JP4015338B2 - エピスルフィド系重合性組成物及び樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録媒体用基板、フィルター、発光ダイオード等の光学材料に使用される樹脂及びその樹脂の原料となる重合性組成物に関するものであり、特に眼鏡用プラスチックレンズの原料として好適に使用される重合性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学材料に急速に普及してきている。これらプラスチックレンズに要求され続けている性能は光学性能としては高屈折率、高アッベ数、物理的性質としては高加工性、高耐熱性、低比重である。
【0003】
これらの性能の内、高耐熱性、低比重については現在の高屈折率プラスチックレンズでも高いレベルで実現されてきている。現在、これらの目的に広く用いられる樹脂としては、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(以下、D.A.Cと称す)をラジカル重合させたものがある。この樹脂は、耐衝撃性に優れていること、軽量であること、染色性に優れていること、切削性および研磨性等の加工性が良好であること等、種々の特徴を有している。しかしながら、この樹脂は、屈折率ndが1.50前後と低く、レンズの中心厚やコバ厚が厚くなってしまい、より屈折率の高いレンズ用樹脂が望まれていた。
【0004】
D.A.C樹脂よりも屈折率を高くしたものとして、樹脂中に硫黄原子を導入した、ポリチオウレタン樹脂(特公平4−58489等)や含硫O−(メタ)アクリレート樹脂(特開平4−161410等)やチオ(メタ)アクリレート樹脂(特公平3−59060等)が知られている。ポリチオウレタン樹脂は、高屈折率で耐衝撃性が良好である等、バランスの優れた樹脂である。
【0005】
しかしながら、屈折率とアッベ数に関しては屈折率が上昇するほどアッベ数が低くなると言った相反する物性であるため両方を同時に向上させることは非常に困難である。そこで、アッベ数の低下を抑えながら、高屈折率化を行う検討が盛んに行われている。
【0006】
これらの検討の中で最も代表的な提案は、特開平9−110979号公報及び特開平9−71580号公報及び特開平9−255781号公報、特開平11−140070号公報及び特開平11−183702号公報、特開平11−189592号公報等でエピスルフィド化合物を使用する方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法によれば、比較的高いアッベ数を有しながら高い屈折率が実現できる。しかしながら、これらのエピスルフィド化合物を原料とするエピスルフィド系重合性組成物は、そのエピスルフィド系化合物及び/またはその不純物などの独特の臭気があり、樹脂成型時等の重合性組成物取り扱い時に作業者に多大な不快感を与える場合がある。そのため、この様な重合性組成物の取り扱いは、ドラフト設備などの排気設備を必要とし設備コストが増大すると共に、作業性に関しても不便を強いられていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、
分子内に式(1)
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R1は炭素数1〜10の2価の炭化水素基、R2、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を示す。XはSまたはOを表し、このSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均で50%以上である。)
で示される構造を1個以上有する化合物を含有する重合性組成物を、一定時間減圧処理することにより多大な不快感をもたらす臭気成分が減量され、樹脂成型時等の重合性組成物取り扱い時の作業性が改善されると共に、排気装置などの設備を不要とし、設備コストの増大を抑えることが可能となることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、分子内に前記式(1)で示される構造を1個以上有する化合物を含有する重合性組成物を重合して樹脂を製造する方法であって、該重合性組成物の調製段階或いは調製後に一定時間減圧処理することによって、前記重合性組成物中の臭気成分を減量する工程を有することを特徴とする製造方法であり、前記減圧処理により臭気成分が減量された重合性組成物に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の上記式(1)で示される構造を1個以上有する化合物の好ましいものとしては、下記式(2)で表される化合物が例示される。
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、R5〜R10はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を示す。XはSまたはOを表し、このSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均で50%以上である。Yは置換または未置換の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜10の炭化水素基、置換または未置換の1,4−ジチアン基、アリーレン基、アラルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。)
【0015】
式(1)で示される構造を1個以上有する化合物の具体例としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、3,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1−(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[{2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[{2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物、及び、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[{2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル}チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物、及び、
