JP4018187B2 - 画像形成装置、画像形成システム、及び、画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部より文字あるいは画像情報を受けてプリントアウトするための画像形成装置で、特に画像入力装置と直接接続される画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、デジタルカメラ等の画像入力装置からデジタル画像情報を得て画像を形成する画像形成装置においては、その間にパソコンなどの汎用ホストコンピューターを介して、様々な種類の入力装置に対応するか、あるいは、特に接続する機種を限って直接接続させるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとしている課題】
このような画像形成装置は、入力装置に応じたデータ処理を汎用ホストコンピューター側で行うか、あるいは内部に用意されたROMに貯えられた情報を用いて画像を出力している。この際、異なった入力装置や処理のバージョンアップに対応するためには、汎用ホストコンピューター内のデータ処理を行うプログラムを交換するか、あるいは画像形成装置側のROMを交換する必要が生じる。
【0004】
この際、前者汎用コンピューター内のプログラム交換は容易なものの、入力・画像形成装置の他に汎用ホストコンピューターが必要になること、後者の場合ROM交換は困難なため多種の画像入力装置やバージョンアップへの対応が困難になる。特に、画像入力装置と画像形成装置とを汎用ホストコンピューターを介さずに接続した場合、操作性・画質・処理速度の改善はいったん装置が完成した後では困難であるか、事実上不可能であることが多く、問題が生じやすい。
【0005】
本発明の目的は、様々な画像入力装置に適した印刷処理や、バージョンアップを汎用ホストコンピューターを介さずに行うことができる画像形成装置、システム、及び、方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の画像形成装置は、画像入力装置に接続される画像形成装置であって、前記画像入力装置より識別情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応するか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応すると判別された場合、前記画像形成装置に接続される記憶媒体から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応しないと判別された場合、内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行手段とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の画像形成装置は、画像入力装置に接続される画像形成装置であって、前記画像入力装置より識別情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応するか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応すると判別された場合、前記内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応しないと判別された場合、画像入力装置以外の外部手段のうち通信手段を介して画像形成装置に接続される外部手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成システムは、画像入力装置と、画像入力装置に接続される画像形成装置であって、前記画像入力装置より識別情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応するか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応すると判別された場合、前記画像形成装置に接続される記憶媒体から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応しないと判別された場合、内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行手段とを有する画像形成装置を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成システムは、画像入力装置と、画像入力装置に接続される画像形成装置であって、前記画像入力装置より識別情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応するか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応すると判別された場合、前記内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応しないと判別された場合、画像入力装置以外の外部手段のうち通信手段を介して画像形成装置に接続される外部手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行手段とを有する画像形成装置を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成方法は、画像入力装置に接続される画像形成装置の画像形成方法であって、前記画像入力装置より識別情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応するか否かを判別する判別ステップと、前記判別ステップにより前記取得ステップにより取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応すると判別された場合、前記画像形成装置に接続される記憶媒体から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別ステップにより前記取得ステップにより取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応しないと判別された場合、内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対し前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像形成方法は、画像入力装置に接続される画像形成装置の画像形成方法であって、前記画像入力装置より識別情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応するか否かを判別する判別ステップと、前記判別ステップにより前記取得ステップにより取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応すると判別された場合、前記内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対し前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別ステップにより前記取得ステップにより取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応しないと判別された場合、画像入力装置以外の外部手段のうち通信手段を介して画像形成装置に接続される外部手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対し前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行ステップとを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の第1の発明の実施の形態概略図を示す。