JP4022637B2 - 炭素繊維強化樹脂製遮光羽根及びそれを用いたカメラ用 シャッター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラに使用される絞り羽根やシャッター羽根などの遮光羽根及びそれらを用いた縦走りフォーカルプレーンシャッタ(以下、縦走りを省略して単にフォーカルプレーンシャッタと言う)やレンズシャッタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のTTL測光は、ストロボ撮影の調光時に、受光素子がにらむフィルム面の所定の領域内を平均化して、一定の露光量レベルになるように、ストロボの発光量を制御するものであったために、被写体の状況によって写真の出来具合に大きなバラツキが生じていた。
【0003】
例えば、受光素子のにらむ範囲がフィルム面の全面であるようにしたカメラでは、主要被写体が画面の中で小さくバックが広い空間においてストロボ撮影した場合には、ストロボ光が反射してこない部分が広いので、制御された発光量は主要被写体にとっては露光がオーバーになってしまう。また、主要被写体のすぐ後ろに、金屏風のような高反射率のものがたっている場合には、逆に、制御された発光量は露光アンダーとなってしまう。
【0004】
この問題を解決するために、ストロボ撮影時の被写体の位置や反射率などの状況の違いによる主要被写体の露光のバラツキをなくす手段として、TTL自動調光制御(特開平3−68928)が提案されている。
この装置は、フィル面をにらむ位置に、被写界を中央部の1カ所と周辺部の複数領域砥に分割して、測光可能な複数の光電変換手段を配置し、フォーカルプレーンシャッタを開く直前にストロボを予備発光させて、その光による被写体像がシャッタ幕表面で反射した光を複数の光電変換手段でとらえ、その出力を個別に積分したものをストロボ発光による各領域の被写界反射率として検出する。検出した各領域の被写界反射率の情報を総合的に演算処理することにより、主要被写体にとって最適な露出となるような各分割領域に対する重み付けの度合いを決定する。
【0005】
引き続いて、シャッタを開いた直後にストロボを本発光させて、フィルム面で反射した光を前述したのと同じ複数の光電変換手段でとらえ、その出力に対して予め決定された重み付けを行った上で加算して積分し、それを所定値と比較することにより決定されるタイミングでストロボの発光を停止させ、本発光の調光が終了するものである。このような調光方式をTTLマルチパターン調光という。
【0006】
従来のフォーカルプレーンシャッタは、前述したTTL自動調光制御装置に対応するために、シャッタ幕面の反射率がフィルム面とほぼ同等である必要があるので、シャッタ幕面の反射率を高くする白色(グレー)化塗装が施されていた。
また、近年フィルム感度の向上や新しい映像表現の欲求などの理由から、カメラのシャッタスピードやストロボ同調速度高速化の要望があり、実際に1/8000秒までの高速シャッタスピードや同調速度1/250秒を実現したカメラが提供されている。
【0007】
このようなフォーカルプレーンシャッタに於いて、ストロボ同調速度を超える高速シャッタースピードは、先幕と後幕をタイミングをずらして動かし初め、先幕の1番羽根と後幕の1番羽根との隙間(スリット)の量をある間隔に固定あるいは速度にあわせて変更させたスリット露光を行うことにより実現している。
このシャッタは4枚又は5枚の分割羽根(遮光羽根)とこれらを駆動する駆動機構から構成されている。一例として4枚構成の遮光羽根は、移動量の多い2枚は炭素繊維強化樹脂製遮光羽根(以下CFRP板という)、移動量の少ない2枚はアルミニウム板とで構成したものなどがある。
【0008】
CFRPで構成された羽根は、軽量で曲げ剛性も高く1/8000秒という高速度のシャッタスピードでも、走行中及び停止直後の羽根の波打ちが非常に小さい。また、仮に波打っても、例えばアルミニウム製の羽根に比べて、その波打ち(振動)状態は素早く収まる。そのため、羽根が波打ったまま次のシャッタ動作を行って羽根同士またはアパーチャ(画角を決定するもの)に衝突し、羽根が破損したり、シャッタ動作不能になったりすることもなく、非常に高い耐久性を実現することができる。
【0009】
