JP4012972B2 - 光学積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学性能及び耐湿熱性に優れた光学積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、卓上電子計算機、電子時計、ワープロ、自動車や機械類の計器類等に液晶表示装置が用いられ、これらに伴い偏光板、位相差板、楕円偏光板といった光学積層体の需要も増大している。特に、計器類においては苛酷な条件下で使用される場合が多いので高耐久性及び高偏光度を持った光学積層体が要請されるのである。
中でも偏光板については、現在知られている代表的なポリビニルアルコール系偏光フィルムとして、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあり、これらはポリビニルアルコールの水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられ、該偏光フィルムの面上に透明なプラスチックフィルムが保護フィルムとして貼り合わされている。保護フィルムとしては、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース等の酢酸セルロース系フィルムが表面保護フィルムとして光学的透明性、無配向性等に優れているため汎用されている。
【0003】
しかし、酢酸セルロース系フィルムは吸水率及び透湿性が大きいため、高温高湿の条件下では上記構成の偏光板では耐久性を満足しないといった問題点がある。このため、偏光フィルムの保護フィルムとして酢酸セルロース系フィルムに代わるものが種々検討されている。
例えば、特開昭53−82433号公報では、保護フィルムの三酢酸セルロースを用いず、ウレタン樹脂を偏光フィルム面に塗布硬化させることによって、偏光フィルムと該ウレタン樹脂塗膜層とが強固に接着された偏光板が提案されている。
【0004】
又、特開昭56−80001号公報でも、三酢酸セルロースを用いず、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と1分子中にイソシアネート基と反応する活性水素及び重合性不飽和基を有する化合物、例えばアクリル系モノマーとを反応させて製造したいわゆるウレタンアクリル系化合物に、イソシアネート基と反応し得る活性水素を有する樹脂を添加した組成物を偏光フィルムに塗布し、該偏光フィルムに活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることによって、耐湿性や接着性が改善された偏光板が提案されている。
【0005】
更に、特開昭59−151109号公報、特開昭59−151110号公報、特開昭59−151111号公報、特開昭59−151112号公報等には、耐久性を改善する目的で、偏光フィルム表面に紫外線硬化型樹脂(ポリエステルアクリレート系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、等)に各種添加剤(シリカゾル、凝集性シリカゲル、等)を含む組成物からなる硬化皮膜層を形成することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭53−82433号公報及び特開昭56−80001号公報開示の偏光板については、性能的には40〜60℃かつ90〜95%RH程度の条件下での耐久性しか実現しておらず、いわゆる中耐久高偏光度タイプの偏光板を提供するものであり、最近の高度な要求性能に対しては耐湿熱性の面でまだまだ満足のいくものではない。又、特開昭59−151109号公報、特開昭59−151110号公報、特開昭59−151111号公報、特開昭59−151112号公報開示技術については、偏光板製造直後の表面強度は改善されているものの、耐久試験評価は行っておらず、耐久性について詳細な検討はなされていない。
そこで、本発明ではこのような背景下において、耐久性に優れた偏光板、位相差板、楕円偏光板等の光学積層体であるとともに、酢酸セルロース系フィルムによる吸水率及び透湿性を抑制し、耐湿熱性に優れた高耐久高光学性能タイプの光学積層体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、光学フィルムの片面又は両面に酢酸セルロース系フィルムである保護フィルムを設けた光学積層体〔1〕の、該保護フィルムの外側に更にテトラアルコキシシランの加水分解縮合物である下記化1で示されるシリケートオリゴマーが50〜200℃で加熱処理されてなる層を設けてなる光学積層体が光学性能及び耐湿熱性に優れることを見いだし、本発明を完成した。
【化1】
Figure 0004012972
ここで、nは1〜20の整数、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基である。
【0008】
本発明においては、上記化1で示されるシリケートオリゴマーがテトラアルコキシシランに触媒、水を添加し加水分解縮合して得られる部分加水分解物であるとき、好ましくは上記化1で示されるシリケートオリゴマーが溶媒、硬化触媒、水を添加し同様に加水分解縮合して得られる完全加水分解物であるとき、本発明の効果を顕著に発揮する。
【0009】
即ち、本発明においては上記化1で示されるシリケートオリゴマーからなる層を三酢酸セルロース等の保護フィルムに積層することが最大の特徴であり、これにより、保護フィルムの吸水性及び透水性を押さえることができるのである。
又、本発明においては、上記光学積層体に、更に粘着剤層を設けることができ、これにより、光学積層体の強度、耐久性が向上したり、又、液晶表示体作製時のガラス基板、又は偏光フィルムや位相差フィルム等への貼合が簡便となり、一段と実用性に富んだ光学積層体が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の光学積層体〔1〕としては、光学特性を有する積層体であれば特に限定されないが、偏光板、位相差板、楕円偏光板等が好適に使用される。
