JP4022702B2 - バッテリー試験用の充放電ユニット及び同ユニットを備えたバッテリーの充放電試験装置 - Google Patents

バッテリー試験用の充放電ユニット及び同ユニットを備えたバッテリーの充放電試験装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バッテリーの充放電を試験するための充放電試験装置に係り、特に放電試験において放電された電力の再利用を可能とする充放電ユニット及び充放電試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、ビデオカメラ等には軽量化の観点からニッケル水素電池やエネルギー密度の大きなリチウムイオン電池が使用されている。これらの二次電池など(以下バッテリー)はその内部の蓄電部電極が十分活性化していないため、組立て直後には規定の容量を持っていない。そのため、規定の容量を出すためには2〜3回の充放電を繰り返し、蓄電部電極を活性化する必要がある。また、バッテリーが所望の性能を発揮するか試験をする必要もある。
そこで、これらの試験をするため、電源装置と電子負荷が組み合わされた充放電試験装置が用いられていた。この充放電試験装置は、充電時に電源装置により商用電源を直流(DC)に変換して電力を供給し、放電時に電子負荷で電力を消費していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この充放電試験装置は、充電のための電力をすべて商用電源から供給し、放電による電力はすべて電子負荷などにより熱に変えているため、限られたスペースの中での発熱処理が間題となっていた。例えば、リチウムイオン電池においては、0.1〜0.5Aの充電と6〜7.5V,1〜2Ahの容量で1〜2Aの放電とを必要とし、同時に1000個程度の試験を行う。この放電電力を電力量に喚算すると、6KWとなるが、この電力は発熱によって失われる。
そこで、この電力損失を解消し、発熱を防止する充放電試験装置を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記に鑑み本願装置の発明者は鋭意研究の結果下記の手段によりこれらの課題を解決した。
(1)バッテリーの放電試験により発生する電力を外部へ供給するための回路及びバッテリーの充電試験により消費される電力を外部から受給するための回路を備えたバッテリー試験用の充放電ユニットであって、
充放電試験時に、電力を外部から受給又は外部への供給を兼用する受給・供給端子を有し、前記受給・供給端子に接続され、充電試験時に、高周波パルス幅変調パルスの発生により、スイッチング動作をする電界効果トランジスタを用いた前記受給・供給端子からの受給電力を制御する第1スイッチング回路と、前記スイッチング回路に接続され前記受給電力を降圧する降圧コイルと、一端を前記降圧コイルと被試験バッテリーとの間に、他端をグランドに接続した充電電流を平滑する第1コンデンサ及び、一端を前記スイッチング回路と、前記降圧コイルとの間に、他端をグランドに接続し、前記第1スイッチング回路に連動し前記降圧コイルに蓄積されたエネルギーを放出する第1ダイオードとからなる充電手段を有し、
【0005】
前記第1コンデンサに接続され、放電試験時には、前記被試験バッテリーから放電された電圧を昇圧する昇圧コイルと、前記昇圧コイルに接続され、放電試験時に高周波パルス幅変調パルスの発生によりスイッチング動作をする電界効果トランジスタを用いた前記被試験バッテリーからの放電電力の量を制御する第2スイッチング回路と、前記第2スイッチング回路に接続され、前記放電電力による電流の逆流を防止する第2ダイオードと、一端を前記第2ダイオードに、他端をグランドに接続し、前記放電電力を蓄電する第2コンデンサーとを有し、一端を前記第2コンデンサーに、他端を前記受給・供給端子に接続し、該受給・供給端子にかかる電圧よりも、前記第2コンデンサに蓄電される電圧が高い電圧になったとき、前記放電電力を外部に供給する第3ダイオードからなる放電手段を有し、また、前記第2コンデンサーと並列に接続され、前記受給・供給端子への電力供給に代えて、前記放電電力を消費可能な定電圧負荷を備え、さらに、一端を被試験バッテリーに、他端をグランドに接続し、充電試験時には前記充電電流、放電試験時には前記放電電流を検出する電流検出抵抗と、前記電流検出抵抗の電流値に基づいて、充電試験時には前記第1スイッチング回路、放電試験時には、前記第2スイッチング回路を制御する手段を備えてなることを特徴とするバッテリー試験用の充放電ユニット。
