JP4015201B2 - 補助分子リガンド遺伝子を含む新規な発現ベクター、ならびに免疫調節のためのならびに悪性腫瘍および自己免疫疾患の処置のためのその用途 - Google Patents
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Description
本出願は、キップス等、「補助分子リガンド遺伝子を含む新規な発現ベクター、ならびに免疫調節のためのおよび悪性腫瘍の処置のためのそれらの用途」(1996年12月9日出願の米国仮出願第60/132145号)に対する優先権を主張するものであり、これを図面を含めて引用して本明細書の一部とする。
発明の技術分野
本発明は、補助分子リガンドをコードしている遺伝子を含む新規な発現ベクター、ならびに、免疫調節、改良されたワクチン接種プロトコルならびに悪性腫瘍および自己免疫疾患の処置のためのそれらの用途に関するものである。より詳細には、本発明は、種々の新生物細胞または悪性細胞を処置するための発現ベクターおよび方法、ならびに自己免疫疾患を処置するための発現ベクターおよび方法を提供するものである。さらに本発明は、高い安定性および増強された機能を有する補助分子リガンドの生成および発現を企図するものである。
発明の背景
白血病、リンパ腫、癌腫およびその他の悪性腫瘍は良く知られており、例えば「ハリソンの内科学の原理」、ウィルソン等編、マクグロウ−ヒル、ニューヨーク、1599-1612頁に記載されている。これらの悪性腫瘍は、迅速且つ連続的に増殖する細胞を排除する免疫系の監視機構を、どういう訳か免れてきたように見受けられる。これらの悪性腫瘍が免疫系の監視を免れる正確な仕組みはわかっていない。
これら悪性の免疫系細胞の幾つかは、免疫カスケード内で適切に機能しない悪性抗原提示細胞である。例えば、新生物的B細胞は、インビトロで、弱い同種内のまたはオートロガスの混合リンパ球反応さえも誘発することができない。悪性腫瘍が免疫監視機構の機能不全のせいで生き残るさらなる証拠は、同種移植レシピエントおよび長期免疫抑制療法を受けている対象といったような免疫妥協した個体では、係る悪性腫瘍の頻度が上がるということを包含する。さらに、これらの悪性腫瘍の頻度は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者および原発性免疫不全症候群、例えばX連鎖リンパ増殖性症候群またはウィスコット−アルドリッヒ症候群の患者において上昇する(トマス等、Adv.Cancer Res.、57:329、1991)。
免疫系は通常、悪性細胞を外来細胞として認識し、それらの細胞を身体から一掃することにより、悪性細胞を排除するよう機能する。免疫反応は、患者内部の免疫系の抗体反応および細胞免疫反応の両者に依存している。より詳細には、悪性細胞を外来のものとして認識するよう働く細胞性免疫反応は、幾つかの異なった免疫系の細胞と、それらの細胞間の相互作用とを必要とする。免疫反応は、その細胞表面にT細胞レセプターを有するTリンパ球(T細胞)で始まる。T細胞はまた、Bリンパ球(B細胞)上の補助分子と相互作用する種々の補助分子をその表面に発現する能力をも有する。T細胞のT細胞レセプターが悪性細胞のような外来抗原と特異結合すると、これは活性化し、その細胞表面に補助分子リガンドCD40リガンドを発現する。補助細胞分子リガンドは、活性化したT細胞上に短時間存在するにすぎず、その細胞表面から速やかに除去される。補助細胞分子リガンドが活性T細胞の表面から除去された後は、補助分子リガンドを介してB細胞に結合する能力は失われる。
活性T細胞の表面に存在する時、補助細胞リガンドは、B細胞に存在する補助細胞分子と特異結合することができる。この特異的なT−B細胞相互作用は、BおよびT細胞に共同刺激表面補助分子およびサイトカインを発現させ、これらが、悪性細胞を特異的に殺し身体から除去する細胞溶解T細胞を導く免疫活性化を引き起こす。
活性T細胞との相互作用はB細胞のみに限定されている訳ではなく、T細胞に抗原を提示できる任意の細胞(抗原提示細胞)によって行われ得る。これらの細胞は、Bリンパ球、マクロファージ、樹状細胞、単球、ランゲルハンス細胞、交互嵌入細胞、濾胞樹状細胞またはクッパー細胞を包含する。これらの細胞は全て、それらを免疫系の他の細胞と相互作用させることを可能にする様々な補助分子を細胞表面に持っていることが知られている。例えば、これらの抗原提示細胞は全てその細胞表面に補助分子CD40を持っている。これら補助分子の存在により、抗原提示細胞が相補的補助分子リガンドに特異結合でき、したがって他の免疫細胞と直接相互作用できるのである。
多数の補助分子リガンドが腫瘍壊死因子スーパーファミリーの成員である(ファンスロウ等、Sem.Immun.、6:267-268(1994))。これらの補助分子リガンドのうち幾つかのものの遺伝子がクローニングされ同定されている。これらの補助分子リガンド遺伝子は、補助分子をコードしており、それらは全てII型膜タンパクの立体配置を有し、他の補助分子リガンド遺伝子と様々な程度の相同性を表している。例えば、マウスCD40リガンドおよびヒトCD40リガンドの両者をコードしている補助分子リガンド遺伝子が分離されている。アーミティッジ等、Nature、357:80-82(1992)およびホーレンボウ等、EMBO J.11:4313-4321(1992)を参照されたい。
CD40およびそのリガンドCD40リガンドは、正常な免疫反応の重要な構成因子である。CD40により仲介されるシグナルは、免疫リンパ球を増殖および分化させ、有効な抗原提示細胞にさせる。悪性または新生物的B細胞は、能力の低い抗原提示細胞であり、活発な同種混合リンパ球反応を刺激することができない。免疫細胞上のCD40分子がうまく架橋すると、強い免疫反応を触発する強い同種混合リンパ球反応が導かれる。CD40を強力に架橋させるために、様々な可溶性CD40リガンドまたはCD40に特異的な抗体が使用されてきた。これらの可溶性CD40リガンドおよびCD40に特異的な抗体は、抗原提示細胞上のCD40分子の架橋にとって最適ではなく、また、抗原提示細胞の強い刺激を引き起こすために細胞膜上に発現されるCD40リガンドほど有効に働く訳ではない。これらの方法はまた、大量のCD40リガンド構築物または抗体を分離せねばならず、それが困難なそして時間のかかる仕事であるため、実行が難しい。培養細胞を産生し次いでそれを抗原提示に使用する、CD40リガンドを有する線維芽細胞の形質転換を含む、溶液状態または膜結合分子としてのCD40リガンドを利用する別の方法は、インビボのヒト臨床プロトコルには従わない。
CD95(Fas)とそのリガンド(Fas-リガンド、またはFasL)との相互作用は、免疫反応の持続および/または活性リンパ球の寿命を制限するよう機能する。Fas-FasL結合により誘発されるアポトーシスは、活性化した自己反応性リンパ球を一掃する働きを有する。この経路を変えることにより惹起される問題は、Fas-Fasリガンド相互作用に欠陥を有する動物で立証されている。CD95またはFasLを不活性化する突然変異を有するマウスは、慢性関節リウマチ(RA)または全身性狼瘡の患者に見られるものと類似する自己免疫疾患を包含する数多くの疾患を発生させる。ザング等、J.Clin.Invest.100:1051-1957(1997)は、コラーゲン誘発関節炎のマウスの関節にFasLを発現するウイルスを注射すると、滑液細胞のアポトーシスおよび関節炎症状の緩解が導かれることを示している。Fasリガンドの発現は、自己免疫疾患の病因に或る役割を果たしている活性化された細胞の一掃を可能にする。故に、慢性関節リウマチ患者の関節にFasLを導入する遺伝子治療方法は、浸潤している単核細胞の破壊を導くことにより疾病の病理を改善するよう機能し得る。
可溶性補助分子および補助分子リガンドの投与は、望ましくない生理的効果を伴うまたはその引き金となることが示されている。例えば、野生型CD40レセプター発現を行うマウスを可溶性CD40L−CD8融合タンパクで処置すると、肺の炎症反応を引き起こした。これは、CD40レセプターの遺伝子がノックアウトされているマウスでは観察されなかった。J.A.ウィレイ等、Journal of Immunology、158:2932-2938(1997)に記載されるこれらの実験は、CD40のライゲーションが炎症反応を引き起こし得ることを示唆するインビトロデータを支持するものである。
K.J.トレーシーおよびA.セラミ、Annu.Rev.Med.45:491-503(1994)に記載されるように、精製された組換え可溶性腫瘍壊死因子(αまたはβのいずれか)の直接投与は、ショックおよび組織損傷をもたらす。TNFを静脈内または動脈内に急激に投与した後、数分以内に、ショック、組織損傷、毛管漏洩症候群、低酸素症、肺浮腫、および高死亡率を伴う多臓器不全の症状が起こる。長期にわたるTNFの低用量投与は、食思不振、体重減少、脱水および全身のタンパクおよび脂肪の涸渇を招く。
可溶性Fasリガンドおよびレセプターはまた、組織損傷およびその他の望ましくない作用を伴うことが示されている。FasレセプターCD95はアポトーシスの仲介物質である。FasリガンドはFasレセプターに結合することによりアポトーシスを誘発する。P.R.ガレ等、J.Exp.Med.182:1223-1230(1995)が示すように、拮抗関係にある抗Fas抗体の投与はマウスに肝障害をもたらした。拮抗する抗体を腹腔内注射されたマウスは数時間以内に死に、分析により、アポトーシスによる重篤な肝障害が死をもたらした可能性が最も高いことが判明した。
劇症リンパ腫の際の全身的な組織損傷の病因論における可溶性Fasリガンド(FasL)の役割が、K.サトー等、British Journal of Haematology、94:379-382(1996)に記載されている。この報告に提示されている発見は、可溶性FasLが肝損傷および汎血球減少症の病因と直接関係していることを示している。
補助分子リガンドCD70のレセプターCD27は、ヴァン・オース等、Blood、82:3430-3436(1993)に書かれた報告で、B細胞の悪性腫瘍に関係することが示された。
これらの発見は全て可溶性補助分子リガンドの投与を禁忌とし、その可溶性型の上昇をもたらすことなくこれらの分子のレベルを増大させる治療法の必要性を強調するものである。
補助分子リガンド遺伝子および様々な免疫細胞表面でのそれらの発現に関する情報が豊富であるにも関わらず、この補助分子リガンド遺伝子が抗原提示細胞上で調節される正確な機構は未だ知られていない。これら抗原提示細胞上での補助分子リガンド遺伝子の発現調節に関する特別の知識無しには、補助分子リガンド遺伝子の発現を変化させることにより免疫反応を変えることは、現在の所不可能である。或る抗原提示細胞上で補助分子リガンド遺伝子の発現を如何に調節するかという特別な知識無しには、悪性細胞に対する免疫反応を変えることは不可能である。したがって、抗原提示細胞を包含する正常のおよび悪性の細胞上での補助分子リガンド遺伝子の発現を増大させる方法に対する必要性がある。
さらに、補助分子リガンドの発現を調節する能力無しには、これらの細胞の免疫的掃討を変えることは不可能である。
発明の要約
本発明は、補助分子リガンド遺伝子を含む新規な発現ベクター、およびそれらの遺伝子を正常なおよび悪性の抗原提示細胞中に導入しそれにより免疫反応を変化させる方法、自己免疫疾患の処置、ならびに様々な新生物形成の処置を提供することによって、これらの必要性を満たすものである。本発明は、補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを包含するベクターを提供する。これらのベクターはまた、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル(3’末端)といったようなさらなる遺伝的要素を含み、それらは、ベクターを当該細胞内にうまく位置させ、そして細胞内での補助分子リガンド遺伝子の発現を指令することを可能にする。このような遺伝子治療ベクターは、動物細胞を直接形質転換させることができ、それにより、補助分子リガンド遺伝子をその動物の細胞中に、補助分子リガンドをその細胞内部で産生するために利用され得るような形で導入することができる。
本発明の別の態様においては、細胞表面での補助分子リガンドの半減期を変えることにより、または細胞表面での該分子の発現レベルを変化させることにより、補助分子リガンドの機能を改変する。好ましい態様において、本発明は、細胞表面での係る補助分子リガンドの安定性が改善するよう改変した補助分子リガンドを提供する。このような安定性の増大は、キメラ分子および少なくとも一つの位置に突然変異が導入された分子を包含する、本出願に記載した分子に関わる開示された方法のいずれかを用いて達成することができる。本発明はまた、係る分子の発現の増大をも企図している。
本発明はさらに、遺伝子の複数部分が、異なる種由来のまたは異なる種由来でない二つの別個の補助分子リガンドから誘導されるキメラである、補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを提供する。本発明に係る補助分子リガンド遺伝子は、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーの分子をコードしている遺伝子を包含する。TNFファミリーを形作っている分子は、TNFα、TNFβ、CD40リガンド、Fasリガンド、CD70、CD30リガンド、41BBリガンド(4-1BBL)、神経成長因子およびTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)を包含する。本発明の幾つかの態様においては、本発明に係るキメラ補助分子リガンド遺伝子は、少なくとも一部分のマウス補助分子リガンド遺伝子を、マウス、ヒトまたはその他の種のいずれかから誘導される補助分子リガンド遺伝子の複数部分と共に含んでいる。本発明の好ましい幾つかの態様は、マウスCD40リガンド遺伝子、ならびに、マウスCD40リガンド遺伝子の少なくとも1セグメントをヒトCD40リガンド遺伝子の少なくとも1セグメントと共に含むキメラCD40リガンド遺伝子を利用するものである。本発明は、一つの種の補助分子リガンド遺伝子由来の複数セグメントが、所望により異なる種由来のものであってもよい、第二の補助分子リガンド遺伝子由来の複数セグメントに交換されたキメラ補助分子リガンド遺伝子を企図するものである。例えば、一つの好ましい態様において、マウスCD40リガンド遺伝子のトランスメンブランおよび細胞質ドメインを、ヒトCD40リガンド遺伝子の細胞外ドメインに結合させた。
本発明は、ヒト、哺乳動物、昆虫、またはその他の細胞に直接感染することのできる遺伝子治療ベクターを企図する。このような遺伝子治療ベクターの使用は、それらの細胞内への補助分子リガンド遺伝子の挿入を極めて簡単にする。企図される遺伝子治療ベクターは、インビボまたはインビトロで使用して所望細胞に感染させることができ、悪性細胞に感染させて生理的リガンドを持続的に高レベルで発現させるのに特に有用である。
本発明はまた、補助分子リガンド遺伝子および当該細胞内部で当該補助分子リガンドを発現させるに充分な遺伝的情報を含んでいる、遺伝子治療ベクターを含む動物、哺乳動物、およびヒトの細胞を企図している。好ましい態様において、本発明はさらに、本発明に係る遺伝子治療ベクターを含む、または補助分子リガンド遺伝子をプロモーターおよび3’末端領域と共に含む、ヒト新生物的抗原提示細胞をも企図するものである。
本発明はさらに、キメラ補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを含んでいるヒト細胞およびヒト新生物細胞を企図している。本発明はさらに、補助分子リガンド遺伝子、キメラ補助分子リガンド遺伝子、マウス補助分子リガンド遺伝子、ヒト補助分子リガンド遺伝子、本発明に係る遺伝子治療ベクター、本発明に係るベクター、ならびに、ヘテロローガスなプロモーター、エンハンサーまたはポリアデニル化配列と共にキメラ補助分子リガンド遺伝子を含んでいる細菌細胞または動物細胞を企図している。
本発明はさらに、補助分子リガンドがヒトの細胞表面で発現されるよう、補助分子リガンド遺伝子をコードしている遺伝子をヒトの細胞中に導入することにより、患者内部の免疫反応またはヒト細胞の免疫活性をインビボで変える方法を企図している。この方法は、補助分子リガンド遺伝子を遺伝子治療ベクターの一部として、またはヘテロローガスなもしくは天然のプロモーター、エンハンサーもしくはポリアデニル化シグナルと共に導入することを含む。本発明に係る幾つかの好ましい態様は、免疫活性を変えるためにヒトの細胞中に、CD40について上に企図されたように組み立てられたFasリガンド遺伝子およびキメラFasリガンド遺伝子を導入することを利用している。本発明はまた、係る補助分子リガンド遺伝子を、補助分子を有する細胞内に挿入し、この補助分子に、細胞表面で、該補助分子リガンドが結合するような方法を包含するものである。
免疫活性を変える本発明方法は、ヒト新生物細胞、例えばヒトリンパ腫、白血病およびその他の悪性腫瘍を包含する、ヒト、動物、およびマウスの細胞の全ての型に適用可能である。好ましい態様において、この方法は、補助分子リガンドをコードしている遺伝子を、患者の、抗原提示細胞となり得る細胞、または、バイスタンダー抗原提示細胞を刺激することのできる細胞中に導入するために使用される。このような抗原提示細胞は、単球、マクロファージ、B細胞、ランゲルハンス細胞、交互嵌入細胞、濾胞樹状細胞、クッパー細胞等を包含する。様々な抗原提示細胞が、白血病、リンパ腫、急性単球性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄単球性白血病(AMML)、慢性骨髄性または慢性骨髄単球性白血病(CMML)といったようなヒト患者の既知の悪性腫瘍の一部として存在し得、したがって、ヒトまたは動物の免疫系に抗原を提示することのできる、またはバイスタンダー抗原提示細胞を刺激することのできる、任意の細胞の全腫瘍を包含するであろう。本発明はまた、本発明に係る補助分子リガンド遺伝子をコードしている遺伝子を、患者に見出される、筋肉細胞、皮膚細胞、間質細胞、結合組織細胞、線維芽細胞等を包含する、かなり多数の異なる細胞の内部に導入することにより、免疫系を調節することを企図するものである。
本発明はさらに、ヒトの患者または動物の患者のいずれかにおいて新生物形成を処置する方法を企図している。一つの好ましい態様において、この方法は、新生物細胞をヒトまたは動物の患者から分離し、その分離した細胞内に、キメラ補助分子リガンドまたは補助分子リガンドをコードしている遺伝子を挿入し、その結果、当該分子がその新生物細胞またはその他の体細胞表面で発現されるようにすることを含む。次いでこの新生物細胞は、そのヒトまたは動物患者の中に注入して戻すと、亢進した免疫反応に参加できるのである。
本発明はまた、補助分子リガンド遺伝子を、腫瘍または癌腫特異抗原をコードしている遺伝子と共に同時感染または同時導入させることを企図するものである。次いでこの分子の組み合わせは新生物細胞の表面で発現され、そして、それらの細胞を患者に導入すると、それらの細胞の破壊をもたらす迅速な免疫反応が導かれる。
本発明はさらに、遺伝子治療ベクターを直接、または補助分子リガンド遺伝子を持つその他のベクターを直接、患者の腫瘍または腫瘍床中に導入することを包含する。患者の腫瘍床に入ると、遺伝子治療ベクターまたは他のベクターは、腫瘍または腫瘍床に存在する細胞に侵入し、次いでそれらの細胞表面で補助分子リガンドを発現する。次いでこれらの細胞は、ヒトまたは動物の免疫反応に充分に参加することができる。
本発明はまた、ワクチンに対する免疫反応を増大させる方法をも企図している。動物に、補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝的ベクターを有するワクチンを投与することによる、予め定められた生物または抗原に対して動物をワクチン接種する、本発明方法。本発明方法の別の態様は、二つの別個の遺伝的ベクター(一方は、免疫が望まれる生物由来の抗原を含んでいる)を投与することにより動物にワクチン接種することを含むものであって、これは、標的動物の細胞を分離し、予め定められた生物由来の少なくとも一つの抗原をコードしているベクターをそれらの細胞に接触させ、その結果、該抗原がその細胞により発現されるようにし、そしてさらに、それらの細胞を、その動物の抗原提示細胞の表面に補助分子リガンド遺伝子を発現する、異なったベクターと接触させることによるものである。これら二つの別個のベクターが協力して、抗原単独によるワクチン接種よりずっと強力で且つ長く持続するワクチン接種が生み出される。
本ワクチン接種方法は、ウイルス、細胞、細菌、任意のタンパクまたは真菌類に対する免疫の創出のために設計されるワクチン接種に適用し得る。本方法はまた、種々の癌腫および新生物に対する免疫化に適用し得る。これらの態様において、免疫が望まれる腫瘍抗原は、補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝的ベクターと共に動物体内に導入する。
本発明はさらに、補助分子リガンドをコードしている遺伝子治療ベクターを利用する、関節炎の処置方法をも企図する。関節炎での使用のために特に興味深いのは、Fasリガンド活性の発現が関節において増大した、そして/または関節内部の細胞上でのFasリガンド活性の安定性が向上している、Fasリガンド分子である。別の態様において、本発明は、キメラ補助分子リガンドおよびキメラ補助分子リガンド遺伝子を利用する関節炎の処置方法を企図した。本発明はさらに、本発明に係る発現ベクターを、Fasリガンドおよびキメラ分子を包含するFasリガンドの改変型と共に利用する、関節炎のエクスビボ治療法およびインビボ治療法をも企図するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図:第1図は、幾つかの補助分子リガンド遺伝子と、配列データから推測したこれら遺伝子のドメインI−IVを示す図である。
第2図:第2図は、キメラ補助分子リガンド遺伝子の例を示す図である。マウスの補助モジュールから誘導したドメインを陰を付して示す。
第3図:第3図は、これらの分子をコードしている遺伝子を含む遺伝子治療ベクターに感染させたHelaまたはCLL細胞の表面に見出されたマウスまたはヒトCD40リガンドの量を示している。第3A図は、非感染Hela細胞(陰付き)およびマウスCD40リガンドをコードしている遺伝子治療ベクターに感染したHela細胞を示している。第3B図は、非感染Hela細胞(陰付き)およびヒトCD40リガンドをコードしている遺伝子治療ベクターに感染したHela細胞を示している。第3C図は、非感染CLL細胞(陰付き)およびマウスCD40リガンドをコードしている遺伝子治療ベクターに感染したCLL細胞を示している。第3D図は、非感染CLL細胞(陰付き)およびヒトCD40リガンドをコードしている遺伝子治療ベクターに感染したCLL細胞を示している。
第4図:第4図は、補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40リガンド遺伝子)を含む遺伝子治療ベクターを導入したCLL細胞上での、CD54(第4B図)およびCD80(第4D図)の発現の増強のヒストグラムを示している。陰付きのグラフは、FACS分析における対照染色を示し、白抜きのグラフは、CD54(第4A図および第4B図)またはCD80(第4C図および第4D図)のいずれかに対して免疫特異的なモノクローナル抗体での染色を示す。
第5図:第5図は、様々な刺激方法に応答した同種T細胞の、3H−TdR取り込みにより測定した細胞増殖を示している。補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40リガンド遺伝子)を発現する遺伝子治療ベクターを含むCLL細胞を導入し、同種T細胞を刺激して増殖させた。
第6図:第6図は、補助分子リガンド遺伝子を含むCLL細胞で刺激された同種T細胞によるガンマインターフェロン(IFNg)の産生を示している。
第7図:第7図は、本発明に係る補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを使用した、動物の新生物形成の処置を示している。白抜きの正方形は、本発明に係る補助分子リガンドを発現しない新生物細胞で免疫したマウスを示している。本発明に係る補助分子リガンドを発現する新生物細胞で免疫したマウスは、この図の最上部に水平線で示されており、罹患を示さない。
