JP4013573B2 - 遮音パネルの施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発生音源からの騒音を遮音(防音を含む)する遮音パネル(ボードを含む)の施工方法に関するものであって、鉄道用の高欄や道路等の防音壁や、アパート、マンション等のベランダに好適な遮音パネルの施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、高架橋や高速道路に設置される遮音壁は、通常、安価な現場打ちのコンクリート製のもの、工場製作のコンクリート製ALCパネルやPCパネルで構成される構造のものが大半であり、近年では、プラスチック製(例えは、アクリル板、ポリカーボネート板等)で構成される構造のものも採用されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンクリート製の場合、特に現場打ちの場合は、骨材である砂利や砂を均等に分散させることは困難であり、強度にムラがあったり、かつ内部補強筋が必要不可欠であり、特に海砂を使用したためアルカリ性を有し、その鉄筋に発生した錆により、亀裂がはいり、コンクリートが剥落するという問題が起こっており、様々な対応策が検討されているが、未だ有効な解決方法を見いだせないでいる。同様に、工場製作による、均質なコンクリート製ALCパネルやPCパネルによるパネルも採用されているが、風圧に耐えるための金属支柱は必要であり、パネルそのものの単価は安価でも、大型の重機が必要となり、必ずしも施工費は安くならないという欠点がある。また、衝撃に弱く、欠け剥落は避けられない。
【0004】
一方、プラスチック製の場合では、そのもの自体は軽量であるが、強度・剛性が小さいため、短い間隔で、支柱や横梁が必要であり、施工費全体としては必ずしも安価とはいえない。さらに、比較的短い期間での紫外線劣化による強度低下もあり、耐久性に問題があるという欠点を有している。
【0005】
また、設置工事の観点からは、新設の場合、パネル自体の重量が重くても、重機が使用でき、かつ躯体の強度も予め設計できるため問題とはならないが、架け替えの場合は、躯体自体の強度を増やすことはできないため、設置時も設置後も軽量であることが望ましい。
【0006】
本発明の課題は、少なくとも設置時には、軽量で取扱性に優れ、パネルのもととなる繊維強化樹脂製の外枠を設置後、適正な単位重量を有する様々な物を充填する方法が採用でき、大きな重機を必要としないばかりか、安価で、取付工事が極めて容易でしかも、工期の短い施工が達成可能な、優れた遮音パネルの施工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)無機繊維および/または有機繊維からなる補強繊維を重量含有率で少なくとも5%〜70%含む繊維強化樹脂で構成された外枠を設置した後、該外枠の内部に充填物を充填することを特徴とする遮音パネルの施工方法。
【0008】
(2)前記外枠を形成する部分のマトリックス樹脂が、難燃剤および制振剤の両方またはいずれか一方を含む熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる、(1)に記載の遮音パネルの施工方法。
【0009】
(3)前記充填物が、無機質、有機質、汚泥乾燥物、または焼却灰からなる、(1)または(2)に記載の遮音パネルの施工方法。
【0010】
(4)前記無機繊維が、ガラス繊維、炭素繊維から少なくとも1つが選ばれてなるものである、(1)〜(3)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0011】
(5)前記有機繊維が、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維から少なくとも1つが選ばれてなるものである、(1)〜(4)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0012】
(6)前記外枠の厚みが1〜10mmであって、該外枠の内部に充填物を充填した後の遮音パネルの全厚みが15〜200mmである、(1)〜(5)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0013】
(7)前記外枠の内部に、高さ方向および横方向、またはどちらか一方向に、10〜500mmの間隔で、該外枠と実質的に一体化された補強リブを有する、(1)〜(6)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0014】
