粗製アクリル酸ナトリウム水溶液に加え、粗製アクリル酸ナトリウム水溶液のpHを6.0に調整した他は、参考例14と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウム水溶液中の全アルデヒド、ケトン量を上記した測定方法で求めた。また、該アクリル酸ナトリウム水溶液の重合性を上記した重合試験方法で評価した。その結果を表4に示した。
【0049】
参考例21
粗製アクリル酸を粗製アクリル酸ナトリウム水溶液に加え、粗製アクリル酸ナトリウム水溶液のpHを6.0に調整した他は、実施例1と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウム水溶液中の全アルデヒド、ケトン量を上記した測定方法で求めた。また、該アクリル酸ナトリウム水溶液の重合性を上記した重合試験方法で評価した。その結果を表4に示した。
【0050】
【表4】
【0051】
表4について、以下に説明する。CR−20とは、三菱化学社製のダイヤイオンCR20(商品名)である。SP207とは、三菱化学社製のダイヤイオンSP207(商品名)である。
【0052】
実施例22
実施例1において、処理後に残った樹脂(使用後の樹脂)を新たに粗製アクリル酸ナトリウム水溶液3000mlに入れ、8時間攪拌しバッチ処理を行い、次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過し、処理されたアクリル酸ナトリウム水溶液を分離した。
【0053】
上記操作を繰り返し行い、処理されたアクリル酸ナトリウム水溶液の全アルデヒド、ケトン量が40ppm以上となった時点で樹脂を取り出し、該樹脂30mlを1N塩酸水溶液100mlに加え、1時間攪拌した。次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過し樹脂を取り出し、これを1N水酸化ナトリウム水溶液50mlに加え、1時間攪拌した。次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過し樹脂を取りだし、水で洗浄し、洗浄液のpHが7となるまで洗浄を行い、再生処理を行った。この再生処理された陰イオン樹脂30mlを上記37%粗製アクリル酸ナトリウム水溶液3000mlに加え、8時間攪拌した。次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過した。該ろ液中の精製されたアクリル酸ナトリウムの重合性を上記した重合試験方法で評価した。また、ろ液中の全アルデヒド、ケトン量を上記の分析方法により分析した。その結果を表5に示した。
【0054】
実施例22−1(事前洗浄と、酸処理後、アルカリ処理前水洗浄)
実施例1において、処理後に残った樹脂(使用後の樹脂)を新たに粗製アクリル酸ナトリウム水溶液3000mlに入れ、8時間攪拌しバッチ処理を行い、次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過し、処理されたアクリル酸ナトリウム水溶液を分離した。上記操作を繰り返し行い、処理されたアクリル酸ナトリウム水溶液の全アルデヒド、ケトン量が40ppm以上となった時点で樹脂を取り出し、当該樹脂を水で洗浄し、粗製アクリル酸Naを回収した。そして該樹脂30mlを1N塩酸水溶液100mlに加え、1時間攪拌した。次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過し樹脂を取り出し、水で洗浄し、これを1N水酸化ナトリウム水溶液50mlに加え、1時間攪拌した。後は実施例1と同様に処理を行った。アルデヒド等の除去及び重合試験の結果は、実施例22と同様であった。
上記実施例は、処理後の樹脂を酸やアルカリで洗浄する前に、予め水等で不飽和有機酸塩を洗い流すことで不飽和有機酸塩を回収することができる形態と、処理後の樹脂を酸で洗浄後、アルカリで洗浄する前に水等で洗浄する工程を含む形態を示す実施例である。
【0055】
実施例23
表5に示した弱塩基性陰イオン交換樹脂を用い、酸として1N硫酸を用いた他は、実施例22と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウムの重合性及び全アルデヒド、ケトン量を実施例22と同様にして測定した。その結果を表5に示した。
【0056】
実施例24
表5に示した弱塩基性陰イオン交換樹脂を用い、酸として1N硝酸を用いた他は、実施例22と同様にして処理を行った。精製されたアクリル酸ナトリウムの重合性及びアルデヒド、ケトン量を実施例22と同様にして測定した。その結果を表5に示した。
【0057】
【表5】