なかでも高速シャッタに適したCFRP板は、例えば特開昭59−61827号公報にも開示されているように、強化繊維として一方向にそろえられた炭素繊維、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を使用したものである。CFRP板材は、前駆体であるプリプレグシートを複数枚積層(その繊維方向は互いに直交またはほぼ直交するように積層する)し、この積層板全体をプレスしたまま加熱して硬化することにより製造される。このようにして製造されたCFRP板は、目的とされる遮光羽根の形状に切断される。切断は一般にプレスによる打ち抜きである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題 】
しかしながら、上述の様にして得られるCFRP板は、プリプレグ時の炭素繊維の疎密をそのまま硬化させたものであるため、外観的に決して満足できるレベルのものではない。
そのため、シャッタ羽根として用いる際には、外観性確保のために黒色塗装を行うことが必要となる。また、TTLマルチパターン調光を行うため、シャッタ幕面の反射率を高くする白色(グレー)化塗装を行うことも必要となる。しかしながら、数μmの塗装ではCFRP板素地の炭素繊維の疎密むらが透けて見えてしまうために、塗膜を厚くすることが必要不可欠であった。
【0011】
ところが、塗膜を厚くすると羽根重量が増すために、高速作動に対して不利になるばかりか、その塗膜厚(板厚)のばらつきも大きくなり、羽根材とアーム材とを加締める工程に於いて、加締めトルクのばらつきが大きくなり、良品率の低下を余儀なくされ、遮光羽根シャッタのコストが非常に高くなっているのが現状である。
【0012】
本発明の目的は、CFRP板遮光羽根の外観性確保による重量増加を最低限に抑え、かつ、塗膜による板厚ばらつきに起因する加締めトルクのばらつきを低減する事で、耐久性の非常に高い高速シャッターを、より安価に提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する方法を鋭意研究した結果、本発明者らは積層したプリプレグシートの表皮部に均一な厚みを持つ樹脂層を転写し、その後、成形することで外観性の確保と、これにより塗装工程を廃止して、あるいは塗膜厚を薄くすることで塗膜厚による板厚ばらつきの低減を実現し、安定した加締めトルクを確保できることを見いだした。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様は、一方向にそろえられた炭素繊維とこれを包含するマトリックス樹脂とからなる強化樹脂シートの複数枚を、その繊維方向が互いに直交またはほぼ直交するように積層してなる炭素繊維強化樹脂製遮光羽根において、前記遮光羽根の表皮部に膜厚の均一なポリウレタンの樹脂層を転写により設けてから成形し、前記強化樹脂シートと前記樹脂層との少なくとも一方はカーボンブラックを含む構成とした。本発明の第2の態様は、第1の態様に付け加え、前記樹脂層の厚さが1〜5μmであり、その膜厚ばらつきが±1μm以下である構成である
【0015】
本発明の第3の態様は、第1の態様に付け加え、前記樹脂層に塗装処理を施した構成とした。
本発明の第4の態様は、第1の態様に付け加え、前記樹脂層に黒色系顔料を添加した構成とした。
本発明の第5の態様は、複数枚の分割羽根と該分割羽根を駆動する駆動機構からなるカメラ用シャッタにおいて前記分割羽根のうち、少なくとも1枚は第1の態様から第4の態様のいずれかの炭素繊維強化樹脂製遮光羽根を使用した構成である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態であるCFRP板材の形態について、図1を用いて説明する。
図1は本発明の遮光羽根用板材の断面図である。1はプリプレグシートであり、一方向に揃えられた炭素繊維で強化された樹脂シートが、その繊維方向が直交するように、かつ面対称に積層された構成となっている。そして、この表面には樹脂層2が形成されている。
【0017】
次に、本発明の実施形態であるCFRP板の製造方法について説明する。
まず、プリプレグシート1をその繊維方向が互いに直交するようにかつ、面対称になるように積層した後、樹脂層2をその両表面に転写する。この樹脂層2は図2に示すように、離型フィルム3の上に均一な厚みを形成したものとなっており、比較的低い温度を与えるだけで容易に離型フィルム3から離型し、プリプレグシート表面に転写が可能なものとなっている。
【0018】
このようにして樹脂層を転写した後、ホットプレス機にセットし120〜140℃の温度で1〜2時間、5Kg〜20/cm2の圧力で加圧加熱成形し、未硬化の熱硬化性樹脂は架橋硬化して固められる。その結果、先に転写された樹脂層は完全にプリプレグシートに接着され、CFRP板材と一体化されるわけである。
この際に用いる樹脂層としては1〜5μmを用いるとよく、好ましくは1〜3μmのものが最適である。
【0019】