偏光板は偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムを設けたものであり、該偏光フィルムとしては特に制限されないが、好ましくは、ポリビニルアルコール系フィルムの一軸延伸フィルムである。ポリビニルアルコールは通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していても良い。又、ポリビニルアルコール系樹脂を酸の存在下でアルデヒド類と反応させたポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等のいわゆるポリビニルアセタール樹脂及びその他ポリビニルアルコール系樹脂誘導体も挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちでは、耐熱性が良好であるという点から、高ケン化度で高重合度のポリビニルアルコールが好ましい。即ちケン化度は85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%であり、又、重合度としては任意のものが使用可能であるが、1000〜10000、好ましくは2000〜8000、より好ましくは2500〜5000が有利である。
【0011】
本発明の偏光フィルムの製造法としては、ポリビニルアルコールを水又は有機溶媒に溶解した原液を流延製膜して、該フィルムを延伸してヨウ素あるいは二色性染料の水溶液に浸漬し染色するか、延伸と染色を同時に行うか、ヨウ素あるいは二色性染料により染色して延伸するかした後、ホウ素化合物処理する方法が挙げられる。又、染色した後ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法等もあり、適宜選択して用いることができる。原液調製に際して使用される溶媒としては、例えば水はもちろん、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類及びこれらの混合物が用いられる。
【0012】
上記有機溶媒中には少量、例えば5〜30重量%の水を含有させても差し支えない。原液中のポリビニルアルコールの濃度は4〜50重量%が実用的である。 該溶剤を用いて得られたポリビニルアルコール製膜原液は、キャスト法、押出法等任意の方法で製膜される。製膜方法としては乾・湿式製膜法にて、即ち、該溶液を口金スリットから一旦空気中、又は窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気中に吐出し次いで凝固浴中に導いて未延伸フィルムを形成せしめる。又は口金から吐出された製膜溶液は一旦ローラー、あるいはベルトコンベアー等の上で溶剤を一部乾燥した後で凝固浴中に導入しても差し支えない。
【0013】
又、凝固浴に用いる溶媒には前記ポリビニルアルコールの溶剤と混和性を有するもので、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系フィルムを得る方法としては、その他ポリビニルアルコールの溶液を凝固浴中に導入してフィルム化するいわゆるゲル製膜法等も実施可能である。
【0014】
原反フィルムとしてはその膜厚は30〜100μm、好ましくは50〜90μmが必要である。30μm以下では延伸不能となり、100μm以上では膜厚精度が低下し不適当である。
前記の如くして得られるポリビニルアルコール未延伸フィルムは次に延伸及び染色、ホウ素化合物処理が施される。延伸と染色更にホウ素化合物処理は別々に行っても同時に行っても良いが、本発明では染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが望ましい。
【0015】
延伸は一軸方向に3.5〜10倍、好ましくは4.5〜7倍延伸することが望ましい。この際、前記と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行っても差し支えない。延伸時の温度条件は40〜130℃から選ぶのが望ましい。更に、かかる延伸倍率は最終的に上記の範囲に設定されれば良く、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すれば良い。
【0016】
フィルムへの染色つまり偏光素子の吸着はフィルムに偏光素子を含有する液体を接触させることによって行われる。通常はヨウ素−ヨウ化カリの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/l、ヨウ化カリの濃度は10〜50g/l、ヨウ素/ヨウ化カリの重量比は20〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃、好ましくは5〜40℃が好ましい。水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。
接触手段としては浸漬、塗布、噴霧等の任意の手段が適用できる。
【0017】
染色処理されたフィルムは次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。
ホウ素化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.5〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリを共存させるのが実用上望ましい。 処理法は浸漬法が望ましいが勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は50〜70℃程度、処理時間は5〜20分程度が好ましく、又必要に応じて処理中に延伸操作を行っても良い。
【0018】
尚、該ホウ素化合物による処理は、ポリビニルアルコール系樹脂溶液にあらかじめホウ素化合物を添加して製膜することにより代替することも可能である。
このようにして、本発明に用いられるヨウ素染色されたポリビニルアルコール系偏光フィルムが得られるわけであるが、本発明では特に該偏光フィルムが80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による励起波長514.5nmのAr+レーザー照射時の105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度をa1及びb1とし、該放置処理前の該スペクトル強度をa0及びb0とした時、(b1/a1)/(b0/a0)>0.7、好ましくは1.5>(b1/a1)/(b0/a0)>0.7を満足することが好ましく、かかる偏光フィルムは上述した偏光フィルムの製造条件をコントロールすることによって上式を満足させることができる。
