JP4014295B2 - ポリオレフィン系積層軟質シート - Google Patents

ポリオレフィン系積層軟質シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面硬度、表面光沢性、柔軟性、及び透明性に優れたポリオレフィン系積層軟質シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、軟質シートとしては、可塑剤を含む軟質塩化ビニル樹脂が広く使用されてきた。しかし、軟質塩化ビニル樹脂は、可塑剤やモノマーのブリードアウトによる外観不良の問題があり、また焼却時の塩化水素の発生に起因する酸性雨が社会的問題となるなど、種々のマイナス要因を抱えた状態にある。
【0003】
これに対し、上記軟質塩化ビニル樹脂に代わる軟質樹脂として、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマーなどのエチレンを主体とするものが開発されている。しかしながら、これらエチレンを主体とする軟質樹脂をシートに加工した場合、透明性、表面光沢性等が軟質塩化ビニル樹脂シートに比べて劣る上、シートの表面硬度が十分でなく、表面が傷つきやすいという欠点がある。
【0004】
一方、表面硬度の高いプロピレン系樹脂を用いることも提案されているが、プロピレン系樹脂の場合は、柔軟性が不足するという欠点がある。プロピレン系樹脂に柔軟性を持たせる手段として、α−オレフィンをコモノマーとして含むプロピレン−α−オレフィン共重合体を用いることもできるが、柔軟性を付与するためには多量のα−オレフィンが必要となり、エチレン系樹脂と同様に表面硬度が低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表面硬度、光沢性、透明性及び柔軟性に優れたポリオレフィン系軟質シートを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑み、鋭意検討の結果、特定のポリオレフィンを用いた積層シートとすることによって、高い表面硬度、優れた光沢性、透明性、及び柔軟性を兼ね備えた軟質シートが得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、構成層として少なくとも内部層と該内部層の両表面側に設けられた表面層とを有する積層シートであって、
前記表面層は、密度が0.905〜0.880g/cm 3 でMFRが1〜50g/10分のプロピレン系重合体を主体とするデュロメーター硬さが60以上のポリオレフィン系樹脂材料により形成され、
前記内部層は、メタロセン系触媒を用いて重合されたエチレンから誘導される構成単位の含量が98〜50重量%で密度が0.910〜0.860g/cm 3 、かつMFRが1〜50g/10分のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を主体とする樹脂材料であって、下記(ア)と(イ)とからなる樹脂組成物により形成され、
(ア)MFRが1〜10g/10分のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体:100重量部
(イ)MFRが11〜50g/10分のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体:10〜200重量部
前記シートの引張弾性率が200MPa以下、ヘイズが10%以下である、ポリオレフィン系積層軟質シートを提供する。
【0011】
また、本発明は、全シート厚みが0.1〜3mmであり、両表面側に設けられた表面層の合計厚みが全シート厚みに対して2〜40%である前記ポリオレフィン系積層軟質シートを提供する。
【0012】
また、本発明は、前記表面層を形成する樹脂材料と、前記内部層を形成する樹脂材料との溶融粘度比が1以上である前記ポリオレフィン系積層軟質シートを提供する。
【0013】
本発明のポリオレフィン系積層軟質シートは、引張弾性率が200MPa以下という高い柔軟性と、ヘイズが10%以下という高い透明性とを備え、かつ表面硬度がデュロメーター硬さで60以上という高硬度が達成されたものである。このような高い柔軟性と透明性及び表面硬度をすべて兼ね備えたポリオレフィン系の軟質シートは、本発明においてはじめて見い出されたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の積層軟質シートは、構成層として少なくとも内部層と該内部層の両表面側に設けられた表面層とを有する積層シートである。
【0015】
前記表面層はデュロメーター硬さが60以上のポリオレフィン系樹脂材料からなり、しかも前記シートの引張弾性率は200MPa以下、ヘイズは10%以下である。ここで、デュロメーター硬さとは、JIS−K7215に準拠して測定した硬度である。また、引張弾性率とはJIS−K7127に準拠して測定した値であり、ヘイズ(haze)とはJIS−K7105に準拠して測定した値である。
【0016】
本発明の積層軟質シートにおいては、このように、引張弾性率が200MPa以下という高い柔軟性と、ヘイズが10%以下という高い透明性とを備え、かつ表面硬度がデュロメーター硬さで60以上という高硬度が達成されている。このような高い柔軟性と透明性及び表面硬度をすべて兼ね備えたポリオレフィン系の軟質シートは、本発明においてはじめて見い出されたものである。このような物性を有する積層軟質シートは、前記表面層及び内部層に各々適切な樹脂材料を用いることにより、得ることができる。
【0017】
(1)表面層
本発明の表面層は、デュロメーター硬さが60以上、好ましくは63〜73であるポリオレフィン系樹脂材料により形成されている。
【0018】