1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス{4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル}メタン、2,2−ビス{4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル}プロパン、ビス{4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル}スルフィド、ビス{4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル}スルフォン、4,4’−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族2,3−エピチオプロピルチオ化合物等、更に3−メルカプトプロピレンスルフィド、4−メルカプトブテンスルフィド等メルカプト基含有エピチオ化合物等を挙げることができるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。これら例示化合物の内、より好ましい化合物としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド及びビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィドである。最も好ましい化合物としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィドである。
【0016】
又、本発明の重合性組成物では、上記エピスルフィド化合物のエピチオ基の一部又は全部がエポキシ基で置換された化合物も使用することができるが、エピチオ基が組成物中のエピチオ及びエポキシ基の合計に対して平均で50%以上となるように配合する。
【0017】
本発明における樹脂成形時等の重合性組成物取り扱い時に多大な不快感を与える臭気成分としては、硫化水素等の低沸点含硫無機化合物、プロピレン等の炭化水素系低沸点化合物、エチレンスルフィド、プロピレンスルフィド等の低沸点単官能エピチオ化合物、アリルメルカプタン等の低沸点メルカプト化合物、更にアリルスルフィド等の低沸点スルフィド化合物等を挙げることができるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。これらは、エピスルフィド系重合性組成物の製造時及び/又は保管時に副生及び/又は分解により精製し、重合性組成物中に溶存しているものである。
【0018】
本発明においては、これらの臭気成分を含む、分子内に式(1)の構造を1個以上有する化合物を含有する重合性組成物を、減圧処理などの方法に供することにより臭気成分の減量が可能である。本発明における減圧処理とは、バキュームポンプ、アスピレータ等の減圧装置につながれた装置内で真空度13.3Paから66.7kPa、好ましくは13.3Paから13.33kPa、より好ましくは13.3Paから6.67kPa下で、攪拌しながらもしくは不活性ガスを吹き込みながら、または静置した状態で一定時間処理することを意味する。この真空度が66.7kPaを越える場合、重合性組成物中の臭気成分の減量が十分行われず、樹脂成型時等の重合性組成物取り扱い時の多大な不快感を低減できない場合がある。また、真空度が13.3Pa未満である場合、低沸化合物の揮散により重合性組成物の組成が変わる場合がある。
【0019】
この減圧処理の時間は、分子内に式(1)の構造を1個以上有する化合物の純度、重合性組成物の組成、粘度、減圧処理時の温度などによっても異なるが1分から100時間かけて行われる。好ましくは5分から50時間、より好ましくは10分から10時間である。真空度が小さく、処理時間が短い場合、臭気成分が減量されずに不快臭が残る場合があり、処理時間が長い場合、製造効率が著しく低下する場合や、重合性組成物の劣化が促進される場合がある。減圧処理時の温度は、分子内に式(1)の構造を1個以上有する化合物の純度、重合性組成物の組成、粘度、減圧処理時の真空度、時間などによって一概に規定できないが、常温或いは加温して行うことができる。通常は、0℃から50℃の範囲で行えば良く、好ましくは10℃から40℃の範囲である。
【0020】
この減圧処理は分子内に式(1)で示される構造を1個以上有する化合物を含有する重合性組成物単独の場合だけでなく、重合抑制剤、得られる樹脂の改良をする目的で樹脂改質剤、樹脂成形に用いられる公知の種々物質、更には硬化触媒を添加した状態など、樹脂成形の際に問題とならない、いずれのタイミングで行ってもよい。
【0021】
本発明の別の目的である高屈折率を実現するには、上記(1)式中のR1はより好ましくはメチレン基であり、R2、R3、R4はより好ましくは水素原子である。
【0022】
本発明に係わる重合性組成物とは、上記式(1)で示される構造を1個以上有する化合物を含有する重合性組成物であり、これらの組成物には、これら化合物の2量体、3量体、4量体等のポリエーテルオリゴマー類またはポリスルフィドオリゴマー類、重合抑制剤として添加した無機酸類及び有機酸類、溶媒その他副成物等の有機化合物、無機化合物も問題にならない範囲で含まれていてもよい。
【0023】
本発明に係わる重合性組成物には、主に得られる樹脂の屈折率等の光学物性の調整や、耐衝撃性、比重等の諸物性を調整するためや、重合性組成物の粘度、その他の取扱い性を調整するためなど、樹脂の改良をする目的で、樹脂改質剤を加えることができる。
【0024】
樹脂改質剤としては、前記分子内に式(1)で示される構造を1個以上有する化合物以外のエポキシ化合物類及びアミン化合物類、チオール化合物、メルカプト有機酸類、有機酸類及び無水物類、アミノ酸及びメルカプトアミン類、(メタ)アクリレート類等を含むオレフィン類が挙げられる。
【0025】
樹脂改質剤として添加を可能とするアミン化合物の好ましいものの具体例としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、アリルアミン、アミノメチルビシクロヘプタン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、2,3−、あるいは4−メチルベンジルアミン、o−、m−、あるいはp−メチルアニリン、o−、m−、あるいはp−エチルアニリン、アミノモルホリン、ナフチルアミン、フルフリルアミン、α−アミノジフェニルメタン、トルイジン、アミノピリジン、アミノフェノール、アミノエタノール、1−アミノプロパノール、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、メトキシエチルアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2,2−ジエトキシエチルアミン等の単官能1級アミン化合物、エチレンジアミン、1,2−、あるいは1,3−ジアミノプロパン、1,2−、1,