【0019】
例えば、原反として高重合度のポリビニルアルコール系樹脂を選択したり、偏光フィルムの製造時の延伸工程において垂直方向の延伸を付加したり、2段階以上の多段階に分けて延伸したり、三酢酸セルロースフィルム等の保護層を積層後乾燥処理を施したりする方法等を単独又は適宜組み合わせることによって実現することができるが、これらに限定されるものではない。
尚、上記の偏光フィルムの、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理に当たっては、処理前の偏光フィルムの両面に接着剤としてポリビニルアルコール水溶液を(塗布乾燥厚み0.01μm)を用いて、表面がアルカリケン化し中和させた三酢酸セルロースフィルム(80μm)を貼着した積層体を試料とし、該試料を上記の条件で放置処理を行った後、該試料をシクロヘキサノン中に20℃で12時間浸漬させて両面の三酢酸セルロースフィルムを溶解して完全に取り除き、風乾等により表面付着溶剤を完全に除去した後の偏光フィルム単体のスペクトル強度を放置処理後のスペクトル強度とした。(上記三酢酸セルロースフィルムの除去に当たっては、該フィルムを削り取る等して物理的に除去する方法も可能である。)
【0020】
又、上記の放置処理前の偏光フィルムのスペクトル強度測定においては偏光フィルムの製造上等の都合により、該偏光フィルムに三酢酸セルロースフィルム等の保護層が積層されているときは、上記等の方法により該保護層を剥がして偏光フィルム単体のスペクトル強度を測定するのである。(保護層がアクリル系樹脂の場合には、アセトン、ベンゼン、トルエン等の溶剤を用いることもある。)
【0021】
更に詳しく説明すると、先ず、前述の如き方法で得られた偏光フィルムをラマン分光測定器(例えば、日本分光社製、Jasco NR−1800M)を用いて、励起波長として514.5nmのAr+レーザーを照射(出力2mW)し、この時の105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度a0及びb0を室温で測定(測定時間;16sec×5回、測定径;200μm、測定モード;後方散乱)する。次に上記の如く該偏光フィルムの両面に三酢酸セルロースフィルムを貼着後、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置した後取り出してシクロヘキサノン中で該三酢酸セルロースフィルムを剥離した後、上記と同様にラマン分光測定器により、再度偏光フィルム単体の105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度a1及びb1を測定するのである。
【0022】
上記のスペクトル強度の決定に当たっては、上記の測定方法により得られたチャートのピークからそれぞれのスペクトル強度を読み取るのであるが、該スペクトル強度の決定は最小自乗法を用いた波形分離法により行い、その際各ピークは3変数(スペクトル位置、スペクトル強度、半価幅)を含むローレンツ関数を、ベースラインは2変数(切片、傾き)を含む直線関数と仮定して波形分離を行い、各スペクトル強度を決定するのである。
そして、上記のa0、b0、a1及びb1からなる(b1/a1)/(b0/a0)の値が0.7を越える偏光フィルムが本発明で有効な偏光フィルムであり、好ましくは0.7〜1.5である。該値が0.7以下では偏光フィルムの耐久性が劣ることとなる。更に本発明では、上記の(b0/a0)の値が1.1より少ないとき、即ち(b0/a0)<1.1の条件を満たすとき、高温・高湿時の耐久性に優れており、特に有用である。
【0023】
又、本発明で用いる偏光板において、偏光板がポリビニルアルコール系偏光フィルムからなり、かつ、波長460nm及び640nmでの平行透過率(A)と直交透過率(B)の比がともに2000以上、好ましくは2000〜5000である偏光板、より好ましくは更に直交透過率(B)が可視光全般にわたって0.02%以下、好ましくは0.0001〜0.015%である偏光板も好ましく用いられる。
尚、平行透過率(A)と直交透過率(B)の比の測定に当たっては、上記ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光フィルムの両面に三酢酸セルロースフィルムを設けた偏光板として測定を行い、上記平行透過率(A)とは2枚の偏光板をその配向方向が同一になるように重ね合わせた場合の透過率(%)を、直交透過率(B)とは2枚の偏光板をその配向方向が垂直になるように重ね合わせた場合の透過率(%)をそれぞれ意味する。
【0024】
上記偏光板、即ち波長460nm及び640nmでの平行透過率(A)と直交透過率(B)の比がともに2000以上の偏光板の製造方法としては特に制限されないが、例えば下記の方法が採用され得る。
即ち、前述と同様に、ポリビニルアルコール系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延製膜して、該フィルムを延伸してヨウ素化合物あるいは二色性染料の水溶液に浸漬し染色するか、延伸と染色を同時に行うか、ヨウ素化合物あるいは二色性染料により染色して延伸するかした後、ホウ素化合物処理する。又、染色した後ホウ素化合物の溶液中で延伸することも可能であり、適宜選択して用いることができる。しかる後に、水洗処理を行い、その後再度ヨウ素化合物又は二色性染料で再染色を行うことが重要で、これにより特定の偏光フィルムが得られ、上記の偏光板が得られるのである。
【0025】