次に、本発明の炭素繊維強化型樹脂板の素材について説明する。遮光羽根の板として使用しているCFRPは、炭素繊維とマトリックス樹脂から構成されている。繊維には、炭素繊維の連続繊維や短繊維などを用いる。マトリックス樹脂には、主にエポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂が使用できる。
【0020】
CFRP板は一応の遮光性があるが、さらに遮光性を高めるため、プリプレグシートを作成する際に、マトリックス樹脂の前駆体となる樹脂液中にカーボンブラックをあらかじめ添加分散させておいてもよい。あるいは、カーボンブラックを高濃度に混合した樹脂液を別途用意し、これをロールコーター等を使用して通常のプリプレグシートに圧入浸透させてもよい。
【0021】
カーボンブラックは平均粒子0.1μm以下のものが好ましい。カーボンブラックの配合量は樹脂液(固形分100重量部)に対し、3〜15重量%が好ましい。15重量%以上では繊維の配列が悪くなりすぎ平面性に悪影響を及ぼすことが知られている。また、樹脂の流動性も悪くなるため、内部に空孔が発生したり、層間剥離が生じたりすることがある。プリプレグシートの樹脂量は、30〜50重量%、特に38〜48%が適当である。
【0022】
使用するプリプレグシートの繊維目付け(1m2あたり何gの繊維が含まれているか)は、10〜60g/m2である。プリプレグシート1層の厚さは、15〜70μmである。プリプレグシートは全て同じ板厚である必要はない。中立面に対し厚さ方向に面対称になるように使用すれば、種種の板厚、種種の目付けのものを組み合わせることも可能である。もし、板厚が規定値以内に入るものであれば、全体の曲げ剛性を上げるため中間層の板厚や目付けを表層材(この場合は、表面または裏面の1層のみを指す)よりも厚く、あるいは多くする方が有利となる。
【0023】
プリプレグシートは表材層と中間層とが繊維の方向が互いに直交またはほぼ直交するように、かつ、中央から厚さ方向に面対称となるように、少なくとも3枚以上、例えば3枚、4枚、5枚積層する。
前記板材は次いで所定の羽根形状(図4の11〜14,21〜24に示す)に打ち抜かれる。1枚の板材から20〜40枚程の羽根を打ち抜くことができる。打ち抜きは、表材層の連続繊維の方向が羽根の長手方向と一致するように行う。切断時には、連結ピンを通すための孔を同時にあけることが一般的である。
【0024】
次に、本発明の実施の形態である遮光羽根を用いたフォーカルプレーンシャッターについて説明する。
図3,図4は本発明によるフォーカルプレーンシャッタの実施例を示す図であって、 図3は正面図、図4はフォーカルプレーンシャッタ両羽根群(先幕と後幕)、遮光羽根および中間板との位置関係を示す分解斜視図である。
【0025】
この実施例のフォーカルプレーンシャッタは、先幕10と、後幕20と、シャッタ基板30などから構成されている。先幕10は、4枚の分割羽根11〜14から構成されている。アーム15、16はそれぞれの分割羽根11〜14を支持するためのものであり、これらのアーム15,16は、シャッタ基板30に植設された軸X1,X2に回転可能に連結されている。そして、分割羽根11〜14は、それぞれ加締めピン171〜174及び加締めピン181〜184により、アーム15,16に回転可能に連結されている。また、アーム16の孔16aには駆動軸31が取り付けられており、この駆動軸31は、シャッタ駆動時に周知のシャッタ駆動装置からの駆動力を受けて先幕10を開閉する。
【0026】
後幕20も同様に、4枚の分割羽根21〜24から構成されている。アーム25,26は、それぞれの分割羽根21〜24を支持するためのものであり、これらアーム25,26は、シャッタ基板30に植設された軸X3,X4に回転可能に連結されている。そして、分割羽根21〜24は、それぞれ加締めピン271〜274及び281〜284によりアーム25,26に回転可能に連結されている。また、アーム26の孔26aには、駆動軸32が取り付けられており、この駆動軸32は、シャッタ駆動時に周知のシャッタ駆動装置からの駆動力を受けて後幕20を開閉する。
【0027】
これらのアーム15,16、25,26、軸X1〜X4、加締めピン17,18,27,28、駆動軸31,32は、それぞれ分割羽根11〜14、21〜24を移動させる駆動機構19,23を構成している。
次に、この実施例のシャッタ幕について、さらに詳しく説明する。まず、先幕について説明すると、板厚80〜130μmの本発明品のCFRP板材から所定の羽根形状に打ち抜いて、羽根本体11〜13を形成し、板厚50〜80μmのアルミ合金から所定の羽根形状に打ち抜いて羽根本体14を形成した。次いで、羽根本体に黒色系塗装を行った後、分割羽根11〜14にアーム15,16を連結して先幕が完成する。
