JP4022327B2 - 合成樹脂の射出成形品よりなる筒体及びその製造方法及びその装置 - Google Patents

合成樹脂の射出成形品よりなる筒体及びその製造方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線巻きドラムのような大型の合成樹脂の射出成形品よりなる筒体及びその製造方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から合成樹脂の射出成形品よりなる大型の筒体として実公昭56−29330号公報に示される電線巻きドラムが提案されている。
【0003】
この従来の電線巻きドラムは外周面を筒体の外径が軸方向の各部において同一で筒体の外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となっていることが必要である。仮に、筒体の外径が軸方向の各部において異なっていて筒体の外面が軸方向に傾斜していると、電線をスムーズに且つ均一に巻き付けることができず片寄った巻体となるという問題がある。このため、従来大型の筒体を射出成形により成形する場合、製造する筒体の外周部に軸方向の抜き勾配を取るような製造方法を採用すると、製造された大型の筒体の外面が軸方向に傾斜するため、抜き勾配を取るような製造方法が採用できない。そこで、固定金型と、筒状型を2つ割りしたスライドコアと、移動金型とを型締めしてキャビティ内に合成樹脂を射出して筒体を形成することが考えられる。断面半円状の一対のスライドコアは割り面が垂直となるように固定金型に対してアンギュラーピンによりスライド自在に取付け、固定金型、一対のスライドコア、移動金型を型締めし、その後、キャビティ内に合成樹脂を射出した後、移動金型を型開きしながら成形された筒体を移動金型と共に固定金型から引き離す際に、2つ割りしたスライドコアを型開きすることで、成形される筒体の外周面に軸方向に抜き勾配を取ることなく型開きできて、外径が軸方向の各部において同じとなった筒体を射出成形により形成することが可能となるものである。
【0004】
ところが、スライドコアを型開きしながら成形された筒体を移動金型と共に固定金型から引き離す際に、大型の筒体を形成するためスライドコアは大型で重量が重く、このため、アンギュラ―ピンにより固定金型に片持状に支持した状態で型開きすると、大型で重量の重いスライドコアの先端が下方に僅かに垂れるようになり、本来ならば型開きにより成形された筒体の外面から離れるべき断面半円状のスライドコアの固定金型と反対側の先端面の上端部のエッジ(先端面と割り面とのなす角部)が成形された筒体に接する場合がある。この場合には筒体を移動金型と共に固定金型から引き離すと上記スライドコアの先端面のエッジに筒体が当接した状態のまま筒体が移動させられ、この際エッジにより筒体の外面に線状の引っ掻き傷が出来てしまう。
【0005】
このように筒体の外面に線状の引っ掻き傷ができると、電線を巻いた場合、電線の外皮が引っ掻き傷により生じた溝条に食い込んで、均一な巻き付けが出来にくくなり、また、電線の外皮を傷付けるおそれがあるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、外径が軸方向の各部において同じであるにもかかわらず外面に引っ掻き傷がない大型の合成樹脂の射出成形品を提供することを課題とし、また、別な課題は上記のような合成樹脂の射出成形品を簡単な方法及び装置で正確に製造することができる製造方法及びその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、固定金型5と、該固定金型5にアンギュラーピン9によりスライド自在に取付けられた2つ割りした一対の断面半円状のスライドコア2よりなる筒状型8と、移動金型6とを型締めしてキャビティ7内に合成樹脂を射出して形成された合成樹脂の射出成形品よりなる筒体1であって、筒体1の外径が軸方向の各部において同一で筒体1の外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となり、筒体1の外面の軸方向の端部に、筒体の外面を形成する上記固定金型5にアンギュラーピン9によりスライド自在に設けられた一対のスライドコア2の固定金型5と反対側の先端面部の上端に両スライドコア2の割り面2aにまたがって形成された微小突起形成用の凹所3により成形された微小突起4を一体に設けていることを特徴とするものである。