かかる水洗処理については、5〜30℃、好ましくは10〜20℃で、2分間以下、好ましくは1分間以下浸漬することにより行われる。勿論浸漬に限らず、噴霧、塗布等も可能である。又、再染色処理については、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.001〜1g/l、好ましくは0.01〜1g/l、ヨウ化カリウムの濃度は10〜50g/l、好ましくは10〜30g/l、染色時間は10〜500秒、好ましくは30〜300秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜30℃が好ましい。水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。接触手段としては浸漬が好ましいが、塗布、噴霧等、任意の手段が適用できる。再染色処理後は、30〜80℃で30〜500秒間乾燥を行うことにより、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが得られる。
【0026】
かくして、得られた偏光フィルムにはその両面あるいは片面に光学的透明度と機械的強度に優れた保護フィルムが貼り合わされる。保護フィルムの貼合に際しては、特に制限なくポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の親水性高分子の水溶液が用いられ、又、保護フィルムとしては、従来から知られている酢酸セルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルエーテルケトン系フィルム、ポリスルホン系フィルム等が挙げられるが、好適には三酢酸セルロースフィルム等の酢酸セルロース系フィルムが用いられる。
【0027】
更に、必要に応じて、上記樹脂フィルムにサリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤を配合させることも可能である。又、該保護フィルムの表面をアルカリでケン化処理したり、プラズマ処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、高周波処理、電子線処理等を行うと、更に効果的である。
【0028】
又、位相差板は位相差フィルムの少なくとも片面に上記と同様の保護フィルムを設けたものであり、位相差フィルムには特に制限されることなく、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリビニリデンフルオライド/ポリメチルメタアクリレート、液晶ポリマー、トリアセチルセルロース系樹脂、環状ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニル等が採用されるが、主としてポリカーボネート、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが用いられる。
【0029】
ポリビニルアルコール系樹脂としては通常酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していても良い。又、ポリビニルアルコールを酸の存在下でアルデヒド類と反応させた、例えばポリブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等のいわゆるポリビニルアセタール樹脂及びポリビニルアルコール誘導体が挙げられる。平均重合体は500〜10000、好ましくは1000〜5000、ケン化度は80〜100モル%、好ましくは90〜100モル%のもので、無延伸フィルムのものでもよいが、通常1.01〜4倍、好ましくは1.01〜3倍程度に一軸延伸されたものであることが望まれる。
更に、本発明においては、上記の偏光フィルム又は偏光板と、位相差フィルム又は位相差板とを組み合わせて楕円偏光板とすることも有効である。
【0030】
本発明では、偏光板や位相差板、楕円偏光板等といった光学積層体〔1〕の耐湿熱性を向上させるため、上記保護フィルムの外側に、上記化1で示されるシリケートオリゴマーからなる層が設けられる。該化1で示されるシリケートオリゴマーとしては、特に制限はなく任意の方法で調製され得る。例えば、下記の方法で調製される。
該シリケートオリゴマーは、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、又はテトラフェノキシシランを加水分解することにより得られる。nはこの場合の加水分解率を制御することにより調整できる。
【0031】
加水分解反応自体は、公知の方法によることができ、例えば、上記テトラアルコキシシランに所定量の水を加えて酸触媒の存在下に、副生するアルコールを留去しながら、通常室温程度〜100℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、更に縮合反応によりヒドロキシル基を2以上有する液状のシリケートオリゴマー(通常平均重合度2〜8程度、好ましくは3〜6)が加水分解物として得られる。加水分解の程度は、使用する水の量により適宜調節することができるが、本発明においては通常40〜90%程度、好適には60〜80%程度から選ばれる。
【0032】
ここで、加水分解の程度は、加水分解可能な基、即ちテトラアルコキシシランにおいてはアルコキシ基を全て加水分解縮合するために必要な理論水量即ちアルコキシ基の数の1/2の水を添加したときを加水分解率100%とし、
加水分解率(%)=(実際の添加水量/加水分解理論水量)×100
として求める。
【0033】
こうして得られたシリケートオリゴマーにはモノマーが通常2〜10%程度含有されている。このモノマーが含有されていると貯蔵安定性に欠け、保存中に増粘し、膜形成が困難となるので、モノマー含有量が1重量%以下、好ましくは0.3重量%以下になるように、このモノマー除去をフラッシュ蒸留、真空蒸留で行う。
【0034】
本発明では、上記の如くテトラアルコキシシランに触媒、水を添加して得られる部分加水分解物が用いられるが、特に好ましくは、完全加水分解物が用いられる。該完全加水分解物は、例えば上記の部分加水分解物に溶媒を配合し、次いで硬化触媒と水を添加する等の方法により得られる。かかる溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコールを1種又は2種使用するのが安価であること、及び得られる皮膜の特性が優れ硬度が良好であることから好適である。イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノール等も用いることができるが、得られた皮膜の硬度が低くなる傾向にある。溶媒量は部分加水分解物100重量部に対して50〜400重量部、好ましくは100〜250重量部がよい。