図1に示すように、この画像形成装置100は、画像入力装置に接続されたプリンターコントローラ部10と操作パネル11、プリンタエンジン部とを有している。上記操作パネル11は、現在の画像形成装置の状態を知らせたり、印字モードの選択、各種指示を行うためのものである。また、上記エンジン部12はインクジェットプリンタ等の実施に画像データの印字を行うためのものである。上記プリンターコントロール部10は、各種情報、例えば対応可能な画像入力装置の種類、バージョン、画像処理情報、印字モード、データ処理方法、操作方法等、が格納されている外部より着脱可能な外部メモリー104と、制御プログラムが格納されているROM102と、書き換え可能な不揮発性のROM103と、上記ROM102、103またはメモリーカード104の情報によって全体を制御するCPU105と、上記CPU105のワークメモリ入力データのインプットバッファ、印字データ用の印字バッファ等に使用されるRAM101と上記エンジン12とコマンドやステータス、印字データをやり取りするエンジンインターフェース107と、上記操作パネル11とのやり取りをするパネルインターフェース106と、画像入力装置13よりデータの送受信を行うデータ用インターフェース108を有している。外部より着脱可能な外部メモリー104にはICメモリー、フラッシュカード、PCMICAカード、スマートメディア、MO等あらゆるデジタル記録媒体が利用可能である。また、外部よりデータの送受信を行うインターフェース108と画像入力装置13との接続は、IEEE1394等のケーブルによる接続でも、赤外線(IrDA)などのケーブルを使用しないものでもよい。
【0013】
図2は、本発明の第1の実施の形態であり、図3のROM402に記憶されているプログラムに係るフローチャートを用いて説明する。CPU105は、S31で接続された画像入力装置から画像入力装置のIDを得るため接続処理を行う。S32でメモリーカード104に記憶されているIDを認識し、S33でIDを比較し、メモリーカード104に格納されている情報が対応可能かどうか判断し、対応可能である場合には該情報を利用する事とする。なお、メモリーカード104に記載されているIDに一致しない場合は、ROM103に記憶されているプログラムに基づき処理を行う。また、バージョンの比較も行い、もっとも適したバージョンの情報を利用することとする。ここで情報を利用する際には、メモリーカード104、ROM103から直接、あるいは、メモリーカード104からROM103に情報の書き換えを行い、これを利用してもよい。該外部メモリー・ROMに貯えられた情報により、上記画像形成装置は、接続された上記画像入力装置より送られてくる文字・画像情報に対し、もっとも適切な制御を行うことが可能となる。ここでいう制御とは、例えば、該画像入力装置の特性を考慮した2値化処理を行うためのデータ・プログラム、色処理を行うためのデータ・プログラム、マスキング処理を行うためのデータ・プログラム、ガンマ補正処理を行うためのデータ・プログラム、解像度変換を行うためのデータ・プログラム、印字モードを指定するデータ、メディア選択を行うためのデータ、などを指す。また、該画像形成装置での各処理のバージョンアップや新しいメディアへの対応も、該外部メモリーの情報を利用することにより容易になる。次にS35でプリント指示があったか否かを判別し、S35でプリント指示があったと判断された場合、S36に進み、S33の判別に基づきメモリーカード104またはROM103のプログラムに基づき印刷を行う。
【0014】
(第2の発明の実施の形態)
次に、図4に本発明の第2の発明の実施の形態を示す。これは第1の発明の実施の形態の着脱可能なメモリーを、外部からの通信による情報のダウンロードに置き換えたものである。発明の実施の形態1と同様に様々な入力機器や、バージョンアップに対応可能となる。
【0015】
この画像形成装置400は、画像入力装置43に接続されたプリンターコントローラ部40と操作パネル41、プリンタエンジン部42とを有している。上記操作パネル41、上記エンジン部42は発明の実施の形態1と同様である。上記プリンターコントロール部は、外部との通信インターフェース408と、制御プログラムが格納されているROM402と、書き換え可能な不揮発性のROM403と、上記ROM402、403の情報によって全体を制御するCPU404と、上記CPU404のワークメモリや入力データのインプットバッファ、印字データ用の印字バッファ等に使用されるRAM401と、上記エンジン42とコマンドやステータス、印字データをやり取りするエンジンインターフェース406と、上記操作パネル41とのやり取りをするパネルインターフェース405と、を有している。
【0016】
図5は、本発明の第2の発明の実施の形態であり、図6のROM402に記憶されているプログラムに係るフローチャートを用いて説明する。CPU404は、S61で接続された画像入力装置から画像入力装置のIDを得るための接続処理を行う。S62でROMに記憶されているIDを認識し、S63でROM103内に格納されている情報が有効であるか比較を行い、有効でない場合、S64で通信インターフェースを介して該画像入力装置に対応する情報を書き換え可能なROM403へダウンロードすることとし、CPU404は、S65でプリント指示があったか判別し、プリント指示があった場合、S66に進み、上記画像入力装置からの画像データを上記書き換え可能なROM403に貯えられた情報を元に画像を形成し、プリントする。ここでの情報とは、例えば対応可能な画像入力装置の種類、バージョン、画像処理情報、印字モード、データ処理方法、操作方法等、である。画像入力装置の種類とは、デジタルカメラとスキャナーのような区別だけでなく、例えば同じデジタルカメラでの機種ごとの区別をも指す。なお、本発明の実施の形態では、通信回線より情報をダウンロードさせたが、画像入力装置からダウンロードさせてもよい。
【0017】
次に、IEEE1394インターフェースについて説明する。
【0018】
《IEEE1394の技術の概要》