かかる硬度を有するポリオレフィン系樹脂材料としては、プロピレン系重合体を主体とするものが挙げられる。プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、あるいはプロピレンとエチレン又はα−オレフィンとのランダム共重合体、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
前記ランダム共重合体におけるコモノマーとしては、好ましくはエチレン又は炭素数4〜12のα−オレフィンであり、具体的にはエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1等が挙げられる。前記ランダム共重合体中、プロピレンから誘導される構成単位(以下、「プロピレン単位」という)の好ましい割合は、全構成単位中99〜90重量%であり、α−オレフィンから誘導される構成単位(以下、「コモノマー単位」という)は1〜10重量%である。
【0020】
これらのうち、本発明で用いるプロピレン系重合体として特に好ましいものは、プロピレンとエチレン及び/又はブテン−1とのランダム共重合体である。
上記プロピレン系重合体は、好ましくは、JIS−K7112(23℃)に準拠して測定された密度が0.905〜0.880g/cm、より好ましくは0.904〜0.885g/cm、さらに好ましくは0.903〜0.890g/cmである。密度が上記範囲を上回ると柔軟性が不足し、密度が上記範囲を下回ると表面硬度が不足する。
【0021】
上記プロピレン系重合体は、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定されたMFR(メルトフローレート)が、好ましくは1〜50g/10分、より好ましくは1.5〜40g/10分、さらに好ましくは2〜30g/10分である。MFRが上記範囲を超えると溶融張力が不足してシートの押出成形性が不良となり、MFRが上記範囲未満では積層シート成形時に流動不良となって厚み変動を起こす。
【0022】
前記表面層を形成する樹脂材料には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、上記プロピレン系重合体に加えて更に必要に応じ他の付加的成分を配合することができる。
【0023】
かかる付加的な任意成分としては、通常のポリオレフィン用に使用される酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、結晶造核剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤、及び上記プロピレン系重合体以外の樹脂、エラストマー等が挙げられる。
【0024】
(2)内部層
本発明においては、内部層を構成する樹脂材料としては特に限定されず、通常のポリオレフィンシート材料に採用されているものをいずれも使用することができるが、上述した所望の柔軟性及び透明性を得るためには、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体を主体とするものを用いるのが好ましい。
【0025】
ここで、前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体のコモノマーであるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは炭素数6〜10のものである。具体的には、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ヘプテン−2、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。
【0026】
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体中、エチレンから誘導される構成単位(以下、「エチレン単位」という)の好ましい割合は、全構成単位中98〜50重量%、より好ましくは95〜70重量%、特に好ましくは90〜70重量%であり、α−オレフィンから誘導されるコモノマー単位の好ましい割合は2〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。
【0027】
上記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体は、JIS一K7112(23℃)に準拠して測定された密度が好ましくは0.910〜0.860g/cm、より好ましくは0.908〜0.870g/cm、さらに好ましくは0.906〜0.875g/cmである。密度が上記範囲を超えると柔軟性が不足し、密度が上記範囲を下回ると低結晶成分のブリードが発生しやすくなるので好ましくない。
【0028】
また、上記エチレン−α一オレフィンランダム共重合体は、JIS−K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠拠して測定されたMFRが1〜50g/10分、好ましくは1.5〜40g/10分、さらに好ましくは2〜35g/10分である。MFRが上記範囲を超えると、粘度が低くなって積層シート成形時のドローダウンが発生しやすくなり安定性が不足する。また、MFRが上記範囲を下回ると積層シート成形時に流動不良となつて厚み変動を起こす。
【0029】
本発明に用いるこのようなエチレン−α一オレフィンランダム共重合体としては、メタロセン系触媒を用いて主成分のエチレンと従成分のα一オレフィンとを共重合させたて得られたものが特に好ましい。
【0030】