【0028】
最後に、シャッタ基板30に組み上げて、図3に示すフォーカルプレーンシャッタSが完成した。
以上のような構成を有するフォーカルプレーンシャッタSについて、最高シャッタスピード1/8000秒で10万回以上の作動試験を行い安定した性能を得ることができた。また、走行上の異常も確認されなかった。
【0029】
以下、実施例により本発明のCFRP製板材及び遮光羽根を、より具体的に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
(実施例)
本発明の実施形態において各実施例のCFRP板材の製造方法及び加締めトルクのばらつき、羽根重量の評価結果について述べる。
【0030】
本実施例のプリプレグ積層シートは次のように構成した。
(実施例1)
まず最初に、炭素繊維が連続繊維で一方向に揃えられており、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂で厚さが20〜40μmのプリプレグシートを用意した。なお、このうちの少なくとも1枚には、遮光性を確保するためにカーボンブラックを混入したプリプレグシートを用意した。このプリプレグシートを、それらの繊維方向が0°/90°/0°となるように積層した後、その両表面にポリウレタンの樹脂層(厚さ2±1μm)を転写し加熱加圧成形して板材▲1▼を得た。
【0031】
(実施例2)
実施例1に基づいて得られた板材▲1▼の両表皮部に、極薄い(厚さ1〜4μm)黒色系塗装を施して板材▲2▼を得た。
(実施例3)
カーボンブラックを添加していない以外は実施例1と同様なプリプレグシートを用意し、これを実施例1同様、その繊維方向が0°/90°/0°となるように積層した後、その両表面にカーボンブラックを混入させたポリウレタンの樹脂層(厚さ2±1μm)を転写し加熱加圧成形して板材▲3▼を得た。
【0032】
(実施例4)
実施例3に基づいて得られた板材▲3▼の両表皮部に、極薄い(厚さ1〜4μm)塗装を施して板材▲4▼を得た。
(実施例5)
実施例3で使用したプリプレグシートを4枚使用し、その繊維方向が 0°/90°/90°/0°となるように積層したほかは、実施例3と同様な板材▲5▼を得た。
【0033】
(実施例6)
実施例5で得た板材▲5▼の両表皮部に極薄い(厚さ1〜4μm)塗装を施して板材▲6▼を得た。
(実施例7)
実施例3で使用したプリプレグシートを2枚を表皮層に使用し、短繊維の炭素繊維が一方向に揃ったプリプレグシート厚さ20〜80μmを用意し、中間層として使用し、その繊維方向が0°/90°/0°となるように積層したほかは、実施例3と同様な板材▲7▼を得た。
【0034】
(実施例8)
実施例7で得られた板材▲7▼の両表皮部に極薄い(厚さ1〜4μm)塗装を施して板材▲8▼を得た。
(比較例)
両表面にポリウレタン樹脂層を転写しないほかは、実施例1と同じである。板材の両表皮部に、通常の塗装である平均膜厚5〜7μmを施して、比較例としての板材を得た。
【0035】
上記板材▲1▼〜▲8▼及び比較例から所定形状の遮光羽根にプレス抜き加工した。その時、遮光羽根は中間層の炭素繊維が羽根の長手方向と直角をなすように打ち抜いた。
実施例▲1▼〜▲8▼及び比較例の遮光羽根について、外観性、重量、加締めトルクのばらつき、加締め良品率の結果をまとめて表1に示した。なお、上記の結果はそれぞれ遮光羽根100枚の実験結果である。また、上記黒色系塗装の代わりに同じ厚さの白色系塗装を施した結果も同様であった。また、それら遮光羽根を用いたTTLマルチパターン調光試験結果も良好であった。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
このように、本発明の遮光羽根は、従来の場合(比較例)と比べて、3〜11%の加 締め工程内良品率の向上が図れた。その結果、炭素繊維を含むが故に非常に高価な CFRP板遮光羽根の製造コストを低下させることが可能となる。なお、本発明の遮光羽根をカメラ用シャッタに組み込んで評価した結果、耐久性等、従来品(比較例)に比べて同等以上の性能を発揮することが確認された。
【0038】
さらに、外観に関しては黒色系塗装の廃止、あるいは塗装をする際にも極薄い塗膜厚での対応が可能となるために、その分だけ遮光羽根の重量が軽減し、より高速なシャッタ速度への対応を可能とした。