(8)前記外枠が、断面において少なくとも2分割された構造体である、(1)〜(7)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0015】
(9)前記外枠の内部に、井桁状構造体またはハニカム状構造体が内包または付随されており、前記充填物を、少なくとも該井桁状構造体または該ハニカム状構造体の中空部分または空隙部分に充填する、(1)〜(8)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0017】
(10)前記遮音パネルの縦または横断面形状が、波形、ハット形、もしくは円弧形である、(1)〜(9)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0018】
(11)前記外枠の外側に、該外枠と実質的に一体化されたスチフナを有する、(1)〜(10)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0019】
(12)前記遮音パネルを、所定の間隔で設けた支柱に取り付ける、(1)〜(11)のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
【0021】
本発明により施工される遮音パネルにおいては、外表面が、少なくとも繊維強化樹脂で形成されるので、基本的に錆の発生の問題がなく、耐食性にも優れているので、耐久性の大幅な向上が可能となり、耐用年数の大幅な延長が可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を説明する。
【0023】
本発明により施工される遮音パネルは、パネルの外枠(殻形状のものも含む)を形成する部分が、好ましくは、難燃剤および制振剤の両方またはいずれか一方を含む、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂から形成され、さらに好ましくは、前記繊維強化樹脂によって形成された外枠の内部に、無機質、有機質、汚泥乾燥物、焼却灰等からなる固形物、粉体、発泡体、水溶液やゲル状液体、制振材等の充填物を内包した構造であるものからなる。
【0024】
前記遮音パネルの繊維強化樹脂部分の繊維強化樹脂の補強繊維としては、用途、使用条件に応じて、適宜ガラス繊維、炭素繊維などからなる無機繊維や、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維などを用いることができる。また、用いられる繊維の形態としては、例えば、繊維長が1〜3mmである短繊維やマット、連続繊維からなるクロス、ストランドなどを好適に用いることができる。
【0025】
ここで、軽量・高強度の繊維強化樹脂を得るためには、炭素繊維が最も好ましいが、コストとのバランスを取るため、ガラス繊維と炭素繊維が混合されたハイブリッドのものも好ましい。炭素繊維を入れることによって、振動減衰性が向上するため、特に鉄道高架橋での使用に適している。
【0026】
さらに用いる炭素繊維の種類は、炭素繊維の高い強度・剛性を考えると、いかなるものでもよいが、より低コストを考えると、いわゆるラージ・トウの炭素繊維を用いるのが最も好ましい。
【0027】
たとえば、炭素繊維糸1本のフィラメント数が通常の10,000本未満のものではなく、10,000〜300,000本の範囲のものが好ましく、より好ましくは50,000〜150,000本の範囲にあるトウ状の炭素繊維フィラメント糸を使用する方が、樹脂の含浸性、補強繊維基材としての取扱い性、さらには補強繊維基材の経済性において、より優れるため、好ましい。
【0028】
また、必要に応じて、あるいは要求される機械特性等に応じて、補強繊維の層を複数層に積層して補強繊維基材を形成し、その補強繊維基材に樹脂を含浸することができる。積層する補強繊維層には、一方向に引き揃えた繊維層や織物層を適宜積層でき、その繊維配向方向も、要求される強度の方向に応じて適宜選択できる。
【0029】
次に、前記繊維強化樹脂部分のマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ABS、PEEK、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0030】