家庭用デジタルVTRやDVDの登場も伴なって、ビデオデータやオーディオデータなどのリアルタイムでかつ高情報量のデータ転送のサポートが必要になっている。こういったビデオデータやオーディオデータをリアルタイムで転送し、パソコン(PC)に取り込んだり、またはその他のデジタル機器に転送を行なうには、必要な転送機能を備えた高速データ転送可能なインターフェースが必要になってくるものであり、そういった観点から開発されたインターフェースがIEEE1394−1995(High Performance Serial Bus)(以下1394シリアルバス)である。
【0019】
図7に1394シリアルバスを用いて構成されるネットワーク・システムの例を示す。このシステムは機器A,B,C,D,E,F,G,Hを備えており、A−B間、A−C間、B−D間、D−E間、C−F間、C−G間、及びC−H間をそれぞれ1394シリアルバスのツイスト・ペア・ケーブルで接続されている。この機器A〜Hは例としてPC、デジタルVTR、DVD、デジタルカメラ、ハードディスク、モニタ等である。
【0020】
各機器間の接続方式は、ディジーチェーン方式とノード分岐方式とを混在可能としたものであり、自由度の高い接続が可能である。
【0021】
また、各機器は各自固有のIDを有し、それぞれが認識し合うことによって1394シリアルバスで接続された範囲において、1つのネットワークを構成している。各デジタル機器間をそれぞれ1本の1394シリアルバスケーブルで順次接続するだけで、それぞれの機器が中継の役割を行い、全体として1つのネットワークを構成するものである。また、1394シリアルバスの特徴でもある、Plug & Play機能でケーブルを機器に接続した時点で自動で機器の認識や接続状況などを認識する機能を有している。
【0022】
また、図7に示したようなシステムにおいて、ネットワークからある機器が削除されたり、または新たに追加されたときなど、自動的にバスリセットを行い、それまでのネットワーク構成をリセットしてから、新たなネットワークの再構築を行なう。この機能によって、その時々のネットワークの構成を常時設定、認識することができる。
【0023】
またデータ転送速度は、100/200/400Mbpsと備えており、上位の転送速度を持つ機器が下位の転送速度をサポートし、互換をとるようになっている。
【0024】
データ転送モードとしては、コントロール信号などの非同期データ(Asynchronousデータ:以下Asyncデータ)を転送するAsynchronous転送モード、リアルタイムなビデオデータやオーディオデータ等の同期データ(Isochronousデータ:以下Isoデータ)を転送するIsochronous転送モードがある。このAsyncデータとIsoデータは各サイクル(通常1サイクル125μS)の中において、サイクル開始を示すサイクル・スタート・パケット(CSP)の転送に続き、Isoデータの転送を優先しつつサイクル内で混在して転送される。
【0025】
次に、図8に1394シリアルバスの構成要素を示す。
【0026】
1394シリアルバスは全体としてレイヤ(階層)構造で構成されている。図8に示したように、最もハード的なのが1394シリアルバスのケーブルであり、そのケーブルのコネクタが接続されるコネクタポートがあり、その上にハードウェアとしてフィジカル・レイヤとリンク・レイヤがある。
【0027】
ハードウェア部は実質的なインターフェースチップの部分であり、そのうちフィジカル・レイヤは符号化やコネクタ関連の制御等を行い、リンク・レイヤはパケット転送やサイクルタイムの制御等を行なう。
【0028】
ファームウェア部のトランザクション・レイヤは、転送(トランザクション)すべきデータの管理を行ない、ReadやWriteといった命令を出す。マネージメント・レイヤは、接続されている各機器の接続状況やIDの管理を行ない、ネットワークの構成を管理する部分である。
【0029】
このハードウェアとファームウェアまでが実質上の1394シリアルバスの構成である。
【0030】
またソフトウェア部のアプリケーション・レイヤは使うソフトによって異なり、インターフェース上にどのようにデータをのせるか規定する部分であり、AVプロトコルなどのプロトコルによって規定されている。
【0031】
以上が1394シリアルバスの構成である。
【0032】
次に、図9に1394シリアルバスにおけるアドレス空間の図を示す。
【0033】
1394シリアルバスに接続された各機器(ノード)には必ず各ノード固有の64ビットアドレスを持たせておく。そしてこのアドレスをROMに格納しておくことで、自分や相手のノードアドレスを常時認識でき、相手を指定した通信も行なえる。
【0034】
1394シリアルバスのアドレッシングは、IEEE1212規格に準じた方式であり、アドレス設定は、最初の10bitがバスの番号の指定用に、次の6bitがノードID番号の指定用に使われる。残りの48bitが機器に与えられたアドレス幅になり、それぞれ固有のアドレス空間として使用できる。最後の28bitは固有データの領域として、各機器の識別や使用条件の指定の情報などを格納する。
【0035】
以上が1394シリアルバスの技術の概要である。
【0036】
次に、1394シリアルバスの特徴といえる技術の部分を、より詳細に説明する。
【0037】
《1394シリアルバスの電気的仕様》
図10に1394シリアルバス・ケーブルの断面図を示す。
【0038】
1394シリアルバスでは接続ケーブル内に、2組のツイストペア信号線の他に、電源ラインを設けている。これによって、電源を持たない機器や、故障により電圧低下した機器等にも電力の供給が可能になっている。
【0039】
電源線内に流れる電源の電圧は8〜40V、電流は最大電流DC1.5Aと規定されている。
【0040】
《DS−Link符号化》
1394シリアルバスで採用されている、データ転送フォーマットのDS−Link符号化方式を説明するための図を図11に示す。
【0041】
1394シリアルバスでは、DS−Link(Data/Strobe Link)符号化方式が採用されている。このDS−Link符号化方式は、高速なシリアルデータ通信に適しており、その構成は、2本の信号線を必要とする。より対線のうち1本に主となるデータを送り、他方のより対線にはストローブ信号を送る構成になっている。
【0042】
受信側では、この通信されるデータと、ストローブとの排他的論理和をとることによってクロックを再現できる。
【0043】
このDS−Link符号化方式を用いるメリットとして、他のシリアルデータ転送方式に比べて転送効率が高いこと、PLL回路が不要となるのでコントローラLSIの回路規模を小さくできること、更には、転送すべきデータが無いときにアイドル状態であることを示す情報を送る必要が無いので、各機器のトランシーバ回路をスリープ状態にすることができることによって、消費電力の低減が図れる、などが挙げられる。
【0044】
《バスリセットのシーケンス》
1394シリアルバスでは、接続されている各機器(ノード)にはノードIDが与えられ、ネットワーク構成として認識されている。
【0045】