【0006】
(2)(1)項に記載のバッテリー試験用の充放電ユニットと、該充放電ユニットから発生した電力を商用電源に変換する系統連携インバータを備えてなることを特徴とするバッテリーの充放電試験装置。
(3)(1)項に記載のバッテリー試験用の充放電ユニットと、該充放電ユニットを制御する管理装置とを備えてなることを特徴とするバッテリーの充放電試験装置。
(4)(1)項に記載のバッテリー試験用の充放電ユニットと、同充放電ユニットから発生した電力を商用電源に変換する系統連携インバータと、前記充放電ユニットと前記系統連携インバータを制御する管理装置とを備えてなることを特徴とするバッテリーの充放電試験装置。
(5)(1)項に記載の複数のバッテリー充放電ユニットと、同充放電ユニットから発生した電力を商用電源に変換する系統連携インバータの一台とを組み合わせて一つのブロックとなし、同ブロックの複数台を連結して構成したバッテリーの充放電試験装置を、前記充放電ユニットと系統連携インバータを制御する管理装置とに接続してなることを特徴とするバッテリーの充放電試験装置。
(6)バッテリー試験用の充放電ユニットが、標準規格でモジュール化されてなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のバッテリーの充放電試験装置。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に発明の実施の形態の構成と作用を図に基づいて説明する。
【0008】
【実施例】
図1は、本発明の充放電ユニット内部構成図である。
図において、1は被試験バッテリー、2はバッテリー接続端子、3は電力受給・供給端子、4は第1スイッチング回路、5は降圧コイル、6は第1コンデンサー(平滑コンデンサ)、7は第1ダイオード、8はマイコン(ワンチップマイコン)、9は電流検出抵抗、10は昇圧コイル、11は第2コンデンサ、12は第2ダイオード、13は第3ダイオード、14は第2スイッチング回路、15は充電制御回路、16は放電制御回路、17は定電圧負荷、18はアイソレーションシリアルI/F、19は管理装置、100は充放電ユニットをそれぞれ示す。
【0009】
被試験バッテリー1は、充放電ユニット100のバッテリー接続端子2に接続される。
電力受給・供給端子3は、充電試験時には外部からの電力供給を受け、放電試験時には外部への電力供給を行うもので、第1スイッチング回路4−FET−SW1は、充電時、充電制御回路からの高周波パルス幅変調(PWM)パルスによりオン、オフし、バッテリーに流す充電電流を一定にするために、電界効果トランジスタをスイッチング素子として用いたものである。
降圧コイル5−L2は、充電時、電力受給・供給端子3の電圧を降圧してバッテリー1へ供給するための降圧コイル、
第1コンデンサ(平滑コンデンサ)6ーC1は、充電時、放電時の高周波パルス電流が直接バッテリー1に流れないように平滑するコンデンサ、
第1ダイオード7−D3は、充電時、降圧コイル5−L2との組合せにより、第1スイッチング回路4−FET−SW1のオン時に蓄えたエネルギーをオフ時に放出する電流経路を形成するダイオード、
充電制御回路15は、マイコン8からの基準レベル(DC電圧)により規定の充電電流値となるように、第1スイッチング回路4−FET−SW1のオン、オフ時問を制御する高周波PWMパルスを発生する回路である。
【0010】
また、電流検出抵抗9−R1は、放電時、充電時の電流をモニタ、制御するための電流検出抵抗。
昇圧コイル10−L1は、放電時、バッテリー1から引き出した電力をポンプアップ(30V以上に電圧を上げる)して第2コンデンサ11−C2に充電するための昇庄コイル、
第2ダイオード12−D1は、放電時、バッテリーより高い電圧で第2コンデンサ11−C2に蓄えられた電力をバッテリー1側に逆流させないためのダイオード、
第2コンデンサ11−C2は、昇圧回路で昇圧(ポンプアップ)された電圧をDC(直流)化して一時的に蓄えるコンデンサである。
第3ダイオード13−D2は、外部からの電流を放電回路側に逆流させないためのダイオード、