前記樹脂中に、層状化合物(例えは、マイカ、二硫化モリブデン、窒化硼素など)や針状化合物(例えは、ゾノトライト、チタン酸カリ、炭素繊維など)、粒状および板状化合物(例えは、フェライト、タルク、クレーなど)を添加することによって、無機物結晶同士あるいは無機物とマトリックスとの相互運動による摩擦熱への変換がなされ、上記フィラーを充填することによって弾性率と密度が増大し振動に対する抵抗がまし制振特性が向上するため、列車運航時の高架橋の振動や道路橋桁上での振動による遮音パネル自体の共振を低減することができる。
【0031】
また、例えは、水酸化アルミニウム、臭素、無機質粉等をを添加すると難燃性を向上させることができ好ましい。なかでもフェノール樹脂はそれ自体で難燃性に優れており、かつ安価であるため好ましく使用される。とくにフェノール樹脂を用いると、優れた耐火性が得られ好ましい。
【0032】
上記これらの添加物は、マトリックス樹脂自体がある程度の制振、自己消化性(難燃)機能を有するため、必ずしも必要ではないが、取り付ける箇所つまり、火災による延焼を防ぐところ、振動伝播が著しいところ等の状況に合わせて適宜選択すれば良い。
【0033】
また、前記遮音パネルの外枠は、マトリックス樹脂よってあるいは補強繊維の形態によって、真空、ブロー、射出、スタンピング、BMC、SMC、トランスファー成形、およびRTM、プレス、引抜、ハンドレイアップ成形等の様々な成形方法を用いて容易に形成することが可能である。
【0034】
前者は、短繊維基材と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との組合せにおいて、良く用いられるものであり、短繊維故に、強度・剛性が若干低いという弱点はあるが、成形サイクルは短く製造費が安価で、構造体としての機能を有する構造ための補強リブ等を容易に形成できるためよく用いられる方法であり、プラスチック単体よりも強度・剛性に優れるため、前記パネルの外枠の形成に適している。
【0035】
また後者は、長繊維基材と熱硬化性樹脂との組合せにおいて、良く用いられるものであり、前述同様に補強リブを形成することは可能である、特に、簡易RTMである真空注入含浸成形によれば、体積含有率等を上げられ、強度、剛性の高いものが比較的安価で製造できる利点がある。
【0036】
さらに、本発明により施工されるパネルは、遮音を目的としており、遮音は、そのパネルの質量に影響されるため、繊維強化樹脂によって形成された外枠だけではその機能を達成できない。つまりその内部を、無機質、有機質、汚泥乾燥物、焼却灰等からなる固形物、粉体、発泡体、水溶液やゲル状液体、制振材等の充填物を内包する構造が好ましい。
【0037】
その充填材には様々なものがあり、例えば、無機質としては、アルミニウム、銅などの金属粉、ケイ石、けい藻土等のケイ酸質、アルミナ、マイカ、クレー等の礬土質類、炭酸カルシウム、石膏等の石灰質、グラファイト、カーボンブラック等の炭化物の他、コンクリート(セメント)、モルタル等があり、特にコンクリート(セメント)にフェライト粒を混合することによって、電波吸収体パネルとしての機能も加わり好ましい。
【0038】
また、有機質としては、植物性、動物性であるリンター、リネン、木材(粉)、海藻粉末や、ポリアミド、ビスコース、アセテート等の合成樹脂などがある。また、汚泥乾燥物、焼却灰は、埋没や煉瓦などの充填剤として一部リサイクルされているが、厄介者であって、処理場への搬送、埋立が殆どであり、処分費が高価であるが、原料としては、極めて安価である。
【0039】
また、制振材としては、粘弾性体(例えは、ブチルゴム、ネオプレンゴム、ウレタンゴム等)またはその粉体を含む樹脂や液体、その他、軟質塩化ビニル樹脂,EVA、アスファルトなどがあり、もちろん前記層状化合物や針状化合物、粒状および板状化合物を添加した樹脂なども、充填剤とすることができる。この構成のパネルは、振動減衰性(ダンピング)が大きく、振動が激しい所で特に好適である。
【0040】
充填材(内包物)の形態としては、前記無機物または有機物を原料とする固体、粉体の他、ウレタン、スチレン、フェノール樹脂などを原料とする発泡体、水やポリビニルアルコール、エチレングリコール、シリコン等の水溶液やゲル状液体などがあり、粉末状体を樹脂で固めたものであっても良く、特にその形態を限定するものではないが、比重の小さい形態である発泡体、シラスバルーンやガラスバルーン等を混入した樹脂やバルサ木材等を用いると軽量な遮音パネルを得ることができ好ましい。いずれにしても、充填物の価格、重量、特性、取扱性などを加味して適宜選択するのが好ましい。もちろんそれらの組合せであっても良い。
