JP4022522B2 - 塩基置換の検出方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は遺伝子上の塩基置換の検出に有用なキメラオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブ、該キメラオリゴヌクレオチドを使用する遺伝子上の塩基置換の検出方法、ならびにそのためのキットに関する。
背景技術
同一種に属する生物個体のゲノム上に含有される遺伝暗号は同一ではなく、多型(polymorphism)と呼ばれる塩基配列上の差違が存在することが知られている。多型には1〜数十塩基の欠失や挿入、特定の塩基配列が重複するものなどが知られているが、1個の塩基が他の塩基に置換されているものは一塩基置換多型(single nucleotide polymorphism、SNP)と呼ばれている。
一塩基置換多型は数百塩基から1000塩基に1ヶ所程度の割合で存在するといわれ、ヒトのゲノム上には300万〜1000万のSNPがあると推定されている。SNPは疾病に関連する遺伝子の探索、疾病へのかかりやすさ、薬に対する感受性(作用、副作用)の違いを知るための指標として注目されており、その検出方法についても研究が進められている。
従来のSNPの検出手段は、ハイブリダイゼーションに基づくもの、プライマー伸長に基づくもの、あるいは酵素の基質特異性を利用するものに大別される。
ハイブリダイゼーション法は、塩基置換の有無を核酸試料とプローブとのハイブリダイゼーションによって検出するものである。該方法は、一塩基の違いによってハイブリダイゼーションが左右されるようなプローブ、ならびにハイブリダイゼーション条件を見出す必要があり、高い再現性を有する検出系の構築が困難である。
従来法としては、サイクリングプローブ反応(cycling probe reaction、例えば米国特許第5,660,988号公報参照)を用いた変異検出方法が挙げられる。該方法においては、開裂し易い結合を有する核酸プローブを目的とする核酸分子にハイブリダイズさせる。目的とする核酸分子中に塩基置換が無い場合には、当該プローブは開裂し、塩基置換が在る場合には、当該プローブは開裂しない。その後、開裂したプローブ由来の遊離断片の発生度合いを検出、定量することにより塩基置換を検出することを特徴とする。しかしながら、該方法では標的核酸が微量の場合、該プローブの開裂化物の絶対量が少ないため、開裂化物が定量可能な、検出できるレベルに到達するまでに相当のタイムラグがある。
別法として、TaqMan法(例えば米国特許第5,210,015号公報または米国特許第5,487,972号公報参照)を用いた変異検出方法が挙げられる。該方法では、蛍光色素及びクエンチャーが付加したTaqManプローブを使用する。該プローブは、塩基置換を含むものと、塩基置換を含まないものの2種類を使用する。該プローブを目的とする核酸分子にハイブリダイズさせ、その上流からプライマーが伸長してくると、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、目的とする核酸分子が塩基置換を含まない場合のみ、当該プローブが分解され、発生する蛍光を検出することにより塩基置換を検出することを特徴とする。しかしながら、該方法において、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ、ならびに3’末端がブロックされた標識ヌクレオチドを用いてPCRを行う必要があり、さらには厳密な温度調整が必要であり、検出するまでに要する時間も長いという問題がある。
酵素を利用する方法としては、まずDNAポリメラーゼを使用する方法があり、該方法にはさらに(1)塩基置換を検出しようとする塩基部分に3’末端がアニーリングするプライマーを使用し、プライマー伸長反応の有無から塩基置換を検出する方法(例えば、米国特許第5,137,806号公報参照)、(2)3’末端から2番目のヌクレオチドに検出しようとする塩基置換部位が位置するプライマーを使用し、プライマー伸長反応の有無から塩基置換を検出する方法(例えば、国際公開第01/42498号パンフレット参照)、(3)塩基置換を検出しようとする塩基の3’側に隣接する塩基に3’末端がアニーリングするプライマーを使用し、当該プライマーに取り込まれる塩基を判別して目的部分の変異の有無とその塩基を決定する方法等が挙げられる。
また、DNAリガーゼを使用する方法がある。当該方法はプローブの末端部分を塩基置換を検出しようとする塩基部分に対応させることにより、ここに隣接したプローブとのライゲーションの有無から塩基置換を検出する。
上記DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼを用いる方法は、塩基置換に基づくプライマーもしくはプローブと標的核酸との間のミスマッチを正確に検出でない可能性がある。すなわち、これらの酵素はミスマッチを有するプライマー、プローブの場合でも酵素反応を開始し、誤った結果を与えることがある。
すなわち、標的核酸と当該プライマーとのアニーリングエラー及び使用するリガーゼあるいはポリメラーゼのエラーに起因する擬陽性の場合があり、反応条件、特に反応温度等を非常に厳密にコントロールする必要があり、再現性に問題がある。
さらにインベーダー(Invader)法(例えば、米国特許第5,846,717号公報参照)のような二本鎖核酸の特殊な構造を認識して切断する活性を有する酵素を利用する方法が挙げられる。このような酵素としてはcleavaseが知られており、塩基置換が存在する(あるいは存在しない)場合に当該酵素に認識されるような構造を形成するプローブを設計し、当該プローブの切断を調べることによって、塩基置換を検出することが可能である。しかしながら、二本鎖核酸の特殊な構造を認識して切断する活性を有する核酸を使用する方法は、その感度に問題を有する。すなわち、当該方法は異分子の標的核酸から1つのシグナルが生成する方法であり、微量の核酸試料からでは塩基置換の検出に十分なシグナルを得られない。もちろん、プローブ切断反応を反復してシグナルを増強することも可能であるが、強いシグナルを得るためには、前もって標的核酸を増幅する必要がある。すなわち、該方法では標的核酸が微量の場合、該プローブ切断物の量が少ないために該切断物量が検出できるレベルに到達するまでに相当のタイムラグが生じる。
以上のように、上記の方法は、標的核酸が微量であった場合には検出できない、厳密な温度管理条件下で行う必要がある、標的核酸とのアニーリングを厳密にコントロールする必要がある、あるいは検出のために特別な性質を有する酵素が必要である等の問題点を有しており、塩基置換を正確に検出できる方法が求められていた。
アミリン(amylin、膵ランゲルハンス島アミロイドタンパク質;Islet Amyloid Polypeptide(IAPPと略す)とも称される)は、2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病とも称される)患者の膵ランゲルハンス島に沈着しているアミロイドの主要構成成分として分離、同定された生理活性様ペプチドであり、膵β細胞において特異的に発現し、インスリンとともに血中へ分泌されている(例えば、Westermark P.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、3881〜3885(1987)またはCooper G.J.S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、8628〜8632(1987)参照)。2型糖尿病患者において、高頻度に膵ランゲルハンス島へのアミロイド沈着が認められることから、アミリンと2型糖尿病との関連性が着目されている。
アミリン遺伝子の全配列は決定されており、該遺伝子は第12染色体短腕p12.3に存在していることが報告されている(例えば、Nishi M.ら、Mol.Endocrinol.、3、1775〜1781(1989)参照)。
2型糖尿病患者において、アミリン遺伝子の20番目のセリン(AGC)がグリシン(GGC)へ置換されたミスセンス変異が報告されている(例えば、Sakagashira S.ら、Diabetes、45、1279〜1281(1996)参照)。該変異は、日本、中国、台湾、香港、韓国人において報告されているが、白人においては報告されていない。該遺伝子変異を検出する方法としては、当該変異部位を含む領域をPCR増幅し、得られた増幅産物を制限酵素Msp Iにて処理し、当該増幅産物が分解されるか否かをアガロースゲル電気泳動にて検査していた(例えば、Sakagashira S.ら、Diabetes、45、1279〜1281(1996)参照)。
上記のように、アミリン遺伝子変異と2型糖尿病との関連性が示唆されているが、該遺伝子変異を効率的に検出する方法は未だ存在しない。
アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)は、アセトアルデヒドを酢酸へ酸化する酵素である。ヒトにおいてALDHは複数のアイソザイムよりなり、組織毎にその分布が異なっている(例えば、Harada S.ら、Life Sci.、26、1773〜1780(1980)参照)。うち、ALDH2は主として肝に存在し、アルコール代謝系酵素として機能している。
ALDH2は肝抽出液の電気泳動によって活性型タンパク質と不活性型タンパク質が多型として見出され(例えば、Harada S.ら、Am.J.Hum.Genet.、32、8〜15(1980)参照)、これがアルコール耐性と相関関係にあることが明らかとなっている(例えば、Harada S.ら、Lancet II、982(1981)参照)。
