JP4022586B2 - 油圧駆動作業車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧駆動作業車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油圧駆動作業車の一形態として、走行用油圧モータを具備する左右一対の走行部間に基台を架設し、同基台上に旋回台を載設し、同旋回台上に油圧ポンプを設けて、同油圧ポンプに上記走行用油圧モータをスイベルジョイントを介して連通連結したものがある。
【0003】
そして、スイベルジョイントは、上下方向に軸線を向けて、旋回台と一体的に回動する柱状のインナと、同インナの外周面を摺動自在に囲繞して、基台に固定する筒状のアウタとを具備しており、アウタの内周面には、同内周面に沿わせて複数の油溝を軸線方向に間隔を開けて形成すると共に、各油溝に連通させて固定側油路を形成する一方、インナの内部には、複数の可動側油路を形成して、各可動側油路の先端部を上記各油溝に連通させている。
【0004】
このように、スイベルジョイントは、上下方向に縦長の形状であるために、基台上に立設したスイベルジョイントの上端部が旋回台と干渉するのを回避するために、同旋回台にはスイベルジョイント突出孔を形成して、同突出孔よりスイベルジョイントの上端部を上方若しくは下方へ突出させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した油圧駆動作業車では、スイベルジョイントの上端部が旋回台のスイベルジョイント突出孔より上方へ突出されているために、同突出孔の位置にはエンジン等を配設することができず、機体の小型化を図る上で、また、旋回台の地上高を可及的に低くして、機体の安定性を図る上で支障となっている。
【0006】
また、スイベルジョイントの上端部を下方へ突出させると、最低地上高が低くなり、軟弱地での走行に支障となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、走行用油圧モータを具備する左右一対の走行部間に基台を架設し、同基台上に旋回台を載設し、同旋回台上に油圧ポンプを設けて、同油圧ポンプに上記走行用油圧モータをスイベルジョイントを介して連通連結した油圧駆動作業車において、スイベルジョイントは、内面に同心円状の複数の油溝を放射線方向に間隔を開けて形成すると共に、各油溝に連通させて固定側油路を形成した固定側油路形成ケースと、内部に放射線方向に伸延する複数の可動側油路を形成した可動側油路形成体とを具備し、固定側油路形成ケース内に可動側油路形成体を回転自在に取付けると共に、固定側油路形成ケースに形成した各油溝に、可動側油路形成体に形成した各可動側油路の先端部を連通させ、各油溝は、可動側油路形成体の上下面に油圧が均等に作用するように、固定側油路形成ケースの上下側内面にそれぞれ形成したことを特徴とする油圧駆動作業車を提供せんとするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
すなわち、本発明に係る油圧駆動作業車は、基本的構造として、走行用油圧モータを具備する左右一対の走行部間に基台を架設し、同基台上に旋回台を載設し、同旋回台上に油圧ポンプを設けて、同油圧ポンプに上記走行用油圧モータをスイベルジョイントを介して連通連結している。
【0011】
そして、特徴的構造として、スイベルジョイントは、内面に同心円状の複数の油溝を放射線方向に間隔を開けて形成すると共に、各油溝に連通させて固定側油路を形成した固定側油路形成ケースと、内部に放射線方向に伸延する複数の可動側油路を形成した可動側油路形成体とを具備し、固定側油路形成ケース内に可動側油路形成体を回転自在に取付けると共に、固定側油路形成ケースに形成した各油溝に、可動側油路形成体に形成した各可動側油路の先端部を連通している。
【0012】
このようにして、スイベルジョイントの高さを可及的に低くすることができて、同スイベルジョイントの上端部が、旋回台上に配置するエンジン等に支障とならないようにすることができる。
【0013】
従って、機体の小型化が図れると共に、旋回台の地上高を可及的に低くして、機体の安定性を良好に確保することができる。
【0014】
しかも、各油溝は、可動側油路形成体の上下面に油圧が均等に作用するように、固定側油路形成ケースの上下側内面にそれぞれ形成している。
【0015】