【0035】
硬化触媒としては酸、アルカリ、有機金属、金属アルコキシド等があるが、好ましくは酸、特に酢酸、マレイン酸、シュウ酸、フマル酸等が用いられる。添加量は部分加水分解物100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部がよい。
又、水添加量については部分加水分解物が理論上100%加水分解し得る量以上の量であればよく、100〜300%相当量、好ましくは100〜200%相当量を添加するのがよい。
更に、本発明ではこれら成分を配合した後、熟成させることが好ましく、かかる熟成工程により、テトラアルコキシシランの加水分解、縮合による架橋が充分に進み、得られた皮膜の特性が優れたものとなる。
【0036】
液の熟成は、液を放置すればよく、放置する時間は、上述の架橋が所望の膜特性を得るのに充分な程度進行するのに充分な時間であり、具体的には用いる触媒の種類にもよるが、塩酸では室温で1時間以上、マレイン酸では数時間以上、特に好ましくは8時間〜1週間程度で充分であり、通常3日前後である。熟成を要する時間はまた周囲の温度にも影響を与え、極寒地では20℃付近まで加熱する手段を採ったほうがよいこともある。一般に高温では熟成が速く進むが100℃以上にも加熱するとゲル化が起こるので、せいぜい50〜60℃までの加熱が適切である。
又、本発明で用いるシリケートオリゴマーについては、上記の他に、例えばエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基等の官能基を有する有機化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマー)により変性した変性物であっても差し支えなく、単独又は上記シリケートオリゴマーと併用することも可能である。
【0037】
かくして上記化1で示されるシリケートオリゴマーが得られるが、該シリケートオリゴマー中のSiO2含有量は1〜100%、好ましくは10〜99%であることが望まれる。かかるSiO2含有量が1%未満では耐久性の向上が見られなくなり、本発明の効果を発揮しない。
【0038】
本発明において、保護フィルムの外側に上記化1で示されるシリケートオリゴマーからなる層を積層するわけであるが、その方法としては、保護フィルムの外側に、該シリケートオリゴマーを光学フィルムの光学性能を阻害しない溶剤、例えばアルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、メチルグリコールアセテート、エチレングリコールアセテート、メトキシブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチレンクロライド、トルエン、キシレン、ミネラムスピリット、クレゾール、キシレノール、フラフラール、ナフサ等にて希釈し、バーコーター法、ロールコーター法、グラビアコーター法、リバースコーター法、リップコーター法等、公知の方法により塗布し、次いで加熱処理を施し積層される。勿論、浸漬、噴霧等の方法も可能で、いずれの方法により積層されてもよい。
【0039】
加熱処理は20〜200℃、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは50〜180℃の条件で行われる。又、該シリケートオリゴマーからなる層の層厚みは乾燥後の厚みで0.001〜50μ、好ましくは0.01〜50μである。積層に際しては、保護フィルムの片面にシリケートオリゴマーからなる層を積層した後、保護フィルムの他面を上記光学フィルムと貼合したり、又前記光学フィルムと保護フィルムを貼合した後、保護フィルムの外側にシリケートオリゴマーからなる層を積層する等の方法があり、適宜選択されるが、実用的には前者の方法が好ましい。
【0040】
更に本発明では、必要に応じて上記シリケートオリゴマーからなる層中に紫外線吸収剤を含有させたり、該層の外側に反射防止層を設けたりすることもできる。該紫外線吸収剤としては前記のサリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられ、反射防止層としては高屈折率の物質(例えばチタン、セリウム、タンタル等の金属酸化物等)と低屈折率の物質(例えば酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等)を交互に積層して得られる層あるいは低屈折率の物質(例えば酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、フッ素含有ポリマー等)からなる単層のものが挙げられる。
【0041】
かくして得られた光学積層体、即ち光学積層体〔1〕の外側に、更に上記シリケートオリゴマーからなる層を設けた光学積層体について、本発明では必要に応じて更に粘着剤層を設けることができ、液晶表示体作製時のガラス基板、又は偏光フィルムと位相差フィルムの貼合等が簡便となり、一段と実用性に富んだ光学積層体が得られる。
【0042】
粘着剤層の積層に際して、光学フィルム層の片面に保護フィルム層及びシリケートオリゴマーからなる層が形成されている場合は、該粘着剤層は耐湿熱性向上の点で光学フィルム層表面に設けることが好ましい。又、光学フィルム層の両面に保護フィルム層及びシリケートオリゴマーからなる層が形成されている場合は、該粘着剤層はいずれかのシリケートオリゴマーからなる層表面のみでも良い。光学フィルム層の両面に保護フィルム層を設け、その片面にシリケートオリゴマーからなる層が形成されている場合は、保護フィルム層表面に設けることが好ましい。上記3種の層構成の光学積層体の中でも、保護フィルム層と粘着剤層との間にシリケートオリゴマーからなる層を介している光学積層体は、湿熱条件下での保護フィルムの加水分解を抑制することができ、耐久性に優れた光学積層体となる。
【0043】
該粘着剤層としてはアクリル酸エステル、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等とα−モノオレフィンカルボン酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、光学フィルムの光学特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する粘着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系等でもよい。