このような構成とすることで、射出成形により形成された筒体1の外面が筒体1の外径が軸方向の各部において同一で筒体1の外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となっていることで、電線巻きドラムなどとして使用しても、正確に電線を巻き付けることができるものであり、また、筒体1の外面の軸方向の端部に、筒体の外面を形成する上記固定金型5にアンギュラーピン9によりスライド自在に設けられた一対のスライドコア2の固定金型5と反対側の先端面部の上端に両スライドコア2の割り面2aにまたがって形成された微小突起形成用の凹所3により成形された微小突起4を一体に設けてあることで、微小突起4を形成することで、スライドコア2の軸方向における端部のエッジ部分が型開きにより筒体1を移動する時に筒体1の微小突起4部分以外の部分に当らないような構造に筒体1を構成でき、この結果、外面に型開き時にエッジによる引っ掻き傷が生じていない綺麗な筒体を提供できるものである。
【0008】
また、本発明の合成樹脂の射出成形品よりなる筒体1の製造方法は、固定金型5と、2つ割りした一対のスライドコア2よりなる筒状型8と、移動金型6とを型締めしてキャビティ7内に合成樹脂を射出して筒体1を形成する製造方法であって、筒体1の外周面を形成するための内径が軸方向の各部において同一となった筒状型8を軸と直交方向に半割した一対の断面半円状のスライドコア2で形成し、この一対の断面半円状のスライドコア2を割り面2aが垂直となるように固定金型5に対してアンギュラーピンによりスライド自在に取付け、その一対のスライドコア2のスライドが型締め時には断面半円状の一対のスライドコア2により円筒型を形成するように割り面2aが当接され且つ型開き時には一対のスライドコア2の割り面2aが離れる方向に移動するように設定し、一対のスライドコア2の固定金型5と反対側の先端面部の上端に両スライドコア2にわたって割り面2aに連続する微小突起形成用の凹所3を形成し、キャビティ7内に合成樹脂を射出した後、移動金型6を型開きしながら成形された筒体1を移動金型6と共に固定金型5から引き離す際に、先端面部の上端部に微小突起形成用の凹所3を形成した2つ割りしたスライドコア2を型開きすることを特徴とするものである。このような方法を採用することで、移動金型6を型開きしながら成形された筒体1を移動金型6と共に固定金型5から引き離す際に固定金型5に対してアンギュラーピンによりスライド自在に取付けた一対のスライドコア2の割り面2aの固定金型5と反対側の端面の上端部の割り面2aとなすエッジ(つまり微小突起形成用凹所3の先端のエッジ)が筒体1に当接するとしても微小突起形成用凹所3により形成された筒体1の軸方向の端部の上端の微小突起4の上面の先端にのみ当接し、筒体1の外面の他の部位には当らず、したがって、筒体1を固定金型5に対して移動して引き離す際に、筒体1の外面に上記エッジによる引っ掻き傷が生じないように製造できるものである。
【0009】
また、本発明の射出成形品よりなる筒体1を製造するための装置は、固定金型5と、2つ割した一対のスライドコア2よりなる筒状型8と、移動金型6とを型締めしてキャビティ7内に合成樹脂を射出して筒体1を形成するための装置であって、型締め状態で軸方向の両端部が固定金型5と移動金型6とに当接して製造される筒体1の外周面を形成するための内径が軸方向の各部において同一となった筒状型8を一対の断面半円状のスライドコア2で形成し、この一対の断面半円状の一対のスライドコア2を割り面2aが垂直となるように固定金型5に対してアンギュラーピン9によりスライド自在に取付け、一対のスライドコア2のスライドが型締め時には断面半円状の一対のスライドコア2により円筒型を形成するように割り面2aが当接され且つ型開き時には一対のスライドコア2の割り面2aが離れる方向に移動するように設定し、一対のスライドコア2の固定金型5と反対側の先端面部の上端に両スライドコア2にわたって割り面2aに連続する微小突起形成用の凹所3を形成して成ることを特徴とするものである。