第8図:第8図は、CLL(上のグラフ)および正常な血液単核細胞(下のグラフ)における、CD40リガンドおよびCD40リガンド転写物の産生レベルおよび安定性を示している。
第9図:第9図は、補助分子リガンド(CD40リガンド)に感染したCLLB細胞における導入遺伝子発現の時間経過を示している。PE標識したCD40リガンドで染色したCD19+CLL細胞の蛍光強度と、PE標識したイソタイプ対照mAbで染色したCD19+CLL細胞の蛍光強度とを、各時点で比較した、MFIR(平均蛍光強度比)を、左側の縦座標に示した目盛りに従って、実線でつないだ黒丸で表す。
第10図:第10図は、補助分子リガンドCD40リガンドを含む遺伝子治療ベクターに感染したCLL B細胞の表面抗原表現型の変化を示している。陰付きのヒストグラムは、非特異的対照抗体で染色した非感染CLL細胞の染色(細い線)を表し、細い線で描かれた白抜きのヒストグラムは、FITC−コンジュゲートした特異的mAbで染色した非感染CLL細胞を表し、そして太い線で描かれた白抜きのヒストグラム(標識されたCD154−CLL)は、補助分子リガンド遺伝子治療ベクターに感染し、FITC−コンジュゲートされた特異的mAbで染色したCLL細胞を表す。
第11図:第11図は、補助分子リガンドを含む遺伝子治療ベクターに感染したCLL細胞で産生されたCD27のレベルを示している。第11A図は、CD40L感染CLL(CD154−CLL)細胞が、低下したレベルの表面CD27を発現することを示している。白抜きのヒストグラムは、FITC−コンジュゲートしたaCD27 mAbを用いた、非感染CLL細胞(細い線)または感染CLL(太い線)の染色をそれぞれ表している。第11B図は、CLL B細胞によるCD27の可溶性型の産生を示す。
第12図:第12図は、補助分子リガンド(CD40リガンド、CD154とも呼ばれる)を含む遺伝子治療ベクターに感染したCLL細胞により誘発される同種T細胞の反応を示している。第12A図は、補助分子リガンドを含むCLL細胞で同種T細胞を刺激した後の上清中のIFNgの濃度を示す。第12B図は、3H−チミジンの取り込みにより評価した、細胞増殖を示す。第12C図および第12D図は、補助分子リガンドを含むCLLにより誘発される二次同種T細胞反応を示す。
第13図:第13図は、補助分子リガンドCd40リガンドまたはCD154、および対照を含むCLL B細胞により誘発されたオートロガスなT細胞の反応を示している。第13A図は、CLL細胞と同時培養したオートロガスT細胞による3H−チミジンの取り込みを示す。第13B図は、CLL細胞と同時培養したオートロガスT細胞により産生されたヒトIFNgのレベルを示す。第13C図では、補助分子リガンドを含むCLL B細胞により誘発されたオートロガスT細胞のCTL活性をグラフ化してある。
第14図:第14図は、オートロガスCLL B細胞に対するCTLの特異性を示している。IFNg濃度は48時間培養後の上清で評価し(第14A図)、細胞溶解活性は3時間培養の時点で評価した(第14B図)。第14C図では、CTL検定に先立ち、オートロガス白血病標的細胞にmAbを添加した。
第15図:第15図は、補助分子リガンドを発現するCLL細胞で観察される表現型の変化の創出において、細胞間の刺激が或る役割を果たしていることを示している。第15A図では、補助分子リガンド(CD40リガンド、CD154)を含む遺伝子治療ベクターに感染した後に誘導されたCD54およびCD80の発現に及ぼす培養密度の影響を示している。陰付きのヒストグラムは、FITC−コンジュゲートしたイソタイプ対照mAbによる白血病B細胞の染色を表す。白抜きのヒストグラムは、高密度または低密度(矢印で示す)で培養し、CD54またはCD80に特異的なFITC−コンジュゲートしたmAbで染色したCD154−CLL B細胞を表す。第15B図は、抗CD154 mAbによるCD154−CLL細胞の活性化の阻害を示す。第15C図および15Dは、補助分子リガンドを発現するCLL細胞により誘導される、バイスタンダー非感染CLL B細胞上での免疫補助分子の発現を示す。陰付きのヒストグラムは、PE−コンジュゲートさせたイソタイプ対照mAbによる染色を表す。
第16図:第16図は、補助分子リガンドをコードしているベクターが、マウスにおいてβ−galに対する免疫化を増強することを示している。第16A図は、pCD40Lベクターの筋肉内注射を受けたマウスは、非修飾pcDNA3ベクターまたはpCD40Lのいずれかを注射したマウスより、有意に大量のβ−galに対する抗体を産生したことを示している。d28において集めた血清の連続希釈のELISA分析である第16B図は、placZおよびpCD40Lを同時注射したマウスは、placZ+pcDNA3で処置したマウスの8倍高い抗β−gal抗体の平均力価をd28において持っていたことを示す。
第17図:第17図は、補助分子リガンドをコードしているベクターpCD40L有りまたは無しでの筋肉内プラスミドDNA免疫化に対するIgG1およびIgG2a免疫反応の分析を示している。placZおよびpcDNA3またはplacZおよびpCD40Lのいずれかを注射したマウスの血清中で、IgG2a抗β−gal抗体は、IgG1サブクラス抗体に優っていた。対照的に、β−galタンパクを注射したBALB/cマウスは、専らIgG1抗β−gal抗体を産生し、検出し得るIgG2a抗β−gal抗体を産生しなかった。
第18図:第18図は、補助分子リガンドをコードしているベクターpCD40Lを、placZと同じ部位および異なる部位に注射した比較を示している。pCD40Lのアジュバント効果は、同じ部位にplacZと同時注射することを必要とする。
第19図:第19図は、補助分子リガンドをコードしているベクターpCD40Lを真皮内にplacZと同時注射すると、BALB/cマウスのIgG抗β−gal反応を増強することを示している。
第20図:第20図は、補助分子リガンドをコードしているベクターpCD40Lは、placZが、同系βgal発現標的細胞に特異的なCTLを誘導する能力を増強することを示している。placZおよびpCD40Lの注射を受けたマウスから取った脾臓細胞エフェクター細胞は、対照注射を受けたマウス由来の脾臓細胞より有意に多数の細胞を特異的に溶解した。
第21図:第21図は、CD40を発現する肺腫瘍セルラインにおける、マウスCD40LではなくヒトCD40Lのダウンモデュレーションを示すものである。
第22図:第22A図は、CD40の結合が、肺腫瘍セルラインにおいて腫瘍細胞表面マーカーCD95(Fas)、CD54(ICAM−1)、およびMHC−Iの発現の増強を誘導することを示している。第22B図は、CD40陽性腫瘍細胞によるヒトCD40Lのダウンモデュレーションを示している。
第23図:第23図は、RA滑液の存在下での、リンパ球によるFasリガンド発現の阻害を示している。
第24図:第24図は、B細胞CLLのための、補助分子リガンド(CD40L)遺伝子治療処置の臨床試験の概要を示している。
第25図:第25図は、ヒトFasリガンドと、ドメインIIIがマウスFasリガンドのドメインIIIに置き換えられたヒトFasリガンドとの配列の並置を示している。上段のタンパク配列は天然ヒトFasリガンドである。ドメインIIIは点線による下線を付してある。二重下線は、予想されるMMP開裂部位を示す。下段のタンパク配列はキメラヒト−マウスFasリガンドのものである。マウスFasリガンドのドメインIII(点線による下線を付した)をヒトFasリガンドのドメインIIIの代わりに用いる。番号は、ポリペプチド配列の始点を1としたアミノ酸配列番号に対応する。アミノ酸をコードしているコドンに対する最初のヌクレオチド塩基の番号は、1+3x(n−1)[ここでnはアミノ酸配列番号である]である。
第26図:第26図は、ヒトFasリガンドと、ドメインIIIがヒトCD70のドメインIIIに置き換えられたヒトFasリガンドとの配列の並置を示している。上段のタンパク配列は天然ヒトFasリガンドであり、下段の配列は、FasドメインIIIがヒトCD70のドメインIIIに置換されている、キメラFasリガンドの配列である。その他の記号は第25図と同様に使用する。
第27図:第27図は、ヒトFasリガンドと、ドメインIがヒトCD70のドメインIIIに置き換えられたヒトFasリガンドとの配列の並置を示している。上段のタンパクは天然ヒトFasリガンドであり、下段のタンパク配列は、ドメインIIIがヒトCD70のドメインIに置換されている、キメラFasリガンドの配列である。その他の記号は第25図と同様に使用する。
第28図:第28図は、M.M.スミス等、Journal of Biol.Chem.、270:6440-6449(95)およびH.ナガセおよびG.B.フィールズ、Biopolymers(Peptide Science)、40:399-416(96)に記載されている、既知のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)開裂部位およびその周辺のアミノ酸を示している。開裂部位は矢印で示す。
発明の詳細な説明
本明細書中に引用した参考文献は全て、引用することによりその全体を本明細書の一部とする。
I.定義
+ 「補助分子リガンド遺伝子」とは、補助分子リガンドの全体または一部をコードしている遺伝子である。この遺伝子は、少なくとも、補助分子リガンドの機能的部分をコードするに要するヌクレオチド配列を含んでいる。この遺伝子は所望により、プロモーター、エンハンサーおよび3’末端といったような遺伝的要素を含んでいてよい。補助分子リガンド遺伝子は、CD40リガンド、Fasリガンド、CD70、TNFα、TNFβ、CD30リガンド、4−1BBリガンド(4-1BBL)、神経成長因子およびTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)を包含する、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーの一員であるリガンドから誘導される。本明細書中使用される「補助分子リガンド遺伝子」という語は、下に定義するキメラ補助分子リガンド遺伝子を包含する。
本明細書中使用する「悪性細胞または新生物細胞」という語は、ヒトの患者または動物に見出される悪性のまたは癌の細胞を意味するとして定義する。悪性または新生物細胞の好ましい型は、任意の悪性抗原提示細胞を包含する。幾つかの好ましい態様においては、これらの悪性抗原提示細胞は、細胞表面に存在する少なくとも低レベルのCD40を有する。
本明細書中使用する「新生物的ヒト細胞」という語は、抗原提示細胞を包含するがこれに限定されない、新生物的であるヒト細胞、抗原提示細胞として機能し得る、または抗原提示を促進するよう機能し得る、任意の新生物細胞、新生物的単球、新生物的マクロファージ、新生物的B細胞、新生物的樹状細胞、新生物的ランゲルハンス細胞、新生物的交互嵌入細胞、新生物的濾胞樹状細胞、または新生物的クッパー細胞等を意味するとして定義する。新生物的ヒト細胞の定義は、ヒト患者の腫瘍床において新生物細胞と共に存在する細胞を包含する。典型的には、新生物的ヒト細胞は、白血病、リンパ腫、AML、ALL、AMML、CML、CMML、CLL、その他の腫瘍の抗原提示細胞または胸部、卵巣もしくは肺新生物細胞のいずれかである。本発明に係る補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子はさらに、体細胞中に挿入できるということも企図されている。これらの体細胞は、それらの細胞が免疫系に抗原を提示できるようにさせる分子をコードしている遺伝子を、それらの細胞内に導入する、遺伝子工学によって作り出すことができる。
本明細書中使用する「キメラ遺伝子」という語は、その遺伝子の一部が第二の異なる遺伝子から誘導されて第一の遺伝子と合し、その結果、得られるキメラ遺伝子に、少なくとも各遺伝子の一部が存在するような遺伝子を意味するとして定義する。得られるタンパクをコードしている配列のどこか一部分が、第二のそして異なる遺伝子から誘導されているならば、その遺伝子はキメラであり得る。典型的なキメラ遺伝子は、一つの遺伝子由来の特定の機能的ドメインが第二の遺伝子に移され、そして第二の遺伝子の類似ドメインに取って代わっている遺伝子を包含する。例えば、得られたキメラ遺伝子は、マウス遺伝子から誘導された一つのドメインと、ヒト遺伝子から誘導された幾つかのドメインを持っているかも知れない。これらのドメインは、5個のアミノ酸ないし数百個のアミノ酸の大きさの範囲であり得る。キメラ補助分子リガンド遺伝子の別の例は、天然に存在するいかなる補助分子リガンド遺伝子にも見いだせないアミノ酸をコードしているヌクレオチドを含む遺伝子を包含する。キメラ遺伝子および可能な種々のドメインの組み合わせの例は多数有り、当業者は、それをキメラとするために第二の遺伝子に存在しなければならない或る遺伝子の量には制限の無いことが理解できるであろう。
本明細書中使用する「マウスCD40リガンド遺伝子」という語は、マウスCD40リガンド遺伝子から誘導される補助分子リガンド遺伝子を意味するものとして定義する。係るマウスCD40リガンド遺伝子の例は、アーミティッジ等、Nature、357:80-82(1992)により分離された遺伝子、および、低緊縮ハイブリダイゼーション条件下でアーミティッジ等により記載された遺伝子とハイブリダイズする、マウス起源から誘導されたその他の遺伝子を包含する。
本明細書中使用する「ベクターまたは遺伝的ベクター」という語は、細菌または動物細胞のような生物の内部で自己を複製できる核酸を意味するとして定義する。典型的な遺伝的ベクターは、組換えDNA技術で一般的に使用されるプラスミド、および、細菌または動物細胞内部で複製できる種々のウイルスを包含する。好ましい型の遺伝的ベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルス、レトロウイルス等を包含する。
本明細書中使用する「遺伝子治療ベクター」という語は、動物、例えばヒトの患者の内部の細胞に直接感染することのできる遺伝的ベクターを意味するとして定義する。幾つかの遺伝子治療ベクターが文献に記載されており、「慢性リンパ球性白血病B細胞のアデノウイルスベクター感染」と題されたキャントウェル等、Blood(印刷中(1996))に記載された遺伝子治療ベクターが包含される。このようなベクターは、例えば、P.J.ウォルおよびI.R.ハート、Ann.Oncol.6追補1:73(1995);K.T.スミス、A.J.シェパード、J.E.ボイドおよびG.M.リース、Gene Ther.3:190(1996);M.J.クーパー、Semin.Oncol.23:172(1996);E.ショーネシー、D.ルー、S.チャタージー、およびK.K.ウォング、Semin.Oncol.23:159(1996);J.C.グロリオーソ、N.A.デルーカ、およびD.J.フィンク、Annu.Rev.Microbiol.49:675(1995);T.R.フロッテおよびB.J.カーター、Gene Ther.2:357(1995);V.ランドリアナリソン−ジュートゥコフおよびM.ペリコーデット、Biological.23:145(1995);D.B.コーン、Curr.Opin.Pediatr.7;56(1995);R.G.ヴァイルおよびS.J.ラッセル、Br.Med.Bull.51:12(1995);S.J.ラッセル、Semin.Cancer Biol.5:437(1994);ならびにM.アリ、N.R.レモイン、およびC.J.リング、Gene Ther.1:367(1994)に記載されている。ここに記載した全ての参考文献は、引用して本明細書の一部とする。
II.補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝的ベクターおよび構築物
A.補助分子リガンド遺伝子
本発明の一つの態様において、好ましい遺伝子治療ベクターは補助分子リガンド遺伝子を含む。この補助分子リガンド遺伝子は、いかなる供給源から誘導してもよく、ヒトの作成したもので天然に現れない分子を包含することができる。本発明は、マウスCD40リガンド、ヒトCD40リガンド、Fasリガンド、TNFα、TNFβ、CD30リガンド、4−1BBリガンド、神経成長因子、CD70、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)およびキメラ補助分子リガンドをコードしている遺伝子を包含する、腫瘍壊死ファミリー(TNF)内の分子をコードしている遺伝子から誘導される補助分子リガンド遺伝子を企図している。一つの補助分子リガンドのヌクレオチド配列、マウスCD40リガンド遺伝子の少なくとも一つの型の配列を決定し、配列番号1として掲載した。本発明は、配列番号1に存在する配列とホモローガスであって、故にこの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、本発明において有用な、マウスCD40リガンド遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、様々な異なる系統のマウスから分離できることが理解できるであろう。
ヒトCD40リガンド遺伝子のヌクレオチド配列を決定し、配列番号2として示す。本発明は、配列番号2とホモローガスであって、故にこの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、本発明において有用な、ヒトCD40リガンド遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、その遺伝子が分離された個体に応じて異なるかも知れず、このような変異がユニークな補助分子リガンド遺伝子の生成に有用であると立証し得ることが理解できるであろう。本発明は、キメラ補助分子リガンドまたはキメラ補助分子リガンド遺伝子の一部としての、ヒトCD40リガンドおよび/またはヒトCD40リガンド遺伝子のドメイン、サブドメイン、アミノ酸またはヌクレオチド配列の用途を企図している。
ウシCD40リガンド遺伝子のヌクレオチド配列を決定し、配列番号8として示す。本発明は、配列番号8とホモローガスであって、故にこの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、ウシCD40リガンド遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、その遺伝子が分離された動物に応じて異なるかも知れず、このような変異がユニークな補助分子リガンド遺伝子の生成に有用であると立証し得ることが理解できるであろう。
ヒトTNFαおよびヒトTNFβのヌクレオチド配列を決定し、各々配列番号9および10として示す。本発明は、ヒトTNFαまたはヒトTNFβ(各々配列番号9および10)のいずれかとホモローガスであって、故にこれらの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。本発明において有用な、ヒトTNFαおよびヒトTNFβ遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子は、その遺伝子が分離された個々の個体に応じて異なるかも知れず、このような変異は、ユニークな補助分子リガンド遺伝子の生成に有用であると立証し得る。
ブタTNFαおよびTNFβのヌクレオチド配列を決定し、配列番号11として示す。本発明は、配列番号11とホモローガスであって、故にこれらの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、ブタTNFαおよびTNFβ遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、その遺伝子が分離された個々の動物に応じて異なるかも知れず、このような変異がユニークな補助分子遺伝子の生成に有用であると立証し得ることが理解できるであろう。
マウスTNFα遺伝子のヌクレオチド配列を決定し、配列番号12として示す。本発明は、配列番号12とホモローガスであって、故にこの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、マウスTNFα遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、その遺伝子が分離された個体に応じて異なるかも知れず、これらの変異がユニークな補助分子遺伝子の生成に有用であると立証し得ることが理解できるであろう。
ヒトFasリガンドおよびマウス(C57BL/6)Fasリガンドのヌクレオチド配列を決定し、それぞれ配列番号13および14として示す。マウスBalb/cFasリガンドのヌクレオチド配列は配列番号31として示す。本発明は、配列番号13、14、および31のいずれかとホモローガスであって、故にこれらの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、ヒトFasリガンドまたはマウスFasリガンド遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、その遺伝子が分離された個々のヒトまたは動物に応じて異なるかも知れず、このような変異がユニークな補助分子遺伝子の生成に有用であると立証し得ることが理解できるであろう。
ヒトCD70遺伝子のヌクレオチド配列を決定し、配列番号15として示す。マウスCD70遺伝子配列もまた決定し、配列番号36として示したが、これはテッセラー等、J.Immunol.159:4959-65(1997)に記載された。本発明は、配列番号15または36とホモローガスであって、故にこの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、ヒトCD70遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、その遺伝子が分離された個体に応じて異なるかも知れず、このような変異がユニークな補助分子リガンド遺伝子の生成に有用であると立証し得ることが理解できるであろう。
ヒトCD30リガンド遺伝子のヌクレオチド配列を決定し、配列番号16として示す。本発明は、配列番号16とホモローガスであって、故にこの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、ヒトCD30リガンド遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、その遺伝子が分離された個体に応じて異なるかも知れず、このような変異がユニークな補助分子リガンド遺伝子の生成に有用であると立証し得ることが理解できるであろう。
本発明はさらに、メッセンジャーRNAの選択的スプライシングによって起こる、本明細書で提供される補助分子リガンド遺伝子のヌクレオチド配列の変異および変異体をも企図している。この、メッセンジャーRNAの選択的スプライシングは、1またはそれ以上の所望によるアミノ酸セグメントをコードしているかも知れないさらなるヌクレオチド配列を挿入し、次いでこれは、コードされている補助分子リガンドがさらなる性質または機能を持つようにさせる。
ヒトおよびマウス4−1BBLのヌクレオチド配列を決定し、それぞれ配列番号17および18として示す。本発明は、配列番号17または18のいずれかとホモローガスであって、故にこれらの配列と低緊縮条件下でハイブリダイズする任意の補助分子リガンド遺伝子の用途を企図する。当業者には、ヒト4−1BBL遺伝子を包含する補助分子リガンド遺伝子が、その遺伝子が分離された個体に応じて異なるかも知れず、このような変異がユニークな補助分子リガンド遺伝子の生成に有用であると立証し得ることが理解できるであろう。
本発明はさらに、以下の遺伝子:ウシTNF−α(配列番号21)、マウスCD40リガンド(配列番号22)、ヒト神経成長因子β(配列番号23)、マウス神経成長因子(配列番号24)、ラットFasリガンド(配列番号25)、ヒトTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)(配列番号41、ジェンバンク受理番号U37518)、マウスTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)(配列番号42、ジェンバンク受理番号U37522)、マウスCD30リガンド(配列番号43)、ヒト4−1BBL(配列番号17)、およびマウス4−1BBL(配列番号44および18)、によりコードされている任意のドメイン、サブドメイン部分、またはアミノ酸配列を含むキメラ補助分子をも企図している。本発明はまた、これらの配列とホモローガスなアミノ酸配列をコードしている遺伝子を利用するキメラ補助分子をも企図する。