3−、あるいは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−、1,3−、あるいは1,4−ジアミノシクロヘキサン、o−、m−あるいはp−ジアミノベンゼン、3,4−あるいは4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−あるいは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−、あるいは4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−、1,8−、あるいは2,3−ジアミノナフタレン、2,3−、2,6−、あるいは3,4−ジアミノピリジン、2,4−、あるいは2,6−ジアミノトルエン、m−、あるいはp−キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、1,3−、あるいは1,4−ジアミノメチルシクロヘキサン、2−、あるいは4−アミノピペリジン、2−、あるいは4−アミノメチルピペリジン、2−、あるいは4−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリン等の1級ポリアミン化合物、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、N−メチルアリルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジフェニルアミン、N−メチルアミン、N−エチルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジナフチルアミン、1−メチルピペラジン、モルホリン等の単官能2級アミン化合物、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジエチル−1,7−ジアミノヘプタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン化合物等を挙げることができるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。これら例示化合物の内、より好ましいものは、ベンジルアミン、ピペラジン類である。
【0026】
また、樹脂改質剤として添加を可能とするエポキシ化合物の好ましいものの具体例としては、ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多価フェノール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合反応により得られるフェノール系エポキシ化合物、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の多価アルコール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアルコール系エポキシ化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートや1,2−ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の多価有機酸化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるグリシジルエステル系エポキシ化合物、一級及び二級ジアミン化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアミン系エポキシ化合物等その他、ビニルシクロヘキセンジエポキシド等脂肪族多価エポキシ化合物等を挙げることができるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0027】
また、チオール化合物の好ましいものの具体例としてはメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトチオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトチオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス3−メルカプトプロピオネート)、1,1,1−トリメチルメルカプトエタン、1,1,1−トリメチルメルカプトプロパン、2,5−ジメルカプトメチルチオファン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス{(2−メルカプトエチル)チオメチル}−1,4−ジチアン、1,3−シクロヘキサンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン等の脂肪族チオール、及び、
ベンジルメルカプタン、チオフェノール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフォン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,2,5−トリメルカプトベンゼン等の芳香族チオールが挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0028】
メルカプト有機酸化合物の好ましいものの具体例としては、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオ酢酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0029】
有機酸及びその無水物の好ましいものの具体例としては、チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルノルボルネン酸無水物、メチルノルボルナン酸無水物、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0030】
