JP4595840B2 - Frp製自立型防音壁 - Google Patents

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Description

本発明は、音源からの騒音を遮音(防音を含む)するため、例えば鉄道用の高欄や道路などに設けられる改良されたFRP製自立型防音壁に関する。
高架橋や高速道路に設置される防音壁は、従来、安価な場所打ち鉄筋コンクリート製や金属製のものが主体であった。しかし、場所打ち鉄筋コンクリートは骨材である砂利や砂が均一に分散していないものは強度ムラが発生したり、特に海砂を使用したものでは中性化が促進され、鉄筋に錆びが発生して膨張することにより、コンクリートに亀裂が入り、近年社会問題となっているコンクリート剥落という問題に至る場合がある。
そこで近年では、工場でコンクリート製防音壁(プレキャスト防音壁)を製造することにより、品質が高く、しかも現場施工を短工期でおこなうことができるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、コンクリート製や金属製の防音壁は、重量物であるが故にその運搬と取り付けには、設置場所に重機類と専用の取付機械の搬入が必須となり、特に設置場所が鉄道の高架橋の場合には、線路側から防音壁設置場所に専用の建設機械を接近させることが難しいという問題や、たとえ接近し得たとしてもその取付作業は高架下からの高所作業などが避けられず、結果的に従来の非常に重い防音壁の設置作業は危険を伴う困難な作業にならざるを得なかった。
また、近年は都市の過密化により、鉄道や道路沿線の住宅も高層化しており、防音壁もより高くする必要に迫られているが、従来のコンクリート製や金属製の防音壁では強度設計の面からますます重量が増加することになり、高架橋躯体も含めた建設工事が一層困難になるという問題がある。
それに対して最近では、より軽量な素材、例えば繊維強化プラスチック(FRP)などを用いた防音壁が採用される例が増えてきた。材料として繊維強化プラスチックなどを用いた防音壁は、軽量性故の取付工事の容易さや、上述のコンクリートの経年劣化の問題がなく、保守の簡素化が図れるという利点もあり(例えば、特許文献2参照)、今後も採用例が増加するものと思われる。
繊維強化プラスチックを防音壁の材料に用いる場合は、その取り扱い性や素材の管理観点から、また工事現場での作業時間を削減する観点から、工場で成形した成形品をそのまま工事現場に搬入して施工するのが一般的である。
しかしながら、繊維強化プラスチックからなる防音壁においても、風圧を受けた防音壁は取付部を介し、力をコンクリート躯体に伝達するため、防音壁取付部には局所的に大きな応力が作用することになる。そこで、取付部に強度の高い金属部材を部分的に使用したり、繊維強化プラスチックに金属部材を内包させハイブリッド化させることにより補強する構造を採る場合が多い。
例えば、繊維強化プラスチックからなるサンドイッチパネルに金属製柱体の上部を埋設し、該柱体下部に取付部を設ける構造を採ったり(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)、芯材である金属部材の両面に繊維強化プラスチック製スキン材が配置された取付部構造を採る方法である(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、このように繊維強化プラスチックと金属を樹脂により一体化した場合、各材料の線膨張係数が異なるため、温度差が作用すると異種材料間界面に剪断力が作用し、剥離が発生する場合がある。
特に防音壁のような屋外での使用環境においては防音壁製作時と使用時の温度差が50℃以上となることが想定される。
繊維強化プラスチックと金属間に剥離が発生すると、本来ハイブリッド化により設計された高い強度、剛性を発揮できなくなるという問題がある。
また、剥離界面が屋外環境に露出している場合には、雨水などが界面から内部構造に浸入し、錆びなどの金属部材の劣化を引き起こす原因となる。