ALDH2の全塩基配列は公知であり、exon12のグルタミン酸(GAA)がリジン(AAA)へ置換されたミスセンス変異が報告されている(例えば、Yoshida A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81、258〜261(1984)参照)。該変異はモンゴロイド特有のものであり、コーカソイドやネグロイドにおいて当該変異は報告されていない。該遺伝子変異を検出する方法としては、allele specific primer−PCR法(例えば、原田勝二ら、アルコール代謝と肝、10、1〜5(1988)参照)、restriction fragment length polymorphism(RFLP)法(例えば、Harada S.ら、Alcohol Alcohol.、28、11〜13(1993)参照)、PCR−SSCP(PCR−single strand conformation change polymorphism)法(例えば、Harada S.ら、Alcohol.Clin.Exp.Res.、23、958〜962(1999)参照)などが報告されている。
しかしながら、該遺伝子変異を効率的に検出する方法は未だ存在しない。
発明の目的
従って本発明の目的は、上記方法の問題を解決し、微量の核酸試料を使用して正確、かつ再現性に優れた塩基置換、例えばSNPを検出する手段を提供することにある。
発明の概要
本発明者らは、標的核酸を増幅する技術と、増幅された標的核酸上の目的の塩基置換の存在を検出可能なプローブとを組み合わせることにより、迅速、かつ高感度に検出可能な方法を構築し、本発明を完成させた。
本発明の第1の発明は、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出するための組成物であって、
(a)少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも2種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、標的核酸上の特定の塩基を含む領域を増幅できるプライマー、
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブ、
(c)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、及び
(d)ヌクレアーゼ、を含有する組成物に関する。
本発明の第2の発明は、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出するための組成物であって、
(a)少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものを含有することを特徴とする、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマーであって、標的核酸上の特定の塩基を含む領域を増幅できるプライマー、
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブであって、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断を受けないプローブ、
(c)DNAポリメラーゼ、及び
(d)ヌクレアーゼ、を含有する組成物に関する。
本発明の第2の発明においてDNAポリメラーゼが鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼであってもよい。さらに本発明の第1及び第2の発明において、プローブがリボヌクレオチドを含有するプローブであり、ヌクレアーゼがリボヌクレアーゼHであってもよい。
本発明の第3の発明は、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出する方法であって、下記成分を含有する組成物をインキュベートし、該組成物中のプローブの切断の有無を検出する工程を包含することを特徴とする塩基置換の検出方法:
(a)標的核酸、
(b)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブ、
(d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、および
(e)ヌクレアーゼ、に関する。
本発明の第4の発明は、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出する方法であって、下記成分を含有する組成物をインキュベートし、該組成物中のプローブの切断の有無を検出する工程を包含することを特徴とする塩基置換の検出方法:
(a)標的核酸、
(b)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものを含有することを特徴とする、少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブであって、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断を受けないプローブ、
(d)DNAポリメラーゼ、および
(e)ヌクレアーゼ、に関する。
本発明の第4の発明において、DNAポリメラーゼが鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼであってもよい。さらに本発明の第3及び第4の発明において、組成物が2種のプライマーを含有してもよく、プローブがリボヌクレオチドを含有するプローブであり、ヌクレアーゼがリボヌクレアーゼHであってもよい。また、当該組成物が等温条件下にインキュベートされてもよい。
本発明の第5の発明は、配列表の配列番号1、2、7、8、13、14に記載の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーに関する。
本発明の第6の発明は、配列表の配列番号9、10、19、20に記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーに関する。
本発明の第7の発明は、配列表の配列番号3、4、11、12、15、16、21、22に記載の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチドプローブに関する。
本発明の第8の発明は、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出するための組成物であって、
(a)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、および
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域に特定の温度条件下でハイブリダイズするか否かが選択可能なプローブ、を含有する組成物に関する。
本発明の第9の発明は、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出する方法であって、下記成分を含有する組成物をインキュベートし、該組成物中のプローブの切断の有無を検出する工程を包含することを特徴とする塩基置換の検出方法:
(a)標的核酸、
(b)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域に特定の温度条件下でハイブリダイズするか否かが選択可能なプローブ、
(d)DNAポリメラーゼ、および
(e)ヌクレアーゼ、に関する。
発明の詳細な説明
本明細書において塩基置換とは、核酸上の特定の部位において、その一部の塩基が他の塩基に置換されていることを指す。当該塩基置換により生物個体間の遺伝情報の違いが生じ、この遺伝情報の違いは多型(polymorphism)、もしくはバリエーション(variation)と呼ばれている。また、本明細書において塩基置換とは、上記の多型、バリエーションにおける塩基置換を包含する。また、核酸に人為的に導入された塩基置換も本明細書における塩基置換に含まれる。
本明細書に記載の塩基置換において、置換されている塩基の数には特に限定はなく、1塩基もしくはそれ以上の置換が存在してもよい。
本発明は、ゲノム多型やバリエーションの検出、特に、遺伝子上のSNP(一塩基置換多型)の検出に特に好適である。
以下に本発明を詳細に説明する。
(1)本発明の組成物
本発明の組成物の一態様としては、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出するための組成物であって、
(a)少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも2種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、標的核酸上の特定の塩基を含む領域を増幅できるプライマー、
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブ、
(c)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、及び
(d)ヌクレアーゼ、を含有する組成物である。
また、本発明の組成物の別態様としては、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出するための組成物であって、
(a)少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものを含有することを特徴とする、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマーであって、標的核酸上の特定の塩基を含む領域を増幅できるプライマー、
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブであって、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断を受けないプローブ、
(c)DNAポリメラーゼ、及び
(d)ヌクレアーゼ、を含有する組成物である。
さらに本発明の組成物の別態様としては、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出するための組成物であって、
(a)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、および