本発明は、或る補助分子リガンド遺伝子またはその他の遺伝子から誘導されたヌクレオチド配列と機能的に結合した、これとは異なる補助分子リガンド遺伝子から誘導されたヌクレオチドセグメントを含む、キメラ補助分子リガンド遺伝子を企図する。
例えば、異なる補助分子リガンド遺伝子から誘導された少なくとも1個のさらなる別の遺伝子セグメントと機能的に結合した、マウスCD40リガンド遺伝子の1セグメントを含む、キメラ補助分子リガンド遺伝子が企図される。異なる補助分子リガンド遺伝子から誘導された特定のセグメントの大きさは、数個のアミノ酸をコードしているヌクレオチド配列から、補助分子リガンドのサブドメイン、補助分子リガンドのドメイン、または補助分子リガンドの1ドメイン以上まで異なっていてよい。本発明に係るその他のキメラ補助分子は、天然に存在する補助分子リガンドの一部として見出されないアミノ酸セグメントをコードしているヌクレオチドが挿入されている、補助分子リガンド遺伝子を含む。このアミノ酸セグメントは、人工的に作り出すことができ、または天然に見出されるタンパクから誘導することができる。このキメラ補助分子リガンド遺伝子はキメラアミノ酸配列をコードしており、よって、コードされているキメラ補助分子リガンドは、その異なる補助分子リガンド遺伝子から誘導された個々のセグメントに見出される性質に加えてユニークな性質を持つことができる。キメラ補助分子リガンド遺伝子は、このキメラ遺伝子の組み立てに使用された補助分子リガンドから誘導された性質を有する補助分子リガンドをコードしているかも知れない。
腫瘍壊死因子ファミリーの一員である補助分子リガンド遺伝子の各々は、幾つかのドメインから成る類似の二次構造を持っている。このドメイン構造は、補助分子リガンド遺伝子の5’領域によりコードされている第一ドメインを含んでいる。第二ドメイン(ドメインII)は、細胞膜にまたがっているアミノ酸を含み、故にトランスメンブランドメインと呼ばれる。第三ドメイン(ドメインIII)は、近位細胞外ドメインであり、これらのアミノ酸は細胞膜の近位に発見されたアミノ酸である。第四ドメイン(ドメインIV)は、補助分子リガンド遺伝子の3’末端によりコードされており、遠位細胞外ドメインと呼ばれている。この遠位細胞外ドメイン(ドメインIV)は一般に腫瘍壊死因子ファミリー分子の可溶性型を形作っている。ヒトTNFのX線結晶構造に基づき、この補助分子CD40リガンドの予想される二次構造が、M.ペイトゥシュおよびC.ヨンゲニール、International Immunology、5:233-238(1993)によってこれらの分子のドメイン構造と共に推測された。腫瘍壊死因子ファミリーのその他の成員の二次構造を、ヒトTNFおよびCD40リガンドドメイン構造の比較と共に、コンピューター解析を用いて推測した。第1表に、幾つかの補助分子リガンド遺伝子のドメイン境界を示す。これら補助細胞分子リガンドの幾つかについてのドメインの模式図を第1図に示す。ドメインの境界の割当てはおよそのものであり、当業者には、これらの境界が異なっているかも知れないが、それでも尚有用なドメインの同定を提供することが理解できるであろう。
当業者には、典型的なキメラ補助分子遺伝子は、例えばマウスCD40リガンド遺伝子およびヒトCD40リガンド遺伝子の間のドメインまたはサブドメインセグメントを交換することによって生成される遺伝子を包含することが理解できるであろう。例えば、キメラ補助分子遺伝子は、ヒトCD40リガンド遺伝子のドメインIをマウスCD40リガンド遺伝子のドメインII−IVと機能的に結合させることによって組み立てることができる。当業者には、第I表に規定されている補助分子を用いて作り得た様々なキメラ補助分子リガンド遺伝子が理解できるであろう。本発明はまた、第I表には示されていないが類似のドメイン構造を有することが示されているキメラ補助分子をも企図している。例えばマウスCD40リガンド遺伝子およびヒトCD40リガンド遺伝子または第二のマウスCD40リガンド遺伝子の間で、より小さなセグメント(サブドメインセグメント)が交換されている、その他のキメラ遺伝子もまた企図されている。当業者には、補助分子をコードしている遺伝子は、少なくとも、マウスCD40リガンド遺伝子(配列番号1)によりコードされているマウスCD40リガンドのような補助分子リガンドの様々な機能的セグメントに対応する遺伝子セグメントを持っていることが理解できるであろう。第I表で規定したヌクレオチド境界はマウスCD40リガンド遺伝子(配列番号1)について規定したものとはかなり相違しているかも知れないが、それでも尚、本発明において有用なドメインを定義している。
一つの好ましい態様において、キメラ補助分子リガンド遺伝子は、マウスCD40リガンド遺伝子のトランスメンブラン(ドメインII)をコードしているヌクレオチドおよび細胞質ドメイン(ドメインI)をコードしているヌクレオチドに機能的に結合した、ヒトCD40リガンドの細胞外ドメイン(ドメインIIIおよびIV)をコードしているヌクレオチドを含む。このような好ましいキメラ補助分子の例を第2図に示す。このような遺伝子のためのヌクレオチド配列の例は配列番号7である。本発明に係るその他のキメラ補助分子リガンド遺伝子では、マウスCD40リガンド遺伝子の細胞外ドメイン(ドメインIIIおよびIV)をコードしているヌクレオチドが、ヒトCD40リガンド遺伝子のトランスメンブラン(ドメインII)および細胞質ドメイン(ドメインI)をコードしているヌクレオチドに機能的に結合していてよい。このような遺伝子のヌクレオチド配列の例は配列番号3である。本発明に係るその他の好ましいキメラ補助分子リガンド遺伝子では、ヒトCD40リガンドの細胞外ドメイン(ドメインIIIおよびIV)およびトランスメンブランドメイン(ドメインII)をコードしているヌクレオチドが、マウスCD40リガンド遺伝子の細胞質ドメイン(ドメインI)をコードしているヌクレオチドと結合している。このような遺伝子のヌクレオチド配列の例は配列番号6である。本発明の企図するその他のキメラ補助分子遺伝子は、ヒトCD40リガンド遺伝子の細胞質ドメインをコードしているヌクレオチドに機能的に結合した、マウスCD40リガンド遺伝子の細胞外ドメイン(ドメインIIIおよびIV)およびトランスメンブランドメイン(ドメインII)をコードしているヌクレオチドを含む。このような遺伝子のヌクレオチド配列の例は配列番号5である。本発明によってその他のキメラ補助分子リガンド遺伝子が企図されるが、その遺伝子においては、ヒトCD40リガンド遺伝子の細胞外ドメイン(ドメインIIIおよびIV)が、ヒトCD40リガンド遺伝子の細胞質ドメイン(ドメインI)に機能的に結合しているマウスCD40リガンド遺伝子のトランスメンブランドメイン(ドメインII)に機能的に結合している。このような遺伝子のヌクレオチド配列の例は配列番号4である。
当業者には、ヒトCD40リガンド遺伝子およびマウスCD40リガンド遺伝子を包含する任意の補助分子リガンド遺伝子の、ドメインまたはその他の選択されたセグメントを利用する、より多くの組み合わせが可能であることが理解できるであろう。このようなさらなるキメラ補助分子遺伝子は、以下の遺伝子:ドメインIをコードしているヌクレオチドが特定の補助分子リガンド遺伝子から選択され、そして直接またはさらなるヌクレオチド配列によって、特定の補助分子リガンド遺伝子由来のドメインIIをコードしているヌクレオチドに機能的に結合している、キメラ補助分子遺伝子、を包含する。次いでこれらのドメインは、直接またはさらなるヌクレオチド配列により、特定の補助分子リガンド遺伝子由来のドメインIIIをコードしているヌクレオチドに機能的に結合するであろう。次にこの分子は、直接またはさらなるヌクレオチド配列により、特定の補助分子リガンド遺伝子のドメインIVをコードしているヌクレオチドに、機能的に結合するであろう。この方法で組み立てられたキメラ補助分子リガンド遺伝子は、これらの位置に異なったアミノ酸を提供するのに役立つさらなるヌクレオチドを、いずれかの末端またはドメインの間に有するかも知れない。当業者には、これら特定の組み合わせは例示に過ぎず、或る補助分子のドメイン全体より小さい部分をコードしているヌクレオチドを含む遺伝子セグメントが、異なった補助分子間で交換されている、他の多数の組み合わせが考えられるということが理解できるであろう。
本発明はさらに、Fasリガンド、TNFα、TNFβ、CD70、CD30L、4−1BBL、神経成長因子またはTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)から誘導される遺伝子セグメントと組み合わせた、マウスまたはヒトCD40リガンドの遺伝子セグメントを含む、キメラ補助分子リガンド遺伝子をも企図する。特に有用なキメラ補助分子リガンド遺伝子は、異なった補助分子リガンド遺伝子から誘導された遺伝子セグメント(群)と共に、マウスCD40リガンド遺伝子から誘導された少なくとも1個の遺伝子セグメントを含む。
本発明はさらに、作られた補助分子が、特定の細胞上での該補助分子または補助分子タンパクの発現レベルを調節するための翻訳後機構により、使用されるキメラ補助分子内部のアミノ酸を取り除くよう修飾されているようなキメラ補助分子リガンド遺伝子を企図する。キメラ補助分子またはキメラ分子から除去される部位は、メタロチオネインプロテアーゼ、セリンプロテアーゼおよび特異的または非特異的にアミノ酸配列を認識するその他のプロテアーゼを包含する、プロテアーゼ開裂部位を作り上げるアミノ酸または部位を包含し得る。特に好ましい態様では、翻訳後調節機構に用いられる、可能性あるまたは実際の認識部位を作り上げているドメインIIIのアミノ酸が修飾されまたは除去される。
本発明はまた、ドメイン、サブドメインフラグメントまたはその他のアミノ酸残基が或る補助分子リガンド遺伝子から取り去られ、同じ種由来の第二の補助分子リガンド遺伝子へと動かされた、キメラ補助分子リガンド遺伝子をも企図している。例えば、この特別の態様では、CD40リガンド分子由来のヒトドメインII、およびヒトドメインIが、例えば、CD40リガンド分子のヒトドメインIVと機能的に結合した、CD70分子由来のヒトドメインIIIをコードしているヌクレオチドに機能的に結合しているかも知れない。故にこのキメラ補助分子は、ヒトCD40LドメインI、IIおよびIVならびにヒトCD70ドメインIIIを含んでいる。このような遺伝子のヌクレオチド配列の例は配列番号19である。当業者には、異なった補助分子リガンド遺伝子からの同じ種由来のドメインを用いたこのような幾つかの組み合わせが、全て特定の活性および性質を持っているであろう幾つかのキメラ補助分子遺伝子を作り出すことができるということが理解できるであろう。
本発明は、特定の補助分子リガンド遺伝子のドメインIIIが異なる補助分子リガンド遺伝子由来のドメインIIIに置き換えられたキメラ補助分子リガンド遺伝子を企図している。一つの特に好ましい態様では、マウスドメインIIIを用いてCD40リガンド分子中のヒトドメインIIIを置き換えた。故にこのキメラ補助分子は、ヒトCD40LドメインI、ヒトCD40LドメインII、マウスCD40LドメインIII、およびヒトCD40LドメインIVを含む。このような遺伝子のヌクレオチド配列の例は配列番号20である。
本発明はさらに、補助分子遺伝子のドメインまたは他のアミノ酸配列の一部の内部にまたはその代わりに挿入した、人造のアミノ酸配列を含む、キメラ補助分子の用途をも企図する。これら人造のアミノ酸セグメントは、その補助分子に特定の機能を与える、または望ましくない機能を除去するために用いられる、任意のアミノ酸配列を選択することにより、作り出すことができる。これら人造のアミノ酸セグメントは、それらの特定の人造アミノ酸セグメントのコード化に必要なヌクレオチド配列を、所望の位置で、補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子中に挿入することによって作成する。さらに、このキメラ補助分子リガンド遺伝子は、他の分子のサブドメインセグメントまたはアミノ酸が所望の目的のために変えられている小セグメントを含むヌクレオチドセグメントを含むことができる。サブドメインヌクレオチドセグメントの使用は、本発明に係るキメラ補助分子の中に、他の分子から誘導された短いアミノ酸配列を導入することを可能にする。補助分子リガンドへのこのような短いサブドメインセグメントの組み込みまたはアミノ酸変化は、その分子への望ましい特徴の導入または望ましくない特徴の除去を可能にする。
補助細胞分子内のドメイン構造の同定は当分野で良く知られており、一般に、その補助分子内部のシステイン残基の同定、および、これに続く様々なシステイン残基間のジスルフィド結合のマッピングを必要とする。補助分子の様々なサブドメインセグメントのマッピングは当分野で良く知られており、その補助分子のアミノ酸配列の分析を含み、また一般に、予想されるアルゴリズムを使用した組織壊死因子の結晶構造の比較と、それによるキメラ補助分子または補助分子の推定構造の創出を含む。次にこの、これらの分子の推定構造を使用して、さらなるキメラ補助分子の組み立てに使用する分子の様々なサブドメイン部分を選択することができる。このようなマッピング研究の例は、M.ピトゥシュおよびC.V.ヨンゲニール、International Immunology、5:233-238(1993)による研究ならびに第1図に示す分析を包含する。
本発明はさらに、末端切除されて天然の補助分子リガンドに見出されるアミノ酸配列の全長より短い部分をコードしている補助分子リガンド遺伝子およびキメラ補助分子リガンド遺伝子をも企図する。これらの末端切除は補助分子リガンド遺伝子の性質を改変するかも知れないが、幾つかの同定されている活性は温存される。このような末端切除は補助分子から遺伝子セグメントまたは遺伝子セグメント群を除去することによってなされ、典型的には補助分子リガンドとその補助分子との結合に直接関与しないドメインをコードしているヌクレオチドを除去することによって実施されるであろう。これら末端切除された補助分子リガンド遺伝子またはキメラ末端切除補助分子リガンド遺伝子は、その末端切除補助分子遺伝子から取り除かれたドメインに取って代わるアミノ酸セグメントまたはドメインをコードしているさらなる遺伝子セグメントを含むかも知れない。しかし、末端切除により除去された補助分子の一部分のこのような置換は必須ではない。
本発明に係るキメラ補助分子遺伝子は、或る補助分子リガンド遺伝子由来の特定のヌクレオチド配列を、同じまたは異なった補助分子リガンド遺伝子から誘導された相異なるヌクレオチド配列に機能的に結合させるための、標準的遺伝子工学方法を用いて組み立てることができる。さらに、標準的遺伝子工学法を使用して、人造のヌクレオチド配列またはサブドメインヌクレオチド配列を、キメラ補助分子リガンド遺伝子中に挿入することができる。当業者には、このようなキメラ補助分子遺伝子を作成するために様々な方法が利用できることが理解できるであろう。例えば、「SOEN」として知られる遺伝子変換法を使用して、異なるキメラ補助分子から誘導されたヌクレオチドセグメントを含むキメラ補助分子遺伝子を作成することができる。この遺伝子変換法を使用する方法は当分野で良く知られており、例えばR.M.ホートン、Mol.Biotechnol.3:93(1995);S.A.アリおよびA.シュタインカセラー、Biotechniques、18:746(1995);J.P.ヴィラーダガ、E.ディ・パオロ、およびA.ボレン、Biotechniques、18:604(1995);K.マジャムダー、F.A.ファター、A.セルヴァパンディヤン、およびR.K.バトナガー、PCR Met hods Appl.4:212(1995);E.ボールズおよびT.ミオスガ、Curr.Genet.28:197(1995);A.N.ヴァレージョ、R.J.ポグリス、およびL.R.ピース、PCR Methods Appl.4:S123(1994);T.ヘンケルおよびP.A.バウエル、Anal.Biochem.214:351(1993);D.C.テシアーおよびD.Y.トマス、Biotechniques、15:498(1993);H.G.モリソンおよびR.C.デスロシアース、Biotechniques、14:454(1993);R.C.カドウェルおよびG.F.ジョイス、PCR Methods Appl.2:28(1992);ならびにJ.スタッパート、J.ウィルシング、およびR.ケムラー、Nucleic Acids Res.20:624(1992)に記載されている。これとは別に、当業者には、部位特異的突然変異誘発を使用して、特定のヌクレオチド配列中に変化を導入し、本発明に係るキメラ補助分子遺伝子を直接作成または間接的に使用して作成できることが理解できるであろう。例えば、バイオラド・ラボラトリーズの提供する突然変異原キットをこのキットの中に記載された方法およびプロトコルと共に使用して、ヌクレオチド配列に所望の変化を作り出すことができる。これらの方法は、クンケル、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:488-492(1985)およびクンケル等、Meth.Enzol.Mol.154:367-382(1987)により最初に記載された。本明細書に記載され且つ当分野で知られている、部位特異的突然変異誘発プロトコルを使用することにより、熟練した研究者は、変化したアミノ酸配列をもたらす、またはアミノ酸配列は温存されるが遺伝子内に所望の制限酵素認識配列を導入する、個別的なヌクレオチド変化を誘導することができる。次いでこの新しい制限エンドヌクレアーゼ認識部位を用いてその遺伝子をその特定の位置で切り取り、それを、もう一つの補助分子リガンド遺伝子の遺伝子またはセグメントに使用する。これらの方法に加えて、当業者には、キメラ補助分子リガンド遺伝子の全体を、当分野で既知の合成法を用いて合成することができる。この方法は、その当業者がキメラ補助分子リガンド遺伝子のヌクレオチド配列を作成し、その配列を、そのような遺伝子を合成することのできる仲間に提供しさえずればよい。
B.遺伝子構築物
本発明は、様々な型の遺伝的ベクターに存在する補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子の使用を企図している。遺伝的ベクターとは、もう一つのDNAセグメントを挿入して、このさらなるDNAセグメントが複製するようにさせる、細胞内で自立的複製のできるDNA分子を指す。そのベクターに入っている遺伝子を発現することのできるベクターを「発現ベクター」と呼ぶ。したがって、本発明に係る遺伝的ベクターおよび発現ベクターは、天然では通常一緒に見出されない少なくとも二つのヌクレオチド配列を含む組換えDNA分子である。
本発明において有用な遺伝的ベクターは、所望により、例えば哺乳動物、微生物、ウイルス、または昆虫遺伝子から誘導される適当な転写または翻訳調節ヌクレオチド配列と機能的に結合した補助分子リガンドをコードしている補助分子リガンド遺伝子を含む。このような調節配列は、遺伝子発現において調節的役割を有する配列、例えば転写プロモーターまたはエンハンサー、転写を調節するためのオペレーター配列、メッセンジャーRNA内部のリボゾーム結合部位をコードしている配列、ならびに、転写、翻訳開始または転写終了を調節する適切な配列を包含する。
特に有用な調節配列は、種々の哺乳動物、ウイルス、微生物、および昆虫遺伝子由来のプロモーター領域を包含する。このプロモーター領域は、その遺伝子の転写の開始を指令し、そして補助分子リガンド遺伝子を含むDNAの全ての転写をもたらす。有用なプロモーター領域は、ラウス肉腫ウイルス(RSV)−長い末端反復配列(LTR)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)エンハンサー/プロモーター領域lacプロモーター、およびアデノウイルスから分離したプロモーターを包含し、当業者の知悉する他のいかなるプロモーターも、真核生物、原核生物、ウイルス、または微生物細胞での遺伝子発現に役立つものと理解されるであろう。真核生物細胞内で遺伝子およびタンパクを発現するのにとりわけ役立つその他のプロモーターは、哺乳動物細胞プロモーター配列およびエンハンサー配列、例えばポリオーマウイルス、アデノウイルス、サルウイルス40(SV40)、およびヒトサイトメガロウイルスから誘導されるものを包含する。典型的にはSV40のようなウイルスのウイルス複製起点に隣接して見出される、ウイルスの初期および後期プロモーターが、特に有用である。発現ベクターに使用される種々のプロモーターの例は、オキアマおよびベルグ(Mol.Cell.Biol.3:280、1983)により記載されており、pMLSVN SV40はコスマン等、Nature、312:768(1984)に記載されている。当業者には、特定の有用なプロモーターの選択は、そのセルライン、および、特定のセルライン内部で補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子を発現させるために使用する遺伝子構築物についての、他の様々なパラメータに依存することが理解できるであろう。さらに、当業者は、本発明において有用となるに充分高いレベルで標的細胞中で遺伝子を発現させることが知られているプロモーターを選択するであろう。
本発明に係る遺伝的ベクターおよび発現ベクターは、所望により、発現ベクターから生成されるメッセンジャーRNAの、タンパクへの効率的な翻訳を可能にするリボゾーム結合部位、補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子に機能的に結合していてよい種々のシグナルペプチドをコードしているDNA配列、を包含する、種々のさらなる調節配列を含むことができる。シグナルペプチドは、もし存在するならば、翻訳融合ポリペプチドの細胞外分泌の改善を可能にする前駆体アミノ酸として発現される。
故に本発明の企図する遺伝子構築物は、プロモーター配列またはプロモーターおよびエンハンサー配列のいずれかと機能的に結合し、さらにメッセンジャーRNAの終止およびポリアデニル化を指令するポリアデニル化配列に機能的に結合した、上記補助分子リガンド遺伝子の様々な型を包含する。本発明に係る遺伝子構築物は、所望の細胞内部でのその構築物の効率的な複製および発現を可能にするその他の遺伝子配列を含むであろう事が企図される。このような配列は、天然補助分子リガンド遺伝子から誘導される、または例えばウイルス遺伝子から誘導される、イントロンを包含し得る。
本発明はさらに、直接哺乳動物細胞に感染して所望の補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子をその細胞内に導入することのできる、遺伝子治療ベクターをも企図する。これらの遺伝子治療ベクターは、動物または患者から分離した細胞を直接感染させるのに役立ち、または、動物または患者の内部に直接導入し、それによりその動物または患者内部の所望細胞を直接感染させることができる。
遺伝子をうまく移動させて所望の外来DNA配列の発現をもたらすことのできる数多くの型の遺伝子治療ベクターが開発され、文献に記載されてきた。例えば、Current Comm.Mol.Biol.、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク(1987)の「哺乳動物細胞のための遺伝子移動ベクター」と題された論文。さらに、燐酸カルシウムトランスフェクション(ベルマン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:7176(1984))、DEAE−デキストラントランスフェクション、プロトプラスト融合(ディーンズ等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:1292(1984))、電気穿孔、リポソーム融合、ポリブレントランスフェクションおよび細胞膜のレーザー微穿孔による遺伝子の直接移動を包含する、多数の技術を用いるトランスベクションによって、裸のDNAを、ヒトの細胞を包含する真核生物細胞中に物理的に導入することができる。さらに、当業者には、DNAを、それが細胞のゲノムに統合され、所望遺伝子の発現を可能にするように細胞内にうまく導入することのできるいかなる技術も、本発明に役立つであろう事が理解できるであろう。