具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、および国際公開公報WO91/04257号明細書等に記載されているメタロセン触媒もしくはメタロセン/アルモキサン触媒を用いる方法にて重合して得られたもの、又は、例えば国際公開公報WO92/07123号明細書等に開示されているようなメタロセン化合物と、該メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物とからなる触媒を使用して重合して得られたものを挙げることができる。
【0031】
ここで、上述したメタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物としては、カチオンとアニオンのイオン対から形成されるイオン性化合物又は親電子性化合物であって、メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなって重合活性種を形成するものが挙げられる。
【0032】
このうち、イオン性化合物としては下記式(I)で表されるものが挙げられる。なお、式(I)中、mは1以上の整数である。
【0033】
【数1】
[Q]m+[Y]m− ・・・(I)
【0034】
式(I)中、Qはイオン性化合物のカチオン成分である。具体的には、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられ、更には、それ自身が還元され易い金属の陽イオンや有機金属の陰イオン等も挙げることができる。
【0035】
これらのカチオンは、特表平1−501950号公報等に開示されているようなプロトンを与えることができるカチオンだけでなく、プロトンを与えないカチオンでもよい。
【0036】
これらのカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホズホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
【0037】
また、式(I)中、Yはイオン性化合物のアニオン成分であり、メタロセン化合物と反応して安定なアニオンとなる成分であって、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられる。
【0038】
具体的には、テトラフェニルホウ素、テトラキス(3,4,5一トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−(t−ブチル)フェニル)ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5一卜リフルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5一トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウム、テトラキス(3,5一ジ(t−ブチル)フェニル)ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム、テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン、テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素、テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモン、デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカボレート、デカクロロデカボレート等が挙げられる。
【0039】
前記親電子性化合物としては、ルイス酸化合物として知られているもののうち、メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなって重合活性種を形成するものであり、種々のハロゲン化金属化合物や固体酸として知られている金属酸化物等が挙げられる。具体的には、ハロゲン化マグネシウムやルイス酸性無機化合物等が例示される。
【0040】
これらの触媒成分は、適宜、無機固体担体、有機固体担体等に担持して使用することもできる。担持の例としては、特開昭61−296008、特開平1−101315、特開平5−301917等に記載されている方法が挙げられる。
【0041】
これらの触媒を用いた共重合の方法としては、気相法、スラリー法、高圧イオン重合法、溶液法等を挙げることができるが、本発明のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体の密度範囲を得るためには、高圧イオン重合法又は溶液法が好適である。
【0042】
本発明のポリオレフィン系積層軟質シートの表面層と内部層間の接着は、シートそのままで使用するには特に問題はないが、本シート同士を熱シールなどで接着させる場合にはより強固な層間の接着性が要求される。このような層間接着性を向上させるためには、内部層を構成する樹脂材料として、下記(ア)に示す成分と(イ)に示す成分とからなる樹脂組成物を用いるのが好ましい。
【0043】
(ア)MFRが1〜10g/10分、好ましくは1.5〜8g/10分のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体:100重量部
(イ)MFRが11〜50g/10分、好ましくは12〜40g/10分のエチレン一α−オレフィンランダム共重合体:10〜200重量部
【0044】
ここで、(ア)成分のMFRが上記範囲を超えると、粘度が低くなつて積層シート成形時のドローダウンが発生しやすくなり安定性が不足する。一方、MFRが上記範囲を下回ると積層シート成形時に流動不良となつて厚み変動を起こす。
【0045】
また、(イ)成分のMFRが上記範囲を超えると、低粘度成分が多くなってブリードの間題が発生し、MFRが上記範囲を下回ると表面層と内部層の接着性の向上が達成できない。
【0046】