【0041】
本発明によれば、前記繊維強化樹脂で構成された外枠を形成後、例えば、外枠の内部へ充填材を混入した発泡ウレタン樹脂を注入し発泡しても良い。特に設置時の観点から、本発明の施工方法は、繊維強化樹脂製外枠が用いられるため、設置時には軽量で取扱性がよく、外枠を設置後、前記充填物を充填することで、より施工費を削減できるという利点がある。この場合、外枠の内部に設けた補強リブや、内包された井桁状構造体またはハニカム状構造体においては、充填剤を充填する際、独立した空間とならないように、部屋間に貫通穴を設けることが重要である。
【0042】
次に、上記本発明の望ましい実施の形態を図面を参照して、さらに詳しく説明する。
【0043】
図1〜図11は、本発明により施工される遮音パネルの一実施態様を示している。
【0044】
すなわち、図1は本発明により施工される遮音パネルの一実施例に係る斜視図であり、図2は繊維強化樹脂製外枠の内部に補強リブを有する一形態を示した斜視図である。図3は、繊維強化樹脂製の外枠が2分割された構造を示す別の実施例に係る断面図である。図4は繊維強化樹脂製外枠の内部に、井桁状構造体(例えはグレーチング構造や菓子折構造体など)またはハニカム状構造体などの補強リブを内包した別の形態を示す斜視図であり、図5は繊維強化樹脂製の外枠に、井桁状構造体またはハニカム状構造体が実質的に一体化された(付随された)別の形態を示す斜視図である。また、図6〜8は本発明により施工される遮音パネルの別の断面形態を示す断面図である。図9は外部にスチフナを有する遮音パネルの別の実施例を示す断面図であり、図10および図11は遮音パネルの一取付実施状況を示す断面図である。
【0045】
図1において、1は遮音パネルであり、2は、繊維強化樹脂製外枠であり、その内部に、無機質、有機質、汚泥乾燥物、焼却灰等からなる固形物、粉体、発泡体、水溶液やゲル状液体、制振材からなる充填材3を内包した構造を示している。
【0046】
この構造において、繊維強化樹脂製外枠2を形成する部分が、前述の無機繊維および/または有機繊維である補強繊維を、重量含有率で少なくとも5%〜70%含んでいる。この理由は、外枠構造としての形状保持および要求される負荷(例えは、風圧、微少飛来物の衝突等)に対する強度、面内剛性を確保するためである。好ましくは、10〜60%の範囲にあると、必要な機械特性(強度、剛性)を保持しつつ、マトリックス樹脂の劣化をより防止できるからである。
【0047】
さらに繊維強化樹脂製外枠の厚みが、好ましくは1〜10mmの範囲であるのは、内包する充填材が固体、低発泡体である場合など、圧縮強度および剪断剛性が大きい時は、厚みが薄くても構造体として、前記負荷に耐えることができるが、反対に、充填物が粉体、液体などの場合、圧縮強度および剪断剛性が期待できないため、繊維強化樹脂部分のみで前記負荷に耐える構造とするためである。より好ましくは3〜7mmの範囲にあると、前記補強繊維の含有量と相まって、必要な機械特性が確保され、パネルとしての軽量化がより促進されるからである。
【0048】
また、遮音パネルの全厚み(充填物を充填した後の全厚みを意味する)は、15〜200mmの範囲にあることが好ましい。この理由は、遮音(防音)特性が、質量則と密接な関係にあり、パネル全体の密度が小さい場合は、大きな厚みを必要とし、前記充填材を入れたパネルの場合はパネル自体が重くなるため比較的薄いパネルで良い。高架橋に用いられている100mmのブロック塀と同等またはそれ以上の性能を得た本発明の実施例では、繊維強化樹脂の厚みが3mmであり、30倍のウレタン発泡体を充填物芯材としたパネルの全厚みは50mmのサンドイッチ構造体である。パネル重量および発生する音の種類、周波数帯、音圧レベルによって、適正な厚さ、充填物の種類および形態を適宜選択することが好ましい。
【0049】
図2は、繊維強化樹脂製外枠2の内部に補強リブ4がある別の実施形態を示した斜視図である。さらに安価および軽量化を追求するならば、肉厚の薄い外枠2と補強リブ4との組合せ構造とすると、外枠2の厚みをさらに薄くできる利点がある。この構造において、高さ方向および横方向の両方、または高さ方向および横方向のどちらか一方向に設けられた補強リブ4の間隔は、10〜500mmの範囲にある。その理由は、この範囲にあると、支柱間の小梁を必要とせず、パネルのみでの必要な強度、剛性を確保できる。