特に、遺伝子のデリバリーのための組換え感染性ウイルス粒子を利用する遺伝子治療ベクターが広く記載されてきた。例えば、S.L.ブロディーおよびR.G.クリスタル、Ann.N.Y.Acad.Sci.716:90(1994);A.スリヴァスタヴァ、Blood.Cells、20:531(1994);D.ジョリー、Cancer Gene Ther.1:51(1994);S.J.ラッセル、Eur.J.Cancer、30A:1165(1994);J.K.イー、T.フリードマン、およびJ.C.バーンズ、Methods Cell Biol.43PtA:99(1994);K.A.ボリス-ローリーおよびH.M.テミン、Curr.Opin.Genet.Dev.3:102(1993);P.トルストシェヴ、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.33:573(1993);およびB.J.カーター、Curr.Opin.Biotechnol.3:533(1992)を参照されたい。本発明は、補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子をコードしている遺伝子を細胞内に導入することにより本発明の所望の方法を実施するための遺伝子治療ベクターの用途を企図している。多くのウイルスベクターが定義されて遺伝子治療ベクターとして使用され、それらには、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、およびレトロウイルスから誘導されるウイルスベクターが包含される。当業者には、有用な遺伝子治療ベクターは、補助分子リガンドをコードしているDNAを標的細胞中に直接導入し、そのDNAを細胞に存続させて補助分子リガンドをその細胞内で所望のやり方で発現させるようにできるベクターであることが理解できるであろう。
本発明に係る遺伝子治療ベクターは、補助分子リガンド遺伝子を、ヒトの細胞を包含する様々な哺乳動物細胞内部に導入するのに役立つ。遺伝子治療ベクターに感染する個々の細胞は、ベクターの様々な特性に依存し、係るベクターを用いて本発明に係る補助分子リガンド遺伝子を、造血またはリンパ系幹細胞、抗原提示細胞、胚幹細胞、および、CD40をその表面に有する細胞を包含する、免疫系の中で抗原提示可能なその他の細胞の中に導入することができる。さらに、このような遺伝子治療ベクターは、補助分子リガンド遺伝子をコードしている遺伝子を、ヒト新生物細胞、例えばリンパ腫、白血病、AML、CLL、CML、AMML、CMML、乳癌、肺癌、卵巣癌または、抗原提示細胞としてまたはバイスタンダーである抗原提示細胞を刺激することのできる細胞として働くことのできる任意の腫瘍の中に導入することができる。さらに、企図される遺伝子治療ベクターを使用して、免疫系に抗原を提示できるよう作り替えた細胞の中に、本発明に係る補助分子リガンド遺伝子を導入することができる。
III.補助分子リガンドまたはキメラ補助分子リガンドをコードしている遺伝子構築物を含む細胞
本発明はまた、本発明に係る遺伝子構築物を含む様々な細胞を企図している。これらの細胞は補助分子リガンド遺伝子をコードしている構築物を含んでおり、よって、上記II.B.項に記載の様々な遺伝的要素を含んでいる。これらの細胞は、微生物細胞、真核生物細胞、昆虫細胞、およびヒト細胞を包含する種々の哺乳動物細胞であってよい。本発明の好ましい態様では、これらの細胞は、ヒトの新生物細胞を包含する様々な新生物細胞を包含する。これらの新生物細胞はいかなる細胞型であってもよく、免疫系の細胞、およびその他の血液細胞を包含する。免疫系の中で抗原提示細胞として機能できる新生物細胞、または本発明に係るトランスジェニック補助細胞分子の発現によってバイスタンダーの抗原提示細胞を刺激することのできる新生物細胞が特に好ましい。典型的には、免疫系に抗原を提示するよう機能できるこれらの新生物は、補助分子、例えばCD40分子を細胞表面に持っている、または持っていた。一般に、これらの細胞は、本来免疫系に抗原提示することができるが、本発明は、本来免疫系に抗原を提示できるのではなく、その細胞が免疫系に抗原を提示できるよう遺伝的に作り替えた細胞の中に、補助分子リガンド遺伝子を導入することをも企図している。典型的には、これらの細胞は、新生物的となった、様々な既知の細胞型、例えば単球、マクロファージ、B細胞、ランゲルハンス細胞、交互嵌入細胞、濾胞樹状細胞またはクッパー細胞等を包含する。さらに、本発明はまた、本明細書に記載した遺伝子構築物を含む、種々の癌腫、胸部、卵巣および肺癌由来の細胞を企図するものである。別の好ましい態様では、本発明に係る補助分子リガンド遺伝子を細胞の中に入れ、これを、腫瘍床または関節のような処置部位に注射することができる。例えば、本発明に係る補助分子リガンド遺伝子を線維芽細胞中に挿入し、その細胞表面でこの補助分子リガンドを発現させることができる。次いでこの線維芽細胞を処置部位に注射して、それらの細胞表面に補助分子リガンドが存在することに起因する所望の免疫効果を惹起する。これらの細胞は、その処置部位に存在する別の免疫細胞(バイスタンダー細胞)を刺激する。このようにしてこの工程は免疫系に所望の効果を生む。
IV.補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝的ベクターおよび構築物を利用する方法
本発明は、補助分子リガンド遺伝子をコードしている遺伝子をヒトの細胞中に導入し、その結果、当該遺伝子によりコードされている補助分子リガンドがそれらの細胞表面で発現されるようにすることを含む方法を使用する、ヒト細胞の免疫反応姓を変える方法を企図する。本発明は、免疫系の標的として、または外来標的に応答する免疫系の一部として、免疫反応に参加する、任意のヒト細胞にとって有用である。最終結果が、補助分子リガンド遺伝子が所望細胞内に導入されるということである、極めて様々な方法が企図される。これらの方法はエクスビボ法、インビボ法、および、DNA、遺伝的ベクターまたは遺伝子治療ベクターを動物またはヒトに注射すること(任意の動物またはヒトに存在する腫瘍床の中への直接注入を包含する)を含む様々な他の方法を包含する。
補助分子リガンド遺伝子が導入されるべき細胞を動物または患者から分離し、次いでその遺伝子を、適当な方法を用いてそれら分離された細胞内に導入する、エクスビボ法が企図される。有用なエクスビボ法の例は、例えばS.E.レイパー、M.グロスマン、D.J.レイダー、J.G.トーエン、B.J.クラーク、D.M.コランスキー、D.W.ミュラー、およびJ.M.ウィルソン、Ann.Surg.223:116(1996);Lルー、R.N.シェン、およびH.E.ブロクスメイアー、Crit.Rev.Oncol.Hematol.22:61(1996);O.N.コック、J.A.アレイ、K.リー、B.M.デイヴィス、J.S.リース、およびS.L.ガーソン、Semin.Oncol.23:46(1996);L.J.フィッシャーおよびJ.レイ、Curr.Opin.Neurobiol.4:735(1994);ならびにB.R.ゴールドシュピール、L.グリーンおよびK.A.カリス、Clin.Pharm.12:488(1993)に記載されている。D.ディロー等はBlood 90:1927-1933(1997)に、B−急性リンパ芽球性白血病(ALL)を処置するためにCD40L活性化細胞を使用する方法を記載している。彼等は、CD40Lをコードしているレトロウイルスベクターに感染した線維芽細胞と共に白血病細胞を培養し、次いでこの細胞混合物をマウスに注射した。このようなアプローチは、ヒトに実施した場合、補助分子リガンドを発現する別のセルラインにより治療細胞をインビトロで刺激するという点で、本明細書に企図される方法とは相違するであろう。J.L.シュルツ等はBlood、89:3806-3816(1997)で、前もってCD40L発現線維芽細胞と共に培養しておいたFL B細胞にインビトロでT−TILを暴露させることにより、濾胞性リンパ腫(FL)細胞に対し細胞毒性であるT−TIL(腫瘍浸潤T細胞)を刺激する方法を記載している。彼等は、この方法で刺激されたT−TILSを患者に輸注する、養子免疫療法を提唱している。さらにこの方法は、補助分子を発現する別のセルラインで、輸注されるべき細胞をインビトロ刺激する必要がある。
補助分子リガンド遺伝子がそれら分離された細胞内にうまく導入されることが確実となるような任意選択の工程があればそれも含めて該遺伝子の導入が終わった後、この分離された細胞を、特定の部位にまたは患者の循環内に直接導入する。本発明の好ましい態様では、腫瘍マーカーまたは抗原がその細胞を同定するような分子を包含する細胞表面マーカーを使用して、これらの分子を特異的に患者から分離する。当業者には、このような分離法は良く知られており、且つ、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、篩い分け、カラムおよびその他の類似方法を包含する様々な形式を含む免疫選択といった方法を包含することが理解できるであろう。
本発明はさらに、最初に所望細胞を患者から分離することなく、補助分子リガンド遺伝子を動物またはヒト患者の体内で所望細胞中に導入することを企図する。遺伝子を、インビボまたは患者の体内で特定の細胞内に導入する方法は良く知られており、遺伝子治療ベクターの使用および動物または患者への様々な遺伝子構築物の直接注射を包含する。有用な方法の例は、I.ダンコおよびJ.A.ウォルフ、Vaccine、12:1499(1994);E.ラズ、A.ワタナベ、S.M.バイアード、R.A.アイゼンバーグ、T.B.パー、M.ロッツ、T.J.キップス、およびD.A.カーソン、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:4523(1993);H.L.デイヴィス、R.G.ファーレン、およびB.A.デメネイクス、Hum.Gene Ther.4:151(1993);S.スガヤ、K.フジタ、A.キクチ、H.ウエダ、K.タカクワ、S.コダマ、およびK.タナカ、Hum.Gene Ther.7:223(1996);H.プレンティス、R.A.クロナー、Y.リー、L.ニューマン、およびL.キーデス、J.Mol.Cell Cardiol.28:133(1996);C.スーブレイン、R.モウアワッド、O.リキセ、V.カルヴェス、A.グマーリ、O.ヴェローナ、M.ウェイル、およびD.カヤット、Eur.J.Cancer、32A:691(1996);A.カス−アイスラー、K.リー、およびL.A.レインワンド、Ann.N.Y.Acad.Sci.772:232(1995);R.P.デマッテオ、S.E.レイパー、M.アーン、K.J.フィッシャー、C.バーク、A.ラドゥ、G.ウィデラ、B.R.クレイター、C.F.バーカー、およびJ.F.マークマン、Ann.Surg.222:229(1995);C.L.アディソン、T.ブラシアク、R.ラルストン、W.J.ミュラー、J.ゴルディー、およびF.L.グラハム、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:8522(1995);U.R.ヘンジ、P.S.ウォーカー、およびJ.C.ヴォーゲル、J.Clin.Invest.97:2911(1996);P.L.フェルグナー、Y.J.ツァイ、L.スーク、C.J.フィーラー、M.マンソープ、J.マーシャル、およびS.H.チェング、Ann.N.Y.Acad.Sci.772:126(1995);ならびにP.A.ファース、A.シャメイ、およびL.ヘニゴーセン、Hybridoma、14:149(1995)に記載されている。典型的な適用においては、補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを患者の循環内に、または限局した部位に導入し、その遺伝子治療ベクターが所望の細胞に特異的に感染することを可能にさせる。別の好ましい態様では、遺伝子治療ベクターを、補助分子リガンド遺伝子が導入されるべき少なくとも幾つかの細胞を含んでいる、動物の腫瘍床に直接注射する。
本発明はさらに、プロモーターおよび補助分子リガンド遺伝子とこれに続くポリアデニル化配列を持っている遺伝子構築物由来のDNAを、患者または動物に直接注射する事をも企図する。このような有用な方法の例は、R.G.ヴァイルおよびI.R.ハート、Ann.Oncol.5追補4:59(1994)に記載されている。この遺伝子構築物のDNAは、動物または患者の筋肉またはその他の部位に直接注射し、または動物または患者の腫瘍床に直接注射する。別法として、少なくとも補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子構築物由来のDNAを使用し、動物に直接注射する。
本発明の好ましい態様では、補助分子リガンド遺伝子を、細胞表面に補助分子を有しているヒト細胞を包含する細胞内に導入することによって、ヒト患者または動物の免疫反応または応答を変える。このような細胞には、ヒトの細胞、ヒト抗原提示細胞が包含され、所望によりこれらの細胞は、刺激することのできる細胞または細胞群の表面に補助分子を発現する能力を持つ新生物的抗原提示細胞であってよい。幾つかの態様において、補助分子リガンド遺伝子が導入されるべき細胞の表面に存在する補助分子の量は、極めて少なく、このように補助分子が少量であるのは、係る細胞表面の補助分子のダウンレギュレーションに起因する。幾つかの態様においては、補助分子リガンド遺伝子が導入される細胞は、少なくとも低レベルのCD40分子が細胞表面に存在するか、または、細胞表面にCD40リガンド分子を発現していたが、その発現が低下しまたは無くなってしまった細胞に由来している。
特定の細胞の免疫活性を変える好ましい方法は、ヒト細胞を包含する哺乳動物細胞に適用可能である。これらのヒト細胞は、ヒト新生物細胞、例えばヒトリンパ腫、白血病、ならびに胸部、肺および卵巣癌を包含するその他の悪性腫瘍を包含することができる。幾つかの好ましい態様では、この細胞は、ヒト患者の正常な抗原提示細胞、例えば単球、マクロファージ、B細胞、ランゲルハンス細胞、交互嵌入細胞、濾胞樹状細胞、クッパー細胞、およびその他の類似細胞である。好ましい態様において、そのような細胞は、本発明に係る補助分子が細胞内に導入される時に免疫活性の変化を獲得するリンパ球である。別の好ましい態様においては、細胞は、本発明に係る補助分子リガンド遺伝子が細胞内に導入される時にバイスタンダー抗原提示細胞を刺激することのできる、新生物または正常細胞であってよい。本発明はまた、本来免疫系に抗原を提示できない細胞を、補助分子をコードしている遺伝子を包含する、抗原提示に必要な分子をコードしている遺伝子を導入するよう遺伝的に作り替え、それによりこれらの細胞が人工的な抗原提示細胞として振る舞うようにできるということをも企図している。次いで補助分子リガンド遺伝子をこれら人工の抗原提示細胞中に導入することができる。例えば細胞増殖またはリンホカインの産生といった、特定の細胞が抗原提示細胞として機能できるか否かを決定するための様々な試験が文献で知られており、故に本発明においてこの点は容易に決定できる。
上記の正常なヒト細胞に加え、本発明はまた、所望により抗原提示細胞であってもよい様々な新生物または悪性細胞中に、補助分子リガンド遺伝子を導入することをも企図している。企図されるこのようなヒト新生物細胞は、白血病、リンパ腫、AML、AMML、またはCMML、CML、CLL、および、補助分子リガンドがその細胞内に導入される時にバイスタンダー抗原提示細胞を刺激することのできる任意の新生物細胞を包含する。さらに、抗原提示細胞として挙動できる、または挙動するよう作り替えられた、胸部、卵巣または肺癌細胞のような新生物細胞もまた企図される。しかしながら本発明に係る免疫調節は、個別に特定していないその他の悪性腫瘍にも適用可能であり、したがって、動物またはヒトの免疫系の中で抗原を提示できる任意の細胞の任意の腫瘍、または、補助分子リガンド遺伝子がそれらの細胞中に導入された後に抗原提示細胞として挙動できる、またはバイスタンダー抗原提示細胞を刺激できる任意の細胞を包含するであろう。一般にこれらの抗原提示細胞はその細胞表面に補助分子を持っている。
ヒトまたは動物細胞の免疫活性を変える本方法は、免疫活性の変化が望まれる細胞の中に補助分子リガンド遺伝子を導入することを企図している。本発明に役立つ遺伝子は、上記に特定した広範囲の補助分子リガンド遺伝子およびキメラ補助分子リガンド遺伝子を包含し、好ましい態様において、少なくともマウスCD40リガンド遺伝子の一部を包含する。特に好ましい態様では、本発明方法を用いて細胞内に導入される補助分子リガンド遺伝子は、免疫活性の変化が望まれる細胞の表面に存在する補助分子に対応するよう選択する。本発明の或る特定の適用において、細胞表面にCD40分子を発現する細胞の免疫活性は、CD40リガンド分子、より好ましくはマウスCD40リガンド分子をコードしている遺伝子を導入することにより、達成する。
本発明はさらに、キメラ補助分子リガンド遺伝子である補助分子リガンド遺伝子を細胞内に導入することにより、ヒトまたは動物細胞の免疫活性を変化させることをも企図している。種々の有用なキメラ補助分子リガンド遺伝子が上記で同定され、且つ多岐にわたる分子を包含しており、それらのキメラ補助分子リガンド遺伝子の特異な性質を利用して標的細胞の免疫活性を変化させることができる。好ましい態様において、有用なキメラ補助分子リガンド遺伝子は、免疫活性の変化が望まれる細胞の表面に存在する補助分子に結合できる補助分子リガンドの少なくとも一部をコードしている遺伝子である。
免疫活性を変えるための本発明方法は、補助分子リガンドをコードし、故に補助分子リガンド遺伝子を含んでいる遺伝子治療ベクターを包含する、遺伝的ベクターおよび遺伝子構築物の使用を企図する。典型的には、本発明に係る遺伝子治療ベクターを包含する遺伝的ベクターおよび遺伝子構築物は、補助分子リガンド遺伝子と機能的に結合したプロモーターと、これに続くポリアデニル化配列を持っている。別の態様においては、唯一の必要条件は、本発明に係る遺伝的ベクター、遺伝子構築物、および遺伝子治療ベクターが、補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子を含んでいることである。
V.新生物を処置する方法
本発明はさらに、ヒトの新生物細胞中に、補助分子リガンドをコードしている遺伝子を挿入し、その結果、該補助分子リガンドがその新生物細胞の表面で発現されるようにすることを含む、ヒトの新生物を処置する方法をも企図する。本発明は、インビボ、エクスビボの両方で、そして補助分子リガンドをコードしている遺伝子を含む様々なDNA分子を患者内部に直接注射することによって、ヒトの新生物を処置することを企図する。しかし、最低限、ヒトの新生物を処置するための本発明方法は、それら新生物細胞が細胞表面に補助分子リガンドを発現するようなやり方で、補助分子リガンドをコードしている遺伝子を新生物細胞中に挿入することを含む。これらの新生物細胞における補助分子リガンド遺伝子の発現は、免疫系を調節し、その新生物の縮小または排除をもたらす。
ヒトの新生物を処置する好ましい方法において、この方法はさらに、まずヒトの患者からヒト新生物細胞を取得し、次に、補助分子リガンドが新生物細胞の表面で発現されるよう、この分離したヒト新生物細胞中に、補助分子リガンドをコードしている遺伝子を挿入する工程を含む。次に、その細胞表面に補助分子リガンドを持っているヒト新生物細胞を、その患者に輸注して戻す。当業者には、補助分子リガンドをコードしている遺伝子を含む、変化したヒト新生物細胞を患者に輸注して戻すために、数多くの方法が適用可能であること、そしてこれらの方法は当分野で良く知られていることが理解できるであろう。
ヒト新生物を処置する、企図される方法は、リンパ腫、白血病、およびその他の悪性腫瘍を包含する多岐にわたるヒトの新生物に適用できる。好ましい態様において、ヒト新生物は、ヒト免疫系の抗原提示細胞を含む新生物であって、単球、マクロファージ、B細胞、ランゲルハンス細胞、交互嵌入細胞、濾胞樹状細胞、クッパー細胞等を包含する。別の好ましい態様では、ヒト新生物は、白血病、リンパ腫、AML、AMML、CMML、CMLまたはCLL、肺癌、乳癌、卵巣癌およびその他の類似の新生物である。
本発明に係るヒト新生物を処置する方法で有用な遺伝的ベクター、遺伝子構築物および遺伝子治療ベクターは上に開示してあり、それらは、プロモーターが補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子と機能的に結合し、次にこれがポリアデニル化配列と機能的に結合している構築物を包含する。ヒト新生物を処置する方法は、本明細書に記載の遺伝子構築物、遺伝的ベクターおよび遺伝子治療ベクターの使用を企図する。さらに本発明は、補助分子リガンド遺伝子をコードしている少なくとも1個の遺伝子を含むDNAの使用を企図する。この遺伝子はプロモーターおよびその他の調節配列を含んでいても含んでいなくてもよい。
本発明の好ましい態様では、ヒト新生物を含む細胞は、ヒト患者内部の腫瘍床と呼ばれる少なくとも一つの限定された部位に位置する。この腫瘍床は典型的には、腫瘍または新生物細胞を、腫瘍または新生物細胞に付随する幾つかの他の細胞と共に含んでいる。本発明は、補助分子リガンドが腫瘍細胞表面で発現され、それにより該細胞が免疫反応に参加するようにするため、補助分子リガンドをコードしている遺伝子を患者の腫瘍床内部に注射することにより、腫瘍床に存在するこのようなヒト新生物を処置する方法を企図するものである。補助分子リガンドをコードしている遺伝子は、遺伝子治療ベクター、遺伝子構築物または遺伝的ベクターの一部として存在し得る。
好ましい態様において、補助分子リガンド遺伝子は、マウスCD40リガンド遺伝子の少なくとも一部を持っているキメラ補助分子リガンド遺伝子である。別の好ましい態様では、コードされている補助分子リガンドは、処置されるべきヒト新生物上に存在する補助分子に結合することができる。
本発明に係る処置方法で使用する種々の遺伝子治療ベクターは、ヒトの細胞に直接感染できるベクターを包含する。このようなベクターは文献に記載されており、本発明に記載した方法に容易に適用できる。
本発明は、S.E.レイパー等、Ann.Surg.223:116(1996);L.ルー等、Crit.Rev.Oncol.Hematol.22:61(1996);O.N.コック等、Semin.Oncol.23:46(1996);L.J.フィッシャー等、Curr.Opin.Neurobiol.4:735(1994);B.R.ゴールドシュピール等、Clin.Pharm.12:488(1993);I.ダンコ等、Vaccine、12:1499(1994);E.ラズ等、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:4523(1993);H.L.デイヴィス等、Hum.Gene Ther.4:151(1993);S.スガヤ等、Hum.Gene Ther.7:223(1996);H.プレンティス等、J.Mol.Cell Cardiol.28:133(1996);C.スーブレイン等、Eur.J.Cancer、32A:691(1996);A.カス−アイスラー等、Ann.N.Y.Acad.Sci.772:232(1995);R.P.デマッテオ等、Ann.Surg.222:229(1995);C.L.アディソン等、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:8522(1995);U.R.ヘンジ等、J.Clin.Invest.97:2911(1996);P.L.フェルグナー等、Ann.N.Y.Acad.Sci.772:126(1995);P.A.ファース、Hybridoma、14:149(1995);J.ヨヴァンディッヒ等、Hum.Gene Ther.6:603(1995);C.H.エヴァンズ等、Hum.Gene Ther.7:1261の方法を包含する任意の型の遺伝子治療の使用を企図している。
VI.ワクチン接種の方法
本発明は、予め定められた生物に対して動物にワクチン接種する方法であって、所望の生物に対する免疫反応をその動物に惹起することのできる免疫原性動物抗原を含有するワクチンを、補助分子リガンドをコードしている遺伝子を含むベクターと共に動物に投与することを含む、方法を企図するものである。本発明はまた、所望の免疫反応を惹起することのできる、または特定の抗原に対する免疫反応を変えることのできる、免疫原性抗原をコードしている遺伝子を、補助分子リガンド遺伝子を包含する遺伝子を含んでいるベクターと共に、投与することを含む、動物にワクチン接種する方法をも企図する。この特別の態様においては、導入するベクターまたはベクター群は、所望の免疫原性抗原および所望の補助分子リガンドをコードしている。本発明はさらに、この免疫原性ペプチドまたはペプチド群をコードしている遺伝子(群)は、補助分子リガンドをコードしている遺伝子または遺伝子群と同じベクター上に存在していてよいということを企図する。