上記樹脂組成物の各成分の配合割合は、(ア)成分100重量部に対して(イ)は10〜200重量部である。(イ)の配合量が上記範囲を超えると、粘度が低くなって積層シート成形時のドローダウンが発生しやすくなり安定性が不足する。一方、上記範囲を下回ると表面層と内部層の接着性の向上が達成できない。
【0047】
前記内部層を形成する樹脂材料には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、上記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に加えて更に必要に応じ他の付加的成分を配合することができる。
【0048】
かかる付加的な任意成分としては、通常のポリオレフィン用に使用される酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、結晶造核剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤、及び上記プロピレン系重合体以外の樹脂、エラストマー等が挙げられる。
【0049】
(3)積層構造
本発明のポリオレフィン系積層軟質シートは、上記樹脂材料からなる内部層と、該内部層の両表面側に設けられた計2層の表面層とを必須層として有する積層体である。
【0050】
前記シートの好ましい厚みについては、全シート厚みが0.1〜3mm、より好ましくは0.1〜2mmであり、両表面側の2層の表面層の合計厚みが全シート厚みに対して好ましくは2〜40%、より好ましくは3〜35%である。表面層の合計厚みが上記範囲を上回ると柔軟性が不足し、上記範囲を下回るとシート成形時の厚みコントロールが困難となるので好ましくない。
【0051】
本発明のポリオレフィン系積層軟質シートは、表面層を形成する樹脂材料と内部層を形成する樹脂材料との溶融粘度比が好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上である。ここで、溶融粘度比とは下記式(II)で表される値である。
【0052】
【数2】
溶融粘度比=V2/V1 ・・・(II)
V1:表面層を形成する樹脂材料の溶融粘度
V2:内部層を形成する樹脂材料の溶融粘度
【0053】
なお、本発明でいう溶融粘度とは、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Bを用いて温度が230℃、キャピラリーL/Dが10mm/1mm、ピストン押出速度が10mm/分の条件で測定した溶融粘度(poise)である。
【0054】
溶融粘度比(V2/V1)が上記範囲を下回ると、積層シートの表面肌荒れが発生して外観不良となり、製品としての価値が損なわれる。
本発明のポリオレフィン系積層軟質シートの製造方法としては特に制限はなく、通常の加工法を採用することができる。例えば、Tダイ法、インフレーション法、カレンダーロール法等の共押出成形機が利用できる。
【0055】
より具体的な例を共押出Tダイ成形機で説明すると、各層の押出機に本発明の樹脂材料を各々投入し、190〜270℃の温度で加熱溶融混練後、フィードブロックの流路調整機で積層構成とし、Tダイのダイリップより膜状に押し出し、エアーナイフ法やエアーチャンバー法、ポリシングロール法、スイングロール法、ベルトキャスト法、水冷法等で積層溶融膜シートを挟圧冷却した後、引取機で引き取ることにより、所望の積層シートを製造することができる。
【0056】
本発明のポリオレフィン系積層軟質シートには、層構成として、上記必須層のほかに他の層を本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ追加することができる。追加できる他の層としては、再生樹脂、ガスバリヤー性樹脂、接着性樹脂等からなる層が挙げられる。
【0057】
また、本発明のポリオレフィン系積層軟質シートは、表面層のさらに表面に各種添加剤や樹脂を塗布することもできる。塗布するものとしては、例えば帯電防止剤、滑剤、防曇剤等やウレタン系の各種樹脂等が挙げられる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0059】
比較例7
エチレン単位の含量が3重量%、密度が0.900g/cm3、MFRが10g/10分のプロピレン−エチレン−ランダム共重合体を表面層用樹脂材料とし、この樹脂材料について(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Bを用いてキャピラリーのL/Dが10mm/1mm、温度が230℃、押出速度が10mm/分の条件にて溶融粘度を測定した。さらにこの樹脂材料を用いて190℃の加熱プレス成形機にて厚さ2mmのシートを成形し、JIS−K7215に準拠してデュロメーター硬さを測定した。
【0060】
また、メタロセン系触媒を用いて重合された密度が0.898g/cm、MFRが3.5g/10分、ヘキセン含量が18.5重量%のエチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体を内部層用樹脂材料とし、この樹脂材料について(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Bを用いてキャピラリーのL/Dが10mm/1mm、温度が230℃、ピストンの押出速度が10mm/分の条件にて溶融粘度を測定した。さらにこの樹脂材料を用いて190℃の加熱プレス成形機にて厚さ2mmのシートを成形し、JIS−K7215に準拠してデュロメーター硬さを測定した。
【0061】