第2スイッチング回路14−FET−SW2は、放電時、放電制御回路16からの高周波PWMパルスによりオン、オフし、バッテリ1から流れる放電電流を一定にするための電界効果トランジスタをスイッチング素子として用いたものである。
【0011】
放電制御回路16は、放電時、マイコン8からの基準レベル(DC電圧)により規定の放電電流値となるように、第2スイッチング回路14−FET−SW2のオン、オフ時間を制御する高周波PWMパルスを発生する回路である。
また、定電圧負荷17は、後述する系統連携インバータ101が組み込まれない構成の場合、あるいはシステム全体として充電量より放電量が大きくなり回生ができない時に、ユニット内で電力を消費させ試験を継続できるようにするための負荷で、系統連携インバータ101が接続されていても、何らかの都合で商用電源25に電力の回生ができない時でも、試験が継続できるようにする。
【0012】
系統連携インバータ101が接続されている時は、電力受給・供給端子3の電圧は電力回生によって30から40Vの間に制御されるが、系統連携インバータ101の故障又は商用電源25への回生経路の切断等が発生すると、回生ができなくなり、電力受給・供給端子3の電圧がそれ以上に上がる。
この時、定電圧負荷17は、第2コンデンサ11−C2の電圧をシステム間で制御する上限電圧以上にならないように押さえ、放電試験のためのポンプアップ機能が継続できるようにする。
【0013】
マイコン(マイクロコンピュータ)8は、管理装置19からの制御信号により充放電試験を行い、各回路での電流値、電圧値等を監視し、後記(外観図5の表示ランプ28)に状態をモニタするための制御信号を出力したり、管理装置19ヘデータを出力する、さらに放電時は放電制御回路16を制御し、また充電時は充電制御回路15を制御するものである。
なお、マイクロコンピュータ8には、ワンチップマイコンを使用している。
【0014】
アイソレーションシリアルI/F18は、管理装置19から充放電ユニット100ヘの制御信号をマイコン8ヘ出力し、充放電ユニット100に接続されたバッテリー1の各モニタ情報をマイコン8から管理装置19へ出力するためのインターフェース回路である。
【0015】
次に、充放電ユニット100を用いた充放電試験を説明する。
充電試験は、規定充電電流での時間経過における電圧変化特性、インピーダンス変化特性、電池温度変化特性等の状態をパソコン(後記)等でモニタし、バッテリー1の良否を判定するものである。
また、放電試験は、同様な判定を規定放電電流での時間経過において行うものである。
最初に充放電ユニット100を用いての充電試験について説明する。
バッテリー接続端子2には24Vのバッテリーを接続し、電力受給・供給端子3には外部からDC40Vが供給される。バッテリーには0.5Aの充電電流を流すものとする。
先ず、バッテリー接続端子2にバッテリー1を接続する。このとき、第2スイッチング回路14−FET−SW2及び第1スイッチング回路4−FET−SW1はオフである。
管理装置19から又は手動により充電開始がマイコン8に入力されると、充電制御回路15によりバッテリー1への電流は、外部から電力受給・供給端子3、第1スイッチング回路4−FET一SW1、第1ダイオード7−D3、降圧コイル5−L2及び第1コンデンサ6−C1を経由し充電される。
このとき充電制御回路15は、マイコン8により電流検出抵抗9−R1に規定充電電流(電流波形▲2▼)が流れるように基準レベル(DC電圧)が入力され、この電圧に比例したパルス幅を決定し、高周波パルス(波形▲8▼)を第1スイッチング回路4−FET一SW1に出力し、第1スイッチング回路4−FET−SW1をオン、オフ(電圧波形▲9▼)する。
【0016】
第1スイッチング回路4−FET−SW1のオン、オフサイクル(高周波パルスの周波数)は、良好な作業環境を提供するために、人間に聞こえない例えば30KHzに設定されている。
第1スイッチング回路4−FET−SW1がオンになると、電力受給・供給端子3から充電電流が受給され、降圧コイル5−L2により電圧が降下され、第1コンデンサ6−C1へ放出される。
次に、第1スイッチング回路4−FET−SW1がオフになると、降圧コイル5−L2に蓄えられた電流は第1ダイオード7−D3により還流され、第1コンデンサ6−C1に放出される。