特開平8−144227号公報 特開2002−88721号公報 特開2003−129427号公報 特開2003−155712号公報 特開2003−155713号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、高い強度、剛性が発揮できるとともに、屋外環境での使用においても劣化が少なく耐久性があり、しかも大きな温度差の屋外使用環境においても、FRP製筒体とFRP製スキン層との接着面に剥離を生じることがなく、2つの部材の一体化により設計上期待される強度、剛性を発揮させることができ、さらに雨水などが取付部の内部まで浸入することがなく、錆びなどの腐食の心配もないFRP製自立型防音壁を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明配下の構成を採用する。すなわち、
(1)FRP製の防音パネル部と、該防音パネル部の高さの2〜20%の奥行きを有する取付部とを有するFRP製防音壁であって、前記取付部は発泡プラスチックを内包するFRP製筒体からなる補強部材で構成されていることを特徴とするFRP製防音壁。
(2)前記FRP製筒体が前記防音パネル部のパネル面と並行な方向に軸方向を持ち、かつ少なくとも一対の相対する並行な面を有する矩形状の筒体であることを特徴とする前記(1)に記載のFRP製防音壁。
(3)前記矩形状筒体が、該矩形状筒体の前記少なくとも一対の相対する並行な面のうちの一方の面と相対する矩形状筒体の他の一方の面間を連結するリブを該矩形状筒体の軸方向の複数カ所に有することを特徴とする前記(2)に記載のFRP製防音壁。
(4)前記リブがFRP製であり、前記矩形状筒体との一体成形物であることを特徴とする前記(3)に記載のFRP製防音壁。
(5)前記矩形状筒体が前記一対の相対する並行な面間を貫通する取付穴を有することを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれかに記載のFRP製防音壁。
(6)前記取付穴近傍に、前記矩形状筒体の一対の相対する並行な面間の距離を確保するFRP製の補強部材を有することを特徴とする前記(5)に記載のFRP製防音壁。
(7)前記一対の相対する並行な面間の距離を確保するFRP製の補強部材が、管状体であることを特徴とする前記(6)に記載のFRP製防音壁。
(8)前記FRP製筒体が、前記矩形状筒体と前記該矩形状筒体の一対の相対する並行な面間の距離を確保するFRP製の補強部材との一体成形物であることを特徴とする前記(6)または(7)のいずれかに記載のFRP製防音壁。
)前記防音パネル部が少なくともFRP層を有し、該防音パネル部を構成するFRP層が前記取付部まで延設し、前記矩形状筒体の少なくとも一部の表面を覆った一体構造であることを特徴とする前記(2)〜()のいずれかに記載のFRP製防音壁。
(1)FRP製のスカート部を有することを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載のFRP製防音壁。
本発明によれば、以下に説明するとおり、防音壁取付部の補強部材と、防音部を構成するFRP層との密着力が大幅に改善され、高い強度、剛性が発揮できるとともに、屋外環境での使用においても劣化の少ない耐久性のあるFRP製自立型防音壁を得ることができる。
本発明の防音壁は、取付部の補強部材として、発泡プラスチックを内包するFRP製筒体を用い、該FRP製筒体の表面に、防音パネル部から延設されるFRP層を配置する構造を採用することにより、取付部の補強部材と防音パネル部のFRP層との線膨張係数差を小さくすることができる。
それにより大きな温度差の屋外使用環境においても、FRP製筒体とFRP製スキン層の接着面に剥離を生じることがなく、2つの部材の一体化により設計上期待される強度、剛性を発揮させることができる。
また、取付部の補強部材であるFRP製筒体と防音部から延設されたFRP層の界面が屋外に露出している場合でも、界面の密着性が確保されているため、雨水などが取付部の内部まで浸入することがなく、さらには金属部材を使用していないため、錆びなどの腐食の心配もない。
以下、本発明の最良の実施形態の例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るFRP製防音壁の斜視図であり、図2は、図1の防音壁のA−A矢視の縦断面図である。