このようにして、固定側油路形成ケースの上下側内面に均等に油圧を作用させて、上下方向の圧力バランスをとることにより、可動側油路形成体が固定側油路形成ケースより抜け出そうとする力を抑制すると共に、可動側油路形成体の円滑な回転を確保することができるようにしている。
【0016】
また、旋回台の旋回中心位置にスイベルジョイントを配設し、同スイベルジョイントの直上方位置に、最重量物であるエンジンをそのクランク軸方向が前後方向を向くように配設している。
【0017】
このようにして、旋回中心位置に、基台上にある上部体の重心位置を近接させることができて、機体の重量バランスを良好にすることができ、その結果、掘削作業能率を向上させることができると共に、走行安定性も向上させることができる。
【0018】
また、基台に外歯リングギヤを設ける一方、旋回台に旋回駆動用モータを設け、同旋回駆動用モータの出力軸にピニオンギヤを取付けて、同ピニオンギヤを上記外歯リングギヤに噛合させている。
【0019】
このようにして、旋回駆動用モータを旋回中心位置より離隔させた位置に配設することができて、旋回中心上に配設したエンジンとの干渉を回避すると共に、これらを旋回台上にコンパクトに配設することができる。
【0020】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1〜図3に示すAは、本発明に係る油圧駆動作業車としての掘削作業車であり、同掘削作業車Aは、左右一対のクローラ式の走行部1,1間に基台2を架設し、同基台2上に旋回台3を載設し、同旋回台3の前端部に掘削部4を取付けると共に、旋回台3上に運転部5と原動機部6を設け、基台2の後部に排土部7を取付けている。Zは旋回中心、Cは、旋回中心Zを通って前後方向に伸延する仮想中心線、Qは旋回軌跡である。
【0022】
走行部1は、図4〜図6にも示すように、前後方向に伸延する走行フレーム10の前端部に走行用油圧モータMを取付け、同走行用油圧モータMの出力軸に駆動輪11を減速器12を介して取付ける一方、走行フレーム10の後端部に遊動輪13を取付けて、両輪11,13 間に履帯14を巻回し、走行フレーム10の下部には転動輪15,15,15を取付けている。
【0023】
基台2は、図4〜図6にも示すように、矩形枠状の支持枠体20と、同支持枠体20上に載設した基台本体21とから形成している。
【0024】
そして、支持枠体20は、左右方向に伸延する矩形筒状の前・後側スライドガイド体22,22 と、両スライドガイド体22,22 の左右側部を連結する連結体23,23 とから平面視矩形枠状に形成している。
【0025】
基台本体21は、矩形筒状に形成すると共に、前、後壁21a,21a の下端部を、下方に位置する前・後側スライドガイド体22,22 の天井壁中央部に内方まで延設して、各前・後壁21a,21a の下端部を前後方向仕切壁21b,21b となして、各前後方向仕切壁21b,21b,21b により前・後側スライドガイド体22,22 内にそれぞれ左右側が開口する前・後スライド空間24,24,25,25 を形成している。
【0026】
そして、上記前・後スライド空間24,24,25,25 内には、左右側の走行フレーム10,10 より左右幅方向で、かつ、内方へ向けて対向状に伸延する前後一対のスライド支持体26,26,27,27 を、スライド自在に挿通しており、各スライド支持体26,26,27,27 は正方形筒状に形成している。
【0027】
しかも、左右側の走行フレーム10,10 の中央部間には拡縮変更用シリンダ28をブラケット29,30 を介して横架して、同シリンダ28を伸縮作動させることにより、左右の走行部1,1の間隔を拡縮変更可能としている。31は拡縮ガイド体、32は拡縮ガイド孔、33は拡縮ガイドピンである。
【0028】
このようにして、前・後スライド空間24,24,25,25 内に挿通したスライド支持体26,26,27,27 は、図7に示すように、矩形筒状の前・後側スライドガイド体22,22 と、各スライドガイド体22,22 内に設けた前後方向仕切壁21b,21b に、周面である上下前後面が当接して、スライド位置にかかわらずガタを生じることなく確実にスライドガイドされて、走行部1,1の支持機能を充分に発揮する。
【0029】