このとき第1スイッチング回路4−FET−SW1のオン、オフパルスによる電流の変動は第1コンデンサ6−C1により平滑化される(電流、電圧波形▲1▼)。バッテリー1へ充電される電流は、あらかじめ設定されている基準レベルと比較して電流検出抵抗9−R1の電圧が所定値を上回る場合には、第1スイッチング回路4−FET−SW1のオン時間を短くし(パルス幅が狭くなる)、所定値を下回る場合には、オン時間を長くする(パルス幅が広くなる)ことで一定となる。
したがって、電力受給・供給端子3からの電力を用いて、規定充電電流に制御することができ、充電試験が行える。
【0017】
続いて、充放電ユニット100を用いての放電試験について説明する。
バッテリー1からは1Aの放電電流が流れるものとする。
先ず、バッテリー接続端子2に充電されたバッテリー1が接続されており、放電試験を開始する前は、第2スイッチング回路14−FET−SW2及び第1スイッチング回路4−FET−SW1はオフである。
この状態では、バッテリー1からの電流は第1コンデンサ6−C1に蓄電されていると共に、昇圧コイル10−L1、第2ダイオード12−D1を経由して第2コンデンサ11−C2に蓄電されている。
第2コンデンサ11−C2に蓄電された電圧は第2ダイオード12−D1の順電圧降下により約23.4Vとなる。
管理装置19から又は手動により放電開始がマイコン8に入力されると放電制御回路16が駆動される。
このとき放電制御回路16は、マイコン8により電流検出抵抗9−R1に規定放電電流(電流波形▲2▼)が流れるように基準レベル(DC電圧)が入力され、この電圧に比例したパルス幅を決定し、高周波パルス(波形▲3▼)を第2スイッチング回路14−FET−SW2に出力し、第2スイッチング回路14−FET−SW2をオン、オフする。
第2スイッチング回路14−FET−SW2のオン、オフサイクル(高周波パルスの周波数)は、充電試験と同様に例えぱ30KHzに設定されている。
第2スイッチング回路14−FBT−SW2がオンになると、バッテリー1から放電電流が出力され、昇圧コイル10−L1に慣性電流として蓄えられる。
【0018】
次に、第2スイッチング回路14−FET−SW2がオフになると、昇圧コイル10−L1に蓄えられた慣性電流により大きな電圧が発生し(電圧波形▲4▼、電流波形▲5▼)、第2ダイオード12−D1を経由して第2コンデンサ11−C2に蓄電される。
また、第2スイッチング回路14−FET−SW2のオン、オフパルスによる電流の変動をバッテリー1に与えないために、第1コンデンサ6−C1により平滑化している。
バッテリーから放出される電流は、あらかじめ設定されている基準レベルと比較して電流検出抵抗9−R1の電圧が所定値を上回る場合には、第2スイッチング回路14−FET−SW2のオン時間を短くし(パルス幅が狭くなる)、所定値を下回る場合には、オン時間を長くする(パルス幅が広くなる)ことで一定となる。
【0019】
さらに、放電試験時における外部への電力供給について、24Vのバッテリーを接続し、電力受給・供給端子の出力電圧を40Vとした場合で説明する。
バッテリ−接続端子2には、24Vのバッテリー1が接続されており、第2スイッチング回路14−FET−SW2の動作が開始するまでは、第2コンデンサ11−C2に蓄電された電圧は、第2ダイオード12−D1の順電圧降下によつて約23.4Vとなる。
第2スイッチング回路14−FET−SW2の動作が開始すると、そのオン、オフパルスによって第2コンデンサ11−C2に蓄電される電圧は上昇を続ける(電圧波形▲6▼)、そして第2コンデンサ11−C2の電圧が約40.6Vを越えると、第3ダイオード13−D2を経由して電力が、充放電ユニット100より電力受給・供給端子3から放出される。
【0020】
以上のことから、規定放電電流に制御することができ、放電試験を行うことができると共に、放電試験時の放電電力を電力受給・供給端子3から外部へ供給することができる。
また、定電圧負荷17は、外部へ電力を放出できない場合であってもその容量まではバッテリーからの電力を消費するためのものである。
そして、定電圧負荷17を備えない場合あるいは、その容量を超えた場合は、第2コンデンサ11−C2は許容範囲電圧(例えば50V以上)を超えても蓄電し続ける。ただし、マイコン8により回生電圧モニタがなされているので、第2コンデンサ11−C2の定格までの電圧は監視され、それ以上になった場合、充放電ユニット100を停止することで破壊しないよう制御されている。
