JP4017475B2 - 繰り出し容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器本体内に収納した内容物をその底部から押し上げて塗布ヘッドの表面上に排出して該内容物の塗布を可能とする繰り出し容器に関するものであって、収納状態にある内容物が塗布ヘッド表面に不用意に排出するのを確実に防止しするとともに、内容物を繰り出したときに生じる残存圧に起因した必要以上の排出を効果的に抑制しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
内容物を適量排出してそのまま塗布することができる繰り出し容器は、容器本体内に収納、保持した内容物をその底部に組み込まれた繰り出し手段により押し上げて塗布ヘッドの開孔部分から排出することができるものであり、塗布ヘッドの表面は塗布対象物の違いにかかわりなく確実な塗布を実現するため外側に向かって凸となる円弧面を有しているが一般的である。
【0003】
かかる繰り出し容器は、保管に際して塗布ヘッドの開孔部分から埃等の異物が侵入しないように該塗布ヘッドを覆い隠すオーバーキャップが装着されるが、その出荷に際しては内容物が不用意に排出することがないようオーバーキャップと塗布ヘッドの相互間にポーラスタイプの吸収体が配置される。該吸収体は、フラットになっておりオーバーキャップの内面で吸収体を塗布ヘッドに押し当てることによって初めて開孔部分を閉塞することができるものであることから、オーバーキャップの装着状態によっては吸収体を塗布ヘッドの表面に均一に配置することができない場合も生じている。
【0004】
また、この種の容器に組み込まれる繰り出し手段は、内容物を保持する中皿と、この中皿に一体的に連結するスクリューロッドとこのスクリューロッドに係合してその回動にて中皿をスクリューロッドとともに塗布ヘッドに向けてスライドさせる回転部材にて構成され、回転部材の回転度合いによって排出量の調整が行なえるようになっているが、従来の繰り出し手段は、中皿をスライドさせて内容物を排出した場合、その際の押圧力が容器内の内容物にそのまま残存するため回転部材の回転を停止させた状態にあるにもかかわらず、内容物が塗布ヘッドの開孔から排出される不具合があり内容物の効率的な排出ができないところに問題を残している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、オーバーキャップと塗布ヘッドの相互間に配置される吸収体を該塗布ヘッドの全域において均一に押し当てるとともに、残存圧に起因した内容物の必要以上の排出を防止できる新規な構造について提案するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内容物を繰り出し可能に収納、保持する容器本体と、容器本体の口部に装着され繰り出された内容物を外表面に排出する複数の開孔を有する塗布ヘッドと、この塗布ヘッドの表面に配置される吸収体と、この吸収体に合わさるインナーゴム層を有し該吸収体とともに塗布ヘッドを覆い隠して容器本体を密閉状態に維持するオーバーキャップを備える繰り出し容器であって、
前記インナーゴム層に、容器本体の密閉状態にて吸収体を塗布ヘッドに全域において均一に押し付ける複数の突起を設けたことを特徴とする繰り出し容器である。
【0007】
上記の構成になる繰り出し容器においてインナーゴム層は、その表裏において連通し、該インナーゴム層とオーバーキャップの相互間に形成される排気通路につながる貫通孔を備えるものが有利に適合する。
【0008】
開孔は、容器本体の内側に向けて広がるテーパ面を有するのが好ましい。
【0009】
