JP4021417B2 - フィラメントから不織布を製造する方法 - Google Patents

Description

本発明は、フィラメントが水圧で強化される、フィラメント、特に熱可塑性合成樹脂のフィラメントから、不織布、特にスパンボンドウェブを製造する方法に関する。

熱可塑性合成樹脂フィラメント（以降ウェブ及び特にスパンボンドウェブと呼ぶ、）から不織布、フリース及びマットを製造することは公知である。フィラメント、通常無限長のフィラメント、すなわち理論上連続し得るものであり、このため比較的短い糸である所謂ステープルファイバーと区別できるフィラメントである、は不織ウェブを製造するように、表面上に集められ、そして、フィラメントが任意混合状又はランダムに集められた状態で貯められる。ウェブ自身は、連続的な方法で製造することができ、そして、連続フィラメント、故意に分解されないフィラメント、又は理論上連続であり、そしてこのため紡糸口金からのフィラメントの押し出しにおいて可能な限り中断がないフィラメントで構成された場合の製造物は、スパンボンドとして知られている。

表面上に集められるフィラメントは、交差点で互いに結合する傾向にある。フィラメントが集まる表面は、移動面、好ましくは、紡糸口金から降りるフィラメントのカーテンの下部を循環する無端状ベルトの表面であり得る。このフィラメントを、紡糸口金と集積表面上の間で空力で引き延ばすことができる。

フィラメント又は無限長のストランドから、水圧で強化されたスパンボンドウェブを製造することは、いわゆるメルトブロウン法における短繊維からの不織ウェブの形成と対照し得るものである。メルトブロウン法において紡糸口金から出現するストランドは、ステープルファイバーに分解され、そしてファイバーは表面上に集められる。メルトブロウン製造物は、ストランドのルーピングを極めて少量有し、そしてランナーをほとんど有していない。

従来から製造されてきたスパンボンドウェブは、メルトブロウンウェブよりもフリース性の度合いが若干少なく、そして特に強化度が多少小さいために、低い強度を有する場合がある。更に、スパンボンドウェブは、望ましい量よりも大きな摩耗量を示す。スパンボンドの場合、これらの不利を回避する試みにより、ウェブの強い水圧強化が開発されたが、これにより、特にこの製造方法に使用されるエネルギーコストに関してコスト高となり、製造速度を制限する一因となる場合がある。

［発明の目的］
このため、本発明の主目的は、上述した従来のシステムの欠点のないスパンボンドウェブの製造方法を提供することである。

更に、本発明の目的は、従来可能であったよりも、低コスト及び高い製造速度で水圧で強化されたスパンボンドを製造する方法を提供して、ストランドの効果的な結合及びそれによる強いインタールーピングと、その中での強固なランナー形成がもたらされて、ウェブのフリース特性が改善され、満足のいく水準となることにある。

本発明は、従来のシステムの欠点を排除し、そして製造速度とスパンボンドフリース又はウェブ品質を改良することも目的とする。

［発明の概要］
これらの目的及び後に明確になる他の目的は、本発明に従い、フィラメントに少なくとも１種の湿潤剤を施し、そしてこのフィラメントから製造させたスパンボンドを水圧で強化することにより達成される。

本方法は、熱可塑性合成樹脂材料のフィラメントを製造し、このように製造されたフィラメントを少なくとも１種の湿潤剤で処理し、その後、これらフィラメントから形成されたスパンボンドを水圧で強化する工程を含む。

フィラメントが、これらがスパンボンドウェブに集められる前に本発明に従った湿潤剤で処理されることが可能であるが、このフィラメントをスパンボンドウェブの一部分として扱うのは本発明の範囲である。もちろん湿潤剤での処理は、フィラメント又はスパンボンドを湿潤剤に接触させ、好ましくはウェブを形成する前又はウェブを形成した後に湿潤剤でフィラメントを被覆することを意味する。