【0044】
本発明の光学積層体は、保護フィルムの外側に上記化1で示されるシリケートオリゴマーからなる層を設けているため、高光学特性はもとより耐湿熱性に非常に優れ、更に粘着剤層を設けることにより非常に実用的な偏光板、位相差板、楕円偏光板といった光学積層体となる。
かかる特性を利用して液晶表示体の用途に用いられ、特に車両用途、各種工業計器類、家庭用電化製品の表示等に有用である。
【0045】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。 又、本発明でいう偏光度は
[(H11−H1)/(H11+H1)]1/2×100(%)
で示され、H11は2枚の偏光フィルムサンプルの重ね合わせ時において、偏光フィルムの配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で分光光度計を用いて測定した透過率(%)、H1は2枚のサンプルの重ね合わせ時において、偏光フィルムの配向方向が互いに直交する方向になるように重ね合わせた状態で測定した透過率(%)である。
【0046】
[シリケートオリゴマー(A)の調製]
撹拌機と還流用コンデンサー及び温度計を付けた500mlの3つ口丸底フラスコに、テトラメトキシシラン234gとメタノール74gを加えて混合した後、0.05%塩酸22.2gを加え、内温度65℃、2時間加水分解反応を行った。次いで、コンデンサーを抽出管に切り替え、内温度が150℃になるまで昇温し、メタノールで抽出させ更に150℃、3時間加熱し縮合して加水分解物を得た。(重合度は3〜6でヒドロキシル基10以上、テトラメトキシシランオリゴマー中のモノマー量は5%であった。)
引き続き100〜150℃に加熱したジャケットでテトラメトキシシランオリゴマーを煮沸させて、気化したモノマーを不活性ガスと共に系外に排出し、こうしてテトラメトキシシランオリゴマーを得た。得られたテトラメトキシシランオリゴマー中のモノマー量は0.2%であった。
【0047】
[シリケートオリゴマー(B)の調製]
上記で得られたテトラメトキシシランオリゴマー33.78gにエタノール19.16g配合し、次いでマレイン酸0.35g及び脱塩素水7.28gを添加した。水添加量はテトラメトキシシランオリゴマーを理論上100%加水分解し得る量に対し113%である。その後室温で2日放置し熟成し、(B)を得た。
【0048】
[シリケートオリゴマー(C)の調製]
前記のテトラメトキシシランに代えてテトラエトキシシランを使用し、上記(B)の調製と同様にして、シリケートオリゴマー(C)を得た。
【0049】
実施例1
平均重合度1700、平均ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコールを水に溶解し、5.0重量%濃度の水溶液を得た。該液をポリエチレンテレフタレートフイルム上に流延後、乾燥して膜厚60μのフイルムを得た。このフイルムを10cm巾に切断しチャックに装着した。該フイルムをヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリ60g/lよりなる水溶液中に30℃にて4分間浸漬した。次いでホウ酸70g/l、ヨウ化カリ30g/lの組成の水溶液に55℃にて5分間浸漬すると共に、先ず2.2倍に延伸し、次いで1.7倍に延伸して、更に1.5倍に延伸した後、20℃で10秒間水洗し、風乾で24時間乾燥を行って偏光フィルムを得た。そして、予め表面をアルカリ処理し酸で中和した三酢酸セルロースフィルム(80μm厚)をポリビニルアルコール接着剤(3%水溶液、乾燥塗布厚0.01μm)を用いて該偏光フィルムの両面に貼着後100℃で1分間乾燥させて偏光板を得た。次に該偏光板をシクロヘキサノン中に20℃で12時間浸漬させて該三酢酸セルロースフィルムを完全に取り除いて偏光フィルム(F−1)を得た。
【0050】
尚、該偏光フィルム(F−1)(20mm×20mm)をラマン分光測定器(日本分光社製、Jasco NR−1800M)を用いて、励起波長として514.5nmのAr+レーザーを照射して本文中に記載の条件にて105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度を室温で測定したところ、37.81(a0)及び29.88(b0)であった。更に該偏光フィルムの両面に保護フィルムとして上記の三酢酸セルロースフィルムを再度ポリビニルアルコール接着剤で上記の方法と同様に接着して三酢酸セルロース/偏光フィルム/三酢酸セルロースの3層積層体(偏光板〔1〕)を得、次に該3層積層体を80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置して処理後の3層積層体を得た後、該積層体をシクロヘキサノン中に20℃で12時間浸漬させて該保護層を取り除いて偏光フィルム単体として、同様にラマン分光測定器により、再度該偏光フィルムの105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度を測定したところ、30.94(a1)及び28.38(b1)で、これらの測定値より(b0/a0)及び(b1/a1)/(b0/a0)の値を算出すると0.79及び1.16であった。
【0051】
一方、膜厚80μmの三酢酸セルロースフィルムにシリケートオリゴマー(A)のメタノールとエタノールの混合溶液(濃度10%)をバーコーターにより塗布し、その後150℃で1時間加熱処理し、三酢酸セルロースフィルムとシリケートオリゴマー(A)の積層体(シリケートオリゴマー(A)層の厚み:乾燥後の厚みで3.0μm)を得た。
【0052】
上記偏光フィルム(F−1)の一方の面に、上記三酢酸セルロースフィルムとシリケートオリゴマー(A)層の積層体の三酢酸セルロースフィルム面を、接着剤としてポリビニルアルコール水溶液(濃度2.7%)を用いて貼合し、偏光フィルムの他方の面には三酢酸セルロースフィルムのみを貼合し、更に該三酢酸セルロースフィルムの外面にアクリル系粘着剤(組成:アクリル酸n−ブチル/アクリル酸=95/5(重量比)100部に対してコロネートL(日本ポリウレタン社製)1部を添加したもの)層を設け、ガラス板に貼合した。(初期偏光度は99.8%であった。)