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域に特定の温度条件下でハイブリダイズするか否かが選択可能なプローブ、を含有する組成物である。
また、別の態様としては、
(a)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものを含有する少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー、および
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブ、を含有することを特徴とする。
上記のキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、前記プライマーからのプライマー伸長物におけるプライマー部分に存在するリボヌクレオチドを切断しうるヌクレアーゼと組み合わせることにより、等温条件下に鋳型となる核酸を増幅することが可能である。この核酸増幅方法はICAN(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids)法と称されており、その詳細は国際公開第00/56877号パンフレット、国際公開第02/16639号パンフレットに開示されている。プライマーの設計や反応条件の設定はこれらのパンフレットの開示をもとに、目的に応じて適宜決定すればよい。
本発明においては、標的核酸上の、変異を検出しようとする特定の塩基を含む領域を増幅することが可能なプライマーが使用される。すなわち、標的核酸上の前期特定の塩基の上流および下流の領域の塩基配列もしくはこれに相補的な塩基配列にアニーリングし得るプライマーを使用することができる。
本発明の組成物に、鋳型となる標的核酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、前記作用を有するヌクレアーゼを加えて等温条件下にインキュベートすることにより1種類のプライマーからの伸長産物が得られる。2種のプライマーを含有する組成物を使用した場合には、これらのプライマーにはさまれた領域がさらに特異的に増幅される。
さらに、本発明には1種類のプライマーのみを使用する態様も包含される。この場合には、前記プライマーの伸長産物が変異を検出しようとする特定の塩基を含むようにプライマーが設計される。すなわち、標的核酸上の前期特定の塩基の3’−末端側の塩基配列に実質的に相補的なプライマーが使用される。前記プライマーより伸長産物が連続的に生成されることにより、後述のプローブがハイブリダイズし得る核酸が増幅される。ここで「実質的に相補的なプライマー」とは、使用される反応条件において鋳型となる核酸にアニーリング可能なプライマーを意味する。
上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーとしては、特に限定はされないが例えば、膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質をコードするアミリン遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号1、2、7、8記載の塩基配列を有するものが、またアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH2)遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号13、14に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
また、同様にアミリン遺伝子の変異を検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーとしては、配列表の配列番号9、10記載の塩基配列を有するものが、また、アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号19、20に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
前記の本発明の組成物に含有されるプローブは、こうして増幅された標的核酸にハイブリダイズすることができる。ここで、標的核酸上の特定の塩基に塩基置換が存在する場合にプローブがヌクレアーゼにより特異的に切断される、あるいは特異的に切断されないようにプローブを設計することにより、プローブの切断を指標として塩基置換の存在、あるいは非存在を検出することができる。
当該プローブを切断するヌクレアーゼには特に限定はないが、例えば、前記特定の塩基に相補的な塩基もしくはその周辺の塩基をリボヌクレオチドとしたプローブを使用する場合には国際公開第02/22831号パンフレットに記載の方法で調製されたリボヌクレアーゼHが好適に使用できる。
また、上記のような、塩基置換の検出に有用なプローブとその切断手段については、例えば米国特許第5660988号に開示されている。
上記キメラオリゴヌクレオチドプローブとしては、特に限定はされないが例えば、膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質をコードするアミリン遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号3、4、11、12記載の塩基配列を有するものが、またアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH2)遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号15、16、21、22に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
(2)本発明の塩基置換の検出方法
本発明の塩基置換の検出方法は、上記(1)に記載された組成物を使用して標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の存在または非存在を検出する方法である。
本発明の方法において用いられる核酸増幅方法は、鋳型核酸に相補的な配列を有するプライマーが使用される種々の方法が使用できる。例えばポリメラーゼ連鎖反応法(PCR;polymerase chain reaction、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号)、鎖置換型増幅法(SDA;strand displacement amplification、特公平7−114718号)、ICAN法(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids、国際公開第00/56877号パンフレット)等の核酸増幅方法を使用することができる。これらの方法において、標的核酸を増幅しながらあるいは増幅後、RNaseH存在下に標識されたプローブとハイブリダイゼーションすることによって、目的の塩基置換を検出することができる。
本発明の好適な態様は、特に限定はされないが、例えば、下記成分
(a)標的核酸、
(b)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるが、もしくは切断を受けないプローブ、
(d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、および
(e)ヌクレアーゼを含有する組成物をインキュベートし、該組成物中のプローブの切断の有無を検出する工程、を包含することを特徴とする。
また別の態様としては、
(a)標的核酸、
(b)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものを含有することを特徴とする、少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブであって、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断を受けないプローブ、
(d)DNAポリメラーゼ、および
(e)ヌクレアーゼを含有する組成物をインキュベートし、該組成物中のプローブの切断の有無を検出する工程、を包含することを特徴とする。
また、別の態様としては、
(a)標的核酸、
(b)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域に特定の温度条件下でハイブリダイズするか否かが選択可能なプローブ、
(d)DNAポリメラーゼ、および
(e)ヌクレアーゼを含有する組成物をインキュベートし、該組成物中のプローブの切断の有無を検出する工程、を包含することを特徴とする。
さらに、別の態様としては、
(a)標的核酸、
(b)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものを含有することを特徴とする少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域に特定の温度条件下でハイブリダイズするか否かが選択可能なプローブ、
(d)DNAポリメラーゼ、および
(e)ヌクレアーゼを含有する組成物をインキュベートし、該組成物中のプローブの切断の有無を検出する工程、を包含することを特徴とする。
前記オリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域を増幅可能なものであれば特に限定はない。特に限定はされないが、例えば、国際公開第02/16639号パンフレットに記載のキメラオリゴヌクレオチドプライマーが好適に使用できる。また、本発明の方法においてDNAプライマーであってもよい。さらに本発明の方法においては、2種のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することができる。
前記工程に使用されるDNAポリメラーゼとしては、特に限定するものではないが、鎖置換活性を有するものが好適に使用できる。また、ヌクレアーゼにも特に限定はないが、キメラオリゴヌクレオチドプライマーのリボヌクレオチド部分を切断する観点からはリボヌクレアーゼHが本発明に好適である。