このような構成とすることで、請求項1における外径が軸方向の各部において同一で且つ外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となり且つ外面に引っ掻き傷跡がない合成樹脂射出成形品よりなる筒体を製造することができる装置を提供することができるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1乃至図12には本発明の大型の筒体1を製造するための装置が示してある。この装置は固定金型5と、2つ割りした一対のスライドコア2よりなる筒状型8と、移動金型6とにより構成してある。
【0012】
固定金型5は図1乃至図3、図7、図8、図9等に示すように、固定基盤10の垂直面11に固定側中型部12を突設し、固定基盤10の垂直面11には更に上記固定側中型部12の外周に隙間14を介して外周枠13が固定側中型部12と同心状に突設してある。固定側中型部12の外面は突出先端側に行くほど径が小さくなるように抜き勾配を形成して離型しやすくしてある。外周枠13は内周面が多角形状をしており、この内周面は軸方向には垂直面11側が小径となるように傾斜した傾斜面となっている。
【0013】
固定金型5の上記固定側中型部12の外面と外周枠13の内面との間の隙間14には2つ割りした一対の断面半円状のスライドコア2よりなる筒状型8の端部が差し込まれた状態で配設してある。筒状型8は成形される筒体1の外面を形成するためのものであり、筒状体8の内径は軸方向の各部において同一となっている。この筒状型8は半割した一対の断面半円状のスライドコア2により構成してある。図2、図7、図8に示すように、固定基盤10の垂直面11には上記隙間14部分において左側半部の上部と下部、右側半部の上部と下部とにそれぞれ上下一対となったアンギュラ―ピン9が突設してある。このアンギュラ―ピン9は水平姿勢となっており、且つ、平面視でアンギュラ―ピン9が先端側程外側となるように傾斜姿勢となっている。一対の断面半円状のスライドコア2の軸方向の端面部には平面視で外側に傾斜した水平なスライド孔16が上下に設けてあり、左右のスライドコア2のスライド孔16をそれぞれ左右のアンギュラ―ピン9にスライド自在に嵌め込んである。
【0014】
また、図3に示すように、固定基盤10の垂直面11の左右部には左右のアンギュラ―ピン9にそれぞれ平行にピン17が突設してあり、ピン17にはコイルスプリング18が外装してあり、また、ピン17の軸方向の略中間分にはピン17に直交してストッパ19が突設してあり、更に、ピン17にはブッシュ21がスライド自在に被嵌してあり、ブッシュ21の割り溝22内に上記ストッパ19がスライド自在にはめ込んである。左右のスライドコア2にはそれぞれ左右のスライド孔16と平行な孔20が設けてあり、この孔20にピン17が挿通してあって、ブッシュ21部分がスライド自在に嵌め込んである。また、ピン17の先端部は孔20の細径部23をスライド自在に挿通してその最先端部に止め金36が設けてある。
【0015】
そして、スライドコア2を固定金型5側に押し付ける力が加わった場合(つまり後述の移動金型6によりスライドコア2を固定金型5側に押して型締めした場合)はストッパ19がブッシュ21の割り溝22の奥に当接した状態でコイルスプリング18がブッシュ21の端面により押圧されて圧縮されている。この状態で一対のスライドコア2の固定金型2側の端面が固定金型5の垂直面11に当接すると共に一対のスライドコア2の割り面2a同士が当接するようになっている。一方、スライドコア2を固定金型5に対して押しつける力が解除されると、コイルスプリング18のばね力で左右のスライドコア2がそれぞれ割り面2a同士が離れる方向に移動して型開きし、コイルスプリング18がストッパ19に当るまで移動した時点で移動を停止するようになっている。つまり、ストッパ19が移動する割り溝22の長さがスライドコア2のスライドストロークを規制しているものである。