図3は、図1の防音壁を建築物躯体14に取り付けた状態の斜視図であり、図4は、図3の防音壁の取付部3近傍の部分拡大図であり、図5は、図3の防音壁のB−B矢視の縦断面図である。
図1において、本発明の防音壁1は、防音パネル部2と、該防音パネル部2の高さHの2〜20%の奥行きDを有する取付部3とからなる。
図3において、前記取付部3は建築物躯体14への接合のための取付部であり、取付部3の奥行きDは、高さHの防音パネル部2が受けた風圧により発生する曲げモーメントを建築物躯体14に十分伝達できる距離が必要である。取付部3の奥行きDが小さすぎると、曲げモーメントを建築物躯体14に十分伝えることができないし、大き過ぎると、取付部3の奥行きDに対応する建築物躯体14側の取付部の寸法D’も大きくする必要があり、建築物躯体14が大きくなり、建築物の建設費用が高くなるという問題がある。
したがって、取付部3の奥行きDは防音パネル部2の高さHの2〜20%とするものである。好ましくは10〜15%である。
図2に示すように、取付部3の内部には補強部材として発泡プラスチック5を内包するFRP製筒体4が配置されている。
前記発泡プラスチック5はFRP製筒体4を成形する上で該FRP製筒体4の内部空間を埋めるために必要となるスペーサとしての役割をするものであり、成形時の圧力に耐え得る程度の強度を持ち、できるだけ軽量な材質のものが好ましい。その材質としては、例えば、アクリル、ポリプロピレン、ポリイミドなどの熱可塑性の発泡プラスチックでもよいし、フェノール、ウレタンなどの熱硬化性の発泡プラスチックであってもよい。
FRP製筒体4のマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が好適であり、これらの樹脂中に層状化合物(例えば、マイカ、二硫化モリブデン、窒化硼素など)や針状化合物(例えば、ゾノトライト、チタン酸カリ、炭素繊維など)、粒状および板状化合物(例えば、フェライト、タルク、クレーなど)などの制振剤を添加することができる。制振剤を添加することによって、無機物結晶同士あるいは無機物とマトリクスとの相互運動による摩擦熱への変換がなされ、上記フィラーを充填することによって弾性率と密度が増大し、振動物体の運動エネルギーを消散させて、パネルの振動を軽減することができる。
また、上記の樹脂中に難燃剤(例えば、水酸化アルミニウム、臭素、無機質粉など)を添加して、難燃性を向上させることができる。フェノール樹脂はそれ自体で難燃性に優れており、かつ安価であるため好ましく使用される。
なお、上記これらの添加物は、取り付ける箇所つまり、火災による延焼を防ぐところ、振動伝播が著しいところなどの状況に合わせて、両方またはいずれか一方を適宜選択すればよい。
前記FRP製筒体4の補強繊維としては、用途、使用条件に応じて適宜、ガラス繊維や炭素繊維などからなる無機繊維や、アラミド繊維、ナイロン繊維あるいはポリエステル繊維などの有機繊維などを用いることができる。また、用いられる繊維の形態としては、例えば、繊維長が1〜3mmである短繊維やマット、連続繊維からなるクロス、ストランドなどを好適に用いることができる。
ここで、軽量で高強度のFRPを得るためには、炭素繊維が最も好ましいが、コストとのバランスを取るため、ガラス繊維/炭素繊維のハイブリッド、あるいはガラス繊維のものも好ましい。
炭素繊維を入れることにより、振動減衰性が向上するため、特に鉄道高架橋での使用に適している。さらに用いる炭素繊維の種類は、炭素繊維の高い強度および弾性率を考えると、どんなものでも良いが、より低コスト化のためには、いわゆるラージ・トウの炭素繊維を用いるのが最も好ましい。例えば、炭素繊維糸1本のフィラメント数が通常の10,000本未満のものではなく、10,000〜300,000本の範囲、より好ましくは50,000〜150,000本の範囲にあるトウ状の炭素繊維フィラメント糸を使用するほうが樹脂の含浸性、補強繊維基材としての取り扱い性、さらには補強繊維基材の経済性おいて、より優れるため、好ましい。また、必要に応じて、あるいは要求される機械特性などに応じて、補強繊維の層を複数層に積層して補強繊維基材を形成し、その補強繊維基材に樹脂を含浸する。積層する補強繊維層には、一方向に引き揃えた繊維層や織物層を適宜積層でき、その繊維配向方向も、要求される強度の方向に応じて適宜選択できる。