特に好適な態様としては、前記特定の塩基に相補的な塩基もしくはその周辺の塩基をリボヌクレオチドとしたプローブを使用することにより、ヌクレアーゼとしてリボヌクレアーゼHのみを含有する組成物を使用する検出方法が挙げられる。
また、反応の条件にも特に限定はなく、使用されるDNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼが所望の活性を保持する条件を適宜選択すればよい。インキュベーションの温度も使用される酵素やプライマー、プローブの鎖長などを考慮して決定すればよい。特に、耐熱性の酵素を使用し、高温(例えば50℃〜65℃)で反応を行う態様が好適である。
上記の反応において、増幅された標的核酸はプローブとハイブリダイズする。ここで、標的核酸とプローブの塩基配列が正確に一致していない場合には、標的核酸とプローブとの二本鎖核酸はミスマッチ部分を形成する。すなわち、塩基置換を有していない、正常型の塩基配列を有するプローブを用いた場合、標的核酸に塩基置換が存在すると上記のようなミスマッチ部分が形成される。ここにミスマッチ感受性のヌクレアーゼを共存させることにより、ミスマッチが形成されなかった場合のみプローブが切断を受ける。さらに、切断されたプローブが標的核酸とはもはやハイブリダイズできないように反応条件、プローブの鎖長を設定することにより、切断されたプローブは標的核酸から遊離し、次いで新たなプローブが標的核酸とハイブリダイズして同様に切断される。このような工程が繰り返され、反応物中には切断されたプローブが蓄積してゆく。
上記の反応は正常型の塩基配列を有するプローブを使用した場合の例であるが、塩基置換を含む塩基配列を有するプローブを使用することにより、塩基置換の存在する標的核酸の存在下にプローブが切断されるようにすることもできる。
上記の、リボヌクレアーゼHはミスマッチに対する感受性を有しており、本発明におけるプローブの切断に好適である。
なお、使用されるDNAポリメラーゼが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するものであった場合には、ミスマッチの有無に関わらずプローブの分解が起こり得る。このような現象を防止する観点からは、前記プローブとして使用されるDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により分解されない、すなわち5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に耐性を有するプローブの使用が好ましい。
1つの態様としては、使用するプライマーのハイブリダイズする領域から当該プローブのハイブリダイズする領域までの距離を調整することにより、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に耐性を有するプローブを構築することができる。
また別の態様としては、当該プローブに5’→3’エキソヌクレアーゼ活性より分解を受けない修飾を施したプローブを使用することができる。該修飾は特に限定するものではないが、例えば5’末端の脱リン酸化、リボースの3位の水酸基の修飾、リン酸基に結合する酸素原子が硫黄原子に置換された(α−S)ヌクレオチドの使用、ペプチド核酸(PNA、peptide nucleic acid;Nature,365,566−568(1993))の使用、アミノアルキル化、色素・蛍光物質・発光物質・消光物質・種々のリガンド(ビオチン、ジゴキシゲニン等)・酵素等の付加、立体障害となり得る置換基の導入などが挙げられる。該修飾は、上記耐性を獲得できるものであれば、当該プローブの5’末端あるいは5’末端側のいずれに位置していてもよい。
また、別の態様としては、増幅された標的核酸はプローブとハイブリダイズするが、特定の温度条件においては、当該プローブの塩基配列と標的核酸の塩基配列が正確に一致していない場合には、標的核酸とプローブとの二本鎖核酸は非常に不安定である。一方、当該プローブの塩基配列と標的核酸の塩基配列が正確に一致する場合には、標的核酸とプローブとの二本鎖核酸は安定である。その結果として、安定な二本鎖を形成した場合のみ当該プローブが切断される。さらに、切断されたプローブが標的核酸とはもはやハイブリダイズできないように反応条件、プローブの鎖長を設定することにより、切断されたプローブは標的核酸から遊離し、次いで新たなプローブが標的核酸とハイブリダイズして同様に切断される。このような工程が繰り返され、反応物中には切断されたプローブが蓄積してゆく。
上記の反応は正常型の塩基配列を有するプローブを使用した場合の例であるが、塩基置換を含む塩基配列を有するプローブを使用することにより、塩基置換の存在する標的核酸においてプローブが切断されるようにすることもできる。
上記の場合には、当該プローブの塩基配列と標的核酸の塩基配列が正確に一致していない場合には、標的核酸とプローブとの二本鎖核酸は非常に不安定である一方で、当該プローブの塩基配列と標的核酸の塩基配列が正確に一致する場合には、標的核酸とプローブとの二本鎖核酸は安定であるような特定の温度条件を設定することが必要である。該温度は、使用するプローブのTm値等によって調整することができる。特に限定はされないが、例えば、70℃以下、好ましくは65℃以下である。
プローブの切断を検出する手段には特に限定はなく、公知の核酸分析手法を利用することができる。例えば、電気泳動法や高速液体クロマトグラフィー法により、プローブの鎖長の変化から切断を検出することができる。
特に好適な態様としては、例えばプローブを蛍光物質と該蛍光物質の発する蛍光を消光する作用を有する物質の両者で、適当な間隔をとって標識したものが包含される。このようなプローブはインタクトな状態ではほとんど蛍光を発することはないが、切断されて蛍光物質と消光物質との距離が離れた場合には蛍光を発するようになる。当該物質の組合わせとしては、6−FAM(6−carboxyfluorescein)とDABCYL(4−dimethylaminoazobenzene−4’−sulfone)、ROX(6−carboxy−X−rhodamine)とDABCYL、6−FAMとEclipse(Epoch Biosciences社製)、ROXとEclipse、TET(tetrachlorofluorescein)とDABCYL、TETとEclipse等が好適に使用できる。このようなプローブを使用することにより、反応中の反応液を直接観察することによって塩基置換の有無を知ることができる。また、スマート サイクラー(タカラバイオ社製)のような反応チューブ中の増幅された核酸をチューブを閉じたままで検出できる装置を用いることによりリアルタイムで検出・定量することができる。
本発明の一態様としては、増幅産物とプローブでハイブリッドを形成させ、完全マッチのときのみICAN反応液中のRNaseHによりRNA部が切断されて蛍光シグナルが得られ、ミスマッチのときはRNaseHによりRNA部で切断されないため蛍光シグナルが得られないことを利用して、標的核酸中の塩基置換を検出することができる。また、別の態様としては、特定の温度条件において標的核酸と安定な二本鎖を形成可能な場合にのみ当該プローブがRNaseHによって切断されることを利用して標的核酸中の塩基置換を検出することができる。
本発明の塩基置換の検出方法に使用される標的核酸としては一本鎖、二本鎖の核酸、すなわちDNA、RNAを使用することができる。使用するヌクレアーゼによってはRNAを標的核酸とすることが困難な場合もあるが、その場合には当該RNAを鋳型として調製したcDNAを標的核酸として使用することにより、RNA上の塩基置換を検出することが可能である。
本発明においては、標的核酸を含有する試料を検出反応に使用することができる。
上記試料には特に限定はなく、核酸、もしくは生物を含む可能性のあるあらゆる試料、例えば、細胞、組織(生検試料等)、全血、血清、脳脊髄液、精液、唾液、喀痰、尿、糞便、毛髪、細胞培養物等を使用することができる。上記の検体は、特に限定するものではないが、好ましくは適切な処理によって、例えばDNAポリメラーゼの反応を実施が可能な形態としたうえ、本発明の方法に供することができる。このような処理には細胞の溶解や試料からの核酸の抽出、精製が包含される。
ヒトを含む高等動物の細胞は、通常1対の染色体を有する二倍体である。そのため、染色体上の特定の塩基について塩基置換が存在する可能性がある場合、当該細胞は両染色体ともに塩基置換を有しないホモ接合体(ホモ型)、両染色体ともに塩基置換が存在するホモ接合体(ホモ型)、あるいは一方の染色体のみに塩基置換を有するヘテロ接合体(ヘテロ型)の3通りの可能性がある。
二倍体の細胞より調製した核酸試料について本発明の塩基置換の検出方法を適用することにより、遺伝子上の任意の塩基について当該細胞、すなわち当該細胞を有する個体の遺伝子型がホモ型あるいはヘテロ型のいずれかであるかを調べることができる。特に限定はないが例えば、4通りの塩基のそれぞれに対応するプローブを使用して本発明の方法を実施した場合、遺伝子型がヘテロ型である細胞由来の核酸試料では2種のプローブについてヌクレオチドの切断にともなうシグナルが検出される。一方、遺伝子型がホモ型である細胞由来の核酸試料では1種のプローブのみでシグナルが検出され、さらにこのホモ型が塩基置換を有する、あるいは有しないことも同時に判定することができる。このように、本発明の方法は、上記のような対立遺伝子上の塩基置換の検出にも有用である。
本発明の方法に用いられるキメラオリゴヌクレオチドプライマーとしては、特に限定はされないが例えば、膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質をコードするアミリン遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号1、2、7、8記載の塩基配列を有するものが、またアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH2)遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号13、14に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