このネットワーク構成に変化があったとき、例えばノードの挿抜や電源のON/OFFなどによるノード数の増減などによって変化が生じて、新たなネットワーク構成を認識する必要があるとき、変化を検知した各ノードはバス上にバスリセット信号を送信して、新たなネットワーク構成を認識するモードに入る。このときの変化の検知方法は、1394ポート基盤上でのバイアス電圧の変化を検知することによって行われる。
【0046】
あるノードからバスリセット信号が伝達されて、各ノードのフィジカルレイヤはこのバスリセット信号を受けると同時にリンクレイヤにバスリセットの発生を伝達し、かつ他のノードにバスリセット信号を伝達する。最終的にすべてのノードがバスリセット信号を検知した後、バスリセットが起動となる。
【0047】
バスリセットは、先に述べたようなケーブル抜挿や、ネットワーク異常等によるハード検出による起動と、プロトコルからのホスト制御などによってフィジカルレイヤに直接命令を出すことによっても起動する。
【0048】
また、バスリセットが起動するとデータ転送は一時中断され、この間のデータ転送は待たされ、終了後、新しいネットワーク構成のもとで再開される。
【0049】
以上がバスリセットのシーケンスである。
【0050】
《ノードID決定のシーケンス》
バスリセットの後、各ノードは新しいネットワーク構成を構築するために、各ノードにIDを与える動作に入る。このときの、バスリセットからノードID決定までの一般的なシーケンスを図19、図20、図21のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
図19のフローチャートは、バスリセットの発生からノードIDが決定し、データ転送が行えるようになるまでの、一連のバスの作業を示してある。
【0052】
まず、ステップS101として、ネットワーク内にバスリセットが発生することを常時監視していて、ここでノードの電源ON/OFFなどでバスリセットが発生するとステップS102に移る。
【0053】
ステップS102では、ネットワークがリセットされた状態から、新たなネットワークの接続状況を知るために、直接接続されている各ノード間において親子関係の宣言がなされる。ステップS103として、すべてのノード間で親子関係が決定すると、ステップS104として一つのルートが決定する。すべてのノード間で親子関係が決定するまで、ステップS102の親子関係の宣言をおこない、またルートも決定されない。
【0054】
ステップS104でルートが決定されると、次はステップS105として、各ノードにIDを与えるノードIDの設定作業が行われる。所定のノード順序で、ノードIDの設定が行われ、すべてのノードにIDが与えられるまで繰り返し設定作業が行われ、最終的にステップS106としてすべてのノードにIDを設定し終えたら、新しいネットワーク構成がすべてのノードにおいて認識されたので、ステップS107としてノード間のデータ転送が行える状態となり、データ転送が開始される。
【0055】
このステップS107の状態になると、再びバスリセットが発生するのを監視するモードに入り、バスリセットが発生したらステップS101からステップS106までの設定作業が繰り返し行われる。
【0056】
以上が、図19のフローチャートの説明であるが、図19のフローチャートのバスリセットからルート決定までの部分と、ルート決定後からID設定終了までの手順をより詳しくフローチャート図に表したものをそれぞれ、図20、図21に示す。
【0057】
まず、図20のフローチャートの説明を行う。
【0058】
ステップS201としてバスリセットが発生すると、ネットワーク構成は一旦リセットされる。なお、ステップS201としてバスリセットが発生するのを常に監視している。
【0059】
次に、ステップS202として、リセットされたネットワークの接続状況を再認識する作業の第一歩として、各機器にリーフ(ノード)であることを示すフラグを立てておく。さらに、ステップS203として各機器が自分の持つポートがいくつ他ノードと接続されているのかを調べる。
【0060】
ステップS204のポート数の結果に応じて、これから親子関係の宣言を始めていくために、未定義(親子関係が決定されていない)ポートの数を調べる。バスリセットの直後はポート数=未定義ポート数であるが、親子関係が決定されていくにしたがって、ステップS204で検知する未定義ポート数は変化していくものである。
【0061】
まず、バスリセットの直後、はじめに親子関係の宣言を行えるのはリーフに限られている。リーフであるというのはステップS203のポート数の確認で知ることができる。リーフは、ステップS205として、自分に接続されているノードに対して、「自分は子、相手は親」と宣言し動作を終了する。
【0062】
ステップS203でポート数が複数ありブランチと認識したノードは、バスリセットの直後はステップS204で未定義ポート数>1ということなので、ステップS206へと移り、まずブランチというフラグが立てられ、ステップS207でリーフからの親子関係宣言で「親」の受付をするために待つ。
【0063】
リーフが親子関係の宣言を行い、ステップS207でそれを受けたブランチは適宜ステップS204の未定義ポート数の確認を行い、未定義ポート数が1になっていれば残っているポートに接続されているノードに対して、ステップS205の「自分が子」の宣言をすることが可能になる。2度目以降、ステップS204で未定義ポート数を確認しても2以上あるブランチに対しては、再度ステップS207でリーフ又は他のブランチからの「親」の受付をするために待つ。
【0064】
最終的に、いずれか1つのブランチ、又は例外的にリーフ(子宣言を行えるのにすばやく動作しなかった為)がステップS204の未定義ポート数の結果としてゼロになったら、これにてネットワーク全体の親子関係の宣言が終了したものであり、未定義ポート数がゼロ(すべて親のポートとして決定)になった唯一のノードはステップS208としてルートのフラグが立てられ、ステップS209としてルートとしての認識がなされる。
【0065】
このようにして、図20に示したバスリセットから、ネットワーク内すべてのノード間における親子関係の宣言までが終了する。
【0066】
つぎに、図21のフローチャートについて説明する。
【0067】
まず、図20までのシーケンスでリーフ、ブランチ、ルートという各ノードのフラグの情報が設定されているので、これを元にして、ステップS301でそれぞれ分類する。
【0068】
各ノードにIDを与える作業として、最初にIDの設定を行うことができるのはリーフからである。リーフ→ブランチ→ルートの順で若い番号(ノード番号=0〜)からIDの設定がなされていく。
【0069】
ステップS302としてネットワーク内に存在するリーフの数N(Nは自然数)を設定する。この後、ステップS303として各自リーフがルートに対して、IDを与えるように要求する。この要求が複数ある場合には、ルートはステップS304としてアービトレーション(1つに調停する作業)を行い、ステップS305として勝ったノード1つにID番号を与え、負けたノードには失敗の結果通知を行う。ステップS306としてID取得が失敗に終わったリーフは、再度ID要求を出し、同様の作業を繰り返す。IDを取得できたリーフからステップS307として、そのノードのID情報をブロードキャストで全ノードに転送する。1ノードID情報のブロードキャストが終わると、ステップS308として残りのリーフの数が1つ減らされる。ここで、ステップS309として、この残りのリーフの数が1以上ある時はステップS303のID要求の作業からを繰り返し行い、最終的にすべてのリーフがID情報をブロードキャストすると、ステップS309がN=0となり、次はブランチのID設定に移る。
