JP4013391B2 - 化粧水 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚用の化粧料に関し、さらに詳しくは使用時の感触が軽く、使用後にもべたつきがなく、保湿効果および保湿効果の持続性、肌荒れ改善効果に優れるとともに、しわとり効果に優れ、さらに経時安定性および低温保存からの復元性にも優れる化粧水に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、人の皮膚表面は皮脂膜に覆われていて水分の蒸散が適度に抑制されている。皮膚の水分を適切な範囲に保つことは皮膚の健康の面から見て非常に大切なことであり、水分が不足すると肌荒れ等を生じ易くなる。
特に洗顔や入浴を行うと一時的に皮脂膜が取り除かれてしまい肌の水分が失われ易くなることから化粧水を使用して水分を補う必要がある。特に近年、油分のべたつき等の問題から乳液やクリーム等の乳化化粧料を使用しない人も多くなっており、より保湿性の高い化粧水が望まれている。
【0003】
従来より化粧水に使用されている保湿成分としてはグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコールやピロリドンカルボン酸塩等がある。しかし、これらは高湿度下における水分保持力には優れているものの低湿度下における水分保持力に難があり、保湿効果の持続性が保てないという欠点があった。そこで近年、低湿度下での水分保持力の高い保湿成分としてキチン、キトサンおよびそれらの誘導体、蛋白加水分解物、ヒアルロン酸等の酸性ムコ多糖類、植物抽出物等様々な物質が研究されている。中でもヒアルロン酸は皮膚繊維芽細胞中で産生される非常に保湿作用の高い物質であり、肌の老化とともに皮膚中の存在量が減少することが確認されていることから特に注目されている物質である。しかし、酸性ムコ多糖類はその高い保湿力から不快なベタツキを有しているだけでなく、肌荒れを生じた後の改善効果やしわとり効果は非常に弱い。酸性ムコ多糖類を配合した皮膚化粧料としては特開昭57−185208号公報、特開昭61−171405号公報、特開昭63−230614号公報、特開平3−190808号公報等記載の化粧料がある。しかし、これらの化粧料は使用時に不快なべたつきを有していた。そこで、べたつきを改善したものとしてムコ多糖類とトレハロースとを組み合わせた特開平6−122621号公報記載の皮膚外用剤があるがこの皮膚外用剤は肌荒れ改善効果やしわとり効果が非常に弱かった。
【0004】
一方、木通(モクツウ)はアケビまたはその他同属植物の蔓性の茎を採取し、輪切りにして乾燥させたもの等を古来より漢方薬の成分として用いられてきた生薬であり、ストレス胃潰瘍発生予防効果(薬第95巻第1179頁 1975年)、利尿作用(Chem. Phar. Bull. 第27巻第1464頁 1979年)、抗炎症作用(日本薬学会90年会発表講演要旨集 1970年)を有することが公知である。さらに、特開平10−7581号公報において木通の抽出エキスが皮膚保湿能力を高める作用を有することを示されており、木通抽出エキスを含有した保湿効果の高い皮膚外用剤が提案されている。しかし、この皮膚外用剤においても肌荒れ改善効果、しわとり効果が弱く、しかも経時で着色を生じたり低温保存からの復元性試験において“おり"等を生じたりして安定性が悪いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決し、使用時の感触が軽く、使用後にもべたつきがなく、保湿効果および保湿効果の持続性、肌荒れ改善効果に優れるとともに、しわとり効果に優れ、さらに経時安定性および低温保存からの復元性にも優れる化粧水を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為に研究を重ねたところ、特定の植物抽出エキスと酸性ムコ多糖類を特定の比率で組み合わせることで目的の化粧水を得るに至った。
すなわち本発明は、a.木通(モクツウ)の抽出エキスを乾燥残留物として0.00005〜2重量%、b.酸性ムコ多糖類0.001〜3重量%を含有し、a/bの重量比が1/100以上であることを特徴とする化粧水である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる木通の抽出エキスは、木通の蔓性の茎をそのままもしくは乾燥後に炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アルコールおよび水から選ばれる1種または2種以上と共に加熱還流あるいは浸漬して得るが、好ましくは水またはエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどの低級アルコールの1種または2種以上で抽出したものであり、更に好ましくは水で抽出したものである。本発明の木通の抽出エキスとは抽出溶液そのものもしくはその濃縮物を言う。
【0008】