なお、定電圧負荷17を50W定電圧負荷とした意味は特になく、そこまでの容量の試験を可能とした事例である。
【0021】
次に、図2を参照して充放電ユニットと系統連携インバータとを接続した場合の作用を説明する。
図2は、充放電ユニットと系統連携インバータを備えた充放電試験装置のブロック図である。
図において、1aは充電が完了している被試験バッテリ−、1bは充電されていない被試験バッテリ−、20は放電電力24w、21は充電電力12w、22は充電電力12W、24は回生電力12W、25は商用電源、101は系統連携インバータをそれぞれ示す。
図示したように、2台の充放電ユニット100と、系統連携インバータ101は並列に接続され、系統連携インバータ101には商用電源25から100Vの交流電流が供給されている。
上記系統連携インバータ101は、商用電源25から供給される電流を直流に変換するとともに、商用電源25から供給される電流と、充放電ユニット101から放電される電流を、30〜40Vの間で制御し、
また、消費されない電力については直流から交流に変換し、商用電源25に回生する機能を備えたものである。
【0022】
ここで、前記2台中の1台の充放電ユニット100には、放電試験を行う24V、1Ahの容量の予め充電が完了している被試験バッテリー1aを接続し、
他の1台の充放電ユニット100には、充電試験を行う24V、1Ahの容量の充電されていない被試験バッテリー1bを接続した場合の充放電試験について説明する。
なお、放電時の定格電流は1Aであり、充電時の定格電流は0.5Aである。また、2台の充放電ユニット100及び、系統連携インバータ101の内部損失を無視して説明する。
【0023】
図2において、実線で示す20は、前記被試験バッテリー1aが接続される充放電ユニット100から放電された放電電力であり、
さらに実線で示す21は、放電電力20の内で前記被試験バッテリー1bが接続される充放電ユニット100で充電される充電電力である。
また、実線24は、被試験バッテリー1aが接続される充放電ユニット100から、被試験バッテリー1bが接続される充放電ユニット100により充電された電力を差し引いた回生電力である。
上記回生電力24は系統連携インバータ101により交流に変換されて商用電源25に回生される。
充放電試験による電力は、前述した被試験用バッテリーにおいては、1時間で放電電力20として24Wの電力が放電され、また充電電力21として12Wの電力が充電され、さらに回生電力24として12Wの電力が系統連携インバータ101により回生される。
【0024】
1時間が経過すると、被試験バッテリー1aの放電試験は完了し、 被試験バッテリー1bの充電試験のみが行われる。1点鎖線で示す22はこの充電試験に用いられる充電電力である。残りの充電試験による充電電力22は12Wとなる。この充電電力22は、系統連携インバータ101を介して商用電源25から供給される。
しかし、その分の電力として放電試験時に12Wの回生電力24を回生されているので、トータル的な消費電力は差引きは0Wとなる。
なお、系統連携インバータ101による回生ができない場合であっても、熱として放出される電力は従来の1/2となる。
【0025】
次ぎに、充放電ユニット100と管理装置19とを接続し、充放電ユニットに接続するバッテリー特性は前述と同様なもので、バッテリーを4台の充放電ユニットに接続し、エネルギーロスを生じない試験方法について説明する。
図3は、充放電ユニットと管理装置とを接続しバッテリー4個を4台の充放電ユニットに接続したエネルギーロスを生じない試験方法のブロック図である。
図において、1c〜1fは被試験バッテリ−、26は充放電ユニット制御用シリアル通信ライン、27は電力受給ラインをそれぞれ示す。
管理装置19(パソコン)は、あらかじめ定められた試験パターンにより、各充放電ユニット100の制御を行い、各ユニット100に接続された前記被試験バッテリー1c〜1fの電圧、電流値を監視し良否判定を行うと共に、それらのデータをデータベース化して保存し、規定の管理フォーマットでプリントアウトするものである。
また、充放電ユニット制御用シリアル通信ライン26(RS−485等)により、各充放電ユニット100及び系統連携インバータ101と接続されている。