【0070】
ブランチのID設定もリーフの時と同様に行われる。
【0071】
まず、ステップS310としてネットワーク内に存在するブランチの数M(Mは自然数)を設定する。この後、ステップS311として各自ブランチがルートに対して、IDを与えるように要求する。これに対してルートは、ステップS312としてアービトレーションを行い、勝ったブランチから順にリーフに与え終わった次の若い番号から与えていく。ステップS313として、ルートは要求を出したブランチにID情報又は失敗結果を通知し、ステップS314としてID取得が失敗に終わったブランチは、再度ID要求を出し、同様の作業を繰り返す。IDを取得できたブランチからステップS315として、そのノードのID情報をブロードキャストで全ノードに転送する。1ノードID情報のブロードキャストが終わると、ステップS316として残りのブランチの数が1つ減らされる。ここで、ステップS317として、残りのブランチの数が1以上ある時はステップS311のID要求の作業からを繰り返し、最終的にすべてのブランチがID情報をブロードキャストするまで行われる。すべてのブランチがノードIDを取得すると、ステップS317はM=0となり、ブランチのID取得モードも終了する。
【0072】
ここまで終了すると、最終的にID情報を取得していないノードはルートのみなので、ステップS318として与えていない番号で最も若い番号を自分のID番号と設定し、ステップS319としてルートのID情報をブロードキャストする。
【0073】
以上で、図21に示したように、親子関係が決定した後から、すべてのノードIDが設定されるまでの手順が終了する。
【0074】
次に、一例として図12に示した実際のネットワークにおける動作を図12を参照しながら説明する。
【0075】
図12の説明として、(ルート)ノードBの下位にはノードAとノードCが直接接続されており、更にノードCの下位にはノードDが直接接続されており、更にノードDの下位にはノードEとノードFが直接接続された階層構造になっている。この、階層構造やルートノード、ノードIDを決定する手順を以下で説明する。
【0076】
バスリセットがされた後、まず各ノードの接続状況を認識するために、各ノードの直接接続されているポート間において、親子関係の宣言がなされる。この親子とは親側が階層構造で上位となり、子側が下位となると言うことができる。
【0077】
図12ではバスリセットの後、最初に親子関係の宣言を行ったのはノードAである。基本的にノードの1つのポートにのみ接続があるノード(リーフと呼ぶ)から親子関係の宣言を行うことができる。これは自分には1ポートの接続のみということをまず知ることができるので、これによってネットワークの端であることを認識し、その中で早く動作を行ったノードから親子関係が決定されていく。こうして親子関係の宣言を行った側(A−B間ではノードA)のポートが子と設定され、相手側(ノードB)のポートが親と設定される。こうして、ノードA−B間では子−親、ノードE−D間で子−親、ノードF−D間では子−親と決定される。
【0078】
さらに1階層あがって、今度は複数個接続ポートを持つノード(ブランチと呼ぶ)のうち、他ノードからの親子関係の宣言を受けたものから順次、更に上位に親子関係の宣言を行っていく。図12ではまずノードDがD−E間、D−F間と親子関係が決定した後、ノードCに対する親子関係の宣言を行っており、その結果ノードD−C間で子−親と決定している。
【0079】
ノードDからの親子関係の宣言を受けたノードCは、もう一つのポートに接続されていいるノードBに対して親子関係の宣言を行っている。これによってノードC−B間で子−親と決定している。
【0080】
このようにして、図12のような階層構造が構成され、最終的に接続されているすべてのポートにおいて親となったノードBが、ルートノードと決定された。
【0081】
ルートは1つのネットワーク構成中に一つしか存在しないものである。
【0082】
なお、この図12においてノードBがルートノードと決定されたが、これはノードAから親子関係宣言を受けたノードBが、他のノードに対して親子関係宣言を早いタイミングで行っていれば、ルートノードは他ノードに移っていたこともあり得る。すなわち、伝達されるタイミングによってはどのノードもルートノードとなる可能性があり、同じネットワーク構成でもルートノードは一定とは限らない。
【0083】
ルートノードが決定すると、次は各ノードIDを決定するモードに入る。ここではすべてのノードが、決定した自分のノードIDを他のすべてのノードに通知する(ブロードキャスト機能)。
【0084】
自己ID情報は、自分のノード番号、接続されている位置の情報、持っているポートの数、接続のあるポートの数、各ポートの親子関係の情報等を含んでいる。
【0085】
ノードID番号の割り振りの手順としては、まず1つのポートにのみ接続があるノード(リーフ)から起動することができ、この中から順にノード番号=0、1、2、…と割り当てられる。
【0086】
ノードIDを手にしたノードは、ノード番号を含む情報をブロードキャストで各ノードに送信する。これによって、そのID番号は「割り当て済み」であることが認識される。
【0087】
すべてのリーフが自己ノードIDを取得し終わると、次はブランチへ移りリーフに引き続いたノードID番号が各ノードに割り当てられる。リーフと同様に、ノードID番号が割り当てられたブランチから順次ノードID情報をブロードキャストし、最後にルートノードが自己ID情報をブロードキャストする。すなわち、常にルートは最大のノードID番号を所有するものである。
【0088】
以上のようにして、階層構造全体のノードIDの割り当てが終わり、ネットワーク構成が再構築され、バスの初期化作業が完了する。
【0089】
《アービトレーション》
1394シリアルバスでは、データ転送に先立って必ずバス使用権のアービトレーション(調停)を行う。1394シリアルバスは個別に接続された各機器が、転送された信号をそれぞれ中断することによって、ネットワーク内すべての機器に同信号を伝えるように、論理的なバス型ネットワークであるので、パケットの衝突を防ぐ意味でアービトレーションは必要である。これによってある時間には、たった一つのノードのみ転送を行うことができる。
【0090】
アービトレーションを説明するための図として図13(a)にバス使用要求の図(b)にバス使用許可の図を示し、以下これを用いて説明する。
【0091】
アービトレーションが始まると、1つもしくは複数のノードが親ノードに向かって、それぞれバス使用権の要求を発する。図13(a)のノードCとノードFがバス使用権の要求を発しているノードである。これを受けた親ノード(図13ではノードA)は更に親ノードに向かって、バス使用権の要求を発する(中継する)。この要求は最終的に調停を行うルートに届けられる。