オレフィン類の好ましいものの具体例としては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルアクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−アクロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクロキシジエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールFジアクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、1,1−ビス(4−アクロキシエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−メタクロキシエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−アクロキシジエトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−メタクロキシジエトキシフェニル)メタン、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、メチルチオアクリレート、メチルチオメタクリレート、フェニルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート、キシリレンジチオールジアクリレート、キシリレンジチオールジメタクリレート、メルカプトエチルスルフィドジアクリレート、メルカプトエチルスルフィドジメタクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のアリル化合物、スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、3,9−ジビニルスピロビ(m−ジオキサン)等のビニル化合物、ジイソプロペニルベンゼン等が挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0031】
これら、数種の樹脂改質剤はいずれも単独種でも2種類以上を混合して使用しても良い。
【0032】
本発明の重合性組成物は、硬化触媒の存在下あるいは不存在下に、加熱あるいは常温放置により重合がなされ、樹脂を製造することができる。ただし、硬化触媒不存在下、または、常温放置状態では重合が良好に進行せず重合不良となったり、または、重合しない場合がある。本発明に用いる硬化触媒としては本発明の樹脂改質剤以外のアミン類、ホスフィン類、ルイス酸類、ラジカル重合触媒類、カチオン重合触媒類等が通常用いられる。
【0033】
硬化触媒の好ましいものの具体例としては、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、トリベンジルアミン、N−メチルジベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−イソプロピルモルホリン、ピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、α−、β−、あるいはγ−ピコリン、2,2’−ビピリジル、1,4−ジメチルピペラジン、ジシアンジアミド、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪族及び芳香族3級アミン類、その他、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリn−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、テトラクロロ錫、ジブチル錫オキサイド、塩化亜鉛、アセチルアセトン亜鉛、塩化アルミ、フッ化アルミ、トリフェニルアルミ、テトラクロロチタン、酢酸カルシウム等のルイス酸、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、n−ブチル−4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のラジカル重合触媒、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ燐酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ砒酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロ硼酸、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロ燐酸、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロ砒酸等のカチオン重合触媒が挙げられるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
これら硬化触媒は単独でも2種以上を混合して用いても良い。
【0034】
硬化触媒の添加量は、分子内に式(1)で示される構造を1個以上有する化合物を含有する組成物の総重量に対して0.001〜10質量%の範囲で用いられ、好ましくは0.01〜1質量%の範囲で使用される。硬化触媒の添加量が0.001質量%未満であるとその効果が小さいため重合不良の原因となる場合がある。一方、10質量%を越えてもできるが、ポットライフが短くなったり、透明性、光学物性、又は耐候性が低下するなどの不都合が生じてくる場合がある。
【0035】
本発明の樹脂を得るための重合法、重合条件等は、用いる硬化触媒等の種類や量、単量体の種類や割合によって、一概に限定する事はできないが、代表的な重合方法としては、たとえば注型重合が挙げられる。即ち、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド間に、本発明の減圧処理された重合性組成物を注入する。ここで重合性組成物には必要に応じて硬化触媒および樹脂改質剤を混合しておいてもよい。次いで、オーブン中や水中など加熱可能装置内で加熱することにより硬化させ、樹脂を取り出すことができる。
【0036】
成型モールドに注入された本発明の重合性組成物の加熱重合条件は、分子内に式(1)で示される構造を1個以上有する化合物、及び樹脂改質剤の種類、硬化触媒の種類、成型モールドの形状等によって大きく条件が異なるため一概には限定できないが、およそ−50〜200℃の温度で0.1〜100時間かけて行われる。
【0037】
場合によっては、10℃から150℃の温度範囲で保持するかまたは徐々に昇温し、1〜80時間で重合させれば好ましい結果を与えることがある。
【0038】
更には、本発明の重合性組成物は、紫外線等の照射により重合時間の短縮を図ることも可能である。この際には、ラジカル重合触媒等の硬化触媒等を添加しても良い。
【0039】
本発明の樹脂の成形の際には、目的に応じて公知の成形法におけると同様に、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、本発明以外の着色防止剤、染料、充填剤、内部及びまたは外部離型剤、内部及びまたは外部密着性改善剤、染色性向上剤として水酸基を有した化合物などの種々の物質を添加してもよい。
【0040】