【0026】
まず、管理装置19は、2台の充放電ユニット100に対して充電試験を開始する信号を出力し、各充放電ユニット100を監視する。
また、管理装置19は、その充電試験の終了を充放電ユニット100からの出力信号により受信し、4台の前記被試験バッテリー1c〜1f中、最初に1c及び1fを充電をさせておくものとし、
上記バッテリー1cが接続される1台の充放電ユニット100に対して放電試験を開始する信号を出力すると同時に、この放電試験の電力を使用して、
最初充電されていないものとするバッテリー1d及び1eが接続される2台の充放電ユニット100について、充電試験を開始する信号を出力する。
そして、上記管理装置19からの信号により、1台の放電試験と2台の充電試験とが充放電ユニット100で行われる。
各試験が開始され1時間経過すると、放電試験が実施されている前記バッテリー1cの電力はすべて放電され、充電試験が行われている前記2個のバッテリー1d及び1eに半分の容量が充電される。
【0027】
管理装置19は、この放電試験の終了を充放電ユニット100からの出力信号により受信し、予め充電試験により前記充電された状態のバッテリー1fが接続された残りの充放電ユニット100に対して、放電試験を開始する信号を出力する。
また、同時にこの放電試験の電力を使用して、半分の容量に充電されている前記2個のバッテリー1d及び1eが接続される充放電ユニットについて引き続き充電試験を継続する信号を出力する。
【0028】
そして、管理装置19からの信号により、残り2個目の前記充電された状態のバッテリー1fに接続される1台の放電試験と、充電試験が継続されている前記バッテリー1d及び1eが接続される2台の充電試験が、充放電ユニット100で行われる。
さらに、1時間経過すると、前記2個目のバッテリー1fの放電試験が終了すると同時に、バッテリー1d及び1eの充電試験も終わる。
【0029】
同様の手順で、管理装置19により、新たに充電が完了しているバッテリー1d及び1eが接続される内1台についての放電試験を、放電完了状態のバッテリーが接続される2台の充放電ユニット100による充電により行う。
最後に充電が完了しているもう1台のバッテリーから、前記2個のバッテリが接続されている充電ユニット100による充電を行い終了とする。
以上の説明から、バッテリーの特性に合わせ管理装置19のプログラムにより、充電、放電試験を組み合わせることによって、効率の艮い試験を行うことができる。
なお、上記説明は、充放電ユニット100の内部での損失が無いものとして説明したが、実際の損失分については、系統連携インバータ101を介して商用電源25又は、その他の電源装置から適宜補充される。
【0030】
次ぎに、複数の充放電ユニットと一台の系統連携インバータとを組み合わせたものを一つのブロックとして、そのブロックを複数台備えた電源充放電試験装置を管理装置と接続した状態を図に基づいて説明する。
図4は電源充放電試験装置の最大構成を示すブロック図である。
図5は、電源充放電試験装置をJISラックに収納した状態の外観図である。
図6は、図5の充放電ユニットの表面パネルの外観図である。
図4、図5、図6を参照して上記多数個のバッテリーの試験を行う電源充放電試験装置の作用を説明する。
図において、28は表示ランプ(LED)、102はJISラックを示す。
なお、各充放電ユニット100は、放電時の電力を回生可能な場合は200W、回生ができずに内蔵される電子負荷により消費する場合は50Wまでとしている。
また、系統連携インバータ101の1台に16台の充放電ユニット100が接続でき、充放電ユニット100との電力授受及びその制御が可能なもので最大3KWの電力を回生できる。(1台の充放電ユニット100から最大回生電力24−200Wが放電された場合、系統連携インバータ101は3.2KWの負荷容量が必要であるが、O.2KWは充放電ユニット100内で消費されるので3KWとしている)。
【0031】
さらに、管理装置19には、系統連携インバーター101の台に16台の充放電ユニット100を接続したものを一つのユニットとし、そのユニットが14台接続されている。
このような構成にすることで、管理装置19のプログラムにより、シリアル通信ライン26を介し多数個のバッテリー1の充放電試験及び系統連携インバータ101から商用電源25に対する回生等の制御を行うことができる。