【0092】
バス使用要求を受けたルートノードは、どのノードにバスを使用させるかを決める。この調停作業はルートノードのみが行えるものであり、調停によって勝ったノードにはバスの使用許可を与える。図13(b)ではノードCに使用許可が与えられ、ノードFの使用は拒否された図である。アービトレーションに負けたノードに対してはDP(data prefix)パケットを送り、拒否されたことを知らせる。拒否されたノードのバス使用要求は次回のアービトレーションまで待たされる。
【0093】
以上のようにして、アービトレーションに勝ってバスの使用許可を得たノードは、以降のデータの転送を開始できる。
【0094】
ここで、アービトレーションの一連の流れをフローチャート図22に示して、説明する。
【0095】
ノードがデータ転送を開始できる為には、バスがアイドル状態であることが必要である。先に行われていたデータ転送が終了して、現在バスが空き状態であることを認識するためには、各転送モードで個別に設定されている所定のアイドル時間ギャップ長(例.サブアクション・ギャップ)を経過する事によって、各ノードは自分の転送が開始できると判断する。
【0096】
ステップS401として、Asyncデータ、Isoデータ等それぞれ転送するデータに応じた所定のギャップ長が得られたか判断する。所定のギャップ長が得られない限り、転送を開始するために必要なバス使用権の要求はできないので、所定のギャップ長が得られるまで待つ。
【0097】
ステップS401で所定のギャップ長が得られたら、ステップS402として転送すべきデータがあるか判断し、ある場合はステップS403として転送するためにバスを確保するように、バス使用権の要求をルートに対して発する。このときの、バス使用権の要求を表す信号の伝達は、図13に示したように、ネットワーク内各機器を中継しながら、最終的にルートに届けられる。ステップS402で転送するデータがない場合は、そのまま待機する。
【0098】
次に、ステップS404として、ステップS403のバス使用要求を1つ以上ルートが受信したら、ルートはステップS405として使用要求を出したノードの数を調べる。ステップS405での選択値がノード数=1(使用権要求を出したノードは1つ)だったら、そのノードに直後のバス使用許可が与えられることとなる。ステップS405での選択値がノード数>1(使用要求を出したノードは複数)だったら、ルートはステップS406として使用許可を与えるノードを1つに決定する調停作業を行う。この調停作業は公平なものであり、毎回同じノードばかりが許可を得る様なことはなく、平等に権利を与えていくような構成となっている。
【0099】
ステップS407として、ステップS406で使用要求を出した複数ノードの中からルートが調停して使用許可を得た1つのノードと、敗れたその他のノードに分ける選択を行う。ここで、調停されて使用許可を得た1つのノード、またはステップS405の選択値から使用要求ノード数=1で調停無しに使用許可を得たノードには、ステップS408として、ルートはそのノードに対して許可信号を送る。許可信号を得たノードは、受け取った直後に転送すべきデータ(パケット)を転送開始する。また、ステップS406の調停で敗れて、バス使用が許可されなかったノードにはステップS409としてルートから、アービトレーション失敗を示すDP(data prefix)パケットを送られ、これを受け取ったノードは再度転送を行うためのバス使用要求を出すため、ステップS401まで戻り、所定ギャップ長が得られるまで待機する。
【0100】
以上がアービトレーションの流れを説明した、フローチャート図22の説明である。
【0101】
《Asynchronous(非同期)転送》
アシンクロナス転送は、非同期転送である。図14にアシンクロナス転送における時間的な遷移状態を示す。図14の最初のサブアクション・ギャップは、バスのアイドル状態を示すものである。このアイドル時間が一定値になった時点で、転送を希望するノードはバスが使用できると判断して、バス獲得のためのアービトレーションを実行する。
【0102】
アービトレーションでバスの使用許可を得ると、次にデータの転送がパケット形式で実行される。データ転送後、受信したノードは転送されたデータに対しての受信結果のack(受信確認用返送コード)をack gapという短いギャップの後、返送して応答するか、応答パケットを送ることによって転送が完了する。ackは4ビットの情報と4ビットのチェックサムからなり、成功か、ビジー状態か、ペンディング状態であるかといった情報を含み、すぐに送信元ノードに返送される。
【0103】
次に、図15にアシンクロナス転送のパケットフォーマットの例を示す。
【0104】
パケットには、データ部及び誤り訂正用のデータCRCの他にはヘッダ部があり、そのヘッダ部には図15に示したような、目的ノードID、ソースノードID、転送データ長さや各種コードなどが書き込まれ、転送が行われる。
【0105】
またアシンクロナス転送は自己ノードから相手ノードへの1対1の通信である。転送元ノードから転送されたパケットは、ネットワ−ク中の各ノードに行き渡るが、自分宛てのアドレス以外のものは無視されるので、宛先の1つのノードのみが読込むことになる。
【0106】
以上がアシンクロナス転送の説明である。
【0107】
《Isochronous(同期)転送》
アイソクロナス転送は同期転送である。1394シリアルバスの最大の特徴であるともいえるこのアイソクロナス転送は、特にVIDEO映像データや音声データといったマルチメディアデータなど、リアルタイムな転送を必要とするデータの転送に適した転送モードである。
【0108】
また、アシンクロナス転送(非同期)が1対1の転送であったのに対し、このアイソクロナス転送はブロードキャスト機能によって、転送元の1つのノードから他のすべてのノードへ一様に転送される。
【0109】
図16はアイソクロナス転送における、時間的な遷移状態を示す図である。
【0110】
アイソクロナス転送は、バス上一定時間毎に実行される。この時間間隔をアイソクロナスサイクルと呼ぶ。アイソクロナスサイクル時間は、125μSである。この各サイクルの開始時間を示し、各ノードの時間調整を行う役割を担っているのがサイクル・スタート・パケットである。サイクル・スタート・パケットを送信するのは、サイクル・マスタと呼ばれるノードであり、1つ前のサイクル内の転送終了後、所定のアイドル期間(サブアクションギャップ)を経た後、本サイクルの開始を告げるサイクル・スタート・パケットを送信する。このサイクル・スタート・パケットの送信される時間間隔が125μSとなる。
【0111】
また、図16にチャネルA、チャネルB、チャネルCと示したように、1サイクル内において複数種のパケットがチャネルIDをそれぞれ与えられることによって、区別して転送できる。これによって同時に複数ノード間でのリアルタイムな転送が可能であり、また受信するノードでは自分が欲しいチャネルIDのデータのみを取り込む。このチャネルIDは送信先のアドレスを表すものではなく、データに対する論理的な番号を与えているに過ぎない。よって、あるパケットの送信は1つの送信元ノードの他のすべてのノードに行き渡る、ブロードキャストで転送されることになる。