また、取り出した樹脂成形体については、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。更に、本発明の樹脂は、注型重合時の成型モールドを変えることにより種々の形態の成形体として得ることができ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、発光ダイオード(LED)等の光学材料、透明樹脂としての各種の用途に使用することができる。特に、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学材料として好適である。
【0041】
さらに、本発明の光学材料を用いたレンズでは、必要に応じ、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいは、ファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0043】
実施例、比較例に使用した化合物は、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド;以下化合物(A)と略す、及びビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド;以下化合物(B)と略す、更に4,8or4,7or5,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン;以下化合物(C)、それぞれであった。
【0044】
実施例1
化合物(A)100gを20℃、真空度133Paにて5時間攪拌下減圧処理したものに、化合物(C)を10g混合し、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1g、硬化触媒としてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1gを添加し混合後、さらに真空度133Paで0.1時間脱泡した後、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。この調合の際、不快な臭気は低減されており、作業上問題なかった。できあがった成形体も何ら問題なかった。
【0045】
実施例2
化合物(A)100gに化合物(C)10g混合し、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1g混合後、20℃、真空度133Paにて5時間攪拌下減圧処理した。その後、硬化触媒としてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1gを添加混合し、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。このモールド注入の際、不快な臭気は低減されており、作業上問題なかった。できあがった成形体も何ら問題なかった。
【0046】
実施例3
化合物(B)100gを20℃、真空度133Paにて5時間攪拌下減圧処理したものに、化合物(C)10g混合し、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1g、硬化触媒としてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1gを添加し混合後、さらに真空度133Paで0.1時間脱泡した。その後、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。この調合の際、不快な臭気は低減されており、作業上問題なかった。できあがった成形体も何ら問題なかった。
【0047】
比較例1
化合物(A)100gに、化合物(C)10g混合し、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1g、硬化触媒としてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1gを添加し混合後、真空度133Paで0.1時間攪拌下減圧処理し、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。この調合及び注入の際、不快な臭気が軽減しておらず、作業上ドラフト設備内で作業する必要があった。
【0048】
比較例2
化合物(B)100gに、化合物(C)10g混合し、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1g、硬化触媒としてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1gを添加し混合後、真空度133Paで0.1時間攪拌下減圧処理し、ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。この調合及び注入の際、不快な臭気が軽減しておらず、作業上ドラフト設備内で作業する必要があった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の減圧処理による特定臭気成分の減量により、十分に高い屈折率とバランスのとれたアッベ数を有する樹脂を成型可能とする、式(1)で示される構造を1個以上有する化合物を含有する重合性組成物の、樹脂成型時等の重合性組成物取り扱い時に生じる多大な不快感を低減でき、作業性の向上、設備コストの抑制が可能となった。
Claims (11)
- 分子内に下記式(1)
- 臭気成分が、炭化水素系低沸点化合物、低沸点単官能エピチオ化合物、低沸点メルカプト化合物及び低沸点スルフィド化合物からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 臭気成分が、プロピレン、プロピレンスルフィド、アリルメルカプタン及びアリルスルフィドからなる群から選択される1種以上である請求項3に記載の製造方法。
- 減圧処理が、分子内に式(1)で示される構造を1個以上有する化合物を他の成分と混合して重合性組成物を調製する前に、該化合物に対して実施されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 分子内に下記式(1)
- 臭気成分が、炭化水素系低沸点化合物、低沸点単官能エピチオ化合物、低沸点メルカプト化合物及び低沸点スルフィド化合物からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項6又は7に記載の重合性組成物。
- 臭気成分が、プロピレン、プロピレンスルフィド、アリルメルカプタン及びアリルスルフィドからなる群から選択される1種以上である請求項8に記載の重合性組成物。
- 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の重合性組成物を重合させて得られる樹脂。
- 請求項10記載の樹脂からなる光学材料。
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