しかも、スライドガイド体22,22 の左右側端は開口させているために、左右のスライド支持体26,26,27,27 がそれぞれスライドガイド体22,22 内をスライド摺動して、各スライドガイド体22,22 内に泥土等が侵入したとしても、同泥土等はスライドガイド体22,22 の開口された一側端より排出されて、スライド支持体26,26,27,27 のスライド摺動に支障とならず、その結果、各スライド支持体22,22 のスライド摺動を良好に確保することができる。
【0030】
そして、スライドガイド体22,22 内に滞留した泥土等は、各スライドガイド体22,22 の開口部より楽に排出することができる。
【0031】
基台2の天井部には、リングギヤ支持体46を載設し、同リングギヤ支持体46上に旋回用の外歯リングギヤ40を載設して、同外歯リングギヤ40に旋回リング41を複数のボール42を介して内嵌し、同旋回リング41上に旋回台3を載設し、同旋回台3上で、かつ、旋回中心位置より離隔させた位置に旋回駆動用モータ43を配設して、同旋回駆動用モータ43の出力軸44にピニオンギヤ45を取付けて、同ピニオンギヤ45を上記外歯リングギヤ40に噛合させている。
【0032】
このようにして、旋回駆動用モータ43を駆動させて、ピニオンギヤ45を外歯リングギヤ40の外周を公転させることにより、同ピニオンギヤ45と一体的に旋回台3を旋回させることができる。
【0033】
この際、旋回駆動用モータ43は、旋回中心位置より離隔させた位置に配設しているために、旋回中心Zの位置に原動機部6のエンジンEを同モータ43と干渉させることなく搭載することができ、これら原動機部6や運転部5等を旋回台3上にコンパクトに配設することができる。
【0034】
また、旋回台3の旋回中心Z位置には、スイベルジョイント50を配設し、同スイベルジョイント50の直上方位置に原動機部6のエンジンEをそのクランク軸が前後方向に向くように配設している。
【0035】
このようにして、旋回中心Z位置と、基台2上にある上部体(旋回台3及び同旋回台3上に配設した原動機部6等)の重心位置とを略一致させることができて、機体の重量バランスを良好にすることができ、その結果、掘削作業能率を向上させることができると共に、走行安定性も向上させることができる。
【0036】
スイベルジョイント50は、図4〜図6に示すように、基台本体21に固定する固定側油路形成ケース51と、同ケース51内に回転自在に収容する可動側油路形成体52とを具備している。
【0037】
そして、固定側油路形成ケース51は、上下側内面にそれぞれ同心円状の複数の油溝53を放射線方向に間隔を開けて形成すると共に、各油溝53に連通させて固定側油路54を形成している。
【0038】
可動側油路形成体52は、円板状部52a と、同円板状部52a の中心部より上方へ立上げて形成した軸状部52b とから形成し、内部に可動側油路55を形成しており、同軸状部52b にはその軸線方向に伸延する複数の軸線方向可動側油路55a を形成すると共に、各軸線方向可動側油路55a の下部より円板状部52a 内に放射線方向に伸延する放射線方向可動側油路55b を形成して、各放射線方向可動側油路55b の先端部を上記各油溝53に連通させている。56は廻止め係合片、57は廻止め係合受片、58は固定ボルトである。
【0039】
ここで、油溝53は、固定側油路形成ケース51の上下側内面にそれぞれ形成すると共に、上下の油溝53,53 の両方に放射線方向可動側油路55b の先端部を連通させて、固定側油路形成ケース51の上下側内面に均等に油圧を作用させて、上下方向の圧力バランスをとることにより、可動側油路形成体52が固定側油路形成ケース51より抜け出そうとする力を抑制し、かつ、可動側油路形成体52の円滑な回転を確保している。
【0040】
このようにして、スイベルジョイント50の高さを可及的に低くすることができて、同スイベルジョイント50の上端部が、旋回台3上に配置するエンジンE等に支障とならないようにすることができる。
【0041】
従って、車体の小型化が図れると共に、旋回台3の地上高を可及的に低くして、車体の安定性を良好に確保することができる。
【0042】
掘削部4は、図1に示すように、旋回台3の前端部に形成したステー60にスイングブラケット61を枢軸62を介して取付け、同スイングブラケット61にブーム64の基端部を枢支ピン65を介して枢支し、同ブーム64の先端部にアーム66の基端部を枢支ピン67を介して枢支し、同アーム66の先端部にバケット68を枢支ピン69を介して枢支している。70はブームシリンダ、71はアームシリンダ、72はバケットシリンダである。