これより得られた偏光板を80℃、90%RHに350時間放置した後、該偏光板の偏光度変化及び外観変化を測定することで耐湿熱性を評価した。
尚、外観変化については、上記耐久試験後の偏光板の色抜けを目視により4段階(◎〜×)で評価した。
【0053】
実施例2
実施例1において、平均重合度2600、平均ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコールを用い、延伸工程において最初の延伸倍率を2倍に変更して得られる偏光フィルム(F−2)を用い、又、シリケートオリゴマー(A)を(B)に代え、シリケートオリゴマー(B)層の厚みを2.0μmに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。 尚、ラマン分光測定器によりa0、b0、a1及びb1を測定したところ、a0=42.23、b0=36.32、a1=27.42、b1=22.53でこれらの測定値より(b0/a0)及び(b1/a1)/(b0/a0)の値を算出すると0.86及び0.95であった。
【0054】
実施例3
実施例2において、シリケートオリゴマー(B)を(C)に代え、シリケートオリゴマー(C)層の厚みを3.0μmに代えた以外は同様の操作を行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。
【0055】
実施例4
実施例1において、平均重合度4000、平均ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコールを用い、延伸工程において先ず3倍に延伸し、次いで1.7倍に延伸する2段のみの延伸処理とし、三酢酸セルロースフィルム積層後の乾燥温度を60℃に変更して得られる偏光フィルム(F−3)を用い、シリケートオリゴマー(A)層の厚みを2.5μmに代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。
尚、ラマン分光測定器によりa0、b0、a1及びb1を測定したところ、a0=35.27、b0=31.69、a1=39.63、b1=27.05でこれらの測定値より(b0/a0)及び(b1/a1)/(b0/a0)の値を算出すると0.90及び0.76であった。
【0056】
実施例5
実施例4において、シリケートオリゴマー(A)を(B)に代え、シリケートオリゴマー(B)層の厚みを3.0μmに代えた以外は同様の操作を行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。
【0057】
実施例6
実施例4において、シリケートオリゴマー(A)を(C)に代え、シリケートオリゴマー(C)層の厚みを2.5μmに代えた以外は同様の操作を行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。
【0058】
実施例7
実施例1において、下記偏光フィルム(F−4)を用いた以外は同様に行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。
平均重合度3800、ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコールを水に溶解し、5.0%の溶液を得た。該溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延後乾燥し原反フィルム(80μm)を得た。該フィルムをチャックに装着し、ヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリウム60g/lよりなる水溶液中に30℃にて240秒浸漬し、次いでホウ酸70g/l、ヨウ化カリウム30g/lの組成の水溶液に浸漬すると共に、同時に6.0倍に一軸延伸しつつ5分間にわたってホウ酸処理を行った。次に、20℃の水洗槽に20秒間浸漬した後、ヨウ素0.05g/l、ヨウ化カリウム20g/lよりなる水溶液中に20℃にて20秒間浸漬し、最後に室温で24時間乾燥し、偏光フィルム(F−4)を得た。
【0059】
尚、該偏光フィルム(F−4)の両面に三酢酸セルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤(4%水溶液)により接着し、偏光板を得たときの、該偏光板の、波長460nm及び640nmにおける平行透過率(A)と直交透過率(B)とを高速多波長複屈折測定装置(大塚電子(株)製:RETS−2000)により測定し、各々の波長における(A)/(B)の値を算出したところ460nmでは2483(32.29/0.013)、640nmでは4366(34.93/0.008)であった。
【0060】
実施例8
実施例7において、シリケートオリゴマー(A)を(B)に代え、シリケートオリゴマー(B)層の厚みを2.5μmに代えた以外は同様の操作を行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。
【0061】
実施例9
実施例7において、シリケートオリゴマー(A)を(C)に代え、シリケートオリゴマー(C)層の厚みを3.0μmに代えた以外は同様の操作を行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。
【0062】
実施例10
実施例7において、平均重合度1700、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコールに代えて得られる偏光フィルム(F−5)を用い、又、シリケートオリゴマー(A)を(C)に代え、シリケートオリゴマー(C)層の厚みを3.0μmに代えた以外は同様の操作を行い、偏光板を得、耐湿熱性及び外観変化を評価した。
【0063】
尚、偏光フィルム(F−5)の両面に三酢酸セルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤(4%水溶液)により接着し、偏光板を得たときの、該偏光板の、波長460nm及び640nmにおける平行透過率(A)と直交透過率(B)とを高速多波長複屈折測定装置(大塚電子(株)製:RETS−2000)により測定し、各々の波長における(A)/(B)の値を算出したところ460nmでは2014(30.22/0.015)、640nmでは4178(33.43/0.008)であった。