上記の繰り出し容器において、繰り出し手段は、内容物を保持し容器本体の内壁に沿って摺動可能な中皿と、この中皿と一体になるスクリューロッドと、スクリューロッドを移動可能に支えるガイドを有し容器本体の底部に組み込まれるベースと、スクリューロッドに係合する係合部を有し該ベース及び容器本体底壁の相互間でガイドの周りに回転可能に弾性支持されかつ、その回転中にスクリューロッドとともにその軸心に沿って振動して内容物のバックサクションを誘導する回転体にて構成することができ、容器本体底壁には、回転体を弾性支持するために、該底壁を舌片状に切り起こした弾性支持部材(板ばね)を設けるのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明に従う繰り出し容器の外観斜視図である。図において1は塗布すべき内容物を繰り出し可能に収納、保持する容器本体であり、この容器本体1は内容器1aを備えたものを例として示してある(図3参照)。また、2は容器本体1の口部に装着される塗布ヘッドである。この塗布ヘッド2は容器本体1内から繰り出された内容物をその外表面に排出する複数の開孔2aを有しており、その要部断面を図2に示すように、該開孔2aは容器本体1の内側に向けて広がるテーパ面Pが形成され、内容物をスムーズに排出することができるようになっている。
【0011】
また、3は塗布ヘッド2の表面に配置されるポーラスタイプの吸収体、4は塗布ヘッド2を覆い隠して容器本体1を密閉状態に維持するオーバーキャップ、5はオーバーキャップ4の内側に配置される例で示したインナーゴム層である。
【0012】
インナーゴム層5には、容器本体の密閉状態にて吸収体3を塗布ヘッド2の全域において均一に押し付けるための複数の突起5a(図4参照)と、その表裏において連通しインナーゴム層5とオーバーキャップ4の相互間に形成される排気通路fにつながる貫通孔5bが設けられている。
【0013】
また、6は容器本体1に設けられた繰り出し手段であり、この繰り出し手段6は図3に容器の断面を示すごとく、内容物を保持し内容器1aの内壁に沿って手動可能な中皿6aと、この中皿6aに連結保持されるスクリューロッド6bと、スクリューロッド6bを移動可能に支えるガイドgを有し容器本体1の底部に組み込まれるベース6cと、スクリューロッド6bに係合する係合部tを有しベース6c上でガイドgの周りに回転可能に弾性支持されかつ、その回転中にスクリューロッド6bとともにその軸心に沿って一定の周期でもって振動(上下動)して内容物のバックサクションを誘導する回転体6dからなっている。
【0014】
7は鋸刃状の凸部rを有しベース6c上に一体的に形成された環状体、8は内容器1aの底壁を舌片状に切り起こして回転体6dを弾性支持する弾性支持部材(板ばね)、9は回転体6dの裏側面に設けられ、環状体7の凸部rに適合する鋸刃状の凹部である。
【0015】
図4にインナーゴム層5をオーバーキャップ4から取り外した状態における外観斜視図を、図5に容器の分解斜視図を、さらに図6に回転体の裏側面をそれぞれ示す。
【0016】
吸収体3は、商品として出荷する段階で内容物が開孔2aを通して塗布ヘッド3の表面に排出されないように該開孔2aを閉塞させるために配置されるものであって、これはフラットで薄いシート状のものであることから、外側に向かって凸となる円弧面を有する塗布ヘッド2の表面全域において均一な力でもって押し付けておくには困難があるが、本発明においてはインナーゴム層5に突起5aが設けてあるため、オーバーキャップ4を装着した際、該突起5aが吸収体3に突き当たることとなり塗布ヘッド2の全域に適度な力でもって押し付けられる。
【0017】
オーバーキャップ4を装着する際に該キャップの内部空間に存在する空気は、貫通孔5aから排気通路6を経てその合わせ部分から大気中へと効果的に排出されるのでその装着は極めてスムーズであり、また、インナーゴム層5は軟質なので取り付け、取り外しが非常にソフトな感じで行なえる。
【0018】
ベース6cの環状体7に設けられた鋸刃状の凸部rと回転体6dの裏側面に設けられた凹部9は、弾性支持下にある回転体6dを一方向にのみ回転させるラチェットを構成するものであり、これにより内容物の定量排出を可能とする。
【0019】
図3に示したところにおいて内容物を排出すべく、回転体6dを回転させるとこの回転体6dに係合するスクリューロッド6bがガイドgに沿って中皿6aとともに塗布ヘッド2に向かって直線的に移動していき、中皿6aに保持された内容物が押し上げられ塗布ヘッド2の開孔2aから排出される。