また、同様にアミリン遺伝子の変異を検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーとしては、配列表の配列番号9、10記載の塩基配列を有するものが、また、アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号19、20に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
本発明の方法に用いるプローブとしては、特に限定はされないが例えば、膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質をコードするアミリン遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号3、4、11、12記載の塩基配列を有するものが、またアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH2)遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号15、16、21、22に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
(3)本発明の塩基置換の検出に使用されるキット
本発明は、上記の本発明の塩基置換の検出に使用されるキットを提供する。1つの実施態様において、該キットは本発明の組成物のコンポーネント、すなわち、
(a)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブ、を含有するキットである。
また別の態様としては、
(a)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的である少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドプライマー、
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じてヌクレアーゼによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブであって、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断を受けないプローブ、を含有するキットである。
また別の態様としては、
(a)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置された少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域に特定の温度条件下でハイブリダイズするか否かが選択可能なプローブ、を含有するキットである。
さらに別の態様としては
(a)標的核酸の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものを含有することを特徴とする、少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域に特定の温度条件下でハイブリダイズするか否かが選択可能なプローブ、を含有するキットである。
前記プローブは、例えば正常型の塩基配列を有するプローブもしくは塩基置換を有する塩基配列を有するプローブを含有するもの、その両方を含有するもの、さらに4種の塩基のそれぞれに対応する4種のプローブを含有するものが例示される。これらのプローブは検出のための標識を付されていてもよい。
本発明のキットに用いられるキメラオリゴヌクレオチドプライマーとしては、特に限定はされないが例えば、膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質をコードするアミリン遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号1、2、7、8記載の塩基配列を有するものが、またアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH2)遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号13、14に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
また、同様にアミリン遺伝子の変異を検出するためのオリゴヌクレオチドプライマーとしては、配列表の配列番号9、10記載の塩基配列を有するものが、また、アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号19、20に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
本発明のキットに用いるプローブとしては、特に限定はされないが例えば、膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質をコードするアミリン遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号3、4、11、12記載の塩基配列を有するものが、またアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH2)遺伝子の変異を検出するための、配列表の配列番号15、16、21、22に記載の塩基配列を有するものが好適に使用できる。
上記キットは、DNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼの基質であるdNTPや反応液の調製等に使用されるその他の成分を含有していてもよい。
上記のように、本発明は塩基置換を調べようとする配列を有する標的核酸を増幅し、さらに当該塩基置換の存在または非存在に応じてプローブの切断が連続的に起こることから、微量の標的核酸を試料とした場合にも高い感度で塩基置換を検出することが可能である。さらに、標的核酸の増幅、ハイブリダイゼーションとプローブの切断、プローブの切断に起因するシグナルの検出を1つの工程で実施することも可能であり、簡便かつ迅速な塩基置換の検出方法が提供される。
実施例
以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
参考例1
実施例における耐熱性RNaseHのunit数は、以下の方法により算出した。
ポリ(rA)及びポリ(dT)(ともにアマシャム ファルマシア バイオテク製)1mgをそれぞれ1mM EDTAを含む40mM トリス−HCl(pH7.7)1mlに溶解し、ポリ(rA)溶液及びポリ(dT)溶液を調製した。
次に、4mM MgCl、1mM DTT、0.003%BSA、4%グリセロールを含む40mM トリス−HCl(pH7.7)に、終濃度20μg/mlとなるポリ(rA)溶液、終濃度30μg/mlとなるポリ(dT)溶液を加え、37℃で10分間反応後、4℃に冷却し、ポリ(rA)−ポリ(dT)溶液を調製した。このポリ(rA)−ポリ(dT)溶液100μlに任意に希釈した酵素液1μlを加え、40℃で10分間反応させ、0.5M EDTA 10μlを加えて反応を停止させた後、260nmの吸光度を測定した。対照として、上記反応液に0.5M EDTA 10μlを加えた後、40℃で10分間反応させ、吸光度を測定した。その後、EDTA非存在下で反応させ求めた吸光度から対照の吸光度を引いた値(吸光度差)を求めた。すなわち、酵素反応によってポリ(rA)−ポリ(dT)ハイブリッドから遊離したヌクレオチドの濃度を吸光度差から求めた。RNaseHの1単位は、1nmolのリボヌクレオチドが遊離したのに相当するA260を10分間に増加させる酵素量とし、下記の式に従って算出した。
単位(unit)=〔吸光度差×反応液量(ml)〕/0.0152×(110/100)×希釈率
実施例1
(1)モデル系での検出
本発明のキメラプローブを併用したリアルタイムICAN反応系でのSNP検出方法について検討した。検出対象としては、膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質をコードしているアミリン遺伝子を選択した。該遺伝子において20番目のセリン(AGC)がグリシン(GGC)に置換するミスセンス変異は単独では軽い耐糖能異常を引き起こすのみであるが、2型糖尿病の遺伝的要素と重なった場合、その発症を早め、より重症化すると報告されている。
まず、ICAN反応でこのアミリン遺伝子の変異検出を行うために配列表の配列番号1及び2記載の塩基配列を有するIAPP−F−2プライマー、IAPP−R−1プライマーをDNA合成機(アプライド・バイオシステム社製)により合成した。次に配列表の配列番号3、11及び21記載の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチド、正常型検出用IAPPプローブCAG(W2)、IAPP 9Aプローブ及びIAPP 8Aプローブならびに配列表の配列番号4、12及び22記載の塩基配列を有する変異型検出用IAPPプローブCGG(M2)、IAPP 9Gプローブ及びIAPP 8GプローブをDNA合成機にて調製した。また正常型検出用IAPPプローブCAG(W2)、IAPP 9Aプローブ及びIAPP 8Aプローブは、5’末端に蛍光標識として6−FAM(ABI社製)、3’末端にクエンチング標識としてDABCYL(グレンリサーチ社製)を、一方、変異型検出用IAPPプローブCGG(M2)、IAPP9Gプローブ及びIAPP 8Gプローブは、5’末端に蛍光標識としてROX(ABI社製)、3’末端にクエンチング標識としてDABCYLを付加したDNA−RNA−DNAタイプのオリゴヌクレオチドプローブである。