図3、図4および図5に示すように、取付部3を構成する補強部材であるFRP製筒体4は、取付部3が建築物躯体14に対し確実に固定することができるように、防音パネル部2のパネル面と並行な方向に軸(X)方向を持ち、少なくとも一対の相対する並行な面を有する矩形状の筒体6であることが好ましい。
図5に示すように、矩形筒体6の前記一対の平行な面のうち、一方の面a(図5、図8参照)側に建築物躯体14が、他のもう一方の面b(図5、図9参照)側に座金16、ナット17などの締結部材を配置することにより、防音壁を確実に建築物躯体14に固定することができる。
図6に矩形状筒体6の斜視図を、図8に矩形状筒体6のE−E矢視の縦断面図を、図9にF−F矢視の横断面図を示す。
また、図6の点線および図9に示すように、少なくとも一対の相対する並行な面を有する前記矩形状筒体6は、前記一対の相対する並行な面のうちの一方の面aと相対する矩形状筒体6の他の一方の面b間(図9参照)を連結するリブ7を矩形状筒体6の軸(X)方向の複数カ所に有している。
リブ7は、防音パネル部2が風圧から受けた荷重を取付部3を介し、建築物躯体14に効率良く伝えるため、取付部3を構成する補強部材である前記矩形状筒体6がねじれるのを防止する役目をするものである。すなわち、リブ7を矩形状筒体6の一対の相対する並行な面間を連結するように設けることにより、矩形状筒体6の断面形状が正方形から平行四辺形に変形するのを防ぐことができる。したがって、図4に示すように、防音パネル部2と、取付部3と、防音パネル部2と取付部3とを連結するスティフナ8が設けられた構造の防音壁1の場合は、スティフナ8と取付部3とが交わる箇所にリブ7を設けることが変形防止の面で好ましい。
また、リブ7は矩形状筒体6のねじり変形を防止するものであるから、矩形状筒体6と一体化されていることが重要である。
リブ7の材質は、矩形状筒体6との接着性が良好なFRP製であることが好ましい。このリブ7を構成するFRPの補強繊維およびマトリクス樹脂としては、前記FRP筒体4に用いられる補強繊維およびマトリクス樹脂が使用可能であるが、マトリクス樹脂は、矩形筒体6との接着性が良好なものとするため、矩形状筒体6と同一マトリクス樹脂であることが好ましい。
リブ7と矩形状筒体6を一体化する方法としては、リブ7および矩形状筒体6を別々に成形しておいて、接着剤により一体化する方法としたものであってもよいし、リブ7および矩形状筒体6を同時に成形することにより一体化する方法であってもよい。
前記矩形状筒体6には一対の相対する並行な面間を貫通する取付穴9が設けられている。
図5に示すように、防音壁1は予め建築物躯体14に埋設されたアンカーボルト15に前記矩形状筒体6に設けられた取付穴9を挿入し、座金16およびナット17により建築物躯体14に固定される。
座金16およびナット17で取付部3を締め付けた際、取付部3を構成する補強部材である矩形状筒体6が変形するのを防止するため、前記取付穴9の近傍には矩形状筒体6の一対の相対する並行な面a−b間の距離を確保するFRP製の補強部材10が設けられている。
ここで、取付部3とアンカーボルト15との相対位置がずれないように、取付穴9の内部にはアンカーボルト15との隙間を埋めるためにグラウト材18を充填することもできる。
図5に示す堰止め材19は、グラウト材18が充填時に漏れないようにするためのものである。
前記FRP製の補強部材10は、矩形状筒体6の内部に雨水などが浸入、蓄積し、矩形状筒体6が吸水劣化することがないよう矩形状筒体6の内部と外部とを空間的に遮断する役目も兼ね備えている。したがって、前記FRP製の補強部材10は、図7に示すように、管状体の形態をとることが好ましく、前記矩形状筒体6に設けられた取付穴9の形状と前記FRP製の補強部材10の内径部形状が同一であることが好ましい。
前記FRP製の補強部材10の断面形状は図7に示すような円形断面であってもよいし、図10に示すような楕円形断面、図11に示すような矩形断面のいずれであってもよい。