次に、前記表面層用樹脂材料を230℃に加熱したスクリュー径45mmの押出機から2種3層構成のフィードブロックの両表面層側に入れ、前記内部層用樹脂材料を230℃に加熱したスクリュー径65mmの押出機から上記フィードブロックの内部層側に入れた。これらを230℃に加熱した幅500mmのT型ダイスによりシート状に押し出し、20℃の冷却水が内部で循環している2本の鏡面ロール(硬質クロムメッキ加工を施したもの)で挟み冷却固化させて引き取り、積層シートを得た。該積層シートの厚みは両表面層がそれぞれ12μm、内部層が396μmであり、全シート厚みが計420μmであった。
【0062】
このシートについて、目視にて外観を観察し、JIS−K7127に準拠して引張弾性率、JIS−K7105に準拠してヘイズを測定した。
さらにこのシートを2枚重ねて、ヒートシーラーにてシール幅5mm、温度190℃、時間2秒、圧力2kg/cmの条件で接着し、これを手で引き剥がす時の状態を層間接着性として下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0063】
(層間接着性)
×:簡単に剥がれる。
○:剥がすためにかなり抵抗がある。
◎:剥がれず、母材が切れる。
【0064】
比較例8〜11
表面層及び内部層用の樹脂材料として表1に示したものを使用した以外は、比較例7と同様にしてシートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0065】
【実施例
内部層用の樹脂材料として、メタロセン系触媒を用いて重合された密度が0.898g/cm3、MFRが2.2g/10分、ヘキセン含量18.5重量%のエチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体100重量部と、メタロセン系触媒を用いて重合された密度が0.898g/cm3、MFRが16.5g/10分、ヘキセン含量18.5重量%のエチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体100重量部とを190℃に加熱されたスクリュー押出機で溶融混合したものを使用した以外は、比較例7と同様にしてシートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0066】
【実施例
内部層用の樹脂材料として、メタロセン系触媒を用いて重合された密度が0.898g/cm3、MFRが3.5g/10分、ヘキセン含量18.5重量%のエチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体100重量部と、メタロセン系触媒を用いて重合された密度が0.899g/cm3、MFRが28g/10分、ヘキセン含量18.5重量%のエチレン−ヘキセン−1ランダム共重合体40重量部とを190℃に加熱されたスクリュー押出機で溶融混合したものを使用した以外は、比較例7と同様にしてシートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0067】
【実施例3】
比較例7において、T型ダイスより押し出されたシートを、20℃の水で冷却されている2枚の鏡面の金属エンドレスベルトで挟み冷却固化させて引き取った以外は、比較例7と同様にしてシートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0068】
【比較例1〜6】
表面層及び内部層用の樹脂材料として表1に示したものを使用した以外は、比較例7と同様にしてシートを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004014295
【0070】
【表2】
Figure 0004014295
【0071】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系積層軟質シートは、高い柔軟性、透明性及び表面硬度を備えた軟質シートであり、これらの物性をすべて兼ね備えた軟質シートは従来達成できなかったものである。また、樹脂材料を選ぶことにより、さらに各層の層間接着性を格段に向上させることもできる。

Claims (3)

  1. 構成層として少なくとも内部層と該内部層の両表面側に設けられた表面層とを有する積層シートであって、
    前記表面層は、密度が0.905〜0.880g/cm 3 でMFRが1〜50g/10分のプロピレン系重合体を主体とするデュロメーター硬さが60以上のポリオレフィン系樹脂材料により形成され、
    前記内部層は、メタロセン系触媒を用いて重合されたエチレンから誘導される構成単位の含量が98〜50重量%で密度が0.910〜0.860g/cm 3 、かつMFRが1〜50g/10分のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を主体とする樹脂材料であって、下記(ア)と(イ)とからなる樹脂組成物により形成され、
    (ア)MFRが1〜10g/10分のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体:100重量部
    (イ)MFRが11〜50g/10分のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体:10〜200重量部
    前記シートの引張弾性率が200MPa以下、ヘイズが10%以下である、ポリオレフィン系積層軟質シート。
  2. 全シート厚みが0.1〜3mmであり、両表面側に設けられた表面層の合計厚みが全シート厚みに対して2〜40%である、請求項1記載のポリオレフィン系積層軟質シート。
  3. 前記表面層を形成する樹脂材料と、前記内部層を形成する樹脂材料との溶融粘度比が1以上である、請求項1又は2記載のポリオレフィン系積層軟質シート。
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