またそれぞれ配列表の配列番号5及び6記載の600bpの塩基配列を有するフラグメントを常法により調製し、それぞれをpGEM−T EASY vector(プロメガ製)にサブクローニングした。該プラスミドは、正常型陽性コントロール(配列番号5)ならびに変異型陽性コントロール(配列番号6)として用いた。当該陽性コントロールは、1μlあたり10、10、10コピー濃度になるように調製した。従って上記コントロールを10μl用いると10、10、10コピーになる。また、ICAN法の反応条件を以下に示す。
すなわち、最終濃度32mM ヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、1%DMSO、0.01%BSA、4mM 酢酸マグネシウム、各500μM dNTPs、4UのBcaBEST DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)、国際公開第02/22831号パンフレットに記載の方法で調製したBca RNaseH 4800U、各25pmolのIAPP−F−2及びIAPP−R−1プライマー対、5pmol IAPPプローブCAG(W2)及び10pmol IAPPプローブCGG(M2)、鋳型となる核酸として各陽性コントロール10μlを添加し滅菌水にて最終容量25μlにした。該反応液はあらかじめ55℃に設定したスマートサイクラー(タカラバイオ社製)にセットし、100分間保持した。その結果、鋳型として正常型陽性コントロールを用いた場合、10、10、10コピー/反応のいずれの系においてもIAPPプローブCAG(W2)由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、IAPPプローブCGG(M2)由来のROX蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。
また、変異型陽性コントロールを用いたとき、10、10、10コピー/反応のいずれの系においてもIAPPプローブCGG(M2)由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、IAPPプローブCAG(W2)由来の6−FAM蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。
以上のことから、本発明の方法は、正常型及び/又は変異型の2種類の両端標識キメラプローブと組み合わせることにより、リアルタイムにアミリン遺伝子の変異を検出できることを確認した。
(2)ゲノムDNAにおける検出
ヒトゲノムDNAを鋳型とした場合のリアルタイムICAN反応系でのSNP検出方法について検討した。鋳型となる核酸を市販のヒトゲノムDNA(ヒトゲノムDNA;1ngまたは10ngまたは50ng/反応)にする以外は、実施例1−(1)記載の反応条件と同じにした。その結果、陽性コントロールの時と同様にIAPPプローブCAG(W2)由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、IAPPプローブCGG(M2)由来のROX蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。また、当該結果は、上記ヒトゲノムDNAを通常のシークエンシング法により解析した結果と一致した。従って、本発明の方法による結果は、従来法と同じであることを確認した。
(3)RNaseHの検討
本発明の方法に用いるRNaseHについて検討した。すなわち、上記実施例1−(1)記載の反応において、Bca RNaseHの代わりに国際公開第02/22831号パンフレットに記載の方法で調製したTli RNaseHを使用した系(100U/25μl反応)を用いた。本実施例においては配列表の配列番号7及び8に記載の塩基配列を有するIAPP−F−1プライマー、IAPP−R6008プライマーを使用した。また、反応温度は60℃に設定した。これら以外の条件は、上記実施例1−(1)記載の反応条件と全く同じにした。その結果、鋳型となる核酸として正常型陽性コントロールを用いたとき、10コピー/反応の系でIAPPプローブCAG(W2)由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、IAPPプローブCGG(M2)由来のROX蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。また変異型陽性コントロールを用いたとき、10コピー/反応の系でIAPPプローブCGG(M2)由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた一方でIAPPプローブCAG(W2)由来の6−FAM蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。すなわち、本実施例においては、反応温度が60℃と高温であることから、標的核酸とプローブとのマッチあるいはミスマッチをRNaseHで選択・切断するか及び/又は当該温度において安定に形成される標的核酸とプローブの二本鎖の方をRNaseHによって選択・切断することによって、より精度の高い、目的の塩基置換の検出ができることを確認した。
(4)キメラプローブのRNA部の塩基数が1塩基での特異性の検討
本発明の方法に用いるキメラプローブのRNA部が1塩基のプリン塩基よりなる場合のSNP検出方法について検討した。本実施例においては配列番号11、12、21、22記載の塩基配列を有する5pmol IAPP 9Aプローブと5pmol IAPP 9Gプローブの組み合わせ、または5pmol IAPP 8Aプローブと5pmol IAPP 8Gプローブの組み合わせを使用した。また、その他のICAN法の反応条件を以下に示す。すなわち、最終濃度32mMヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM酢酸カリウム、1%DMSO、0.01%BSA、4mM酢酸マグネシウム、各500μM dNTPs、0.04%プロピレンジアミン、2UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、100UのTli RNaseH、各50pmolのIAPP−F−2及びIAPP−R−1プライマー対、鋳型となる核酸として2×10コピー/μl濃度の各陽性コントロールを5μl添加し滅菌水にて最終容量25μlにした。鋳型のかわりに水5μlを添加したものをネガティブコントロールとした。該反応液はあらかじめ60℃に設定したスマートサイクラーにセットし、100分間保持した。その結果、鋳型として正常型陽性コントロールを用いた場合、IAPP 9AプローブまたはIAPP 8Aプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められ、ネガティブコントロールの場合には、蛍光シグナルに変化はみられなかった。一方、IAPP 9GプローブまたはIAPP 8Gプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加は認められなかった。
また、変異型陽性コントロールを用いた場合、IAPP 9GプローブまたはIAPP 8Gプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められ、ネガティブコントロールの場合には、蛍光シグナルに変化はみられなかった。一方、IAPP 9AプローブまたはIAPP 8Aプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められなかった。
以上のことから、RNA部が1プリン塩基からなるキメラプローブでもリアルタイムにアミリン遺伝子の変異を検出できることを確認した。
実施例2 膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質遺伝子のPCR SNPs検出
検討対象は、実施例1と同じく膵臓ランゲルハンス島アミロイドタンパク質をコードしているアミリン遺伝子を選択した。
まず、PCR反応系でこのアミリン遺伝子の変異を検出するために、配列番号9および10記載の塩基配列をもつIAPP−Fプライマー、IAPP−RプライマーをDNA合成機(アプライド・バイオシステムズ社製)により合成した。次に配列番号11、12、21及び22記載の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチド、正常型検出用IAPP 9A FAMプローブ及びIAPP 8A FAMプローブならびに変異型検出用IAPP 9G ROXプローブ及びIAPP 8G ROXプローブをDNA合成機にて調製した。また、正常型検出用IAPP 9A FAMプローブ及びIAPP 8A FAMプローブは、5’末端に蛍光標識として6−FAM、3’末端にクエンチング標識としてDABCYLを、一方、変異型検出用IAPP 9G ROXプローブ及びIAPP 8G ROXプローブは、5’末端に蛍光標識としてROX、3’末端にクエンチング標識としてDABCYLを付加したDNA−RNA−DNAタイプのオリゴヌクレオチドプローブである。
また、それぞれ配列表の配列番号5および6記載の600bpの塩基を有するフラグメントを常法により調製し、それぞれをpGEM−T EASY vector(プロメガ社製)にサブクローニングした。該プラスミドは、正常型陽性コントロール(配列番号5)ならびに変異型陽性コントロール(配列番号6)として用いた。当該陽性コントロールは1μlあたり10コピー濃度となるように調製した。従って、上記コントロールを1μl用いると一反応あたり10コピーとなる。
PCR反応の反応条件は以下の通りである。すなわち、TaKaRa ExTaq R−PCR ver.(タカラバイオ社製)を使用し、最終濃度1×R−PCRバッファー、各300μM dNTPs、3mMマグネシウム溶液、1.25U ExTaq R−PCR ver.、100U Tli RNaseHII、各10pmolのIAPP−FプライマーおよびIAPP−Rプライマー対、5pmolのIAPP 9A FAMプローブ又はIAPP 8A FAMプローブ、5pmolのIAPP 9G ROXプローブ又はIAPP 8G ROXプローブ、鋳型となる核酸として各陽性コントロール1μlを添加し、滅菌水にて最終容量25μlにした。該反応液をスマートサイクラー(タカラバイオ社製)にセットし、95℃、10秒のあと、95℃、5秒、60℃、15秒、72℃、15秒のサイクルを50サイクル繰り返した。なお、蛍光強度の測定は、60℃、15秒のステップのところで行った。