本発明の好ましい実施の形態では、湿潤剤は少なくとも１種のテンサイド(tenside)又は界面活性剤（表面活性剤）で構成されている。このような界面活性剤は、親油性の部分と親水性の部分を有し、又は親水性の面を有する親油性であり得る。界面活性剤は、特にイオン性界面活性剤、すなわち陽イオン性又は陰イオン性界面活性剤、又はこれらの両方の混合物、又は非イオン性界面活性剤又はこれらと陽イオン又は陰イオンの界面活性剤との混合物であり得る。両性の界面活性剤も使用することができる。

湿潤剤、好ましくは、界面活性剤での処理に続き、スパンボンドウェブ又はフリースは、噴射水流を使用して水圧で強化されることができる。噴射水流は、事実上、ウェブの噴射水流ニードル、すなわち、ウェブの一方から反対に向けてフィラメントループの部分的なエントレインメント(entrainment)を形成する、細かい噴射及び／又は高速度噴射であり得る。

熱可塑化合成樹脂から形成されたフィラメントは、紡糸口金の下側のカーテンにおいて、フィラメントが不連続となり、そして分離したままとなるように冷却され得る。従って、フィラメントは、好ましくは空力で引き伸ばされ、そして集積位置を通過して連続的に移動する孔を有するベルト又は好ましくは多孔性篩いベルト、すなわち無端状ベルトの上に集められる。

ベルト下部で吸引することにより、多孔性の表面上へのフィラメントの載置を容易にするのが好ましい。吸引機は１種以上の送風機を含むことができる。その後、これにより得られるスパンウェブは、湿潤剤、好ましくは界面活性剤で処理され、水圧で強化される。

フィラメントのスパンボンドウェブへの集積後、スパンボンドウェブはカレンダーで事前圧縮され、そして前もって湿潤剤で処理されていない場合、次に湿潤剤で処理されることができる。乾燥、そして所望により、一定の成熟(ripening)又は熟成(aging)期間の後、ウェブは噴射水流のニードルに付される。

本発明の方法は、例えば、少なくとも１種の湿潤剤で処理されたスパンボンドウェブが別の層と接合され、そして結果として生じる２層の組み合わせが、水圧による強化に付されることができる、多層物又は積層物を製造するのにも使用することができる。湿潤剤で処理された別のスパンボンド層が施され、そして３層の積層物が水圧による強化に付される。

スパンボンドで接着された付加的なファイバー層は、吸湿性の、又は吸水性のファイバー、特にセルロースファイバーである。この場合、親水性のファイバーが、湿潤剤又は界面活性剤で処理された層の間に挟まれる。

乾燥し又は乾燥することなく湿潤剤をフィラメントへ施し、次いで噴射水流処理することにより、驚くべき有利な特性を有するスパンボンドウェブ又は積層物を製造することがわかった。特にフィラメントのインターロック（重なり合い）は大きく改良され、そしてフィラメントは最適の方法で織り交ざって、従来の技術による同程度のコストで製造されたウェブと比較して、ウェブの強度を増加させるランナーを有するようになる。特に、ウェブの引っ張り強さは本発明によって改良されることがわかった。ウェブの摩耗感度(abrasion sensitivity)は、同様に減少し、そして水圧による強化に伴うエネルギーコストは、従来の方法のものよりも大幅に低下する。同時に、製造速度が増加できる。

一般に、本発明で、湿潤剤の塗布と噴射水流でのウェブのニードリングの縫合とを組み合わせることにより、一方で水圧で強化されずに製造されたスパンボンド、及び他方で湿潤剤で処理されて良いスパンボンドと比較して、スパンボンドウェブ又はフリースの機械的性質は大きく改良された。この有利な点は、当該技術分野の知識に基づいては予期できなかったのは明らかである。

上記及び他の目的、特徴と有利な点は以下の記載によって直ちに、より明らかになり、以下に添付された図面の参照がされている。

図１は、本発明の概略引例図であり、図２は、本発明の特徴をより詳細に説明した図である。

図１に概略的に示された本発明のスパンボンドウェブを製造する設備の一部を示している装置は、上部にフィラメント１が載置され、スパンボンドウェブを形成する多孔性ベルト２を含む。ベルト２は、矢印Ａに示されたように、フィラメントの載置側を通って連続的に移動し、そしてスパンボンドを、湿潤剤が施される第１処理ステーション４に運搬し、その後、高圧噴射水流がウェブ上に向けられ、水圧でウェブを強化する噴射水流ニードルステーション５に運搬する。