【0050】
ここで、補強リブ4が高さ方向および横方向の両方、または高さ方向および横方向のどちらか一方向であるのは、支柱間隔やパネルに掛かる負荷によって要求される強度、剛性の方向に応じて適宜位置に配置数をも考慮して配置するのがこのましい。その補強リブ4の間隔は、好ましくは、25〜450mmの範囲にある。この範囲にあると、外枠の厚みを薄くでき、より軽量化を図ることができ、必要な面剛性を確保できるからである。ここで、内部の充填材3が、液状体、あるいは粉末状体である時は、前記補強リブ4を有する構造とするのが好ましいが、粉末の充填材を樹脂などで固着したり、充填材3が発泡体、木材、セメントやモルタル等である場合は、それ自体で、芯材としての剪断剛性を有するため、必ずしも補強リブ4が必要ではなく、内部の充填材の形態によって適宜選択できる。
【0051】
また、前記繊維強化樹脂製外枠2は、図3のように、2分割された構造であっても良い。また、2分割以上の構造のものであってもよい。図3は、別々に形成した繊維強化樹脂製外枠2が、ネジ5を介して組み立てられたパネルの一例を示しており、4は補強リブである。図のような構造にすれは、大量生産向きの、SMC、射出、トランスファー成形が採用でき、補強リブも容易に形成できる。もちろん、プレス成形等でも良く、容易に中空構造体を得ることができる利点がある。例として、ネジで組立る構造としたが、プラモデルのように外枠2と一体化した勘合ピンで組立る構造として良く、接着剤で接着してもまた、それらを組み合わせても良く、特に限定するものではない。
【0052】
図4は、図2の補強リブ4の換わりに、繊維強化樹脂製外枠2の内部に、井桁状構造体(例えはグレーチング構造や菓子折構造体など)またはハニカム状構造体6を内包した構造を示したもので、図5は繊維強化樹脂製の外枠2に、前記井桁状またはハニカム状構造体6が実質的に一体化された形態を示したもので、少なくとも中空部および空隙部7に充填材3が充填された構造である。この構造によれば、よりパネルの剛性をより高くすることができるため、さらにパネルの全体厚みを薄くつまり軽量化がより促進されるとともに、パネルの固有振動数を高くできる利点があり、その構造体の空間内に充填物3を充填すれは、パネル内の空気共振を防ぎつつ、極めて薄くかつ、軽量で遮音特性が良いパネルを得ることが可能である。
【0053】
ここで外枠とは、底(背)面と一体となった側壁(側面の立ち上がり部)がある構造のものであり、既に説明したとおり、殻形状のものを含んでいる。
【0054】
また、前記井桁状またはハニカム状構造体6は、金属製、熱可塑性樹脂製、繊維強化樹脂製のいずれでも良く、例えは接着剤で、外枠および/またはスキン板と一体化することによって、本構造のものを容易に得ることができる。まお、図に示した充填物3は、繊維強化樹脂製部分のみで、十分な質量がある場合は、前記の理由から必ずしも必要ではない。
【0055】
図6〜図8は、本発明により施工される遮音パネル別の形態を示しており、例えば、図6は波形断面を呈する遮音パネル1であり、図7はハット形断面を呈する遮音パネル1であり、図8は円弧形断面を呈する遮音パネル1である。その形状は、他の断面形状であっても良く、特に限定するものではない。構造体としての剛性、景観、意匠性等々を加味して適宜選択することができる。
【0056】
図9は、繊維強化樹脂製外枠2の外部に、実質的に一体化してなるスチフナ8を有する遮音パネル1の別の実施例を示しており、この構造によれば、スチフナ8が前記のように補強リブの効果を呈し、パネル全体としての剛性が高くなるため、パネルの全体の厚みを薄くできるため、より軽量化が図れ好ましい。
【0057】
図10および図11は、遮音パネルの取付例を示しており、前記の遮音パネル1が、金属製または繊維強化樹脂製の支柱9に勘合されてまたは挿入されて取り付けられた一実施形態を示している。必ずしも本実施形態によるものではなく、取り付ける状況および場所によって、適宜取付方法を選択することが好ましい。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により施工される遮音パネルによれば、外枠部分を繊維強化樹脂層としたので、錆の心配もなく、耐久性に優れ、安価でかつ、強度、耐衝撃性、剛性に優れたものが得られる。
【0059】