また、上述のようにFRP製の補強部材10が矩形状筒体6の内部と外部とを空間的に遮断し、取付穴9から矩形状筒体6の内部に雨水などが浸入するのを確実に防ぐため、前記補強部材10と矩形状筒体6とは微小な隙間無く接合されていることが重要である。したがって、矩形状筒体6とFRP製の補強部材10とは一体成形物であることが好ましい。このFRP補強部材10の補強繊維およびマトリクス樹脂も、前記したFRP製筒体4と同様な補強繊維およびマトリクス樹脂を用いることができる。
ここで、取付部3を座金16およびナット17で締結した際に補強部材10には圧縮力が作用するため、筒状の補強部材10にはその圧縮方向の補強繊維の配向割合を大きくしたり、補強繊維基材の積層枚数を増やしたりすることで強度を増すことができる。
図12に図4のC−C矢視の縦断面図を示す。
図4に示すような防音パネル部2と、取付部3と、防音パネル部2と取付部3とを連結するスティフナ8が設けられた構造の防音壁1において、防音パネル部2にスティフナ8側から風荷重が作用した際に、矩形状筒体6には図12の白抜き矢印に示すようにスティフナが持ち上げられるような荷重が作用する。そのため、図12の○印で囲んだ、矩形状筒体6の取付穴9と、スティフナ8の範囲には矩形状筒体6に曲げモーメントが作用し、変形しようとする。そこで、この曲げモーメントによる矩形状筒体6の変形を防止するため、矩形状筒体6の、防音パネル部2のパネル面と垂直な方向の中立軸まわりの曲げ剛性が5×10kg・mm〜500×10kg・mmの範囲であることが好ましい。ここでいう曲げ剛性とは、図16に示すように、防音パネル部2のパネル面と垂直な方向の矩形状筒体6の中立軸N1−N1まわりの曲げ剛性のことであり、材料力学でいうヤング率Eに、曲げ中立軸まわりの断面二次モーメントIを乗じたEIのことである。
矩形状筒体6が複数のヤング率を有するFRPから構成される場合は、材料力学の組み合わせ梁の理論式に基づき曲げ剛性EIを算出する必要がある。
このような曲げ剛性を達成するための手段としては、前述したように、矩形状筒体6の軸方向の補強繊維の配向割合を大きくしたり、補強繊維基材の積層枚数を増やしたりする方法を採ることができる。
図5において、防音パネル部2は少なくともスキン層となるFRP層12を有しており、該防音パネル部2を構成するFRP層12は取付部3まで延設されており、取付部3を構成する補強部材である矩形状筒体6の少なくとも一部の表面を覆った一体構造となっている。これにより、防音パネル部2が受けた風荷重を取付部3に伝達することができる。
防音パネル部2を構成するFRP層12の補強繊維およびマトリクス樹脂としては、前記FRP筒体4に用いられる補強繊維およびマトリクス樹脂が使用可能であるが、マトリクス樹脂は、矩形状筒体6と一体化するため、矩形状筒体6と同一マトリクス樹脂であることが好ましい。
防音パネル部2は音源からの騒音を遮音することを目的としている。
基本的に遮音性能の指標である音響透過損失は、質量則に従い、単位面積当たりの重量が大きいものほど大きくなり、防音性能が高くなる。しかしながら、単位面積当たりの重量を大きくすれば、防音壁1の重量が大きくなり、取り扱い性や施工性が悪化する。したがって、防音パネル部2の単位面積当たりの重量は、10〜60kg/mの範囲内であることが好ましい。
防音パネル部2は、例えば図5に示すような相対するFRP層12間に芯材11が配置されたサンドイッチ構造、または、図13に示すようなFRP層12の単板構造のいずれであってもよい。サンドイッチ構造の場合の芯材11の材質としては、発泡プラスチック、木材、金属、パルプ、無機質をバインダーで固めたものなどが選択でき、形態としては板状体、ハニカム状体などが選択できる。芯材11の材質および形態は、音響特性、機械特性、軽量性、コストなど要求される特性に応じて適宜選択できる。
図14は本発明の別の実施態様に係る防音壁1を示し、図15は図14のG−G矢視の縦断面図を示している。本実施態様においては、防音壁1は高架橋などの建築物躯体14の鉛直面を覆うように、取付部3の下方にスカート13を有している。スカート13によりコンクリート製の建築物躯体14の鉛直面が直接降雨に曝されるのを防ぐことができ、コンクリートの中性化による劣化を防止でき、建築物躯体14の耐久性の向上につながる。また、防音壁1の取付部3と建築物躯体14の境界が民家側から見えなくなり、見栄えが良くなるというメリットもある。