図２より、フィラメント１が従来の紡糸口金７を通って６で表された熱可塑性付与器(thermoplastifier)によって供給される溶融した熱可塑性合成樹脂から製造されることが明白である。フィラメント１は、冷却領域９において、８で供給される冷却空気によって冷却され、そして、ベンチュリー状の通路１１を通って、領域１０で空力により引き伸ばされる。多孔性ベルト２下部で吸引送風機１２が、フィラメントをベルト上に吸引するために吸引力を供給することができる。このベルトは連続的に移動する無端状ベルトである。

図１に示された装置において、スパンボンドウェブ３が、最初に一対のカレンダーローラー１３の間を通り、そしてスプレーヘッド１４により湿潤剤で処理され得る。必要により、スパンボンドウェブ３は、例えば乾燥フード下で送風機１６によって供給される暖かい空気で乾燥されることが可能である。水圧強化する領域１７において、高圧水がニードルジェット１８からスパンボンドウェブに対し及びこの上に向けられている。

所望により、セルロースファイバーの層１９がディスペンサー２０によってスパンボンドウェブ３の表面上に施されても良く、そして層１９を支持する、スパンボンド層を２１で高圧噴射水流でニードル（縫合）しても良い。

２１でのニードルは、スパンボンドの１７での縫合が省略され、積層物が付される最初のニードルであって良い。そして、湿潤剤で処理されたスパンボンドの別の層２２が２３で施され、そして複合物又は積層物２４がノズル２５からの高圧噴射水流で水圧による強化に付されて良い。結果物は乾燥されることができる。スパンボンド３は、強度が増し、そして摩耗が減少する傾向にあり、そして複合物は、形成されたセルロースファイバーの寄与により、さらに、高い吸湿性を有する。

本発明の方法の概略例解図である。 本発明の特徴をより詳細に説明した図である

符号の説明

１ フィラメント
２ 多孔性ベルト
３ スパンボンドウェブ
４ 第１処理ステーション
５ 噴射水流ニードルステーション
７ 従来の紡糸口金
９ 冷却領域
１０ 領域
１１ ベンチュリー状の通路
１２ 吸引送風機
１３ カレンダーローラ
１４ スプレーヘッド
１６ 送風機
１７ 水圧強化領域
１８ ニードルジェット
１９ 層
２０ 供給機
２２ 別の層
２４ 複合物又は積層
２５ ノズル

Claims (7)

1. 以下の工程：
   （ａ）熱可塑性合成樹脂のフィラメントを形成する工程、
   （ｂ）前記フィラメントをスパンボンドウェブに集める工程、
   （ｃ）前記スパンボンドウェブをカレンダーで事前圧縮する工程、
   （ｄ）前記スパンボンドウェブを湿潤剤で処理する工程、そして
   （ｅ）前記スパンボンドウェブを水圧で強化する工程、
   を含むスパンボンドウェブを製造する方法。
2. 前記フィラメントが、紡糸口金で製造され、その後冷却される請求項１に記載の方法。
3. 前記フィラメントが、連続的に移動される多孔性ベルト上に集められる請求項２に記載の方法。
4. 更に、前記フィラメントが前記ベルト上に集められた領域において、少なくとも１種の吸引装置で、前記ベルトの下側から前記ベルトを介して空気を吸引する請求項３に記載の方法。
5. 前記フィラメントが前記ベルト上のスパンボンドウェブに集められた後に、前記フィラメントが前記湿潤剤で処理される請求項４に記載の方法。
6. 前記湿潤剤が界面活性剤である請求項５に記載の方法。
7. 前記スパンボンドウェブが、噴射水流を向けることによって水圧で強化される請求項６に記載の方法。

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