本発明に係るワクチン接種法は、例えばウイルス、細菌、真菌またはその他の生物といった、予め定められた任意の生物に対するワクチン接種を導くために使用できるという点で、普遍的なものである。さらに、本ワクチン接種法を使用して、新生物細胞に対する免疫反応を創出することができる。
別の好ましい態様では、本発明に係るワクチン接種法は、キメラ補助分子リガンド遺伝子である補助分子リガンド遺伝子を含む、遺伝的ベクター、遺伝子構築物または遺伝子治療ベクターを利用する。このキメラ補助分子リガンド遺伝子は、好ましくはマウスCD40リガンド遺伝子の少なくとも一部を含んでいる。別の好ましい態様においては、このワクチン接種法は、最低限補助分子リガンド遺伝子またはキメラ補助分子リガンド遺伝子をコードしているDNA分子を利用する。この特別のDNAは、補助分子リガンド遺伝子の発現を指令するプロモーター配列を含んでいてもいなくてもよい。
本発明はさらに、このワクチン接種法が、特定の細胞または生物の中で補助分子リガンドを発現できる遺伝的ベクターを、アンドウイルス由来の少なくとも一つのポリペプチドを発現できるベクターと共に利用できることを企図している。このアンドウイルスポリペプチドは、その細胞において補助分子リガンドを発現する、同じまたは異なるベクターから発現され得る。この特別の態様では、アンドウイルスポリペプチドは、その生物内の少なくとも一つの細胞型で発現され、このワクチン接種プロトコルに応答して見出された免疫反応を調節する役割を担う。
本発明はさらに、慢性関節リウマチの患者の関節に存在する細胞中に補助分子リガンド遺伝子を導入することをも企図している。好ましい態様において、導入される補助分子リガンド遺伝子は、Fasリガンド遺伝子の少なくとも一部を含み、補助リガンドの発現時に、細胞表面にFasを発現している細胞の細胞死を誘発する。この工程は、破壊的炎症プロセスの縮小につながる。
以下の実施例は本発明の様々な側面を例示するために供するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
VII.関節炎を処置する方法
本発明はまた、補助分子、例えばFasリガンドで形質転換した細胞を関節中に挿入することを含む、関節炎の処置方法をも企図している。好ましい態様では、その補助分子リガンドの発現または細胞表面での該分子の安定性が変えられる。これら好ましい態様において、補助分子リガンドは増強して機能し、関節内の関節炎の処置の助けとなる。本発明は、インビボ、エクスビボの両方で、そして有用な補助分子リガンドをコードしている遺伝子を含む様々なDNA分子を患者内部に直接注射することによって、ヒトの関節炎を処置することを企図する。慢性関節リウマチに対し、下記の実施例の項に記載するものを包含する様々な有用なプロトコルを設計することができる。
本発明は、二つの異なる補助分子リガンド遺伝子から誘導される遺伝子の一部分を含むキメラ補助分子リガンド遺伝子であってよい、補助分子リガンド遺伝子を利用する、関節炎の処置を企図している。別の態様では、このキメラ補助分子リガンドは、同じ補助分子リガンド遺伝子由来のドメインを利用して作成できる。得られるキメラ補助分子リガンドは、それらが発現される際、細胞表面での安定性が変化している。この安定性の変化が、これらのキメラ補助分子リガンドの発現する細胞周辺の局所環境において免疫系の機能を調節する。例えば、或る好ましい態様では、Fasリガンドの安定性が、関節炎に罹患している患者の関節内部の細胞表面で変化を受ける。この安定性の変化が免疫系を調節し、その細胞をアポトーシスに向かわせ、こうして炎症のある関節内部の免疫反応が低下する。別の態様においては、本明細書に記載の補助分子リガンド遺伝子を、得られる補助分子リガンドが、変化した安定性を持ち、関節炎の処置に有用となり得る免疫調節効果を惹起するように変化させる。
本発明は、好ましい態様において、キメラ補助分子リガンド遺伝子が関節炎の処置に利用されることを企図する。これらのキメラ補助分子リガンド遺伝子は、好ましくは、Fasリガンドに対する影響または機能を有するFasリガンド遺伝子ドメインIVの少なくとも一部を含んでいる。好ましい態様では、そのドメインの少なくとも一部が存在し、これによってFasリガンドがその生物学的効力を持つことが可能となる。そのドメインの少なくとも一部が存在する。別の好ましいキメラ補助分子リガンドでは、それらのリガンドは、本発明に係る別の補助分子リガンド遺伝子由来の、または同じ補助分子リガンドの異なるドメイン由来のドメインを含んでいる。マウスFasリガンドのドメインIIIと機能的に結合したヒトFasリガンドのドメインIVで構成されるFasキメラ補助分子リガンド遺伝子は特に好ましい。この特別の組み合わせは、より安定なFasリガンドを産み、故に、ヒトFasリガンドのドメインIIIをマウスリガンドのドメインIIIに置き換えることにより、このヒトFasリガンド遺伝子の活性が変わる。
これに代わり、別の好ましい態様では、細胞表面のマウスFasリガンドをコードさせるために、ヒトFasリガンドの代わりにマウスFasリガンド遺伝子を使用する。マウスFasリガンドはヒトFasリガンドより安定であり、よって関節でのFasリガンド活性が変わる。得られる変化したFasリガンド活性は、慢性関節リウマチの処置に有用である。
さらなる好ましい態様は、ヒトFasリガンドのドメインIVに存在する効力または機能を他の補助分子リガンド由来の他のドメインと結びつける態様を含む。例えば、CD70ドメインIIIはヒトFasリガンドのドメインIIIより安定であり、したがってヒトCD70由来のドメインIIIおよびFasリガンドのドメインIVならびにその他の支持ドメインより成るキメラ補助分子リガンドは、より安定であろう。安定性の増大はFasリガンド活性の増大につながる。別の好ましい態様では、FasリガンドのドメインIIIを、多コピーのドメインまたはドメイン群に置き換える。このような多コピーのドメインは、CD70分子のドメインIIIまたはIといったような、2またはそれ以上のコピーの他のドメインで構成されるドメインを包含する。
別の好ましい態様において、本発明は、マトリックス−メタロプロテイナーゼ(MMP)のための開裂部位がその補助分子リガンドから除去されてしまったFasリガンド遺伝子のような補助分子リガンド遺伝子を企図する。第28図に図示したMMP開裂および認識部位は、M.M.スミス等、Journal of Biol.Chem.270:6440-6449(95)およびH.ナガセおよびG.B.フィールズ、Biopolymers(Peptide Science)40:399-416(96)に議論されている。好ましい態様では、少なくとも1個のMMP部位がFasリガンド遺伝子の少なくともドメインIIIから取り除かれた。Fasリガンド遺伝子からのMMP部位の除去はFasリガンドをより安定とし、よって関節炎の処置において、より有効となる。
別の好ましい態様において、キメラ補助分子リガンド遺伝子は、ヒトFasリガンド遺伝子の一部と、他のヒト補助分子リガンド由来の他のドメインまたは他の種から誘導された補助分子由来のドメインを含んでいる。例えば、本発明は、CD40リガンド、CD70リガンド、CD30リガンド、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、TNF−αならびにヒトFasリガンドおよびマウスFasリガンドの突然変異体由来のドメインの使用を企図している。このようなキメラ補助分子リガンドの生成は、キメラでありしたがって少なくとも二つの異なる補助分子リガンド遺伝子から誘導される部分を有する、補助分子リガンド遺伝子を操作および作成することにより、容易に達成できる。
実施例
1.ヒトのCLL細胞におけるヒトおよびマウスの補助分子リガンドの発現
a.ヒトおよびマウスの補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子構築物および遺伝子治療ベクターの構築
ヒトの補助分子リガンド遺伝子(ヒトのCD40リガンド)またはマウスの補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40リガンド)のいずれかをヒトおよびマウスそれぞれの遺伝子を用いて構築した。これらの遺伝子を各々次の様式でクローニングした。
i.マウスCD40−Lのクローニング
1×107個のマウス脾細胞B6から全RNAをRNA・STAT−60キット(Tel−Test”B”社、フレンズウッド、TX製品)を使用して分離して、これをあらかじめ固定化CD3−特異的mAbで8時間活性化した。次に、オリゴ−dTプライマーを使用してSuperscript・cDNA合成キット(Gibco・BRL社、グランドアイランド、NY製品)でcDNAを合成した。次にこのcDNAから次のmCD40−L特異的プライマーを使用するPCRによってマウスのCD40リガンド(mCD40−L)遺伝子を増幅した。5’−GTTAAGCTTTTCAGTCAGCATGATAGAA(配列番号26)および5’−GTTTCTAGATCAGAGTTTGAGTAAGCC(配列番号27)。増幅したmCD40−LのPCR産物を真核生物発現ベクターpcDNA3(Invitrogen社、サンジェゴ、CA製品)のHindIIIおよびXbal部位にサブクローニングした。このプラスミド構築物からBg1II酵素およびXhoI酵素で制限消化をした後、CMVプロモーター、mCD40−L遺伝子、およびポリアデニル化シグナルを包含するDNA断片を分離した。このDNA断片を次にシャトルプラスミドMCS(SK)pXCX2(Spessot・R.著、1989年、Virology、168巻:378頁)にサブクローニングして、mCD40−L・pXCX2と命名した。以下のように、このプラスミドを使用してアデノウイルスを産生した。
ii.ヒトCD40−Lのクローニング
ヒトのCD40−L遺伝子を含むプラスミドを使用して本明細書で使用するヒトのCD40−Lを作製した。この遺伝子の配列は知られており、この遺伝子は好都合に使用した。GenBank、受理番号X67878参照。このプラスミドを使用してヒトのCD40−L遺伝子をセンスプライマー:5’−CCAAGACTAGTTAACACAGCATGATCGAAA−3’(配列番号28)およびアンチセンスプライマー:5’−CCAATGCGGCCGCACTCAGAATTCAACCTG−3’(配列番号29)の特異的プライマーを用いてPCR増幅した。
これらのプライマーには真核生物発現プラスミドpRc/CMV(Invitrogen社製品)にサブクローニングするためのフランキング制限酵素部位を含む。このPCRで増幅したCD40−L断片をpRc/CMVのSpeIおよびNotI部位にサブクローニングしてhCD40−L・pRc/CMVと命名した。CMVプロモーター、hCD40−L遺伝子、およびポリアデニル化シグナルを含むBglIIおよびXhoI断片を次にこのプラスミドから分離し、前記のようにシャトルプラスミドMCS(SK)pXCX2にサブクローニングした。このプラスミドをhCD40−L・pXCX2と命名した。以下のように、このプラスミドを使用してアデノウイルスを産生した。
iii.アデノウイルスの合成
mCD40−L・pXCX2またはhCD40−L・pXCX2プラスミドのいずれかを燐酸カルシウム法(Sambrook、Fritsch、およびManiatis著、1989年、「Molecular・Cloning,A・Laboratory・Manual(分子クローニング、実験室便覧)」、第2版、16章:33〜34頁)を用いてpJM17(GrahamとPrevec著、1991年、「Methods・in・Molecular・Biology(分子生物学における方法論)」、第7巻)とともに293細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション、ロックビル、MD)に共遺伝子移入した。分離したアデノウイルスのプラークを釣上げ、293細胞に再感染させて増殖した。次の修正点を除いて記載(GrahamとPrevec著、1991年、「Methods・in・Molecular・Biology(分子生物学における方法論)」、第7巻)の通りに高力価アデノウイルス製品を製造した。ウイルス粒子の濃縮に使用した塩化セシウム勾配は密度1.45g/cm3および1.2g/cm3の二段階勾配であった。SW41ローター(Beckman社、ブリー、CA製品)を使用して25000rpmでこの試料を4℃で遠心分離した。このウイルスバンドをSephadex・G25DNA級カラム(Pharmacia社、ピスカタウェイ、NJ製品)を使用して脱塩した。分離したウイルスを10%グリセリン添加燐酸緩衝食塩水中に70℃で保存した。ウイルスタイターは精製アデノウイルスの順次希釈で293細胞を感染させ、形成されたプラーク数を計測することによって決定した。ウイルスタイターは典型的には1010から1012プラーク形成単位/mL(PFU/mL)の範囲であった。
b.マウスおよびヒトの補助分子リガンド遺伝子のCLL細胞およびHeLa細胞への導入
アデノウイルス感染には新規に解凍して洗浄したCLL細胞またはHela細胞を培養培地0.5〜1mL中に懸濁し、5%CO2−空気インキュベータ中、37℃で培養した。この細胞に感染多重度(MOI)を変えてアデノウイルスを添加し、感染した細胞を特段の記載がない限り48時間培養した後にトランスジーンの発現を分析した。
c.CLL細胞およびHela細胞中での補助分子リガンド遺伝子の発現
実施例1bで製造したマウスまたはヒトのいずれかのCD40リガンド遺伝子を含有するアデノウイルスベクターに感染したCLL細胞およびHela細胞を、次にヒトまたはマウスのCD40リガンドに対して免疫特異的な商業的に購入したモノクローナル抗体(Pharmingen社、サンジェゴ、CA製品)を製造社の指示書に従って使用して染色した。このCLL細胞およびHela細胞をヨウ化プロピジウム添加RPMI−1640、3%ウシ胎児血清、および0.05%ナトリウムアジドからなる染色培地(SM)で洗浄し、次にFACScan(Becton・Dickinson社、サンノゼ、CA製品)で分析した。死細胞および破砕物は分析から特異的な正方向および側方向光散乱プロファイルおよびヨウ化プロピジウム染色によって排除した。表面抗原の発現は平均螢光強度比(MFIR)として測定した。MFIRは特異的なFITC複合MoAbで染色された細胞の螢光強度平均値(MFI)を対照IgG−FITCで染色された細胞のMFIで割った商に等しい。この方法は大きく活性化された活性の強い細胞で見られる自己螢光の非特異的な増大を制御する。
ヒトのCD40リガンド遺伝子またはマウスのCD40リガンド遺伝子のいずれかの遺伝子ベクターを含むCLL細胞およびHela細胞および適当な対照とから作製されたヒストグラムを第3A図〜第3D図に示す。マウスおよびヒトの補助分子リガンド遺伝子(CD40リガンド)双方のHela細胞での発現を各々第3A図および第3B図に示す。マウスおよびヒトの補助分子リガンドのCLL細胞での発現を第3C図および第3D図に示す。CLL細胞での補助分子リガンド遺伝子の発現およびCLL細胞表面でのマウスCD40リガンドの発現を第3C図に示す。ヒト補助分子リガンドがCLL細胞表面に発現されないことは、第3D図に示す。
第8図はCD4+・T細胞を持つCLL患者が、CD3ライゲーション後に補助分子リガンドmRNAの発現を誘導できるかどうかを検査するために行った実験から得たデータを示す。ELISAによる定量的競合RT−PCRを用いてCD40リガンド転写水準を測定した。この実験では、CD40リガンドおよびCLL細胞中のCD40リガンド遺伝子から転写されたRNAと、CD3のライゲーションによって誘導した後に正常なドナー細胞中のCD40リガンドおよびRNAのレベルとを、比較する。CD3活性化にはプレートをCD3・mAbで被覆し、塗布したCLLまたは正常ドナー単核細胞を指定時間インキュベーションの後に、細胞を表面抗原の発現またはCD154・RNAメッセージの水準について分析した。CLLまたは正常ドナー血清を活性化検定実験の初期に細胞に添加してCD40リガンドの表面発現について試験した。
定量的なCD154・RT−PCR・ELISAには全RNAを抽出し、CD40リガンド(CD154)cDNAを含む挿入物から競合RNAを作製した。分離したRNAの入った個々のウェルに競合RNAを量を変えて添加してウェルのRNAを分離し、続いてcDNAに変換した。Cantwell,M.ほか著、Nature・Medicine、3巻:984〜989頁、(1997年)に記載のようにして、CD3活性化、ELISAおよびPCR反応を行った。ビオチン化PCR産物をストレプトアビジン(Sigma社製品)で被覆したマイクロタイタープレート(Becton・Dickinson社、オクスナルド、CA製品)上で捕捉し、インキュベーションした。プレートをNaOHで処理してセンス鎖を除去した後、洗浄した。次にDNAを野生型遺伝子−特異的オリゴヌクレオチドまたは競合体−特異的オリゴヌクレオチドのいずれかとハイブリッドを形成させた。末端トランスフェラーゼを使用して、各プローブをジゴキシゲニン−11−ジデオキシUTP(Boehringer・Mannheim社製品)分子で標識した。プレートをインキュベーションし、HYBE緩衝液および遮断緩衝液で洗浄し、次にペルオキシダーゼ−複合抗−ジゴキシゲニン抗体(150U/mL、Boehringer・Mannheim社製品)の遮断緩衝液溶液を添加した。TMB(テトラメチルベンジジン)およびペルオキシダーゼ(Kirkegaar・and・Perry・Laboratories社、ガイザースバーグ、MD製品)を添加して発色させて吸光度を450nmで測定し、Deltasoft・II(Biometallics社、プリンストン、NJ製品)を使用してデータを分析した。
標準的cDNA反応について、RNA産物のモル数を吸光度に対してプロットした標準曲線を作製した。次にこれらの標準曲線を示す等式を用い、ELISA測定値から得られた吸光度を基にして、未知のPCR反応液中に存在する野生型または競合DNAのモル数を算出した。次に野生型DNAの量と競合DNAの量との比を最初の試料に添加した競合RNAの既知量に対してプロットした。試料中の標的RNAの未知モル数の量の外挿には比率1を取った(比率1は標的RNAの量に対して競合RNAの量が等しいことを意味する)。次式に基づいてCD4細胞に対する標的RNAの分子を算出した:
[(標的CD154RNAモル数)×(6×1023分子/モル)×(被験RNAの希釈率)]/(全細胞集団中のCD4・T細胞%)
第8図の上側グラフはCLL患者のT細胞はCD3ライゲーション後に検出可能なCD40リガンドを発現しないことを示す。CD40リガンドのRNAは産生されるが、安定ではない。正常なドナーT細胞ではCD40リガンドおよびCD40リガンドRNAは発現される(下側グラフ)が、蛋白質濃度もRNA濃度もいずれも安定的に持続されない。
第9図はCD40リガンドの表面発現の時間的経過を示す。発現は感染後48時間で最高レベルに達し、その後少なくとも6日間高レベルに維持された。この実験で、CLL・B細胞をゼロ時間に1000のMOIで補助分子リガンドを含む遺伝子治療ベクターで感染させた。次にその後の様々な時間にフローサイトメトリーで評価した。横座標に示す各時点で検出可能なCD154を発現する活性CCL・B細胞の比率を右側縦座標に記す百分率目盛に対応する縦の棒グラフで示す。
d.ヒトおよびマウスの補助分子リガンドの機能
i.補助分子をコードする遺伝子治療ベクターを含む細胞上でのCD80およびCD54の誘導
実施例1bで製造したマウス補助分子リガンド遺伝子に感染したCLL細胞を組織培養プレートで培養した。多重パラメータFACS分析機を使用し、フルオレッセインイソチオシアネートと各表面抗原に免疫特異的なモノクローナル抗体との複合体を使用してCLL細胞を分析して、CD80およびCD54の発現を検出した。対照としては非感染CLL細胞を使用した。細胞を適当なFACS分析に付してヒストグラムを作製した。CD80mAbはEdward・Clark博士から恵与され、CD54mAbはCALTAG社から商業的に購入した。CD80をKipps、ほか著、「Laboratry・Immunology・II(実験免疫学II)」、12巻:237〜275頁(1992年)に記載されている標準的方法を使用して複合した。
この分析の結果を第4A図〜第4D図に示す。第4A図〜第4B図は非遺伝子移入CCL細胞(第4A図)またはマウスのCD40リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを導入したCCL細胞中(第4B図)のCD54発現量を比較する。影付グラフはFACS染色に対するアイソタイプの対照を示し、白色グラフは抗−CD54抗体で染色された細胞を示す。これらの結果はCD54の発現レベルがマウスのCD40リガンドを含む遺伝子治療ベクターを導入したCLL細胞中では増加することを示す。
第4C図および第4D図では非感染CCL細胞中(第4C図)またはマウスのCD40リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを導入したCCL細胞中(第4D図)のCD80発現量を比較する。影付グラフはFACS染色に対するアイソタイプ対照を示し、白色グラフは抗−CD80抗体で染色された細胞を示す。これらの結果はCD80の発現レベルがマウスCD40リガンドを含む遺伝子治療ベクターを導入したCLL細胞中では増加することを示す。
別の実験の一つでは、マウス補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターに感染したCCL細胞をCD54およびCD80のみでなく、CD86、CD58、CD70およびCD95も誘導発現についてフローサイトメトリーで評価した。フルオレッセインに複合したヒトのCD54およびCD70に特異的なmAbはCALTAG社から購入した。ヒトCD27、CD58、CD80、CD86またはCD95特異的フルオレッセイン複合mAbおよびヒトまたはマウスのCD40リガンドに特異的なフィコエリスリン複合mAbはPharMingen社から入手した。黒色ヒストグラムはFITC−複合アイソタイプ非特異的mAbを有するCLL・B細胞の染色を示す。非感染CLL細胞(第10図、細線ヒストグラム)またはAd−lacZ−感染CLL細胞(非感染細胞で得たものと同様なデータであるが記載していない)とは対照的に、CD40リガンドをコードするアデノウイルスベクター(CD154)に感染したCLL細胞は高いレベルのCD54(第10図、上左)、CD80(第10図、上中)、CD86(第10図、上右)、CD58(第10図、下左)、CD70(第10図、下中)およびCD95(第10図、下右)を発現した。他方、非感染CLL細胞(11A、細線ヒストグラム)(P<0.01、ボンフェロニのt検定)またはAd−lacZ−感染CLL細胞(非感染細胞で得たものと同様なデータであるが記載していない)よりもCD40リガンド−CCL(CD154・CLL)は明らかに低いレベルの表面膜CD27(第11A図、太線ヒストグラム)および可溶性CD27(第11B図)を発現した。第11A図に示す実験では、感染後3日目のCLL・B細胞をCD27の発現についてフローサイトメトリーで検討した。黒色ヒストグラムはFITC複合アイソタイプ対照mAbを有するCLL・B細胞の染色を示す。第11B図では、感染後または刺激後72時間目のCLL・B細胞の細胞不含上清液を集めてヒトCD27濃度をELISAで試験した。CD27発現の減少(第11B図)はRassenti,L.Z.とT.J.Kipps著、J.Exp.Med.、185巻:1435〜1445頁に記載されたCD32発現L細胞が提示するmAb・G28−5と交差結合したCD40で刺激された白血病B細胞で認められたものと類似していた。
ii.マウスCD40リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを導入したCLL細胞に対する同種異系T細胞の応答