【0016】
上記のように割り面2aが垂直となるように固定金型5に対してスライド自在に取付けられた一対の断面半円状のスライドコア2の固定金型5と反対側の先端面部の上端に両スライドコア2にわたって割り面2aに連続する微小突起形成用の凹所3が形成してある(図1、図9、図10等参照)。
【0017】
図1乃至図3に示すように、移動金型6は移動基盤24の垂直面25に移動側中型部26を突設し、移動基盤24の垂直面25には更に上記移動側中型部26の外周に隙間27を介して外周枠28が移動側中型部26と同心状に突設してある。移動側中型部26の外面は突出先端側に行くほど径が小さくなるように抜き勾配を形成しし、離型しやすくしてある。外周枠28は内周面が多角形状をしており、この内周面は軸方向には垂直面25側が小径となるように傾斜した傾斜面となっている。
【0018】
移動金型6は固定金型5に対して移動自在となっており、移動金型6を固定金型5に対して型締めした状態で移動側中型部26と固定側中型部12との先端面同士が当接し、この当接部分に成形される筒体1の内部の中間部分の中枠部29を形成するための中枠形成用キャビティ部7aが形成されることになる。また、型締めすると移動金型6が一対のスライドコア2を固定金型5側に押してコイルスプリング18のばね力に抗して一対のスライドコア2の固定金型2側の端面が固定金型5の垂直面11に当接され、同時に一対のスライドコア2の割り面2a同士が当接して一対のスライドコア2により筒状型8が形成され、固定金型5の垂直面11と移動金型6の垂直面25との間において筒状型8により固定側中型部12と移動側中型部26との外周部を覆い、一対のスライドコア2よりなる筒状型8の内周面と固定側中型部12及び移動側中型部26の外周面との間に筒体1の主体部を形成するための筒状キャビティ部7bが形成してある。
【0019】
上記のようにして型締めした状態で、中枠形成用キャビティ部7aと筒状キャビティ部7bとよりなるキャビティ7に固定金型5に設けたゲート孔35から合成樹脂を射出して筒体1を成形する。成形後、型開きをして筒体1を取り出すのであるが、この場合、固定金型5に対して移動金型6を移動すると、移動金型6の移動の初期には一対のスライドコア2の移動金型6による押し付け力が解除されるので、同時に一対のスライドコア2がコイルスプリング18により押されて割り面2a同士が互いに離れる方向にスライドして型開きし、一対のスライドコア2が一定のストロークだけスライドして停止する。その後、移動金型6を引き続き移動して成形された筒体1を移動金型6と共に固定金型5から引き離すものである。
【0020】
ここで、一対のスライドコア2を型開きしながら成形された筒体1を移動金型6と共に固定金型5から引き離す際に、大型の筒体1を形成するためスライドコア2は大型で重量が重く、このため、アンギュラ―ピン9により固定金型5に片持状に支持した状態で型開きすると、大型で重量の重いスライドコア2の先端が下方に僅かに下降するようになり、本来ならば型開きにより成形された筒体1の外面から離れるべき断面半円状のスライドコア2の固定金型5と反対側の先端面の上端部のエッジ(先端面と割り面とのなす角部)が成形された筒体1に接することがあるが、本発明においては、断面半円状のスライドコア2の固定金型5と反対側の先端面の上端部のエッジ部分(先端面と割り面2aとのなす角部部分)には上記のように両スライドコア2の割り面2aにわたって形成した微小突起形成用凹所3が形成してあり、微小突起形成用凹所3の先端のエッジが筒体1に当接することがあったとしても微小突起形成用凹所3により形成された筒体1の軸方向の端部の上端の微小突起4の上面の先端にのみ当接することになる。したがって、この状態で、移動金型6を移動して筒体1を引き離しても、微小突起形成用凹所3の先端のエッジが筒体1の外面の他の部位には当らず、したがって、筒体1を固定金型5に対して移動して引き離す際に、筒体1の外面に上記エッジによる引っ掻き傷が生じないように製造されることになる。