【0064】
比較例1〜5
表1に示す如き偏光フィルム(F−1〜5)を用いて、シリケートオリゴマーの層を設けなかった以外は実施例1と同様に行い、耐湿熱性を評価した。
【0065】
比較例6
実施例1において、シリケートオリゴマー(A)層の代わりにポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートからなるウレタン樹脂塗膜層(乾燥後の厚みで3μ)を設けた以外は同様に行い、耐湿熱性を評価した。
【0066】
実施例11
実施例1において、偏光板を、平均重合度1700、平均ケン化度99.5モル%、2倍延伸のポリビニルアルコールフィルム(膜厚50μm)からなる位相差フィルムの両側に上記と同様の保護フィルムを設けた位相差板に代えた以外は同様に行った。
これより得られた位相差板を55℃、95%RHに300時間放置した後、該位相差板の光学特性変化及び外観変化を測定することで耐湿熱性を評価した。
【0067】
尚、位相差板の光学特性については、レターデーション値(RD)を測定した。位相差フィルムのレターデーション値(RD)とは、主延伸方向(MD方向)及びこれに垂直な方向(TD方向)における屈折率(IIMD−IITD)と位相差フィルムの厚さ(d)との積で定義され、バビネ型コンペンサーター付の偏光顕微鏡(ニコンPOH−1型)を用い補償法にて測定した(光源は白色光)。
【0068】
実施例12
実施例2において、偏光板を、平均重合度3800、平均ケン化度99.5モル%、2.2倍延伸のポリビニルアルコールフィルム(膜厚50μm)からなる位相差フィルムの両側に上記と同様の保護フィルムを設けた位相差板に代えた以外は同様に行った。
これより得られた位相差板を実施例11と同様に光学特性変化及び外観変化を測定することで耐湿熱性を評価した。
【0069】
実施例13
実施例3において、偏光板を、平均重合度2600、平均ケン化度99.5モル%、2.1倍延伸のポリビニルアルコールフィルム(膜厚50μm)からなる位相差フィルムの両側に上記と同様の保護フィルムを設けた位相差板に代えた以外は同様に行った。
これより得られた位相差板を実施例11と同様に光学特性変化及び外観変化を測定することで耐湿熱性を評価した。
【0070】
比較例7
実施例11において、シリケートオリゴマー(A)からなる層を設けなかった以外は同様に行い、光学特性変化及び外観変化を測定することで耐湿熱性を評価した。
【0071】
実施例14
実施例1で用いた偏光フィルム及び実施例11で用いた位相差フィルムを用いて、シリケートオリゴマー(C)からなる層/三酢酸セルロースフィルム/偏光フィルム/三酢酸セルロースフィルム/粘着剤層/三酢酸セルロースフィルム/位相差フィルム/三酢酸セルロースフィルム/粘着剤層の構成をもった楕円偏光板を作製し、該楕円偏光板を62℃、93%RHに290時間放置した後、光学特性変化(RD値で評価)及び外観変化を測定し、耐湿熱性を評価した。
実施例、比較例の結果をまとめて表1、2に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004012972
【0073】
注)F−1:実施例1で用いた偏光フィルム
F−2:実施例2で用いた偏光フィルム
F−3:実施例4で用いた偏光フィルム
F−4:実施例7で用いた偏光フィルム
F−5:実施例10で用いた偏光フィルム
【0074】
【表2】
Figure 0004012972
【0075】
【発明の効果】
本発明の光学積層体は、保護フィルムの更に外側に上記のシリケートオリゴマーからなる層を設けたことにより、高光学性能に加えて、耐久性、耐湿熱性に非常に優れた光学積層体である。

Claims (8)

  1. 光学フィルムの片面又は両面に酢酸セルロース系フィルムである保護フィルムを設けた光学積層体〔1〕の、該保護フィルムの外側に更にテトラアルコキシシランの加水分解縮合物である下記化1で示されるシリケートオリゴマーが50〜200℃で加熱処理されてなる層を設けてなることを特徴とする光学積層体。
    Figure 0004012972
    ここで、nは1〜20の整数、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基である。
  2. 上記テトラアルコキシシランの加水分解縮合物である上記化1で示されるシリケートオリゴマーがテトラアルコキシシランに触媒、水を添加し加水分解縮合して得られる部分加水分解物であることを特徴とする請求項1記載の光学積層体。
  3. 上記テトラアルコキシシランの加水分解縮合物である上記化1で示されるシリケートオリゴマーがテトラアルコキシシランに溶媒、硬化触媒、水を添加し加水分解縮合して得られる完全加水分解物であることを特徴とする請求項1記載の光学積層体。
  4. 光学積層体〔1〕が偏光板、位相差板、楕円偏光板のいずれかであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光学積層体。
  5. 偏光板がポリビニルアルコール系偏光フィルムからなり、かつ、波長460nm及び640nmでの平行透過率(A)と直交透過率(B)の比がともに2000以上であることを特徴とする請求項4記載の光学積層体。
  6. ポリビニルアルコール系偏光フィルムが重合度2000〜8000のポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムであることを特徴とする請求項5記載の光学積層体。
  7. ポリビニルアルコール系偏光フィルムが重合度2500〜5000のポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムであることを特徴とする請求項5記載の光学積層体。
  8. 最外層の少なくとも一方の外側に粘着剤層を設けたことを特徴とする請求項1〜いずれか記載の光学積層体。
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