マウスCD40リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターに感染したCLL細胞が同種異系(すなわち他の個体から得た)T細胞を刺激する性能を細胞増殖検定法を使用して分析した。略述すれば、被験細胞をlac−Z遺伝子またはマウスCD40リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターとIL−4濃度10ng/mLとの存在下に感染多重度1000で共培養した。他の試料では、CLL細胞をMOPC21(対照IgG)またはG28−5(抗CD40モノクローナル抗体)で刺激するか、またはCD32−L細胞にプレインキュベーションし、同時にIL−4で処理した。IL−4処理と一緒のCD32−L細胞とのプレインキュベーションは直接的遺伝子遺伝子移入以外のCD40分子の交差結合の効果的な型の一つであることを示した。
37℃で3日間の培養後、細胞をマイトマイシンCで処理して増殖を防止し、次に同種異系T細胞を刺激するために使用した。この共培養の前に、適当な様々な量のCLL細胞を抗CD40モノクローナル抗体で処理したか、またはlac−Z遺伝子またはマウスCD40リガンド遺伝子を刺激因子比1:10で含む遺伝子治療ベクターで感染させた。37℃で2日間培養後、インターフェロン−γ(IFNγ)の産生をELISA検定法で測定した。37℃で5日間共培養後、複合細胞への3H−チミジンの導入を8時間の間隔レベルの後に測定した。この検定結果を下記の表IIおよび第5図に示す。
別の実験では、CD40リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターに感染したCLL・B細胞が同種異系混合リンパ球T細胞反応(MLTR)で刺激因子細胞として作用する性能について評価した。これに並行して対照lac−Zベクター感染CLL細胞およびCD32−L細胞および抗−CD40mAb(G28−5)またはアイソタイプ対照Igと共に培養したCLL・B細胞の刺激因子性能もRanheim,E.A.とT.J.Kipps著、J.Exp.Med.、177巻:925〜935頁(1993年);Clark,E.A.とJ.A.Ledbetter著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、83巻:4494−4498頁(1986年)、およびBanchereau,J.ほか著、Science、251巻:70〜72頁(1991年)に記載のようにして試験した。別の非関連ドナーから得たエフェクターT細胞をエフェクター対標的比4:1でCCL刺激因子細胞と共培養した。37℃で18時間培養後にはCD154−CLL細胞とともに培養すると同種異系CD3+細胞の30%は活性化に関連する抗原CD69を発現した(データ未提示)。対照的に、非感染CLL細胞またはAd−lacZ感染CLL細胞と共培養した時には4%に満たないT細胞がCD69を発現した(データ未提示)。
MLTR開始から2日後、培養上清液中のIFNγ濃度をELISAで検定した。補助分子リガンドCD40Lに感染したCLL細胞で刺激されたMLTRの上清液(第12A図、CD154−CLL)は抗−CD40mAbで刺激したMLTR培養物のもの(第12A図、aCD40−CLL)(23±3ng/mL)よりも有意に(P<0.05、ボンフェロニのt検定)高い濃度のIFNγ(306±5ng/mL、m±SE、n=3)を含有していた。後者と対照Ad−lacZ感染CLL細胞で刺激したMLTR培養物(第12A図、lacZ−CLL)(43±10ng/mL)との間には、有意差がなかった(P>0.1、ボンフェロニのt検定)。エフェクター細胞単独の上清液または非感染CLL細胞刺激MLTR培養物の上清液(第12A図、CLL)、または対照Ig処理CLL細胞(第12A図、MOPC−CLL)は検出可能量のIFNγを含有していなかった(<2ng/mL)。同様に、エフェクターT細胞を加えないで単独で培養した白血病B細胞集団はいずれも検出可能量のIFNγを産生しなかった(データ未提示)。
5日後、3H−チミジン取り込みで細胞の増殖を評価した。アイソタイプ対照IgG処理刺激因子細胞(第12B図、MOPC−CLL)または非感染刺激因子細胞(第12B図、CLL)の培養物は3H−チミジンを白血病−刺激因子細胞不含培養物(第12B図、None)よりも多く取込むことはできなかった。Ad−lacZ感染CLL・B細胞(第12B図、lacZ−CLL)も同種異系T細胞を刺激して3H−チミジンを対照培養物よりもはるかに多く取込むことはなかった。対照的に、抗−CD40刺激白血病細胞またはCD154−CLL細胞は各々有意(P<0.05、ボンフェロニのt検定)なエフェクター細胞増殖を誘導した(第12B図、aCD40−CLLまたはCD154−CLL)。さらに、CD154−CLL細胞で刺激された培養物に取込まれた3H−チミジンの量(41004±761cpm(m±SE)、n=3)は同数のaCD40−CLL細胞で刺激された培養で取込まれた3H−チミジンの量(22935±1892cpm、n=3)よりも有意(P<0.05、ボンフェロニのt検定)に大きかった。しかしながら、これらマイトマイシンC処理白血病細胞集団はいずれもエフェクターT細胞不含で培養した時には3H−チミジンを取込まなかった(データ未提示)。また、同種異系T細胞とCD40刺激CLL細胞との間のMLTRについて記載したように{6549、7167、7168}、CD154−CLLに応答する同種異系T細胞の増殖をMLTRの初期に添加した時にはCTLA−4−IgまたはCD11a・mAbで阻害できたので、CD80/CD86とCD28との間またはCD54とCD11a/CD18との間の各々の相互作用が本実験の同種異系T細胞反応に寄与することを示す(データ未提示)。
iii.補助分子リガンド遺伝子を含むCLLによるガンマ−インターフェロンの刺激
補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40リガンド)を含むCLL細胞がTリンパ球を活性化する性能を決定することによって、これらのCLL細胞の機能を分析した。操作は以下の通りに行った:健康ドナー(CD3+90%以上)から得た同種異系Tリンパ球を磁気ビーズとCD14およびCD19抗原に特異的なモノクローナル抗体を使用して精製した。次にこれらの同種異系Tリンパ球を補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40リガンド)またはlac−Z遺伝子に感染したMMC処理CLL細胞とともに培養した。この共培養は10%ウシ胎児血清添加RPMI−1640培地中で行った。24時間培養後に、細胞を収集し、標準的FACS分類プロトコルを使用してTリンパ球上の抗原CD69の発現を測定して分析した。培養2日後に細胞培養上清液を集め、ELISA検定法を使用してヒトのインターフェロン−γの濃度を測定した。補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40リガンド)を含むCLL細胞の一部およびlac−Zを発現するアデノウイルスを含む細胞の一部をヒトのインターロイキン4、IL−4(5ng/mL)、の存在下に培養した。この量のヒトのインターロイキン4の存在下での同種異系Tリンパ球によるインターフェロンγの産生も分析した。これらの分析の結果を第6図に示す。
記載の通り、補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40リガンド)を含むヒトのCLL細胞はlac−Z遺伝子を含むCLL細胞と比較すると実質的に高濃度のインターフェロンγを細胞培養上清液中に産生した。補助分子リガンド遺伝子を含むCLL細胞と接触したTリンパ球によるインターフェロンγ(IFNγ)産生の増大は、補助分子リガンド遺伝子を含むこれらのCLL細胞が免疫反応を強化するために有効であることを指摘する。
iv.補助分子リガンド遺伝子を含む非修正CLL・B細胞と前接触した同種異系T細胞の刺激
以前の研究で、たとえばCD28のような共刺激分子に由来するシグナルの不在下にT細胞への抗原提示が特定のT細胞クローンのアネルギーを起こすことができると報告された。この理由から、以前にCD80およびその他の免疫補助分子の発現を欠失する非修正CLL・B細胞とともに培養された同種異系T細胞をCD40リガンド遺伝子を含むCLL細胞に応答する性能について、試験した。同種異系エフェクター細胞は単独で培養した時(第12C図、None)よりも、非修正CLL細胞(第12C図、CLL)に反応して、またはAd−lac−Zに感染した対照CLL細胞(第12C図、lac−Z−CLL)に反応して、より多量の3H−チミジンを取込むことはなかった。対照的に、非修正CLL・B細胞と前共培養した後にさえ、同種異系エフェクター細胞はなお補助分子リガンドを発現する細胞に応答する増殖(第12C図、CD154−CLL)またはIFNγの産生(第12D図、CD154−CLL)を誘導できた。Ad−lac−Zに感染した白血病細胞を刺激因子に使用した時には、IFNγの中庸な量が二次的培養物の上清液中に検出された(第12D図、CD154−CLL)けれども、この濃度はAd−CD40−リガンドに感染したCLL細胞との二次的培養物に認められるもの(第12D図、CD154−CLL)よりも有意(P<0.05、ボンフェロニのt検定)に低かった。同様に、非感染CLL細胞で刺激されたMLTR培養物(第12D図、CLL)の白血病細胞単独(データ未提示)、およびエフェクター細胞単独(第12D図、None)の上清液ではIFNγ(<2ng/mL)含有量は認識不能であった。これらの結果は、非修正CLL・B細胞と共に培養した同種異系エフェクター細胞が補助分子リガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターに感染したCLL・B細胞への反応からは排除されないことを示す。
v.マウス補助分子リガンド遺伝子をコードする遺伝子治療ベクターを導入したCLL細胞への自己T細胞の反応
CLL患者の血液から分離したT細胞をそれがマウス補助分子CD40リガンドをコードする遺伝子治療ベクターを含む自己のCLL・B細胞に対して試験管内で反応する性能について試験した。T細胞を>95%の純度まで分離した。次にマイトマイシンC処理自己白血病細胞とともに25U/mLの外因性インターロイキン−2添加血清不含AIM−V培地中で培養した。刺激細胞無添加の部分的な二次的外因性IL−2(第13A図、およびデータ未提示)培養物に中庸量の3H−チミジン取込(<=10000cpm)が検出された。しかしながら、T細胞増殖のレベルは非感染CLL細胞(第13A図、CLL)またはAd−lac−Zに感染した対照CLL細胞(第13A図、lac−Z−CLL)に応答して増大することはなかった。対照的に、補助分子リガンドを含む遺伝子治療ベクターに感染したCLL細胞は(第13A図、CD154−CLL)は自己のT細胞に対照培養物のいずれよりも有意に多量(P<0.05、ボンフェロニのt検定)の3H−チミジンの取り込み(17,368±1,093cpm、n=3)を誘導した。さらに、補助分子CD40リガンド(CD40L)をコードするベクターに感染したCLL細胞で刺激されたMLTRはまたその他の培養物のいずれよりも(第13B図)有意に多量(P<0.05、ボンフェロニのt検定)のIFNγ(165±3ng/mL、n=3)を作製した。
自己MLTRから5日後にT細胞を収集し、自己CLL・B細胞に対するCTL活性について評価した。自己CD40−リガンド−CLL細胞と共培養したT細胞は非修正CLL・B細胞に対するCTL活性を発現して、E:T比2:1で40.1%のライシスを起した(±2.3%)(第13C図、CD154)。しかしながら、非感染CLL細胞またはAd−lac−Z感染CLL細胞と共培養した時に、T細胞はこの対照反応では同じ標的細胞に対して検出可能なCTL活性を起こさなかった(第13C図)。
vi.同種異系CLL・B細胞に対する自己CD40−リガンド−CLL・B細胞によって刺激されたCTLの特異性
自己CD40−リガンド−CLLで刺激されたエフェクター細胞を同種異系のCLL・B細胞に対してCTL活性を示す性能またはIFNγを分泌する性能について評価した(第14図)。CD154−CLLまたはlac−Z−CLLでの自己MLTRから5日後にT細胞をFicoll密度勾配遠心分離によって分離し、良く洗浄し、次に培地中で24時間培養した。洗浄したT細胞を自己の標的CLL・B細胞(「Auto・CLL」、黒棒)または同種異系標的CLL・B細胞(「Allo−1・CLL」または「Allo−2・CLL」、影付棒またはハッチ棒)と混合した。lac−Z−CLL細胞ではなく、CD40−リガンド−CLL細胞での自己MLTRにより刺激されたT細胞は非修正自己CLL・B細胞との二次的培養に応答して、同種異系CLL・B細胞とのMLTRよりも有意に多量のIFNγを産生した(第14A図)(P<0.05、ボンフェロニのt検定)。さらに、lac−Z−CLL細胞でなく、CD40−リガンド−CLLで刺激されたT細胞は自己CLL細胞に対して細胞傷害性であったが、同種異系CLL細胞には細胞傷害性はなかった(第14B図)。同様な結果は自己MLTRで活性化された同種異系ドナーのT細胞についても得られ、ここでも自己のCLL・B細胞に対して特異的な細胞傷害性を示した。最後に、クラスIの主要組織適合性複合体(NHCI)抗原に対するmAbであるW6/32は自己CLL・B細胞に対してCD40−リガンド−CLL細胞で刺激されたT細胞の細胞傷害性を有意に阻害できた(第14C図、αHLA−クラスI)(P<0.05、ボンフェロニのt検定)。この阻害はMHCクラスII抗原特異的なmAb(第14C図、αHLA−DP)、Fas−リガンドに特異的なmAb(第14C図、αFasL)または無関係な特異性を持つアイソタイプ対照mAb(第14C図、MOPC−21)では観察されなかった。総合すると、これらの研究ではAd−CD40−リガンド−感染CLL細胞が試験管内で自己の抗白血病細胞性免疫反応を誘導でき、自己の非修正白血病B細胞に対して特異的なMHC−クラスI−限定CTLの作製に到ることを示す。
e.Ad−CD40L・CLL細胞による巻込非感染白血病B細胞のトランス活性化
腫瘍マーカー発現での変化(1(2)節に前記)が細胞内、細胞間のどちらに由来するかを解明するために、補助分子リガンド(CD4040L、またはCD154)をコードするアデノウイルス遺伝子治療ベクターの感染後に誘導されるCD54およびCD80の発現に及ぼす培養密度の効果を検討した。感染後、CCL細胞を標準的な高密度(たとえば、1×106細胞/mL)または標準的な低密度(たとえば、2×105細胞/mL)で37℃で3日間培養した。高密度で塗布した細胞はホモタイプの凝集体を含有したが、低密度で塗布した細胞では均等な分散を維持して実質的な細胞−細胞間接触はなかった(データ未提示)。類似レベルの異種CD154を発現したけれども、高密度で培養したCD154−CLL・B細胞は、低密度で培養したCD154−CLL細胞よりも、高いレベルのCD54およびCD80の発現を誘導した(第15A図)。高密度で達成された刺激はCD40<−>CD154相互作用を遮断することのできるハムスターの抗マウスCD154mAbとともに細胞を培養することによって阻害できた(第15B図、aCD154・Ab)。総合すると、この研究はCD154−CLL細胞はトランス状態で相互に活性化できることおよびCD154の表面発現は最適白血病細胞刺激に必要であることを示す。
これに加えて、Ad−CD154感染、非感染、Ad−lac−Z感染、またはG28−5−刺激CLL細胞を緑色螢光色素で標識し、CD154−CLL細胞が非感染巻込み白血病細胞を刺激できるかどうかを検討した。色素標識細胞を同数の非標識同種同系のCLL・B細胞に対する刺激因子細胞として使用した。2日間の培養後、培養刺激因子細胞はそれ自体が緑色螢光色素を保持し、フローサイトメトリーでその細胞を非標識CLL・B細胞から区別できた。Ad−CD154感染白血病B細胞と共培養した時には巻込(緑色螢光陰性)CD19+CLL・B細胞は誘導されてCD54(第15C図、右側ヒストグラム)またはCD86(第15D図、右側ヒストグラム)を発現したが、模倣感染CLL細胞(第15C図および第15D図、左側ヒストグラム)、G28−5−刺激CLL細胞、またはAd−lac−Z感染CLL細胞との共培養では発現しなかった(データ未提示)。予期された通り、これらの巻込(緑色螢光陰性)CLL細胞はまた異種CD154に対しても陰性であった。
f.補助分子リガンドをコードする遺伝子治療ベクターでの白血病の処置
第24図は修正CD40リガンドをコードするアデノウイルス遺伝子治療ベクターを有するB細胞CLLの処置を検討する臨床試験を略記する。フェレーシスによって収集した白血病細胞を修正CD40リガンドをコードする複製欠失ベクターに感染させる。この蛋白質の発現に続いて宿主の抗白血病細胞免疫反応を刺激する目的で細胞を患者に戻す。この方策では白血病細胞表面にあるただ1個の免疫刺激分子の発現に影響を及ぼす遺伝子治療法よりも遥かに優れている。事実、この方策は一連の免疫刺激補助分子およびサイトカインを発現する白血病細胞をもたらし、ならびに患者の一度も収集したことのない白血病細胞に同じ変化を起こすことのできる分子をもたらす。
2.キメラ補助分子リガンド遺伝子の発現
本明細書に記載する標準的技術を使用して下記のキメラ補助分子リガンド遺伝子を製造する。
a.異なる2種の補助分子遺伝子を利用するキメラ補助分子リガンド遺伝子の製造
ヒトのCD40リガンド遺伝子を抗−CD3モノクローナル抗体で活性化したT細胞から製造したRNAから5’−プライマーおよび3’−プライマーを良く知られているPCR法とともに使用して分離した。ヒトCD40リガンドとマウスCD40リガンドとのキメラ補助分子遺伝子は本明細書に記載する配列番号2のマウスCD40遺伝子および新たにクローニングしたヒトCD40リガンド遺伝子から構築する。ヒトCD40リガンド遺伝子の膜貫通ドメインと細胞質ドメインとをマウスCD40リガンド遺伝子のものと交換し、H(Ex)−M(Tm−Cy)CD40リガンドと命名する。これらキメラ補助分子リガンド遺伝子を以前にHorton著、Mol.Biotechnol.、3巻:93頁(1995年)にSOENとして記載された遺伝子変換技術を使用して産生させる。産生されたキメラ補助分子リガンド遺伝子を描いた図式を第4図に示す。これら各々のキメラ補助分子リガンド遺伝子のヌクレオチド配列を次表に配列番号3〜配列番号7として示す。
第2図に示すキメラ補助分子分子の各々をコードするアデノウイルスベクターは実施例1に記載の方法を使用して構築する。次にこれらの各構築物を実施例1の方法に従ってHela細胞またはCLL細胞に遺伝子移入する。
b.CLL細胞およびHela細胞上でのキメラ補助分子リガンドの発現
前記で構築した各キメラ補助分子リガンド遺伝子の発現を実施例1に指定したFACS分析を使用して分析する。ヒトまたはマウスのCD40リガンドの外部ドメインに免疫特異的な適当なモノクローナル抗体を選択して、これらの細胞表面上にあるキメラ補助分子発現のレベルを測定するために使用する。適当な分析および適当なヒストグラムの作成後、少なくともマウスCD40リガンド遺伝子の一部を含むキメラ補助分子の発現を確認する。
c.キメラ補助分子リガンドの機能
CLL細胞をMOIを変えてmCD40Lアデノウイルスに感染させ、次に48ウェルまたは24ウェル組織培養プレートで培養時間を変えて(48、72、および96時間)培養する。次にCD19+細胞を多重バラメータFACS分析によってCD80およびCD54の発現誘導についてフルオレッセインイソチオシアネートを複合した実施例1に記載する各表面抗原について特異的なmAbを使用して分析する。増加したCD54およびCD80の量はマウスCD40リガンド遺伝子に由来するドメイン単数または複数を含むキメラ補助分子を有する細胞上に認められる。
キメラ補助分子遺伝子を含む細胞をさらに実施例1(d)に従って分析する。マウスCD40リガンド遺伝子に由来するドメインを含むキメラ補助分子遺伝子を含む細胞はガンマインターフェロンの産生およびT細胞の増殖を刺激することができる。
d.同種から得た異なる補助分子2種からの近位細胞外ドメインを含むキメラ補助分子遺伝子の発現
ヒトのCD70遺伝子(ドメインIII)からの近位細胞外ドメインを含み、それ以外のドメインはヒトのCD40リガンド遺伝子に由来する、キメラ補助分子リガンド遺伝子を製造する。この遺伝子は本明細書に前記したような標準的生物学的技術を使用して製造する。このキメラ補助分子リガンド遺伝子は配列番号19として示すDNA配列を有する。別のキメラ補助分子リガンド遺伝子はマウスのCD40リガンド遺伝子から得た近位細胞外ドメインを含み、残りのドメインはヒトのCD40リガンド遺伝子から誘導するように製造する。この遺伝子は本明細書に前記した標準的技術を使用して製造する。このキメラ補助分子リガンド遺伝子は配列番号20で示されるDNA配列を有する。配列番号19および20で示されるキメラ補助分子遺伝子を実施例1に記載する適当なベクターに挿入し、ヒトの新生物細胞に導入する。このキメラ補助分子遺伝子の細胞内発現を実施例1に記載のようにして測定する。
これら各キメラ補助分子遺伝子がコードするキメラ補助分子は実施例1に記載のFACS分析を使用すればヒト新生物細胞上に見出される。CD54およびCD80量の増加量は実施例1に記載の技術を使用すればキメラ補助分子遺伝子を含む細胞上に見出される。キメラ補助分子遺伝子を含む細胞は実施例1の記載に従って検定すればガンマインターフェロンの産生およびT細胞増殖を刺激することができる。
3.補助分子をコードするベクターを使用する予防接種効果の増強
以下の操作法を使用する補助分子をコードする遺伝子治療ベクターを使用する予防接種のプロトコルを例証する。
a.補助分子遺伝子治療ベクターとplacZとを共注射したマウスにおける抗体反応の増強
本明細書に記載のものを含めた標準的技術を使用して3種の異なる遺伝子治療構築物を製造した。第一は対照遺伝子治療ベクターpcDNA3であって、どの遺伝子も含まない。第二はplacZであってLac−Z遺伝子を含み、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)を含む。第三はp−mCD40Lであって実施例1に記載したマウスCD40リガンド遺伝子を含む。
免疫の前に、血清を6〜8週齢Balb/c−マウスから採取してβ−ガラクトシダーゼに対する抗体の初期量を求めた。各動物にプラスミドDNAを一回当り100μg筋肉注射した。1週間の間隔で4回の注射を行った。
第三回の注射の前に、動物から採血してβ−galに対する早期の抗体反応を観察した。プラスミドDNAの最終回注射の1週後に、採血してβ−ガラクトシダーゼに対する後期の抗体反応を観察した。検定の感受性を検査するため、抗−β−gal抗血清から分離した既知量の抗−β−gal抗体で並行実験した。
抗−β−gal抗体のELISAで血清希釈率1:40、1:200、または1:1000を試験した。これにはポリスチレン製ELISAマイクロタイタープレートをβ−gal・10μg/mL燐酸緩衝食塩水で被覆した。1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.2%トゥイーン20ホウ酸緩衝食塩水(BBS)(0.1M−ホウ酸塩、0.2M−NaCl、pH8.2)を含む遮断緩衝液でプレートを3回洗浄した。希釈血清50μLを各ウェルに加えた。室温で少なくとも1時間後、プレートを遮断緩衝液で3回洗浄し、次にアルカリ性ホスファターゼ複合ヤギ抗マウスIgG抗体と反応させた。1時間後、プレートを遮断緩衝液で4回洗浄して、TMBペルオキシダーゼ基質(Kirkegaar・&・Perry社、ゲイザースバーグ、MD製)25mLとともにインキュベーションした。マイクロプレートリーダー(Molecular・devices社、メンロパーク、CA製)を使用して各ウェルの405nmでの吸光度を測定した。吸光度が高いほど、試料には特異的抗体の量が多い。
これらの実験2種のデータを表IVおよび表Vに示す。結果を表VIおよび表VIIにまとめ、実験2種からのデータも揃えて提供する。要約頁ではnは各4群の動物数を示す。S.D.は標準偏差、およびAvg.は特定群内の全動物に対する平均吸光度である。
群4の結果は、補助分子リガンド(CD40L)をコードする遺伝子治療ベクターの使用が遺伝的または遺伝子治療ベクターをコードするβ−galに対する免疫を強化することを証明する。この群の動物から得た血清の1:40希釈の平均吸光度は群1、群2、および群3の平均吸光度よりも(P<0.05、ボンフェロニのt検定、表VII参照)有意に高かった。