【0021】
このようにして、製造した合成樹脂製の射出成形品よりなる筒体1は、図13に示すようなもので、外径が軸方向の各部において同一で筒体1の外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となっており、また、筒体1の外面の軸方向の端部に、筒体1の外面を形成する一対のスライドコア2の割り面2aにまたがる微小突起形成用の凹所3により成形された微小突起4を一体に設けたものとなっている。そして、筒体1の外面を形成する一対のスライドコア2の割り面2aにまたがる微小突起形成用の凹所3により成形された微小突起4を一体に設けることで、筒体1の外面にスライドコア2のエッジによる引っ掻き傷のなく外径が軸方向の各部において同一となった合成樹脂の射出成形品よりなる筒体1を製造することができるものである。なお、大型の筒体1のサイズの一例を挙げると、例えば、直径が500mm、長さが600mmである。もちろんこの数値にのみ限定されるものではない。
【0022】
上記のようにして成形した合成樹脂製の大型の筒体1は例えば、電線巻きドラムとして用いるものである。図14には電線巻きドラムAが示してあり、合成樹脂製の一対のフランジ材31の内面部に筒体1嵌め込み凹所32を形成し、この筒体嵌め込み凹所32に上記筒体1の端部を嵌め込むことで一対のフランジ材31間に筒体1を架設し、この状態で、両フランジ材31にわたって長尺のボルト33を挿入してナットにより締め付けて固定することで筒体1を架設した状態で両フランジ材31を固定して電線巻きドラムAを形成するものである。このようにして形成した電線巻きドラムAは胴部を構成する筒体1の外周面が軸方向における各部の径が同じで軸に対して傾斜せず、しかも離型時にスライドコア2のエッジによる引っ掻き傷がないので、電線を均一に巻き付けることができるものである。また、スライドコア2のエッジにより引っ掻き傷が生じないように特別に形成される微小突起4は上記のように筒体1の端部がフランジ材31の筒体嵌め込み凹所32に嵌め込まれるので、微小突起4が筒体嵌め込み凹所32内に隠れ、したがって、電線を巻きつける面には微小突起4が露出せず、電線の巻き付けに微小突起4が影響を与えることがないものである。
【0023】
上記実施形態においては、外径が軸方向の各部において同一で且つ外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となり且つ外面に引っ掻き傷跡がない合成樹脂射出成形品よりなる筒体1を電線巻きドラムAは胴部として用いた例を示したが、本発明の方法、装置により製造して得た筒体1は大径の排水管などにおける管継手等としても使用することができるものであり、もちろん筒体1の内部に中枠は形成しないものである。
【0024】
【発明の効果】
上記の請求項1記載の本発明にあっては、固定金型と、該固定金型にアンギュラーピンによりスライド自在に取付けられた2つ割りした一対の断面半円状のスライドコアよりなる筒状型と、移動金型とを型締めしてキャビティ内に合成樹脂を射出して形成された合成樹脂の射出成形品よりなる筒体であって、筒体の外径が軸方向の各部において同一で筒体の外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となり、筒体の外面の軸方向の端部に、筒体の外面を形成する上記固定金型にアンギュラーピンによりスライド自在に設けられた一対のスライドコアの固定金型と反対側の先端面部の上端に両スライドコアの割り面にまたがって形成された微小突起形成用の凹所により成形された微小突起を一体に設けてあるので、外周面が軸方向に傾斜しておらず、電線巻きドラムの胴部となどとして使用しても、均一に電線を巻き付けることができるものであり、また、筒体の外面の軸方向の端部に、筒体の外面を形成する上記固定金型にアンギュラーピンによりスライド自在に設けられた一対のスライドコアの固定金型と反対側の先端面部の上端に両スライドコアの割り面にまたがって形成された微小突起形成用の凹所により成形された微小突起を一体に設けてあるので、微小突起を形成することで、スライドコアの軸方向における端部のエッジ部分が型開きにより筒体を移動する時に筒体の微小突起部分以外の部分に当らないような構造に筒体を構成できるものであり、この結果、外面に型開き時にエッジによる引っ掻き傷が生じない外面部が綺麗な筒体を提供できるものである。