【0112】
アイソクロナス転送のパケット送信に先立って、アシンクロナス転送同様アービトレーションが行われる。しかし、アシンクロナス転送のように1対1の通信ではないので、アイソクロナス転送にはack(受信確認用返信コード)は存在しない。
【0113】
また、図16に示したiso gap(アイソクロナスギャップ)とは、アイソクロナス転送を行う前にバスが空き状態であると認識するために必要にアイドル期間を表している。この所定のアイドル期間を経過すると、アイソクロナス転送を行ないたいノードはバスが空いていると判断し、転送前のアービトレーションを行うことができる。
【0114】
つぎに、図17にアイソクロナス転送のパケットフォーマットの例を示し、説明する。
【0115】
各チャネルに分かれた、各種のパケットにはそれぞれデータ部及び誤り訂正用のデータCRCの他にヘッダ部があり、そのヘッダ部には図17に示したような、転送データ長やチャネルNO、その他の各種コード及び誤り訂正用のヘッダCRCなどが書き込まれ、転送が行われる。
【0116】
以上がアイソクロナス転送の説明である。
【0117】
《バス・サイクル》
実際の1394シリアルバス上の転送では、アイソクロナス転送と、アシンクロナス転送は混在できる。その時の、アイソクロナス転送とアシンクロナス転送が混在した、バス上の転送状態の時間的な遷移の様子を表した図を図18に示す。
【0118】
アイソクロナス転送はアシンクロナス転送より優先して実行される。その理由は、サイクル・スタート・パケットの後、アシンクロナス転送を起動するために必要なアイドル期間のギャップ長(サブアクションギャップ)よりも短いギャップ長(アイソクロナスギャップ)で、アイソクロナス転送を起動できるからである。したがって、アシンクロナス転送より、アイソクロナス転送は優先して実行されることとなる。
【0119】
図18に示した、一般的なバスサイクルにおいて、サイクル#mのスタート時にサイクル・スタート・パケットがサイクル・マスタから各ノードに転送される。これによって、各ノードで時刻調整を行い、所定のアイドル期間(アイソクロナスギャップ)を待ってからアイソクロナス転送を行うべきノードはアービトレーションを行い、パケット転送に入る。図18ではチャネルeとチャネルsとチャネルkが順にアイソクロナス転送されている。
【0120】
このアービトレーションからパケット転送までの動作を、与えられているチャネル分繰り返し行った後、サイクル#mにおけるアイソクロナス転送がすべて終了したら、アシンクロナス転送を行うことができるようになる。
【0121】
アイドル時間がアシンクロナス転送が可能なサブアクションギャップに達する事によって、アシンクロナス転送を行いたいノードはアービトレーションの実行に移れると判断する。
【0122】
ただし、アシンクロナス転送を行える期間は、アイソクロナス転送終了後から、次のサイクル・スタート・パケットを転送すべき時間(cycle synch)までの間にアシンクロナス転送を起動するためのサブアクションギャップが得られた場合に限っている。
【0123】
図18のサイクル#mでは3つのチャネル分のアイソクロナス転送と、その後アシンクロナス転送(含むack)が2パケット(パケット1、パケット2)転送されている。このアシンクロナスパケット2の後は、サイクルm+1をスタートすべき時間(cycle synch)にいたるので、サイクル#mでの転送はここまでで終わる。
【0124】
ただし、非同期または同期転送動作中に次のサイクル・スタート・パケットを送信すべき時間(cycle synch)に至ったとしたら、無理に中断せず、その転送が終了した後のアイドル期間を待ってから次サイクル・スタート・パケットを送信する。すなわち、1つのサイクルが125μS以上続いたときは、その分次サイクルは基準の125μSより短縮されたとする。このようにアイソクロナス・サイクルは125μSを基準に超過、短縮し得るものである。
【0125】
しかし、アイソクロナス転送はリアルタイム転送を維持するために毎サイクル必要であれば必ず実行され、アシンクロナス転送はサイクル時間が短縮されたことによって次以降のサイクルにまわされることもある。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、外部より着脱可能なメモリーカードや、通信手段を利用して、外部より情報を得ることにより、様々な画像入力装置にたいしてプリンターのバージョンアップや最適化が容易になり、最適にプリントを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】第1の発明の実施の形態を示す図である。
【図3】第1の発明の実施の形態のフローチャートである。
【図4】第2の発明の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】第2の発明の実施の形態を示す図である。
【図6】第2の発明の実施の形態のフローチャートである。
【図7】本発明のネットワークの構成を示した図である。
【図8】本発明の1394シリアルバスの構成要素を示した図である。
【図9】本発明の1394シリアルバスのアドレス空間を示した図である。
【図10】本発明の1394シリアルバス・ケーブルの断面を示した図である。
【図11】本発明のDS−Link符号か方式を示した図である。
【図12】本発明のネットワークの動作を示した図である。
【図13】本発明のシリアルバスのバス使用要求を示した図である。
【図14】本発明のアシンクロナス転送の遷移状態を示した図である。
【図15】本発明のアシンクロナス転送のパケットフォーマットを示した図である。
【図16】本発明のアイソクロナス転送の遷移状態を示した図である。
【図17】本発明のアイソクロナス転送のパケットフォーマットを示した図である。
【図18】本発明のアシンクロナス転送、アイソクロナス転送が混在した場合の遷移状態を示した図である。
【図19】本発明のバスリセットからノードID決定までのシーケンスを示した図である。
【図20】本発明のバスリセットからノードID決定までのシーケンスを示した図である。
【図21】本発明のバスリセットからノードID決定までのシーケンスを示した図である。
【図22】本発明のシリアルバスのアービトレーションの流れを示したフローチャートを示す図である。
Claims (18)
- 画像入力装置に接続される画像形成装置であって、