また、各充放電ユニット100からの試験データの解析、判定、印刷、デ一タベース化等を行うことができる。
そして、図6に示したように各充放電ユニット100の表面パネルには、充放電時の動作及び異常時の表示が、表示ランプ28により表示され、管理しやすくなっている。また、バッテリー1への+、−の接続端子2を下部に有しているが、上記接続端子2は、ユニット100の背面に設け、背面で接続するようにしてもよい。
【0032】
なお、本発明の技術は上記の被試験体としてバッテリーの他、大容量のコンデンサにも適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の、バッテリー試験用の充放電ユニット及び同ユニットを備えたバッテリーの充放電試験装置によれば、充放電に際し使用される電力を削減し、発熱量を削減でき、従来に比較して省エネルギーと省スペースを実現することができる。
さらに、従来、放電時の負荷の熱エネルギー等の問題から行われていなかった大容量の鉛電池等についても充放電試験をした後出荷することが可能である。すなわち、
1、本発明の請求項1の発明によれば、バッテリーの放電試験により発生する電力を外部へ供給するための回路及び、バッテリーの充電試験により消費される電力を外部から受給するための回路を備えてなるため、同一端子より受給・供給を外部に効率的に行うことができ、かつ、バッテリー試験用の充放電ユニットが、被試験バッテリー接続端子及び外部からの充電用の受給電力と、放電用の供給端子並びに、周辺の電力受給・供給装置及び管理装置への接続端子を有しており、またユニット内に充電及び放電が効率良く行える回路を備えているため、周辺機器と組み合わせてシステム化し、被試験バッテリーの特性に合わせた管理プログラムによって、充放電試験をロスが少なく効率良く行うことができる。
、請求項の発明によれば、さらに、バッテリーの試験用の充放電ユニットから発生した電力を商用電源に変換する系統連携インバータを備えてなるため、バッテリーの充放電の試験による余剰な電力は商用電源に回生できるので、省エネルギーを実現できる。
3、請求項の発明によれば、バッテリー試験用の充放電ユニットと、該充放電ユニットを制御する管理装置とを備えてなるため、バッテリーの特性に合わせ、管理装置のプログラムにより充放電試験を組み合わせることにより、ロスが少なく効率のよい試験を行うことができる。
、請求項の発明によれば、バッテリー充放電試験装置は、バッテリー充放電ユニット及び系統連携インバータとを制御する管理装置を備えているため、管理装置のプログラムによる試験時の放電試験による余剰電力の回生や、充電試験を含めた充放電ユニット等による電力損失の補充が可能で、充放電の自動試験が容易になる。
【0034】
5、請求項の発明によれば、複数のバッテリー電源充放電試験装置を、例えば48台のバッテリー試験用ユニット及び周辺装置を規定のラック1台に収納でき、設備の低廉化及びスペースの活用、並びに発熱量の低減による安全性、耐久性の増大を図ることができまた、電力エネルギーの最大利用を図ることができる。
、請求項の発明によれば、バッテリー試験用の充放電ユニットが、標準規格でモジュール化されているため、周辺機器と共に標準ラックに収納でき、特に少ない床面積で大量の被試験バッテリーの充放電試験を実施することができる。また、互換性があり保守点検が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の充放電ユニット内部構成図。
【図2】充放電ユニットと系統連携インバータとを接続したブロック図。
【図3】充放電ユニットと管理装置とを接続しバッテリー4個を4台の充放電ユニットに接続したエネルギーロスを生じない試験方法のブロック図。
【図4】電源充放電試験装置の最大構成を示すブロック図。
【図5】電源充放電試験装置をJISラックに収納した状態の外観図。
【図6】図5の充放電ユニットの表面パネルの外観図。
【符号の説明】
1:被試験バッテリー 1a:充電が完了しているバッテリー
1b:充電されていないバッテリー
1c、1d、1e、1f:被試験バッテリー
2:バッテリー接続端子 3:電力受給・供給端子
4:第1スイッチング回路 5:降圧コイル
6:第1コンデンサ 7:第1ダイオード
8:マイコン 9:電流検出抵抗
10:昇圧コイル 11:第2コンデンサ