その結果、鋳型として正常型陽性コントロールを用いた場合、IAPP 9A FAMプローブ又はIAPP 8A FAMプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、IAPP 9G ROXプローブ又はIAPP 8G ROXプローブ由来のROX蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。また、鋳型として変異型陽性コントロールを用いた場合、IAPP 9G ROXプローブ又はIAPP 8G ROXプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、IAPP 9A FAMプローブ又はIAPP 8A FAMプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。
さらに、鋳型として正常型陽性コントロールと変異型陽性コントロールを等量混合したものをヘテロタイプのモデル系として用いた場合、IAPP 9A FAMプローブ又はIAPP 8A FAMプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。また、IAPP 9G ROXプローブ又はIAPP 8G ROXプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加も認められた。
以上のことから、本発明の方法は、リアルタイムPCR反応系において、正常型、変異型2種類の両端標識キメラプローブを組み合わせることにより、アミリン遺伝子の一塩基変異を検出できることを確認した。
実施例3 アルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子のICAN SNPs検出の検討
(1)モデル系での検出
キメラプローブを併用したリアルタイムICAN反応系でのSNPs検出方法を検討した。検討対象としては、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2酵素をコードしている遺伝子を選択した。該遺伝子においてエキソン12には487番目のグルタミン酸(GAA)がリジン(AAA)に置換する一塩基多型が存在し、飲酒に関連した体質の個人差に深く関係し、発ガンリスクに関与することがこれまでに報告されている。
まず、ICAN反応系でこのアルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子の変異検出を行うために、配列表の配列番号13及び14記載の塩基配列を有するICAN−ALDH2−F キメラプライマー、ICAN−ALDH2−R キメラプライマーをDNA合成機(アプライド・バイオシステム社製)により合成した。次に配列表の配列番号15及び16記載の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチド、正常型検出用ALDH2 wGプローブ及び変異型検出用ALDH2 mAプローブを合成した。また、正常型検出用ALDH2 wGは、5’末端に蛍光標識としてROX標識、3’末端にクエンチング標識としてEclipseを、一方、変異型検出用ALDH2 mAプローブは、5’末端にクエンチング標識としてEclipseを12塩基と13塩基の間に蛍光としてFAMを付加したDNA−RNA−DNAタイプのオリゴヌクレオチドプローブである。
またそれぞれ配列表の配列番号17及び18記載の215bpの塩基配列を有するフラグメントを常法により調製し、それぞれをp−GEM EASY vector(プロメガ社製)にサブクローニングした。該プラスミドは、正常型陽性コントロール(配列番号17)ならびに変異型陽性コントロール(配列番号18)として用いた。当該当陽性コントロールは、1μlあたり2×10コピー濃度になるように調製した。従って、上記コントロールを5μl用いると10コピーになる。
ICAN反応の反応条件は以下の通りである。すなわち、最終濃度32mM ヘペス−KOHバッファー、pH7.8、100mM 酢酸カリウム、5mM 酢酸マグネシウム、1% ジメチルスルホキシド、0.04% プロピレンジアミン、0.1M ベタイン、0.11% ウシ血清アルブミン、各600μM dNTPs、4U BcaBEST DNAポリメラーゼ、100U Tli RNaseHII、各50pmolのICAN−ALDH2−FキメラプライマーおよびICAN−ALDH2−Rキメラプライマー対、5pmol ALDH2 wGプローブ、7.5pmol ALDH2 mAプローブ、鋳型となる核酸として各陽性コントロール5μlを添加し、滅菌水にて最終容量25μlにした。該反応液をスマートサイクラー(タカラバイオ社製)にセットし、70℃、5分処理したあと、58℃、25分、続いて50℃、20分温度を保持した。なお、蛍光強度の測定は、58℃、50℃で保持しているときに、各1分ごとに測定した。
その結果、鋳型として正常型陽性コントロールを用いた場合、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。また、鋳型として変異型陽性コントロールを用いた場合、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。さらに、鋳型として正常型陽性コントロールと変異型陽性コントロールを等量混和したものをヘテロタイプのモデル系として用いた場合、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。また、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加も認められた。
以上のことから、リアルタイムICAN反応系において、正常型および/または変異型の2種類の両端標識キメラプローブを組み合わせることにより、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子の一塩基多型を識別できることが確認された。
(2)ゲノムDNAにおける検出
ヒトゲノムDNAを鋳型とした場合のリアルタイムICAN反応系でのSNPs検出方法について検討した。鋳型となる核酸は、インフォームドコンセントの上で提供された口腔内粘膜細胞および血液サンプルより、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)を用いて調製した。一反応あたり50ngの調製したゲノムDNAを用いる以外は、実施例3−(1)記載の反応条件と同じで行った。
また、同時に配列番号19および20で示されるALDH2−FプライマーおよびALDH2−Rプライマーのプライマー対を用いて次の条件でPCRを行い、得られた増幅産物をMicrocon−30(ミリポア社)で精製した後Eco57Iで消化し、3% NuSieve3:1アガロールゲル電気泳動を行い、RFLPによるタイピングも行った。
PCRは、TaKaRa ExTaq(タカラバイオ社製)を用いて行った。すなわち、最終濃度1×ExTaqバッファー、各200μM dNTPs、1.25U ExTaq、各10pmolのALDH2−FプライマーおよびALDH2−Rプライマー対、鋳型となる核酸として調製したヒトゲノムDNA 5μlを添加し、滅菌水にて最終容量50μlにした。該反応液をサーマルサイクラーSP(タカラバイオ社製)にセットし、94℃、30秒のあと、94℃、30秒、55℃、30秒、72℃、30秒のサイクルを30サイクル繰り返した。
Eco 57Iは、CTGAAGを認識する制限酵素であり、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2の正常型由来の増幅産物を切断するが、変異型由来の増幅産物は切断しない。
その結果、Eco 57IでのRFLPにおいて増幅産物が切断されたことによる二本のフラグメントが観察された、すなわち正常型のホモ接合体と考えられるゲノムDNAサンプルではALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。Eco 57IでのRFLPにおいて増幅産物が切断されたものと、切断されなかったものの三本のフラグメントが観察された、すなわちヘテロ接合体と考えられるゲノムDNAサンプルでは、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。また、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加も認められた。Eco 57IでのRFLPにおいて、増幅産物が切断されずに一本のフラグメントが観察された、すなわち変異型のホモ接合体と考えられるゲノムDNAサンプルではALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。
以上のように、本発明の方法による結果は、従来法のRFLP法による結果と一致するものであることが確認された。
実施例4 アルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子のPCR SNPs検出の検討
(1)モデル系での検出
本発明のキメラプローブを併用したリアルタイムPCR反応系でのSNPs検出方法を検討した。検討対象は、実施例3と同じくアルデヒドデヒドロゲナーゼ2酵素をコードしている遺伝子を選択した。