【0043】
運転部5は、図1、図2及び図8に示すように、旋回台3の前部にレバースタンド75を立設し、同レバースタンド75の上端部に操向操作レバー76,77 を上方へ向けて突設し、レバースタンド75の後壁上部より各種作業部操作用レバー78,79 を上方へ向けて突設しており、これらレバー76,77,78,79 の直後方位置で、かつ、原動機部6上に運転席80を載置している。
【0044】
しかも、運転席80は、旋回台3の旋回中心Zの直上方位置に配置している。
【0045】
従って、旋回台3を頻繁に旋回させた際にも、オペレータは略旋回中心位置に着座した状態にあって、旋回台3上で大きく振り回されることがなく、その結果、オペレータの疲労を少なくして操作性を向上させることができる。
【0046】
原動機部6は、図1及び図2に示すように、旋回台3の旋回中心Z上にエンジンEを搭載し、同エンジンEをボンネット82により被覆している。
【0047】
排土部7は、図1及び図2に示すように、基台2に左右一対の排土アーム87,87 の基端部を枢支し、両排土アーム87,87 の先端部間に排土板88を架設し、同排土板88の中央部と基台2との間に排土板昇降用シリンダ89を介設している。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0049】
求項1記載の本発明では、スイベルジョイントは、内面に同心円状の複数の油溝を放射線方向に間隔を開けて形成すると共に、各油溝に連通させて固定側油路を形成した固定側油路形成ケースと、内部に放射線方向に伸延する複数の可動側油路を形成した可動側油路形成体とを具備し、固定側油路形成ケース内に可動側油路形成体を回転自在に取付けると共に、固定側油路形成ケースに形成した各油溝に、可動側油路形成体に形成した各可動側油路の先端部を連通させ、各油溝は、可動側油路形成体の上下面に油圧が均等に作用するように、固定側油路形成ケースの上下側内面にそれぞれ形成しているために、スイベルジョイントの高さを可及的に低くすることができて、同スイベルジョイントの上端部が、旋回台上に配置するエンジン等に支障とならないようにすることができる。
【0050】
従って、機体の小型化が図れると共に、旋回台の地上高を可及的に低くして、機体の安定性を良好に確保することができる。
【0051】
また、固定側油路形成ケースの上下側内面に均等に油圧を作用させて、上下方向の圧力バランスをとることができ、その結果、可動側油路形成体が固定側油路形成ケースより抜け出そうとする力を抑制すると共に、可動側油路形成体の円滑な回転を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る掘削作業車の側面図。
【図2】同掘削作業車の平面説明図。
【図3】基台の平面図。
【図4】同基台の断面側面図。
【図5】スイベルジョイントの平面図。
【図6】同スイベルジョイントの断面側面図。
【符号の説明】
A 掘削作業車
1 走行部
2 基台
3 旋回台
4 掘削部
5 運転部
6 原動機部

Claims (1)

  1. 走行用油圧モータ(M,M)を具備する左右一対の走行部(1,1)間に基台(2)を架設し、同基台(2)上に旋回台(3)を載設し、同旋回台(3)上に油圧ポンプ(P)を設けて、同油圧ポンプ(P)に上記走行用油圧モータ(M,M)をスイベルジョイント(50)を介して連通連結した油圧駆動作業車において、
    スイベルジョイント(50)は、内面に同心円状の複数の油溝(53)を放射線方向に間隔を開けて形成すると共に、各油溝(53)に連通させて固定側油路(54)を形成した固定側油路形成ケース(51)と、内部に放射線方向に伸延する複数の可動側油路(55)を形成した可動側油路形成体(52)とを具備し、固定側油路形成ケース(51)内に可動側油路形成体(52)を回転自在に取付けると共に、固定側油路形成ケース(51)に形成した各油溝(53)に、可動側油路形成体(52)に形成した各可動側油路(55)の先端部を連通させ、各油溝 (53) は、可動側油路形成体 (52) の上下面に油圧が均等に作用するように、固定側油路形成ケース (51) の上下側内面にそれぞれ形成したことを特徴とする油圧駆動作業車。
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