図3、図4、図5は、防音壁1の高架橋などの建築物躯体14への取付構造例を示している。例えば、建築物躯体14に予め設けられたアンカーボルト15と座金16およびナット17により防音壁1の取付部3が建築物躯体14に固定される。
以上の本発明の防音壁の実施例について説明する。
図5における防音壁に対し、マトリクス樹脂として水酸化アルミニウムを30重量部添加した不飽和ポリエステル樹脂を用い、ハンドレイアップ成形法により、矩形筒体6を形成し、その後防音壁を形成した。
まず、矩形状筒体6を以下の構成で形成した。
矩形状筒体6の成形型に補強繊維基材として(1)ガラスストランドマット基材、(2)ガラス0/±45°/ストランドマット基材、(3)ガラス0/90゜/ストランドマット基材、(4)ガラス0/±45°/ストランドマット基材、(5)ガラスストランドマット基材の順に配置し、樹脂を含浸した。次に、矩形状筒体6の長手方向4箇所にリブ7として、(6)ガラスストランドマット基材、(7)ガラス0/±45°/ストランドマット基材、(8)ガラスストランドマット基材の順に配置し、樹脂を含浸させながら、発泡プラスチック5として比重0.03の(9)硬質ウレタンフォームを前記リブ7の間に順次配置した。
ここで、(9)硬質ウレタンフォームには取付穴9に相当する部分に事前に穴を開けておき、該穴部分に、予め成形、硬化しておいた円筒状の補強部材10を挿入しておいた。
なお、補強部材10はマンドレルに(10)ガラスストランドマット基材を1周、(11) ガラス0/90゜/ストランドマット基材を6周させて、樹脂を含浸させて硬化させた後、脱芯し、外径を加工しておいたものを使用した。
次に、前記補強繊維基材を(5)、(4)、(3)、(2)、(1)の順に折り返し、(9)硬質ウレタンフォームを完全に覆い、樹脂を含浸した。最後に上型をセットし、樹脂を硬化させて矩形状筒体6を得た。
そして、防音壁1を以下の構成で形成した。
防音壁1の成形型に難燃性ゲルコート樹脂を塗布し、補強繊維基材としてガラスストランドマット基材、ガラス0/90゜/ストランドマット基材、一方向に引き揃えられた炭素繊維基材(防音壁鉛直方向に配置)、ガラスストランドマット基材の順に配置し、樹脂を含浸させFRP層12とした。その上に防音パネル部2には芯材11として比重0.3の木質系コアを、取付部3には先に成形した矩形状筒体6を配置した。そして、さらにその上にFRP層12として、ガラスストランドマット基材、ガラス0/90゜/ストランドマット基材、ガラスストランドマット基材を配置し、樹脂を含浸させ、最後に上型をセットし、防音壁1を成形した。
前記矩形状筒体6のリブ7として、ガラス0/±45°/ストランドマット基材を使用したのは、防音壁1が風荷重を受けたときに矩形筒体6の断面形状が平行四辺形に変形するのを回避するためである。
以上のようにして得られた本発明のFRP製自立型防音壁1は、防音部パネル部2の高さHが2000mm、幅1040mm、厚さが26mm、取付部3の奥行きが200mm、高さが89mmで、重量は74kgであった。
また、このFRP製自立型防音壁と外形状を同一寸法とし、さらに、防音パネル部2の構成も同一にした、取付部3の内部に金属部材を内包させた従来のFRP製自立型防音壁を製作し、比較をおこなった結果を表1に示す。
なお、表1の荷重試験における変形量は、次の方法により測定した。
防音パネル部2が水平方向となるように、実際の建築物躯体14への取り付けと同一方法で架台に固定し、大型の万能試験機にて防音パネル部2の高さ中央部に鉛直上方から圧縮荷重を負荷し、取付部3下端の曲げモーメントが設計荷重である風荷重3kN/m相当となったときの防音壁を負荷したときの防音パネル部2の上端の変形量を測定した。
荷重試験で荷重が徐々に増すにつれ、従来のFRP製自立型防音壁では、取付部に内包した補強のための金属部材と、それを覆うFRP層との接着が剥離するため、変形量が大きくなるのに対し、本発明のFRP製自立型防音壁1では、取付部3の補強部材である矩形筒体6と、防音パネル部から延設されたFRPスキン層12との接着剥離が発生せず、一体化されているため変形量が小さくなっている。