また、カーボンブラックを混入した樹脂層をCFRP板の表皮部に形成した場合には、遮光性に関して問題の無いことが確認されたため、高価なカーボンブラック入りプリプレグシートを使用する必要がなくなり、これによってもコストダウンを図ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根を説明するための部分拡大断面図である。
【図2】 本発明に用いる樹脂層の構成を説明するための部分拡大断面図である。
【図3】 本発明によるフォーカルプレーンシャッタの実施例の先幕が展開して露光窓を覆った状態を示す正面図である。
【図4】 本発明によるフォーカルプレーンシャッタの両羽根群(先幕と後幕)、遮光板、中間板との位置関係を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 炭素繊維プリプレグシート
2 樹脂層
3 離型フィルム
10 先幕
20 後幕
11〜14,21〜24 分割羽根
15,16,25,26 アーム
17,18,27,28 加締めピン
19,29 駆動機構
31,32 駆動軸
X1〜X4 軸
41 遮光板
42 中間板
Claims (11)
- 一方向にそろえられた炭素繊維とこれを包含するマトリックス樹脂とからなる強化樹脂シートの複数枚を、その繊維方向が互いに直交またはほぼ直交するように積層してなる炭素繊維強化樹脂製遮光羽根において、
前記遮光羽根の表皮部に膜厚の均一なポリウレタンの樹脂層を転写により設けてから成形し、
前記強化樹脂シートと前記樹脂層との少なくとも一方はカーボンブラックを含むことを特徴とする炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。 - 複数枚の分割羽根と該分割羽根を駆動する駆動機構からなるカメラ用シャッタにおいて、
前記分割羽根のうち、少なくとも1枚は、一方向にそろえられた炭素繊維とこれを包含するマトリックス樹脂とからなる強化樹脂シートの複数枚を、その繊維方向が互いに直交またはほぼ直交するように積層され、且つ表皮部には膜厚の均一なポリウレタンの樹脂層が転写により設けられてから成形された炭素繊維強化樹脂製遮光羽根であり、
前記炭素繊維強化樹脂製遮光羽根は、前記強化樹脂シートと前記樹脂層との少なくとも一方にカーボンブラックを含むことを特徴とするカメラ用シャッター。 - 前記樹脂層の厚さが1〜5μmであり、その膜厚ばらつきが±1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
- 前記樹脂層に塗装処理を施したことを特徴とする請求項3記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
- 前記樹脂層に黒色系顔料を添加したことを特徴とする請求項3記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
- 前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタンのいずれか一つを使用していることを特徴とする請求項3記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
- 前記成形は、ホットプレスにより行うことを特徴とする請求項1又は請求項3〜6のいずれか一項に記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
- 前記成形は、加圧加熱成形であることを特徴とする請求項1又は請求項3〜7のいずれか一項に記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
- 前記成形の際に、前記強化樹脂シートと前記樹脂層との少なくとも一方に含まれる未硬化の樹脂が硬化して固められることを特徴とする請求項1又は請求項3〜8のいずれか一項に記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
- 前記カーボンブラックの配合量は、樹脂液(固形分100重量部)に対し、3〜15重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項3〜9のいずれか一項に記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
- 前記カーボンブラックは平均粒子0.1μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項3〜10のいずれか一項に記載の炭素繊維強化樹脂製遮光羽根。
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