【0025】
また、請求項2記載の発明にあっては、筒体の外周面を形成するための内径が軸方向の各部において同一となった筒状型を軸と直交方向に半割した一対の断面半円状のスライドコアで形成し、この一対の断面半円状のスライドコアを割り面が垂直となるように固定金型に対してアンギュラーピンによりスライド自在に取付け、その一対のスライドコアのスライドが型締め時には断面半円状の一対のスライドコアにより円筒型を形成するように割り面が当接され且つ型開き時には一対のスライドコアの割り面が離れる方向に移動するように設定し、一対のスライドコアの固定金型と反対側の先端面部の上端に両スライドコアにわたって割り面に連続する微小突起形成用の凹所を形成し、キャビティ内に合成樹脂を射出した後、移動金型を型開きしながら成形された筒体を移動金型と共に固定金型から引き離す際に、先端面部の上端部に微小突起形成用の凹所を形成した2つ割りしたスライドコアを型開きするので、移動金型を型開きしながら成形された筒体を移動金型と共に固定金型から引き離す際に固定金型に対してアンギュラーピンによりスライド自在に取付けた一対のスライドコアの割り面の固定金型と反対側の端面の上端部の割り面となすエッジ(つまり微小突起形成用凹所の先端のエッジ)が筒体に当接するとしても微小突起形成用凹所により形成された筒体の軸方向の端部の上端の微小突起の上面の先端にのみ当接し、筒体の外面の他の部位には当らず、したがって、筒体を固定金型に対して移動して引き離す際に、筒体の外面に上記エッジによる引っ掻き傷が生じないように製造できるものであり、この結果、本発明の製造方法によれば、外径が軸方向の各部において同一で且つ外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となり且つ外面に引っ掻き傷跡がない合成樹脂射出成形品よりなる筒体を簡単且つ確実に製造することができるものである。
【0026】
また、請求項3記載の発明にあっては、型締め状態で軸方向の両端部が固定金型と移動金型とに当接して製造される筒体の外周面を形成するための内径が軸方向の各部において同一となった筒状型を一対の断面半円状のスライドコアで形成し、この一対の断面半円状の一対のスライドコアを割り面が垂直となるように固定金型に対してアンギュラーピンによりスライド自在に取付け、一対のスライドコアのスライドが型締め時には断面半円状の一対のスライドコアにより円筒型を形成するように割り面が当接され且つ型開き時には一対のスライドコアの割り面が離れる方向に移動するように設定し、一対のスライドコアの固定金型と反対側の先端面部の上端に両スライドコアにわたって割り面に連続する微小突起形成用の凹所を形成するので、外径が軸方向の各部において同一で且つ外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となり且つ外面に引っ掻き傷跡がない合成樹脂射出成形品よりなる筒体を製造することができる装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の縦断面図である。
【図2】同上のアンギュラ―ピン部分で断面した横断面図である。
【図3】同上のピン部分で断面した横断面図である。
【図4】同上の型締め状態における微小突起形成用の凹所部分の拡大断面図である。
【図5】同上の装置の型締め状態の固定金型側から見た斜視図である。
【図6】同上の装置の型締め状態の移動金型側から見た斜視図である。
【図7】同上の固定金型とスライドコア(一方のスライドコアを図面上省略している)と成形された筒体とを示す斜め上方から見た一部省略斜視図である。
【図8】同上の固定金型とスライドコア(一方のスライドコアを図面上省略している)と成形された筒体とを示す斜め下方から見た一部省略斜視図である。