まず、PCR反応系でこのアルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子の変異検出を行うために、配列表の配列番号19及び20記載の塩基配列を有するALDH2−Fプライマー、ALDH2−RプライマーをDNA合成機(アプライド・バイオシステム社製)により合成した。次に配列表の配列番号15及び16記載の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチド、正常型検出用ALDH2 wGプローブ及び変異型検出用ALDH2 mAプローブを合成した。また、正常型検出用ALDH2 wGは、5’末端に蛍光標識としてROX標識、3’末端にクエンチング標識としてEclipseを、一方、変異型検出用ALDH2 mAプローブは、5’末端にクエンチング標識としてEclipseを12塩基と13塩基の間に蛍光としてFAMを付加したDNA−RNA−DNAタイプのオリゴヌクレオチドプローブである。
またそれぞれ配列表の配列番号17及び18記載の215bpの塩基配列を有するフラグメントを常法により調製し、それぞれをp−GEM EASY vector(プロメガ社製)にサブクローニングした。該プラスミドは、正常型陽性コントロール(配列番号17)ならびに変異型陽性コントロール(配列番号18)として用いた。当該当陽性コントロールは、1μlあたり2×10コピー濃度になるように調製した。従って、上記コントロールを5μl用いると10コピーになる。
PCR反応の反応条件は以下の通りである。すなわち、TaKaRa ExTaq R−PCR ver.(タカラバイオ社製)を使用し、最終濃度1×R−PCRバッファー、各300μM dNTPs、5mMマグネシウム溶液、1.25U ExTaq R−PCR ver.、100U Tli RNaseHII、各10pmolのALDH2−FプライマーおよびALDH2−Rプライマー対、5pmol ALDH2 wGプローブ、20pmol ALDH2 mAプローブ、鋳型となる核酸として各陽性コントロール5μlを添加し、滅菌水にて最終容量25μlにした。該反応液をスマートサイクラー(タカラバイオ社製)にセットし、95℃、10秒のあと、95℃、5秒、53℃、15秒、72℃、15秒のサイクルを45サイクル繰り返した。なお、蛍光強度の測定は、53℃、15秒のステップのところで行った。
その結果、鋳型として正常型陽性コントロールを用いた場合、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。また、鋳型として変異型陽性コントロールを用いた場合、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。さらに、鋳型として正常型陽性コントロールと変異型陽性コントロールを等量混和したものをヘテロタイプのモデル系として用いた場合、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。また、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加も認められた。
以上のことから、本発明の方法は、リアルタイムPCR反応系において、正常型および/または変異型の2種類の両端標識キメラプローブを組み合わせることにより、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子の一塩基多型を識別できることが確認された。
(2)ゲノムDNAにおける検出
ヒトゲノムDNAを鋳型とした場合のリアルタイムPCR反応系でのSNPs検出方法について検討した。鋳型となる核酸は、インフォームドコンセントの上で提供された口腔内粘膜細胞および血液サンプルより、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)を用いて調製した。一反応あたり50ngの調製したゲノムDNAを用いる以外は、実施例4−(1)記載の反応条件と同じで行った。また、同時にALDH2−FプライマーおよびALDH2−Rプライマーのプライマー対で得られた増幅産物をMicrocon−30(ミリポア社)で精製した後Eco 57Iで消化し、3% NuSieve3:1アガロールゲル電気泳動を行い、RFLPによるタイピングも行った。Eco 57Iは、CTGAAGを認識する制限酵素であり、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2の正常型由来の増幅産物を切断するが、変異型由来の増幅産物は切断しない。
その結果、Eco 57IでのRFLPにおいて増幅産物が切断されたことによる二本のフラグメントが観察された、すなわち正常型のホモ接合体と考えられるゲノムDNAサンプルではALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。Eco 57IでのRFLPにおいて増幅産物が切断されたものと、切断されなかったものの三本のフラグメントが観察された、すなわちヘテロ接合体と考えられるゲノムDNAサンプルでは、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの大きな増加が認められた。また、ALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加も認められた。Eco 57IでのRFLPにおいて、増幅産物が切断されずに一本のフラグメントが観察された、すなわち変異型のホモ接合体と考えられるゲノムDNAサンプルではALDH2 mAプローブ由来の6−FAM蛍光シグナルの大きな増加が認められた。一方、ALDH2 wGプローブ由来のROX蛍光シグナルの増加はほとんど認められなかった。
以上のように、本発明の方法による結果は、従来法のRFLP法による結果と一致するものであることが確認された。
産業上の利用の可能性
本発明の塩基置換の検出方法は、天然に存在する、あるいは人為的に導入された塩基置換の検出に有用である。
本発明によれば、標的核酸上の塩基置換の有無を簡便、かつ再現性よくしかも高感度で検出することができる。また、本発明は、多型やバリエーションのような生物のゲノムDNA上に生じた塩基置換、例えばSNPの検出、同定に使用することができ、ヒトにおける疾患遺伝子の検索、薬剤感受性の解析など、ゲノム創薬、ゲノム医療の分野においても有用である。
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【配列表】
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Claims (6)

  1. ポリメラーゼ連鎖反応法を用いた標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出する方法であって、下記成分を含有する組成物をインキュベートし、反応中の該組成物を直接観察することによって該組成物中のプローブの切断の有無を検出する工程を包含することを特徴とする塩基置換の検出方法:
    (a)標的核酸、
    (b)デオキシリボヌクレオチドを含有し、標的核酸上の特定の塩基を含む領域を増幅できることを特徴とする、少なくとも2種類のDNAオリゴヌクレオチドプライマー、
    (c)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じて耐熱性リボヌクレアーゼHによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブであって、耐熱性DNAポリメラーゼの5'→3'エキソヌクレアーゼ活性により切断を受けず、かつ蛍光物質と該蛍光物質の発する蛍光を消光する作用を有する物質の両者で標識されたプローブ、
    (d)耐熱性DNAポリメラーゼ、および
    (e)Tli RNaseHIIである耐熱性リボヌクレアーゼH。
  2. DNAオリゴヌクレオチドプライマーの少なくとも1つが標的核酸上の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的である、請求項1記載の検出方法。
  3. 請求項1記載の検出方法のための組成物であって、
    (a)デオキシリボヌクレオチドを含有し、標的核酸上の特定の塩基を含む領域を増幅できることを特徴とする、少なくとも2種類のDNAオリゴヌクレオチドプライマー、
    (b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じて耐熱性リボヌクレアーゼHによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブであって、耐熱性DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により切断を受けず、かつ蛍光物質と該蛍光物質の発する蛍光を消光する作用を有する物質の両者で標識されたプローブ、
    (c)耐熱性DNAポリメラーゼ、および
    (d)Tli RNaseHIIである耐熱性リボヌクレアーゼH、
    を含有する組成物。
  4. DNAオリゴヌクレオチドプライマーの少なくとも1つが標的核酸上の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的である、請求項3記載の組成物。
  5. 請求項1記載の検出方法のためのキットであって、
    (a)デオキシリボヌクレオチドを含有し、標的核酸上の特定の塩基を含む領域を増幅できることを特徴とする、少なくとも2種類のDNAオリゴヌクレオチドプライマー、
    (b)標的核酸上の前記特定の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ、かつ前記特定の塩基の種類に応じて耐熱性リボヌクレアーゼHによる切断を受けるか、もしくは切断を受けないプローブであって、耐熱性DNAポリメラーゼの5'→3'エキソヌクレアーゼ活性により切断を受けず、かつ蛍光物質と該蛍光物質の発する蛍光を消光する作用を有する物質の両者で標識されたプローブ、
    (c)耐熱性DNAポリメラーゼ、
    (d)Tli RNaseHIIである耐熱性リボヌクレアーゼH、および
    (e)dNTP、
    を含有するキット。
  6. DNAオリゴヌクレオチドプライマーの少なくとも1つが標的核酸上の前記特定の塩基の3’末端側の塩基配列に実質的に相補的である、請求項5記載のキット。
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