12:第2ダイオード 13:第3ダイオード
14:第2スイッチング回路 15:充電制御回路
16:放電制御回路 17:定電圧負荷
18:アイソレーションシリアルI/F 19:管理装置
20:放電電力24W 21:充電電力12W
22:充電電力12W 23:電力受給
24:回生電力12W 25:商用電源
26:充放電ユニット制御用シリアル通信ライン
27:電力受給ライン 28:表示ランプ
100:充放電ユニット 101:系統連携インバータ
102:JISラック

Claims (6)

  1. バッテリーの放電試験により発生する電力を外部へ供給するための回路及びバッテリーの充電試験により消費される電力を外部から受給するための回路を備えたバッテリー試験用の充放電ユニットであって、
    充放電試験時に、電力を外部から受給又は外部への供給を兼用する受給・供給端子を有し、前記受給・供給端子に接続され、充電試験時に、高周波パルス幅変調パルスの発生により、スイッチング動作をする電界効果トランジスタを用いた前記受給・供給端子からの受給電力を制御する第1スイッチング回路と、前記スイッチング回路に接続され前記受給電力を降圧する降圧コイルと、一端を前記降圧コイルと被試験バッテリーとの間に、他端をグランドに接続した充電電流を平滑する第1コンデンサ及び、一端を前記スイッチング回路と、前記降圧コイルとの間に、他端をグランドに接続し、前記第1スイッチング回路に連動し前記降圧コイルに蓄積されたエネルギーを放出する第1ダイオードとからなる充電手段を有し、前記第1コンデンサに接続され、放電試験時には、前記被試験バッテリーから放電された電圧を昇圧する昇圧コイルと、前記昇圧コイルに接続され、放電試験時に高周波パルス幅変調パルスの発生によりスイッチング動作をする電界効果トランジスタを用いた前記被試験バッテリーからの放電電力の量を制御する第2スイッチング回路と、前記第2スイッチング回路に接続され、前記放電電力による電流の逆流を防止する第2ダイオードと、一端を前記第2ダイオードに、他端をグランドに接続し、前記放電電力を蓄電する第2コンデンサーとを有し、一端を前記第2コンデンサーに、他端を前記受給・供給端子に接続し、該受給・供給端子にかかる電圧よりも、前記第2コンデンサに蓄電される電圧が高い電圧になったとき、前記放電電力を外部に供給する第3ダイオードからなる放電手段を有し、また、前記第2コンデンサーと並列に接続され、前記受給・供給端子への電力供給に代えて、前記放電電力を消費可能な定電圧負荷を備え、さらに、一端を被試験バッテリーに、他端をグランドに接続し、充電試験時には前記充電電流、放電試験時には前記放電電流を検出する電流検出抵抗と、前記電流検出抵抗の電流値に基づいて、充電試験時には前記第1スイッチング回路、放電試験時には、前記第2スイッチング回路を制御する手段を備えてなることを特徴とするバッテリー試験用の充放電ユニット。
  2. 請求項1に記載のバッテリー試験用の充放電ユニットと、該充放電ユニットから発生した電力を商用電源に変換する系統連携インバータを備えてなることを特徴とするバッテリーの充放電試験装置。
  3. 請求項1に記載のバッテリー試験用の充放電ユニットと、該充放電ユニットを制御する管理装置とを備えてなることを特徴とするバッテリーの充放電試験装置。
  4. 請求項1に記載のバッテリー試験用の充放電ユニットと、同充放電ユニットから発生した電力を商用電源に変換する系統連携インバータと、前記充放電ユニットと前記系統連携インバータを制御する管理装置とを備えてなることを特徴とするバッテリーの充放電試験装置。
  5. 請求項1に記載の複数のバッテリー充放電ユニットと、同充放電ユニットから発生した電力を商用電源に変換する系統連携インバータの一台とを組み合わせて一つのブロックとなし、同ブロックの複数台を連結して構成したバッテリーの充放電試験装置を、前記充放電ユニットと系統連携インバータを制御する管理装置とに接続してなることを特徴とするバッテリーの充放電試験装置。
  6. バッテリー試験用の充放電ユニットが、標準規格でモジュール化されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のバッテリーの充放電試験装置。
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