Figure 0004595840
本発明は、鉄道用の防音壁や高欄、道路などに設けられる防音壁の他、屋内に設置される防音壁や、工事現場の騒音に対する防音壁、さらには屋外で腐食環境にある沿岸地域での防風板などにも適用できる。
本発明のFRP製自立型防音壁に係る一実施態様の斜視図である。 図1の防音壁のA−A矢視の縦断面図である。 図1の防音壁を建築物躯体に取り付けた状態の斜視図である。 図3の取付部近傍の部分拡大図である。 図3の防音壁のB−B矢視の縦断面図である。 矩形状筒体の一例を示す斜視図である。 FRP製補強部材の一例を示す斜視図である。 図6の矩形状筒体のE−E矢視の縦断面図である。 図6の矩形状筒体のF−F矢視の縦断面図である。 本発明におけるFRP製自立型防音壁の他の実施態様に係る矩形筒体の斜視図である。 本発明におけるFRP製自立型防音壁のさらに他の実施態様に係る矩形状筒体の斜視図である。 図4の防音壁のC−C矢視の縦断面図である。 本発明におけるFRP製自立型防音壁のさらに他の実施態様に係る断面形態を示す縦断面図である。 本発明におけるFRP製自立型防音壁のさらに他の実施態様に係る防音壁を建築物躯体に取り付けた状態の斜視図である。 図14の防音壁のG−G矢視の縦断面図である。 防音パネル部のパネル面と垂直な方向の矩形状筒体の中立軸N1−N1の説明図である。
符号の説明
1:FRP製自立型防音壁
2:防音パネル部
3:取付部
4:FRP製筒体
5:発泡プラスチック
6:矩形状筒体
7:リブ
8:スティフナ
9:取付穴
10:FRP製補強部材
11:芯材
12:FRP層(スキン層)
13:スカート
14:建築物躯体
15:アンカーボルト
16:座金
17:ナット
18:グラウト材
19:堰止め材
D:防音パネル部の奥行き
D’:建築物躯体側の取付部の寸法
H:防音パネル部の高さ

Claims (10)

  1. FRP製の防音パネル部と、該防音パネル部の高さの2〜20%の奥行きを有する取付部とを有するFRP製防音壁であって、前記取付部は発泡プラスチックを内包するFRP製筒体からなる補強部材で構成されていることを特徴とするFRP製防音壁。
  2. 前記FRP製筒体が前記防音パネル部のパネル面と並行な方向に軸方向を持ち、かつ少なくとも一対の相対する並行な面を有する矩形状の筒体であることを特徴とする請求項1に記載のFRP製防音壁。
  3. 前記矩形状筒体が、該矩形状筒体の前記少なくとも一対の相対する並行な面のうちの一方の面と相対する矩形状筒体の他の一方の面間を連結するリブを該矩形状筒体の軸方向の複数カ所に有することを特徴とする請求項2に記載のFRP製防音壁。
  4. 前記リブがFRP製であり、前記矩形状筒体との一体成形物であることを特徴とする請求項3に記載のFRP製防音壁。
  5. 前記矩形状筒体が前記一対の相対する並行な面間を貫通する取付穴を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のFRP製防音壁。
  6. 前記取付穴近傍に、前記矩形状筒体の一対の相対する並行な面間の距離を確保するFRP製の補強部材を有することを特徴とする請求項5に記載のFRP製防音壁。
  7. 前記一対の相対する並行な面間の距離を確保するFRP製の補強部材が、管状体であることを特徴とする請求項6に記載のFRP製防音壁。
  8. 前記FRP製筒体が、前記矩形状筒体と前記該矩形状筒体の一対の相対する並行な面間の距離を確保するFRP製の補強部材との一体成形物であることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載のFRP製防音壁。
  9. 前記防音パネル部が少なくともFRP層を有し、該防音パネル部を構成するFRP層が前記取付部まで延設し、前記矩形状筒体の少なくとも一部の表面を覆った一体構造であることを特徴とする請求項2〜のいずれかに記載のFRP製防音壁。
  10. FRP製のスカート部を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のFRP製防音壁。
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