一方、本発明に用いられる酸性ムコ多糖類としては例えばヒアルロン酸、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン等の酸性ムコ多糖類およびそれらと無機または有機のアルカリにより形成される塩であり、好ましくはヒアルロン酸、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸およびそれらの塩であり、更に好ましくはヒアルロン酸およびその塩である。
【0009】
本発明のa.成分である木通の抽出エキスは組成物全量中に乾燥残留物として0.00005〜2重量%であり、好ましくは0.0001〜1.5重量%、更に好ましくは0.0005〜1重量%である。0.00005重量%未満では肌荒れ改善効果、しわとり効果が弱く、2重量%を超えると経時安定性に問題を生じるだけでなくコスト的に不利である。ただし、本発明でいう乾燥残留物とは通常抽出エキスを105℃で乾燥して溶媒を除去した時の残留物である溶質を指すが、抽出溶媒が不揮発性の場合にはガスクロマトグラフや高速液体クロマトグラフ等により溶媒量を定量した値から溶質量を計算値として求め、乾燥残留物量と見なす。
【0010】
b.成分である酸性ムコ多糖類は組成物全量中に0.001〜3重量%であり、好ましくは0.003〜2.5重量%、更に好ましくは0.005〜2重量%である。0.001重量%未満では保湿効果の持続性が弱く、3重量%を超えるとべたつきを伴うだけでなく増粘等を生じて配合が困難になる。
【0011】
a/bの重量比は1/100以上であり、好ましくは1/80以上、更に好ましくは1/50以上である。1/100未満では十分な肌荒れ改善効果およびしわとり効果が得られない。なお、aは乾燥残留物量である。
本発明の化粧水の性状は、配合成分により変化するが、好ましくは透明または油性成分等により若干にごりを生じた半透明の性状で使用される。
【0012】
なお、本発明の皮膚化粧料には、化粧料に常用されている添加剤を本発明の性能を損なわない範囲で配合することも可能である。例えばエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、高級アルコール、シリコーン誘導体、蛋白誘導体、スクワラン、ホホバ油、オリーブ油、ヒマシ油、ラノリン、レシチン、ミリスチン酸オクチルドデシル、脂肪酸等の油性基剤、せっけん、アシルメチルタウリン塩、アミドエーテル硫酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤、アミドアミノ酸塩、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド等の半極性界面活性剤、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等の水溶性高分子、ピロリドンカルボン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、食塩等の有機または無機塩、pH調製剤である酸およびアルカリ、殺菌剤、キレート剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、動植物由来の天然エキス、色素、香料等を配合できる。
【0013】
【実施例】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜7および比較例1〜7
表1〜表2に示す透明または半透明化粧水を調整し、下記の方法により評価を行なった。ただし、共通添加成分として表3に示す4成分を共通成分として使用した。また、使用した木通抽出エキスは次のようにして調製した。すなわち、木通の茎乾燥後粉砕物30gに300mlの水を加えて70℃に加熱し、還流しながら3時間温浸した後濾過して木通抽出エキスを得た。なお、該エキスを105℃で乾燥させた時の乾燥残留物は1.3重量%であった。結果を表1〜表2に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】
(1)使用時の感触
20名の女性(20代〜30代)をパネラーとし、洗顔した後に化粧水を使用した時の感触について下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を使用時の感触の軽い化粧水であると評価した。
2点:使用時に肌へのなじみが良く、べたつきも無く軽い感触であると感じた場合。
1点:使用時にややなじみが悪い、もしくはややべたつきが有り若干重い感触であると感じた場合。
0点:使用時に肌へのなじみが悪い、もしくはべたつきが有り重い感触であると感じた場合。
【0018】
(2)使用後のべたつき
20名の女性(20代〜30代)をパネラーとし、洗顔した後に化粧水を使用して10分後の肌の感触について下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を使用後にべたつきがない化粧水であると評価した。