【0020】
このとき、回転体6dの凹部9は環状リング7の凸部rを次々と乗り越えながら移動するため、該回転体6d、スクリューロッド6b、中皿6a、内容物はスクリューロッド6bの軸心L(図3参照)に沿う向きに振動(上下動)する。
【0021】
内容物の排出を停止すべく回転体6dの回転を止めると回転体6dが容器の底部に向かって移動する分だけ中皿6aが内容物とともに容器本体1の内部に引き込まれる、いわゆるバックサクションが誘導されることとなり、内容物に負荷される押圧力はすぐさま解除され残存圧によって内容物が必要以上に排出されることはない。
【0022】
回転体6dは一方向にのみ回転して定量排出を可能とするラチェット式として図示したが、環状体7に設けた凸部rおよび回転体6dの凹部9につき、なだらかな傾斜を有するものとして逆回転できるようにしてもよく、これにより必要に応じて内容物を容器内に向けて引き込むこともできる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布ヘッドの表面において吸収体をその全域で均一な力でもって押し付けることができるので、該塗布ヘッドの開孔を確実に閉塞させることが可能となり商品の流通段階あるいは出荷段階で内容物が塗布ヘッドの表面に排出されることはない。
【0024】
また、本発明によれば、内容物を排出する際に容器内に残存圧が生じないので、必要以上に内容物が排出されることはなく、内容物を効率よく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う繰り出し容器の外観斜視図である。
【図2】 図1の要部の断面を示した図である。
【図3】 (a)(b)は図1に示した容器の断面を示した図である。
【図4】 インナーゴム層の外観斜視図である。
【図5】 図1に示した容器の分解斜視図である。
【図6】 回転体の外観斜視図である。
【符号の説明】
1 容器本体
1a 内容器
2 塗布ヘッド
2a 開孔
3 吸収体
4 オーバーキャップ
5 インナーゴム層
5a 突起
6 繰り出し手段
6a 中皿
6b スクリューロッド
6c ベース
6d 回転体
7 環状体
8 弾性支持部材
9 凹部
P テーパ面
g ガイド
t 係合部
r 凸部
Claims (4)
- 内容物を繰り出し可能に収納、保持する繰り出し手段を備えた容器本体と、容器本体の口部に装着され繰り出しに係わる内容物を外表面に排出する複数の開孔を有する塗布ヘッドと、この塗布ヘッドの表面に配置される吸収体と、この吸収体に合わさるインナーゴム層を有し該吸収体とともに塗布ヘッドを覆い隠して容器本体を密閉状態に維持するオーバーキャップを備える繰り出し容器であって、
前記インナーゴム層に、容器本体の密閉状態にて吸収体を塗布ヘッドの全域において均一に押し付ける複数の突起を設けたことを特徴とする繰り出し容器。 - インナーゴム層は、その表裏において連通し、該インナーゴム層とオーバーキャップの相互間に形成される排気通路につながる貫通孔を備える、請求項1記載の繰り出し容器。
- 開孔は、容器本体の内側に向けて広がるテーパ面を有する、請求項1又は2記載の繰り出し容器。
- 繰り出し手段が、内容物を保持し容器本体の内壁に沿って摺動可能な中皿と、この中皿と一体になるスクリューロッドと、スクリューロッドを移動可能に支えるガイドを有し容器本体の底部に組み込まれるベースと、スクリューロッドに係合する係合部を有し該ベース及び容器本体底壁の相互間でガイドの周りに回転可能に支持されかつ、その回転中にスクリューロッドとともにその軸心に沿って振動して内容物のバックサクションを誘導する回転体からなり、
容器本体底壁に、その底壁を舌片状に切り起こして回転体を弾性支持する弾性支持部材を設けた、請求項1〜4の何れかに記載の繰り出し容器。
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