【図9】同上のスライドコアが型開きした状態における固定金型とスライドコア(一方のスライドコアを図面上省略している)と成形された筒体との関係を示す拡大斜視図である。
【図10】同上のスライドコアが型開きした状態におけるスライドコア(一方のスライドコアを図面上省略している)と成形された筒体との関係を示す更に拡大した拡大斜視図である。
【図11】同上の固金定型とスライドコア(一方のスライドコアを図面上省略している)と成形された筒体と移動金型を示す斜め上方から見た一部省略斜視図である。
【図12】同上の固定金型とスライドコア(一方のスライドコアを図面上省略している)と成形された筒体と移動金型を示す斜め下方から見た一部省略斜視図である。
【図13】同上により製造された筒体の一部省略断面図である。
【図14】同上により製造された筒体を用いた電線巻きドラムの一部破断した正面図である。
【符号の説明】
1 筒体
2 スライドコア
2a 割り面
3 微小突起形成用の凹所
4 微小突起
5 固定金型
6 移動金型
7 キャビティ
8 筒状型
9 アンギュラーピン

Claims (3)

  1. 固定金型と、該固定金型にアンギュラーピンによりスライド自在に取付けられた2つ割りした一対の断面半円状のスライドコアよりなる筒状型と、移動金型とを型締めしてキャビティ内に合成樹脂を射出して形成された合成樹脂の射出成形品よりなる筒体であって、筒体の外径が軸方向の各部において同一で筒体の外面が軸方向に傾斜することなく軸と平行となり、筒体の外面の軸方向の端部に、筒体の外面を形成する上記固定金型にアンギュラーピンによりスライド自在に設けられた一対のスライドコアの固定金型と反対側の先端面部の上端に両スライドコアの割り面にまたがって形成された微小突起形成用の凹所により成形された微小突起を一体に設けていることを特徴とする合成樹脂の射出成形品よりなる筒体。
  2. 固定金型と、2つ割りした一対のスライドコアよりなる筒状型と、移動金型とを型締めしてキャビティ内に合成樹脂を射出して筒体を形成する製造方法であって、筒体の外周面を形成するための内径が軸方向の各部において同一となった筒状型を軸と直交方向に半割した一対の断面半円状のスライドコアで形成し、この一対の断面半円状のスライドコアを割り面が垂直となるように固定金型に対してアンギュラーピンによりスライド自在に取付け、その一対のスライドコアのスライドが型締め時には断面半円状の一対のスライドコアにより円筒型を形成するように割り面が当接され且つ型開き時には一対のスライドコアの割り面が離れる方向に移動するように設定し、一対のスライドコアの固定金型と反対側の先端面部の上端に両スライドコアにわたって割り面に連続する微小突起形成用の凹所を形成し、キャビティ内に合成樹脂を射出した後、移動金型を型開きしながら成形された筒体を移動金型と共に固定金型から引き離す際に、先端面部の上端部に微小突起形成用の凹所を形成した2つ割りしたスライドコアを型開きすることを特徴とする合成樹脂の射出成形品よりなる筒体の製造方法。
  3. 固定金型と、2つ割りした一対のスライドコアよりなる筒状型と、移動金型とを型締めしてキャビティ内に合成樹脂を射出して筒体を形成するための装置であって、型締め状態で軸方向の両端部が固定金型と移動金型とに当接して製造される筒体の外周面を形成するための内径が軸方向の各部において同一となった筒状型を一対の断面半円状のスライドコアで形成し、この一対の断面半円状の一対のスライドコアを割り面が垂直となるように固定金型に対してアンギュラーピンによりスライド自在に取付け、一対のスライドコアのスライドが型締め時には断面半円状の一対のスライドコアにより円筒型を形成するように割り面が当接され且つ型開き時には一対のスライドコアの割り面が離れる方向に移動するように設定し、一対のスライドコアの固定金型と反対側の先端面部の上端に両スライドコアにわたって割り面に連続する微小突起形成用の凹所を形成して成ることを特徴とする合成樹脂の射出成形品よりなる筒体を製造するための装置。
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