前記画像入力装置より識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応すると判別された場合、前記画像形成装置に接続される記憶媒体から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応しないと判別された場合、内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行手段とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記実行手段は、前記画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した情報又は前記内部記憶手段に記憶されている情報のうち適したバージョンの情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報の印刷処理を実行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記第1の情報及び前記第2の情報は、ガンマ補正情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 画像入力装置に接続される画像形成装置であって、
前記画像入力装置より識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応すると判別された場合、前記内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別手段により前記取得手段により取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応しないと判別された場合、画像入力装置以外の外部手段のうち通信手段を介して画像形成装置に接続される外部手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行手段とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記実行手段は、前記内部記憶手段に記憶されている前記第1の情報又は前記通信手段を介して画像形成装置に接続される外部手段から取得した前記第2の情報のうち適したバージョンの情報を用いて前記印刷処理を実行することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
- 前記第1の情報及び前記第2の情報は、ガンマ補正情報であることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
- 画像入力装置と、請求項1記載の画像形成装置とを有することを特徴とする画像形成システム。
- 画像入力装置と、請求項4記載の画像形成装置とを有することを特徴とする画像形成システム。
- 画像入力装置に接続される画像形成装置の画像形成方法であって、
前記画像入力装置より識別情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応するか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより前記取得ステップにより取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応すると判別された場合、前記画像形成装置に接続される記憶媒体から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対して前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別ステップにより前記取得ステップにより取得した識別情報が画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した識別情報に対応しないと判別された場合、内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対し前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行ステップとを有することを特徴とする画像形成方法。 - 前記実行ステップは、前記画像形成装置に接続される記憶媒体から取得した情報又は前記内部記憶手段に記憶されている情報のうち適したバージョンの情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報の印刷処理を実行することを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
- 前記第1の情報及び前記第2の情報は、ガンマ補正情報であることを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成方法。
- 画像入力装置に接続される画像形成装置の画像形成方法であって、
前記画像入力装置より識別情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応するか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより前記取得ステップにより取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応すると判別された場合、前記内部記憶手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第1の情報を取得し、前記第1の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対し前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行し、前記判別ステップにより前記取得ステップにより取得した識別情報が内部記憶手段に記憶されている識別情報に対応しないと判別された場合、画像入力装置以外の外部手段のうち通信手段を介して画像形成装置に接続される外部手段から前記画像入力装置の特性に応じた制御を行うための第2の情報を取得し、前記第2の情報を用いて前記画像入力装置から入力される文字、画像情報に対し前記画像入力装置の特性に応じた制御を行ってから印刷処理を実行する実行ステップとを有することを特徴とする画像形成方法。 - 前記実行ステップは、前記内部記憶手段に記憶されている前記第1の情報又は前記通信手段を介して画像形成装置に接続される外部手段から取得した前記第2の情報のうち適したバージョンの情報を用いて前記印刷処理を実行することを特徴とする請求項12記載の画像形成方法。
- 前記第1の情報及び前記第2の情報は、ガンマ補正情報であることを特徴とする請求項12又は13に記載の画像形成方法。
- 前記識別情報は、画像入力装置のIDであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記識別情報は、バージョン情報を含むことを特徴とする請求項15記載の画像形成装置。
- 前記識別情報は、画像入力装置のIDであることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記識別情報は、バージョン情報を含むことを特徴とする請求項17記載の画像形成方法。
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