また、遮音パネルを外枠構造体としたため、その内部に様々な種類および形態の充填剤を充填でき、要求される遮音、防音、振動特性にあわせて適宜選択できる。特に、汚泥乾燥物、焼却灰等の産業廃棄物をも利用できるため、さらに安価で、環境に優しいものを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により施工される遮音パネルの一実施態様の斜視図である。
【図2】本発明の内部に補強リブ部を有する遮音パネルの斜視図である。
【図3】上下に分割された構造を示す遮音パネルの別形態に係る断面図である。
【図4】井桁状またはハニカム状構造体を内包する遮音パネルの斜視図である。
【図5】井桁状またはハニカム状構造体を付随する遮音パネルの斜視図である。
【図6】本発明により施工される遮音パネルの別の断面形態を示す断面図である。
【図7】本発明により施工される遮音パネルの別の断面形態を示す断面図である。
【図8】本発明により施工される遮音パネルの別の断面形態を示す断面図である。
【図9】外部にスチフナを有する遮音パネルの斜視図である。
【図10】本発明により施工される遮音パネルの一取付実施形態を示す断面図である。
【図11】本発明により施工される遮音パネルの一取付実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1:遮音パネル
2:繊維強化樹脂製外枠
3:充填材
4:補強リブ
5:ネジ
6:井桁状およびハニカム状構造体
7:中空部および空隙部
8:スチフナ
9:支柱
Claims (12)
- 無機繊維および/または有機繊維からなる補強繊維を重量含有率で少なくとも5%〜70%含む繊維強化樹脂で構成された外枠を設置した後、該外枠の内部に充填物を充填することを特徴とする遮音パネルの施工方法。
- 前記外枠を形成する部分のマトリックス樹脂が、難燃剤および制振剤の両方またはいずれか一方を含む熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる、請求項1に記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記充填物が、無機質、有機質、汚泥乾燥物、または焼却灰からなる、請求項1または2に記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記無機繊維が、ガラス繊維、炭素繊維から少なくとも1つが選ばれてなるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記有機繊維が、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維から少なくとも1つが選ばれてなるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記外枠の厚みが1〜10mmであって、該外枠の内部に充填物を充填した後の遮音パネルの全厚みが15〜200mmである、請求項1〜5のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記外枠の内部に、高さ方向および横方向、またはどちらか一方向に、10〜500mmの間隔で、該外枠と実質的に一体化された補強リブを有する、請求項1〜6のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記外枠が、断面において少なくとも2分割された構造体である、請求項1〜7のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記外枠の内部に、井桁状構造体またはハニカム状構造体が内包または付随されており、前記充填物を、少なくとも該井桁状構造体または該ハニカム状構造体の中空部分または空隙部分に充填する、請求項1〜8のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記遮音パネルの縦または横断面形状が、波形、ハット形、もしくは円弧形である、請求項1〜9のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記外枠の外側に、該外枠と実質的に一体化されたスチフナを有する、請求項1〜10のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
- 前記遮音パネルを、所定の間隔で設けた支柱に取り付ける、請求項1〜11のいずれかに記載の遮音パネルの施工方法。
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