別の実験から得たデータは、さらに補助分子リガンドをコードする遺伝子治療ベクターがβ−galに対する免疫を強化するとの知見を補強する(第16図)。ここではpCD40LおよびplacZを骨格筋に共注射して大腸菌β−ガラクトシダーゼをコードするpcDNA3に基づくベクターであるplacZに対する免疫反応の強化を試験した。相対的な抗−β−gal・Ab活性をELISAで測定した。予想通り、非修正pcDNA3ベクターまたはpCD40L単独またはを注射したマウスは検出可能な量のβ−galに対する抗体を産生しなかった(第16A図)。マウスに100μgのpcDNA3(チェッカー模様棒)、50μgのpcDNA3+50μgのpCD40L(ライン棒)、50μgのpcDNA3+50μgのplacZ(ストライプ棒)または50μgのpCD40L+50μgのplacZ(黒色棒)のいずれかを注射した。一方で、placZおよびpcDNA3を注射したマウスは第4回の最終注射後1週間目の28日には抗−β−gal抗体を発現した。placZおよびpCD40Lを注射したマウスはplacZおよびpcDNA3を注射したマウスよりも高いタイターの抗−β−gal抗体を発現した。第16B図の28日に採取した血清の順次希釈のELISA分析はplacZおよびpCD40Lを共注射したマウスではplacZ+pcDNA3で処理したマウスよりも28日には8倍も高い平均タイターの抗−β−gal抗体を有したことを示す。
i.補助分子ベクター共注射に刺激された免疫グロブリンサブクラスの産生
抗−β−gal抗体反応の力価は強化されるが、placZの注射で誘導される抗−β−galのIgGのサブクラスはpCD40Lの共注射では変化しなかった。placZとpcDNA3またはplacZとpCD40Lのいずれかを注射したマウスの血清ではIgG2a抗−β−gal抗体はIgG1サブクラス抗体に優越していた(17図)。また、横座標に示す注射をした各群のマウスで28日採取の免疫前血清(ストライプ棒)または免疫後血清(黒色棒)に存在する抗−β−gal・IgG1および抗−β−gal・IgG2aのELISA吸光度の測定も描写する。対照的に、β−gal蛋白質を注射したBALB/cマウスは主としてIgG1β−gal抗体を発現したが、検出可能量のIgG2a抗−β−gal抗体は発現しなかった。
ii.補助分子ベクターによる予防接種効果の増強には同部位へのplacZの共注射が必要である
pCD40Lプラスミドが抗−β−gal抗体に及ぼすアジュバント効果は、placZを同部位に注射した時にのみ認められる(第18図)。BALB/cマウス(n=4)の群にplacZおよびpCD40Lを共に同部位に筋肉内注射するか、または末端部位(右および左後肢四頭筋)に同時に別々に注射した。対照群にはplacZおよびpcDNA3を同部位に筋肉内注射した。動物を28日に採血して、血清を抗−β−gal抗体について横座標に示す希釈率で試験した。このグラフは各群の試料について希釈率1:4、1:200または1:1000の複数ウェルの405nmでの平均吸光度を示す代表的な実験を例示する。placZとpCD40Lとを、同時ではあるが、別の部位に注射した動物は28日目までには検出可能な抗−β−gal抗体を発現しなかった。さらに、この動物から28日目に採取した血清の抗−β−gal抗体のタイターはplacZとpcDNA3との注射を受けたマウスのものと類似して、placZとpCD40Lとの注射を同部位に受けたマウスの値よりも有意に低い値を示した。
iii.補助分子ベクターおよびplacZとを皮膚に共注射した時の補助分子ベクターによる予防接種効果の増強
pCD40Lプラスミドはまた皮膚に注射した時もplacZに対する抗−β−gal抗体の応答を強化する。第19図に示す実験では、マウス尾の基部近くに50μgのpcDNA3(チェッカー模様棒)、25μgのpcDNA3+25μgのpCD40L(輪郭棒)、25μgのpcDNA3+25μgのplacZ(縞模様棒)、または25μgのpCD40L+25μgplacZ(黒色模様棒)を皮内注射した。注射、採血およびELISA分析を第16A図に示す通りに行った。チェッカー棒グラフおよび輪郭棒グラフの群は各々マウス8匹を含むが、縞の棒グラフおよび黒色棒グラフはおのおの12匹のマウスを含んでいた。各棒グラフの高さは各群の1:40希釈血清の吸光度平均値±標準偏差を示す。データの統計学的分析は縞模様の棒グラフおよび黒色棒グラフの群は独立であることを示す(P<0.05)。筋肉内注射で観察されるように、plac−ZとpCD40Lとを共注射したマウスは第二注射1週後(14日)および2週間前にplacZとpcDNA3を注射したマウスよりも検出可能な血清抗−β−gal抗体を発現した。さらに、これらの動物はまたplacZ注射群の28日目のマウスよりも8倍も高い抗−β−gal抗体タイターを有していた。非修正pcDNA3ベクターまたはpCD40L単独のいずれかを注射したマウスは検出可能な対β−gal抗体を産生しなかった。
b.補助分子遺伝子治療ベクターとplacZとを共注射したマウスにおけるCTL反応の増強
CTL特異的または同系のβ−gal発現標的細胞のplacZによる誘導を強化するpCD40Lの性能を検査した。pCD40LとplacZとを骨格筋(第20A図)または皮膚(第20B図)に共注射したBALB/cマウスはplacZ遺伝子移入P815細胞系統、P13.2に対して特異的なplacZとpcDNA3とを共注射したマウスよりも大きな数のCTLを発生させた。5:1エフェクター:標的比率で、placZとpCD40Lとを筋肉内注射したマウスから得た脾細胞のエフェクター細胞は20%を越えるP13.2の特異的溶解を達成した。対照的に、placZとpcDNA3で対照注射した時はこのレベルの特異的溶解に達するためにはマウスの脾細胞はエフェクター対標的細胞の比率9倍以上が必要であった。同様にして、placZとpCD40Lとを皮内注射したマウスからの脾細胞エフェクター細胞はエフェクター対標的細胞の比率4:1ではP13.2細胞の50%以上を殺した。placZとpcDNA3とを皮内注射したマウスから得た脾細胞を使用してこれに対応するレベルの特異的溶解に達するためには8倍も高いエフェクター:標的比率が必要であった。けれども、pCD40LとplacZとを共注射したマウスの脾細胞はplac−ZをpcDNA3と共に注射したマウスのものよりも大きなP815に対する非特異的CTL活性を持っていなかった(第20図)。期待通りに、pcDNA3単独またはpcDNA3およびpCD40Lとを注射したマウスから得た脾細胞はP13.2またはP815細胞の特異的溶解を媒介しなかった。
4.補助分子遺伝子またはキメラ補助分子遺伝子を含む遺伝子治療ベクターを使用する新生物病の処置
a.マウスにおける新生物病の処置
本発明の補助分子リガンドをコードする遺伝子を使用するマウスモデル系における新生物処置法を証明する。補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40リガンド)を含む遺伝子治療ベクターは前記の実施例に記載したようにして製造した。この遺伝子治療ベクターを使用してその補助分子リガンド遺伝子をBALB/cマウスに由来する腫瘍から得られた新生物細胞Line1細胞に導入した。この補助分子は前記実施例に従ってこの新生物細胞に導入した。この新生物細胞表面での補助分子リガンドの発現は前記実施例に記載したようなフローサイトメトリーを使用して確認した。
新生物を処置する補助分子リガンド遺伝子の効果は次のようにして証明した:雌性BALB/cマウス(6〜8週齢)に照射したLine1新生物細胞1.0×105個を腹腔内注射した。このLine1新生物細胞はBALB/cマウスの特発性肺アデノカルシノマに由来する。この新生物細胞はBlieden、ほか著、Int.J.Cancer・Supp.、6巻:82頁(1991年)に記載されている。他の雌性BALB/cマウスに前記の補助分子リガンド遺伝子(マウスCD40)をコードする遺伝子治療ベクターを導入しておいたLine1腫瘍細胞を照射して、その1.0×105個を腹腔内注射した。
各群のマウスを10日間おいて免疫反応を発現させた。10日後に各マウスに10×104個の非照射生Line1新生物細胞をチャレンジした。このマウスを次に腫瘍の形成を観察し、死亡率の理由から腫瘍が2.0cmに増殖した時に屠殺した。観察結果を第7図に示す。第7図に見られるように、その細胞表面に本発明の補助分子リガンドを発現する新生物細胞で免疫したマウスは実験期間を通じて腫瘍を発生しなかった。本発明の補助分子リガンド遺伝子を持たない新生物細胞で免疫したマウスは新生物細胞でチャレンジの50日後には腫瘍が発生した。
第21図はマウスのCD40Lではなく、CD40を発現する肺腫瘍細胞系統でのヒトCD40Lの下方変調を証明する。ヒトの細胞系統Hela(CD40陰性の頚部癌、第21A図)、A427(CD40陰性の肺癌、第21B図)、NCI460(CD40弱陽性の肺大細胞癌、第21C図)およびSK−Mes−1(CD40強陽性の肺扁平上皮腫瘍、第21D図)をlac−Z(Ad−LacZ)、マウスCD40L(Ad−mCD40L)、およびヒトCD40L(Ad−hCD40L)をコードするアデノウイルスに0(空試験)、1および10のMOIで感染させた。感染の48時間後、マウスCD40LおよびヒトCD40Lの表面発現を測定した。リガンドを発現する細胞の百分率をY軸にプロットする。ヒトおよびマウスのCD40LはCD40陰性細胞系統では等レベルで発現する。しかしながら、CD40を発現する細胞系統ではマウスCD40Lの発現のみが安定である。mCD40Lとは対照的に、ヒトのCD40LはCD40陽性腫瘍では下方変調される。
第22A図のグラフに示すデータは、CD40結合は腫瘍表面マーカーの発現を誘導することを示す。αCD40・mAbを持ち、CD40を発現する肺癌細胞系統を処置するとCD95(Fas)、CD54(ICAM−1)およびクラスI主要組織適合性抗原(MHC−I)の各腫瘍細胞表面マーカーの発現が強化される。CD40弱陽性肺大細胞癌NCI460をCD40特異的モノクローナル抗体(太線)またはアイソタイプ対照mAbであるMOPC21(細線)とともにCD32を発現するマウス繊維芽細胞上でインキュベーションした。48時間インキュベーションした後に、肺腫瘍細胞をCD95、CD54およびMHC−Iの発現についてFACSで分析した。
第22B図は再びCD40陽性腫瘍細胞によるヒトCD40Lの下方への変調を示す。Hela(CD40陰性)、CLL(CD40陽性)およびSK−MES−1(CD40陽性)腫瘍細胞をCD3活性化正常ドナーT細胞とともに24時間共培養した。腫瘍細胞:T細胞比は2.5:1とした。共培養後、CD2を発現するT細胞をCD40L表面発現についてFACSによって分析した。細線はFITC標識したアイソタイプの対照抗体で染色されたT細胞(MOPC21)および太線はFITC標識したαCD40L抗体で染色された活性化T細胞(αCD154抗体)を示す。CD40陽性腫瘍細胞系統であるSK−MES−1およびCLLはその表面にはCD40リガンドを発現しない。
5.ヒトの血液リンパ球でのヒトおよびマウス補助分子リガンド、Fasリガンドの発現
a.ヒトおよびマウスのFasリガンド遺伝子を含む遺伝子治療ベクターおよび遺伝子構築物の構築
ヒトの補助分子リガンド遺伝子(ヒトFasリガンド)またはマウスの補助分子リガンド遺伝子(マウスFasリガンド)のどちらかを、ヒトおよびマウスの各々の遺伝子を利用して構築した。推測上のMMP切断部位を除去した改変された補助分子を作成し、ΔFasL−pcDNA3と命名した。ΔFasL−pcDNA3のヌクレオチド配列を配列番号40に示す。ヒトFasリガンドのヌクレオチド325から342まではアミノ酸6個をコードするが、これはΔFasLには存在しない。ΔFasLの設計はドメインIIIがMMPに最も近づきやすい部位を含み、細胞表面から分子を切断する標的であろうとの理由に基づく。ヒトのFasリガンド遺伝子の配列は決定されており、配列13および配列30(Genbank受理番号U11821)に列挙してある。マウスのFasリガンド遺伝子は決定されており、配列番号14(C57BL/6、Genbank受理番号U10984)および配列番号31(Balb/c、Genbank受理番号U58995)に列挙してある。ラットのFasリガンド遺伝子は決定されており、配列番号25(Genbank受理番号U03470)に示してある。キメラ構築物をCD40リガンドキメラ構築物について実施例2に記載のようにして製造したが、これではヒトのFasリガンドのドメインIIIが他の蛋白質、特にTNF属の蛋白質で置き換えてある。キメラ構築物には、これらに限定するものではないが、マウスFasリガンドのドメインIIIに置換された(キメラ配列配列番号37、第37図に示す配列群)またはヒトのCD70のドメインIIIで置換された(配列番号38として示されるキメラ配列、第38図に示す配列群)、またはヒトのCD70のドメインIで置換された(配列番号39として示されるキメラ配列、第39図に示す配列群)、ドメインIIIを持つヒトのFasリガンドを包含する。多重のドメイン、例えばドメインIIIの場所にヒトCD70ドメインIIIが2コピーが挿入されたヒトのFasリガンドなど、が挿入されたキメラ構築物も実施例Iに記載の方法を使用して製造される。ヒトのFasリガンドのドメインIIIに置換するために合成的配列が使用されたキメラ構築物も製造される。
i.ヒトFasリガンドのクローニング
ヒトのFasリガンドをコードするcDNAを真核生物発現ベクターpcDNA3にサブクローニングした。正常なドナー血液リンパ球を1ng/mLPMAプラス0.5μM−イオノマイシンで4時間活性化した。全RNAをQiagen・Rneasyキットで分離した。次にcDNAをポリ−A・RNAからオリゴdTプライマーでGibco−BRL社のSuperscript・cDNA合成キットを使用して合成した。ヒトのFasリガンドをコードする遺伝子を次にFasリガンド特異的プライマー(センスプライマー:配列番号32、アンチセンスプライマー:配列番号33)でPCR増幅した。FasリガンドPCR産物を次に標準的な分子生物学技術を使用してpcDNA3にサブクローニングした。pcDNA3にサブクローニングしたRT−PCR産物をhFasL−pcDNA3と命名する。
ii.マウスFasリガンドのクローニング
Balb/cおよびC57/BL6株マウスから得たマウスのFasリガンド遺伝子Sも前記のようにPMA+イオノマイシンでマウス脾細胞を活性化し、続いて前記のようなポリ−A合成したcDNAから増幅した(センスプライマー:配列番号34、アンチセンスプライマー:配列番号35)。これらの遺伝子をpTARGET発現ベクター(Promega社、マディソン、WI製)にサブクローニングした。pcDNA3にサブクローニングしたRT−PCR産物をmFasL−pcDNA3と命名する。
iii.アデノウイルスベクターの構築
ヒトのFasリガンド、マウスFasリガンド、またはΔFasリガンドをコードするアデノウイルスベクターを構築するためにはクローニングしたcDNA挿入物をプラスミドpRc/RSV(Invitrogen社、サンジェゴ、CA)のHindIII−Xbal部位にサブクローニングした。RSVプロモーター−エンハンサーを有し、ウシ成長ホルモンのポリAシグナル配列を有するBglII−Xho1断片をプラスミドMCS(SK)pXCX2のBamHI−Xho1部位にサブクローニングした。このプラスミドMCS(SK)pXCX2はプラスミドpXCX2をpBluescriptポリリンカー配列をE1領域にクローニングして修正したものである。次に得られたプラスミドを燐酸カルシウム法を使用してpJM17とともに293細胞に共遺伝子移入した。分離したアデノウイルスベクターのプラークを釣り上げて293細胞を感染させて増幅した。前記のように、ウイルス粒子の濃縮に塩化セシウムの段階的勾配、1.45g/cm3および1.20g/cm3の濃度勾配を使用し、試料をSW41ローター(Beckman、ブリー、CA製)で2時間遠心分離するとタイターの高いアデノウイルス製品が得られた。このウイルスバンドをSephadex・G−25・DNA級カラム(Pharmacia、ピスカタウェー、NJ)を用いて脱塩し、分離したウイルスを10%グリセリン添加燐酸塩緩衝食塩水中に−70℃で保存した。このウイルスのタイターは許容293細胞に希釈率を変えて感染させ、プラーク数を計数して求めた。タイターは典型的には1010から1012プラーク形成単位/mLの範囲であった。このアデノウイルス構築物をAd−hFasL、Ad−mFasLおよびAd−ΔFasLと命名する。
b.マウスおよびヒトのFasリガンド遺伝子のヒト細胞への導入
hFasL−pcDNA3、mFasL−pcDNA3およびΔFasL−pcDNA3の各構築物を電気穿孔法で293に遺伝子移入する。遺伝子移入した細胞をG418を含む培地中で選択する。Fasリガンド遺伝子移入体を抗−Fas−リガンド抗体とフローサイトメトリーとを使用してトランスジーンの発現についてスクリーニングする。使用する方法はCD40LをCLL細胞に遺伝子移入する時に記載したものと同様である。
FasL−アデノウイルス感染には、106の新たに解凍し、洗浄したCLL細胞またはHela細胞を0.5mLから1mLの培養培地中に37℃の5%CO2空気インキュベータ中で懸濁する。感染多重度(MOI)を変えて細胞にアデノウイルスを添加し、感染した細胞を特段の記載がない限り48時間培養した後、トランスジーン発現について分析する。
c.ヒト細胞中でのFasリガンド遺伝子の発現
リンパ滲出性疾患または一般的リンパ滲出性疾患のマウスは胸腺から活性化された自己反応性細胞を排除できない。これはこれらのマウスではFas受容体と補助分子リガンドであるFasリガンドとの間の相互作用に欠陥があるという事実に関連する。これらの動物はリンパ腺症、巨脾症、腎炎および全身性紅斑性狼瘡またはリューマチ性関節炎(RA)の患者に見られるものに類似する全身性自己免疫疾患を含む多数の疾患を発病する。活性化リンパ球が関節から排除する役目をするFas受容体と補助分子リガンドとの間の正常な相互作用がRA患者では障害されているであろうことが認識されている。
RAの滑液リンパ球はマッチした正常ドナー血液リンパ球に対するマッチしたRA血液リンパ球のものよりも高い比率でFas受容体を発現している。一方、RA滑液リンパ球は補助分子リガンドを殆どまたは全く発現しない。RA滑液リンパ球はFas誘導アポトーシスに感受性なので、RA関節内Fasリガンドの局所的発現が潜在的にRA自己免疫疾患を媒介する滑液の単核球を排除しているかもしれない可能性がある。
第23図はリンパ球でのFasリガンド発現はRA関節液への接触で阻害されることを示す。正常なドナー血液のT細胞は1ng/mLのPMAプラス0.5mM−イオノマイシンで5時間に活性化された。細胞をリューマチ性関節炎の血液プラズマ(白丸)、RA関節液(菱型)またはいずれもなし(四角)の存在下にインキュベーションした。これに加えて濃度を変えたMMP阻害剤BB94とともに細胞をインキュベーションした。活性化の後、細胞をFasリガンド表面発現についてFACSによって分析した。Fasリガンドを発現する細胞の百分率を第23図にプロットする。この実験でRA関節液および血清中にFasリガンドの表面発現を防止する因子が存在することが証明される。
d.ヒト、マウスおよびキメラの補助分子リガンド、Fasリガンドの機能
ΔFasL構築物の能力を測定するために、前記遺伝子移入細胞をFasリガンド感受性ヒトT細胞系統JURKATと混合する。共培養4時間の後、非接着性JURKAT細胞を集めてアポトーシスに着いて評価する。螢光性化合物である3,3’−ジヘキシルオキサカルボシアニン・ヨウ化物(DiOC6)を使用して前記プロトコルの修正を使用してアポトーシスを評価する。このためには、細胞を室温で燐酸緩衝食塩水(PBS、pH7.2)で洗浄する。細胞を96ウェルU字底プラスチック製マイクロタイタープレートの別々のウェルに全量50mL容で105〜5×105細胞/ウェルで入れる。指定があれば飽和量のPE−複合抗体を添加し、続いてDiOC6およびプロピジウム・ヨーディド(PI)を添加する。DiOC6およびPIは各々40nMおよび最終濃度10ng/mLで使用する。次に細胞を37℃で15分間5%CO2組織培養インキュベータ中でインキュベーションする。染色された細胞を次に氷冷PBSで2回洗浄し、最後に200mLのSMに懸濁してFACSで分析する。特徴的な正方向および光散乱特性を持つ死菌および破砕物およびPI染色物を分析系から排除する。
CD95を発現する細胞のFas媒介アポトーシスを指向するΔFasL−pcDNA3を発現する細胞の性能をFasL−pcDNA3を発現する細胞の性能と比較する。ΔFasL−pcDNA3またはFasL−pcDNA3がコードする蛋白質産物の相対的安定性は金属プロテイナーゼ阻害剤の存在または不在下のおよびRA関節液との前−および後−培養でのいずれかのリガンドを発現する細胞のフローサイトメトリーによって評価する。
6.補助分子リガンド、Fasリガンドをコードする遺伝子治療ベクターでの関節炎の治療
前記の通りに製造した最高な発現安定性を示し、Fas誘導アポトーシスの媒介に最大な能力を有する異種Fasリガンド構築物をRAの遺伝子治療に使用する。可能性のある治療用構築物を詳しく特徴付けられた関節炎のマウスモデルで効果および生体内での機能について試験する。
a.マウスにおける関節炎の遺伝子治療
i.関節炎についてのマウスモデル
マウス関節炎のモデルの一つはコラーゲン誘導関節炎である。これはDBA/1マウスにタイプIIコラーゲンの完全フロインドアジュバント(CFA)液を注射することによって滑膜炎およびびらんを伴う組織学的にRAに類似の関節炎を起こすものとして知られている。われわれの研究には雄性DBA/IマウスをウシのタイプIIコラーゲンの完全フロインドアジュバントで0日目に免疫し、21日目に腹腔内(i.p.)に追加免疫する。28日目に動物にリポポリサッカライド(LPS)および/または同型のコラーゲンをi.p.注射するかまたは酢酸単独に注射をする。典型的にはコラーゲンで免疫した動物の前または後足首の腫張および/または発赤を2回目の注射後、第三または第四週に検出する。この脊椎動物はまれにしか罹患しない。最初から数週後に末梢関節が腫張する。罹患した関節は初期関節浮腫の組織学的変化を示し、続いて滑膜増殖を示す。
別の動物モデルは最近Kouskoff,V.ほか著、Cell、87巻:811〜822頁(1997年)に報告された。これは偶然に作製されたもので、T細胞受容体(CR)トランスジェニックマウス系統と非肥満糖尿病(NOD)株とを交配してRAのKRN×NODマウスモデルが作製された。この交配の子孫は一般的にRA患者のものと高度に類似する関節疾患を発病する。その上、この動物の疾患は早期な時間的に再現性のある発病および高度に再現性のある経過を辿る。この関節炎は明らかにトランスジェニックTCRによるNOD由来主要組織適合性複合体(MHC)クラスII分子の認識を誘導して一般的自己寛容および全身性自己反応性機構の衰弱に到る。
ii.補助分子リガンドをコードする遺伝子治療ベクターで処理したマウスにおける関節炎症状の沈静
われわれは最初にSawchukとその協力者が報告したプロトコルをマウスの関節にアデノウイルスベクターを微量注射するように適応させて、修正した。この操作法を使用して我々は再現性良く5μL容をマウスの膝の関節腔に注射できる。この操作では、マウスをメトファンで麻酔する。#11メスで膝後面上の皮膚に約2〜3mmの切開部を作って膝蓋骨−脛骨じん帯部を可視化する。われわれはマイクロ−100μL−Hamiltonシリンジおよび30ゲージの針を使用して5μLまでの液を注射できる。注射後、膝切開部をNoxabond(Veterinary・Products・Laboratory社製)で塞ぐ。われわれのアデノウイルスのタイターは典型的にはmL当り1010プラーク形成単位(pfu)を超えるので、前記の通り、5mLで少なくとも5×108pfuのウイルスを膝関節に送達することができる。対照の動物には対照Ad−lacZベクター、トランスジーンを欠失する複製欠損アデノウイルスベクターを、またはウイルスを懸濁するために使用する緩衝液(10mM−トリス、1mM−MgCl2、10%グリセリン)を注射する。
別の方法では形質導入細胞の養子免疫細胞移入を意図する宿主動物に同系なマウスから脾細胞を収集する。細胞の増殖を外因性IL−12(100単位/mL)で48時間誘導する。細胞を計数し、次にウェル当り1mLの完全培養培地を入れた12ウェル皿に5×105個または1×106細胞/mLの密度で再塗布する。ウイルスとConAとを共に再塗布の時間にポリブレン(8μg/mL)の存在下に添加する。培地を感染の24時間後に100単位組換えIL−2/mL添加完全培地と交換する。感染後48時間にフローサイトメトリーでFasリガンド発現について、適当量の形質導入細胞を試験する。