【0058】
表5について、以下に説明する。CR−20とは、三菱化学社製のダイヤイオンCR20(商品名)であり、VP OC 1065とは、バイエル社製のレバチットVP OC 1065(商品名)であり、A−7とは、R&H社製のデュオライトA−7(商品名)である。
【0059】
比較例1
粗製アクリル酸ナトリウム水溶液中のアクリル酸ナトリウムの重合性を上記した重合試験方法で評価した。その結果を表6に示した。
【0060】
比較例2
容量5Lのビーカーに実施例1で用いたのと同じアクリル酸ナトリウム水溶液3000ml及び活性炭(商品名「白鷺M」、武田薬品工業社製)30mlを添加した後、8時間攪拌した。次いで、1ミクロンのメンブランフィルターでろ過した後、該ろ液中のアクリル酸ナトリウムの重合性を上記した重合試験方法で評価した。また、ろ液中の全アルデヒド、ケトン量を上記の分析方法により分析した。その結果を表6に示した。
【0061】
比較例3
活性炭として、比較例2で得られた使用後の活性炭を用いた他は、比較例2と同様にして重合試験及び全アルデヒド、ケトン量の測定を行った。その結果を表6に示した。
【0062】
比較例4
弱塩基性陰イオン交換樹脂の代わりに、陽イオン交換樹脂としてダイヤイオンSK1B(商品名、三菱化学社製)を用いた他は、実施例1と同様にして重合試験及び全アルデヒド、ケトン量の測定を行った。その結果を表6に示した。
【0063】
比較例5
弱塩基性陰イオン交換樹脂の代わりに、陽イオン交換樹脂としてデュオライトDX2001(商品名、住友化学社製)を用いた他は実施例1と同様にして重合試験及び全アルデヒド、ケトン量の測定を行った。その結果を表6に示した。
【0064】
比較例6
弱塩基性陰イオン交換樹脂の代わりに、強塩基性陰イオン交換樹脂としてダイヤイオンTSA1200(商品名、三菱化学社製)を用いた他は実施例1と同様にして重合試験及び全アルデヒド、ケトン量の測定を行った。その結果を表6に示した。
【0065】
【表6】
【0066】
表6について、以下に説明する。活性炭(白鷺M)とは、武田薬品工業社製の白鷺M(商品名)であり、SK1Bとは、三菱化学社製のダイヤイオンSK1B(商品名)であり、DX−2001とは、住友化学社製のデュオライトDX2001(商品名)であり、TSA1200とは、三菱化学社製のダイヤイオンTSA1200(商品名)である。
【0067】
【発明の効果】
本発明の不飽和有機酸塩の精製方法は、上述の構成よりなり、不純物除去能が優れ、しかも、処理コストを抑制することができる方法である。
また本発明の弱塩基性陰イオン交換樹脂の再生方法及び吸着樹脂の再生方法は、不飽和有機酸塩の精製に用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂や吸着樹脂を再生して繰り返し使用することを可能とし、これにより不純物量が低減され、かつ廉価な不飽和有機酸塩を得ることが可能となるうえに、廃棄物量も削減することが可能となる。
Claims (4)
- 不飽和有機酸塩の水溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂を少なくとも用いて処理する工程を含む不飽和有機酸塩の精製方法であって、
該不飽和有機酸塩の水溶液は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のアルカリ金属塩を含む水溶液であり、
該不飽和有機酸塩の水溶液のpHを10.0〜13.8とする
ことを特徴とする不飽和有機酸塩の精製方法。 - 前記弱塩基性陰イオン交換樹脂は、1級アミン又はポリアミンである
ことを特徴とする請求項1に記載の不飽和有機酸塩の精製方法。 - 不飽和有機酸塩の水溶液を精製するために用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂を再生する方法であって、
該不飽和有機酸塩の水溶液は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のアルカリ金属塩を含む水溶液であり、
該弱塩基性陰イオン交換樹脂の再生方法は、請求項1又は2に記載の不飽和有機酸塩の精製方法で用いられた弱塩基性陰イオン交換樹脂をアルカリに接触させる工程を含んでなる
ことを特徴とする弱塩基性陰イオン交換樹脂の再生方法。 - 前記弱塩基性陰イオン交換樹脂の再生方法は、前記弱塩基性陰イオン交換樹脂を酸に接触させた後、アルカリに接触させる工程を含んでなる
ことを特徴とする請求項3に記載の弱塩基性陰イオン交換樹脂の再生方法。
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