2点:肌がべたつきが無いと感じた場合。
1点:肌がややべたつくと感じた場合。
0点:肌が非常にべたつくと感じた場合。
【0019】
(3)保湿効果
20名の女性(20代〜30代)をパネラーとし、洗顔した後に化粧水を使用して10分後の肌のうるおいについて下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を保湿効果の良好な化粧水であると評価した。
2点:肌が十分うるおっていると感じた場合。
1点:やや肌がうるおっていると感じた場合。
0点:肌のうるおいが足りないと感じた場合。
【0020】
(4)保湿効果の持続性
20名の女性(20代〜30代)をパネラーとし、洗顔した後に化粧水を使用して2時間後の肌のうるおいについて下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を保湿効果の持続性の良好な化粧水であると評価した。
2点:使用直後と変わらず肌が十分うるおっていると感じた場合。
1点:使用直後と比べてやや肌のうるおいが足りないと感じた場合。
0点:使用直後と比べて明らかに肌のうるおいが足りないと感じた場合。
【0021】
(5)肌荒れ改善効果
肌荒れを生じた10名の女性(20代〜30代)をパネラーとし、化粧水を一日2回ずつ連続2週間使用した時の肌の状態について官能で下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を肌荒れ改善効果のある化粧水であると評価した。
2点:肌荒れが明らかに治ってきたと感じた場合。
1点:肌荒れがやや治ってきたと感じた場合。
0点:肌荒れ改善効果が全く見られないと感じた場合。
【0022】
(6)しわとり効果
20名の女性(20代〜30代)をパネラーとし、化粧水を一日2回ずつ連続2週間使用した時の肌の状態について官能で下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上をしわとり効果のある化粧水であると評価した。
2点:しわが明らかに目立たなくなったと感じた場合。
1点:しわがやや目立たなくなったと感じた場合。
0点:しわとり効果が全く無いと感じた場合。
【0023】
(7)経時安定性
化粧水を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃および40℃で3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下に示す3段階で評価した。
○:安定性良好(外観の変化がない。)
△:安定性やや不良(若干おり、沈殿を生じるまたは若干着色を生じる。)
×:安定性不良(おり、沈殿を生じるまたは分離する。もしくは着色が著しい。)
【0024】
(8)低温からの復元性
化粧水を透明ガラス容器に密封して−20℃で固化させた後、室温にて6時間放置して液状に復元させる。この操作を3回繰り返した後の外観を観察して、下に示す3段階で評価した。
○:復元性良好(外観の変化がない。)
△:復元性やや不良(若干おり、沈殿を有する。)
×:復元性不良(おり、沈殿を有するまたは分離する。)
【0025】
実施例1〜7より、本発明の成分を用いた化粧水はいずれも使用時の感触が軽く、使用時および使用後にもべたつきがなく、保湿効果、保湿効果の持続性、肌荒れ改善効果に優れるとともにしわとり効果に優れ、しかも経時安定性や低温からの復元性が良好であった。
【0026】
一方、比較例1〜7では十分な性能が得られていない。つまり、比較例1、比較例2ではa.成分が配合されていないことから肌荒れ改善効果およびしわとり効果が弱くなっており、比較例3ではb.成分が配合されていないことから保湿効果の持続性が悪くなっている。また、比較例4ではb.成分が本発明の範囲を超えて配合されいることから使用時の感触が悪くなるとともに使用後にべたつきを有しており、a/bの重量比が本発明の範囲より小さいことから肌荒れ改善効果およびしわとり効果が弱くなっている。そして、比較例5ではa/bの重量比が本発明の範囲より小さいことから肌荒れ改善効果およびしわとり効果が弱くなっており、比較例6および比較例7ではa.成分およびb.成分が配合されていないことから保湿効果の持続性、肌荒れ改善効果およびしわとり効果において十分な性能が得られていない。
【0027】
【発明の効果】
本発明の化粧水は使用時の感触が軽く、使用後にもべたつきがなく、保湿効果、保湿効果の持続性および改善効果に優れるとともに、しわとり効果に優れ、しかも経時安定性および低温保存からの復元性にも優れていた。
Claims (1)
- a.木通(モクツウ)の抽出エキスを乾燥残留物として0.00005〜2重量%、b.酸性ムコ多糖類0.001〜3重量%を含有し、a/bの重量比が1/100以上であることを特徴とする化粧水。
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