各動物に標準化された数のサイトカイン産生細胞または対照模倣遺伝子移入細胞を腹腔内注射する。前記4A節に記載したようにして濃厚細胞懸濁液を直接マウスの関節腔に注射する。並行して適量の遺伝子移入した細胞集団を外因性IL−2添加組織培養液中に維持する。
マウスを関節炎の兆候について盲検方式で観察する。疾患発症日付を記録し、各関節または関節群(足指、足首、くるぶし、手首、膝)の臨床的重症度を次のように級分けする:0(正常)、1(紅斑)、2(腫れ)、3(変形)、4(壊死)。各スコアを集めて関節炎スコアとする。関節炎の重症度を所与の日に観察された平均スコアおよび各マウスが臨床的疾患の経過の間に到達した最大関節炎スコアの平均の両方で表す。死亡時に後足を解剖して組織学的検査またはRT−PCRを行う。関節炎の組織学的重症度は関節液増殖および炎症細胞滲出について0〜3の尺度で記録する:各スコアは0=正常および3=重症である。
被験アデノウイルスベクターの対照を関節内注射したマウスについては、対側性部位間に観察される関節炎のレベルを比較する。それに加えて、全関節スコアから全動物について注射した関節のスコアを差し引いた値を対照または被験アデノウイルスベクターを注射した関節に観察される値と比較する。
Fasリガンド・アデノウイルス発現ベクターの局所的投与は定量的RT−PCRでCD80mRNAの相対的レベルを測定することによって評価すると活性化された細胞のクリアランスを起こす。この処置はまた強化されたレベルに到る。また、罹患マウスの関節組織に確認されるレベルのアポトーシスがTUNEL検定(「Terminal・deoxynucleotidyl・transferase・(TdT)−mediated・dUTP・Nick・End・Labeling」)によって評価する。TUNELはTdT緩衝液(30mM−トリス−HCl、pH7.2、140nM−ナトリウムカコジレート、1mM−塩化コバルト)に切片を浸漬し、次にTdT(GIBCO・BRL社、グランドアイランド、NY)およびビオチン化dUTP(Boehringer・Mannheim社、インディアナポリス、IN)を添加して実行する。この反応は切片をTB緩衝液(300mM−塩化ナトリウム、30mM−クエン酸ナトリウム)に浸漬して停止させる。続いて試料をペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンで処理し、次にVECTASTAIN・ABCキット(Vector・Laboratories社、バーリンガム、CA)を使用して可視化する。免疫組織化学には、切片を室温30分間4%スキムミルクでブロックし、次にマウスCD3、B220、CD80またはCD95(Fas)に特異的なビオチン化mAbとインキュベーションする。これらの抗体はPharmingen社から購入できる(サンジェゴ、CA)。
b.補助分子リガンド、Fasリガンドをコードする遺伝子治療ベクターでのリューマチ性関節炎の治療
治療効果をもつものと確認されたFasリガンド構築物の候補をヒトでのRAを処置するプロトコルに使用した。ヒトでのプロトコルはFasリガンド構築物を放出する生体内または生体外のいずれかでの方法を含む。さらに、このFasリガンド構築物は潜在的にウイルス性または非ウイルス性に放出される。治療の戦略の概要を次に記載する。
生体外治療法はインターロイキン−1受容体拮抗剤を合成するようにレトロウイルス的に形質導入された自己由来滑液細胞の関節内移植について報告されているプロトコルと類似している(Evan,Christopher、ほか著、「Clinical・Trial・to・Assess・the・Safety,Feasibility,and・Efficacy・of・Transferring・a・Potentially・Anti−Arthritic・Cytokine・Gene・to・Human・Joints・with・Rheumatoid・arthritis,Human・Gene・Therapy(関節炎を治療できると思われるサイトカインの遺伝子をヒトの関節に移植する方法の安全性、可能性および有効性を評価するための臨床試験、ヒトの遺伝子療法)」、7巻:1261〜1280頁)。この操作ではRAの臨床的診断後、全関節置換の間に滑液膜を収集する。滑液細胞を再分離して増殖し、次に、外因性Fasリガンドを滑液細胞に形質導入または遺伝子移入(レトロウイルス、アデノウイルス、裸のDNA、など)する。遺伝子修正滑液細胞を次に患者に再注射し、患者をRAに関連する症状の緩和および修正滑液細胞に入れたFasリガンドの発現および機能について監視し、試験する。
別の生体外プロトコルでは、異種Fasリガンドを安定に発現する同種異系の不死化細胞系統をRA患者に投与する。このプロトコルではFasリガンドを安定に発現する安定な不死化細胞系統を構築する(たとえば電子穿孔法のような非ウイルス法で細胞に遺伝子を遺伝子移入して導入したもの、または細胞にその遺伝子をウイルス法で形質導入したもの)。この修正細胞系統を患者に注射し、RAに関連する症状の緩和および修正滑液細胞に入れたhFasリガンドの発現および機能について監視し、試験する。
生体内による治療法はZhang、ほか著、J.Clin.Invest.、100巻:1951〜1957頁(1997年)に記載されているマウスのFasリガンドアデノウイルス遺伝子治療ベクターを使用してコラーゲン誘導関節炎を緩和する考え方と類似している。このような手法でも、RA患者の関節へのhFasリガンド構築物またはキメラΔFasLの直接的送達はウイルス的または非ウイルス的方法で行う。この操作では、Fasリガンド構築物(たとえばhFasリガンドアデノウイルス)を滑液膜に直接的に注射する。患者をRAに関連する症状の緩和について監視し、試験する。ならびに修正滑液細胞の中のhFasリガンドの発現および機能について生物学的に試験する。
配列表
(1)一般的情報
(i) 特許出願人: キップス,トーマス・ジェイ
シャーマ,サンジャイ
キャントウェル,マーク
(ii) 発明の名称: 補助分子リガンド遺伝子を含む新規な発現ベクター、
ならびに免疫調節のためのならびに悪性腫瘍および自己免疫疾患の処置のためのその用途
(iii) 配列の数:35
(iv) 連絡先:
(A)名宛人:ライオン・アンド・ライオン
(B)通り:スイート4700,ウエスト・フィフス・ストリート633
(C)市:ロス・アンジェルス
(D)州:カリフォルニア
(E)国:アメリカ合衆国
(F)ZIP:90071−2066
(v) コンピューター解読書式:
(A)媒体型:3.5インチディスケット1.44Mb
(B)コンピューター:IBM PCコンパティブル
(C)オペレーティング・システム:IBM P.C.DOS 5.0
(D)ソフトウェア:FastSeq Version 2.0
(vi) 本出願のデータ:
(A)出願番号:To be assaigned
(B)出願日:
(C)分類:
(vii) 優先権出願データ:
(A)出願番号:60/132145
(B)出願日:1996年9月12日
(viii) 弁理士/代理人情報:
(A)氏名:ガイゼ、ジェフリー・ダブリュー
(B)登録番号:34,613
(C)参照/整理番号:231/003
(ix) 電話連絡先情報:
(A)電話番号:(213)489−1600
(B)ファックス番号:(213)955−0440
(C)テレックス:67−3510
(2) 配列番号1の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:786塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号1:
(2) 配列番号2の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:783塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号2:
(2) 配列番号3の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:783塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号3:
(2) 配列番号4の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:786塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号4:
(2) 配列番号5の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:783塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号5:
(2) 配列番号6の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:786塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号6:
(2) 配列番号7の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:786塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号7:
(2) 配列番号8の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:864塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号8:
(2) 配列番号9の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:3634塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号9:
(2) 配列番号10の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1997塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号10:
(2) 配列番号11の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:10240塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号11:
(2) 配列番号12の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1644塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号12:
(2) 配列番号13の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1890塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号13:
(2) 配列番号14の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1541塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号14:
(2) 配列番号15の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:888塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号15:
(2) 配列番号16の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1906塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号16:
(2) 配列番号17の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1619塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号17:
(2) 配列番号18の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1239塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号18:
(2) 配列番号19の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:606塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号19:
(2) 配列番号20の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:783塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号20:
(2) 配列番号21の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:558塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号21:
(2) 配列番号22の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1783塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号22:
(2) 配列番号23の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1047塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号23:
(2) 配列番号24の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1176塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号24:
(2) 配列番号25の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:1623塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号25:
(2) 配列番号26の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:28塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号26:
(2) 配列番号27の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:27塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号27:
(2) 配列番号28の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:30塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号28:
(2) 配列番号29の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:30塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号29:
(2) 配列番号30の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:972塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号30:
(2) 配列番号31の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:885塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号31:
(2) 配列番号32の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:29塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号32:
(2) 配列番号33の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:30塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号33:
(2) 配列番号34の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:27塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号34:
(2) 配列番号35の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:27塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号35:
(2) 配列番号36の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:680塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号36:
(2) 配列番号37の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:846塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号37:
(2) 配列番号38の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:786塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号38:
(2) 配列番号39の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:864塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号39:
(2) 配列番号40の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:828塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号40:
(2) 配列番号41の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:846塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号41:
(2) 配列番号42の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:876塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号42:
(2) 配列番号43の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:720塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号43:
(2) 配列番号44の情報:
(i) 配列の特徴
(A) 長さ:930塩基対
(B) 型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(xi) 配列:配列番号44:
Claims (20)
- 以下のドメイン:細胞質ドメイン(ドメインI)、トランスメンブランドメイン(ドメインII)、近位細胞外ドメイン(ドメインIII)および遠位細胞外ドメイン(ドメインIV)の順にコードするヌクレオチド配列からなり、
該ドメインの少なくとも1つはマウスCD40リガンド遺伝子に由来し、それ以外のドメインはヒトCD40リガンド遺伝子に由来することを特徴とする、キメラCD40リガンド遺伝子。 - 以下のドメイン:細胞質ドメイン(ドメインI)、トランスメンブランドメイン(ドメインII)、近位細胞外ドメイン(ドメインIII)および遠位細胞外ドメイン(ドメインIV)の順にコードするヌクレオチド配列からなり、
a)ドメインIIIおよびIVがヒトCD40リガンド遺伝子に由来し、ドメインIIおよびIがマウスCD40リガンド遺伝子に由来する;または
b)ドメインIIIおよびIVがマウスCD40リガンド遺伝子に由来し、ドメインIIおよびIがヒトCD40リガンド遺伝子に由来する;または
c)ドメインII、IIIおよびIVがヒトCD40リガンド遺伝子に由来し、ドメインIがマウスCD40リガンド遺伝子に由来する;または
d)ドメインII、IIIおよびIVがマウスCD40リガンド遺伝子に由来し、ドメインIがヒトCD40リガンド遺伝子に由来する;または
e)ドメインI、IIIおよびIVがヒトCD40リガンド遺伝子に由来し、ドメインIIがマウスCD40リガンド遺伝子に由来する;または
f)ドメインIIIがマウスCD40リガンド遺伝子に由来し、ドメインI、IIおよびIVがヒトCD40リガンド遺伝子に由来する
ことを特徴とする、キメラCD40リガンド遺伝子。 - ドメインIIIのヌクレオチド配列のプロテアーゼ開裂部位が除去されている、請求項1または2記載のキメラCD40リガンド遺伝子。
- 前記遺伝子が、作動可能なようにプロモーター領域およびポリアデニル化シグナルに連結している、請求項1〜3のいずれかに記載のキメラCD40リガンド遺伝子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のキメラCD40リガンド遺伝子を含むベクター。
- 発現ベクターである請求項5記載のベクター。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のヌクレオチド配列またはベクターを含んでなる宿主細胞。
- 真核細胞である請求項7記載の宿主細胞。
- 新生物細胞である請求項7または8記載の宿主細胞。
- 抗原提示細胞である請求項7〜9のいずれかに記載の宿主細胞。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のキメラCD40リガンド遺伝子またはベクターを含有する医薬組成物。
- 請求項7〜10のいずれかに記載の宿主細胞を含有する医薬組成物。
- さらに免疫原性抗原を含有する請求項11記載の医薬組成物。
- 前記免疫原性抗原がベクターによってコードされる、請求項13記載の医薬組成物。
- ワクチンとして有用な請求項11〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
- 新生物の処置のための医薬の製造のための請求項1〜6のいずれかに記載のキメラCD40リガンド遺伝子またはベクターの使用。
- 新生物が、白血病、リンパ腫、肺癌、乳癌および卵巣癌からなる群から選択される請求項16に記載の使用。
- 白血病が、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄単球性白血病(AMML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、慢性骨髄性白血病(CML)および慢性リンパ球性白血病(CLL)からなる群から選択される請求項17記載の使用。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のヌクレオチド配列またはベクターによってコードされるポリペプチド。
- 試験管内でヒト細胞の免疫反応性を改変する方法であって、該ヒト細胞内に請求項1〜6のいずれかに記載のキメラCD40リガンド遺伝子またはベクターを導入し、該キメラCD40リガンドを該細胞の表面に発現させることを含んでなる方法。
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